JP4149057B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りタイヤ、より詳細には、小形トラック、トラック及びバス用などのラジアルプライタイヤに関し、特に、タイヤのトレッドゴムの耐偏摩耗性の改善と耐摩耗性の向上とを両立させた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
小形トラック、トラック、バスなどの重車両と呼ばれる比較的車両総重量が重い車両に使用するラジアルプライタイヤ(以下空気入りタイヤ又はタイヤという)は、トレッド部の踏面の周りに沿って周回し連続して延びる周方向溝をトレッド部に備えるのが一般であり、この種の周方向溝をトレッド部に備える空気入りタイヤには、周方向溝縁に沿って、リバーウエア乃至レイルウエイ摩耗と呼ばれる偏摩耗が多少にかかわらず発生し、ときにはこの種の偏摩耗が進展して互いに隣り合う周方向溝相互間にわたり、トレッドゴム陸部にリブパンチと呼ばれる偏摩耗欠損部を生じさせる。これらの偏摩耗は、トレッドゴムの摩耗寿命を大幅に短くするばかりか、車両の操縦安定性や振動乗心地性を著しく損なう。また、直状周方向溝を備えるタイヤが、偏摩耗に対し最も不利であることは周知である。
【0003】
この種の偏摩耗を改善するため、トレッド部のトレッドゴムに、踏面周方向に連続して延びる一対の溝、一対の溝及び狭い切込み、一対の狭い切込みなどを設け、これら一対の溝又は狭い切込みにより、トレッドゴム陸部から離隔され、踏面からの段下がり表面をもつ複数本の段差陸部をトレッド部に形成したタイヤが提案され、この提案は偏摩耗改善に著しく貢献している。
【0004】
段差陸部の機能は、荷重負荷の下で転動するタイヤのトレッド部の接地面内にて、段差陸部の表面を路面に対して滑り接触させ、これにより車両の進行方向とは逆方向の周方向せん断力、いわばブレーキングフォースを段差陸部に集中させ、段差陸部を偏摩耗犠牲部とする働きにある。これにより、段差陸部をもたない周方向溝縁に生じていたブレーキングフォースによる局所摩耗発生、すなわちリバーウエアなどの偏摩耗発生を阻止するか、又は軽微なものとすることができることになる。以上から明らかなように、段差陸部は、一対の直状の溝又は狭い切込みの間に設ける場合の効果が最も著しく、一対のジグザグ状の溝又は狭い切込みの間に設ける場合がこれに次ぐ効果を発揮する。
【0005】
偏摩耗発生阻止のためには、段差陸部の表面に成るべく大きなブレーキングフォースを作用させればよく、ブレーキングフォースの大きさは、踏面から段差陸部表面までの段下がり代が或る値に達するまでほぼリニヤに増加するので、ブレーキングフォース増加の範囲内で、踏面から段差陸部表面までの段下がり代を成るべく大きく設定しているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、積載/非積載の頻度及び発進加速・停止の頻度が共に低く、かつ、車両の直進走行乃至直進に近い、いわゆる定常走行の時間割合が著しく多く、非定常走行時間の割合が少ない車両に装着する空気入りタイヤとしては、上述した段差陸部は顕著に優れた耐偏摩耗性を発揮する反面、例えば、地場トラック、路線バス、荷物配送トラックなどの車両のように、上記のような定常走行時間の割合が比較的少なく、却って非定常走行時間の割合が多く、この場合は必然的に旋回走行の割合も増え、タイヤへの横方向入力頻度が多い走行を行う車両に装着するタイヤとして、上述した段差陸部を備えるタイヤでは、十分な耐摩耗性が得られないことが分かった。
【0007】
元来、先に述べたリバーウエア偏摩耗や、この種の偏摩耗は、上記した定常走行を主とする走行において顕著に現れる症状であり、よって、これまでの段差陸部は、トレッド部の周方向偏摩耗犠牲部としての諸元が最重要視され、タイヤ回転軸方向(横方向)の諸元に対する配慮、主として横方向剛性に対する配慮が殆どなされていないため、車両旋回に伴うタイヤへの横方向入力が厳しい使用条件の下では、段差陸部の摩耗仕事量が、段差陸部周囲の陸部(リブ、ブロック、ラグなど)の摩耗仕事量に比し減少し勝ちである。ここに摩耗仕事量とは、単位面積当りの接地圧(kgf/mm2 )と滑り量(mm)との積に定数を掛け合わせた値である。
【0008】
