JP4150457B2 - 防護管挿入機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築支障用防護管および電線用保護管(電線用は、樹木から電線を保護する目的の管、両者以下、防護管と称す)を架空配電線(以下、電線と称す)のまわりに間接活線工法で取り付け、あるいは防護管を電線から取り外すことができる防護管挿入機に関するもので、その作業性および労力低減を実現させたものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の防護管挿入機は、図17に示すように、架空配電線工事で使用する高所作業車両1に装備されている油圧源を利用し、油圧ホース2、3、切換弁4を介して油圧モータ5で送りタイヤ6を回転させ、防護管7と送りタイヤ6との摩擦力および送りタイヤ6の回転力で、防護管7を送り出すことによって、挿入機本体8をガイドとして、電線9のまわりに取り付ける作業および電線9から回収撤去する作業を行う装置である。そして、送りタイヤ6の駆動は、高所作業車両1のバケット1aに取り付けて使用する上記切換弁4のバルブ開閉操作で行うものである。
【0003】
上記従来の防護管挿入機における、防護管取り付け作業の手順は下記の通りである。すなわち、
(a)図17に示すように、電線9に作業者の手の代用として使用する絶縁操作棒10(絶縁操作棒には、作業の用途に応じて様々な種類があるが、ここでは総称し、以下、操作棒と称する)で、挿入機本体8を電線9に取り付け、固定する。また、取り付け・取り外し時の防護管7の支持・ガイドの役目をする管支持ローラ11を操作棒12に取り付け、操作棒12ごと電線9に取り付け、固定する。
(b)別の操作棒で、電線9に取り付ける防護管7を把持して、挿入機本体8に連なる防護管ガイド13に沿わせて、送りタイヤ6まで誘導する。
(c)高所作業車両1のバケット1aにあらかじめ設置した切換弁4を操作して、送りタイヤ6を回転させることにより、防護管7を電線9のまわりに取り付けていき、防護管7の端部にある接続部が送りタイヤ6を乗り越えない位置で、一時送りを停止させる。
(d)次に取り付ける防護管7を、操作棒で把持し、1本目の防護管7の接続部へ防護管ガイド13に沿わせて誘導し、押し込んで両防護管7どうしを接続させる。
(e)再び切換弁4の操作で、1本目の防護管7に接続された2本目の防護管7を電線9のまわりに取り付け、さらに、同様の手順を繰り返すことで、必要な本数の防護管7を互いに接続しながら電線9のまわりに取り付けていく。
(f)防護管7の電線9からの撤去作業は、上述した取り付け作業の逆の手順により行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の防護管の電線への取り付け作業、あるいは電線からの取り外し作業においては、以下のような問題がある。すなわち、
(イ)作業の熟練
防護管の接続作業は、作業者が操作棒を使用して、間接的に行う作業であるため、操作棒の取扱いおよび防護管の接続作業に熟練を要するという問題がある。
(ロ)防護管の不完全接続
防護管の接続確認は、操作棒を介しての手の感触と、視覚による判断であるため、判断を誤り、不完全接続の状態で接続部が送りタイヤを乗り越えると、接続が外れてしまうという問題がある。
(ハ)切換弁の操作ミス
防護管の接続作業は、防護管の接続部が送りタイヤを乗り越えない位置で、送りを一旦停止させて行わなければならないため、切換弁の操作によっては、接続部が送りタイヤを完全に乗り越えてしまい、切換弁の操作上では戻せない状態となるため、操作ミスによる対策が採られていないという問題がある。
上記のように、作業者は、あらかじめ切換弁の操作による防護管の送り速度を把握しておき、適切な位置で防護管の接続部を停止させるよう、視覚による判断と操作経験による計算が必要であり、経験の浅い作業者等は、送りタイヤを乗り越えさせるというミスを犯してしまうという問題がある。
また、操作ミスを犯すことで、元の条件に回復させるために、操作棒で防護管を把持して送りタイヤまで戻し、再び切換弁の操作で接続可能な位置に戻すという作業が必要となるため、作業の煩わしさの上、作業時間が増大するという問題がある。
(ニ)挿入機本体の送りタイヤ
送りタイヤは、ゴム製のチューブタイヤを使用しており、防護管の送り力を増すために挿入機本体へあらかじめ押し付けさせ、与圧を加えられた状態で固定されている。このことにより、下記の問題が生じる。
▲1▼送りタイヤ通過時、防護管(特にメス側)に大きなストレスが加わり破損の原因となる。
