JP4149021B2 - 光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系とそれを含む撮像装置に関し、特に、レリーフ面に保護層を設けたレリーフ型回折光学素子を含み帯域光が入射する光学系、及び、この光学系を含む撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、収差補正や光学系の小型化等のため、回折光学素子、特にレリーフ型回折光学素子がよく用いられるようになってきた。レリーフ型回折光学素子とは、図1に断面を示すように、表面に形成された深さ方向に構造を持つレリーフパターンによって光を回折するものである。このレリーフパターンは非常に微細であり、可視光を利用する場合、通常そのピッチは数μmから数百μm程度である。
【0003】
このように、微細なパターンが表面に形成されているため、レリーフ型回折光学素子の表面は汚れやすい。溝の底に埃等がたまりやすく、また、指紋等の汚れが付着しても通常の屈折レンズとは異なり拭き取ることは困難である。また、凹凸パターンの凸部は欠けやすく、傷が付きやすい。そのため、例えばカメラの撮像光学系に回折光学素子を用いた場合、レリーフパターンの形成された回折面を物点側の第1面に配置することはできない。
【0004】
このような問題に対して、回折面に保護層を形成し、表面を平坦化する方法がある。例えば特開平2−43503号においては、表面にレリーフ格子パターンを形成したグレーティング層上に保護層を設け、表面を平坦化している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回折面上に保護層を形成すると、光学性能が低下し、この回折光学素子を利用した光学系ではフレアーやゴースト等が強く発生し、像の画質が低下してしまう場合もある。
【0006】
レリーフ型の回折光学素子には、レリーフ形状のある溝深さに対して、ある波長である回折次数光の回折効率が最高となり、波長がそれからずれるとその回折次数光の回折効率は低くなるという性質がある。例えば、図1(a)に示すように断面が鋸歯形状の回折光学素子は、空気中に置かれている場合には、溝深さdが次の式(10)を満たすとき、波長λ0 でm次光の回折効率が100%となる。
【0007】
d=mλ0 /{n1 (λ0 )−1} ・・・(10)
ここで、n1 (λ0 )は回折光学素子のレリーフ面の材料の波長λ0 における屈折率である。以降、このような回折効率が最高値となる波長λ0 を最適化波長と呼ぶ。
【0008】
最適化波長λ0 を510nmとした場合の、可視域における1次光の回折効率を図2に示す。ただし、回折光学素子はBSL7((株)オハラ製。nd =1.51633,νd =64.1)からなっているとする。図2から分かるように、波長510nmにおいては回折効率は100%となるが、それより長波長及び短波長の領域では回折効率が低下する。このとき、その低下分は他の回折次数光、主に0次光と2次光として回折する。図3に、最適化波長λ0 の場合の0次光及び2次光の回折効率を示す。0次光は長波長域で回折効率が高くなり、2次光は短波長域で回折効率が高くなる。
【0009】
したがって、白色光のように波長範囲の広い光を回折光学素子に入射すると、像の形成に使用する回折次数光(ここでは、1次光)以外の不要な回折次数光(ここでは、主に0次光及び2次光)が発生し、それはフレアーやゴースト等の原因となり、像の質が悪化してしまう。
【0010】
このレリーフ型回折光学素子の回折面上に、図4のように、回折光学素子の材料と異なる材料からなる保護層を形成した場合を考える。この保護層をなす材料の屈折率をn2 とすると、保護層がない場合と同様に、回折次数m、最適化波長λ0 で回折効率を100%とするためには、溝深さd’を次の式(11)のようにする必要がある。
【0011】
d’=mλ0 /{n1 (λ0 )−n2 (λ0 )} ・・・(11)
例えば、レリーフ型回折光学素子をBSL7、保護層をPC(ポリカーボネート)とした場合、最適化波長λ0 を510nmとすると、可視域における1次光の回折効率は図5の▲1▼のようになる。なお、図中の▲2▼は保護層を設けない場合の1次光の回折効率であり、図2と同じものである。図5から分かるように、この場合も、回折効率は最適化波長から離れるに従って下るが、保護層がない場合よりも下がり方が大きい。特に短波長域での低下が大きい。また、0次光と2次光の回折効率は図6のようになり、1次光の回折効率が低下した分、0次光と2次光の回折効率が高くなる。
【0012】
このように、レリーフ型回折光学素子の回折面上に保護層を設けると、回折効率の波長依存性が大きくなり、像形成に使用する回折次数光の回折効率が最適化波長に対して短波長域及び長波長域で低下し、像形成に不要な回折次数光の回折効率がこれらの波長域で高くなることがある。したがって、保護層を設けることで、不要次数光による像への影響、すなわちフレアーやゴースト等が強くなり、像の質の劣化が大きくなる場合がある。
【0013】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、その目的は、回折面上に保護層を設けても像の質が低下するのを防ぎ、さらに、不要次数光の影響を抑えて、高い像の質を得ることができる光学系とそれを含む撮像装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の光学系は、対象物からの帯域光が入射する結像光学系において、
表面にレリーフ形状の回折格子溝を有する光学部材と、
前記光学部材とは異なる材料からなり、前記光学部材の表面上に形成された保護層と、
前記光学部材からの回折光の中で、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光の強度を低減する波長帯域制限手段と、
を有し、
前記光学部材、前記保護層、及び前記波長帯域制限手段が、前記対象物より像側に配置されており、
前記波長帯域制限手段が、前記光学部材における、前記保護層とは反対の面に設けた多層膜によって構成されることを特徴とする結像光学系である。
【0015】
この発明においては、レリーフ型回折光学素子と波長帯域制限手段とを有する。ここで、レリーフ型回折光学素子は、表面に回折面としてのレリーフ形状を有する光学部材と、その表面上に形成され、その光学部材とは異なる材料からなる保護層とを有する。そのため、このレリーフ型回折光学素子に白色光等の帯域光が入射すると、帯域光は回折面で回折され、像形成に必要な回折次数の回折光の他に、像形成には不要な次数の回折光も発生する。このレリーフ型回折光学素子の回折面上には保護層が設けられているため、保護層を設けない場合と比べて、短波長域と長波長域で特に不要次数光が強くなる場合もある。
【0016】
例えば、表面にレリーフ形状を有する光学部材がBSL7、保護層がPCであり、可視光の1次光を像形成に使用する場合を考える。最適化波長を510nmとすると、1次光の回折効率は図5に示したようになり、像形成に不要な0次光及び2次光の回折効率は図6に示したようになる。
【0017】
レリーフ型回折光学素子の回折面で発生したこれらの回折光は、波長帯域制限手段に入射する。波長帯域制限手段は、レリーフ型回折光学素子の回折面で発生した回折光の中、像形成に不要な次数の回折光の影響を低減するものである。例えば、波長帯域制限手段が図7のような透過率分布を有するものであるとすれば、不要次数光の強度が高い波長域で透過率が低いため、この波長帯域制限手段を透過した不要次数光の相対的な強度分布は図8のようになり、強度は大幅に低減する。ただし、ここで、レリーフ型回折光学素子の回折面に入射する光の強度分布は波長に対して一様であるとしている。また、強度の相対値は、レリーフ型回折光学素子の回折面に入射する前の強度を1としている。
【0018】
一方、像形成に必要な1次光は、使用する波長域すなわち可視域においては波長域制限手段の透過率が高く、波長に対して略平坦なため、全体的に若干強度が弱くなるだけで波長に対する強度分布は大きくは変わらずに波長帯域制限手段を透過する。
【0019】
以上から、レリーフ型回折光学素子の回折面で回折した回折光が波長帯域制限手段を透過すると、像形成に必要な回折次数光は効率良く透過し、像形成に不要な回折次数光は大幅に除去できることが分かる。
【0020】
以上は、レリーフ型回折光学素子の回折面より光の射出側に波長帯域制限手段が配置されている場合であったが、波長帯域制限手段はレリーフ型回折光学素子の回折面より光の入射側に配置されていてもよい。この場合は、物点からの白色光はまず波長帯域制限手段に入射する。そして、像形成に必要な波長域の光は効率的に透過し、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光は除去され、レリーフ型回折光学素子の回折面に入射する。レリーフ型回折光学素子の回折面で回折を受けると、像形成に必要な回折次数光と共に不要次数光も発生するが、すでに不要次数光の回折効率が高くなる波長域の光の強度は弱くなっている。そのため、発生した不要次数光の強度も弱く、像へ及ぼす影響も小さくなっている。
【0021】
この発明においては、像形成に必要な回折次数光は、波長帯域制限手段を効率良く透過し、像形成に不要な回折次数光は波長帯域制限手段で大幅に除去できるため、レリーフ型回折光学素子の回折面上に保護層を設け不要次数光の影響が大きくなった場合でも、不要次数光の影響、つまりフレアーやゴースト等を効率良く低減することができる。そのため、高い質の像を得ることができる。
【0022】
また、像の質を落とすことなく、回折面上に保護層を設けたレリーフ型回折光学素子を組み込むことができるため、耐環境性に優れた光学系を得ることができる。
【0023】
また、回折面に保護層が設けられているため、例えばカメラの望遠レンズ系に使用する場合、回折面を物点側に配置することが可能となり、設計上の自由度が大きくなり、応用範囲を広げることができる。
【0024】
上記発明の光学系において、レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が、波長帯域制限手段を構成するようにすることができる。
【0025】
この構成は、後記の光学系の第1の実施の形態が対応する。
この構成においては、レリーフ型回折光学素子以外の結像光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が波長帯域制限手段を有する。
【0026】
