JP4156271B2 - パワーステアリング装置用制御ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用パワーステアリング装置に係り、特に、ハンドルの回転位置に応じて操舵輪を所定の操舵角(以下、操舵角を便宜上、タイヤ角という)に操舵する油圧シリンダ(ステアリングシリンダ)の駆動制御に適したパワーステアリング装置用制御ユニットに関する。また、車両用パワーステアリング装置において、ハンドルの回転位置に応じたハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係のずれを補正するハンドル角補正システムに係り、特に、ハンドルの回転範囲や操舵輪の操舵範囲の異なる車両に適したハンドル角補正システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
フォークリフトなどの産業車両には、ハンドル操作を軽快に行えるようにパワーステアリング装置が設けられている。パワーステアリング装置として、ハンドルの回転操作量に応じた油量を作動油供給ユニットでステアリングシリンダに供給して操舵輪を操舵する全油圧式のパワーステアリング装置が知られている。
【0003】
上記のパワーステアリング装置において、作動油供給ユニットでステアリングシリンダに供給する油量はハンドルの回転速度に因って変化することがある。例えば、ハンドルの回転速度が比較的遅い場合には、ステアリングシリンダに供給される油量が少なくなる傾向がある。この場合、実際のハンドルの回転操作量に応じたハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係にずれが発生するという問題が起こる。また、作動油供給ユニットなどでステアリングシリンダに供給すべき油量がリークすることがあり、この場合にも上記の問題と同様な問題が起こり得る。
【0004】
そこで、パワーステアリング装置では、一般に、ハンドルの回転操作量に応じたハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係のずれを補正することが行われている。この種のパワーステアリング装置としては、従来、特開平10−181626号公報や特開平10−287258号公報などに示されたものが知られている。例えば、特開平10−181626号公報に示された装置では、ハンドルの回転位置に応じたハンドル角をハンドル角センサで検出し、そのときの操舵輪の切れ角(タイヤ角)を切れ角センサで検出する。コントローラでは、操舵輪の切れ角に基づきハンドル角補正用マップで正規のハンドル角である目標ハンドル角を求め、該目標ハンドル角とハンドル角との偏差が許容範囲を超える場合に電磁切換弁を開弁する。これによって、作動油供給ユニットであるオービットロール(登録商標)からステアリングシリンダに供給すべき油量の一部を電磁切換弁を介して還流させ、ハンドルの回転操作量に対するステアリングシリンダの変化割合を減少させることで、ハンドルを空転できるようにしている。すなわち、ハンドルが空転することでずれ量が許容範囲に収まるまでハンドルの位置補正が実行される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のパワーステアリング装置では、ハンドル角センサ、オービットロール、コントローラおよび電磁切換弁などは、それぞれ、1つの独立したユニットとして構成されている。このため、各ユニットを別々に取り扱わなければならず、取り扱いが面倒であった。また、上記装置では、適用対象車両におけるハンドルの回転範囲と操舵輪の操舵範囲とに基づいて作成されたハンドル角補正用マップをコントローラに予め記憶させているので、ハンドルの回転範囲と操舵輪の操舵範囲とが共通する同一車種の車両にしか適用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、取り扱い性を向上した油圧式パワーステアリング装置用制御ユニットを提供しようとするものである。また、ハンドルの回転範囲や操舵輪の操舵範囲の異なる車両に適用できるパワーステアリング装置におけるハンドル角補正システムを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るパワーステアリング装置用制御ユニットは、ハンドルの回転に応じて操舵輪を操舵する油圧シリンダと、前記操舵輪のタイヤ角を検出するタイヤ角センサとを具備するパワーステアリング装置において用いられるパワーステアリング装置用制御ユニットであって、前記ハンドルの回転軸に着脱式に結合して該ハンドルの回転操作量に応じた油量を前記油圧シリンダに供給する主作動油供給装置と、前記油圧シリンダの駆動を補正するための補正油を制御信号に応じて供給する補正油供給装置とを具備し、さらに、前記ハンドルの回転位置に応じたハンドル角を検出するために、前記主作動油供給装置に結合されるハンドル回転軸の周囲に配置されるハンドル角検出器と、前記ハンドル角検出器で検出したハンドル角と前記タイヤ角センサで検出したタイヤ角とに基づき、該ハンドル角と該タイヤ角との対応関係のずれを補正する制御信号を生成し、該制御信号に応じて前記補正油供給装置による前記補正油の供給を制御する制御回路装置とを前記主作動油供給装置のハウンジングに取り付け、該ハンドル角検出器及び制御回路装置を前記主作動油供給装置に一体化させてなり、前記ハンドル角検出器は、前記主作動油供給装置におけるハンドル回転軸取付け用のハンドル軸挿入孔の周囲に配置され、前記制御回路装置は、前記ハンドル角検出器に近接して配置されており、前記制御回路装置の回路基板が前記ハンドル角検出器の配置に対応する箇所まで延び、該ハンドル角検出器が前記制御回路装置の回路基板上に配置されており、該ハンドル角検出器と制御回路装置が一体化されていることを特徴とするものである。