その結果、或る程度走行が進んだタイヤの段差陸部の表面が、陸部を形成する踏面から突出する、という現象が見られる。この段差陸部の突出は、耐摩耗性の点で不利である他に、耐偏摩耗性の点でも不利益をもたらす。また、かように横方向入力が厳しいタイヤ使用条件の下では、ブレーキングフォース作用の結果として捉えられるトレッド部周方向引きずり成分による偏摩耗は発生し難いため、段差陸部本来の偏摩耗犠牲部としての役割を果たす機会が、定常走行における機会に比しより少なくなるのは止むを得ないところであり、よって、全体としてみて、段差陸部が耐摩耗性向上に貢献する度合いが大幅に減少しているのが現状である。
【0009】
そうかといって、全ての段差陸部の表面幅を大幅に広げ、段差陸部の横方向剛性を向上させれば、横方向入力が厳しいタイヤ使用条件の下では耐摩耗性向上に有利である反面、偏摩耗犠牲部としての段差陸部のトレッドゴムに占める体積割合が大幅に増加し、耐摩耗性を支配する、段差陸部を除く実際上の陸部の体積割合が大幅に減少するので、直進走行乃至直進走行に近い走行条件の下で、要求される耐摩耗性(トレッドゴムの摩耗寿命)を確保できない不利を併せもつ。
【0010】
従ってこの発明の請求項1〜5に記載した発明は、直進走行乃至直進走行に近い走行条件では偏摩耗の発生を抑制し、横方向入力が厳しい走行条件ではトレッドゴムの耐摩耗性を向上させることができ、二つの走行条件での使用に対し、耐偏摩耗性と耐摩耗性との双方を同時に向上させた、汎用性に富む空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載した発明は、トレッド部に、踏面周方向に連続して延びる一対の、溝又は狭い切込みによりトレッドゴム陸部から離隔され、踏面からの段下がり表面をもつ複数本の段差陸部を備え、該段差陸部は、その表面がタイヤの荷重負荷転動下で路面との間で滑り接触する偏摩耗犠牲部を形成して成る空気入りタイヤにおいて、
上記段差陸部の、踏面から段下がり表面までの段下がり代及び表面幅に関し、複数本の段差陸部相互間で、一方の段差陸部の段下がり代が、他方の段差陸部の段下がり代に比しより小さく、かつ、一方の段差陸部の表面幅が、他方の段差陸部の表面幅に比しより広い関係を有することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0012】
請求項1に記載した発明は、実際上、請求項2に記載した発明のように、前記一方の段差陸部及び他方の段差陸部双方における段下がり代が0.1〜3.0mmの範囲内にあり、前記一方の段差陸部及び他方の段差陸部双方における段下がり表面幅が5.0〜30.0mmの範囲内にあるのが適合する。
【0013】
また、一方の段差陸部と他方の段差陸部とを分けた状態では、請求項3に記載した発明のように、前記一方の段差陸部の段下がり代が0.1〜1.5mmの範囲内にあり、前記他方の段差陸部の段下がり代が0.5〜3.0mmの範囲内にあり、
前記段差陸部の表面幅に関し、一方の段差陸部の表面幅が10.0〜30.0mmの範囲内にあり、他方の段差陸部の表面幅が5.0〜15.0mmの範囲内にあるのが適合する。
【0014】
ここで、特に、段差陸部の段下がり代及び表面幅は、1998 JATMA YEAR BOOK(JATMA規格という)に記載された、タイヤ種類毎の適用リムにタイヤを組付け、タイヤとリムとの組立体に、JATMA規格が定める最高空気圧を充てんしたタイヤで測定するものとする。なお、適用リムは、JATMA規格に記載されているように、標準リムと許容リムとを含む。
【0015】
一方の段差陸部と他方の段差陸部とのトレッド部への配置に関しては、タイヤの種類により二通りの場合が存在し、まず、その一は、請求項4に記載した発明のように、トレッド部中央領域に1本以上の前記一方の段差陸部を有し、トレッド部中央領域の両側領域にそれぞれ1本以上の前記他方の段差陸部を有するタイヤとする。
【0016】
次に、その二は、請求項5に記載した発明のように、トレッド部中央領域に1本以上の前記他方の段差陸部を有し、トレッド部中央領域の両側領域にそれぞれ1本以上の前記一方の段差陸部を有するタイヤとする。
【0017】
