JP4152557B2 - 再生骨材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート廃材から再生骨材を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建設廃棄物の大きな割合を占めるコンクリート廃材は、路盤材や埋め戻し材として再利用されているが、再利用率の向上や、最終処分量の減容、資源の有効利用の観点から、より高度な再生処理を行って構造体コンクリート用の骨材として利用することが求められている。
コンクリート廃材の再生処理は、一般にインペラブレーカーやジョークラッシャー、インパクトクラッシャーなどの乾式の装置による破砕・磨砕、振動ふるいや風ふるい等によるふるい分け、および磁力選別機による鉄筋などの除去の組合せにより行われている。
例えば、特公平6−30755には、垂直円筒内で偏心回転する垂直円筒間でコンクリート塊同士を衝突させることでセメント分を除去するコンクリート屑の再生方法が記載されている。
また、特開平8−109052には、粗骨材原料を加熱し、乾式攪拌と湿式攪拌との2段処理攪拌でセメント分を除去することが記載されている。
さらに、特開平10−297949には、破砕装置としてボールミルを使用し、ドラム内の硬質ボールの自重と硬質ボール同士の挟み込みでコンクリート塊を破砕することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
第1の公知例(特公平6−30755)では、垂直円筒内で偏心回転する垂直円筒間でコンクリート塊同士を衝突させるため、他の乾式の破砕・磨砕装置に比べて特にすりもみ効果が高く、再生骨材のうち5mm以上の粒径の粗骨材は天然骨材や砕石と同等の品質を有するが、これらと同等の品質を有する5mm以下の再生細骨材を製造することは不可能である。
第2の公知例(特開平8−109052)に記載されているように、加熱による前処理を行えば、5mm以下の再生細骨材でも天然の骨材や砕石の品質と同等のものを製造できる可能性があるが、加熱に要するエネルギーは非常に大きく、エネルギーコストや環境負荷の面で実用性に乏しい。
第3の公知例(特開平10−297949)に記載のボールミルでは、コーンクラッシャーやジョークラッシャー等破砕作用を有する他の破砕装置と同様に、破砕時間を長くしてコンクリート塊を砂の粒径以下に破砕することも可能であるが、このように過度に破砕することなく、換言すれば破砕時間を短くすることにより、原料とするコンクリート塊に含まれる骨材の粒径とほぼ同等の粒径の再生骨材を製造しようとすると、骨材からセメントモルタル分が十分に除去されず、セメントモルタル分が骨材に付着したまま残存する量は概ね20%以上にもなり、建築物等の構造体に使用可能なコンクリート用の骨材の品質規定を満足することができない。例えば、絶乾密度の骨材基準が2.5以上であるのに対して、本公知例で製造されるものは2.3〜2.4程度であり、また、吸水率の骨材基準が3.0%以下であるのに対して5〜10%である。
一方、破砕時間を長くしてコンクリート塊に含まれる骨材よりも小さな粒径の再生骨材を製造しようとすると、品質規定を満足する砂利(粗骨材)を得ることが困難であるばかりか、元々コンクリート塊に含まれている骨材の回収効率も低下し、さらには破砕の影響により骨材自身の強度も低下するため、コンクリートに利用したときにコンクリートの圧縮強度が低下することなり、再生処理方法としては好ましくない。
【0004】
本発明は、偏心ロータを設けたケーシング内に、コンクリート塊と共に媒体を装入することにより、コンクリート塊相互間の摩擦力が増大させて、骨材からセメントモルタル分をより完全に除去せることで、天然の骨材や砕石・砕砂と同等の品質の再生粗骨材および再生細骨材を製造可能にして、コンクリート骨材資源の循環化に貢献するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の手段として、コンクリート廃材から再生骨材を製造する方法において、コンクリート廃材を所定の大きさのコンクリート塊に破砕する第1ステップと、
ケーシング1の鉛直筒部内に、筒状ロータ2を偏心回転可能に設けておき、該ロータと鉛直筒部との間隙Sに、コンクリート塊9および所定の圧縮強度と硬度とを有する圧縮力増大用の媒体10を装入して、ロータの偏心回転によりコンクリート塊相互を摩擦接触させて骨材からセメントモルタル分を除去するに際しての圧縮力を上記媒体で増強させる第2ステップと、
上記ケーシングから排出された再生骨材を、再生粗骨材と再生細骨材とに篩分けする第3ステップとを有する。
【0006】
第2の手段として、第1の手段を有すると共に、上記第2ステップにおける媒体10は、鉄球、アルミナ球、または圧縮強度1000kgf/cm2 以上でかつロックウェル硬度が50以上の岩石からなる。