光の進行順に見て、レリーフ型回折光学素子の後に波長帯域制限手段が配置されている場合を考える。このとき、レリーフ型回折光学素子に帯域光が入射すると、像形成に必要な回折次数光と不要な回折次数光とが発生する。像形成に不要な回折次数光は波長帯域制限手段に入射して、回折効率が高くなる波長域の光が波長帯域制限手段で除去されるため、大幅に低減されて射出する。一方、像形成に必要な回折次数光も波長帯域制限手段に入射するが、波長帯域制限手段は像形成に必要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域では透過率が高く、効率良く透過することになる。したがって、不要次数光のみ除去されて、像に対する不要次数光の影響が低減される。
【0027】
以上は、レリーフ型回折光学素子、波長帯域制限手段の順に配置されている場合であるが、その配置は逆でもよい。
ここで、波長帯域制限手段はレリーフ型回折光学素子とは別の素子であるため、レリーフ型回折光学素子に特別な処理をする必要はなく、レリーフ型回折光学素子の保護層は使用する波長域で透明であればよい。
【0028】
また、レリーフ型回折光学素子はそのままで、波長帯域制限手段は制限する波長帯域が異なるものに取り換えて、使用する波長域を変えることができる。逆に、波長帯域制限手段はそのままで、レリーフ型回折光学素子を別のものに取り換えることもできる。
【0029】
この構成においては、波長帯域制限手段がレリーフ型回折光学素子とは別の素子であるため、レリーフ型回折光学素子には特別処置を施す必要がなく、保護層も特別のものである必要はない。そのため、レリーフ型回折光学素子を容易に安価に製作することができ、安価な結像光学系を得ることができる。
【0030】
また、レリーフ型回折光学素子を変えることなく、制限する波長帯域を変えることができ、逆に制限する波長帯域を変えずに、レリーフ型回折光学素子だけを変えることもできる。したがって、目的に合わせて使用波長域だけを変えたり、使用波長域は変えずに結像性能を変えたりすることができ、汎用性の高い結像光学系を得ることができる。
【0031】
上記のレリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が波長帯域制限手段を構成する場合に、波長帯域制限手段には、レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部の表面に設けた多層膜が含まれる構成とすることができる。
【0032】
この構成は、後記の光学系の第1の実施の形態が対応する。
この構成においては、波長帯域制限手段には、レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部の表面に設けた多層膜が含まれる。この光学素子は、例えば屈折レンズやプリズム等である。これらは、元々光学系として必要な光学素子であり、その光学素子の表面に多層膜を設けるため、波長帯域を制限するために特に光学部材を追加する必要がない。
【0033】
この構成においては、多層膜は光学系を構成する光学素子の少なくとも一部の表面に設けられており、波長帯域を制限するための光学部材を特に追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0034】
また、前記発明の光学系において、レリーフ型回折光学素子が波長帯域制限手段を有する構成とすることができる。
【0035】
この構成は、後記の光学系の第2の実施の形態が対応する。
この構成においては、レリーフ型回折光学素子が波長帯域制限手段を有する。すなわち、波長帯域制限手段はレリーフ型回折光学素子とは別の素子ではなく、レリーフ型回折光学素子内に含まれている。
【0036】
このレリーフ型回折光学素子に入射した帯域光は、レリーフ型回折光学素子の回折面で回折を受け、像形成に必要な回折次数光と不要な回折次数光が発生する。それと同時に、発生した不要次数光は不要次数光の回折効率が高くなる波長域の光強度を低減する波長帯域制限手段により弱められ、像形成に使用する回折次数光は効率良く透過する。そのため、レリーフ型回折光学素子からは像形成に必要な回折次数光と、大幅に強度が低減された不要次数光が射出することになる。
【0037】
この構成においては、レリーフ型回折光学素子自体が波長帯域制限手段を有するため、入射光を回折して像形成に必要な回折次数光を発生すると共に、レリーフ型回折光学素子だけで像形成に不要な回折次数光の影響を低減することができる。そのため、不要次数光の影響を低減するために他の素子を必要とせず、光学系を小型化することができる。
【0038】
上記のレリーフ型回折光学素子が波長帯域制限手段を有する構成において、波長帯域制限手段はレリーフ型回折光学素子の保護層とすることができる。
【0039】
この構成は、後記の光学系の第2の実施の形態が対応する。
この構成においては、波長帯域制限手段はレリーフ型回折光学素子の保護層である。すなわち、レリーフ型回折光学素子の保護層は、回折面を保護すると同時に、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光を吸収し、像形成に使用する波長域の光を透過する。そのため、回折面上に保護層を形成するだけで、像形成に不要な回折次数光の影響を除去することができる。
【0040】
この構成においては、保護層が回折面を保護すると同時に、像形成に不要な回折次数光の影響を除去することができるため、保護層を形成するだけで不要次数光の影響の低減された良好な像が得られる。そのため、容易で安価にレリーフ型回折光学素子を製造することができ、安価な光学系を得ることができる。
【0041】
上記のレリーフ型回折光学素子が波長帯域制限手段を有する構成において、波長帯域制限手段は、レリーフ型回折光学素子の保護層と、レリーフ型回折光学素子の保護層とは反対の面に設けた多層膜とによって構成することができる。
【0042】
この構成は、後記の光学系の第2の実施の形態が対応する。
この構成においては、波長帯域制限手段は、レリーフ型回折光学素子の保護層と、レリーフ型回折光学素子の保護層とは反対の面に設けた多層膜である。このとき、保護層は像形成に不要な回折次数光の回折効率が高い波長域の中、例えば短波長域で透過率が低いものであり、多層膜は長波長域で透過率が低いものとする。すると、レリーフ型回折光学素子に入射した帯域光の中、短波長域で回折効率が高くなる不要次数光は保護層で除去され、長波長域で回折効率が高くなる不要次数光は多層膜で除去され、光が光学系を射出したときには、不要次数光は短波長域でも長波長域でも大幅に低減されていることになる。
【0043】
このように、短波長域及び長波長域で強くなる不要次数光を、短波長域では保護層、長波長域では多層膜で除去することができ、像における不要次数光の影響を短波長域と長波長域で別々の手段で低減することができる。したがって、保護層の材料を変えたり、多層膜の構成を変えれば、短波長域及び長波長域で不要次数光を除去する波長域を独立に変えることができる。
【0044】
以上では、保護層が短波長域で、多層膜が長波長域で不要次数光の影響を低減する場合であったが、逆に、保護層が長波長域で、多層膜が短波長域で不要次数光の影響を低減するものであってもよい。
【0045】
この構成においては、レリーフ型回折光学素子に設けた保護層及び多層膜で不要次数光の短波長域及び長波長域における影響を別々に除去するため、除去する波長域を短波長域と長波長域とで独立に制御することができる。したがって、保護層あるいは多層膜を変えることで除去する波長域を短波長域と長波長域で別々に変えることかでき、一つの手段で制御する場合に比べて、不要次数光を除去する波長域の設定の自由度が大きくなり、使用目的に合わせて制限する波長域を細かく設定することができ、より使用目的に合った良好な像が得られる。
【0046】
また、保護層及び多層膜は、ある波長に対してそれより長波長域あるいは短波長域でのみ不要次数光を除去すればよく、もう一方の波長域には関係なく設定することができ、一つの手段で両領域を除去する場合に比べ、使用できる材料が多くなり、実現性が高くなる。
【0047】
また、前記発明の光学系において、レリーフ型回折光学素子及びレリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が、波長帯域制限手段に含まれる構成とすることができる。
【0048】
この構成は、後記の光学系の第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、レリーフ型回折光学素子とレリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部とが、波長帯域制限手段に含まれる。このとき、レリーフ型回折光学素子は像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる短波長域、あるいは長波長域で透過率が低く、光学素子の少なくとも一部はレリーフ型回折光学素子とは反対の波長域で透過率が低いものである。
【0049】
例えば、光の進行順に、レリーフ型回折光学素子、波長帯域制限手段の一部を構成する光学素子が配置されている場合、入射帯域光はレリーフ型回折光学素子に入射し、回折を受けて像形成に必要な回折次数光、及び、不要な回折次数光が発生する。不要次数光はまずレリーフ型回折光学素子自体で一方の波長域が除去され、次に、波長帯域制限手段の一部を構成する光学素子でもう一方の波長域が除去される。したがって、レリーフ型回折光学素子とこの光学素子を透過した光は主に像形成に必要な回折次数光であり、不要次数光は大幅に低減されている。レリーフ型回折光学素子、波長帯域制限手段の一部を構成する光学素子の配置は上記と逆でもよい。
【0050】
以上説明したように、レリーフ型回折光学素子と光学素子は、制限する波長域の中、一方は短波長域を、もう一方は長波長域を制限する。したがって、光学素子の制限する波長域とは関係なく、レリーフ型回折光学素子が制限する波長域を決めることができ、その逆もまた可能となる。
【0051】
この構成においては、制限する波長域を、短波長域と長波長域とで別々の素子で制限するため、制限する波長域を短波長域と長波長域とで独立に設定することができる。したがって、使用目的に合わせて制限する波長域を細かく設定することができ、より使用目的に合った良好な像が得られる。
【0052】
また、一方の波長域を制限する素子はもう一方の波長域には関係なく設定することができ、一つの素子が両波長域共制限する場合に比べて、自由度が大きくなり、実現性が高くなる。
【0053】
また、前記発明の光学系において、波長帯域制限手段は脱着可能である構成とすることができる。
【0054】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、波長帯域制限手段は脱着可能である。したがって、容易に波長帯域制限手段を外したり、別の波長帯域制限手段に交換することができる。
【0055】