ここに、トレッド部中央領域とは、タイヤ赤道面を挟む両側それぞれに、踏面幅を3等分した1/3幅を等分に振り分けた領域を指し、トレッド部の両側領域とは、中央領域の両側に位置し、踏面幅の1/3幅を有する領域である。トレッド部がラウンドショルダ乃至面取り状ショルダの場合は、タイヤ断面にて、バットレスの延長線と、踏面輪郭線の延長線との交点相互間距離を踏面幅と定める。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態例を図1〜図6に基づき説明する。
図1は、この発明の空気入りタイヤの回転軸線を含む平面による断面図であり、
図2は、図1に示す空気入りタイヤの踏面展開図であり、
図3は、図2に示す踏面展開図のIII −III 線に沿う拡大断面図であり、
図4は、図2に示す踏面展開図のIV−IV線に沿う拡大断面図であり、
図5は、図2に示す踏面展開図のV −V 線に沿う拡大断面図であり、
図6は、図1に示すタイヤとは別の段差陸部を有する空気入りタイヤの図2同様に示すIV−IV線に沿う拡大断面図である。
【0019】
図1において、空気入りタイヤは、トレッド部1と、トレッド部1の両側に連なる一対のサイドウォール部2及びビード部3とを有し、これら各部1、2、3を補強するため、各ビード部3内部に埋設したビードコア4相互間にわたり延びるカーカス5と、さらにトレッド部1を強化するベルト6とを備え、トレッド部1はベルト6の外周側にトレッドゴム7を有する。カーカス5は1プライ以上、図示例は1プライのラジアル配列スチールコードのゴム被覆プライを有し、ベルト6は2層以上、図示例は4層のスチールコード層を有する。
【0020】
図1〜図5を合わせ参照し、トレッド部1は、踏面1t周方向に連続して延びる一対の溝又は狭い切込み10、11と、一対の狭い切込み又は溝12及び溝13と、一対の狭い切込み又は溝14及び溝15とを有し、トレッド部1は、
一対の溝又は狭い切込み10、11により、トレッドゴム7の陸部7L1 、7L2 から離隔され、踏面1tからの段下がり表面20sをもつ段差陸部20と、
一対の狭い切込み又は溝12及び溝13により、トレッドゴム7の陸部7L1 、7L3 から離隔され、踏面1tからの段下がり表面21sをもつ段差陸部21と、そして
一対の狭い切込み又は溝14及び溝15により、トレッドゴム7の陸部7L2 、7L4 から離隔され、踏面1tからの段下がり表面22sをもつ段差陸部22との複数本(図示例は3本)の段差陸部を備える。
【0021】
これら段差陸部20、21、22の表面20s、21s、22sは、タイヤの荷重負荷転動の下で路面との間で接触すると共に、路面との間で不可避的に発生する踏面1t周方向のタイヤ進行方向とは逆方向のせん断力、換言すればブレーキングフォースの作用を受け、路面に対し滑り接触し、それ故に、段差陸部20、21、22は、他の陸部7L1 、7L2 、7L3 、7L4 に生じる筈の偏摩耗を肩代わりする偏摩耗犠牲部の役目を果たす。
【0022】
ここで、図3〜図5において、複数本の段差陸部20、21、22の、踏面1tの端縁から段下がり表面20s、21s、22sまでの段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)と、タイヤ回転軸方向の段下がり表面20s、21s、22幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)とに関し、一方の段差陸部20と、他方の段差陸部21、22との二つのグループに分け、これら二つのグループ相互間で、
一方の段差陸部20の段下がり代d20(mm)が、他方の段差陸部21、22の段下がり代d21(mm)、d22(mm)に比しより小さく、かつ、
一方の段差陸部20の表面20s幅w20(mm)が、他方の段差陸部21、22の表面21s、22幅w21(mm)、w22(mm)に比しより広い、
という関係を満たすものとする。
【0023】
これらの相互関係をより一層明確にするため書換えれば、
段差陸部の段下がり代dについては、
20(mm)<d21(mm)、d20(mm)<d22(mm)であり、
段差陸部の表面幅wについては、
20(mm)>w21(mm)、w20(mm)>w22(mm)である、
ということである。
