JP4154474B2 - アクチュエータ素子の製造方法 - Google Patents

アクチュエータ素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、アクチュエータ素子の製造方法に関し、より詳細にはイオン交換樹脂成形品を湾曲および変形させるアクチュエータ素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療機器や産業用ロボット、マイクロマシンなどの分野において小型でかつ軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっている。
【0003】
このようにアクチュエータを小型化すると慣性力よりも摩擦や粘性力が支配的となるため、モータやエンジンのような慣性力を利用してエネルギーを運動に変える機構は、超小型アクチュエータの動力として用いることは困難であった。このため、超小型アクチュエータの作動原理としては、静電引力型、圧電型、超音波式、形状記憶合金式、高分子伸縮式などが提案されている。
【0004】
静電引力型アクチュエータは、電極となる板、棒などを対極に引きつけることによって作動するもので、たとえば数十μm離れた対極との間に100V程度の電圧をかけて電極をたわませるものなどが知られている。圧電型アクチュエータは、チタン酸バリウムなどのセラミックの圧電素子に数Vの電圧をかけて素子を伸縮させることによって作動するもので、nm単位の変位を制御できるものが知られている。超音波式アクチュエータは、圧電素子などで発生させた超音波振動と摩擦力との組合せたり、またはずれを生じさせて作動するものである。形状記憶合金式アクチュエータは、形状記憶合金が温度によって形状が大きく変化することを利用して、温度変化によって作動するものである。高分子伸縮式アクチュエータは、高分子が温度あるいはpHの変化や周囲の化学物質の濃度変化によって伸縮することを利用して作動するものである。
【0005】
しかしながら、これらの超小型アクチュエータには、それぞれ作動環境に制限があったり、応答性が不充分であったり、構造が複雑であったり、また柔軟性が欠如しているなどの問題点があった。たとえば、高分子伸縮式アクチュエータを作動させるには、高分子が接触している溶液を他の塩類を含む溶液に交換する必要があり、このため小型で速い応答を必要とする用途には利用困難であった。
【0006】
これに対し、小型化が容易であり、かつ応答性が早く、小電力で作動するアクチュエータ素子として、イオン交換膜とこのイオン交換膜の表面で接合した電極とからなり、イオン交換膜の含水状態においてイオン交換膜に電位差をかけてイオン交換膜に湾曲および変形を生じさせるアクチュエータ素子が提案されている(特開平4-275078号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このアクチュエータ素子は、イオン交換樹脂膜とその表面に相互に絶縁状態で接合した金属電極とからなり、該イオン交換樹脂膜の含水状態において、金属電極間に電位差をかけてイオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせることを特徴としている。
【0008】
このようなアクチュエータ素子では、イオン交換樹脂成形品表面に化学めっき、電気めっき、真空蒸着、スパッタリング、塗布、圧着、溶着などの方法によって電極が形成されている。
【0009】
たとえば、化学めっきでは、イオン交換膜表面をエッチングしたのち、めっき触媒を担持し、めっき浴に浸漬することによってイオン交換膜表面にめっきを行い電極を形成している。
【0010】
しかしながら、上記のような方法で電極が形成されたアクチュエータ素子は、変位量が充分とはいえなかった。このため、さらに大きな変位量を発生することが可能であり、しかも、応答が早いアクチュエータ素子の出現が望まれていた。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、変位量および変位力が大きく、構造が簡単で、小型化が容易であり、かつ応答が早く、柔軟であるようなアクチュエータ素子の製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、
イオン交換樹脂成形品と、該イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とからなり、イオン交換樹脂成形品の含水状態において、前記金属電極間に電位差をかけてイオン交換樹脂成形品を湾曲および変形を生じさせるアクチュエータ素子を製造するに際して、
(i)イオン交換樹脂成形品に、金属錯体を水溶液中で吸着させたのち、
