JP4153450B2 - 増圧式燃料噴射装置の補正方法 - Google Patents

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本発明は、燃料噴射装置の補正方法に関し、詳細にはコモンレールから供給された燃料を昇圧して燃料噴射弁から噴射する増圧手段を備えた増圧式燃料噴射装置の補正方法に関する。
燃料ポンプから供給された高圧の燃料をコモンレール(蓄圧室)に貯留し、この燃料を内燃機関の各気筒に設けた気筒内燃料噴射弁に供給し、気筒燃焼室に直接噴射する、いわゆるコモンレール式燃料噴射装置が一般に知られている。
コモンレール式燃料噴射装置では、コモンレール圧力を任意の圧力に制御することが可能なため、燃料噴射弁からの噴射圧力を機関運転状態に応じて適切な値に制御し機関運転状態にかかわらず気筒内燃焼状態を良好に維持することが可能となる。
具体的には、コモンレール式燃料噴射装置では機関回転数と負荷とにかかわらず燃料噴射圧力を高く維持することができるため、近年ではノズル噴孔の小径化やEGRの導入と併用することで、低エミッションと高出力とを両立させることが可能となっている。
一方、ディーゼルエンジンの過給が一般に行われるようになった結果、過給とともに噴射量の増大による更なるディーゼルエンジンの高出力化が要求されるようになり、燃料噴射圧力を更に増大する必要が生じている。
ところが、コモンレール式燃料噴射装置においては、コモンレール燃料圧力は既に限界近くまで高圧(例えば、180MPa程度)に設定されており、これ以上コモンレール燃料圧力を増大させるためには、燃料ポンプ、コモンレール、デリバリ配管などの全ての燃料噴射系要素の設計圧力を増大させる必要がある。しかし、現実にはコスト増大や信頼性の低下等の問題を考慮した場合、全ての燃料噴射要素の設計圧力を増大させることは実際的でない。
そこで、この問題を解決するためにコモンレール内燃料圧力は従来と同程度もしくは従来より低い圧力に設定し、コモンレールから燃料噴射弁に供給される燃料をできるだけ燃料噴射弁の噴孔に近い部分で更に昇圧する増圧装置を使用する、増圧式CR(コモンレール)燃料噴射装置が提案されている。
増圧式CR燃料噴射装置では、コモンレールから燃料噴射弁に供給される燃料をさらに昇圧する増圧装置を用いたことにより燃料ポンプ、コモンレールなどの要素の設計圧力は従来と同程度(若しくはそれより低い圧力)に設定しながら、増圧装置から燃料噴射弁に至る部分のみ設計圧力を高く設定するだけで、燃料噴射弁の実際の燃料噴射圧力を更に高圧(例えば、250MPa程度)に設定することが可能となるため、コストの大幅な上昇を抑制しつつ燃料噴射圧力を増大することが可能となっている。
この種の増圧装置を用いた増圧式CR燃料噴射装置の例としては、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1の増圧式CR燃料噴射装置では、増圧装置としてコモンレールと燃料噴射弁噴射孔との間に配置された増圧ピストンを有する増圧ユニットが使用されている。増圧ピストンは大径の受圧ピストンと小径の加圧ピストンとを連結した構成とされ、受圧ピストンと加圧ピストンとの面積比に応じて燃料を加圧するものである。すなわち、増圧ピストンでは、大径の受圧ピストン側にコモンレール内の燃料圧力を作用させることにより小径の加圧ピストンで加圧室内にコモンレールから供給される燃料を加圧し、燃料噴射弁に供給する燃料圧力を大径ピストンと小径ピストンとの面積比により定まるコモンレール燃料圧力より高い圧力まで昇圧することが可能となっている。
特表2002−539372号公報 特許第2526620号公報
特許文献1の増圧式CR燃料噴射装置では、それぞれの燃料噴射弁毎に増圧装置を設けることにより大幅なコスト上昇を招くことなく燃料噴射圧力を増大させている。
ところが、特許文献1のような増圧式CR燃料噴射装置では、種々の要因による燃料噴射弁からの燃料噴射特性の変化が通常のコモンレール燃料噴射装置より大きく現れる場合がある。
例えば、増圧式CR燃料噴射装置では燃料噴射弁からの燃料噴射率や燃料噴射量などの燃料噴射特性は、増圧ユニットの増圧特性や燃料噴射弁の特性などにより大きく変化するが、増圧ユニットや燃料噴射弁には必ず製作公差に基づく初期特性ばらつきが存在する。
また、増圧ユニットや燃料噴射弁等は使用とともに摩耗や摺動部の摩擦変化などにより作動特性の変化が生じる。
このため、特許文献1のような増圧式燃料噴射装置を多気筒内燃機関に適用すると、各気筒毎の増圧ユニットや燃料噴射弁の初期特性ばらつきや使用に伴う特性変化のため、各気筒で燃料噴射率や燃料噴射量にばらつきが生じる問題がある。
ところが、多気筒内燃機関では各気筒で燃料噴射率や燃料噴射量にばらつきが生じると、各気筒の発生トルクのばらつきのために機関出力の変動や燃焼騒音、振動等が発生する問題がある。このため、各気筒に供給する燃料量はできるだけばらつきをなくし同一にする必要がある。
一方、増圧式CR燃料噴射装置では燃料噴射量は燃料噴射弁の噴射特性のみならず増圧装置の特性によっても大きく変化する。このため、増圧式CR燃料噴射装置を多気筒内燃機関に使用する場合には、各燃料噴射弁の噴射特性と各増圧装置の増圧特性との両方のばらつきを同時になくすことが必要となり、燃料噴射弁のみのばらつきを抑制する場合に較べるた場合調整が極めて困難となる。
また、仮に各気筒の燃料噴射弁と増圧装置の初期特性ばらつきを規定値内に納めることが可能であったとしても、燃料噴射弁、増圧装置はそれぞれ使用による摩耗や劣化のため使用とともに特性が変化して行く。更に、増圧式CR燃料噴射装置では通常のコモンレール式燃料噴射装置より更に高圧まで燃料を昇圧するため、例えば燃料温度の変化などにより燃料自体の物性値(特に体積弾性率)が変化すると燃料噴射率や燃料噴射量などの特性もそれに伴って大きく変化する。
このため、各気筒での燃料噴射率や燃料噴射量などの燃料噴射特性を標準の値に近づけて各気筒での燃料噴射特性のばらつきを無くすためには、増圧装置と燃料噴射弁とのそれぞれについて初期特性ばらつきや使用による特性変化を補正するだけでなく、燃料の物性値の変化に対する補正をも行う必要がある。
ところが、増圧式CR燃料噴射装置では各気筒の燃料噴射特性は燃料噴射弁の特性と増圧装置の特性、燃料物性値などの多くの要因に影響されるため、仮にある気筒の燃料噴射特性が標準の特性から大きくずれていたとしても、その特性ずれの原因が燃料噴射弁にあるのか増圧装置にあるのか、或いは燃料自体の物性値変化にあるのかを判別するのは困難である。このため、増圧式燃料噴射装置では各気筒における燃料噴射特性の補正が困難であり、各気筒間の燃料噴射量のばらつきが生じやすい問題があった。