なお、通常は、d21(mm)=d22(mm)又はd21(mm)≒d22(mm)とし、w21(mm)=w22(mm)又はw21(mm)≒w22(mm)とし、特別なケースで、d21(mm)≠d22(mm)、w21(mm)≠w22(mm)としても良い。
【0024】
さて、研究成果を纏めた、段差陸部の段下がり代dとブレーキングフォースとの関係を線図として示す図7と、段差陸部の表面幅wとブレーキングフォースとの関係を線図として示す図8とから、段下がり代dをゼロから或る値dmax まで増加させる間にブレーキングフォースは単純に増加し、値dmax を超えて段下がり代dを増加させると、ブレーキングフォースはその最大値BFmax から急激に低下し、これに対し、段差陸部表面幅wをほぼゼロに近い値から増加させるとブレーキングフォースは、サチュレート傾向を示しながら増加することが分かる。これらの事実は、要するに、段差陸部に生じさせるブレーキングフォースの大きさは、値dmax 以下の段下がり代dと、段差陸部表面幅wとの組み合わせで容易に制御することができることを意味している。
【0025】
この事柄を別の研究成果として、段差陸部のトレッド部1周方向摩耗仕事量をパラメータとして、段差陸部の段下がり代dと表面幅wとの相互関係を纏めたところ、図9に示す線図が得られた。図9に示す線図から、同一周方向摩耗仕事量を段差陸部に課すための段差陸部の段下がり代dと表面幅wとの組み合わせは無数に存在することが分かる。
【0026】
さらに、段差陸部の段下がり代dを一定とし、段差陸部の表面幅wと段差陸部の横方向(タイヤ回転軸方向)剛性との関係を線図として示す図10から、表面幅wを増加させると、ほぼリニヤに段差陸部の横方向剛性が増加することが分かっている。
【0027】
図7〜図10に示す線図群を合わせ考慮すると、段差陸部20の段差陸部の表面幅w20(mm)を、段差陸部21、22の表面幅w21(mm)、w22(mm)より広くとり、その代わりに、段差陸部20の段下がり代d20(mm)を、段差陸部21、22の段下がり代d21(mm)、d22(mm)より小さくとっても、段差陸部20における、ブレーキングフォースの大きさと、周方向摩耗仕事量の大きさとを、段差陸部21、22のそれらとほぼ同じにすることが可能となり、その結果、一対の溝又は狭い切込み10、11における耐偏摩耗性は、一対の狭い切込み又は溝12及び溝13及び一対の狭い切込み又は溝14及び溝15の耐偏摩耗性と同等に高度に保持することができる。
【0028】
その一方で、段差陸部20の表面幅をw20(mm)を、段差陸部21、22の表面幅w21(mm)、w22(mm)より広くとることにより、段差陸部20の横方向剛性が、段差陸部21、22の横方向剛性より高めることができるので、車両旋回時にタイヤに発生するサイドフォースに対し、一方の段差陸部20は十分に対抗し、逃げることが少なくなり、その結果、サイドフォースの作用下で、少なくとも段差陸部20は、その周囲の陸部7L1 、7L2 に合わせて適度に摩耗し、従来タイヤのように、段差陸部が突出する不具合が生じることはなく、しかも適度な段下がり代を確保することができ、優れた耐偏摩耗性を保持することができる。
【0029】
よって、一方の段差陸部20は大きなサイドフォースの作用領域に配置し、より小さなサイドフォースの作用領域に他方の段差陸部21、22を配置することにより、サイドフォースの作用による段差陸部21、22の突出は抑制され、段差陸部21、22本来の偏摩耗抑制機能を十分に発揮させることができ、さらに段差陸部20、21、22の合計幅(w20+w21+w22)をそれほど広くとる必要はなく、トレッドゴム7の耐摩耗性も優位に保持することができる。
【0030】
上記したところは、一方の段差陸部20と、他方の段差陸部21、22との二つのグループに分けて説明したが、三つ以上のグループに分け、例えば一方の段差陸部20を第一の段差陸部20、他方の段差陸部21、22を第二の段差陸部21、第三の段差陸部21のよう呼び、第一の段差陸部20と第二の段差陸部21との相互間、第一の段差陸部20と第三の段差陸部22との相互間、第二の段差陸部21と第三の段差陸部22との相互間で、前記の段下がり代d関係、前記の幅w関係を満たすようにすることを可とする。勿論、第四以上の段差陸部を設けることを可とする。
【0031】