これによれば、主作動油供給装置を主構成要素としてハンドル角検出器と制御回路装置とを1つのユニットとして取り扱うことができるので、取り扱い性の向上を図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施の形態では、本発明に係る制御ユニット及びハンドル角補正システムを、例えばフォークリフトなどの産業車両のように、車種によってハンドルの回転範囲や操舵輪の操舵範囲が異なる車両に適用した場合を説明する。図1は、本発明に係る制御ユニットを備える油圧式パワーステアリング装置の概略構成の一例を示す。
【0010】
図1において、パワーステアリング装置は、ハンドルHのハンドル軸(ステアリングシャフト)Hsに連結された制御ユニット1と、左右の操舵輪T1及びT2を舵取り装置Aを介して駆動するステアリングシリンダ2と、任意の一方の操舵輪(図の例ではハンドルH側から見て左側の操舵輪T1)のタイヤ角を検出するタイヤ角センサ3などを含む。制御ユニット1は主作動油供給装置であるオービットロール11を具備し、該オービットロール11が舵取り装置Aに設けられた油圧シリンダ2に油圧ラインL1,L2を介して接続されている。
【0011】
舵取り装置Aにおいて、左操舵軸腕A1は、車軸A3の左端にキングピンA4を介して回動自在に連結されており、右操舵軸腕A2は、同車軸A3の右端にキングピンA5を介して回動自在に連結されている。左操舵軸腕A1の一端には左操舵輪T1が取り付けられており、他端には油圧シリンダ2の一方のピストンロッド2R1が連接部材A6を介して連結されている。右操舵軸腕A2の一端には右操舵輪T2が取り付けられており、他端には油圧シリンダ2の他方のピストンロッド2R2が連接部材A7を介して連結されている。この舵取り装置Aでは、油圧シリンダ2の各ロッド2R1,2R2がハンドルH側から見て左方向Lに移動することで、左操舵軸腕A1と右操舵輪A2がそれぞれピンA4,A5と共に車軸A3に対して同方向Lに回動し、よって、左操舵輪T1と右操舵輪T2とが左方向Lに操舵される。また、シリンダ2の各ロッド2R1,2R2がハンドルH側から見て右方向Rに移動することで、左操舵軸腕A1と右操舵輪A2がそれぞれピンA4,A5と共に車軸A3に対して同方向Rに回動し、よって、左操舵輪T1と右操舵輪T2とが右方向Rに操舵される。
【0012】
タイヤ角センサ3はポテンションメータからなり、左操舵軸腕A1側のキングピンA4に取り付けられている。このタイヤ角センサ3は、キングピンA4の回動量を検出し、該回動量に応じたアナログ(例えば、電圧値など)のタイヤ角検出信号θTを図6に示す位置変換部13Bに出力する。
【0013】
図2は制御ユニット1の外観形態の一例を示し、(A)は図1に示すハンドルH側から見た制御ユニット1の平面図、(B)は(A)に示す制御ユニット1の一部切欠き正面図である。
図2(A),(B)において、制御ユニット1は、オービットロール11と、ハンドル角センサ12のハンドル角検出器12Mと、コントローラ13と、補正油供給装置であるソレノイドバルブ14などを含む。オービットロール11のハウジング11Aには、ハンドルH側の上面にハンドル角検出器12Mとコントローラ13とが適宜の保護部材11Bを介して一体化された状態に取り付けられている。保護部材11Bには、ハンドル回転軸取付け用のハンドル軸挿入孔11Cが設けられており、この挿入孔11Cの周囲にハンドル角検出器12Mが配置され、該検出器12Mに近接してコントローラ13が配置されている。なお、ハンドル角検出器12Mは、図5に示されるようなリング状のステータ部12Sやコイル12A〜12Dなどを具備してなる。コントローラ13は、図示しないMPUや、ROM、RAMなどからなる回路基板13Pなどを具備する。回路基板13Pは、ハウジング11Aの側面に取り付けられたソレノイドバルブ14の上方からハンドル角検出器12Mの配置に対応する箇所まで延びており、該基板13P上にハンドル角検出器12Mが配置されている。なお、コントローラ13には、ソレノイドバルブ14や図1に示されるタイヤ角センサ3などに信号線Cを介して電気的に接続される。図において、信号線Cはソレノイドバルブ14用の信号線であり、タイヤ角センサ3用の信号線については図示を省略してある。
【0014】
このように、制御ユニット1は、オービットロール11のハウジング11Aに、ハンドル角検出器12Mと、コントローラ13と、ソレノイドバルブ14などを一体化させた構造の1つのユニットとして構成されているので、取り扱いが容易である。また、ハンドル角検出器12Mをオービットロール11の挿入孔11Cの周囲に配置し、該ハンドル角検出器12Mに近接して回路基板13Pを配置するので、該検出器12Mと基板13Pとを適宜の保護部材11Bや取り付け部材などで一体化することができ、よって、ハンドル角検出器12Mや回路基板13Pをハウジング11Aに容易に取り付けることができる。