(ii)イオン交換樹脂成形品に吸着した金属錯体を、還元して、前記イオン交換樹脂成形品表面に金属を析出させて、金属電極を形成することを特徴としている。このような構成で金属電極を形成することによって、構造が簡単で、小型化が容易であり、応答が早く、大きな変位量を発生することが可能なアクチュエータ素子を得ることができる。
【0013】
また、上記金属錯体としては、金または白金の錯体を用いることが好ましく、金属錯体として、金または白金の錯体を用いると変位量の大きなアクチュエータ素子を作製することができる。
【0014】
さらにまた、本発明では、金属電極を形成した後、イオン交換樹脂成形品の対イオンを、Li+,Na+およびCu2+から選ばれる1種以上の陽イオンに交換されていることが好ましく、このような陽イオンに交換されていると、得られるアクチュエータ素子の変位量をさらに大きくすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明に係る製造方法で得られるアクチュエータ素子の最適な実施例を示す概略断面図である。この実施例においてアクチュエータ素子1は、細長い矩形平板状のイオン交換樹脂成形品2と、該イオン交換樹脂成形品2の表面に相互に絶縁状態で形成された電極3a,3bとからなり、イオン交換樹脂成形品2の含水状態において、前記電極間に電位差をかけてイオン交換樹脂成形品を湾曲および変形させるようになっている。
【0016】
この電極3a,3bには、一対のリード線4a,4bの一端がそれぞれ電気的に接続されているとともに、この各リード線4a,4bは、電源5に接続されている。
【0017】
イオン交換樹脂成形品2として、上記矩形平板状に限定されるものでではなく、膜状、円柱状、円筒状のものなどであってもよい。
このようなイオン交換樹脂成形品2を構成するイオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂が挙げられる。このうち、陽イオン交換樹脂が、アクチュエータ素子の変位量を大きくすることができるので好適に使用される。
【0018】
このような陽イオン交換樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものが挙げられ、特に、フッ素樹脂にスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入された陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0019】
また、このような陽イオン交換樹脂は、イオン交換容量が0.8〜2.2meq/g、好ましくは1.4〜1.8meq/gのものが望ましい。このようなイオン交換容量の陽イオン交換樹脂を使用すると、さらにアクチュエータ素子の変位量を大きくすることができる。
【0020】
本発明では、前記イオン交換樹脂成形品に金属錯体を水溶液中で吸着させたのち、イオン交換樹脂成形品に吸着した金属錯体を、還元剤により還元して、前記イオン交換樹脂成形品表面に金属を析出させて、金属電極を形成する。
【0021】
このような金属錯体としては、金錯体、白金錯体、パラジウム錯体、ロジウム錯体、ルテニウム錯体などが使用される。このうち、特に金錯体および白金錯体がアクチュエータ素子の変位量を大きくすることできるので好ましい。
【0022】
これらの金属錯体のイオン交換樹脂成形品への吸着は、イオン交換樹脂成形品を前記金属錯体を含む水溶液に浸漬することによって行われる。
また、このような金属錯体の還元は、還元剤を含む水溶液中に、金属錯体が吸着されたイオン交換樹脂成形品を浸漬することによって行われる。
【0023】
還元剤としては、使用する金属錯体の種類にもよるが、亜硫酸ナトリウム、塩酸ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。また、金属錯体を還元する際に、必要に応じて、酸またはアルカリを添加してもよい。
【0024】
このようにしてイオン交換樹脂成形品に吸着した金属錯体を還元すると、イオン交換樹脂成形品表面に金属が析出して、金属電極が形成される。
本発明では、金属電極を形成する際に、使用するイオン交換樹脂成形品の表面を粗化してもよい。膜表面の粗化処理としては、たとえば、サンドブラスト処理、サンドペーパー処理などが挙げれる。表面の粗化の程度は、表面層が削られている程度であればよい。
【0025】
このような粗化処理を行うことによって、イオン交換樹脂成形品の表面と、後に形成される電極との接触面積が増大し、アクチュエータ素子の変位量を大きくすることができる。
【0026】
また、本発明では、使用するイオン交換樹脂成形品に、以下のような処理を施してもよい。
▲1▼水処理