本発明は上記課題に鑑み、燃料噴射弁と増圧装置との初期の特性ばらつき、使用による特性変化や燃料自体の物性値の変化に起因する各気筒の燃料噴射特性のずれを機関稼働中に容易に補正し各気筒における燃料噴射特性を標準状態に近づけることが可能な増圧式燃料噴射装置の補正方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明によれば、所定圧力の燃料を貯蔵し燃料噴射弁に供給するコモンレールと、前記コモンレールから燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を前記所定圧力より高い増圧圧力に昇圧する増圧手段と、前記増圧手段から燃料噴射弁に供給される昇圧された燃料の圧力を検出する燃圧センサと、を備え、必要に応じて前記増圧手段を作動させて燃料噴射弁からの燃料噴射圧力を増大させる増圧式燃料噴射装置の、燃料噴射特性を補正する補正方法であって、前記増圧手段作動時の燃料圧力を前記燃圧センサで検出し、該検出した増圧手段作動時の燃料圧力の変化に基づいて前記燃料噴射特性の異常の有無を判断するとともに異常が生じている場合には異常原因を判別する判別操作を行い、該判別した異常原因に応じて増圧手段または燃料噴射弁の少なくとも一方の作動を調整することにより燃料噴射特性を補正する、増圧式燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち、請求項1の発明では、増圧手段作動時の燃料圧力の変化に基づいて噴射特性の異常の有無を判定し、異常がある場合には異常の原因を判別するとともに、判別した異常原因に応じた燃料噴射特性の補正を行う。
増圧手段作動時の燃料圧力は、増圧手段の増圧特性(増圧手段作動時の燃料圧力上昇開始までの時間遅れ、圧力上昇速度等)と燃料噴射弁の噴射特性(燃料噴射量、噴射タイミング等)、燃料自体の物性値(体積弾性係数)等に影響を受ける。このため、増圧手段作動時の燃料圧力の変化は、これらの影響を反映しており燃料圧力の変化を分析することにより異常の有無、異常の原因を判別することができる。
本発明では、燃圧センサで検出した増圧手段作動時の燃料圧力変化から、それぞれの原因に関係する変化を抽出して異常原因を判断するとともに、異常原因に応じて、増圧装置または燃料噴射弁の作動を調整(例えば増圧手段の作動タイミング、燃料噴射弁の噴射量目標値等を調整)することにより、各燃料噴射弁からの燃料噴射特性が目標値になるように補正を行う。
これにより、機関運転中に容易に、燃料噴射弁と増圧装置との初期の特性ばらつき、使用による特性変化や燃料自体の物性値の変化に起因する燃料噴射特性の変化を補正して基準値に近づけることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、前記判別操作は、前記増圧手段の挙動をモデル化した増圧シミュレーションモデルに基づいて燃料の物性値と、予め定めた燃料噴射量目標値とを用いて、増圧手段作動時の標準燃料増圧特性を算出し、前記燃圧センサで検出した増圧手段作動時の燃料増圧特性実測値と前記シミュレーションモデルに基づいて推定した増圧特性推定値とを比較することにより、前記燃料噴射特性の異常の有無を判断するとともに異常が生じている場合には異常原因を判別する操作を含む、請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち、請求項2の発明では、増圧手段の挙動をモデル化したシミュレーションモデルが予め準備されている。このシミュレーションモデルは、増圧装置の形式、諸元などの標準データに基づいて作成されたモデルであり、燃料の物性値、燃料噴射量目標値などを与えることにより、増圧手段作動時の標準増圧特性(増圧遅れ時間、昇圧速度、増圧期間など)を出力するものである。
判別操作では、上記により求めた標準増圧特性を燃圧センサで計測した実際の増圧特性と比較し、実際の増圧特性が標準の増圧特性から所定以上のずれがあった場合に、現在燃料噴射特性に異常が生じていると判定する。
また、前述したように、増圧手段の増圧特性は種々の要因に応じて変化するため、実際の増圧特性が標準の増圧特性からどのように変化しているかを検出することにより異常が生じた原因を判別することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、前記判別操作時に、前記燃料噴射弁作動時と非作動時との少なくとも一方の場合の増圧特性の推定値及び実測値を用いて異常有無の判断と異常原因の判別とを行う、請求項2に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち、請求項3の発明では燃料噴射弁の作動時と非作動時の増圧装置作動の際の増圧特性の少なくとも一方について推定値と実測値を用いて判別操作を行う。燃料噴射弁非作動時の増圧特性からは燃料噴射の影響を排除した増圧特性(例えば増圧装置、燃料の物性値)の異常の有無を知ることができる。また、燃料噴射弁作動時の増圧特性からは燃料噴射の影響をも含んだ増圧特性の異常の有無を知ることができる。
このため、上記一方若しくは両方の場合の増圧特性に基づくことにより、異常の要因を分離して判断することができ、異常の原因の特定が容易になる。
請求項4に記載の発明によれば、前記増圧特性は、増圧手段作動開始から燃料の昇圧が開始されるまでの増圧遅れ時間、燃料昇圧開始から燃料圧力が前記増圧圧力に到達するまでの増圧時間及び昇圧開始後の昇圧速度を含み、前記判別される異常原因は増圧手段の特性変化、燃料噴射弁の特性変化及び燃料物性値の変化とを含む請求項2または3に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち、請求項4の発明では判別操作に用いる増圧特性として、増圧遅れ時間、増圧時間および昇圧速度が用いられる。
例えば増圧手段に劣化が生じると増圧遅れ時間や昇圧速度が変化する。
また、燃料の体積弾性率などの物性値が基準となる値から変化すると昇圧速度が変化する。
また、燃料噴射率が変化すると燃料噴射実施時の昇圧速度が変化する。
このため、増圧遅れ時間、増圧時間および昇圧速度に基づいて判別を行うことにより、異常の原因が増圧装置の特性変化、燃料噴射弁の特性変化、燃料物性値の変化のいずれにあるのかを判別することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、前記増圧手段は、更に増圧手段作動時の燃料昇圧開始後の昇圧速度を制御する昇圧速度制御手段を備え、前記判別操作時に、前記判別された異常原因が増圧手段の特性変化または燃料物性値の変化である場合には、前記昇圧速度を調整することにより燃料噴射特性を補正する、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち、請求項5の発明では、異常の原因が増圧手段または燃料物性値(体積弾性率)の変化にある場合には、どちらも増圧手段の昇圧速度を調整して基準値に合致させる補正を行う、これにより異常の原因が増圧手段または燃料物性値変化にある場合にも容易に燃料噴射特性を補正することが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、前記判別操作時に、前記判別された異常原因が燃料噴射弁の特性変化である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射開始時期または燃料噴射期間の少なくとも一方を調整することにより燃料噴射特性を補正する、請求項4に記載の燃料噴射装置の補正方法が提供される。