このような構成の制御ユニット1は、ハンドル軸Hsに着脱式に結合される。すなわち、オービットロール11のハンドル軸挿入孔11Cにハンドル軸Hsの先端部を挿入することで、該ハンドル軸Hsをオービットロール11内に設けられた図3に示す計量機構部(ジロータ)11Cに任意の機構を介して着脱式に結合される。
【0015】
図3に制御ユニット1及びこれに関連する油圧回路の一例を示す。図3において、オービットロール11は、車両のエンジン駆動中に、油圧ポンプPから圧力・流量補償弁V及び供給ラインP1を通じて供給される作動油Qを流入路11A1を介して計量機構部11Cに供給する。計量機構部11Cは、ハンドルHが図1に示す左回転方向CCWに回転操作されると、その回転操作量に応じた油量Q1を第1給排路11A2及び油圧ラインL1を介してシリンダ2の一方の油室2C1に供給する。これによって、ピストン2Pはロッド2R1,2R2と共に左方向Lに移動し、図1に示される軸腕A2,A3がキングピンA4,A5と共に同方向に回動して操舵輪T1,T2をハンドルHの回転位置に応じたタイヤ角に操舵する。また、ハンドルHが同図に示す右回転方向CWに回転操作されると、その回転操作量に応じた油量Q1を図示しない給油方向切換弁、第2給排路11A3及び油圧ラインL2を介してシリンダ2の他方の油室2C2に供給する。これによって、ピストン2Pはロッド2R1,2R2と共に右方向Rに移動し、同図に示される軸腕A2,A3がキングピンA4,A5と共に同方向に回動して操舵輪T1,T2をハンドルHの回転位置に応じたタイヤ角に操舵する。なお、油圧シリンダ2からオービットロール11を介して排出される油は排出ラインP2を通じて油タンクTに排出される。
【0016】
第1給排路11A2には計量機構部11Cをバイパスしてバイパス路11A4が接続されている。バイパス路11A4には供給ラインP1に連通する補助供給ラインP3が接続されており、この補助供給管P3にノーマルオープン仕様のソレノイドバルブ14が設けられている。ソレノイドバルブ14は、二位置切換弁であり、通常ステアリング状態すなわちハンドル角にずれが発生していない状態では、補助供給ラインP3を開放する開放位置(図3に示す位置)に位置され、供給ラインP1から補助供給ラインP3を介してバイパス路11A4に補正油Q2を供給する。したがって、油圧シリンダ2には油量としてQ1+Q2が供給される。ハンドル角にずれが発生している状態では、一例として、ハンドルとの相対位置で油圧シリンダ2のピストン2Pが正規の位置よりもオーバーしている状態となるので、ソレノイドバルブ14は、補助供給ラインP3を閉鎖する閉鎖位置(図4に示す位置)に位置され、バイパス路11A4への補正油Q2の供給を停止する。したがって、油圧シリンダ2には油量としてQ1が供給される。閉鎖位置と開放位置との切り換えはソレノイドバルブ14のソレノイド14Aをオン・オフ制御することにより行われる。
【0017】
ハンドル角センサ12は電磁誘導方式の回転型位置検出センサからなる。本例に示すハンドル角センサ12は、本出願人の出願に係る特願平11−359431号に示された回転型位置検出装置の技術を用いて構成したものである。したがって、ここでは、その概略構成を簡単に説明する。
図5は、磁気誘導式位置センサによってハンドル角センサ12を構成した例を示し、一例としてハンドル角の一回転にわたる0度から360度までのハンドル角をアブソリュート検出できるものである。図5(A)は、ハンドル軸Hsに取り付けられたハンドル角検出器12Mの径方向断面図、(B)は、該ハンドル角検出器12Mの検出コイル12A〜12Dに関連する電気・電子回路の一例を示すブロック図である。ハンドル角検出器12は、ステータ部12Sとロータ部12Rとで構成される。ロータ部12Rは、検出対象たるハンドル軸Hsに取り付けられた、所定形状例えば偏心リング状の磁気応答部材12Eからなる。磁気応答部材12Eは、鉄等の磁性体からなるもの、あるいは銅等の導電体からなるもの、あるいは磁性体と導電体との組み合わせからなるものなど、磁気結合係数を変化させる材質からなる。ロータ部12Rに対してラジアル方向に向き合うような形でステータ部12Sが配置される。
【0018】
ステータ部12Sは、例えば、真円のリング状に形成される。ステータ部12Sの内周面には、検出用コイルとして4つのコイル12A〜12Dが円周方向に所定間隔で例えば90度の間隔で配置されている。すなわち、ステータ部12Sにおいて、サイン出力用のコイル12Aを鉄心(磁性体コア)12A1に巻回して設けると共に、該コイル12Aの180度反対側の角度位置にコイル12Bを鉄心12B1に巻回して設ける。また、コサイン出力用のコイル12Cを鉄心12C1に巻回して設けると共に、該コイル12Cの180度反対側の角度位置にコイル12Dを鉄心12D1に巻回して設ける。各コイル12A〜12Dは、それぞれ、コイル内を通る磁束がハンドル軸Hsの径方向を指向する。各コイル12A〜12Dの鉄心12A1〜12D1の端面と、ロータ部12Rの磁気応答部材12Eとの間に空隙が形成され、ロータ部12Rはステータ部12Sに対して非接触で回転する。ロータ部12Rの磁気応答部材12Eの所定の形状、例えば偏心リング状、の故に、磁気応答部材12Eとコイル鉄心12A1〜12D1との空隙が回転位置に応じて変化する。この対向空隙の変化によって、鉄心12A1〜12D1を通ってコイル12A〜12Dを貫く磁束量が変化し、もって、コイル12A〜12Dのインピーダンスが変化する。