熱水中で、イオン交換樹脂成形品を煮沸する。
【0027】
▲2▼塩酸処理
25体積%程度の希塩酸中で、イオン交換樹脂成形品を保持する。
▲3▼NaOH処理
0.1N程度の水酸化ナトリウム水溶液中で、イオン交換樹脂成形品を保持する。
【0028】
▲4▼アルコール処理
イオン交換樹脂成形品を、メタノール、エタノールなどのアルコール中に浸漬する。
【0029】
▲5▼オートクレーブ処理
イオン交換樹脂成形品を、オートクレーブ中で、110〜150℃で処理する。
【0030】
イオン交換樹脂成形品に吸着した金属錯体の還元は、金属錯体と還元剤とが接触するイオン交換樹脂成形品の表面から金属の析出が生じ、続いて膜内部の金属錯体が膜表面近傍(析出した金属の方に)に移動して還元されて金属が析出するものと考えられる。また、金属の析出は、イオン交換樹脂成形品表面だけではなく、表面近くの内部にも析出しているため、イオン交換樹脂成形品と金属電極との接触面積は、従来の化学めっき法に比べて大きくなっていると考えられる。このため、本発明で得られたアクチュエータ素子は、従来のアクチュエータ素子に比べて、素子の変位量が大きい。
【0031】
電極形成後のイオン交換樹脂成形品は、通常、純水で洗浄して、析出していない金属錯体および還元剤を除去する。電極間の絶縁は、金属電極が形成されたイオン交換樹脂成形品の端部を切断することによって行うことができる。また、レーザー光または電子線を金属電極が形成されたイオン交換樹脂成形品に照射して金属電極の一部を削って、電極間に絶縁帯を設けることによって、電極間の絶縁を行うことできる。
【0032】
さらに、電極形成後のイオン交換樹脂成形品に、前記▲1▼〜▲5▼のような処理を施してもよい。
さらにまた、形成された電極上に、追加の電極層を設けてもよい。追加の電極層は、化学めっき、電気めっき、真空蒸着、スパッタリング、塗布、圧着、溶着などの方法によって形成することができる。このような追加の電極層は、イオン交換樹脂成形品表面に形成された金属層と同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0033】
さらにまた、電極が形成されたイオン交換樹脂成形品は、対イオンがLi+,Na+,Cu2+、H+ ,Ca2+,Fe3+,Mg2+などに交換されていてもよい。これらのイオンのうち、とくにLi+,Na+またはCu2+に交換されていることが好ましい。このような対イオンの交換は、電極が形成されたイオン交換樹脂成形品をLiOH、NaOHなどの水溶液に浸漬することによって行うことができる。
【0034】
このようにして得られたアクチュエータ素子の作動時には、イオン交換膜が含水状態である必要がある。ここで含水状態とは、アクチュエータが水中であっても、高湿度の大気中であっても作動することを意味する。
【0035】
このようなアクチュエータ素子の作動原理は、イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で電位差がかかると、図2に示すようにイオン交換樹脂成形品中の+イオン4が陰極側に移動し、このイオンに伴われて水分子が膜内で移動するため、陽極側と陰極側とで水分量に差ができると推定される。したがって含水率が高まれば膨潤し、含水率が低下すれば収縮することによって、イオン交換樹脂成形品が湾曲すると考えられる。
【0036】
このようにして得られたアクチュエータ素子は、電極間に0.1〜3Vの直流電圧をかけると、数秒以内に素子長の0.5〜3倍程度の変位を得ることができる。またこのようなアクチュエータ素子は、水中で柔軟に作用することができる。
【0037】
このようなアクチュエータ素子を用いた応用例として、図3に示す誘導体が挙げられる。
この応用例においては、誘導体としてのガイドワイヤ11は、細長いたとえば合成樹脂やステンレス製のチューブからなる線状部材12と、この線状部材12の先端に接合したアクチュエータ素子13とから構成されている。
【0038】
前記アクチュエータ13は、やや細長い矩形平板状のイオン交換樹脂成形品14の両面に、本発明に係る方法で形成された一対の電極を有し、この電極15a,15bに電圧を印加することにより、アクチュエータ素子13が2方向に湾曲するものである。
【0039】
そして、この各電極15a,15bには、一対のリード線16a,16bの一端がそれぞれ電気的に接合されているとともに、この各リード線16a,16bは、線状部材12の内部に位置して該線状部材12の全長にわたって延び、各リード線16a、16bの他端は、操作制御部17に接続されている。
【0040】
この操作制御部17には切換操作可能な操作レバー18が備えられ、この操作レバー18の操作にともなって、前記操作制御部17の内部に内蔵された2極双投スイッチ19を介して、電源20から前記一対のリード線16a、16bに流れる電流の電極が切り替えられるようになっている。
