JP4148843B2 - 発泡成形金型の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂よりなる発泡成形金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,熱可塑性樹脂の予備発泡粒子を金型内に充填し,水蒸気等の加熱媒体により加熱し,発泡,融着させることにより得られる発泡成形体がある。
ところが,図19に示すごとく,発泡樹脂粒子90間に亀甲模様92が形成され,これが,上記発泡成形体9の表面91において目立つことにより,外観を損ねるおそれがある。
かかる問題に対し,発泡成形体9の表面91に凹凸模様を形成し,上記亀甲模様92を目立たなくする技術が開示されている(例えば,特許文献1,2,3参照)。
【0003】
【特許文献1】
登録実用新案第3045015号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3045016号公報
【特許文献3】
登録実用新案第3045017号公報
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来技術においては,以下の問題がある。
即ち,上記特許文献1に開示の金型を製造するに当っては,金型を成形するための木型に金網やパンチングメタル等の凹凸模様を有する面材を別途配設する必要がある。そのため,金型の製造コスト,生産効率の低下を招くおそれがある。
また,上記特許文献2,3に開示の金型においても,発泡成形体を成形する際に,金網やパンチングメタル等の凹凸模様を有する面材を別途配設する必要があるため,発泡成形体の製造コスト,生産効率の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、外観意匠性に優れた発泡成形体を安価かつ効率よく成形することができる発泡成形金型の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
説明の都合上、まず参考発明につき説明する。
本参考発明は、熱可塑性樹脂よりなる発泡成形体を成形するための発泡成形金型において、該発泡成形金型は、その成形面に無数の凹凸模様を有していることを特徴とする発泡成形金型にある。
【0007】
上記発泡成形金型の成形面には無数の凹凸模様が形成されているため、上記発泡成形金型を用いて発泡成形体を成形することにより、該発泡成形体の表面に、上記成形面の凹凸模様に対応した無数の凹凸模様を形成することができる。
そのため、上記発泡成形体を構成する発泡樹脂粒子の間に形成される亀甲模様を目立たなくすることができ、上記発泡成形体の外観意匠性を向上させることができる。
【0008】
また,上記発泡成形金型における凹凸模様は,成形面に直接形成されているため,発泡成形金型の構造を簡単にすることができる。それ故,該発泡成形金型の製造コストの低減,生産効率の向上を図ることができる。
また,発泡成形体を成形する際においても,発泡成形体に凹凸模様を付すための別部材を,金型に別途配設する必要がないため,発泡成形体の製造コストの低減,生産効率の向上を図ることができる。
【0009】
以上のごとく、本参考発明によれば、外観意匠性に優れた発泡成形体を安価かつ効率よく成形することができる発泡成形金型を提供することができる。
【0010】
次に、本願発明につき説明する。
本発明は、熱可塑性樹脂よりなる発泡成形体を成形するための発泡成形金型の製造方法において、
砂型作製用の1次型の型面に、凝固材と粒子の大きい粗砂とよりなる表面材を配置すると共にその外側には上記粗砂よりも粒子の小さい細砂と凝固材とよりなる背面材を配置して、これらを一体的に硬化させて砂型を作製し、
次いで、該砂型を用いて鋳造することにより、成形面に無数の凹凸模様を有する発泡成形金型を得ることを特徴とする発泡成形金型の製造方法にある(請求項1)。
【0011】
本製造方法においては,砂型作成用の1次型を用いて砂型を作製し,該砂型を用いて発泡成形金型を作製する。そして,上記砂型を作製するに当っては,1次型の型面に凝固材と粒子の大きい粗砂とよりなる表面材を配置する。これにより,上記砂型の型面には,上記粗砂が配置されることとなる。
【0012】
それ故,上記発泡成形金型は,粗砂が配置された型面を有する砂型を用いて成形することとなるため,上記発泡成形金型の表面には,無数の凹凸模様が形成される。即ち,上記発泡成形金型の成形面に無数の凹凸模様が形成される。
このように,本製造方法によれば,容易に成形面に無数の凹凸模様を有する発泡成形金型を得ることができる。
【0013】
また,上記発泡成形金型を用いて発泡成形体を成形することにより,該発泡成形体の表面に,上記成形面の凹凸模様に対応した無数の凹凸模様を形成することができる。
そのため,上記発泡成形体を構成する発泡樹脂粒子の間に形成される亀甲模様を目立たなくすることができ,上記発泡成形体の外観意匠性を向上させることができる。
【0014】
また,発泡成形体を成形する際において,発泡成形体に凹凸模様を付すための別部材を,金型に別途配設する必要がないため,発泡成形体の製造コストの低減,生産効率の向上を図ることができる。
【0015】
以上のごとく,本発明によれば,外観意匠性に優れた発泡成形体を安価かつ効率よく成形することができる製造容易な発泡成形金型の製造方法を提供することができる。
【0016】
なお、上記発泡成形金型を用いて得られる熱可塑性樹脂よりなる発泡成形体としては、その表面に無数の凹凸模様と発泡粒子間に形成された亀甲模様とを有するものがある。
【0017】
該発泡成形体は,上記亀甲模様と共に,無数の凹凸模様を表面に有するため,上記亀甲模様が外観上認識し難くなり,目立たなくなる。それ故,外観意匠性に優れた発泡成形体を得ることができる。
【0018】