不要次数光の像への影響は、受光素子の感度に依存する。例えば像を直接目で観察する場合、人間の目の比視感度は波長550nm付近でピークを持ち、400nm付近や700nm付近では非常に低い。したがって、不要次数光の回折効率が高くなる波長域が400nmや700nm辺りであれば、元々目の感度が低いため不要次数光の影響は少なく、波長帯域制限手段で不要次数光を完全に除去する必要がない場合もある。一方、固体撮像素子で受光する場合は、目とは感度分布が異なり、さらに短波長、長波長でも感度が高い場合もある。このときには、波長帯域制限手段は不要次数光をより低減するものでなければならない。
【0056】
このように、受光素子によって波長帯域制限手段に要求される性能は異なる。そこで、波長帯域制限手段は場合によっては変更できることが望ましい。そこで、波長帯域制限手段を脱着可能にすれば、例えば目で直接観察する場合、固体撮像素子で受光しモニターで観察する場合、写真フィルムで撮影する場合等、様々な状況に合った性能を持つ波長帯域制限手段に容易に交換することができる。
【0057】
この構成においては、波長帯域制限手段が脱着可能であるため、観察する状況に合わせて最適な性能の波長帯域制限手段に容易に交換することができ、それぞれの状況でより良い映像を得ることができる。また、様々な状況に使用でき、汎用性の高い光学系を得ることができる。
【0058】
また、前記発明の光学系において、以下の条件式(1)〜(4)の少なくとも一つを満足することが望ましい。
Figure 0004149021
ただし、
a :対象波長帯域における全光量
0 :対象波長帯域における像形成に不要な次数の回折光の光量
λ0 :最適化波長
λS :λ0 より短波長で光量を50%カットする波長
λL :λ0 より長波長で光量を50%カットする波長
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0059】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、上記の条件式(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する。
【0060】
上記条件式(1)を満足するとき、波長帯域制限手段を持たない場合に像形成に不要な回折次数光の光量が無視できないレベルとなる対象波長帯域において、本発明の光学系では、不要次数光の光量はこの対象波長域における全光量の10%より小さい。したがって、不要次数光の像への影響は小さく、像の質の劣化を有効に防ぐことが可能になる。
【0061】
また、不要次数光の光量は少なければ少ない程よいが、像における不要次数光の影響が無視できる程度であれば、必ずしも0でなくてもよい。像形成に必要な次数光の光量を確保しつつ、不要次数光の光量を完全に除去するのは非常に困難である。しかし、本発明の光学系では、不要次数光の光量は0ではない。そのため、像の質の劣化を有効に防ぎつつも実現性の高い光学系となる。
【0062】
例えば、BSL7の基板上にPCの保護層を形成したレリーフ型回折光学素子を含み、図9に示した透過率分布を有する波長帯域制限手段で不要次数光を除去する光学系を考える。このとき、レリーフ型回折光学素子への入射光の強度が波長によらず一定であるとすると、像形成に不要な回折次数光である0次光と2次光の相対強度は図10のようになる。ただし、レリーフ型回折光学素子の最適化波長λ0 は510nmであり、レリーフ型回折光学素子に入射する前の強度を1としている。
【0063】
このとき、波長範囲400〜700nmにおける全光量(0次光、1次光、2次光の光量の合計)に占める不要次数光(0次光と2次光)の光量の割合はおよそ0.09となる。
【0064】
条件式(2)を満足するとき、最適化波長λ0 よりも短波長域において波長帯域制限手段が光量を50%カットする波長λS は、
λS <0.95λ0 ・・・(12)
となり、例えば最適化波長λ0 が510nmの場合、λS <484.5nmである。
【0065】
また、条件式(3)を満足するとき、最適化波長λ0 よりも長波長域において波長帯域制限手段が光量を50%カットする波長λL は、
λL >1.2λ0 ・・・(13)
となり、例えば最適化波長λ0 が510nmの場合、λL >612nmである。
【0066】
ここで、λS /λ0 が条件式(2)の上限値を越えて大きな値となったり、λL /λ0 が条件式(3)の下限値を越えて小さな値となると、制限する波長帯域が最適化波長λ0 に接近しすぎて、カラー画像を形成する波長帯域幅が狭くなり、十分な色再現性を保つことができなくなる。逆に、条件式(2)あるいは条件式(3)を満足すれば、十分な色再現性を保つことができることになる。
【0067】
ところで、前述したように、レリーフ型回折光学素子の回折効率は、最適化波長λ0 に対して短波長側でも長波長側でも低下する。最適化波長λ0 が像形成に使用する波長帯域において短波長側に寄りすぎると、長波長域での像形成に必要な回折次数光の回折効率が下がり、長波長域の色が弱くなる。また、不要次数光が増加して、像における不要次数光の影響が大きくなる。したがって、像の質の低下が著しくなる。一方、最適化波長λ0 が像形成に使用する波長帯域において長波長側に寄りすぎると、短波長域での像形成に必要な回折次数光の回折効率が下がり、短波長域の色が弱くなり、また、不要次数光が増加して、同様に像の質の低下が著しくなる。そのため、使用する波長域の両端での像形成に利用する回折次数光の回折効率が略等しくなるように、最適化波長λ0 を決める必要がある。条件式(4)を満たす場合、この回折効率C1 、C2 の差は20%より小さくなり、使用する波長域内では像形成に必要な回折次数光の回折効率は高く、不要次数光の回折効率は低くなる。
【0068】
ここで、利用する回折次数を1次とすると、最適化波長λ0 に対して、任意波長λでのm次回折効率C(m) は、以下の式(14)で計算することができる。
【0069】
Figure 0004149021
したがって、例えばBSL7の基板上にPCの保護層を設けたレリーフ型回折光学素子を、1次回折光を利用して、波長帯域400nm<λ<700nmで使用すると、条件式(4)を満足するには、最適化波長λ0 はおよそ464nm〜496nmの波長範囲内とすればよい。図11に、最適化波長λ0 を464nmと496nmとした場合の1次回折光の回折効率を示す。図中の▲1▼が最適化波長λ0 が464nmの場合、▲2▼が最適化波長λ0 が496nmの場合である。図11から分かるように、最適化波長が464nm〜496nmのとき、1次光の回折効率は像形成に必要な波長帯域400nm<λ<700nmにおいて回折効率が高く、また、短波長域と長波長域での差が小さい。
【0070】
上記構成においては、条件式(1)を満たす場合には、不要次数光の光量が全光量の10%より小さくなり、不要次数光による像の質の劣化を有効に低減することが可能となり、質の良い像を得ることができる。
【0071】
条件式(2)あるいは(3)を満たす場合には、像形成に使用する波長帯域を狭めすぎず、十分な色再現性を保つことができるため、質の良い像を得ることができる。
【0072】
条件式(4)を満たす場合には、短波長域あるいは長波長域のみ不要次数光の影響が大きくなったり、像形成に使用する回折次数光が弱くなったりすることがなく、カラーバランスの保たれた質の良い像を得ることができる。
【0073】
したがって、条件式(1)〜(4)の少なくとも一つを満足すれば、質の高い像を得ることができる。
【0074】
また、前記発明の光学系において、以下の条件式(5)〜(8)の少なくとも一つを満足することが望ましい。
Figure 0004149021
ただし、
a :対象波長帯域における全光量
0 :対象波長帯域における像形成に不要な次数の回折光の光量
λ0 :最適化波長
λS :λ0 より短波長で光量を50%カットする波長
λL :λ0 より長波長で光量を50%カットする波長
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0075】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、上記の条件式(5)〜(8)の少なくとも一つを満足する。
【0076】
条件式(5)を満足する場合、不要次数光の光量は全光量の5%より小さくなり、条件式(1)を満たす場合よりもさらに不要次数光の影響は小さくなる。
【0077】
条件式(6)あるいは(7)を満足する場合、光量を50%カットする波長λS 及びλL , それぞれ
λS <0.94λ0 ・・・(15)
λL >1.22λ0 ・・・(16)
となり、例えば最適化波長λ0 が510nmの場合、λS <479.4nm、λL >622.2nmである。条件式(2)及び(3)に比べ、λS は上限値が,λL は下限値が最適化波長から遠ざかっている。したがって、カラー画像を形成する波長帯域幅が広がり、より十分に色再現性を保つことができる。
【0078】
条件式(8)を満足する場合、使用する波長域の両端での像形成に利用する回折次数光の回折効率C1 、C2 の差は10%より小さく、条件式(4)より小さい。そのため、よりカラーバランスが良く、不要次数光の影響も小さくなる。
【0079】
この構成においては、条件式(5)を満たす場合には、不要次数光の光量が全光量の5%より小さくなり、不要次数光による像の質の劣化をより有効に低減することが可能となり、より質の良い像を得ることができる。
【0080】
条件式(6)あるいは(7)を満たす場合には、像形成に使用する波長帯域を狭めすぎず、より十分な色再現性を保つことができるため、より質の良い像を得ることができる。
【0081】
条件式(8)を満たす場合には、短波長域あるいは長波長域のみ不要次数光の影響が大きくなったり、像形成に使用する回折次数光が弱くなったりすることがさらになく、よりカラーバランスの保たれた質の良い像を得ることができる。
【0082】
したがって、条件式(5)〜(8)の少なくとも一つを満足すれば、より高い質の像を得ることができる。
【0083】
また、前記発明の光学系において、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
Figure 0004149021
ただし、
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0084】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成において、条件式(9)を満足する場合、使用する波長域の両端での像形成に利用する回折次数光の回折効率C1 、C2 の差は5%より小さく、条件式(8)より小さい。そのため、さらにカラーバランスが良くなり、不要次数光の影響も小さくなる。