この構成によって、180度で対向するコイル対12Aと12B及び12Cと12Dにおける各コイルのインピーダンスが差動的に変化する。すなわち、サイン相のコイル12Aと12Bの対では、コイル12Aのインピーダンス変化つまり出力振幅変化がハンドル軸Hsの回転角度に対して「P0 +Psinθ」という関数特性を示すとすると、他のコイル12Bのインピーダンス変化つまり出力振幅変数はハンドル軸Hsの回転角度θに対して「P0 −Psinθ」という関数特性を示す。同様に、コサイン相のコイル12Cと12Dの対では、コイル12Cのインピーダンス変化つまり出力振幅変化がハンドル軸Hsの回転角度θに対して「P0 +Pcosθ」という関数特性を示すとすると、他のコイル12Bのインピーダンス変化つまり出力振幅変数はハンドル軸Hsの回転角度θに対して「P0 −Pcosθ」という関数特性を示す。
【0019】
図5(B)に示すように、各コイル12A〜12Dは所定の交流発生源12Pから発生される所定の1相の高周波交流信号(仮にsinθで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。各コイル12A〜12Dの端子間電圧Vs,Vsa,Vc,Vcaは、下記のように、回転角度θに対応するそれぞれのインピーダンスに応じた大きさを示す。
Vs=(P0 +Psinθ)sinωt
Vsa=(P0 −Psinθ)sinωt
Vc=(P0 +Pcosθ)sinωt
Vca=(P0 −Pcosθ)sinωt
各コイル対毎に2つのコイル(12Aと12B及び12Cと12D)がそれぞれ逆相差動接続され、下記に示すように、所定の周期的振幅関数を振幅係数として持つ交流出力信号を各コイル対毎に生成する。
従って、検出対象たるハンドルHの回転角度θに対応する2つの周期的振幅関数(sinθ及びcosθ)を振幅係数として持つ、レゾルバと同様の、2つの交流出力信号(sinθsinωt及びcosθsinωt)を生成することができる。
【0020】
図6は、コントローラ13の回路構成の一例を示す機能ブロック図である。コントローラ13は、前述したように、MPUや、ROMとRAMなどからなるメモリなどから構成されているが、図6ではそれらのコンピュータハードウェアの図示は省略し、コンピュータソフトウェアによって実行される処理を機能ブロックで示している。なお、位置変換部13Aの機能の一部は専用ハードウェア回路で実現され、残りはコンピュータソフトウェアの処理によって実現される。
【0021】
位置変換部13Aでは、ハンドル角検出器12Mから出力されるサイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θを計測することで、ハンドルHの1回転の回転角度範囲(0度〜360度)におけるハンドル軸Hsの回転位置θをアブソリュートで検出する。そして、ハンドル軸Hsの回転位置すなわちハンドルHの回転位置に応じたハンドル角検出信号を位置変換部13Aに出力する。位置変換部13Aとしては、例えば本出願人の出願に係る特開平9−126809号公報に示された技術を用いて構成することができる。例えば、第1の交流出力信号sinθsinωtを電気的に90度シフトすることで、交流信号sinθcosωtを生成し、これと第2の交流出力信号cosθsinωtを加減算合成することで、sin(ωt+θ)およびsin(ωt−θ)なる、θに応じて進相及び遅相方向に位相シフトされた2つの交流信号(位相成分θを交流位相ずれに変換した信号)を生成し、その位相を測定することで、ハンドルHの回転位置検出データすなわちハンドル角検出データθhDを得ることができる。あるいは、公知のレゾルバ出力信号を処理するために使用されるR−Dコンバータを、この位置変換部13Aとして使用するようにしてもよい。
【0022】
位置変換部13Bは、タイヤ角センサ3から入力したアナログのタイヤ角検出信号θTをディジタルデータに変換し、ディジタルのタイヤ角検出データθTDを出力する。また、そのタイヤ角検出データθTDに基づきハンドル回転数に対応するハンドル角回転回数データD1を出力する。
【0023】
図6に示すコントローラ13においては、ソレノイドバルブ14のオン・オフ制御を行うにあたって、ハンドル角検出範囲学習部13C及びタイヤ角検出範囲学習部13Dにより、ハンドルの回転範囲及び操舵輪の操舵範囲を検出するようにし、いかなる車種に対しても適切に適応できるようにしたことを特徴としている。すなわち、フォークリフトなどの産業車両にあっては、前述したように、車種によってハンドルの回転範囲や操舵輪の操舵範囲が異なるが、本実施例においては、適用対象車両のハンドル回転範囲と操舵範囲とを学習によって常に検出することにより、いかなる車種に対しても随時適応できるようにしている。
【0024】
ハンドル角検出範囲学習部13Cでは、位置変換部13Aから出力されるハンドル角検出データθHDに基づきハンドルの回転範囲を学習によって検出する。図7(A)は、ハンドル角検出範囲学習部13Cで得るハンドル角検出データθHDの一例を示す模式図である。図8(A)は、上記検出範囲学習部13Cで実行するハンドル回転範囲の学習処理の一例を示すフロー図である。