図1〜図5に示すタイヤは、先に詳述したような相互関係をもつ、段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)と、表面幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)とをもつ段差陸部20、21、22につき、図1に示すように、両方の踏面端TE間距離である踏面幅Wを3等分した幅1/3Wをタイヤ赤道面Eの両側に均等に振り分けたトレッド部1中央領域Rc(図2の展開図ではRcdで示す)に一方の段差陸部20を有し、幅1/3W宛のトレッド部1両側領域Rs(図2の展開図ではRsdで示す)にそれぞれ他方の段差陸部21、22を有するものである。このタイヤは比較的大きなサイドフォースが比較的高頻度で発生する非定常走行を行う使用条件の使用下でトレッドゴム7の耐偏摩耗性に優れ、定常走行下での耐摩耗性に優れる特徴を有する。
【0032】
図示は省略したが、トレッド部1の中央領域Rcに段差陸部21又は段差陸部22を1本以上備え、両側領域Rsそれぞれに段差陸部20を備えるタイヤも可とし、このタイヤは、接地圧分布がいわゆる蝶々型分布を有し、主として定常走行を行う使用条件下で、優れた耐偏摩耗性と優れた耐摩耗性とを兼ね備えるタイヤとして適合する。なお、先に述べたタイヤは、接地圧分布が、蝶々型分布をなすタイヤと、いわゆる樽型分布をなすタイヤの両者に適合する。
【0033】
以上は両極端な使用条件下での段差陸部配分について述べたが、段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)と、表面幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)とを、以下に述べるように適正な値の範囲内で設定すれば、殆ど全ての使用条件の下で、耐偏摩耗性と耐摩耗性との兼ね合いを最良の状態とすることが可能なタイヤを得ることができる。
【0034】
まず、一方の段差陸部20及び他方の段差陸部21、22の両者は、段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)は0.1〜3.0mmの範囲内であること、そして、表面幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)は5.0〜30.0mmの範囲内である、ということである。
【0035】
段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)は、3.0mmを超えると、荷重負荷転動下のタイヤの接地面で段差陸部20、21、22の表面が路面と接触しなくなるうれいが生じる。なお、下限値は、直進走行乃至直進に近い走行が進むと、段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)は増加する傾向を有するのでほぼゼロに近い値(0.1mm)で十分である。
【0036】
表面幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)は、5.0mm未満では、ブレーキングフォースが小さ過ぎて耐偏摩耗性が低下し、合わせて、横方向剛性が小さくなり過ぎ、コーナリングの繰り返しで踏面1tから突出し、30.0mmを超えると段差陸部の横方向剛性は増加するが、直進走行乃至直進に近い走行での耐摩耗性には殆ど寄与しないトレッドゴム7部分が増加し過ぎるため、トレッドゴム7の摩耗寿命が低下するので、いずれも不可である。
【0037】
段下がり代d20(mm)、d21(mm)、d22(mm)と、表面幅w20(mm)、w21(mm)、w22(mm)とを一方の段差陸部20と他方の段差陸部21、22とに分けるとき、段差陸部20の段下がり代d20(mm)は、0.1〜1.5mmの範囲内であり、段差陸部21、22の段下がり代d21(mm)、d22(mm)は0.5〜3.0mmの範囲内が適合する。また、段差陸部20の表面幅w20(mm)は、10.0〜30.0mmの範囲内であり、段差陸部21、22の表面幅w21(mm)、w22(mm)は、5.0〜15.0mmの範囲内が適合する。
【0038】