【0085】
この構成においては、条件式(9)を満足する場合、使用する波長域の両端での像形成に利用する回折次数光の回折効率C1 、C2 の差は5%より小さく、条件式(8)よりさらに差が小さいため、短波長域と長波長域での像形成に使用する回折次数光の強度がより等しくなり、よりカラーバランスを保つことができる。また、不要次数光の影響もさらに小さくなり、さらに高い質の像を得ることができる。
【0086】
上記の条件式(1)〜(4)、又は、(5)〜(8)、あるいは、(9)を満たす場合、波長λ1 が400nm、波長λ2 が700nmであるように構成することができる。
【0087】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、前記波長λ1 が400nm、波長λ2 が700nmである。すなわち、像形成に使用する波長帯域は400nmから700nmとなる。この波長帯域は可視域であり、この波長帯域の光を利用して像を形成するため、可視光の像が得られる。
【0088】
この構成においては、可視光の像を得ることができるため、目視での観察が可能となる。また、可視光を利用して像を観察したり撮影する装置は、例えばカメラや顕微鏡、内視鏡等数多くあり、本発明の光学系は可視光の像を得ることができるため、これら様々な装置に利用することができ、利用範囲の広い光学系を得ることができる。
【0089】
また、前記発明の光学系において、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、何れか一方が他方と比較して高屈折率高分散の材料からなる構成とすることができる。
【0090】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、一方が高屈折率高分散、もう一方が低屈折率低分散の材料からなる。式(11)から分かるように、表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層の屈折率差n1 −n2 が小さいと、回折面の溝深さd’を深くしなければならなくなり、製造が困難になる。そのため、溝深さd’をある程度小さくするためには、表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層を、一方が高屈折率、もう一方が低屈折率の材料で構成する必要がある。
【0091】
ところで、市販されているガラスは、高屈折率のものは分散も高く、低屈折率のものは分散も低いものが一般的である。したがって、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材をガラスで構成する場合、高屈折率高分散あるいは低屈折率低分散の材料とすれば、使用できる材料が多く、その中から目的に合った材料を選ぶことができる。
【0092】
また、表面にレリーフ形状を有する光学部材あるいは保護層の材料として樹脂を用いると、製造が容易となり、また安価となるが、光学プラスチック素材としてはPCの他にPMMA(ポリメチルメタクリレート)やSAN(スチレンアクリロニトリル)、PS(ポリスチレン)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等がある。これらも屈折率が低い程分散が低く、屈折率が高い程分散が高い。したがって、保護層も高屈折率高分散あるいは低屈折率低分散の材料で構成すると、樹脂を用いることができ、製造が容易となる。
【0093】
この構成においては、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、一方が高屈折率高分散、もう一方が低屈折率低分散であるため、両者の屈折率差が大きく、回折面の溝深さを浅くすることができ、製造が容易になる。また、ガラスは高屈折率高分散あるいは低屈折率低分散の材料が多くあり、これら多くの材料の中から目的により適した材料を選ぶことができるようになる。さらに、光学プラスチック材料も屈折率が低い程分散が低く、屈折率が高い程分散も高い傾向があり、基板と保護層を、一方を高屈折率高分散、もう一方を低屈折率低分散の材料で構成すれば、安く加工性の良いプラスチックを用いることができ、製造が容易になり、保護層を設けたレリーフ型回折光学素子を安価に得ることができるようになる。
【0094】
また、前記発明の光学系において、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、何れか一方が他方と比較して高屈折率低分散の材料からなる構成とすることができる。
【0095】
この構成は、後記の光学系の第1から第3の実施の形態が対応する。
この構成においては、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、一方が高屈折率低分散、もう一方が低屈折率高分散の材料からなる。上記の一方が高屈折率高分散、もう一方が低屈折率低分散の材料からなる場合に説明したように、一方が高屈折率、もう一方が低屈折率であると、屈折率差が大きくなり、回折面の溝深さを浅くすることができる。
【0096】
ここで、表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層が、一方が高屈折率低分散、もう一方が低屈折率高分散とすると、レリーフ型回折光学素子の回折効率の波長依存性が保護層を設けない場合に比べて小さくなる。例えば、表面にレリーフ形状を有する光学部材をLAL56((株)オハラ製。nd =1.67790,νd =50.7)とし、保護層をPCとした場合、及び、表面にレリーフ形状を有する光学部材をLAL56とし、保護層を設けない場合の1次光の回折効率の波長依存性は図12のようになる。ここで、最適化波長は510nmとした。図中の▲1▼が上記の保護層を設けた場合、▲2▼が設けない場合である。
【0097】
図12から分かるように、PCの保護層を設けると、回折効率の波長依存性が小さくなり、最適化波長より短波長域、長波長域での回折効率の低下が小さくなる。特に短波長域では、回折効率は略100%となる。このとき、不要次数光である0次光、2次光の回折効率は図13のようになる。PCの保護層を設けない場合の0次光、2次光の回折効率は図14のようになり、保護層を設けることにより不要次数光の回折効率が小さくなることが分かる。特に短波長域では、ほとんど0%であり、この波長域においては、波長帯域制限手段の減衰率が小さいものでも不要次数光の影響を十分低減でき、また、全く低減しなくてすむ場合もある。
【0098】
また、長波長域においては、1次光の回折効率は高くなり、不要次数光の回折効率は低くなるため、不要次数光の影響は小さくなる。したがって、不要次数光の影響が無視できない程大きくなる波長が長波長側にずれ、波長帯域制限手段で制限しなければならない波長域も長波長側にずれて、像形成に使用できる波長帯域が広がり、より色再現性の良い像が得られるようになる。
【0099】
この構成においては、レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層が、一方が高屈折率低分散、もう一方が低屈折率高分散の材料で構成されているため、レリーフ型回折光学素子自体の回折効率の波長依存性が小さくなり、不要次数光も弱くなる。そのため、より不要次数光の影響の小さい高い質の像を得ることができる。また、元々不要次数光の影響が小さいため、波長帯域制限手段で制限すべき波長帯域は、最適化波長に対して短波長域では短波長側に、長波長域では長波長側にずれ、像形成に利用できる波長域が広がり、より色再現性の良い像を得ることができる。
【0100】
前記目的を達成する本発明の撮像装置は、対象物の像を、前記発明の光学系により電子撮像素子上に結像させるものである。
【0101】
この発明は、撮像装置の第1の実施の形態が対応する。
この発明においては、対象物からの光は前記発明の光学系に入射して透過し、電子撮像素子の光電変換面上で結像して、電気信号に変換され、検出される。ここで、この光学系は、前述の通り、回折面上に保護層を有するレリーフ型回折光学素子と波長帯域制限手段とを有し、レリーフ型回折光学素子で発生する像形成に不要な回折次数光を除去し、回折面上に保護層があっても像における不要次数光の影響を低減して、高い質の像を形成するものである。したがって、電子撮像素子上で結像する対象物の像は、不要次数光の影響の少ない高い質の像となる。
【0102】
この発明においては、回折面上に保護層を形成しても、レリーフ型回折光学素子で発生する不要次数光の影響を低減し、高い質の像が得られる光学系で電子撮像素子上に結像するため、不要次数光の影響の少ない高い質の像を撮像することができる。
【0103】
上記発明の撮像装置において、電子撮像素子に、その出力信号を処理して前記対象物の色情報を補正する信号処理手段を結合した構成とすることができる。
【0104】
この構成は、後記の撮像装置の第1の実施の形態が対応する。
この構成においては、電子撮像素子には、その出力信号を処理して、対象物の色情報を補正する信号処理手段を結合してある。この発明の撮像装置が有する結像光学系には、波長帯域制限手段が含まれ、像形成に不要な回折次数光の影響が無視できなくなる程大きくなる波長域の光を除去し、不要次数光の影響を低減する。このとき、像形成に利用する回折次数光もこの波長域で波長帯域制限手段で多かれ少なかれ除去される。したがって、像の色再現性が低下してしまう。
【0105】
そこで、この構成では、電子撮像素子に結合した信号処理手段で対象物の色情報を補正するため、像形成に利用する回折次数光が波長帯域制限手段で除去されても、像の色再現性の低下を防ぐように補正することができる。
【0106】
この構成においては、電子撮像素子に結合した信号処理手段で対象物の色情報を補正するため、不要次数光の影響を低減するための波長帯域制限手段による像の色再現性の低下を防ぎ、色再現性の良い画像情報を得ることができる。
【0107】
前記目的を達成するもう1つの本発明の撮像装置は、対象物の像を、レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が波長帯域制限手段を構成しているか、あるいは、レリーフ型回折光学素子及びレリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が波長帯域制限手段に含まれる構成の前記発明の光学系により電子撮像素子上に結像させる撮像装置において、波長帯域制限手段に含まれる光学素子の少なくとも一部は、電子撮像素子の光電変換面を保護するカバーガラスであるものである。
【0108】
この発明は、後記の撮像装置の第1の実施の形態が対応する。