【0041】
すなわち、図4において、2極双投スイッチ19が実線で示す位置にある時には、一方のリード線16aが+の電極に、他方のリード線16bが−の電極にそれぞれ接続され、2極双投スイッチ19が操作制御部17の操作レバー18の操作に伴って、中立位置から二点鎖線で示すように切り替えられると、今度は逆に、一方のリード線16aが−の電極に、他方のリード線16bに+の電極にそれぞれ接続されるようになっている。
【0042】
このようにして、陽極および陰極を操作することにより、アクチュエータ素子1を任意かつ積極的に変形させることができる。
また、本発明に係る製造方法によれば、図5に示されるような円筒状のアクチュエータ素子40を作製することもできる。
【0043】
このような円筒状のアクチュエータ素子40では、まず、円筒状イオン交換樹脂成形品41に、前述したような方法で金属錯体を吸着させ、還元剤により該金属錯体を還元して、前記イオン交換樹脂成形品41表面に金属を析出させて、金属層を形成する。
【0044】
次に、金属層がその外表面に形成された円筒状イオン交換樹脂成形品41の表面に、レーザー加工装置からレーザー光を照射することによって、照射部分の金属層を除去して、溝形状の絶縁帯42および複数の相互に電気的に絶縁された金属電極43a,43b,43c,43dを形成する。
【0045】
図5に示すアクチュエータ素子は、この各金属電極43a、43b、43c、43dに、リード線44a、44b、44c、44dの一端をそれぞれ電気的に接続し、イオン交換樹脂成形品41を挟んで互いに対向する電極43aと43c、43bと43dに電圧を印加することにより、4方向に湾曲することができ、しかもこの湾曲の方向を組み合わせることより、回転できる。このような金属電極はイオン交換樹脂成形品の内周面に設けられていてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明は上記のような構成であるので、構造が簡単で、小型化が容易であり、応答が早く、変位量が大きく、小電力で作動することが可能なアクチュエータ素子を得ることができる。
【0047】
したがって、本発明に係るアクチュエータ素子をマイクロデバイスの案内部材本体の先端部に接合すると、操作制御部による操作によって、任意かつ積極的に湾曲(変形)させることができるので、案内部材本体の先端部に接続した、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラなどのマイクロサージェリーの医療器具、各種センサー、工具などのマイクロデバイスの誘導性能を向上することができ、これによって、目的部位へ任意の方向に向けることができ、その操作が熟練を要することなく、迅速かつ容易に行うことができる。
【0048】
従って、このようなマイクロデバイスおよびそれを備えたマイクロマシンを、例えば、眼球手術、腹腔鏡下手術、微少血管縫合手術などのマイクロサージェリー技術においてピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具に適用すれば、検査や治療時における患者に与える苦痛を極力和らげ、患者に対する肉体的、精神的負担を低減することができる。
【0049】
また、このようなマイクロデバイスおよびそれを備えたマイクロマシンを、発電設備等のプラント、航空機エンジン等の機械システムの配管系統やエンジン内部等の検査、補修等を行う各種センサーや、補修用工具などに適用すれば、補修作業に手間や時間を要せず、確実に行うことが可能となる。
【0050】
また、本発明に係るアクチュエータ素子は、上記以外に、高周波振動によるマイクロポンプ、リハビリ用補助動力マッサージ器などの健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚および海草などの水中モービル、動く釣り餌および推進ヒレなどのホビー用品などにも好適に使用することができる。
【0051】
本発明によれば、アクチュエータ素子を得ることができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0053】
【実施例1】
厚さ0.2mmのフッ素樹脂系イオン交換樹脂成形品(デュポン社製;Nafion 117、イオン交換容量0.9meq/g)を、♯800番のアルミナ粒子を用いてサンドブラストし、成形品表面の粗化を行った。表面粗化後のイオン交換樹脂成形品は、超音波洗浄によってサンドブラスト粒子およびその他の汚れを除去したのち、25体積%の塩酸水溶液中で30分間煮沸し、さらに純水中で、30分間煮沸して塩酸を除去した。