すなわち請求項6の発明では、異常の原因が燃料噴射弁にある場合には、燃料噴射開始時期と燃料噴射期間(燃料噴射弁開弁時間)の少なくとも一方を調整する。燃料噴射弁の燃料噴射開始時期を変更すると、増圧手段と燃料噴射弁との作動タイミング差が変化するため、燃料の昇圧中、異なる圧力で燃料噴射が開始される。これにより、噴射期間全体としての噴射率が変化し、燃料噴射量が変化するようになる。また、燃料噴射開始時期を変化させずに燃料噴射期間を変更することによっても燃料噴射量を変化させることができる。
これにより、本発明では燃料噴射弁に異常がある場合にも容易に燃料噴射特性を補正する事が可能となる。
各請求項に記載の発明によれば、燃料噴射弁と増圧装置との作動特性のばらつきや変化及び燃料自体の物性値の変化に起因する燃料噴射特性のずれを運転中に容易に補正し燃料噴射特性を基準値にに近づけることが可能となる共通の効果を奏する。
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の補正方法を実施する燃料噴射装置を自動車用ディーゼル機関に使用する場合の概略構成を示す図である。
図1において、1は内燃機関(本実施形態では#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒4サイクルディーゼル機関が使用される)、10aから10dは機関1の#1から#4の各気筒内に直接燃料を噴射する増圧ユニット付燃料噴射弁を示す。燃料噴射弁10aから10dは、それぞれ高圧燃料配管11aから11dを介して共通の蓄圧室(コモンレール)3に接続されている。コモンレール3は、高圧燃料噴射ポンプ5から供給される加圧燃料を貯留し、貯留した高圧燃料を高圧燃料配管11aから11dを介して各燃料噴射弁10aから10dに分配する機能を有する。
本実施形態では、高圧燃料噴射ポンプ5は、例えば吐出量調節機構を有するプランジャ形式のポンプとされ、図示しない燃料タンクから供給される燃料を所定の圧力に昇圧しコモンレール3に供給する。ポンプ5からコモンレール3への燃料圧送量は、コモンレール3圧力が目標圧力になるようにECU20によりフィードバック制御される。
図1に20で示すのは、機関の制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のディジタルコンピュータとして構成されている。ECU20は、燃料噴射弁10aから10dの開弁時期、開弁期間及び、後述する増圧ユニット110aから110dの作動タイミング等を制御して燃料噴射弁10からの燃料噴射時期及び噴射量を制御する他、回転数制御などの機関の基本制御を行う。
これらの制御を行なうために、本実施形態ではコモンレール3にはコモンレール内燃料圧力を検出する燃料圧センサ27が設けられている他、機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍にはアクセル開度(運転者のアクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ21が設けられている。
また、図1に25で示すのは機関1のクランク軸の回転位相を検出するクランク角センサである。クランク角センサはクランク軸近傍に配置され、所定クランク回転角毎(例えば15度毎)にクランク角パルスを発生する他、クランク回転角度720度毎に基準パルスを出力する。
ECU20は、クランク角センサ25から入力するクランク回転角パルス信号の周波数から機関回転数を算出し、アクセル開度センサ21から入力するアクセル開度信号と、機関回転数とに基づいて燃料噴射弁10aから10dの燃料噴射時期と燃料噴射量との目標値を算出する。なお、本実施形態では、燃料噴射弁からの燃料噴射時期と燃料噴射量との算出方法は、公知のいずれの方法をも使用することができる。
また、ECU20はクランク角センサ25の基準パルス信号入力後の回転角パルス信号の数からクランク軸の回転位相(現在のクランク回転角)を算出する。
更に、本実施形態では機関1の各気筒には気筒内の圧力を検出する筒内圧センサ23a〜23d(以下の説明では筒内圧センサ23a〜23dを総称して「筒内圧センサ23」として説明する)が設けられており、これらの出力も図示しないA/D変換器を介してECU20の入力ポートに入力されている。後述するように、筒内圧センサ23により検出した機関運転中の各気筒の筒内圧は、クランク角センサ25で検出したクランク回転角とともに、ECU20により各気筒の実際の発熱量を算出するのに用いられる。
また、本実施形態では後述するように、各増圧ユニット付燃料噴射弁10aから10dの燃料噴射圧(増圧ユニット出口圧力)を検出する燃圧センサ26aから26dが設けられており(以下、「燃圧センサ26」と総称する)、これらの出力は図示しないA/D変換器を介してECU20の入力ポートに入力されている。
次に、本実施形態の増圧ユニット付燃料噴射弁10(燃料噴射弁10aから10dは同一の構造であるため、以下の説明では、参照符号10で総称する)の構造について説明する。
図2は、本実施形態における増圧ユニット付燃料噴射弁10の概略構成を説明する図である。
図2において、10は増圧ユニット付燃料噴射弁の全体を示す。図1に示したように、燃料噴射弁10はコモンレール3と高圧配管11で接続されている。図2では説明の便宜上高圧配管11は3つ(11−1、11−2、11−3)に分けて示しているが、実際にはこれらの3つの配管は1本の高圧配管11から分岐させても良い。
図2において、110は増圧ユニット、111は増圧制御弁を示す。
また、113は燃料噴射弁10のノズル部105の噴孔116を開閉するニードル、106はノズル部105内のニードル113の周囲に形成された燃料溜まりを示す。
図2に112で示すのは、後述する噴射制御室103内の油圧を受けてニードル113を図2下方向(閉弁方向)に押圧するコマンドピストン、112aで示すのはコマンドピストンとは独立してニードル113を閉弁方向に押圧するスプリングである。
103はニードル上端に形成された噴射制御室を示す。制御室103にはソレノイドアクチュエータ109aを有する噴射制御弁109が設けられ、ソレノイドアクチュエータ109aを作動させることにより、制御室103内の油圧をオリフィス119を介して図示しないドレーン配管に逃がすようにされている。また、制御室103はオリフィス118を介して増圧油路108に、また逆止弁117を介して高圧配管11−1に、それぞれ接続されている。
また、図2に107で示すのは燃料噴射油路である。燃料噴射油路107はノズル105の燃料溜まり106に接続され、増圧燃料噴射時には増圧ユニット110から増圧された燃料を、また非増圧燃料噴射時にはコモンレール3からの燃料を燃料溜まり106に供給する。
噴射制御弁109閉弁時には噴射制御室103内の燃料圧力は噴射油路107及び燃料溜まり106の圧力とほぼ等しくなっている。この状態では、ニードル113はスプリング112aとコマンドピストン112とに押圧され、ノズル先端のシートに密着して噴孔116を閉鎖している。
一方、アクチュエータ109aが通電され、噴射制御弁109が開弁すると、制御室103内の燃料はオリフィス119を通ってドレーンに流出し、制御室103内の圧力が低下する。