この発明においては、波長帯域制限手段に含まれる光学素子の少なくとも一部は、電子撮像素子の光電変換面を保護するカバーガラスである。したがって、電子撮像素子のカバーガラスにレリーフ型回折光学素子で発生した不要次数光の少なくとも一部が入射すると、カバーガラスで除去され、像形成に必要な回折次数光のみ電子撮像素子の光電変換面に入射する。カバーガラスは一般には電子撮像素子に元々備わるものであり、波長帯域制限のために素子を追加する必要がない。
【0109】
この発明においては、元々電子撮像素子に備わった光電変換面を保護するカバーガラスに波長帯域制限手段の少なくとも一部の機能を持たせたため、波長帯域制限のために素子を追加する必要がなく、部品点数を削減したり、撮像装置を小型化することができる。
【0110】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のとそれを含む撮像装置の実施の形態について説明する。
(光学系の第1の実施の形態)
図15に、本発明の光学系の第1の実施の形態の模式図を示す。この光学系は対象物の像を結像させるものであり、レンズ群1、レリーフ型回折光学素子2、波長帯域制限手段3を有する。対象物からの帯域光は、図の左側からレンズ群1に入射し、屈折、透過した後、レリーフ型回折光学素子2に入射する。レリーフ型回折光学素子2で回折を受け、像形成に必要な回折次数光は波長帯域制限手段3を透過し、結像する。一方、像形成に不要な回折次数光は、波長帯域制限手段3で除去される。
【0111】
レリーフ型回折光学素子2は、表面に凹凸のレリーフ形状を有する光学部材4と、この表面にレリーフ形状を有する光学部材4の回折面上に形成した保護層5とからなる。回折面上に保護層5を形成してあるため、回折面の溝に汚れがたまることなく、保護層5の表面に汚れが付いても平面であるため拭き取りやすい。また、回折面に傷が付き、レリーフパターンの形状が崩れることも防ぐことができる。
【0112】
レリーフ型回折光学素子2のレリーフ形状としては、図1に示したように、様々な形状があるが、特に図1(a)に示したような断面が鋸歯形状であるものが望ましい。レリーフ形状が鋸歯形状の場合、ある回折次数光のある波長における回折効率を100%とすることができ、レリーフ型回折光学素子2に入射した光を有効に利用することができる。
【0113】
レリーフ型回折光学素子2の表面にレリーフ形状を有する光学部材4は、この実施の形態では、図16(a)及び(b)に平面図及び断面図を示すように、平行平板状の光学材料基板6上に同心円状に断面が鋸歯形状のレリーフパターン7を形成して構成する。ここで、レリーフパターン7は、1次光を利用するように、また、他のレンズ素子との相互関係により結像性能が最適となるように形成する。
【0114】
表面にレリーフ形状を有する光学部材4と保護層5の材料としては、様々なものがあるが、本実施の形態では、表面にレリーフ形状を有する光学部材4をBSL7、保護層5はPCとする。このとき、レリーフ型回折光学素子2の1次光の回折効率は図5の▲1▼、不要次数光である0次光と2次光は図6のようになる。ただし、最適化波長は510nmとしている。保護層5を設けない場合には、1次光の回折効率は図5の▲2▼、0次光と2次光は図3のようになり、保護層5を設けると、最適化波長の短波長側及び長波長側で1次光の回折効率が下がり、不要次数光の回折効率が高くなることが分かる。特に短波長域でその傾向が強い。不要次数光はフレアーやゴーストの原因となり、像の質の劣化につながってしまう。
【0115】
本実施の形態では、レリーフ型回折光学素子2から発生した1次光及び不要次数光は、波長帯域制限手段3に入射する。波長帯域制限手段3が図7に示したような透過率分布を持つ場合、この波長帯域制限手段3に白色光が入射すると、およそ440nm以下の波長の光、及び、およそ620nm以上の波長の光は波長帯域制限手段3を透過できず、除去される。また、およそ440nm以上620nm以下の波長の光は波長帯域制限手段3を効率良く透過する。
【0116】
レリーフ型回折光学素子2に全波長域で強度が一定の白色光が入射したとすると、レリーフ型回折光学素子2で回折され、波長帯域制限手段3を透過したときの不要次数光の強度の相対値は図8のようになる。ただし、レリーフ型回折光学素子2に入射する前の強度を1としている。図8から分かるように、不要次数光の強度は大幅に低減される。したがって、この実施の形態によれば、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けて不要次数光の回折効率が高くなっても、結像に不要な回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響、例えばフレアーやゴースト等が低減された質の高い像を得ることができる。
【0117】
また、像の質を落とすことなく、回折面上に保護層5を設けたレリーフ型回折光学素子2を光学系に組み込むことができるため、耐環境性に優れた光学系を得ることができる。さらに、回折面に保護層5が設けられているため、例えばカメラの望遠レンズ系に使用する場合、回折面を物点側に配置することが可能となり、設計上の自由度が大きくなり、応用範囲を広げることができる。
【0118】
ここで、波長帯域制限手段3としては、例えば、吸収フィルター、干渉フィルター等のように透過率に波長特性があるフィルターを用いることができる。例えば図7に示したような透過率分布を持つバンドパスフィルターを波長帯域制限手段3として用いれば、およそ440nm以下、及び、およそ620nm以上の波長の光を除去し、およそ440nmから620nmの波長帯域の光を効率良く透過して、不要次数光を低減することができる。
【0119】
フィルターは必ずしもバンドパスフィルターである必要はなく、例えば不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、図17に示すように短波長域で透過率が低くなるような分光透過率を有するフィルターと、図18に示すように長波長域で透過率が低くなるような分光透過率を有するフィルターとを組み合わせて全体として図7に示したような透過率分布を持つようにしてもよい。
【0120】
また、波長帯域制限手段3は、図15に模式的に示したように、レンズ群1及びレリーフ型回折光学素子2から独立した素子でなくてもよく、光学系を構成する光学素子の表面の少なくとも1面に多層膜を設けて構成してもよい。例えば、レンズ群1を構成する光学素子の中、ある光学素子、例えば屈折レンズの一方の面に不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、短波長域で透過率が低くなる多層膜を設け、もう一方の面に長波長域で透過率が低くなる多層膜を設けると、この屈折レンズを透過する白色光は短波長域及び長波長域で低減され、不要次数光が低減される。
【0121】
光学系を構成する光学素子の少なくとも1面に設けた多層膜で短波長域及び長波長域の少なくとも一方の波長域の光を除去すれば、元々光学系を構成する光学素子の表面に設けたものであるから、他の光学部材を特に追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0122】
また、レンズ群1を構成する光学素子を、不要次数光の回折効率が高くなる波長域で透過率が低くなる材料で構成してもよい。例えば、レンズ群1を構成する光学素子の一つを図7のような透過率分布を有する材料で形成すれば、不要次数光の回折効率が高くなる波長域の光はこの光学素子で除去される。この場合も、元々光学系を構成する光学素子自体が波長帯域を制限する機能を持つため、特に他の光学部材を追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0123】
また、以上の手段を組み合わせてもよい。例えば、不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、図17に示すように短波長域で透過率が低い材料で形成されたレンズ群1を構成する光学素子の表面に、図18に示すように長波長域で透過率が低い多層膜を設け、全体として図7に示したような透過率分布となるようにしてもよい。
【0124】
なお、図15では、光の進行順に、レンズ群1、レリーフ型回折光学素子2、波長帯域制限手段3の配置としたが、これに限らない。波長帯域制限手段3は、対象物から像を検出する素子、例えば固体撮像素子、眼球、フィルター等に至る光路中の任意の位置に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0125】
(光学系の第2の実施の形態)
図19に、本発明の光学系の第2の実施の形態の模式図を示す。この光学系は、レンズ群1、レリーフ型回折光学素子2を有する。レリーフ型回折光学素子2は波長帯域制限手段を含み、この波長帯域制限手段は、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光を除去し、像形成に使用する回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光を効率良く透過するものである。
【0126】
対象物からの帯域光は、図の左側からレンズ群1に入射し、屈折、透過した後、レリーフ型回折光学素子2に入射する。レリーフ型回折光学素子2で回折を受けて発生した複数の回折次数光の中、像形成に必要な回折次数光は結像する。一方、像形成に不要な回折次数光は、レリーフ型回折光学素子2が含む波長帯域制限手段で除去される。したがって、第1の実施の形態と同様に、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、像形成に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響、例えばフレアーやゴースト等が低減された質の高い像を得ることができる。
【0127】
また、レリーフ型回折光学素子2が波長帯域制限手段を含んでいるため、レリーフ型回折光学素子2自体で不要次数光を除去することができ、特に他の素子を追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0128】
ここで、レリーフ型回折光学素子2が含む波長帯域制限手段としては、例えば保護層5がある。保護層5を、例えば図7に示したような分光透過率を有する材料で形成した場合、この保護層5に白色光が入射すると、およそ440nm以下の波長の光、及び、およそ620nm以上の波長の光は保護層5を透過できず、除去される。また、およそ440nm以上620nm以下の波長の光は保護層5を効率良く透過する。
【0129】