【0054】
上記煮沸処理後のイオン交換樹脂成形品を白金・アミン錯体水溶液に6時間浸漬し、成形品内に白金・アミン錯体を吸着させた。その後、40〜65℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液に5時間浸漬して、白金・アミン錯体を還元して、イオン交換樹脂成形品表面に白金を析出させた。
【0055】
表面に白金が析出したイオン交換樹脂成形品をさらに白金・アミン錯体水溶液に浸漬し、塩酸ヒドロキシルアミン水溶液とヒドラジン水溶液とを添加して40〜60℃で5時間、白金・アミン錯体を還元して、イオン交換樹脂成形品表面の白金の成長めっきを行い、電極を形成した。
【0056】
電極形成後、上記イオン交換樹脂成形品を25体積%の塩酸水溶液中で30分間煮沸した後、さらに純水中で、30分間煮沸して塩酸を除去した。
さらに上記イオン交換樹脂成形品を1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片に切り出し、アクチュエータ素子を作製した。
【0057】
得られたアクチュエータ素子に、2Vの電圧を印加したときの先端部位の曲げ変位量をレーザー変位計を用いて測定した。なお、曲げ変位量は、素子長10mmに対する変位量で評価した。
【0058】
結果を表1に示す。
【0059】
【実施例2】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに1M NaOH水溶液を用いて、対イオンをNa+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0060】
結果を表1に示す。
【0061】
【実施例3】
実施例1において、イオン交換樹脂成形品として、イオン交換容量1.4meq/gのものを使用し、かつ1M LiOH水溶液の代わりに1M NaOH水溶液を用いて、対イオンをNa+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0062】
結果を表1に示す。
【0063】
【実施例4】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに1M CuSO4水溶液を用いて、対イオンをCu2+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0064】
結果を表1に示す。
【0065】
【実施例5】
実施例1において、粗化後のイオン交換樹脂成形品を25体積%の塩酸水溶液中で30分間煮沸した後、さらに純水中で、30分間煮沸して塩酸を除去した。
【0066】
イオン交換樹脂成形品を、金錯体(ジクロロフェナントロリン金塩化物)水溶液中に浸漬し、成形品内に金錯体を吸着させた。金錯体を吸着したイオン交換樹脂成形品を亜硫酸ナトリウム水溶液に浸漬させ、40〜80℃で5時間、金錯体を還元して、イオン交換樹脂成形品表面に金を析出させて電極を形成した。
【0067】
電極を形成したイオン交換樹脂成形品を1N硫酸中で30分間浸漬した後、さらに純水中に浸漬して硫酸を除去した。
さらに上記イオン交換樹脂成形品を1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片を切り出し、電極と接続して、アクチュエータ素子を作製した。
【0068】
得られたアクチュエータ素子について、実施例1と同様に曲げ変位量を評価した。
結果を表1に示す。
【0069】
【比較例1】
実施例1で使用したイオン交換樹脂成形品表面に化学めっきを施して、白金電極を形成した。
【0070】
電極が形成されたイオン交換樹脂成形品を、実施例1と同様に1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片を切り出し、電極と接続して、アクチュエータ素子を作製した。
【0071】
得られたアクチュエータ素子について、実施例1と同様に曲げ変位量を評価した。
結果を表1に示す。
【0072】
【比較例2】
実施例1で使用したイオン交換樹脂成形品表面に、白金の真空蒸着を行い白金電極を形成した。
【0073】
電極が形成されたイオン交換樹脂成形品を、実施例1と同様に1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片を切り出し、電極と接続して、アクチュエータ素子を作製した。
【0074】
得られたアクチュエータ素子について、実施例1と同様に曲げ変位量を評価した。
結果を表1に示す。
【0075】
【比較例3】
実施例1で使用したイオン交換樹脂成形品表面にスパッター法で白金電極を形成した。
【0076】