これにより、制御室103内の圧力は噴射油路107、燃料溜まり106の圧力より低くなるためニードル113は燃料溜まり106内の油圧に押動され、スプリング112aとコマンドピストン112との押圧力に抗して上方(開弁方向)に移動する。このため、噴孔116が開放され燃料溜まり106内の燃料油が噴孔116から噴射される。
次に増圧ユニット110について説明する。
増圧ユニット110は大径ピストン部104aと小径ピストン部104bとを有する増圧ピストン104を備えている。大径ピストン部104aの小径ピストン部104b側には増圧制御室114bが、また、大径ピストン部104aの増圧制御室114bと反対の側には、高圧配管11−2を介してコモンレール3に連通する油圧室114aが、それぞれ形成されている。更に、増圧ピストン104の小径ピストン部104b端部には増圧油路108に連通する増圧室114cが形成されている。
図2に111で示すのは増圧制御弁である。増圧制御弁111はソレノイド駆動の切換弁であり増圧制御室114bを高圧配管11−3を介してコモンレール3とドレーン配管111aとに選択的に接続する。
増圧ユニット110の非作動時には増圧制御弁111のソレノイドアクチュエータの通電は停止されており、増圧制御室114bは増圧制御弁111を介して高圧配管11−3に接続されているため増圧制御室114b内にはコモンレール3内の燃料油圧力が作用している。また、増圧ユニット110の油圧室114aには高圧配管11−2を介してコモンレール3の圧力が作用しているため、増圧ピストン104の大径ピストン部104aの両側の圧力は等しくなる。
この状態では、増圧ピストン104は大径ピストン部104aを油圧室114a側に向けて付勢するスプリング115に押されて上方に移動しており、増圧室114c内には配管11−1と逆止弁117を通ってコモンレール3から燃料が流入する。このため、増圧油路108及び燃料噴射油路107内の燃料圧力はコモンレール3圧力と等しくなっている。
すなわち、増圧ユニット110非作動時には燃料噴射弁10の噴射圧力はコモンレール3燃料圧力となる。
一方、増圧制御弁111のソレノイドが通電されると増圧制御室114bは増圧制御弁111を介してドレーン配管111aに接続される。これにより、増圧制御室114b内の燃料が増圧制御弁111からドレーン111aに流出し、増圧制御室114bの圧力は急激に低下する。
このため、増圧ピストン104は大径ピストン部104aに作用する油圧室114a内の油圧に押圧され、増圧室114c内の燃料油は小径ピストン部104bにより加圧される。これにより、増圧室114c内の燃料圧力は油圧室114a内のコモンレール燃料圧力に大径ピストン部104aと小径ピストン部104bとの断面積比を乗じた値にほぼ等しくなる。
すなわち、増圧ユニット110作動時には増圧油路108及び噴射油路107内の圧力、及び噴射制御室103内の圧力はコモンレール内燃料圧に増圧ピストン4の大径ピストンと小径ピストンとの面積比倍の増圧圧力まで増圧される。
本実施形態では、燃料噴射油路107の燃料圧力を検出する燃圧センサ26が設けられている。燃圧センサ26出力は、後述する燃料噴射弁10の異常有無の判定及び異常原因特定のために使用される。
また、本実施形態では増圧制御弁111に接続されたドレーン配管111aには、可変流量オリフィス121からなる昇圧速度制御装置が設けられている。
可変流量オリフィス121は、増圧制御弁111開弁時に増圧制御室114bから増圧制御弁111を通ってドレーン配管111aに流れる燃料流量を変化させることにより、増圧ピストン104の移動速度、すなわち増圧ユニット110作動時の燃料圧力の上昇速度を制御するものである。
ECU20は噴射制御弁109の開閉動作を制御することにより燃料噴射弁10からの燃料噴射開始時期と燃料噴射期間(噴射量)とを制御するとともに、増圧制御弁111の開閉動作を制御することにより、増圧の有無を制御している。また、ECU20は、増圧制御弁111の開弁時期(すなわち、噴射制御弁109の作動タイミング差)を制御することにより、増圧燃料噴射時の燃料噴射特性を制御する。
更に、ECU20は後述するように、可変流量オリフィス121の絞りを制御して増圧制御室114bから流出する燃料流量を変化させることにより、増圧ユニット110作動時の燃料圧力上昇速度を変化させる。
このように、本実施形態の増圧ユニット付燃料噴射弁10では、増圧ユニット110の作動、非作動を切り換えることにより、燃料噴射圧力を低圧(コモンレール3内燃料圧力)から高圧(増圧圧力)に増大させることができる。また、この場合、増圧時に増圧圧力が作用するのは増圧ユニット110の増圧室114cから増圧油路108、燃料噴射油路107とノズル部105、噴射制御室103等の限られた部分である。従って、増圧ユニット110を用いることにより、コモンレール3や燃料ポンプ5等燃料噴射装置の殆どの要素は従来と同等の比較的低い設計圧力を設定することができるため、燃料噴射圧力を大幅に増大させながら装置全体のコストの上昇を抑制することができる。
ところが、燃料噴射弁や増圧ユニットはそれぞれ製作上の公差による各部の寸法ばらつきや、使用に伴う各部の摩耗などが生じており、必ずしも増圧時の特性や噴射時の特性が基準の特性と一致していない。また、使用燃料の体積弾性率などの物性値が基準値と異なると燃料を高圧まで昇圧する際の増圧特性が異なってくる。更に、体積弾性率は燃料温度とともに変化するため、同一の燃料を使用していても燃料温度が異なると体積弾性率が変化してしまう。
このように、増圧ユニット付燃料噴射弁では、増圧ユニットや燃料噴射弁などの各要素の特性のずれや燃料物性値の変化等により燃料噴射特性に基準値からのずれが生じやすい。このため、図1に示したように増圧ユニット付燃料噴射弁を多気筒機関の各気筒毎に設置する場合には、各燃料噴射弁の燃料噴射特性のずれのために気筒毎に燃料噴射量のばらつきが生じる。このような燃料噴射量の気筒毎のばらつきが生じると、機関の出力トルクの変動や振動が増大したり排気エミッションが悪化する問題が生じるのである。
このため、各要素の特性の初期ばらつきや使用によるばらつき等を補正して各気筒の燃料噴射量が同一になるように各燃料噴射弁を調整する必要がある。
後述するように、機関の運転中に各気筒の燃料噴射量を検出或いは推定する方法は従来から知られている。ところが図2に示したような増圧ユニットを有する燃料噴射弁では、燃料噴射特性はノズル105、ニードル113、噴射制御弁109等の要素(以下、「燃料噴射弁要素」と言う)の燃料噴射特性と増圧ユニット110、増圧制御弁111等の要素(以下、「増圧要素」と言う)の増圧特性、更には燃料自体の体積弾性率等の物性値とに影響を受ける。
従って、機関運転中に燃料噴射量を推定し、各気筒の燃料噴射量にばらつきが生じていることが判明したとしても、そのばらつきが燃料噴射弁要素の特性ばらつきによるものか、増圧要素の特性ばらつきによるものか、或いは燃料物性値の変化によるものかを判別することは困難である。このため、従来機関運転中に各要素の補正を行って、各気筒の燃料噴射量などの燃料噴射特性を基準値に合致させる場合にも、どの要素をどの程度補正すれば良いのかを決定することができず、各気筒の燃料噴射量を均一にすることが困難な問題があった。
本実施形態では、以下に説明する方法で燃料噴射特性の異常(基準値からのずれ)の有無と、異常が生じた場合の異常原因の判別とを行う。
