JPH06194571A - 内視鏡対物レンズ - Google Patents

内視鏡対物レンズ

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JPH06194571A
JPH06194571A JP4357825A JP35782592A JPH06194571A JP H06194571 A JPH06194571 A JP H06194571A JP 4357825 A JP4357825 A JP 4357825A JP 35782592 A JP35782592 A JP 35782592A JP H06194571 A JPH06194571 A JP H06194571A
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JP
Japan
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lens
optical element
wavelength
diffractive optical
light
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Withdrawn
Application number
JP4357825A
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English (en)
Inventor
Mitsujiro Konno
光次郎 金野
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、接合レンズを用いることなくし
たがって少ないレンズ枚数で色収差等を良好に補正した
内視鏡対物レンズを提供することを目的とするものであ
る。 【構成】 本発明の内視鏡対物レンズは、絞りよりも
像側に正の作用を有する回折型光学素子を用いたことを
特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人間の体腔内に挿入し
て診断を行なったり治療したりするために、又はパイプ
内に挿入しその内壁の腐食の状態等を検査するために用
いられる内視鏡の対物レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の内視鏡の対物レンズは、図24に
示すようにレトロフォーカス型のレンズ構成のものが多
い。それは、像面にグラスファイバーを束ねたイメージ
ガイドファイバー束の端面を配置するか、CCDなどの
固体撮像素子等を配置したりするため、像面への入射角
が大きいとグラスファイバーで光の漏れを起こしたり、
モザイクフィルター方式の固体撮像素子で色シェーディ
ングを起こすため、対物レンズがテレセントリックな条
件を満足する必要があり、又内視鏡の操作性の点で広画
角な対物レンズが望まれるためである。このような、レ
トロフォーカス型の内視鏡対物レンズとして、例えば、
特開平2−74912号公報に記載されたレンズ系が知
られている。
【0003】このような従来の内視鏡対物レンズは、色
収差を補正するために接合レンズが用いられ、構成レン
ズ枚数が多くなる。
【0004】又近年回折現象を利用した回折型光学素子
即ちディフラクチブ オプティクス エレメンツ[Di
ffractive Optics Elements
(DOE)]が知られている。この回折型光学素子は、
次の通りの作用を有している。
【0005】通常の光学ガラスは、図26(A)におい
て次の式で表わされるスネルの法則に従って屈折する。
【0006】 nsin θ=n'sinθ' (1) ただし、nは入射側媒質の屈折率、n' は出射側媒質の
屈折率、θは光線の入射角、θ' は光線の出射角であ
る。
【0007】一方、回折現象では、図26(B)のよう
に光は次の式で表わす回折の法則にしたがって屈折す
る。
【0008】 nsin θ−n'sinθ' =mλ/d (2) ただしmは回折光の次数、λは波長、dは格子間隔であ
る。
【0009】上記の式(2)に従って光線を屈折させる
ようにした光学素子が回折型光学素子である。この式
(2)において、dを光線高により変化させ、一次光の
出射角θ' を光線高に応じて変化させて、一点に集光す
るようにすれば適当な焦点距離fを持つ回折型光学素子
(回折型レンズ)を作ることが出来る。しかしこのまま
では、一般的にフレネルゾーンプレートと呼ばれている
ものであって、格子状に遮蔽されていることと、一次以
外の次数の光が発生するためとにより光量の無駄が多
く、図27(A)に示すようなキノフォームと呼ばれる
断面形状が鋸状にしてある。これにより入射光はブレー
ズ化され、1次回折効率が100%になる。実際には、
完全な鋸状に加工することは難しく、図27(B)に示
すようにエッチングにより階段状にして近似させるが、
それでも回折効率がほぼ90%以上になる。
【0010】次に上記のような回折型光学素子を使用す
ることによる効果について説明する。
【0011】薄肉レンズの場合、次の式(3)に示す関
係が成立つ。
【0012】 1/f=(n−1)(1/r1 −1/r2 ) (3) ただし、fは焦点距離、r1 ,r2 は夫々入射面と出射
面の曲率半径、nはレンズの屈折率である。
【0013】上記式(3)の両辺を波長λにて微分する
と下記のように式(4)が求まる。
【0014】 df/dλ=−f(dn/dλ)/(n−1) Δf=−f{Δn/(n−1)} (4) 回折型光学素子の場合、λf=C(一定)であるので、
f=C/λである。このf=C/λの両辺をλで微分す
ると次のようにして式(5)が得られる。
【0015】 df/dλ=−C/λ2 =−f/λ Δf=−f(Δλ/λ) (5) Δn/(n−1)=νであるので、式(4)と(5)と
からν=λ/Δλである。したがって、回折型光学素子
のνd は下記の通りである。
【0016】 νd =λd /(λF −λC )=−3.453 (6) このように回折型光学素子は、非常に大きな負の分散特
性を持つ。通常のガラスの分散特性は、約20〜100
であるので、通常のレンズと回折型光学素子とを組合わ
せることにより色収差の除去に大きな効果を発揮するこ