レリーフ型回折光学素子2に全波長域で強度が一定の白色光が入射したとすると、レリーフ型回折光学素子2で回折され、レリーフ型回折光学素子2の保護層5を透過したときの不要次数光の強度の相対値は図8のようになる。ただし、レリーフ型回折光学素子2に入射する前の強度を1としている。図8から分かるように、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、結像に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響、例えばフレアーやゴースト等が低減された質の高い像を得ることができる。
【0130】
また、波長帯域制限手段として、他に、例えば図20に示すように、レリーフ型回折光学素子2の保護層5とは反対の面に設けた多層膜8としてもよい。このとき、例えば、保護層5は図17に示したように不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、短波長域で透過率が低く、多層膜8は図18に示したように長波長域で透過率が低くなるものとすれば、全体としては図7に示したような透過率分布となり、不要次数光を除去し、像形成に利用する波長域の光を効率良く透過することになる。
【0131】
この場合にも、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、結像に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響、例えばフレアーやゴースト等が低減された質の高い像を得ることができる。
【0132】
(光学系の第3の実施の形態)
図21に、本発明の光学系の第3の実施の形態の模式図を示す。この光学系は、レンズ群1、レリーフ型回折光学素子2を有する。レリーフ型回折光学素子2、及び、レリーフ型回折光学素子2以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部とが、波長帯域制限手段を構成する。この波長帯域制限手段は、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光を除去し、像形成に使用する回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光を効率良く透過するものである。
【0133】
例えば、レリーフ型回折光学素子2が、図17に示すように不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、短波長域で透過率が低くなるような手段を有し、レリーフ型回折光学素子2以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が、図18に示すように、長波長域で透過率が低くなるような手段を有している場合、これらから構成される波長帯域制限手段全体としては、図7に示すような透過率分布となる。
【0134】
したがって、この光学系に白色光が入射すると、不要次数光の回折効率が高くなる波長域の光は除去され、像形成に使用する波長域の光は効率良く透過する。そのため、第1及び第2の実施の形態と同様に、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、像形成に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響、例えばフレアーやゴースト等が低減され、質の高い像を得ることができる。
【0135】
また、レリーフ型回折光学素子2自体が不要次数光の中、短波長域あるいは長波長域の光を除去できるため、この波長域の不要次数光を除去するために他の光学部材を追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0136】
ここで、波長帯域制限手段を構成するレリーフ型回折光学素子2が有する手段としては、例えば保護層5がある。保護層5を不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、短波長域あるいは長波長域で透過率が低い材料で形成すれば、このレリーフ型回折光学素子2に入射した帯域光は回折され、同時に不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、一方の波長域の光は除去され、像形成に使用する波長域の光は効率良く透過する。元々必要な保護層5で不要次数光の一部を除去するため、保護層5を形成するだけで他に特別な処置をする必要がなく、容易にレリーフ型回折光学素子2を得ることができる。
【0137】
また、波長帯域制限手段を構成するレリーフ型回折光学素子2が有する手段としては、他には、例えばレリーフ型回折光学素子2の保護層5とは反対の面に形成した多層膜がある。不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、短波長域あるいは長波長域で透過率が低くなるように多層膜を形成すれば、保護層5で不要次数光の一部を除去する場合と同様に、不要次数光の中、短波長域あるいは長波長域の光を除去することができる。このとき、保護層5の材料としては使用する波長域で透明であればよく、使用できる材料が増え、実現性が高くなる。
【0138】
一方、波長帯域制限手段を構成するレリーフ型回折光学素子2以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が有する手段としては、例えば光学系を構成する光学素子の表面の少なくとも1面に設けた多層膜がある。例えば、レンズ群1を構成する光学素子の中のある光学素子、例えば屈折レンズの一面に不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、レリーフ型回折光学素子2で除去されない波長域で透過率が低くなる多層膜を設ければよい。元々光学系に必要な素子に多層膜を設けるため、他に光学部材を追加する必要がなく、素子数の少ない小型の光学系を得ることができる。
【0139】
また、波長帯域制限手段を構成するレリーフ型回折光学素子2以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部の手段としては、他には、不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、レリーフ型回折光学素子2で除去されない波長域で透過率が低くなる材料で形成したレンズ群1を構成する光学素子であってもよい。また、図22に示すように、不要次数光の回折効率が高くなる波長域の中、レリーフ型回折光学素子2で除去されない波長域で透過率か低くなる光学部材9、例えばフィルターを追加してもよい。これらの場合でも、多層膜を設けた場合と同様に、不要次数光の一部を除去することができる。
【0140】
以上の第1から第3の実施の形態において、波長帯域制限手段は、具体的には像形成に不要な次数の回折光量が無視できないレベルとなる対象波長帯域において、この対象波長帯域における全光量(Aa )に対する像形成に不要な次数の回折光の光量(A0 )が、
0<A0 /Aa <0.1 ・・・(1)
を満足するよう構成するのが好ましい。すでに説明したように、この条件式(1)を満たせば、像形成に不要な次数の回折光による像の質の劣化を有効に無視することが可能となる。
【0141】
さらに具体的には、最適化波長λ0 よりも短波長領域において波長帯域を制限する場合には、光量を50%カットする、すなわち波長帯域制限手段の透過率が50%となる波長λS が以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
【0142】
λS /λ0 <0.95 ・・・(2)
また、最適化波長λ0 よりも長波長領域において波長帯域を制限する場合には、光量を50%カットする、すなわち波長帯域制限手段の透過率が50%となる波長λL が以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0143】
λL /λ0 >1.2 ・・・(3)
ここで、λS /λ0 やλL /λ0 が条件式(2)及び(3)の範囲から外れると、すでに説明したように、カラー画像を形成する波長帯域幅が狭くなり、十分な色再現性を保つことができなくなったりするため、好ましくない。
【0144】
さて、前述したように、レリーフ型回折光学素子の波長に対する回折効率は、最適化波長λ0 に対して、短波長側でも長波長側でも低下する。保護層を形成すると、特に短波長側で低下が大きくなる場合もある。このため、良好な色再現性を保ち、かつ、像形成に不要な次数の回折光の影響を十分に低減するには、最適化波長λ0 は、使用する波長帯域λ1 <λ<λ2 に対して、
|C1 −C2 |<20% ・・・(4)
を満足するように定めることが望ましい。ただし、C1 、C2 は、波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの、それぞれ波長λ1 、λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)を示す。
【0145】
すでに述べたように、上記の|C1 −C2 |を条件式(4)の上限値を越えて大きな値とすると、短波長領域又は長波長領域での不要な回折次数光が増加して像の質の低下が著しくなるため、上記のように波長帯域の制限をすると、カラーバランスを保つことが困難となる。
【0146】
なお、すでに述べたように、上記の条件式(1)〜(4)の代わりに、下記の条件式(5)〜(8)の中少なくとも一つを満たすようにするとさらによい。
【0147】
0<A0 /Aa <0.05 ・・・(5)
λS /λ0 <0.94 ・・・(6)
λL /λ0 >1.22 ・・・(7)
|C1 −C2 |<10% ・・・(8)
さらに望ましくは、下記の条件式(9)を満たすようにするとよい。
【0148】
|C1 −C2 |<5% ・・・(9)
以上の条件式(1)〜(9)を満足するようにすると、十分に不要次数光の影響を低減し、また、十分な色再現性を保ち、高い質の像を形成することのできる光学系を得ることができる。
【0149】
ところで、波長λ1 は400nm、波長λ2 は700nmであると、特に好ましい。このとき、使用する波長帯域は400nm〜700nmの可視域となる。したがって、この光学系を用いれば、目視で観察することのできる装置を得ることができる。また、例えばカメラや顕微鏡、内視鏡等のように、可視光の像を観察撮影する装置は数多くあり、使用波長帯域が400nm〜700nmであれば、可視光の像を観察する様々な装置に利用することができ、利用範囲の広い光学系となる。
【0150】
ここで、例えば図15に示した構成において、レリーフ型回折光学素子2が、表面にレリーフ形状を有する光学部材4がPMMA、保護層5がPCからなり、1次回折光が波長490nmで最適化されているとする。このとき、このレリーフ型回折光学素子2の1次光及び不要次数光である0次光と2次光の回折効率は図23のようになる。使用する波長帯域を400nm〜700nmとすると、|C1 −C2 |は約4%となり、条件式(9)を満たしている。