▲2▼チューブタイヤを常時押し付けた状態で固定しているので、タイヤ自体へストレスが加えられ空気漏れや空気圧管理などのメンテナンスの必要性が高い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来人手に頼って行われていた防護管接続作業を機械化することができ、作業性の向上、作業時間の短縮および労力の低減と、作業ミスの防止を図ることができるとともに、電線のまわりに防護管を円滑に取り付けつつ防護管どうしの接続を確実に行うことができる防護管挿入機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、長手方向にスリットが形成された複数の防護管を電線のまわりに取り付けるとともに、これらの防護管どうしを互いに連結する防護管挿入機であって、上記防護管を電線に接近、離間させる無端状の送りクローラが、一対のプーリに巻き掛けられた状態で上記防護管の搬送路に沿って設けられ、この送りクローラに隣接して、上記防護管の後端部に形成した係止部に係合する防護管接続具が設けられ、前記防護管接続具が、回転自在に設けられた回転ブラケットを介して支持されて防護管の搬送路に対して接近、離間自在に設けられかつ防護管の係止部に係合するストッパと、このストッパを支持する前記回転ブラケットを上記防護管の搬送路に向かって付勢するストッパ付勢手段とを有し、前記ストッパには前記防護管を載置支持するU字状の防護管支持部が形成され、しかも、前記ストッパは合成ゴム製であり、防護管を係止めし防護管どうしの接続が完了するのに必要な力に耐え得る硬度を有し、かつ接続完了後、さらに後続の防護管が押し込まれると、該ストッパ自体の弾性変形によって、1本目の防護管の前記係止部との係止めが解除されるようになっているものである。
この請求項1にあっては、一対のプーリに卷き掛けられた送りクローラによって、防護管をその搬送路に沿って移送することにより、防護管との接触面積を増加させて、送り力を増大させ、かつ防護管送り時の安定性を向上させるとともに、防護管接続具を、防護管の係止部に係合させることにより、防護管どうしの接続時に先行する防護管を確実に固定して後続の防護管との接続作業を円滑に行う。
また、ストッパ付勢手段によって、防護管接続部のストッパを防護管の搬送路に向かって付勢することにより、移送中の防護管を安定して支持案内するとともに、防護管どうしの接続時に先行側の防護管の係止部としっかりと係合して後続の防護管との接続作業を円滑に行えるようにする。
また、ストッパ自体が弾性変形することにより、防護管どうしの接続後の、防護管の係止部との係合状態の解除が円滑に行われる。
【0007】
本発明の請求項2は、送りクローラに、この送りクローラを防護管に押し付けるクローラ押圧手段が設けられたものである。
この請求項2にあっては、クローラ押圧手段によって、送りクローラを、搬送路に沿って移送されている防護管に押し付けることにより、送りクローラからの力が防護管に円滑に伝達されて、防護管が確実に移送される。
【0008】
本発明の請求項3は、送りクローラが弾性変形可能な材料からなるものである。
この請求項3にあっては、防護管の外表面に凹凸がある場合においても、送りクローラが弾性変形して該凹凸形状に柔軟に対応して、防護管を確実に移送する。
【0011】
本発明の請求項4は、ストッパは前記回転ブラケットに支持軸を介して回転自在に支持されており、ストッパが、防護管を電線から取り外す際にこの防護管の移送方向に回動して防護管の搬送路から退避するように構成されたものである。
この請求項4にあっては、防護管を電線から取り外す際に、移送されている防護管によってストッパがこの防護管の移送方向に回動して防護管の搬送路から退避することにより、防護管の係止部にストッパが係合することなく、防護管が滑らかに移送されて電線から取り外される。
【0012】
本発明の請求項5は、防護管の内部に挿入されてこの防護管を支持案内する矯正ガイドが、防護管の搬送路を挟んで送りクローラと反対側に配置されたものである。
この請求項5にあっては、送りクローラによって移送されている防護管の内部に挿入される矯正ガイドによって、防護管の内面側が支持案内されることにより、防護管が円滑に移送されるとともに、防護管どうしの接続時に防護管の移送姿勢が安定して確実に防護管どうしが接続される。
【0013】
本発明の請求項6に記載の矯正ガイドは、ガイド本体の中間部が支承軸によって防護管の搬送路に沿って揺動自在に支持され、このガイド本体の両端に上記防護管の搬送路に突出する突起部がそれぞれ設けられてなるものである。