とが出来る。このような回折型光学素子の最も簡単な設
計法は、一般に使用されている自動設計プログラムのう
ち、HOE即ちホログラフィック オプティクス エレ
メンツ(Holographic Optics Elements )の設計が
できる機能を持つ自動設計プログラムを用いることであ
る。ここでウルトラ−ハイ インデックス レンズ(U
ltra−High Index Lens)と呼ばれ
るレンズを回折型光学素子と仮定することによって、通
常のレンズ自動設計プログラムを用いても設計すること
ができる。このことについては、SPIE 126巻4
6−53頁(1977年)に記載されている。この屈折
率nがn≫1であるようなウルトラ−ハイ インデック
ス レンズにおいては、次の式(7)で表わされる関係
が成立つ。
【0017】 (n−1)dz/dh=nsin θ−n'sinθ' (7) ただし、n' は出射側の媒質の屈折率、θ,θ' は光線
の入射角および出射角、nは回折型光学素子の基板の屈
折率、zはウルトラ−ハイ インデックスレンズの肉厚
である。
【0018】式(2)および(7)から次の式(8)が
求まる。
【0019】 (n−1)dz/dh=mλ/d (8) ウルトラ−ハイ インデックス レンズとして非球面を
定義したとすると、下記のように表わされる。 z=Cy2 /[1+(1−C2 Py21/2 ]+By2 +Ey4 +Fy6 +Gy8 +・・・・ (9) ただし、図28に示すようにzは光軸(像の方向を
正)、yは面とz軸との交点を原点としz軸に直交した
座標軸のうちメリジオナル方向の座標軸、Cは基準面の
曲率、Pは円錐定数でP=1−e2 (eは離心率)で与
えられる値、B,E,F,G,・・・は夫々2次,4
次,6次,8次,・・・の非球面係数である。尚図28
において、Oは物体、Iは像である。
【0020】式(8),(9)よりある光線高における
回折型光学素子のピッチdは、次の式(10)で表わさ
れる。 d=mλ/[(n−1){Ch/(1−C2 Ph21/2+2Bh+4Eh3 +6Fh5 +8Gh7 +・・・・}] (10) したがって、ウルトラ−ハイ インデックス レンズを
用いて設計を行なえば、そのレンズデーターと等価の回
折型レンズの面の形状を求めることが出来る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】前述の図24に示すよ
うな構成のレンズ系は、色収差を除去するために少なく
とも2枚のレンズからなる接合レンズを用いる必要があ
り、必然的にレンズ枚数が増えコスト高になる問題を有
していた。
【0022】本発明は、接合レンズの代りに回折型光学
素子を用いることによって、色収差を除去しかつレンズ
枚数を減らしコストを低下せしめた内視鏡対物レンズを
提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の内視鏡対物レン
ズは、レンズ系中に少なくとも開口絞りを含んでいて、
この絞りよりも像側に正の作用を持つ回折型光学素子を
配置したことを特徴としている。
【0024】又本発明の内視鏡対物レンズにおいて、絞
りより像側に更に正の屈折力を持つレンズ成分を配置す
ることにより一層良好なレンズ系となし得る。
【0025】更に本発明の内視鏡対物レンズにおいて、
絞りより物体側に負の屈折力を持つレンズ配分を配置す
ることも好ましい。
【0026】通常の内視鏡対物レンズは、ある程度のテ
レセントリック性(光線射出角が0°±10°以内であ
ることが好ましい)を確保するために、正レンズの前側
焦点位置付近に絞りが配置されることが最低限必要であ
る。しかし、このようなレンズ構成の場合、像面上で倍
率の色収差が−y方向に発生し、軸上色収差が−z方向
に発生する。
【0027】回折型光学素子は、負のアッベ数を持つウ
ルトラ−ハイ インデックス レンズと等価であり、正
の作用を持つ回折型光学素子を絞りよりも像側に配置す
れば、倍率の色収差および軸上色収差を良好に補正出来
る。
【0028】また、通常の内視鏡対物レンズは、画角を
広くするために、絞りよりも物体側に負レンズを配置す
る。このように絞りより物体側に負レンズを配置すると
倍率の色収差は像面上で大きく−y方向に発生し、又軸
上の色収差は、この負レンズの作用と正レンズの作用と
でやや打ち消し合うが、−z方向に発生する。これら倍
率の色収差および軸上の色収差も、絞りよりも像側に配
置された正の作用を有する回折型光学素子により良好に
補正出来る。
【0029】又ウルトラ−ハイ インデックス レンズ
により収差補正を行なう場合、下記の式(11)の密着
薄肉レンズの色消し条件について考える。 Σ 1/(fi νi)=0 (11) 通常のガラスのアッベ数とウルトラ−ハイ インデック
ス レンズのアッベ数とは、オーダーが1桁異なってい
るため、ウルトラ−ハイ インデックス レンズの焦点
距離は、他のガラスレンズの焦点距離にくらべてオーダ
ーを1桁異なるようにする必要がある。そのためにウル
トラ−ハイ インデックス レンズを用いて色収差を補
正するためには全系の焦点距離をf、ウルトラ−ハイ
インデックス レンズの焦点距離をfD とすると、次の
条件(12)を満足することが望ましい。 3f<fD <100f (12) 条件(12)の下限を越えると軸上色収差の補正が困難
になり、条件(12)の上限を越えると、通常のガラス
レンズ程度の補正能力しか持ち得ないため、回折型光学
素子を用いる意味がない。
【0030】
【実施例】次に本発明の内視鏡用対物レンズの各実施例
を示す。以下述べる実施例1〜6は、図1〜図6に示す
構成で下記のデーターを有する。 実施例1 f=1 ,F/2.3 ,2ω=51.0°,IH=0.3952 r1 =∞(絞り) d1 = 1.2587 n1 =1.883 ν1 =40.78 r2 =3334.5350(非球面)d2 = 0(DOE) n2 =1001.42 ν2 =-3.45 r3 =∞ d3 = 0.3688 r4 =1.1245 d4 =1.7455 n3 =1.883 ν3 =40.78 r5 =∞ d5 =0.0376 n4 =1.56384 ν4 =60.69 r6 =∞ 非球面係数 P=1 ,B=0 ,E=-0.78889×10-4,F=0.99820 ×