図8(A)において、ステップS1では、車両の電源が投入されたとき、位置変換部13Bで現在のタイヤ角検出データθTDに対応するハンドル角回転回数データD1を位置変換部13Aに出力してプリセットする。これにより、現在のハンドル回転数に応じたハンドル回転位置のハンドル角検出データθhDが位置変換部13Aからハンドル角検出範囲学習部13Cに出力されることになる。
ステップS2では、位置変換部13Aからハンドル角検出データθhDを、位置変換部13Bからタイヤ角検出データθTDをそれぞれ読み込む。
ステップS3では、タイヤ角検出データθTDに応じたハンドル角回転回数データ(HPD)を算出する。一例として、タイヤ角検出データθTDに応じて得られるハンドル1回転(360度)のハンドル角検出データθhDをカウントし、そのカウント値をハンドル角回転回数データとする。
ステップS4では、ハンドル角検出データ(θhD)とハンドル角回転回数データ(HPD)とを加える演算処理を行ってハンドル回転回数に応じたハンドル角検出データθHDを得る。
ステップS5では、ハンドル回転方向の判別を行う。一例として、データを読み込む毎に、今回読み込んだデータと前回読み込んだデータとを比較し、今回のデータが前回のデータよりも「大」であれば右回転方向と判定し、「小」であれば左回転方向と判定する。
ステップS6では、ハンドル角検出データθHDのピーク値すなわち最大値θHDmaxと最小値θHDminとを求める。一例として、ハンドルの右回転方向に対応するデータθHDを取り込む毎に、今回読み込んだデータと前回読み込んだデータとを比較して大きい方のデータを記憶し、かつ、更新することにより、最後に記憶したデータの値を最大値θHDmax(図7(A)参照)とする。また、ハンドルの左回転方向のハンドル角検出データθHDを取り込む毎に、今回取り込んだデータと前回取り込んだデータとを比較して小さい方のデータを記憶し、かつ、更新することにより、最後に記憶したデータの値を最小値θHDmin(図7(A)参照)とする。なお、ステップS6では、タイヤ角検出範囲学習部13Dから更新中止信号Saを入力した時点で、最大値θHDmaxと最小値θHDminとの更新を中止する。
このように、ハンドル角検出範囲学習部13Cでハンドル角検出データθHDの最大値θHDmaxと最小値θHDminとを検出することにより、ハンドルの回転範囲を学習する。なお、この学習は必要に応じて繰り返し行ってよい。
【0025】
タイヤ角検出範囲学習部13Dでは、位置変換部13Bから出力されるタイヤ角検出データθTDに基づき左操舵輪の操舵範囲を学習によって検出する。図7(B)は、タイヤ角検出範囲学習部13Dで得る操舵輪のタイヤ角検出データθTDと、該検出データθTDのゲイン(傾き)を補正したゲイン補正タイヤ角データθTDgとの一例を示す模式図である。図8(B)は、上記検出範囲学習部13Dで実行する操舵範囲の学習処理の一例を示すフロー図である。
図8(B)において、ステップS11では、位置変換部13Bからタイヤ角検出データθTDを読み込む。
ステップS12では、ハンドル回転か否かの判定を行う。一例として、今回読み込んだデータが前回読み込んだデータに対して変化していればハンドル回転と判定する。かかる判定を行う理由は、ハンドルを何回転でも回転できるようなフォークリフトにおいて、操舵輪T1,T2のタイヤロック位置すなわちハンドルを回転させてもそれ以上操舵輪が操舵されない位置を検出するためには、その前提としてハンドルの回転動作状態を認識する必要があることによる。
ステップS13では、タイヤロック位置の検出を行う。一例として、位置変換部13Aからハンドル角検出データθhDを取り込み、今回取り込んだハンドル角検出データが前回取り込んだハンドル角検出データに対して変化しているにもかかわらず、今回読み込んだタイヤ角検出データが前回読み込んだタイヤ角検出データに対して変化していない場合に、タイヤロック位置と認識する。
ステップS14では、ハンドル角検出範囲学習部13Cに更新中止信号Saを出力する。
ステップS15では、タイヤ角検出データθTDのピーク値すなわち最大値と最小値とを求める。一例として、ハンドルの右回転方向の回転位置に対応する右タイヤ角検出データθTDRを読み込む毎に、今回読み込んだデータと前回読み込んだデータとを比較して大きい方のデータを記憶し、かつ、更新することにより、最後に記憶したデータの値を最大値θTDmax(図7(B)参照)として得る。また、ハンドルの左回転方向の回転位置に対応する左タイヤ角検出データθTDLを取り込む毎に、今回取り込んだデータと前回取り込んだデータとを比較して小さい方のデータを記憶し、かつ、更新することにより、最後に記憶したデータの値を最小値θTDmin(図7(B)参照)として得る。この場合、例えば、左右の操舵輪を直進方向に指向させた左操舵輪中央位置に対応するタイヤ角検出データθHDcを「0」とし、該データを基準にして最大値θTDmaxと最小値θTDminとを求めるとよい。
このように、タイヤ角検出範囲学習部13Cでタイヤ角検出データθHDの最大値θTDmaxと最小値θTDminとを検出することにより、操舵輪の操舵範囲を学習する。この学習は必要に応じて繰り返し行ってよい。
【0026】