この請求項6にあっては、防護管の通過にともない、矯正ガイドのガイド本体がその中間部を中心にして揺動することにより、ガイド本体の両端の突起部が交互に防護管の搬送路に突出して、防護管の移送方向を矯正して、防護管のメス側端部を広げて防護管どうしの接続を円滑に行う。
【0014】
本発明の請求項7は、防護管を電線に向かって送る際に、ガイド本体の前方側の突起部を防護管の搬送路に対して付勢する突起部付勢手段が上記ガイド本体に設けられたものである。
この請求項7にあっては、突起部付勢手段によって、ガイド本体の前方側の突起部が防護管の搬送路に突出する一方、後方側の突起部が防護管の搬送路から退出することにより、この後方側の突起部と送りクローラとの間に十分な間隙が確保されて、この間隙中に円滑に防護管が送り込まれる。また、送りクローラの前方側に1本目の(先行する)防護管が停止した状態において、2本目(後続)の防護管が送り込まれると、この後続の防護管の先端が後方側の突起部を防護管の搬送路から退出させる方向にガイド本体を揺動させることにより、ガイド本体の前方側の突起部が防護管の搬送路側に突出して、先行する防護管の後端を押し開き、この先行する防護管の後端内に後続の防護管の先端を挿入し易くする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す正面図、図2は防護管接続具の正面図、図3は図2の側面図、図4は送りクローラシステムの正面図、図5は図4の平面図、図6は矯正ガイドの正面図、図7は建築支障用防護管の正面図、図8は図7の右側面図、図9は図7の左側面図、図10は電線用保護管(樹木用保護管)の正面図、図11は図10の右側面図、図12は図10の左側面図、図13は1本目の防護管の先端を送りクローラの位置にセットした状態の正面図、図14は1本目の防護管の後端が送りクローラを通過した状態の正面図、図15は2本目の防護管の先端を送りクローラの位置にセットした状態の正面図、図16は電線から防護管を取り外す際の状態を示す正面図である。
【0016】
図1において符号20は本実施形態の防護管挿入機の案内部であり、この案内部20の斜めに傾斜した下部には、この傾斜に沿って3つの受けコロ21がそれぞれ回転自在に設けられている。そして、案内部20の基端(図1において右端)には防護管ガイド22が設置されている。
【0017】
また、上記案内部20に取り付けられた受けコロ21に対向して送りクローラ機構30が設置されている。
この送りクローラ機構30は、図4と図5に示すように、一対をなす駆動プーリ300と補助プーリ301との間に無端状の送りクローラ302が卷き掛けられ、この駆動プーリ300が油圧モータ303の駆動軸303aに装着され、かつこの油圧モータ303に、取付ベース304を介して固定軸305が設けられるとともに、この固定軸305にスイングアーム306が揺動自在に設けられる一方、このスイングアーム306に形成した長穴306aに、上記補助プーリ301を回転自在に支持する従軸307が、この長穴306aに沿った移動を許容された状態ではめ込まれて六角ナット308により固定され、さらに、この従軸307に、上記スイングアーム306を挿通した張力調整用のボルト309がねじ込まれ、かつスイングアーム306と取付ベース304との間に、スイングアーム306を取付ベース304から離れる方向(図1において受けコロ21側)に付勢するコイルばね(クローラ押圧手段)310が設けられて概略構成されている。
【0018】
そして、上記送りクローラ302は弾性変形可能な合成ゴムから形成されている。また、上記ボルト309を回転することにより、このボルト309がねじ込まれた従軸307がスイングアーム306の長穴306に沿って移動し、駆動プーリ300と補助プーリ301との間に巻き掛けられた送りクローラ302の張りが調整されるように構成されている。
【0019】
上記防護管ガイド22に内面を支持案内され、かつ受けコロ21および送りクローラ302間に挟まれて送られる防護管の例としては、図7〜図9に示すような一般的な建築支障用防護管15や図10〜図12に示すような電線用保護管(樹木用保護管)16があげられる。
【0020】
このうち、建築支障用防護管15は、図7〜図9に示すように、丸管形状でその下部に長手方向にスリットが入っており、断面はC型形状とされ、1本の長さが2〜3mで市販されている。
また、建築支障用防護管15の一端部(以下オス側端部15dと称す)の外周には、円弧状の凸条15aが形成される一方、他端部(以下メス側端部15eと称す)の内面には、円弧状の凹部15bが形成されており、メス側端部15e内にオス側端部15dがはめ込まれて互いに接続されるようになっている。