10-4 G=-0.45346×10-3D =3.333 ,hM=0.225 ,hC=0.296 ,fD /D=
2.648 E1 =1.3 ,E2 =1.7 ,E2 /E1 =1.31,fD /f
=3.333 1−D2 (f1 −D1 )/f11 =0.818 hC /hM・FNO・ IH=0.782
【0031】実施例2 f=1 ,F/6.2 ,2ω=102.68°,IH=0.815 r1 =∞ d1 =0.4782 n1 =1.883 ν1 =40.78 r2 =0.7562 d2 =0.5002 r3 =∞ d3 =0.6173 n2 =1.52287 ν2 =57.89 r4 =∞ d4 =0.3086 r5 =∞ d5 =0.9568 n3 =1.52 ν3 =74.0 r6 =∞(絞り) d6 =0.29 r7 =1.6192 d7 =0.8403 n4 =1.883 ν4 =40.78 r8 =∞ d8 =0(DOE)n5 =1001.42 ν5 =-3.45 r9 =-40.9515(非球面)d9 =2.3704 r10=∞ d10=1.5432 n6 =1.51633 ν6 =64.15 r11=∞ 非球面係数 P=1 ,B=0.12168 ×10-1,E=0.17450 ×10-4 F=0.13663 ×10-2 G=-0.41386×10-2D =12.020,hM=0.286 ,hC=0.17,|f1 |/D
=0.401 hC /hM・FNO・ IH=0.127 ,fD /f2 =7.31
【0032】実施例3 f=1 ,F/2.8 ,2ω=91.5°,IH=0.759 r1 =∞ d1 =0.3408 n1 =1.45875 ν1 =67.80 r2 =0.5414 d2 =0.8676 r3 =∞(絞り) d3 =0.0077 r4 =6.9149 d4 =0.8154 n2 =1.45875 ν2 =67.80 r5 =-0.9261 d5 =0 r6 =2.4647 d6 =0.5061 n3 =1.45875 ν3 =67.80 r7 =-1985.943(非球面)d7 =0(DOE)n4 =1001.42 ν4 =-3.45 r8 =∞ d8 =1.4819 r9 =2.6822 d9 =0.8807 n5 =1.45875 ν5 =67.80 r10=∞ 非球面係数 P=1 ,B=0.29699 ×10-3,E=-0.52072×10-4 F=0.43806 ×10-4 G=-0.44209×10-4 H=-0.33752×10-4 I=-0.23462×10-5D =11.052,hM=0.35,hC=0.338 ,|f1 |/D
=1.36 fD /f2 =8.696 ,hC /hM・FNO・ IH=0.46
【0033】実施例4 f=1 ,F/4.47,2ω=93.4°,IH=0.740 r1 =∞ d1 =0.3324 n1 =1.45875 ν1 =67.80 r2 =0.5905 d2 =0.9516 r3 =∞(絞り) d3 =0.7953 n2 =1.45875 ν2 =67.80 r4 =-1.112 d4 =0 r5 =2.5939 d5 =0.4936 n3 =1.45875 ν3 =67.80 r6 =-2474.5145(非球面)d6 =0(DOE)n4 =1001.42 ν4 =-3.45 r7 =∞ d7 =1.3592 r8 =1.6118 d8 =1.6794 n5 =1.45875 ν5 =67.80 r9 =∞ 非球面係数 P=1 ,B=0.25386 ×10-3,E=-0.54928×10-4 F=0.80482 ×10-4 G=-0.3876 ×10-4 H=-0.42264×10-4 I=-0.30885×10-5D =9.649 ,hM=0.229 ,hC=0.342 ,|f1 |/
D=1.35 fD /f2 =6.5 ,hC /hM・FNO・ IH=0.45
【0034】実施例5 f=1 ,F/2.44,2ω=110.0 °,IH=0.829 r1 =∞ d1 =0.372 n1 =1.45875 ν1 =67.80 r2 =0.6033 d2 =0.9735 r3 =∞(絞り) d3 =0.0076 r4 =-8.9636 d4 =0.8902 n2 =1.45875 ν2 =67.80 r5 =-1.0299 d5 =0 r6 =2.4339 d6 =0.4481 n3 =1.45875 ν3 =67.80 r7 =1700.1112 (非球面)d7 =0(DOE)n4 =1001.42 ν4 =-3.45 r8 =∞ d8 =1.2456 r9 =1.7524 d9 =1.9166 n5 =1.45875 ν5 =67.80 r10=∞ 非球面係数 P=1 ,B=-0.27291×10-3,E=-0.40356×10-4 F=0.38175 ×10-4 G=-0.15833×10-4 H=-0.63409×10-5 I=0.40434 ×10-11D =23.59 ,hM=0.437 ,hC=0.407 ,|f1 |/
D=1.351 fD /f2 =15.1,hC /hM・FNO・ IH=0.46
【0035】実施例6 f=1 ,F/2.45,2ω=102.6 °,IH=0.785 r1 =∞ d1 =0.3526 n1 =1.45875 ν1 =67.80 r2 =0.6062 d2 =0.8780 r3 =∞(絞り) d3 =0.006 r4 =-10.2198 d4 =0.8436 n2 =1.45875 ν2 =67.80 r5 =-0.9714 d5 =0.3949 r6 =2.3065 d6 =0.4174 n3 =1.45875 ν3 =67.80 r7 =1087.3734 (非球面)d7 =0(DOE)n4 =1001.42 ν4 =-3.45 r8 =∞ d8 =1.0845 r9 =1.6606 d9 =1.7852 n5 =1.45875 ν5 =67.80 r10=∞ 非球面係数 P=1 ,B=-0.43907×10-3,E=-0.35378×10-4 F=0.28031 ×10-4 G=-0.12212×10-4D =24.083,hM=0.395 ,hC=0.519 ,|f1 |/