図6に示す段差陸部21は、図4に示す段差陸部21の変形例であり、狭い切込み溝12の幅に比しより幅が広い溝13側に面取り部21pを有する。面取り部21pを備える段差陸部21の表面幅w21(mm)は、図示のように、面取り部21p側の基準を面取り部21p下端とする。この種のタイヤは砂利などが点在乃至散在する路面を走行する機会があるため、特に、溝13に小石を噛み込むことがあり、そのため小石などの異物が溝13に噛み込み難くするための面取り部21pである。この面取り部21pと同様な面取り部を対向する段差陸部22にも設ける。
【0039】
以上述べた、一対の溝又は狭い切込み10、11と、一対の狭い切込み又は溝12及び溝13と、一対の狭い切込み又は溝14及び溝15とは直状であるが、振幅がちいさなジグザグ状としても良い。なお、図2に示す符号S1 は長いサイプであり、符号S2 は極く短いサイプである。陸部7L1 、7L2 は、全体としてリブであるが、サイプS1 によりブロック状に区画されている。
【0040】
【実施例】
トラック及びバス用ラジアルプライタイヤで、サイズは295/75R22.5(チューブレスタイヤ)であり、構成は図1〜図3及び図5、6に示すところに従い、カーカス5は1プライのラジアル配列スチールコードのゴム被覆プライになり、ベルト6は、4層のゴム被覆チールコード層からなる。
【0041】
トレッド部1は、中央領域Rcに1本の段差陸部20と、両側領域Rsにそれぞれ1本の段差陸部21、22とを備え、段差陸部20の段下がり代d20は0.5mm、表面幅w20は20mmであり、段差陸部21、22の段下がり代d21、d22は2.5mmであり、表面幅w21、w22は面取り部下端基準で5.0mmである。また、一対の溝又は狭い切込み10、11の深さD1 (図3参照)は14.5mmであり、一対の狭い切込み又は溝12及び溝13の深さD2 (図4参照)と、一対の狭い切込み又は溝14及び溝15の深さD3 (図5参照)とは共に14.5mmである。
【0042】
実施例の比較対象として、図11に踏面展開図を示すトレッドパターンを備える比較例タイヤを準備した。比較例タイヤのトレッド部は、中央領域Rc(展開図ではRcd領域)に2本の周方向直状溝30、31を備え、両側領域Rs(展開図ではRcd領域)に、一対の狭い切込み32及び溝33により離隔される段差陸部34と、一対の狭い切込み35及び溝36により離隔される段差陸部37とを有し、段差陸部34及び段差陸部37は同一諸元を有し、段下がり代dが2.5mm、面取り部下端基準の表面幅wが9.0mmである。上記した以外の構成及び諸元は全て実施例に合わせた。
【0043】
以上の実施例タイヤ及び比較例タイヤと、トレッド部が、段差陸部をもたず、比較例タイヤと同じ周方向直状溝30、31をそれぞれ2本宛(合計4本)備える比較例タイヤとほぼ同じトレッドパターンを有する従来例タイヤとを、以下の二種の異なる使用条件のユーザで実地試験に供した。
【0044】
(1)偏摩耗の度合いが著しく、溝乃至狭い切込みに沿うリバーウエアが陸部に進展し、遂には陸部にリブパンチと呼ばれる最も著しい偏摩耗がしばしば発生するユーザ。
(2)或る程度の偏摩耗は発生するが、リブパンチなどの著しい偏摩耗には至らないユーザ。
【0045】
試験結果の纏めを以下に記す。
(1)項に記載したユーザ試験結果(指数であらわす。値は大なるほど良い);
トレッドゴム摩耗により取り外すまでに走行した距離(指数表示);
実施例タイヤは比較例タイヤの指数100に対し115であり、従来例タイヤは75に止まる。その内容は、実施例タイヤには偏摩耗が殆ど発生せず、これに対し比較例タイヤは、トレッド部中央領域で著しいリブパンチが発生し、かつ、両側領域では早期摩耗が生じていた。
なお、偏摩耗の度合いが或る程度進むと、タイヤは棄却されるのが通例であり、この棄却限界に至るまで使用したトレッドゴム厚さ(溝などの深さ)でみると、比較例タイヤ100に対し実施例タイヤは115、従来例タイヤは60である。
【0046】
(2)項に記載したユーザ試験結果(指数であらわす。値は大なるほど良い);
実施例タイヤは比較例タイヤと同じく偏摩耗が殆ど発生せず、トレッドゴム1mm摩耗当りの走行距離でみる耐摩耗性の指数は両者共に100である。従来例タイヤの耐摩耗性は85に止まった。なお、実施例タイヤのトレッド部1中央領域Rcの段差陸部20は、段下がり代d20はほぼゼロとなり、偏摩耗犠牲部ではなく、一種のリブ(完全な陸部)として耐摩耗性向上に大きく寄与していることが分かった。