【0151】
ここで、波長帯域制限手段3を、分光透過率が図24に示すようになるよう構成する。すると、この光学系に白色光を入射すると、光学系を透過した1次光及び0次光、2次光の相対強度分布は図25のようになる。ただし、光学系への入射光の強度は波長によらず一定であるとし、その強度を1とする。このとき、波長帯域400nm〜700nmにおける全光量に占める不要次数光(0次光、2次光)の割合はおよそ0.046となり、条件式(5)を満たしている。
【0152】
また、図24から分かるように、波長帯域制限手段3の透過率が50%となる波長λS 及びλL はそれぞれ約453nmと610nmである。いま、最適化波長λ0 は490nmであるから、λS /λ0 は約0.92、λL /λ0 は約1.24であり、条件式(6)及び(7)も満たしている。
【0153】
したがって、この場合の光学系は、十分に不要次数光の影響を低減し、かつ、色再現性も良く、質の高い像を形成することができるものとなる。
【0154】
また、以上の実施の形態において、波長帯域制限手段は脱着可能であることが望ましい。結像光学系で形成した像を検出する場合、受光する素子によって波長感度特性は異なり、それぞれの素子に最適な波長帯域、波長強度分布を持つ光で像を形成する必要がある。例えば、対象物の像を目視で観察する場合やCCDカメラで受光しモニターで観察する場合、写真フィルムで感光させて写真を撮る場合等、様々な場合があるが、波長帯域制限手段が脱着可能であると、波長帯域制限手段を取り換えてそれぞれの場合に適した波長帯域の光がそれぞれの場合に適した波長強度分布で入射するようにすることが容易にでき、様々な撮像装置に対応できる汎用性のある光学系を得ることができる。
【0155】
さらに、以上の実施の形態において、レリーフ型回折光学素子2は、図16に示したような、平板状の基板6にレリーフパターン7を形成したものに限らず、球面基板や非球面基板上にレリーフパターン7を形成して構成することもできるし、レリーフパターン7も同心円状に限らず、結像光学系の機能に応じて例えば、回転非対称な結像性能を必要とする場合には、楕円状のパターンとしたり、シリンドリカルレンズと同等の機能を有するように平行パターンとすることもできる。なお、実施の形態においては、像形成に1次光を用いるようにしたが、さらに高次の次数を用いてもよい。
【0156】
また、以上の実施の形態において、レリーフ型回折光学素子2を構成する表面にレリーフ形状を有する光学部材4はBSL7あるいはPMMA、保護層5はPCとしたが、表面にレリーフ形状を有する光学部材4及び保護層5の材料はこれに限らない。BSL7及びPMMAはPCに比べると低屈折率低分散であり、PCはBSL7及びPMMAに比べると高屈折率高分散であるが、表面にレリーフ形状を有する光学部材4と保護層5をこのような組合せとすると、すでに説明したように、組み合わせて使用できる材料が多くなる。また、両者の屈折率差が大きくなるため、レリーフパターン7の溝深さを浅くすることができ、製造が容易になる。さらに、光学プラスチックを用いることができ、製造が容易で安価なレリーフ型回折光学素子を得ることができるようになる。したがって、光学系も安価になる。
【0157】
表面にレリーフ形状を有する光学部材4と保護層5の組合せは、互いに比較して、高屈折率低分散の材料と、低屈折率高分散の材料の組合せとしてもよい。この組合せの一例としてLAL56とPCがある。LAL56はPCに比べて高屈折率低分散であり、PCはLAL56と比べると低屈折率高分散である。すでに説明したように、このような組合せとすると、レリーフ型回折光学素子2の回折効率の波長依存性が低減でき、像形成に利用する回折次数光の回折効率が全波長域で高くなり、不要な回折次数光の回折効率は低くなる。そのため、より不要次数光の影響の小さい高い質の像を得ることができる。また、波長帯域制限手段で制限すべき波長帯域が狭くなり、像形成に利用できる波長域が広がり、より色再現性の良い像が得られるようになる。
【0158】
(撮像装置の第1の実施の形態)
図26に、本発明の撮像装置の第1の実施の形態の模式図を示す。この撮像装置は、対象物の像を、光学系10を経て、電子撮像素子である固体撮像素子11の光電変換面上に結像させ、この固体撮像素子11の出力信号を信号処理回路12で処理して映像信号を得るようにしたものである。光学系10は、光学系の第1の実施の形態で示したものであり、レンズ群1、レリーフ型回折光学素子2、及び、波長帯域制限手段を含む光学部材13を有する。
【0159】
レリーフ型回折光学素子2は、光学系の第1の実施の形態で説明したように、表面にレリーフ形状を有する光学部材4と保護層5とからなるものである。また、光学部材13には、図27に示した分光透過率を有する波長帯域制限手段を設けると共に、ローパスフィルターを設ける。また、固体撮像素子11には、その光電変換面上に、図28に示す分光特性を有するR,G,B3原色のモザイク状の色フィルターを設ける。
【0160】
このようにして、固体撮像素子11において、光学系10を経て結像された物体の像を、その光強度に応じて電気信号に変換して信号処理回路12に供給し、ここで所要に応じてR,G,Bそれぞれの信号強度の正規化や表現する色をシフトさせる等の方法により、物体のカラー情報が損なわれないように補正してカラー映像信号に変換し、図示しないメモリーに書き込んだり、パソコンや表示装置あるいはプリンター等の外部に出力する。なお、このような処理は、外部の制御装置あるいは撮像装置に組み込まれたCPUにより制御する。
【0161】
図29は、図26に示す構成において、光学部材13が波長帯域制限手段を含まない場合に、固体撮像素子11に入射するレリーフ型回折光学素子2における0次光及び2次光の分光特性を示すものである。
【0162】
また、図30は、この実施の形態において、上述したように、光学部材13に図27に示した分光特性を有する波長帯域制限手段を設けた場合の0次光及び2次光の分光特性を示すものである。ただし、レリーフ型回折光学素子2を構成する表面にレリーフ形状を有する光学部材4はPMMA、保護層5はPCからなるとしており、最適化波長λ0 は500nmとしている。また、図29、図30共、Gを基準としてホワイトバランスを取った後であり、図30は、さらに波長帯域制限手段で光量が減った分を増幅して補った後である。
【0163】
不要次数光を低減していない図29では、不要次数光である0次光及び2次光の光量のR,G,Bそれぞれでの全光量に対する割合は、Rでは0.143、Gでは0.033、Bでは0.032であり、Rで特に割合が大きく、赤いフレアーやゴーストが生じる可能性がある。一方、不要次数光を低減した図30では、0次光と2次光の割合は、Rでは0.090、Gでは0.031、Bでは0.020であり、Rでの不要次数光の影響が特に低減されている。したがって、この実施の形態によれば、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、結像に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができる。
【0164】
なお、この実施の形態では、波長帯域制限手段を光学部材13に設けるようにしたが、レンズ群1の前に配置したり、レンズ群1から固体撮像素子11の光電変換面に至る光路の任意の位置に配置しても、同様の効果を得ることができる。特に、固体撮像素子11の光電変換面を保護するカバーガラスを、波長帯域制限手段、例えば波長帯域制限フィルターで構成すれば、部品点数の削減、光学システムの小型化の点で効果的である。
【0165】
この実施の形態では、光学系10として結像光学系の第1の実施の形態で述べた光学系を用いたが、光学系の第2及び第3の実施の形態で述べた光学系を用いてもよい。何れの場合も、レリーフ型回折光学素子2に保護層5を設けても、結像に不要な次数の回折光の強度を無視できる程度に低減することができ、不要次数光の影響のない高い質の像で対象物を撮像することのできる撮像装置を得ることができる。
【0166】
また、波長帯域制限手段は脱着可能であることが望ましい。すでに説明したように、波長帯域制限手段が脱着可能であれば、容易に波長帯域制限手段を交換することができる。そのため、様々な撮影条件に合わせて波長帯域制限手段を交換し、制限波長帯域や使用する光の波長強度分布を最適化してより高い質の像で対象物を撮像することのできる撮像装置が得られる。
【0167】
さらに、レリーフ型回折光学素子2は、図16に示したような、平板状の基板6にレリーフパターン7を形成したものに限らず、球面基板や非球面基板上にレリーフパターン7を形成して構成することもできるし、レリーフパターン7も同心円状に限らず、結像光学系の機能に応じて例えば、回転非対称な結像性能を必要とする場合には、楕円状のパターンとしたり、シリンドリカルレンズと同等の機能を有するように平行パターンとすることもできる。なお、実施の形態においては、像形成に1次光を用いるようにしたが、さらに高次の次数を用いてもよい。
【0168】
また、光学系の実施の形態で述べたように、撮像装置の光学系10における波長帯域制限手段は、既述の条件式(1)〜(4)の少なくとも一つを満足する、あるいは、条件式(5)〜(8)の少なくとも一つを満足する、あるいは、条件式(9)を満足することが望ましい。これらの条件式を満足すれば、光学系は十分に不要次数光の影響を低減し、また、十分な色再現性を保ち、高い質の像を形成することのできるものとなり、不要次数光の影響の低減された、色再現性の良い高い質の像で対象物を撮像することのできる撮像装置を得ることができる。
【0169】
この実施の形態におけるレリーフ型回折光学素子2は、PMMAからなる表面にレリーフ形状を有する光学部材4とPCからなる保護層5で構成されているが、表面にレリーフ形状を有する光学部材4と保護層5の材料の組合せはこれに限らない。すでに述べたように、どちらか一方がもう一方に比べて高屈折率高分散の材料で、もう一方が低屈折率低分散の材料とを組み合わせれば、製造が容易で安価なレリーフ型回折光学素子2を得ることができ、撮像装置も安価になる。例えば、PMMAとPCの組合せの他に、BSL7とPCの組合せ等、他にも多数ある。
【0170】
また、どちらか一方がもう一方に比べて高屈折率低分散の材料で、もう一方が低屈折率高分散の材料とを組み合わせれば、レリーフ型回折光学素子2の回折効率の波長依存性が低減でき、より不要次数光の影響が低減され、また、より色再現性の良い高い質の像で対象物を撮像することのできる撮像装置を得ることができる。例えば、LAL56とPCの組合せ、BSM16((株)オハラ製。nd =1.62041,νd =60.3)とSANの組合せ等がある。