D=1.321 fD /f2 =15.35 ,hC /hM・FNO・ IH=0.684 ただしr1 ,r2 ,・・・ はレンズ各面の曲率半径、d
1 ,d2 ,・・・ は面間隔、n1 ,n2 ,・・・ は屈折率、
ν1 ,ν2 ,・・・ はアッベ数、FNoはFナンババー、I
Hは像高、hM ,hC は夫々軸上マージナル光線及び軸
外主光線高である。
【0036】実施例1は、図1に示す構成で主に血管等
に用いられる極細のファイバースコープに適用した内視
鏡対物レンズである。ここで回折型光学素子の焦点距離
は、通常のレンズに比べて約10倍であるので、像面近
くのレンズが回折型光学素子であるテレセントリックな
光学系は、全長が大きくなりすぎる。この実施例1は、
物体側より順に、絞りと正の作用を持つ回折型光学素子
(平行平面板の像側の面に設けられている)と、通常の
ガラスよりなる正レンズとより構成されている。又回折
型光学素子の焦点距離をfD 、絞りから前記光学素子ま
での距離をDとする時、次の条件を満足する。
【0037】 1<fD /D<3 (13) この条件の下限を越えるとテレセントリック性を維持す
ることが困難になる。又上限を越えると前記の正レンズ
の全反射によるけられが問題になる。ウルトラ−ハイ
インデックス レンズは、屈折率が非常に大であるた
め、ペッツバール和が小さく、図25に示すような従来
の血管用内視鏡対物レンズより像面湾曲が良く補正され
ている。
【0038】又主光線より上側の光線がレンズ外径によ
りけられないための条件は、図14における近軸計算に
より求められる。第1のレンズL1 において、ニュート
ンの公式より次の関係が成立つ。
【0039】 (z’ −f1 )(f1 −D1 )=−f1 2 (14) 又第2レンズL2 に入射する光線の光線高をh2 、第1
レンズL1 に入射する光線高をh1 とすると、次の関係
が成立つ。
【0040】 h2 /h1 =1−D2 (f1 −D1 )/(f1・D1) (15) したがって、第1レンズL1 の外径E1 と第2レンズL
2 の外径をE2 とすると、主光線より上側の光線が外径
によりけられないための条件は下記の通りである。
【0041】 E2 /E1 ≧1−D2 (f1 −D1 )/(f1・D1) (16) また図15(D)に示すように、絞りを有してはいない
が、面取り部分が機能上絞りの役割をはたすものも本実
施例と同等の効果を有していることは言うまでもない。
【0042】実施例2は、図2に示す通りの構成で主と
してビデオ内視鏡に用いられる対物レンズである。この
実施例は、絞りより像側の正レンズの像側の面に回折型
光学素子を設けている。又この実施例2の対物レンズ
は、若干テレセントリック性が崩れているが、面順方式
の固体撮像素子を用いれば色シェーディングも発生する
ことなく使用し得る。また図2において第2の平行平面
板F2 は、白板ガラスにYAGカットコーティングを行
なったYAGカットフィルターであり、第3の平行平面
板F3 は、赤外光を除去する赤外カットフィルターであ
る。一般に内視鏡では、YAGカットフィルターを撮像
光路中に配置するが、CCDなどの固体撮像素子の受光
部以外の金属面により反射した光がYAGカットフィル
ターで再反射しゴーストの原因になる。
【0043】本発明では、CCDとYAGカットフィル
ターとの間に赤外カットフィルターを配置することによ
りゴースト光の強度を減少させている。
【0044】実施例2は、絞りを挟んで負レンズと正レ
ンズとを組合わせて色収差以外の収差を除去している。
まず球面収差は、第1負レンズの像側の面で発生する正
の収差を第4正レンズの物体側の面で発生する負の収差
が打消している。又コマ収差は、第1正レンズの像側の
面で発生する正の下側従属光線のコマ収差をウルトラー
ハイ インデックス レンズで発生する負の収差で打ち
消している。又ウルトラーハイ インデックス レンズ
は、屈折率が非常に大であり、ペッツバール和がほとん
ど0である。
【0045】又軸上色収差は、負レンズと正レンズとで
ある程度打ち消しあっているため、全体としてやや過剰
補正ぎみであるが、倍率の色収差は非常に良く補正され
ている。また第4正レンズは、物体側の面が凸面の凸平
レンズであるが、このような構成にした場合、コマ収差
を補正する上で有利であり、かつ式(10)にしたがっ
て回折型光学素子の加工を平面に行なった場合、平行光
に近い光を回折面に入射させることが出来るため、回折
効率が劣化することがないので望ましい。
【0046】回折型光学素子の配置は、通常のガラスに
近接していればよく、例えば図15(A)のように凸平
レンズLの平面部に回折型光学素子(DOE)を直接加
工すればよい。又図15(B)のようにプラスチックや
ガラス等の素材でプレス加工した回折型光学素子(DO
E)を、凸平レンズの平面に貼り付けたり、機械的につ
きあててもよい。また図15(C)のようにプラスチッ
クやガラス等の素材でプレス加工した回折型光学素子
(DOE)をフレアー絞りを兼ねたスペーサーSを介し
て配置してもよい。
【0047】実施例2〜6では、広角化をはかるため
に、絞りと第1負レンズとの間隔Dに条件をつけてい
る。
【0048】 0.2<|f1 |/D<3.2 (17) ただし、f1 は第1負レンズの焦点距離である。又全系
の焦点距離を1に規格化している。
【0049】絞りと第1負レンズとの間隔Dをせばめな
がら広角化をはかると、第4正レンズのパワーが強くな
り、上側従属光線のコマ収差が強く負側に発生し、回折
型光学素子による補正が困難になる。このような現象が
生じないためには、上記の条件(17)を満足すること
が望ましい。この条件で下限を越えると、前記のように
収差を良好に補正することが出来ず、又上限を越えると
第1負レンズによるけられが発生してしまう。更にこの
ような構成にすることによって、実施例2のようにYA
Gカットフィルターと赤外カットフィルターを無理なく
配置出来るので好ましい。
【0050】実施例3〜6は、絞りより物体側の負の第
1レンズ群と絞りより像側の正の第2レンズ群よりな
り、第2レンズ群の2番目のレンズである第3正レンズ
の像側に回折型光学素子が設けられている。これら実施
例は、原子力発電所などで使用される耐放射線仕様の内
視鏡対物レンズである。通常の硝材を使用した内視鏡対