一般に、適用対象車両のように、2つの操舵輪T1及びT2を備える車両にあっては、各操舵輪T1,T2はハンドル中央位置に対して右操舵方向Rと左操舵方向Lとでハンドル回転量に対するタイヤ角が異なる。このため、図7(B)に示されるように、右操舵方向Rのタイヤ角検出データ(以下、右タイヤ角検出データという)θTDRと、左操舵方向Lのタイヤ角検出データ(以下、左タイヤ角検出データという)θTDLは、左操舵輪中央位置のタイヤ角検出データθTDcに対するゲイン(データの重み:図の例ではデータの傾き)が異なる。すなわち、右タイヤ角検出データθTDRのゲイン(β1)は左タイヤ角検出データθTDLのゲイン(−β2)よりも小さい。これは、左操舵輪において、右操舵方向Rのタイヤ角は左操舵方向Lのタイヤ角よりも小さいことを意味する。
また、ハンドルの回転操作に応じたハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係のずれを補正するためには、ハンドル角検出データθHDのゲインと、右タイヤ角検出データθTDR及び左タイヤ角検出データθTDLのゲインとを同じにする必要がある。この場合、右タイヤ角検出データθTDRの最大値θTDmaxを基準に該データのゲインを補正し、左タイヤ角検出データθTDLの最小値θTDminを基準に該データのゲインを補正すると、左操舵輪中央位置に対応するタイヤ角検出データθTDcがシフトしてしまい、好ましくない。そこで、本例では、タイヤ角検出範囲学習部13Bにおいて、上記中央位置に対応するタイヤ角検出データθTDcを基準に、右タイヤ角検出データθTDRと左タイヤ角検出θTDLのゲイン補正をそれぞれ別々に行う。
【0027】
図9は、タイヤ角検出範囲学習部13Dで実行するゲイン補正処理の一例を示すフロー図である。
図9において、ステップS21では、ハンドル角検出範囲学習部13Cからハンドル角検出データθHDの最大値θHDmaxと最小値θHDminとを取り込む。
ステップS22では、ハンドル角検出データθHDのゲインαと、このゲインαと等しくなるように右タイヤ角検出データθTDR及び左タイヤ角検出データθTDLをそれぞれ重み付けする重付け係数K1,K2とを算出する。一例として、ゲインαは、図7(A)に示されるように、ハンドル角検出データθHDの最大値θHDmaxとハンドル中央位置(左右の操舵輪を直進方向に指向させたときのハンドル位置)に対応する中央位置データθHDcとの差(θHDmax−θHDc)から求める。この場合、ゲインαをハンドル角検出データθHDの最小値θHDminと上記中央位置データθHDcとの差(θHDmin−θHDrc)から求めてもよい。重付け係数K1は、図7(B)に示される右タイヤ角検出データθTDRの最大値θTDmaxでゲインαを除算(α/θTDmax)して求める。また、重付け係数K2は、同図(B)に示される左タイヤ角検出データθTDLの最小値θTDminでゲインαを除算(α/θHDmin)して求める。
ステップS23では、右タイヤ角検出データθTDRのゲインβ1と左タイヤ角検出データθTDLのゲインβ2を補正して、ゲイン補正タイヤ角データθTDgを生成する。すなわち、図7(B)に示されるように、重付け係数K1を右タイヤ角検出データθTDRに乗算(K1×θTDR)すると共に、重付け係数K2を左タイヤ角検出データθTDLに乗算(K2×θTDL)する。これにより、右タイヤ角検出データθTDRのゲインβ1がハンドル角検出データθHDのゲインαと同じゲイン(β11)に補正され、左タイヤ角検出データθTDLのゲインβ2が同ゲインαと同じゲイン(−β21)に補正される。これによって、ハンドル角検出データθHDのゲインαに応じたゲインβ11,−β21を有するゲイン補正タイヤ角データθTDgを生成できる。
上述のゲイン補正処理は、ハンドルの回転範囲の学習と操舵輪の操舵範囲の学習とを行う度に更新してよい。
なお、上述のゲイン補正処理において、タイヤ角検出データθTDR及びθTDLのゲインに合うようにハンドル角検出データθHDのゲインを補正してもよい。また、タイヤ角検出データθTDR及びθTDLのゲインとハンドル角検出データθHDのゲインとが合うように、該タイヤ角検出データθTDR及びθTDLのゲインとハンドル角検出データθHDのゲインとを補正してもよい。
【0028】
次に、図6、図7及び図10を参照して、コントローラ13における駆動制御部13Gで実行するハンドル角ずれ補正処理を説明する。図10は、ハンドル角ずれ補正処理の一例を示すフロー図である。なお、本実施の形態で示すハンドル角ずれ補正処理は、ハンドルを右回転方向に回転操作した場合と左回転方向に回転操作した場合とで同じであるので、ハンドルを右回転方向に回転操作した場合のハンドル角ずれ補正処理について説明する。
【0029】
図10において、ステップS31では、演算部13Eでハンドルが右回転方向に回転操作されたときのハンドル回転位置P(図7(A)参照)に対応するハンドル角検出データθHDpを取り込む。また、演算部13Eで上記ハンドル回転位置Pに対応する操舵輪のゲイン補正タイヤ角データθTDgpを取り込む。
ステップS32では、演算部13Eでハンドル角検出データθHDpとゲイン補正タイヤ角データθTDgpとの偏差|ΔθD|(=|θHDp−θTDgp|)を算出する。この場合、上記データθHDpがデータθTDgpよりも大きい(θHDp>θTDgp)ときに偏差は(+ΔθD)になり、上記データθHDpがデータθTDgpよりも小さい(θHDp<θTDgp)ときに偏差は(−ΔθD)になる。