図3は、増圧ユニットの増圧特性を示す図である。
図3縦軸は増圧ユニット110出口(増圧油路108及び燃料噴射油路107)の燃料圧力を、横軸は増圧制御弁111に増圧指令信号を発してからの経過時間(増圧制御弁作動開始後の経過時間)を示しており、図3は、増圧ユニットによる燃料の増圧のみを行っており燃料噴射を行っていない場合について示している。
図3に示すように、増圧時の燃料圧力は増圧制御弁作動開始後、増圧制御弁111と増圧ピストン104との作動遅れによる増圧遅れ時間TDの間はコモンレール圧力PCのまま変化せず、上記遅れ時間経過後略直線的に増大(図3にPSで示す増圧スロープ部)し、増圧圧力PEに到達後は一定となる。増圧圧力PEはコモンレール圧力PCに増圧ピストンの大径ピストン部と小径ピストン部との面積比を乗じた値となる。
増圧ユニット付燃料噴射弁10では、増圧制御弁111と噴射制御弁109との作動タイミング差を変えることにより、すなわち図3の増圧ユニットの増圧特性曲線のどの部分で燃料噴射を行うかにより、燃料噴射時の噴射圧を変えて全体として所望の燃料噴射率を得ることができる。
図4(A)〜(C)は、増圧ユニット付燃料噴射弁10の増圧時における代表的な燃料噴射パターンを説明する図である。
図4(A)は、増圧ユニット作動後、燃料圧力が増圧圧力PEに到達してから燃料噴射を開始する場合を示す。図4(A)にIJで示すのは燃料噴射期間を、点線で示すのは実際の(噴孔における)燃料噴射圧力の変化を、それぞれ示している。
本明細書では、このように燃料圧力が増圧圧力PEに到達してから開始される燃料噴射を「矩形噴射」と称している。
矩形噴射では、増圧スロープPSの傾き(図4(A)、α1)は燃料噴射を行わない場合(図3)と同じになる。なお、ここでα1は、α1=dP/dt、すなわち増圧スロープでの昇圧速度を表す。
図4(B)は、増圧ユニット作動後燃料圧力上昇中に燃料噴射を行う場合、すなわち増圧ユニットの増圧特性曲線の増圧スロープPS(図3)上に燃料噴射期間がある場合を示す。図4(B)においてもIJは燃料噴射期間、点線は燃料噴射圧力の変化を示す。
本明細書では、図4(B)のように、増圧スロープ上で行われる燃料噴射を総称して「デルタ噴射」と呼んでいる。
デルタ噴射では、増圧スロープの途中で燃料噴射が開始されるため、増圧スロープの傾き(昇圧速度)が燃料噴射開始時に、α1からα2に減少する。この傾きの減少幅は燃料噴射量が大きい程大きくなる。
図4(C)は、増圧ユニット作動開始後、昇圧が開始される前に燃料噴射を開始する場合を示す。図4(C)においてもIJは燃料噴射期間、点線は燃料噴射圧力の変化を示している。
本明細書では、図4(C)のように昇圧開始前に、すなわち遅れ時間TD(図4)中に開始される燃料噴射を総称して「ブーツ型噴射」と呼んでいる。
ブーツ型噴射では、増圧スロープの傾きは当初から図4(B)と同様α2となる。
後述するように、増圧スロープPSの傾き(α1)は、増圧ユニットの劣化(摩耗)や増圧制御弁の摩耗や摺動摩擦増大などにより変化するのみならず、燃料の体積弾性係数に応じて変化する。また、燃料噴射が行われると増圧スロープの傾きは燃料噴射量に応じた値だけ小さくなる(α2)。また、増圧遅れ時間(図4、TD)や増圧期間(燃料圧力がコモンレール圧力より高くなっている期間、図4TP)は、例えば増圧制御弁の応答が悪化すると生じる。
このため、燃料噴射実行時、或いは燃料噴射非実行時の増圧特性曲線にはこれらの影響が現れている。すなわち、上記の特性曲線変化要因のいずれかが生じると、増圧特性曲線は標準状態の特性曲線から変化することになる。
本実施形態では、燃料噴射実行時、或いは燃料噴射非実行時の噴射油路107圧力変化を燃圧センサ26で検出し、この検出した圧力変化を、図5で説明するシミュレーションモデルを用いて求めた標準的状態の増圧特性曲線(基準増圧特性曲線)と比較することにより、異常の有無を判断するとともに異常がある場合には異常原因を判別する判別操作を行う。
図5において、図2と同一の参照符号は同一の要素を示している。
図5のモデルを用いた場合、基準増圧特性曲線の増圧スロープ傾きα1(図4(A)、(B))は概略下記(1)式で表すことができる。
α1=(E/V)×(A×X) ……(1)
ここで、Aは増圧ピストン104の小径部104bの面積(すなわち増圧室114cの断面積)(m2)、Xは増圧ピストン104の移動速度(m/秒)、Vは、増圧室114cから増圧油路108、燃料噴射油路107及びノズル105内の油溜まり106を経て噴孔106に至る燃料流路の合計容積(m3)、Eは燃料の体積弾性率(Pa)である。
(1)式において、増圧ピストン小径部面積A及び流路合計容積Vは燃料噴射弁毎に出荷時に実測により求めてある。また、増圧ピストン移動速度Xは可変流量オリフィス121の設定により定まり、ECU20により可変流量オリフィス121の絞りが設定されると、予め実測により求めたオリフィス121の絞りとピストン速度Xとの関係に基づいて求めることができる。
また、燃料の体積弾性率は予め標準的な燃料の体積弾性率を圧力依存性を考慮した基準値(表または計算式)として使用する。
更に、増圧遅れ時間TD及び増圧期間TP(図4)は増圧制御弁111と増圧ピストン104の応答性により定まるが、これらも燃料噴射弁毎に出荷時に実測により求められる。これにより、燃料噴射弁毎に増圧スロープの傾斜α1の基準値を求めることができる。
次に、燃料噴射実行時の増圧スロープの傾斜α2(図4(B)、(C))については、同様に図5のモデルを用いて下記(2)式で表すことができる。
α2=(E/V)×(A×X−Q) …(2)
ここで、E、V、A、Xは1式と同じ、Qは燃料噴射率(m3/秒)を表している。燃料噴射率Qは近似的にQ=燃料噴射量(目標値)/燃料噴射期間として算出しても良い。
これにより、燃料噴射弁が定まれば図3、図4の増圧特性曲線における増圧遅れ時間TD及び増圧期間TPが、また上記式(1)、(2)を用いることにより、増圧スロープPSの傾斜角α1、α2の基準値が、それぞれ算出される。
上記により燃料噴射弁毎の基準特性曲線が定まるが、燃料噴射弁の各要素の劣化等による特性変化や、燃料物性値の上記計算に用いた標準的な値からのずれが生じると、燃圧センサ26で検出した実際の燃圧変化は基準特性曲線とは一致しなくなる。
本実施形態では、燃圧センサ26で実測した燃料圧力変化曲線について増圧遅れ時間TD、増圧期間TP、増圧スロープの傾斜α1、α2を算出し、別途算出した基準特性曲線におけるそれぞれの値とを比較し、実測値のいずれかが基準特性曲線の値から予め定めた値以上ずれている場合には異常が生じていると判断し、異常原因の特定を行う。
前述したように、増圧時の圧力変化は燃料噴射弁の各要素の劣化等による特性変化や燃料の物性値(体積弾性率)の変化の影響を受ける。本実施形態では、上記TD、TP、α1、α2(以下、これらを増圧特性値と言う)の基準特性曲線からのずれの態様に基づいて異常原因を判別している。
図6は、基準特性曲線からの増圧特性値のずれの態様と異常原因との関係を示す対照表である。
図6では、異常原因を燃料油の物性値変化と増圧制御弁、増圧ユニットなどの増圧要素の特性変化及び、ニードル、ノズル噴孔、噴射制御弁などの燃料噴射弁要素の特性変化とに分けて、それぞれの原因により生じる増圧特性値変化の態様を示している。