物レンズは、放射線により硝材が変色し観察不可能にな
り、そのため、放射線による変色を起こさない硝材であ
る石英のみを使用している。このように単一の硝材での
み光学系を構成したため、色収差が大きく発生するが、
この色収差を回折型光学素子を用いて除去している。色
収差を除去するために、ウルトラ−ハイインデックス
レンズを用いる場合、その配置位置を適切な位置にしな
ければならない。物体側より、負レンズ、絞り、正レン
ズにて構成される光学系の場合、第1負レンズと絞りと
の間に回折型光学素子を配置すると、軸上色収差と倍率
の色収差とで補正の方向がまったく逆になり、そのため
これら色収差が同時にほぼ零になるように補正すること
は難しい。これら色収差が同時にほぼ零になるようにす
るためには、回折型光学素子を、絞りと第2正レンズと
の間に配置するのが望ましい。この場合も、軸上色収差
と倍率の色収差のウエイト付けが必要である。つまり回
折型光学素子以外のレンズの硝材や構成によって、倍率
の色収差と軸上色収差の発生量が変わるので、ウルトラ
−ハイ インデックス レンズの面における軸外主光線
高hC とマージナル光線高hM の値が適当な条件を満足
するような位置にこの回折型光学素子を配置することが
望ましく、実施例1〜6の場合、下記の条件を満足する
ことが好ましく、これによって軸上色収差と倍率の色収
差を同時にほぼ零にすることが出来る。
【0051】 0.1<hC /(hM ×FNO×IH)<2.52 (18) ここでFNOはFナンバー、IHは像高である。
【0052】上記条件の下限を越えると、倍率の色収差
の補正が難しく、又上限を越えると、軸上色収差の補正
が難しくなる。
【0053】実施例3および実施例4は、軸上色収差の
補正よりも倍率の色収差の補正にウエイトをおいた実施
例である。また実施例5および実施例6は、倍率の色収
差の補正よりも軸上色収差の補正にウエイトをおいた実
施例である。
【0054】又他の収差のうち球面収差は、第2正レン
ズの像側の面のパワーを弱めた場合、実施例4や実施例
5におけるように正に発生し、又第2正レンズの像側の
面のパワーを強めると実施例3や実施例6のように負に
発生する。
【0055】更にコマ収差は、各面での発生量が小さく
抑えられており、かつ全体的に打ち消し合うようにして
良好に補正してある。特に実施例3および実施例4は、
コマ収差が良好に補正されている。又第2正レンズのパ
ワーは、非点収差の発生に影響を及ぼし、実施例3のよ
うに、このレンズの物体側の凸面のパワーを強くし、像
側の凸面のパワーを弱くすれば非点収差の発生を抑える
ことが出来る。
【0056】実施例2乃至実施例3では、絞りを挟んで
物体側に負の作用を持つ第1レンズ群が配置され、又像
側には正の作用を持つ第2レンズ群が配置されている。
このような構成のレンズでは、色収差Δfは、次のよう
にして求められる。
【0057】図13において、光線高の関係から次の式
(19)が求められる。
【0058】 l=(f1 −D)×f/f1 (19) 又ニュートンの公式から、次の式(20)が求められ
る。
【0059】 (D−f1 −f2 )(l−f2 )=−f2 2 (20) 式(19),(20)よりlを消去し次の式(21)が
得られる。
【0060】 f=−f1 ・f2 /(D−f1 −f2 ) (21) 式(21)の両辺をnで微分すると次の式が得られる。 Δf= Δf1・Δf2{D(ν1 +ν2)−(f1 ν1 +f2 ν2)}/(D−f1 −f2)2 (22) Δfは、軸上色収差および倍率の色収差の両方に含まれ
る項で、Δf=0とすれば軸上色収差、倍率の色収差共
に除去出来る。ここで正の作用を有する第2レンズ群に
回折型光学素子が貼付けられているので、正の作用を持
つ第2レンズ群中の回折型光学素子以外のガラスによる
焦点距離およびアッベ数を式(20)乃至式(22)に
おけるf2 およびν2 と区別するために、F2 およびV
2 とすると次の式(23)が成立つ。
【0061】 1/f2 =1/F2 +1/fD (23) この式(23)の両辺をnで微分すると、次の式(2
4)のようになる。
【0062】 Δf2 =−f2 2{(1/(F2・N2 )+1/(fD・νD )} (24) fD はF2 よりも1桁ほど大であるので、 1/f2 ≒1.1/F2 (25) とすると、Δf=0になるためには、式(22)より D(ν1 +ν2 )−(f1 ν1 +f2 ν2 )=0 (26) であればよいので、式(6)、式(23)乃至式(2
5)からΔf=0になる回折型光学素子の焦点距離fD
は、次の式(21)で求めることが出来る。
【0063】 1/fD ≒−3.45[(f2 −D)/{(D−f112}−1/( N2・f2)] (27) したがって上記の式(27)を満足するようにレンズを
設計すれば、色収差を除去することが出来る。内視鏡の
対物レンズは、f1 ,f2 ,ν1 ,N2 ,Dはほぼ決ま
った値であるので、fD とf2 の比が次の条件を満足す
れば、色収差Δfを良好に補正出来る。
【0064】 0<fD /f2 <50 (28) ここで、全系の焦点距離を1に規格化してある。
【0065】この条件(28)の下限を越えると、レン
ズ系がレトロフォーカスタイプであるため、色収差が除
去できない。又条件(28)の上限を越えると回折型光
学素子のパワーが弱くなる方向になるが、第2レンズ群
を構成するレンズ枚数が増え、図24に示す従来例と同
じ枚数になり好ましくない。
【0066】即ち、下記の条件を満足するようなf
,f ,ν ,N ,Dであれば、色収差Δ
fを良好に補正することが出来る。
【0067】 0<1/[−3.45[(f2−D)/{(D−f1)ν
2}−1/(N22)]f2]<50 ただし全系の焦点距離を1に規格化している。
【0068】尚本発明で用いられている回折型光学素子
の焦点距離とは、回折型の焦点距離の意味の他、ウルト
ラーハイ インディクス レンズの焦点距離であること
も意味し、上記の実施例1〜6においては、式(10)
により、ウルトラーハイインディクス レンズから回折
型光学素子に変換し、この変換した回折型光学素子を設
けた対物レンズが本発明の対物レンズである。
【0069】次に回折型光学素子の回折効率について考