【0007】
第3の手段として、第1又は第2の手段を有すると共に、上記媒体10のうち95重量%以上が粒径5〜40mmの範囲内である。
【0008】
第4の手段として、第1、第2又は第3の手段を有すると共に、上記第3ステップの篩分けの前後のどちらか一方に、上記媒体10を回収するステップを設けた。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る再生骨材の製造方法に使用する公知の再生装置(特公平6−30775参照)を示すもので、これを簡単に説明すると、縦に設置した円筒形のケーシング1の鉛直筒部内に偏心量Cだけ偏心した上面閉塞の円筒状の偏心ロータ2を回転可能に立設すると共に、該ロータの主軸3にベルト4を介してモータ5を連結する。
【0010】
また、ケーシング1の鉛直筒部と偏心ロータ2との間隙Sの下方には、該間隙内におけるコンクリート塊等の充填密度を調節するための調節プレート6を上下動自在に設置する。該プレートを間隙下端面に接近させるほど充填密度を高くすることができる。なお、ケーシング1の鉛直筒部より上方部分は投入用の第1ホッパ7を形成し、また、ケーシングの下方には排出用の第2ホッパ8を設置する。
【0011】
次に本発明に係る再生骨材の製造方法の実施形態について説明する。
(1)第1ステップ
建設現場等から発生するコンクリート廃材を、インペラブレーカーやジョークラッシャー等の破砕装置で、粒径50mm以下のコンクリート塊に破砕し、破砕後のコンクリート塊を篩分けて、所定範囲内の粒径のコンクリート塊を選別する。
【0012】
(2)第2ステップ
ケーシング1の第1ホッパ7内にコンクリート塊9と媒体10とを投入する。これらは偏心回転するロータ2とケーシングの鉛直筒部との間隙S内を落下するが、この間にロータ2による圧縮力を受けてコンクリート塊は互いに摩擦接触し、これにより骨材表面に付着したセメントモルタル分が除去される。
【0013】
媒体10を混合しない場合、コンクリート塊の粒径が比較的大きい場合には殆ど問題が生じないが、比較的小さい場合は、間隙Sの外周部を流下するコンクリート塊にはロータ2からの圧縮力が十分に伝わらず、このためコンクリート塊相互間の摩擦力は小さくセメントモルタル分は十分に除去されない。が、媒体を混合すると、ロータ2からの圧縮力が媒体を介して間隙Sの外周側のコンクリート塊に伝わるため、コンクリート塊相互間の摩擦力が増大する。
【0014】
媒体10としては、ケーシング1内で破壊しにくく、かつ磨耗しにくいことが望ましく、この観点から請求項2記載のように、鉄球、アルミナ球、または圧縮強度1000kgf/cm2以上でかつロックウェル硬度が50以上の岩石が好ましい。 また、媒体の粒径は、請求項3記載のように、95重量%以上が10〜40mmの範囲内にあることが好ましい。この範囲よりも大きい媒体は間隙Sを閉塞させるおそれがあり、また、この範囲よりも小さい媒体は、間隙S内の充填密度を高めることにもなりかねないことから、運転負荷の増大を招くことになると共に、摩擦力増強の効果、言い換えればすりもみ増強の効果がうすれることになるからである。
【0015】
なお、骨材からセメントモルタル分を除去させるためには、装置内で媒体とある程度の接触時間が必要であり、接触時間は長いほど再生骨材の品質が向上するが、長すぎると製造効率の低下を招くことになる。これらの点を考慮して通常は10秒ないし30秒程度にする。
接触時間は、間隙S内におけるコンクリート塊と媒体の充填密度を調節するための調節プレート6の上下位置と、ロータ2の回転数と、間隙Sの寸法等に依存する。図1の装置例において、接触時間を10秒程度にするためには、ロータ2の回転数を450〜550rpm、間隙Sを10〜100mm、ロータ2の長さを500〜1000mmにする。
【0016】
(3)第3ステップ
ケーシング1を通過して第2ホッパ8から排出された骨材を、振動ふるいや風ふるい等により篩い分けして、再生粗骨材と再生細骨材とを得る。
【0017】
(4)第4ステップ
媒体は繰り返して使用することが可能であり、このため篩分け後の再生骨材中に混在する媒体を回収することが好ましい。
回収装置としては、周知の比重差選別装置を使用するが、媒体が鉄球である場合には、周知の磁力選別装置を使用することも可能である。
なお、媒体の回収は第3ステップの篩分けの前に行うことも可能である。
【0018】
【実施例1】
建設現場にて粒径40mm以下に破砕した嵩1m3 のコンクリート塊を天日乾燥した後、篩分けにより粒径5〜40mmのコンクリート塊を選別し、選別したコンクリート塊を、粒径20mmで、嵩が0.5m3 の鉄球と共にケーシング1の第1ホッパ7内へ投入して再生処理した後、篩分けにより粒径5mm以上の粒子を再生粗骨材として、また、0.15〜5mmの粒子を再生細骨材として製造した。