図6に示すように、燃料物性値変化は増圧特性曲線の増圧スロープ傾きα1、α2の変化となって現れる。また、増圧要素の特性変化や劣化は増圧スロープの傾きα1、α2の変化となって現れる他、ほとんどの場合増圧遅れ時間TD、増圧期間TPの変化を伴うことが判明している。更に、燃料噴射弁要素の特性変化は噴射実行時の増圧スロープの傾きα2の変化となって現れるが、特に噴射制御弁の応答性劣化等が生じると噴射開始時期(図4(C)で増圧スロープの傾斜がα1からα2に変化する部分)の変化となって現れる。
以下、実際の圧力変化から異常が判定された場合に異常原因を判別する方法の一例を説明する。
(1)増圧要素特性変化の判別
増圧要素特性変化の有無は、矩形噴射時またはデルタ噴射時の増圧スロープの傾きα1と、増圧遅れ時間TD、増圧期間TPとを用いて判別することができる。α1は燃料噴射が行われていない状態での増圧スロープ傾きであるため、この状態での増圧特性値変化の原因は増圧要素特性の変化か燃料物性値の変化かのいずれかである。
また、図6に示すように燃料物性値(体積弾性率)が変化した場合(図6、1−a、1−b)、或いは増圧制御弁が劣化した場合(図6、2−aから2−d)は両方とも増圧スロープ傾きα1が変化するものの、増圧要素に劣化などの異常がある場合には増圧スロープ傾きα1は減少することはあっても増加することはない。
従って、傾きα1が増大している場合には増圧要素の特性変化が原因ではないことになる(すなわち、この場合は燃料の体積弾性率の増大が原因となる)。
一方、傾きα1が減少している場合は原因としては増圧制御弁の劣化(図6、2−aから2−d)と燃料物性値変化(体積弾性率の減少)の2通りが考えられる。
しかし、前述したように増圧制御弁劣化の場合には増圧遅れ時間TDと増圧期間TPとが変化する。このため、「増圧スロープ傾きα1が減少し、かつ遅れ時間TDと増圧期間TPが変化している場合」には、増圧要素の特性変化が原因と判断することができる。
(2)燃料物性値変化の判別
上述したように、燃料の体積弾性率が変化すると増圧特性曲線の燃料噴射非実行時の増圧スロープ傾きα1が変化する。また、増圧スロープ傾きα1が増大するのは燃料の体積弾性率が増大した場合のみである。
また、上記に説明したように、増圧スロープ傾きα1が減少するのは、体積弾性率が減少した場合と、増圧要素の特性が変化した場合である。また、この場合遅れ時間TDと増圧期間TPとが変化していなければ、増圧要素の特性は変化していない。
従って、増圧スロープ傾きα1が減少し、かつ遅れ時間TDと増圧期間TPとが変化していない場合には体積弾性率が減少したと判別することができる。
なお、上記に説明した方法では増圧スロープ傾きα1が減少した場合に、その原因が増圧要素特性変化によるものか、燃料体積弾性率の変化によるものなのか判断が困難な場合がある。このため、燃料体積弾性率変化の有無を別の方法を用いて特定するようにしても良い。
燃料体積弾性率変化の有無を判定可能な別の方法としては、例えば燃圧センサ26で検出した燃料噴射時の油路107内の圧力変動に基づく方法がある。
燃料噴射時には、ニードル113の開弁に伴って燃料溜まり106内の燃料が噴孔116から噴射されるため、燃料溜まり106内の燃料圧力はステップ状に低下する。この急激な圧力低下は圧力波となって燃料噴射油路107内を伝播し、油路107の分岐部や逆止弁117と燃料噴射弁ノズル部105と油路107の接続部との間で反射を繰り返して油路107内で往復を繰り返す。
このため、燃圧センサ26の圧力検出部を上記圧力波が通過する毎に燃圧センサ26の検出圧力は変動を繰り返すようになる。
ここで、油路107内での圧力波の進行速度は燃料の体積弾性率に応じて変化するため、燃圧センサ26で検出した燃料の圧力変化(脈動)の周期も燃料の体積弾性率に応じて変化する。従って、燃圧センサ26で検出した燃圧の脈動周期が予め計測しておいた標準の体積弾性率における脈動周期から変化している場合には、燃料物性値(体積弾性率)が変化したと判定することができる。
本実施形態では、上記の方法のいずれか1つまたはそれ以上を用いて燃料物性値の変化の有無を判定する。
(3)燃料噴射弁要素特性変化の判別
燃料噴射弁要素特性変化の判別は、燃料噴射時の増圧スロープの傾きα2と燃料噴射開始時期とを用いて行うことができる。図6、3−aから3−fに示すように燃料噴射弁要素に異常が生じると燃料噴射時の増圧スロープ傾きα2は変化する。
また、上述したと同様に燃料体積弾性率が変化した場合、及び増圧要素の特性が変化した場合にも燃料噴射時の増圧スロープ傾きα2は変化する。
しかし、図6、3−dの燃料噴射開始時期の変化(遅れ)は噴射制御弁の応答性が低下した場合にのみ生じる。このため、燃料噴射開始時期の変化の有無により燃料噴射弁に異常があるか否かを判別できる。
また、予め上記(1)と(2)の方法で燃料体積弾性率の変化の有無、及び増圧要素の特性変化の有無を確認しておくことにより、燃料噴射時の増圧スロープ傾きα2が変化した場合に、この変化が燃料噴射要素の特性変化によるものか否かを判別することができる。
また、増圧スロープ傾きα2は、上述したように体積弾性率の変化や増圧要素の特性変化などの他の要因の影響を受けるため、これらの要因の変化の有無を判定してからでないと傾きα2のみで燃料噴射弁要素の特性変化の有無を判定するのが困難な場合がある。
従って、まず燃料噴射弁要素の特性変化の有無を別の方法で判定するようにしても良い。例えば、増圧噴射時においても矩形噴射(図4(A))時には、燃料噴射圧力は略一定となり増圧要素の特性変化の影響がほとんど現れない。また、増圧ユニットを使用しない低圧噴射(コモンレールからの燃料を増圧せずにそのまま噴射する燃料噴射)では、増圧要素の特性変化があっても全くその影響は現れない。
そこで、他の要因の影響が少ない矩形噴射実施時、或いは低圧噴射実施時に、燃料噴射時の燃料圧力変化(低下幅、変化速度)を基準値と較べることにより燃料噴射弁要素の特性変化の有無を判定しても良い。
また、後述するように筒内圧センサ23の出力を用いたPV法等により、機関の発熱量を算出し、その結果に基づいて燃料噴射弁要素の特性変化の有無を判定するようにすることも可能である。
次に、本実施形態における噴射特性の補正方法について説明する。
本実施形態では、上述のように増圧特性値の基準値からのずれに基づいて異常の有無及び異常の原因を判別し、異常の原因に応じた補正を行う。
以下に、異常の原因毎に行う補正操作について説明する。
(1)増圧要素特性変化及び燃料物性値変化に対する補正。
上述したように、本実施形態では異常原因として増圧要素特性変化と燃料物性値ずれ(変化)とを区別して判別している。しかし、実際にはこれらの異常原因はいずれも燃料噴射非実行時の増圧特性曲線の増圧スロープ部の傾き変化となって現れる。
このため、本実施形態では増圧要素特性変化が生じた場合と燃料物性値ずれが生じた場合には、いずれも増圧ユニットの増圧特性曲線(図3)を変更することにより補正を行う。
すなわち、本実施形態では、増圧要素の特性変化或いは燃料物性値の変化により燃料噴射特性が変化したと判別された場合には、増圧特性値のうち、増圧遅れ時間TD、増圧期間TP及び増圧スロープ傾きα1が、基準値に合致するように補正を行う。