【0047】
【発明の効果】
この発明の請求項1〜5に記載した発明によれば、直進走行乃至直進走行に近い定常走行を主とする使用条件では偏摩耗の発生を抑制して使用限界距離を伸ばし、横方向入力が厳しい非定常走行を主とする走行条件ではトレッドゴムの耐偏摩耗性及び耐摩耗性を向上させることができ、二種の異なる走行条件での使用に対し、耐偏摩耗性と耐摩耗性との双方を同時に向上させた、汎用性に富む長寿命の空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例の空気入りタイヤの断面図である。
【図2】図1に示すタイヤの踏面展開図である。
【図3】図2に示すIII − III線に沿う断面図である。
【図4】図2に示すIV− IV 線に沿う断面図である。
【図5】図2に示すV − V線に沿う断面図である。
【図6】図4に示す段差陸部の変形例の断面図である。
【図7】段差陸部の段下がり代とブレーキングフォースとの関係を示す線図である。
【図8】段差陸部の表面幅とブレーキングフォースとの関係を示す線図である。
【図9】段差陸部の段下がり代と表面幅との関係線図である。
【図10】段差陸部の表面幅と横方向剛性との関係を示す線図である。
【図11】比較例タイヤの踏面展開図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1t 踏面
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 カーカス
6 ベルト
7 トレッドゴム
7L1 、7L2 、7L3 、7L4 陸部
10、11 一対の溝
12、13 一対の狭い切込みと溝
14、15 一対の狭い切込みと溝
20 一方の段差陸部
20s 段差陸部表面
21、22 他方の段差陸部
21s、22s 段差陸部表面
21p 面取り部
E タイヤ赤道面
TE 踏面端
Rc トレッド部中央領域
Rs トレッド部両側領域
Rcd 中央領域の展開幅
Rsd 両側領域の展開幅
20、d21、d22 段差陸部の段下がり代
20、w21、w22 段差陸部の表面幅
1 長いサイプ
2 短いサイプ

Claims (5)

  1. トレッド部に、踏面周方向に連続して延びる一対の、溝又は狭い切込みによりトレッドゴム陸部から離隔され、踏面からの段下がり表面をもつ複数本の段差陸部を備え、該段差陸部は、その表面がタイヤの荷重負荷転動下で路面との間で滑り接触する偏摩耗犠牲部を形成して成る空気入りタイヤにおいて、
    上記段差陸部の、踏面から段下がり表面までの段下がり代及び表面幅に関し、複数本の段差陸部相互間で、一方の段差陸部の段下がり代が、他方の段差陸部の段下がり代に比しより小さく、かつ、一方の段差陸部の表面幅が、他方の段差陸部の表面幅に比しより広い関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記一方の段差陸部及び他方の段差陸部双方における段下がり代が0.1〜3.0mmの範囲内にあり、前記一方の段差陸部及び他方の段差陸部双方における段下がり表面幅が5.0〜30.0mmの範囲内にある請求項1に記載したタイヤ。
  3. 前記一方の段差陸部の段下がり代が0.1〜1.5mmの範囲内にあり、前記他方の段差陸部の段下がり代が0.5〜3.0mmの範囲内にあり、
    前記段差陸部の表面幅に関し、一方の段差陸部の表面幅が10.0〜30.0mmの範囲内にあり、他方の段差陸部の表面幅が5.0〜15.0mmの範囲内にある請求項1又は2に記載したタイヤ。
  4. トレッド部中央領域に1本以上の前記一方の段差陸部を有し、トレッド部中央領域の両側領域にそれぞれ1本以上の前記他方の段差陸部を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載したタイヤ。
  5. トレッド部中央領域に1本以上の前記他方の段差陸部を有し、トレッド部中央領域の両側領域にそれぞれ1本以上の前記一方の段差陸部を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載したタイヤ。
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