さらに、建築支障用防護管15のメス側端部15eの外周には、係止突起(係止部)15cが形成されている。
【0021】
電線用保護管16は、図10〜図12に示すように、丸管形状でその下部に長手方向にスリットが入っており、そのスリットは電線取り付け後、隙間があかないように左右からリブが長手方向に設けてある。そして、断面でみると左右交互にリブが重なり合う構造となっており、1本の長さが2〜3mで市販されている。
【0022】
また、電線用保護管16の一端部(以下オス側端部16dと称す)の外周には、円弧状の凸条16aが形成される一方、他端部(以下メス側端部16eと称す)の内面には、円弧状の凹部16bが形成されており、メス側端部16e内にオス側端部16dがはめ込まれて互いに接続されるようになっている。
さらに、電線用保護管16のメス側端部16eの外周には、係止突起(係止部)16cが形成されている。
【0023】
上記送りクローラ機構30の取付ベース304の先端面には、図1に示すように、防護管接続具40が取り付けられている。
この防護管接続具40は、図2と図3に示すように、上記取付ベース304に取り付けられるスプリングポスト400と、このスプリングポスト400に固定軸401を介して回転自在に設けられた回転ブラケット402と、スプリングポスト400にねじ込まれた調整ボルト403と、この調整ボルト403に止めネジ404を介して連結されたばね座405と、このばね座405と回転ブラケット402との間に設けられ、かつこの回転ブラケット402をスプリングポスト400から離れる方向(図1において防護管15、16の搬送路側)に付勢するコイルばね(ストッパ付勢手段)406と、回転ブラケット402に支持軸407を介して回転自在に支持されたストッパ固定用ブラケット408と、このストッパ固定用ブラケット408にネジ止め固定されたストッパ409と、上記支持軸407に装着され、かつ回転ブラケット402とストッパ固定用ブラケット408との間を開く方向に付勢するねじりばね410とを主体として構成されている。
【0024】
そして、上記調整ボルト403のねじ込み深さを変更することにより、コイルばね406のたわみ量を調整し、ストッパ409の係止めの力および回転ブラケット402のスイング幅を無段階に変えることができる構造となっている。なお、図2において符号411は回転ブラケット402の自由状態での回転を規制するボルトである。
【0025】
また、上記ストッパ409およびストッパ固定用ブラケット408は、回転ブラケット402に対して、所定角度(たとえば直角)以上に開かないように、一体形のストッパ(図示せず)が張り出しているとともに、ストッパ409およびストッパ固定用ブラケット408と回転ブラケット402との間に、支持軸407に取り付けられたねじりばね410の付勢力を越える力(ストッパ409およびストッパ固定用ブラケット408と回転ブラケット402との間を閉じる方向の力)が働かない限り、ストッパ409およびストッパ固定用ブラケット408と回転ブラケット402との間の角度が、上記所定角度に保持されるように構成されている。
【0026】
上記ストッパ409の上部には、上記防護管15、16を載置支持するU字状の防護管支持部409aが形成されており、この防護管支持部409aは、防護管15、16のオス側端部15d、16dと防護管15、16本体が通過可能で、かつ防護管15、16のメス側端部15e、16eの係止突起15c、16cだけが係止め可能な形状とされている。
【0027】
そして、上記ストッパ409は合成ゴムで形成され、防護管15、16を係止めし防護管15、16どうしの接続が完了するのに必要な力に耐え得る硬度を有し、かつ接続完了後、さらに後続の防護管15、16が押し込まれると、ストッパ409自体の弾性変形によって、1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eとの係止めが解除されるようになっている。
【0028】
さらに、上記案内部20には、各受けコロ21に並んだ状態で矯正ガイド50が設置されている。
この矯正ガイド50は、図6に示すように、案内部20に支承軸500を介して矯正ガイド本体501の中間部が回転自在に支持され、かつこの矯正ガイド本体501の両端に、それぞれ、上記防護管15、16の搬送路(パスライン)に突出する突起部502、503が形成されるとともに、受けコロ21から遠い方(電線9との合流部に近い方)の突起部503を防護管15、16の搬送路に突出させるコイルばね(突起部付勢手段)504が、案内部20と矯正ガイド本体501との間に設けられて概略構成されている。
【0029】