【0171】
この実施の形態においては、電子撮像素子として固体撮像素子を用いたが、撮像管を用いる場合でも、この発明を有効に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0172】
以上の本発明の光学系及びそれを含む撮像装置は例えば次のように構成することができる。
〔1〕 帯域光が入射する光学系において、前記光学系は、レリーフ型回折光学素子と、このレリーフ型回折光学素子に入射する、あるいは、レリーフ型回折光学素子を経た光の波長帯域を制限する手段とを有し、該レリーフ型回折光学素子は、表面にレリーフ形状を有する光学部材と、該光学部材とは異なる材料からなり、前記光学部材の表面上に形成された保護層とを有することを特徴とする光学系。
【0173】
〔2〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が、前記波長帯域制限手段を構成することを特徴とする光学系。
【0174】
〔3〕 上記〔2〕記載の光学系において、前記波長帯域制限手段には、前記レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部の表面に設けた多層膜が含まれることを特徴とする光学系。
【0175】
〔4〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記レリーフ型回折光学素子が前記波長帯域制限手段を有することを特徴とする光学系。
【0176】
〔5〕 上記〔4〕記載の光学系において、前記波長帯域制限手段は、前記レリーフ型回折光学素子の保護層であることを特徴とする光学系。
【0177】
〔6〕 上記〔4〕記載の光学系において、前記波長帯域制限手段は、前記レリーフ型回折光学素子の保護層と、前記レリーフ型回折光学素子の保護層とは反対の面に設けた多層膜とによって構成されることを特徴とする光学系。
【0178】
〔7〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記レリーフ型回折光学素子及び前記レリーフ型回折光学素子以外の光学系を構成する光学素子の少なくとも一部が、前記波長帯域制限手段に含まれることを特徴とする光学系。
【0179】
〔8〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記波長帯域制限手段は着脱可能であることを特徴とする光学系。
【0180】
〔9〕 上記〔1〕記載の光学系において、以下の条件式(1)〜(4)の少なくとも一つを満足することを特徴とする光学系。
Figure 0004149021
ただし、
a :対象波長帯域における全光量
0 :対象波長帯域における像形成に不要な次数の回折光の光量
λ0 :最適化波長
λS :λ0 より短波長で光量を50%カットする波長
λL :λ0 より長波長で光量を50%カットする波長
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0181】
〔10〕 上記〔1〕記載の光学系において、以下の条件式(5)〜(8)の少なくとも一つを満足することを特徴とする光学系。
Figure 0004149021
ただし、
a :対象波長帯域における全光量
0 :対象波長帯域における像形成に不要な次数の回折光の光量
λ0 :最適化波長
λS :λ0 より短波長で光量を50%カットする波長
λL :λ0 より長波長で光量を50%カットする波長
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0182】
〔11〕 上記〔1〕記載の光学系において、以下の条件式(9)を満足することを特徴とする光学系。
Figure 0004149021
ただし、
1 ,C2 :波長λ0 で利用する回折次数が最適化されたときの使用する波長域の最短波長λ1 及び最長波長λ2 における利用する回折次数光の回折効率(%)である。
【0183】
〔12〕 上記〔9〕、〔10〕又は〔11〕記載の光学系において、波長λ1 が400nm、波長λ2 が700nmであることを特徴とする光学系。
【0184】
〔13〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、何れか一方が他方と比較して高屈折率高分散の材料からなることを特徴とする光学系。
【0185】
〔14〕 上記〔1〕記載の光学系において、前記レリーフ型回折光学素子の表面にレリーフ形状を有する光学部材と保護層は、何れか一方が他方と比較して高屈折率低分散の材料からなることを特徴とする光学系。
【0186】
〔15〕 対象物の像を上記〔1〕記載の光学系により電子撮像素子上に結像させることを特徴とする撮像装置。
【0187】
〔16〕 上記〔15〕記載の撮像装置において、前記電子撮像素子に、その出力を処理して前記対象物の色情報を補正する信号処理手段を結合したことを特徴とする撮像装置。
【0188】
〔17〕 対象物の像を上記〔2〕又は〔7〕記載の光学系により、電子撮像素子上に結像させる撮像装置において、前記波長帯域制限手段に含まれる光学素子の少なくとも一部は、前記電子撮像素子の光電変換面を保護するカバーガラスであることを特徴とする撮像装置。
【0189】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、像形成に必要な回折次数光は、波長帯域制限手段を効率良く透過し、像形成に不要な回折次数光は波長帯域制限手段で大幅に除去できるため、レリーフ型回折光学素子の回折面上に保護層を設け不要次数光の影響が大きくなった場合でも、不要次数光の影響、つまりフレアーやゴースト等を効率良く低減することができる。そのため、高い質の像を得ることができる。また、像の質を落とすことなく、回折面上に保護層を設けたレリーフ型回折光学素子を組み込むことができるため、耐環境性に優れた光学系を得ることができる。また、回折面に保護層が設けられているため、例えばカメラの望遠レンズ系に使用する場合、回折面を物点側に配置することが可能となり、設計上の自由度が大きくなり、応用範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レリーフ型回折光学素子のレリーフパターンを示す断面図である。
【図2】レリーフ型回折光学素子の1次光の回折効率の例を示す図である。
【図3】図2の場合の0次光及び2次光の回折効率を示す図である。
【図4】保護層を設けたレリーフ型回折光学素子の例の断面図である。
【図5】図2の場合の保護層を設けた場合と設けない場合の1次光の回折効率を示す図である。
【図6】図2の場合で保護層を設けた場合の0次光と2次光の回折効率を示す図である。
【図7】本発明に基づく波長帯域制限手段の透過率分布の一例を示す図である。
【図8】図7の波長帯域制限手段を用いた場合の不要次数光の相対的な強度分布を示す図である。
【図9】本発明に基づく波長帯域制限手段の透過率分布の別の例を示す図である。
【図10】図9の波長帯域制限手段を用いた場合の不要次数光の相対的な強度分布を示す図である。
【図11】レリーフ型回折光学素子の異なる最適化波長に対する1次光の回折効率の例を示す図である。
【図12】高屈折率低分散と低屈折率高分散の材料の組合せからなるレリーフ型回折光学素子の回折効率の波長依存性を示す図である。
【図13】図12の場合の0次光、2次光の回折効率を示す図である。
【図14】図12の場合で保護層を設けない場合の0次光、2次光の回折効率を示す図である。
【図15】本発明の光学系の第1の実施の形態の模式図である。
【図16】本発明に用いるレリーフ型回折光学素子の一例の平面図と断面図である。
【図17】本発明に基づく波長帯域制限手段を2つの素子で構成する場合の一方の分光透過率を示す図である。
【図18】本発明に基づく波長帯域制限手段を2つの素子で構成する場合の他方の分光透過率を示す図である。
【図19】本発明の光学系の第2の実施の形態の模式図である。
【図20】本発明の光学系の第2の実施の形態の変形の模式図である。
【図21】本発明の光学系の第3の実施の形態の模式図である。
【図22】本発明の光学系の第3の実施の形態の変形の模式図である。
【図23】本発明の一具体例におけるレリーフ型回折光学素子の1次光及び不要次数光の回折効率を示す図である。
【図24】図23の場合に用いる波長帯域制限手段の分光透過率を示す図である。
【図25】本発明の一具体例における1次光及び0次光、2次光の相対強度分布を示す図である。
【図26】本発明の撮像装置の第1の実施の形態の模式図である。
【図27】図26の撮像装置で用いる波長帯域制限手段の分光透過率を示す図である。
【図28】図26の撮像装置で用いる色フィルターの分光特性を示す図である。
【図29】図26の撮像装置で波長帯域制限手段を含まない場合の0次光及び2次光の分光特性を示す図である。
【図30】図26の撮像装置で波長帯域制限手段を設けた場合の0次光及び2次光の分光特性を示す図である。
【符号の説明】
1…レンズ群
2…レリーフ型回折光学素子
3…波長帯域制限手段
4…表面に凹凸のレリーフ形状を有する光学部材
5…保護層
6…平行平板状の光学材料基板
7…レリーフパターン
8…多層膜
9…光学部材
10…光学系
11…固体撮像素子
12…信号処理回路
13…波長帯域制限手段を含む光学部材

Claims (2)

  1. 対象物からの帯域光が入射する結像光学系において、
    表面にレリーフ形状の回折格子溝を有する光学部材と、
    前記光学部材とは異なる材料からなり、前記光学部材の表面上に形成された保護層と、
    前記光学部材からの回折光の中で、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光の強度を低減する波長帯域制限手段と、
    を有し、
    前記光学部材、前記保護層、及び前記波長帯域制限手段が、前記対象物より像側に配置されており、
    前記波長帯域制限手段が、前記光学部材における、前記保護層とは反対の面に設けた多層膜によって構成されることを特徴とする結像光学系。
  2. 帯域光が入射する光学系において、
    表面にレリーフ形状の回折格子溝を有する光学部材と、
    前記光学部材とは異なる材料からなり、前記光学部材の表面上に形成された保護層と、
    前記光学部材からの回折光の中で、像形成に不要な回折次数光の回折効率が高くなる波長域の光の強度を低減する波長帯域制限手段と、
    を有し、
    前記保護層が前記波長帯域制限手段を含むことを特徴とする光学系。
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