それぞれについて説明すると、増圧遅れ時間TDは、増圧制御弁111の開弁時期を変えることにより、また増圧期間TPは増圧制御弁111の閉弁時期(開弁期間)を変更することにより、それぞれ基準値に近づける。
また、増圧スロープ傾きα1は、昇圧速度制御装置(可変流量オリフィス121)の通過流量を変更することにより増減補正する。
この場合、補正の方法としては遅れ時間TD、増圧期間TP、増圧スロープ傾きα1の基準値との偏差を算出して、増圧制御弁の開弁時期と閉弁時期(開弁期間)及び可変流量オリフィスの設定値との補正量をそれぞれの偏差に基づいて別個に算出しても良いし、或いは、まず遅れ時間TDと増圧期間TPとを補正し、その後再度増圧スロープ傾きα1を実測し基準値との差に基づいて可変流量オリフィスの設定を補正しても良い。
(2)燃料噴射弁要素の特性変化に対する補正。
燃料噴射弁要素の特性変化に対する補正は、噴射制御弁109の開弁時期と開弁期間とを変更することにより補正する。すなわち、噴射制御弁の開弁時期を燃料噴射開始時期が基準値に近づくように補正することにより、燃料噴射開始時期が補正され、開弁期間を補正することにより、燃料噴射量が補正される。
本実施形態では、例えば、本願出願人が特願2003−19013号にて提案している、筒内圧センサ23(図1)で検出した筒内圧変化に基づいて各気筒の燃料噴射量を算出し、算出された燃料噴射量が基準値(目標値)に近づくように燃料噴射期間(開弁期間)を補正する。
以下、特願2003−19013号に提案した方法を簡単に説明する。
図7は、本実施形態で用いる筒内圧変化に基づく各気筒の燃料噴射量算出原理を説明する図である。
図7において、横軸は気筒の圧縮行程から膨張行程にかけてのクランク角(CA)を、縦軸は後述するPV値を、それぞれ示している。横軸にTDCで示すのは圧縮上死点である。
本実施形態におけるPV値は、筒内圧センサ23で検出した各クランク角における燃焼室内圧力Pと、そのクランク角における燃焼室容積V(クランク角の関数として与えられる)との積(PV=P×V)として定義される。
図7の実線は、実際の燃焼時におけるPV値の変化を示している。図7に示すように、PV値は燃焼開始とともに急激に増大し、最大値PVmaxに到達した後急激に低下する。
PV値は圧力と体積との積であるため、気体の状態方程式PV=GRTの関係(G:気体質量、R:ガス定数(J/Kg・°K)、T:温度(°K))より、PV値はそのクランク角における筒内温度に相当する値となる。
従って、PV値の最大値PVmaxは、筒内の燃焼最高温度に相当する値となる。また、実験からPVが最大値PVmaxとなるタイミング(図7、θpvmax)は筒内で噴射された燃料の燃焼が終了した時点(厳密には90パーセントの燃料が燃焼した時点)に対応することが確認されている。このため、θpvmaxは筒内での燃焼終了時を表す指標として用いることができる。
また、図7において点線は、気筒内で燃焼が生じなかった場合のPV値の変化(PVbase)を表している。PVbaseは、ピストンの上下動のみによる筒内の気体の圧縮と膨張とを表すため、上死点に対して対称な曲線となる。
本実施形態では、前述のPV値の最大値PVmaxと、θpvmaxにおけるPVbase値との差をΔPVとして定義している(図7参照)。
θpvmaxにおけるPVbaseの値は、吸気行程終了時における筒内圧と筒内容積とθpvmaxにおける筒内容積とを用いて容易に算出することができる。
ここで、上述したようにPVの値は筒内温度を表している。このため、ΔPVの値は、燃焼時の筒内温度最高値(PVmax)と燃焼が全く生じなかったと仮定した時の筒内温度(PVbase)との差であるので、ΔPVの値は燃焼により筒内に生じたエネルギー(発熱量)に対応し、燃焼室内で燃焼した燃料の量に比例する。
従って、気筒内に噴射された燃料が全部燃焼すると仮定すれば、気筒内への燃料噴射量QはΔPVを用いて
Q=K1×ΔPV
として算出することができる(K1は、PV値と燃料量との換算係数であり、予め実験等により求めておく)。
本実施形態では、各気筒に筒内圧センサを設け、上記のΔPVを算出することにより各気筒の燃料噴射量を算出している。また、前述したようにPV値がピークとなる時期(図7、θpvmax)は燃焼の終了時(正確には、90パーセント終了時)を表している。このため、θpvmaxは燃料噴射開始時期と密接な相関を有する。
本実施形態では、上記により求めたθpvmaxが機関運転状態に応じて定めた基準値になるように燃料噴射開始時期(噴射制御弁109の作動開始時期)を調整するとともに、ΔPVの値から算出した燃料噴射量が基準値に一致するように噴射制御弁の開弁期間を変更することにより、燃料噴射量と燃料噴射時期とを補正する。
図8、図9は、ECU20により行われる、上記に説明した燃料噴射特性変化時の異常原因の判別と原因に応じた補正操作とを具体的に説明するフローチャートである。
図8は、異常の有無と異常原因判別操作を示す。
図8の操作では、まずステップ801で現在増圧噴射実施中か否かを判別する。現在増圧噴射を実施していないとき(すなわち低圧噴射実施中)である場合には、増圧要素の特性変化に影響されない燃料噴射弁要素の判定が可能となるため、ステップ803に進み低圧噴射時の燃料噴射弁要素特性変化の有無を判定する。
この判定は、燃料噴射時の燃圧の低下幅、低下速度を基準値と比較することにより行うことができる。
一方、ステップ801で増圧操作実施中であった場合には次にステップ805に進み、現在矩形噴射(図4(A))を実施中か否かを判定する。前述したように、矩形噴射時は燃料圧力が増圧圧力PEに到達し、ほぼ一定になった状態で行われるため、燃料噴射特性に対する増圧要素特性の影響は現れない。このため増圧時矩形噴射実行中である場合には、ステップ807に進み、増圧噴射時の燃料噴射弁要素特性変化の有無を判定する。
そして、ステップ805で現在矩形噴射が行われていた場合にはステップ807で燃料噴射弁要素の特性変化有無を判定した後、またステップ805で現在矩形噴射が行われていない場合には直接ステップ809の燃料圧力変化検出が行われる。
ステップ809では、各気筒の増圧噴射時の燃料圧力変化を所定の点数燃圧センサ26でサンプリングし、ステップ811ではそれぞれの増圧特性曲線(図4(A)から(C))の特性値α1、α2、TD、TPを算出する。
また、ステップ813では、現在の燃料噴射量設定値及び燃料の体積弾性率基準値を用いて、図5のモデルに基づいて、α1、α2、TD、TPの各特性値の基準値を算出する。
ステップ815では、ステップ813で算出した特性値の基準値とステップ811で算出した実際の特性値とを比較することにより、燃料噴射特性が変化しているか否かが判定される。
そして、ステップ815で特性値が変化していない場合には、異常は生じていないので今回の操作は終了する。
また、ステップ815で特性値が変化している場合には、次にステップ817に進み、前述した方法で特性値が変化したのは燃料噴射弁要素の特性変化によるものか、増圧要素の特性変化または燃料体積弾性率の変化によるものかの原因の判別がなされる。