上記のように構成された防護管挿入機を用いて、電線9に防護管15、16を取り付ける場合には、まず、図13に示すように、電線9に本実施形態の防護管挿入機を取り付けた状態で、防護管15、16を操作棒で把持し、防護管15、16の長手方向のスリットを上に向けた状態で、防護管15、16のオス側端部15d、16dを防護管ガイド13に沿わせて送りクローラ302に押し当てる。
【0030】
この状態で、切換弁のバルブ操作により油圧モータ303を駆動して、送りクローラ302を反時計まわりに回転させ、防護管15、16を電線9に取り付けていく。そして、図14に示すように、防護管15、16のメス側端部15e、16eが送りクローラ302から離れて、それ以上防護管15、16を送れない位置に来るまで、上記切換弁のバルブ操作によって油圧モータ303を駆動する。
【0031】
この場合、防護管15、16は、その内外面を、受けコロ21と送りクローラ302とによって挟持された状態で、送りクローラ302の回転により円滑に送り出される。
そして、合成ゴム製の送りクローラ302自体の弾性変形と張力調整用のボルト309の調整操作により設定された張りのたわみとにより、防護管15、16の両端部の凹凸形状に柔軟に対応し、防護管15、16へのダメージを和らげる働きをする。
【0032】
また、スイングアーム306がコイルばね310の付勢力に抗して揺動することにより、従軸307に支持された補助プーリ301が、防護管15、16の両端部の凹凸形状に倣って移動する。
このことにより、上述した送りクローラ302自体の弾性変形と送りクローラ302の張りのたわみの作用とに加えて、さらに一層、防護管15、16の両端部の凹凸形状に柔軟に対応することができ、防護管15、16へのダメージを和らげることができる。
【0033】
その上、上記補助プーリ301が防護管15、16の形状に応じて防護管15、16の搬送路に対して接近、離間して、送りクローラ302の位置を調整するから、後段の矯正ガイド50へ最適なパスラインで、防護管15、16を送り出すことができる。
【0034】
次いで、図15に示すように、2本目の防護管15、16をそのオス側端部15d、16dから、上記1本目の防護管15、16と同じ要領で、防護管ガイド13に沿わせて送りクローラ302に押し当てた状態で、油圧モータ303を駆動して該2本目の防護管15、16を送り出す。
【0035】
その際、防護管接続具40のストッパ409は、1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eの係止突起15c、16cに係合しており、2本目の防護管15、16のオス側端部15d、16dに押されて移動するのをくい止める働きをするから、送りクローラ302によって送り出された2本目の防護管15、16のオス側端部15d、16dは、1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16e内に円滑に押し込まれて、両防護管15、16どうしが確実に接続される。
【0036】
このようにして2本の防護管15、16が互いに接続された後、さらに、送りクローラ302によって2本目の防護管15、16を押し出すと、ストッパ409の防護管支持部409aが弾性変形して、そのU字状溝部が広がることにより、1本目の防護管15、16の係止突起15c、16cとの係合状態が解除されてる。
そして、2本の接続された状態の防護管15、16の接続部が上記ストッパ409を通過すると、今まで弾性変形していたストッパ40が初期状態(元の形状)に速やかに復帰する。
【0037】
このような手順を繰り返すことにより、防護管15、16を電線9のまわりに円滑に取り付けながら、防護管15、16どうしを互いに確実に接続していくことができる。
この場合、一連の係止め動作および防護管15、16の通過に際して、防護管接続具40の回転ブラケット402が、コイルばね406の付勢力に抗して、固定軸401を中心として揺動するから、ストッパ409が防護管15、16の形状に順応して防護管15、16を的確に支持案内することができる。
【0038】
この結果、従来操作棒を介して人手で行っていた防護管接続作業を送りクローラ機構30の操作だけで行えるようになり、しかも、上述したように、ストッパ409がコイルばね406によって防護管15、16の形状に応じた調整機能を有しているから、多種の防護管の形状、管外径、使用環境(気温)で変わる硬さ、柱間で違う電線弛度によるパスライン変動に柔軟に対応することができ、適応防護管の範囲を広げることができて、係止め接続の信頼性を格段に向上させることができた。