ステップS33では、コンパレータ部13Fで偏差ΔθDが許容ズレ角δ1,δ2を超えたか否かを判定する。すなわち、偏差が(+ΔθD)のとき、該偏差がソレノイドバルブオン用(図の例ではON側)の許容ズレ角δ1を超えたか否かを判定する。また、偏差が(−ΔθD)のとき、ソレノイドバルブオフ用(図の例ではOFF側)の許容ズレ角δ2を超えたか否かを判定する。偏差(+ΔθD)が許容ズレ角δ1を超えた場合、若しくは偏差(−ΔθD)が許容ズレ角δ2を超えた場合にステップS34に進む。
ステップS34では、駆動制御部13Gで駆動パルス信号PSを生成し、そのパルス信号PSをソレノイドバルブ14に出力する。この場合、許容ズレ角δ1を超える偏差(+ΔθD)若しくは許容ズレ角δ2を超える偏差(−ΔθD)がハンドルの右回転方向CWと左回転方向CCWとで同じであっても、該各偏差を所定の許容ズレ角内に収めるための偏差補正量がハンドルの右回転方向CWと左回転方向CCWとで異なる。このため、本実施の形態では、ハンドル操作方向検出部13Hでハンドル角検出範囲外周部13Cのハンドル角検出データθHDpに基づきハンドル操作方向(CW又はCCW)を検出し、該各ハンドル操作方向に応じて駆動パルス信号PSの出力時間を変えるようにしている。ソレノイドバルブ14は、駆動パルス信号PSによりソレノイド14Aがオン・オフ制御されることで、オン時に補助供給管P3を開放(図3参照)し、オフ時に補助供給管P3を閉鎖(図4参照)する動作を交互に繰り返すように駆動制御される。オービットロール11は、ソレノイドバルブ14のオン時に油圧シリンダ2にQ1+Q2の油量を供給し、ソレノイドバルブ14のオフ時に油圧シリンダ2にQ1の油量を供給する。これによって、ハンドルHの回転速度が遅い場合や、オービットロール11などで作動油がリークした場合などに発生する、ハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係のずれが補正される。
ステップS35では、ハンドル操作検出部13Iでハンドル回転操作有りか無しかを判定する。一例として、ハンドル角検出範囲学習部13Cからハンドル回転位置Pに対応するハンドル角検出データθHDpを順次取り込み、今回取り込んだデータと前回取り込んだデータとの差を求めて所定の時定数ΔTで微分演算することによりハンドル回転速度を算出し、該ハンドル回転速度が「0」のとき、ハンドル回転操作無しすなわちハンドル回転操作停止と判定してステップS37に進む。しかし、ハンドル回転速度が「0」でないとき、ハンドル回転操作有りと判定してステップS31に戻り、ステップS31からS34までのルーチンを実行する。
ステップS36では、駆動制御部13Gでハンドル回転操作無しのときの偏差|ΔθD|が許容ズレ角δ1,δ2を超えているか否かを判定する。偏差|ΔθD|が許容ズレ角δ1,δ2を超えている場合、ステップS37に進む。
ステップS37では、駆動制御部13Gで駆動パルス信号PSのオン・オフ時間を補正する。すなわち、偏差(+ΔθD)が許容ズレ角δ1を超えているとき、駆動パルス信号PSのオン時間を長くするように補正する(図11(A)参照)し、偏差(−ΔθD)が許容ズレ角δ2を超えているとき、駆動パルス信号PSのオフ時間を長くするように補正する(図11(B)参照)。この場合も、上記のステップS34と同様に、ハンドル操作方向検出部13Hでハンドル角検出範囲外周部13Cのハンドル角検出データθHDpに基づきハンドル操作方向(CW又はCCW)を検出し、該各ハンドル操作方向に応じて駆動パルス信号PSの出力時間を変えている。駆動パルス信号PSのオン時間を長くするように補正することにより、ハンドルの回転操作が開始されたとき、シリンダ2に供給すべき補正油量を増やすことができ、該偏差に適合したハンドル角のずれ補正を適切に行えるようになる。また、駆動パルス信号PSのオフ時間を長くするように補正することにより、ハンドルの回転操作が開始されたとき、シリンダ2に供給すべき補正油量を減らすことができ、該偏差に適合したハンドル角のずれ補正を適切に行えるようになる。上記の補正すべきオン・オフ時間は、例えば、任意の偏差−オン・オフ時間変換テーブルを用いるか若しくは任意の演算処理を行うことで求めることができる。
【0030】
本実施の形態では、タイヤ角センサ3で左操舵輪T1のタイヤ角を検出しているが、油圧シリンダ2のピストン位置を本出願人の出願に係る特開平11−132205号公報に示すシリンダ位置検出装置などを用いて検出し、この検出値を操舵輪のタイヤ角とみなして用いてよい。また、ハンドル角センサ12として、ハンドルHの回転回数に対応してハンドル角検出データをリニアに検出できる多回転ハンドル角センサを用いることができる。この場合、電源投入時におけるハンドル回転回数のプリセット処理及びハンドル角検出範囲学習部13でのハンドル回転回数の算出処理を不要にすることができるので、ハンドル回転範囲の学習処理を簡素化できる。
【0031】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係るパワーステアリング装置用制御ユニットでは、主作動油供給装置とハンドル角検出器と制御回路装置とを1つのユニットとして取り扱うことができるので、取り扱い性の向上を図れる、という優れた効果を奏する。