電極が形成されたイオン交換樹脂成形品を、実施例1と同様に1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片を切り出し、電極と接続して、アクチュエータ素子を作製した。
【0077】
得られたアクチュエータ素子について、実施例1と同様に曲げ変位量を評価した。
結果を表1に示す。
【0078】
【比較例4】
実施例1で使用したイオン交換樹脂成形品表面に白金微粒子を含む導電性インクを塗布して白金電極を形成した。
【0079】
電極が形成されたイオン交換樹脂成形品を、実施例1と同様に1M LiOH水溶液中に6時間浸漬し、対イオンをLi+に交換したのち、1mm幅の短冊片を切り出し、電極と接続して、アクチュエータ素子を作製した。
【0080】
得られたアクチュエータ素子について、実施例1と同様に曲げ変位量を評価した。
結果を表1に示す。
【0081】
【実施例6】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに、1M HCl水溶液を用いて、対イオンをH+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0082】
結果を表1に示す。
【0083】
【実施例7】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに、1M CaCl2水溶液を用いて、対イオンをCa2+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0084】
結果を表1に示す。
【0085】
【実施例8】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに、1M FeCl3水溶液を用いて、対イオンをFe3+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0086】
結果を表1に示す。
【0087】
【実施例9】
実施例1において、1M LiOH水溶液の代わりに、1M MgCl2水溶液を用いて、対イオンをMg2+に交換した以外は実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0088】
結果を表1に示す。
【0089】
【実施例10】
実施例1において、白金・アミン錯体水溶液にイオン交換樹脂成形品を浸漬される代わりに、ロジウム錯体水溶液にイオン交換樹脂成形品を浸漬して、ロジウム電極を形成した以外は、実施例1と同様にして、アクチュエータ素子を作製し、曲げ変位量を評価した。
【0090】
結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
Figure 0004154474

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法で得られたアクチュエータ素子の電圧無印加状態の概略断面図である。
【図2】本発明に係る製造方法で得られたアクチュエータ素子の電圧印加状態の概要断面図である。
【図3】本発明に係る製造方法で得られたアクチュエータ素子の応用例を示す概要図である。
【図4】図3の要部を拡大して示す模式図である。
【図5】本発明に係る製造方法で得られたさらに別のアクチュエータ素子の実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 アクチュエータ素子
2 イオン交換樹脂成形品
3,3a,3b 電極
4 4a,4b リード線
5 電源

Claims (1)

  1. イオン交換樹脂成形品と、該イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とからなり、該イオン交換樹脂成形品の含水状態において、前記金属電極間に電位差をかけて、イオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせるアクチュエータ素子を製造するに際して、
    (i) フッ素樹脂にスルホン酸基が導入された陽イオン交換樹脂から構成されるイオン交換樹脂成形品に、金錯体または白金錯体を水溶液中で吸着させたのち、
    (ii) イオン交換樹脂成形品に吸着した金錯体または白金錯体を、還元剤により還元して、前記イオン交換樹脂成形品表面に金または白金を析出させて、金属電極を形成し
    (iii) 金属電極を形成した後、イオン交換樹脂成形品の対イオンを、L i + , a + およびC u 2+ から選ばれる1種以上の陽イオンに交換することを特徴とするアクチュエータ素子の製造方法。
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