【0039】
なお、防護管15、16を電線9から取り除く際には、上記防護管接続具40のストッパ409が、防護管15、16の通過の妨げになるが、この場合には、図16に示すように、防護管15、16の係止突起15c、16cに係合したストッパ409が、支持軸407を中心として時計まわりに(防護管15、16の進行方向に)回動して、防護管15、16の搬送路から退避するから、防護管15、16は何等支障なくストッパ409部分を通過していく。
そして、このようにして防護管接続具40を通過していった防護管15、16は、順次互いの接続を解除して回収して行けばよい。
【0040】
また、防護管15、16が搬送路を通過しない状態において、上記矯正ガイド50は、その一対の突起部502、503が、常時、防護管15、16の搬送路に突出した状態にあり、特に、電線9との合流部に近い側の突起部503は、コイルばね504によって付勢されていることによって、突起部502よりもさらに突出した状態にある。
【0041】
この状態において、上述したように、1本目の防護管15、16が送りクローラ302によって送り切られて、図14に示すように、防護管15、16の係止突起15c、16cがストッパ409に係合すると、上記矯正ガイド50の突起部503が、1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eの内面に押し付けられる。したがって、支承軸500を中心として矯正ガイド本体501が時計まわりに回転して、突起部502が防護管15、16の搬送路に押し出される。
【0042】
次いで、2本目の防護管15、16のオス側端部15d、16dが上記突起部502に押し当たると、送りクローラ302の送り力により、矯正ガイド本体501が支承軸500を中心にして反時計まわりに回転して、突起部503が防護管15、16の搬送路側に突出する。
【0043】
この突起部503の防護管15、16の搬送路への突出により、上記ストッパ409に係合されている1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eの内面が下方に押されて、該1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eの内部を押し広げるから、2本目の防護管15、16のオス側端部15d、16dの凸条15a、16aが、円滑に上記1本目の防護管15、16のメス側端部15e、16eの内部に押し込まれ、確実に両防護管15、16どうしが接続される。
【0044】
このことにより、矯正ガイド50を備えていない場合に生じることがある、防護管15、16のメス側端部15e、16eと防護管15、16のオス側端部15d、16dとの間の突き当てによる接続ミスを完全に防止し、柱間によって違う電線弛度によるパスライン変動に左右されることなく、パスラインを矯正し、常に安定した接続を実施することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1は、長手方向にスリットが形成された複数の防護管を電線のまわりに取り付けるとともに、これらの防護管どうしを互いに連結する防護管挿入機であって、上記防護管を電線に接近、離間させる無端状の送りクローラが、一対のプーリに巻き掛けられた状態で上記防護管の搬送路に沿って設けられ、この送りクローラに隣接して、上記防護管の後端部に形成した係止部に係合する防護管接続具が設けられたものであるから、一対のプーリに卷き掛けられた送りクローラによって、防護管をその搬送路に沿って移送することにより、防護管との接触面積を増加させることができて、送り力を増大させることができ、かつ防護管送り時の安定性を向上させることができるとともに、防護管接続具を、防護管の係止部に係合させることにより、防護管どうしの接続時に先行する防護管を確実に固定して後続の防護管との接続作業を円滑に行うことができる。
したがって、従来操作棒を介して人手で行っていた防護管接続作業を、従来と同様の切換弁のバルブ操作だけで行うことができる。これにより、人手作業で起きる防護管不完全接続という作業ミスを皆無にすることができるとともに、従来4工程必要であった接続作業を2工程に削減でき、接続作業に関しては操作棒が不要となり、作業性の向上、作業時間の短縮、労力の低減に絶大の効果を発揮することができる。