える。図16は、実施例2で用いる赤外カットフィルタ
ーの分光透過率特性を示す図で、又図17は同じ実施例
2で用いる固体撮像素子の分光感度特性を示す図であ
る。図18は、図16と図17の特性をかけ合わせ正規
化したもので、赤外カットフィルターと固体撮像素子の
トータルの感度特性である。
【0070】一般に回折型光学素子は、1次の回折光を
100%にできるキノフォームであっても波長によって
回折効率が異なり、0次光以外の不要次数光が発生しフ
レアー等の原因になる。この不要次数光の比率は、下記
の式(29)にて示す回折効率として求めることが出来
る。 ηm =sin c2 [π{m−m00/Δn(λ0))・(Δn(λ)/λ)}] (29) ただし、λ0 は回折効率を1とする波長、λは回折効率
を求めようとする波長、n' (λ)はある波長における
射出光の媒質の屈折率で通常は1、n(λ)はある波長
における入射光の媒質の屈折率であり、通常は回折型光
学素子を加工する媒質の屈折率、m0 は回折効率を1に
する次数、mは回折効率を求めたい次数である。
【0071】例えば、実施例2の硝材を用いてd線の1
次光をキノフォームによりブレーズ化する(前述のよう
にある次数、ある波長の回折効率を100%とする)と
式(29)は下記のようになる。 ηm =sin c2 [π{m−m0(587.56/1-1.883)(1-n(λ)/λ)}] (30) これを計算すると下記のようになる。
【0072】 -1 0 1 2 3 n(λ) g線(435.83nm) 1.57% 4.64% 59% 24.1%3. 46% 1.91049 F線(486.13nm) 0.89% 2.92% 83.8% 7.44% 1.41% 1.89822 e線(546.07nm) 0.15% 0.56% 97.8% 0.79%0. 18% 1.88814 d線(587.56nm) 0 % 0 % 100 % 0 % 0 % 1.88300 C線(656.27nm) 0.33% 1.5 % 96% 0.96%0. 27% 1.87656 A線(768.19nm) 1.62% 8.75% 81.5% 3.19% 0.98% 1.86947 上記の計算結果をグラフ化したのが図20である。式
(30)において、m=1のみに着目し、1次光以外の
光はすべてフレアーになるとすると、入射光線がフレア
ー光になる比率εは下記のように表わすことが出来る。
【0073】 ε=1−η1 (31) 波長と上記の比率εとの関係を概念的に示すと、図21
の(A)のようになる。波長域λ1 <λ<λ2 (λ1
λ2 )におけるフレアーFは、図21(A)の斜線にて
示す部分の面積で表わされ、下記の通りである。尚図に
おいてλ0 はブレーズ化波長である。 例えば、図27(A)に示すようなキノフォームではな
く、図27(B)に示すようなキノフォームを近似した
断面形状であれば、理想的なキノフォームがブレーズ化
波長λ0 における回折効率η1 =1となるのに対し、そ
の回折効率η’はη1'≒0.95〜0.99となるた
め、フレアー率εは、図21(B)のようにε=1−η
1'となるが、ある波長域λ1 <λ<λ2 (λ1 <λ2
におけるフレアーFは、同様に式(32)で表わされ
る。ここで、図21(C)のように曲線εを波長方向に
移動させると、斜線部分の面積を小さくすることが出来
る。このことは、使用する波長域におけるフレアー量を
最少にするようなブレーズ化波長λ0 が、d線以外に存
在することを示唆している。これを式で表わすと、ある
波長域λ1 <λ<λ2 (λ1 <λ2 )におけるフレアー
Fを最小にするようなブレーズ化波長をλ0 とすると下
記の式(33)が成立つ。 尚式(31)での議論では、使用する次数を1次とし、
ブレーズ化する次数はなるべくフレアーを少なくしたの
で、m0 =mとなることが望ましく、m1 =1、m0
1である。又式(33)においてMinは、Fの値が最
小となることを意味する。上記式(32)において、λ
1 =400nm、λ2 =700nm,m=1、n(d)
=1.88300として具体的に計算すると、図19の
ようになる。この結果、Fがミニマムになるブレーズ化
波長λ0 はλ0 =560nm近傍であり、λ0 をおおよ
そ500nm<λ0 <610nmの範囲内にすればフレ
アー光Fをミニマム付近におさえることが出来る。つま
り図19は、式(32)の値を積分したもので、この値
が小さければフレアーが少ない。これは、ブレーズ化波
長λ0 が500nm〜610nmの間になるように回折
型光学素子を作れば、フレアーが極小又はそれに近くな
ることを示している。
【0075】次に赤外カットフィルターの透過率特性が
図16で示される特性で、固体撮像素子の分光感度特性
が図17で示されるような特性である時、赤外カットフ
ィルターと固体撮像素子のトータルの感度特性は、図1
8で示すようになる。この特性の場合、d線の近傍で分
光感度特性がピークになり、F線、C線の近傍では、感
度特性がやや悪くなるため、実際には映像信号処理の際
に青信号および赤信号をアップして増幅し、図22
(A)に示すようにF線からC線の間の感度がフラット
になるようにしている。そのため回折型光学素子による
フレアー光も増幅され、回折型光学素子によるフレアー
光は、撮像素子や赤外カットフィルターの特性によら
ず、図19に示すように式(33)が成立つようなブレ
ーズ化波長λ0 に設定しなければならない。その場合に
は、例えばスティルビデオカメラのように自然色を使用
する場合に適応される。しかし、内視鏡においては、照
明光はライトガイドケーブルの光ファイバー束により伝
送され、光ファイバーの特性として短波長の光がコアー
材により吸収されるため、F線近傍の波長の光が減衰さ
れたものとなる。したがって、内視鏡において得られる
画像は、F線近傍の波長の光が減衰するためF線からC
線までの間の感度をフラットにするためにはF線近傍の
波長の増幅率を高める必要がある。このように増幅率を
高めた場合、S/N比が悪くなり、ノイズが多くなるた
めに実際にはあまり増幅率をあげることは出来ない。そ
のため内視鏡で得られる画像は、F線からC線の間の波
長領域で、F線の付近の感度がやや落ちた図24(B)