なお、この操作では、増圧特性値のみでなく、ステップ803または807での燃料噴射弁要素の特性変化の有無、或いは前述した燃料噴射時の燃料圧力脈動の周期に基づく体積弾性率の変化の有無の判定結果を併用する。
そして、上記異常原因の判別後ステップ819では判別した異常原因に応じた補正操作が行われる。
図9は、図8ステップ819で行われる補正操作の詳細を説明するフローチャートである。
本操作では、図8ステップ817で判別された原因に応じて燃料噴射弁要素と増圧要素との特性を変化させることにより、全体としての燃料噴射特性を基準値に近づける。
すなわち、図9の操作ではまずステップ901で、図8の操作で判別された異常原因が増圧要素の特性変化または燃料物性値の変化のいずれか(若しくは両方)であるか否かが判別される。
また、ステップ901で異常原因がいずれでもない場合には次にステップ903に進み、図8の操作で判別された異常原因が燃料噴射弁要素の特性変化であるか否かが判別される。
異常原因が燃料噴射弁要素の特性変化でない場合、すなわちステップ903で否定判定された場合には異常はないため補正操作は行わず、そのまま図9の操作を終了する。また、ステップ903で肯定判定された場合には、現在異常が生じているのは燃料噴射弁要素のみであり、増圧要素特性と燃料物性値には変化がないことになる。
従って、この場合にはステップ905に進み、燃料噴射弁要素の開弁時期(噴射時期)と期間(噴射量)とが基準値に合致するように噴射制御弁の開弁時期と閉弁時期との補正を行う。この補正は、例えば筒内圧センサ出力に基づく前述のPV法を用いて行う。
一方、ステップ901で、増圧要素の特性変化と燃料物性値の変化とのいずれか一方若しくは両方が生じていた場合には、次にステップ907で燃料噴射弁要素の特性変化が生じているか否かを判定する。
ステップ907で否定判定された場合には、異常の原因は増圧要素の特性変化または燃料物性値の変化のみであるため、ステップ909に進み、増圧制御弁111の開弁時期と閉弁時期とを変更して増圧遅れ時間TDと増圧期間TPを、また、可変流量オリフィス121の絞りを調節して増圧時の燃料昇圧速度(増圧スロープの傾きα1)をそれぞれ基準値に近づける補正を行う。
また、ステップ907で肯定判定された場合には、燃料噴射弁要素の特性変化と増圧要素の特性変化または燃料の物性値変化とが同時に生じているため、ステップ911に進み、燃料噴射時期と噴射期間(噴射量)及び増圧遅れ時間TDと増圧期間TP、増圧スロープの傾きα1をそれぞれ基準値に近づける補正を行う。
すなわち、本実施形態では図8の操作により燃料噴射特性の異常の有無と、異常の原因の判別とを行うとともに、異常が生じている場合には図9の操作により異常原因に応じた適切な補正操作が行われる。
このため、本実施形態によれば、燃料噴射弁と増圧装置との作動特性のばらつきや変化及び燃料自体の物性値の変化に起因する燃料噴射特性のずれを運転中に容易に補正し燃料噴射特性を基準値にに近づけることが可能となる。
本発明の補正方法を適用可能な自動車用ディーゼル機関の概略構成例を説明する図である。 増圧ユニット付燃料噴射弁の概略構成の一例を説明する図である。 増圧ユニットの増圧特性を示す図である。 燃料噴射パターンに応じた増圧特性の変化を説明する図である。 増圧特性値の基準値を算出するための増圧ユニットモデルを説明する図である。 基準特性曲線からの増圧特性値のずれの態様と異常原因との関係を示す対照表である。 筒内圧変化に基づく燃料噴射量算出原理を説明する図である。 異常原因判別操作を説明するフローチャートである。 異常原因に応じた補正操作を説明するフローチャートである。
符号の説明
1…自動車用ディーゼル機関
3…コモンレール
5…燃料ポンプ
10(10a〜10d)…増圧ユニット付燃料噴射弁
20…電子制御ユニット(ECU)
23…筒内圧センサ
26…燃圧センサ
106…燃料噴射ノズル
109…噴射制御弁
110(110aから110d)…増圧ユニット
111…増圧制御弁

Claims (6)

  1. 所定圧力の燃料を貯蔵し燃料噴射弁に供給するコモンレールと、
    前記コモンレールから燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を前記所定圧力より高い増圧圧力に昇圧する増圧手段と、
    前記増圧手段から燃料噴射弁に供給される昇圧された燃料の圧力を検出する燃圧センサと、を備え、
    必要に応じて前記増圧手段を作動させて燃料噴射弁からの燃料噴射圧力を増大させる増圧式燃料噴射装置の、燃料噴射特性を補正する補正方法であって、
    前記増圧手段作動時の燃料圧力を前記燃圧センサで検出し、
    該検出した増圧手段作動時の燃料圧力の変化に基づいて前記燃料噴射特性の異常の有無を判断するとともに異常が生じている場合には異常原因を判別する判別操作を行い、
    該判別した異常原因に応じて増圧手段または燃料噴射弁の少なくとも一方の作動を調整することにより燃料噴射特性を補正する、増圧式燃料噴射装置の補正方法。
  2. 前記判別操作は、前記増圧手段の挙動をモデル化した増圧シミュレーションモデルに基づいて燃料の物性値と、予め定めた燃料噴射量目標値とを用いて、増圧手段作動時の標準燃料増圧特性を算出し、前記燃圧センサで検出した増圧手段作動時の燃料増圧特性実測値と前記シミュレーションモデルに基づいて推定した増圧特性推定値とを比較することにより、前記燃料噴射特性の異常の有無を判断するとともに異常が生じている場合には異常原因を判別する操作を含む、請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法。
  3. 前記判別操作時に、前記燃料噴射弁作動時と非作動時との少なくとも一方の場合の増圧特性の推定値及び実測値を用いて異常有無の判断と異常原因の判別とを行う、請求項2に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法。
  4. 前記増圧特性は、増圧手段作動開始から燃料の昇圧が開始されるまでの増圧遅れ時間、燃料昇圧開始から燃料圧力が前記増圧圧力に到達するまでの増圧時間及び昇圧開始後の昇圧速度を含み、前記判別される異常原因は増圧手段の特性変化、燃料噴射弁の特性変化及び燃料物性値の変化とを含む請求項2または3に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法。
  5. 前記増圧手段は、更に増圧手段作動時の燃料昇圧開始後の昇圧速度を制御する昇圧速度制御手段を備え、前記判別操作時に、前記判別された異常原因が増圧手段の特性変化または燃料物性値の変化である場合には、前記昇圧速度を調整することにより燃料噴射特性を補正する、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置の補正方法。
  6. 前記判別操作時に、前記判別された異常原因が燃料噴射弁の特性変化である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射開始時期または燃料噴射期間の少なくとも一方を調整することにより燃料噴射特性を補正する、請求項4に記載の燃料噴射装置の補正方法。
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