なお、ケーシング1の鉛直筒部の内径は720mm、高さは800mm、ロータ2の偏心量は11.7mm、ロータ2の内径は600mm、ロータの高さは 800mmとした。
上記のようにして製造した再生粗骨材の吸水率は2.5%、乾燥状態の比重は2.56であった。これらの数値は建築学会コンクリート工事標準仕様書JASS5の骨材の規定を満足するものである。
一方、再生細骨材の吸水率は3.2%、乾燥状態の比重は2.56であった。これらの数値も同様に同規定を満足するものである。
【0019】
【実施例2】
実施例1と異なる点は、ケーシング1に投入するコンクリート塊の粒径を5mm以下にする点であり、その他は実施例1と同一条件の下で再生処理した後、篩分けにより0.15〜5mmの粒子を再生細骨材として製造した。
製造した再生細骨材の吸水率は2.9%、乾燥状態の比重は2.57であった。これは上記規定を満足するものである。
【0020】
【比較例1】
ケーシング1内に鉄球等の媒体を投入しない点を除き、実施例1と同一条件下で粒径5mm以上の粒子を再生粗骨材として、また、0.15〜5mmの粒子を再生細骨材として製造した。
再生粗骨材の吸水率は2.9%、乾燥状態の比重は2.51であった。これらの数値は上記規定を満足するものである。
一方、再生細骨材の吸水率は5.1%で、乾燥状態の比重は2.41であり、上記規定を満足するものは得られなかった。
【0021】
【比較例2】
ケーシング1内に鉄球等の媒体を投入しない点を除き、実施例2と同一条件で篩分けにより0.15〜5mmの粒子を再生細骨材として製造した。
製造した再生細骨材の吸水率は4.8%、乾燥状態の比重は2.43であり、上記規定を満足するものは得られなかった。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に係る発明は、偏心ロータを設けたケーシング内に、コンクリート塊と共に媒体を装入するため、コンクリート塊の粒径が比較的小さい場合でも、偏心ロータとケーシングとの間隙の外周部を流下するコンクリート塊にもロータからの圧縮力が媒体を介して十分に伝わって、コンクリート塊相互間の摩擦力が増大するため、骨材表面に付着したセメントモルタル分がより完全に除去されることとなり、天然の骨材や砕石・砕砂と同等の品質の再生粗骨材および再生細骨材を製造することができ、コンクリート骨材資源の循環化に貢献できる。
しかも、媒体はボールミルのボールと異なって、コンクリート塊に衝撃を与えることはほとんどなく、骨材が破砕されることも少ないため、骨材の強度を低下させることがない。
【0023】
請求項2に係る発明は、媒体を所定の素材で形成するため、ケーシング内で破壊・磨耗しにくく、このため圧縮力増強機能が減退することがない。
【0024】
請求項3に係る発明は、所定範囲内の粒径の媒体を使用するため、十分な圧縮力増強機能が得られると共に、運転負荷を増大させることもない。
【0025】
請求項4に係る発明は、媒体を回収するため、媒体の再利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る再生骨材の製造方法に使用する再生処理装置の概略図。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 筒状ロータ
9 コンクリート塊
10 媒体
Claims (4)
- コンクリート廃材から再生骨材を製造する方法において、
コンクリート廃材を所定の大きさのコンクリート塊に破砕する第1ステップと、
ケーシング1の鉛直筒部内に、筒状ロータ2を偏心回転可能に設けておき、該ロータと鉛直筒部との間隙Sに、コンクリート塊9および所定の圧縮強度と硬度とを有する圧縮力増大用の媒体10を装入して、ロータの偏心回転によりコンクリート塊相互を摩擦接触させて骨材からセメントモルタル分を除去するに際しての圧縮力を上記媒体で増強させる第2ステップと、
上記ケーシングから排出された再生骨材を、再生粗骨材と再生細骨材とに篩分けする第3ステップとを有することを特徴とする再生骨材の製造方法。 - 上記第2ステップにおける媒体10は、鉄球、アルミナ球、または圧縮強度1000kgf/cm2 以上でかつロックウェル硬度が50以上の岩石からなることを特徴とする請求項1記載の再生骨材の製造方法。
- 上記媒体10のうち95重量%以上が粒径5〜40mmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載の再生骨材の製造方法。
- 上記第3ステップの篩分けの前後のどちらか一方に、上記媒体10を回収するステップを設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の再生骨材の製造方法。
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