また、前記防護管接続具が、回転自在に設けられた回転ブラケットを介して支持されて防護管の搬送路に対して接近、離間自在に設けられかつ防護管の係止部に係合するストッパと、このストッパを支持する前記回転ブラケットを上記防護管の搬送路に向かって付勢するストッパ付勢手段とを有し、前記ストッパには前記防護管を載置支持するU字状の防護管支持部が形成され、しかも、前記ストッパは合成ゴム製であり、防護管を係止めし防護管どうしの接続が完了するのに必要な力に耐え得る硬度を有し、かつ接続完了後、さらに後続の防護管が押し込まれると、該ストッパ自体の弾性変形によって、1本目の防護管の前記係止部との係止めが解除されるようになっているものであるから、ストッパ付勢手段によって、防護管接続部のストッパを防護管の搬送路に向かって付勢することにより、移送中の防護管を安定して支持案内することができるとともに、防護管どうしの接続時に先行側の防護管の係止部としっかりと係合して後続の防護管との接続作業を円滑に行うことができる。したがって、多種の防護管の形状、管外径、使用環境(気温)で変わる硬さ、柱間で違う電線弛度によるパスライン変動に柔軟に対応できて、適応防護管の範囲を広げることができるとともに、係止め接続の信頼性を格段に向上させることができる。
また、ストッパ自体が弾性変形することにより、防護管どうしの接続後の、防護管の係止部との係合状態の解除を円滑に行うことができる。
【0046】
本発明の請求項2は、送りクローラに、この送りクローラを防護管に押し付けるクローラ押圧手段が設けられたものであるから、クローラ押圧手段によって、送りクローラを、搬送路に沿って移送されている防護管に押し付けることにより、送りクローラからの力を防護管に円滑に伝達することができて、防護管を確実に移送することができる。
したがって、防護管の両端部の凹凸形状に柔軟に対応することができて、防護管へのストレスを和らげることができ、破損を防止することができる上に、最適のパスラインで防護管を送り出すことができる。
【0047】
本発明の請求項3は、送りクローラが弾性変形可能な材料からなるものであるから、防護管の外表面に凹凸がある場合においても、送りクローラが弾性変形して該凹凸形状に柔軟に対応することにより、防護管を確実に移送することができる。
【0050】
本発明の請求項4は、ストッパが、防護管を電線から取り外す際にこの防護管の移送方向に回動して防護管の搬送路から退避するように構成されたものであるから、防護管を電線から取り外す際に、移送されている防護管によってストッパがこの防護管の移送方向に回動して防護管の搬送路から退避することにより、防護管の係止部にストッパが係合することなく、防護管を滑らかに移送することができて電線から容易に取り外すことができる。
【0051】
本発明の請求項5は、防護管の内部に挿入されてこの防護管を支持案内する矯正ガイドが、防護管の搬送路を挟んで送りクローラと反対側に配置されたものであるから、送りクローラによって移送されている防護管の内部に挿入される矯正ガイドによって、防護管の内面側が支持案内されることにより、防護管を円滑に移送することができるとともに、防護管どうしの接続時に防護管の移送姿勢を安定させることができて確実に防護管どうしを接続することができる。したがって、係止め接続の際のパスラインを矯正することにより、防護管の端部どうしの突き当たりによる接続ミスを皆無にできて、パスラインの変動に左右されることなく、常に安定した接続を行うことができ、係止め接続の信頼性を格段に向上させることができる。
【0052】
本発明の請求項6に記載の矯正ガイドは、ガイド本体の中間部が防護管の搬送路に沿って揺動自在に支持され、このガイド本体の両端に上記防護管の搬送路に突出する突起部がそれぞれ設けられてなるものであるから、防護管の通過にともない、矯正ガイドのガイド本体がその中間部を中心にして揺動することにより、ガイド本体の両端の突起部を交互に防護管の搬送路に突出させることができて、防護管の移送方向を矯正することができ、防護管のメス側端部を広げて防護管どうしの接続を円滑に行うことができる。
【0053】
本発明の請求項7は、防護管を電線に向かって送る際に、ガイド本体の前方側の突起部を防護管の搬送路に対して付勢する突起部付勢手段が上記ガイド本体に設けられたものであるから、この突起部付勢手段によって、ガイド本体の前方側の突起部が防護管の搬送路に突出するとともに、後方側の突起部が防護管の搬送路から退出することにより、この後方側の突起部と送りクローラとの間に十分な間隙を確保することができて、この間隙中に円滑に防護管を送り込むことができる。また、送りクローラの前方側に1本目の(先行する)防護管が停止した状態において、2本目(後続)の防護管が送り込まれると、この後続の防護管の先端が後方側の突起部を防護管の搬送路から退出させる方向にガイド本体を揺動させることにより、ガイド本体の前方側の突起部を防護管の搬送路側に突出させて、先行する防護管の後端を押し開くことができ、この先行する防護管の後端内に後続の防護管の先端を挿入し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】 防護管接続具の正面図である。