に示すような感度特性になる。このようにウエイト付け
された感度特性をW(λ)とすると式(26)における
入射光線がフレアー光になる比率ε' は、次の式(3
4)にて表わされる。 ε' =W(λ)(1−η1 ) (34) 又式(35)は、次のようにかきかえられる。 これを図21と同様の概念図で表わすと、W(λ)のウ
ェイトの影響によりε’は図23の(A)に示すように
短波長λ1側が小さくなっている。そのため、先の議論
では、図19に示したようにλ0がほぼλ0=560mm
になれば良い結果が得られていたがウェイトを考慮する
とλ0=560mmよりも長波長側にλ0を設定した方
が、図23の(B)からもわかるように、フレアー光に
なる比率が全体として小さくなる。つまりF’の値が小
さくなる。以上のように、ブレーズ化を行なう波長を使
用する撮像体や光源装置や信号処理装置の特性に応じて
適宜設定することによって不要次数光によるフレアーの
発生が目立たないようにすることが出来る。例えば、実
施例2のデーターを回折型光学素子に変換すると、λ0
=560nmにおいてブレーズ化を行なった場合、回折
型の光線高に対するピッチd(h)は、下記のようにな
る。
【0076】これより次の値が求まる。 h 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 d(h) 71.5 41.9 55.3 1300 16.1 以上述べた条件は、製作を考慮した場合の条件で、コス
トの安い内視鏡対物レンズを提供するためのものであ
る。また、ここでは撮像手段には固体撮像素子のみを考
えているが、イメージガイドファイバー束や銀塩フィル
ムでもよい。更に使用する波長も、可視域に限らず赤外
波長域や紫外波長域にも適用し得る。
【0077】
【発明の効果】本発明の内視鏡対物レンズは、回折作用
を有する光学素子を用いて色収差を除去するようにし、
従来のもののように2枚の接合レンズを用いることなく
レンズ枚数を少なく出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の断面図
【図2】実施例2の断面図
【図3】実施例3の断面図
【図4】実施例4の断面図
【図5】実施例5の断面図
【図6】実施例6の断面図
【図7】実施例1の収差曲線図
【図8】実施例2の収差曲線図
【図9】実施例3の収差曲線図
【図10】実施例4の収差曲線図
【図11】実施例5の収差曲線図
【図12】実施例6の収差曲線図
【図13】絞りを挟んで負,正の屈折力のレンズ系のレ
ンズ間隔等と光線高との関係を示す図
【図14】絞りを最も物体側に配置した光学系のレンズ
間隔等と光線高との関係を示す図
【図15】回折型光学素子の構成を示す図
【図16】実施例2で用いられる赤外カットフィルター
の分光透過率特性
【図17】実施例2で用いられる固体撮像素子の分光感
度特性
【図18】上記赤外カットフィルターと上記固体撮像素
子の合成の特性
【図19】回折型光学素子による波長に対するフレアー
の値を示す図
【図20】回折型光学素子における波長に対する回折率
を示す図
【図21】回折型光学素子による波長に対するフレアー
率の概念図
【図22】内視鏡の画像の感度特性を示す図
【図23】ウェイト付された時のフレアー率の概念図
【図24】従来の内視鏡対物レンズの断面図
【図25】従来の他の内視鏡対物レンズの断面図
【図26】光の屈折および回折を示す図
【図27】回折格子の断面形状の例を示す図
【図28】光学系における座標軸を示す図
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】 ( −1)dz/dh=nsin θ−n’sinθ’ (7) ただし、n’は出射側の媒質の屈折率、θ,θ’は光線
の入射角および出射角、nは回折型光学素子の基板の屈
折率、はウルトラーハイ インデックスレンズの屈
折率、zはウルトラ−ハイ インデックス レンズと光
線高hの光線との交点の光軸方向の座標である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 ( −1)dz/dh=mλ/d (8) ウルトラ−ハイ インデックス レンズとして非球面を
定義したとすると、下記のように表わされる。 z=Cy/[1+(1−CPy1/2]+By+Ey +Fy+Gy+・・・・ (9) ただし、図28に示すようにzは光軸(像の方向を
正)、yは面とz軸との交点を原点としz軸に直交した
座標軸のうちメリジオナル方向の座標軸、Cは基準面の
曲率、Pは円錐定数でP=1−e(eは離心率)で与
えられる値、B,E,F,G,・・・は夫々2次,4
次,6次,8次,・・・の非球面係数である。尚図28
において、Oは物体、Iは像である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】式(8),(9)よりある光線高における
回折型光学素子のピッチdは、次の式(10)で表わさ
れる。 d=mλ/[( −1){Ch/(1−CPh1/2+2Bh+4Eh +6Fh+8Gh+・・・・}] (10) したがって、ウルトラ−ハイ インデックス レンズを
用いて設計を行なえば、そのレンズデーターと等価の回
折型レンズの面の形状を求めることが出来る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【実施例】次に本発明の内視鏡用対物レンズの各実施例
を示す。以下述べる実施例1〜6は、図1〜図6に示す
構成で下記のデーターを有する。各実施例において、
(DOE)と書かれた行の屈折率がnに相当する。 実施例1 非球面係数
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】 ε=1−η (31) 波長と上記の比率εとの関係を概念的に示すと、図21
の(A)のようになる。波長域λ<λ<λ(λ
λ)におけるフレアーFは、図21(A)の斜線にて
示す部分の面積で表わされ、下記の通りである。尚図に
おいてλはブレーズ化波長である。 例えば、図27(A)に示すようなキノフォームではな
く、図27(B)に示すようなキノフォームを近似した
断面形状であれば、理想的なキノフォームがブレーズ化
波長λにおける回折効率η=1となるのに対し、そ