本発明に係るハンドル角補正システムでは、ハンドルの回転範囲や操舵輪の操舵範囲の異なる車両に適用でき、かつハンドルの回転位置に応じたハンドル角と操舵輪のタイヤ角との対応関係のずれを補正することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るパワーステアリング装置用制御ユニットを備えるパワーステアリング装置の一例を示す概略構成図。
【図2】 パワーステアリング装置用制御ユニットの外観形態の一例を示すものであって、(A)は図1に示すハンドル側から見た制御ユニットの平面図、(B)は(A)に示す制御ユニットの一部切欠き正面図。
【図3】 制御ユニット及びこれに関連する油圧回路の一例を示すものであって、ハンドル角のずれ補正が行われないときの状態を示す油圧回路図。
【図4】 図3に示す油圧回路においてハンドル角のずれ補正が行われるときの状態を示す油圧回路図。
【図5】 ハンドル角検出センサの一例を示すものであって、(A)はハンドル軸に取り付けられたハンドル角検出器の径方向断面図、(B)はハンドル角検出器の検出コイルに関連する電気・電子回路の一例を示すブロック図。
【図6】 コントローラの回路構成の一例を示す機能ブロック図。
【図7】 (A)はハンドル角検出範囲学習部で得るハンドル角検出データの一例を示す模式図、(B)はタイヤ角検出範囲学習部で得るタイヤ角検出データと、該タイヤ角検出データをゲイン補正して得るゲイン補正タイヤ角データとの一例を示す模式図。
【図8】 (A)はハンドル角検出範囲学習部で実行する学習処理の一例を示すフロー図、(B)はタイヤ角検出範囲学習部で実行する学習処理の一例を示すフロー図。
【図9】 タイヤ角検出範囲学習部で実行するゲイン補正処理の一例を示すフロー図。
【図10】 駆動制御部で実行するハンドル角補正処理の一例を示すフロー図。
【図11】 駆動パルス信号のオン・オフ時間を補正する一例を示す図。
【符号の説明】
1 制御ユニット
2 油圧シリンダ
3 タイヤ角検出センサ
11 オービットロール
11B ハンドル軸取付け部
11C ハンドル軸挿入孔
12 ハンドル角検出センサ
13 コントローラ
13C ハンドル角検出範囲学習部
13D タイヤ角検出範囲学習部
13E 演算部
13F コンパレータ部
13G 駆動制御部
13H ハンドル操作方向検出部
13I ハンドル操作検出部
14 ソレノイドバルブ
H ハンドル
Hs ハンドル軸
T1,T2 操舵輪
θHD ハンドル角検出データ
θTDR,θTDL タイヤ角検出データ
θTDg ゲイン補正タイヤ角データ
PC 駆動パルス信号
Claims (2)
- ハンドルの回転に応じて操舵輪を操舵する油圧シリンダと、前記操舵輪のタイヤ角を検出するタイヤ角センサとを具備するパワーステアリング装置において用いられるパワーステアリング装置用制御ユニットであって、
前記ハンドルの回転軸に着脱式に結合して該ハンドルの回転操作量に応じた油量を前記油圧シリンダに供給する主作動油供給装置と、
前記油圧シリンダの駆動を補正するための補正油を制御信号に応じて供給する補正油供給装置と
を具備し、さらに、
前記ハンドルの回転位置に応じたハンドル角を検出するために、前記主作動油供給装置に結合されるハンドル回転軸の周囲に配置されるハンドル角検出器と、
前記ハンドル角検出器で検出したハンドル角と前記タイヤ角センサで検出したタイヤ角とに基づき、該ハンドル角と該タイヤ角との対応関係のずれを補正する制御信号を生成し、該制御信号に応じて前記補正油供給装置による前記補正油の供給を制御する制御回路装置と
を前記主作動油供給装置のハウンジングに取り付け、該ハンドル角検出器及び制御回路装置を前記主作動油供給装置に一体化させてなり、
前記ハンドル角検出器は、前記主作動油供給装置におけるハンドル回転軸取付け用のハンドル軸挿入孔の周囲に配置され、前記制御回路装置は、前記ハンドル角検出器に近接して配置されており、
前記制御回路装置の回路基板が前記ハンドル角検出器の配置に対応する箇所まで延び、該ハンドル角検出器が前記制御回路装置の回路基板上に配置されており、該ハンドル角検出器と制御回路装置が一体化されていることを特徴とするパワーステアリング装置用制御ユニット。 - 前記制御回路装置が、
前記操舵輪のタイヤ角検出信号に基づき、該操舵輪の全操舵範囲を規定する最大値と最小値を記憶し更新する手段と、
前記ハンドルの回転位置に応じたハンドル角検出信号に基づき、前記操舵輪の全操舵範囲に対応する該ハンドルの回転範囲を規定する最大値と最小値を記憶し更新する手段と、
前記記憶し更新した最大値及び最小値により規定される前記操舵輪の全操舵範囲とこれに対応する前記ハンドルの回転範囲とに基づき前記操舵輪の右操舵方向に関する第1の修正データと左操舵方向に関する第2の修正データとをそれぞれ求める手段と、
前記操舵輪の現在の操舵方向に応じた前記第1又は第2の修正データで現在のタイヤ角検出信号とハンドル角検出信号の少なくとも一方を修正し、該タイヤ角検出信号とハンドル角検出信号との偏差に応じて、前記制御信号を発生する手段と
を含む請求項1に記載のパワーステアリング装置用制御ユニット。
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