【図3】 図2の側面図である。
【図4】 送りクローラシステムの正面図である。
【図5】 図4の平面図である。
【図6】 矯正ガイドの正面図である。
【図7】 建築支障用防護管の正面図である。
【図8】 図7の右側面図である。
【図9】 図7の左側面図である。
【図10】 電線用保護管(樹木用保護管)の正面図である。
【図11】 図10の右側面図である。
【図12】 図10の左側面図である。
【図13】 1本目の防護管の先端を送りクローラの位置にセットした状態の正面図である。
【図14】 1本目の防護管の後端が送りクローラを通過した状態の正面図である。
【図15】 2本目の防護管の先端を送りクローラの位置にセットした状態の正面図である。
【図16】 電線から防護管を取り外す際の状態を示す正面図である。
【図17】 従来の防護管の電線への取り付け作業を示す正面図である。
【符号の説明】
9 電線
15 建築支障用防護管(防護管)
16 電線用保護管(樹木用保護管、防護管)
15c、16c 係止突起(係止部)
30 送りクローラ機構
300 駆動プーリ
301 補助プーリ
302 送りクローラ
310 コイルばね(クローラ押圧手段)
40 防護管接続具
406 コイルばね(ストッパ付勢手段)
409 ストッパ
409a 防護管支持部
50 矯正ガイド
501 (矯正)ガイド本体
502、503 突起部
504 コイルばね(突起部付勢手段)
Claims (7)
- 長手方向にスリットが形成された複数の防護管を電線のまわりに取り付けるとともに、これらの防護管どうしを互いに連結する防護管挿入機であって、
上記防護管を電線に接近、離間させる無端状の送りクローラが、一対のプーリに巻き掛けられた状態で上記防護管の搬送路に沿って設けられ、この送りクローラに隣接して、上記防護管の後端部に形成した係止部に係合する防護管接続具が設けられ、
前記防護管接続具が、回転自在に設けられた回転ブラケットを介して支持されて防護管の搬送路に対して接近、離間自在に設けられかつ防護管の係止部に係合するストッパと、このストッパを支持する前記回転ブラケットを上記防護管の搬送路に向かって付勢するストッパ付勢手段とを有し、
前記ストッパには前記防護管を載置支持するU字状の防護管支持部が形成され、しかも、前記ストッパは合成ゴム製であり、防護管を係止めし防護管どうしの接続が完了するのに必要な力に耐え得る硬度を有し、かつ接続完了後、さらに後続の防護管が押し込まれると、該ストッパ自体の弾性変形によって、1本目の防護管の前記係止部との係止めが解除されるようになっていることを特徴とする防護管挿入機。 - 送りクローラに、この送りクローラを防護管に押し付けるクローラ押圧手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の防護管挿入機。
- 送りクローラが弾性変形可能な材料からなることを特徴とする請求項1または2記載の防護管挿入機。
- ストッパは前記回転ブラケット(402)に支持軸(407)を介して回転自在に支持されており、前記ストッパが、防護管を電線から取り外す際にこの防護管の移送方向に回動して防護管の搬送路から退避するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防護管挿入機。
- 防護管の内部に挿入されてこの防護管を支持案内する矯正ガイドが、防護管の搬送路を挟んで送りクローラと反対側に配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防護管挿入機。
- 矯正ガイドは、ガイド本体の中間部が支承軸(500)によって防護管の搬送路に沿って揺動自在に支持され、このガイド本体の両端に上記防護管の搬送路に突出する突起部がそれぞれ設けられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防護管挿入機。
- 防護管を電線に向かって送る際に、ガイド本体の前方側の突起部を防護管の搬送路に対して付勢する突起部付勢手段が上記ガイド本体に設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防護管挿入機。
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