の回折効率η1’はη’≒0.95〜0.99となる
ため、フレアー率εは、図21(B)のようにε’=1
−η’(ただし、ε’>ε)となるが、ある波長域λ
<λ<λ(λ<λ)におけるフレアーFは、同
様に式(32)で表わされる。通常は、ブレーズ化する
波長をd線にするが、図21(C)のように曲線εを波
長方向に移動させると、斜線部分の面積を小さくするこ
とが出来る。このことは、使用する波長域におけるフレ
アー量を最少にするようなブレーズ化波長λが、d線
以外に存在することを示唆している。これを式で表わす
と、ある波長域λ<λ<λ(λ<λ)における
フレアーFを最小にするようなブレーズ化波長をλ
すると下記の式(33)が成立つ。 尚式(31)での議論では、使用する次数を1次とし、
ブレーズ化する次数はなるべくフレアーを少なくしたの
で、m=mとなることが望ましく、m=1、m
1である。又式(33)においてMinは、Fの値が最
小となることを意味する。上記式(32)において、λ
=400nm、λ=700nm,m=1、n(d)
=1.88300として具体的に計算すると、図19の
ようになる。この結果、Fがミニマムになるブレーズ化
波長λはλ=560nm近傍であり、λをおおよ
そ500nm<λ<610nmの範囲内にすればフレ
アー光Fをミニマム付近におさえることが出来る。つま
り図19は、式(32)の値を積分したもので、この値
が小さければフレアーが少ない。これは、ブレーズ化波
長λが500nm〜610nmの間になるように回折
型光学素子を作れば、フレアーが極小又はそれに近くな
ることを示している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】次に赤外カットフィルターの透過率特性が
図16で示される特性で、固体撮像素子の分光感度特性
が図17で示されるような特性である時、赤外カットフ
ィルターと固体撮像素子のトータルの感度特性は、図1
8で示すようになる。この特性の場合、d線の近傍で分
光感度特性がピークになり、F線、C線の近傍では、感
度特性がやや悪くなるため、実際には映像信号処理の際
に青信号および赤信号をアップして増幅し、図22
(A)に示すようにF線からC線の間の感度がフラット
になるようにしている。そのため回折型光学素子による
フレアー光も増幅され、回折型光学素子によるフレアー
光は、撮像素子や赤外カットフィルターの特性によら
ず、図19に示すように式(33)が成立つようなブレ
ーズ化波長λに設定しなければならない。その場合に
は、例えばスティルビデオカメラのように自然色を使用
する場合に適応される。しかし、内視鏡においては、照
明光はライトガイドケーブルの光ファイバー束により伝
送され、光ファイバーの特性として短波長の光がコアー
材により吸収されるため、F線近傍の波長の光が減衰さ
れたものとなる。したがって、内視鏡において得られる
画像は、F線近傍の波長の光が減衰するためF線からC
線までの間の感度をフラットにするためにはF線近傍の
波長の増幅率を高める必要がある。このように増幅率を
高めた場合、S/N比が悪くなり、ノイズが多くなるた
めに実際にはあまり増幅率をあげることは出来ない。そ
のため内視鏡で得られる画像は、F線からC線の間の波
長領域で、F線の付近の感度がやや落ちた図24(B)
に示すような感度特性になる。このようにウエイト付け
された感度特性をW(λ)とすると式(26)における
入射光線がフレアー光になる比率ε’は、次の式(3
4)にて表わされる。 ε’ =W(λ)(1−η ) (34) 又式(35)は、次のようにかきかえられる。 これを図21と同様の概念図で表わすと、W(λ)のウ
ェイトの影響によりε’は図23の(A)に示すように
短波長λ側が小さくなっている。そのため、先の議論
では、図19に示したようにλがほぼλ=560m
mになれば良い結果が得られていたがウェイトを考慮す
るとλ=560mmよりも長波長側にλを設定した
方が、図23の(B)からもわかるように、フレアー光
になる比率が全体として小さくなる。つまりF’の値が
小さくなる。以上のように、ブレーズ化を行なう波長を
使用する撮像体や光源装置や信号処理装置の特性に応じ
て適宜設定することによって不要次数光によるフレアー
の発生が目立たないようにすることが出来る。例えば、
実施例2のデーターを回折型光学素子に変換すると、λ
=560nmにおいてブレーズ化を行なった場合、回
折型の光線高に対するピッチd(h)は、下記のように
なる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】これより次の値が求まる。 以上述べた条件は、製作を考慮した場合の条件で、コス
トの安い内視鏡対物レンズを提供するためのものであ
る。また、ここでは撮像手段には固体撮像素子のみを考
えているが、イメージガイドファイバー束や銀塩フィル
ムでもよい。更に使用する波長も、可視域に限らず赤外
波長域や紫外波長域にも適用し得る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開口絞りと、前記開口絞りの像側に配置さ
    れた正の作用を持つ回折型光学素子とを備えた内視鏡対
    物レンズ。
  2. 【請求項2】開口絞りより像側に正の屈折力を持つレン
    ズ成分を配置した請求項1の内視鏡対物レンズ。
  3. 【請求項3】開口絞りより物体側に負の屈折力を持つレ
    ンズ成分を配置した請求項1の内視鏡対物レンズ。
  4. 【請求項4】所定の波長域λ1 <λ<λ2 (λ1 <λ
    2 )で使用される回折型光学素子であって、下記の式に
    て定義されるFの値が最小となるような波長λ0 の近傍
    でブレーズ化されていることを特長とする回折型光学素
    子。 但し、λ0 は回折効率が1になる波長、λは回折効率を
    求めたい波長、n'(λ)は波長λに対する回折型光学
    素子の射出側媒体の屈折率、n(λ)は波長λに対する
    回折型光学素子の入射側媒質の屈折率、m0 は回折効率
    が1となる次数、mは回折効率を求めたい次数である。
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