以上のごとく、本発明により得られる発泡成形金型によれば、外観意匠性に優れた発泡成形体を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、又はポリスチレン系樹脂等を用いることができる。
また、上記凹凸模様は、その深さを例えば0.3〜3.0mmとすることができる。
【0020】
また,上記発泡成形金型には,該金型内に発泡樹脂粒子を充填する際の空気抜き,発泡樹脂粒子を加熱発泡させるためのスチーム導入のための細孔を設けておくことが好ましい。
上記の細孔は,上記空気抜き,スチーム導入を効果的に行なうため,その直径を0.3〜1.5mmとすることが好ましい。また,細孔のピッチ間隔は,上記空気抜き,スチーム導入を効果的に行なうため,5〜50mmとすることが好ましい。
【0021】
また、上記無数の凹凸模様は、ナシ地模様であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記発泡成形体の表面にナシ地模様を形成することができ、亀甲模様をより目立たなくすることができる。それ故、一層外観意匠性に優れた発泡成形体を成形することができる発泡成形金型を得ることができる。
【0022】
本発明において、上記1次型は、例えば石膏、木等からなるものを用いることができる。
また、上記凝固材としては、例えば水ガラス等のように、鋳造用砂型を作製する際に一般的に使用されるものを用いることができる。
【0023】
また、上記粗砂は平均粒径0.5〜5.0mmであることが好ましい(請求項2)。
この場合には、適度な大きさの凹凸模様を、発泡成形体の表面に形成することができる。そのため、発泡成形体の表面における亀甲模様をより効果的に目立たなくすることができ、外観意匠性を向上させることができる。
上記粗砂の平均粒径が0.5mm未満の場合には、発泡成形体に形成される凹凸模様が細かすぎて、亀甲模様を目立たなくすることが困難となるおそれがある。一方、上記粗砂の平均粒径が5.0mmを超える場合には、発泡成形体に形成される凹凸模様が粗すぎて、発泡成形体の外観を損ねるおそれがある。
【0024】
上記無数の凹凸模様は、ナシ地模様であることが好ましい。
この場合には、上記発泡成形体を構成する発泡樹脂粒子の間に形成される亀甲模様を、より目立たなくすることができ、一層外観意匠性に優れた発泡成形体を得ることができる。
【0025】
【実施例】
本発明の実施例にかかる発泡成形金型及びその製造方法につき、図1〜図18を用いて説明する。
まず、本例において製造しようとする発泡成形金型1は、図2に示すような熱可塑性樹脂よりなる発泡成形体2を成形するための金型である。
そして、図1に示すごとく、該発泡成形金型1は、その成形面11に無数の凹凸模様13を有している。この無数の凹凸模様13は、ナシ地模様である。
【0026】
上記発泡成形金型1を製造するに当っては,図5に示すような砂型作製用の1次型3の型面31に,図6に示すごとく,凝固材と粒子の大きい粗砂とよりなる表面材41を配置する。更にその外側には,図7に示すごとく,上記粗砂よりも粒子の小さい細砂と凝固材とよりなる背面材42を配置する。そして,これらを一体的に硬化させて砂型4を作製する。
【0027】
次いで,図10に示すごとく,該砂型4を用いて鋳造することにより,図1に示すごとく,成形面11に無数の凹凸模様13を有する発泡成形金型1を得る。
上記粗砂は平均粒径0.5〜5.0mmである。また,上記細砂は平均粒径0.1〜0.2mmである。
【0028】
この発泡成形金型1の製造方法を,以下に詳細に説明する。
上記発泡成形金型1の下型1aを製造するに当っては,まず,図3に示すごとく,得ようとする上記下型1aの成形面11の形状に対応する木型5aを用意する。そして,図4,図5に示すごとく,該木型5aを用いて石膏に上記下型1aの成形面11と同等の形状を有する型面31を形成して1次型3を得る。次いで,図6に示すごとく,該1次型3の型面31に上記表面材41を配置する。
【0029】
次いで,図7に示すごとく,上記表面材41の上から上記背面材42を配置する。
そして,上記表面材41と背面材42とを1次型3の中で一体的に硬化させることにより,砂型4の上型4bを得る。
【0030】
また,砂型4の下型4aを作製するに当っては,該下型4aに形成しようとする型面43(図9)に対応する形状の木型50a(図8)を用意する。そして,該木型50aを用いて図9に示す砂型4の下型4aを作製する。該下型4aには,上記上型4bの背面材42と同様の材料を用いる。
【0031】
作製した砂型4の下型4aと上型4bとを,図10に示すごとく,重ね合わせて,キャビティ44を形成し,該キャビティ44にアルミニウム,鉄等の金属を射出して,発泡成形金型1の下型1aを鋳造する。
これにより,図1に示すごとく,該発泡成形金型1の下型1aの成形面11には,ナシ地模様(凹凸模様13)が形成される。
【0032】
上記発泡成形金型1の上型1bを製造するに当っては,図11に示すごとく,得ようとする上記上型1bの成形面11の形状に対応する木型5bを用意する。そして,図12に示すごとく,該木型5bを用いて石膏に上記上型1bの成形面11と同等の形状を有する型面31を形成して1次型30を作製する。
次いで,図13に示すごとく,該1次型30の型面31に上記表面材41及び背面材42を順次配置し,これらを一体的に硬化させて,図16に示す砂型40の上型40bを作製する。
【0033】
また,図14,図15に示すごとく,木型50bを用いて砂型40の下型40aを作製する。該下型40aには,上記上型40bの背面材42と同様の材料を用いる。
作製した砂型40の下型40aと上型40bとを,図16に示すごとく,重ね合わせて,キャビティ44を形成する。そして,図17に示すごとく,該キャビティ44にアルミニウム,鉄等の溶融金属を流し入れ,発泡成形金型1の上型1bを鋳造する。
これにより,図1に示すごとく,該発泡成形金型1の上型1bの成形面11には,図1に示すごとく,ナシ地模様(凹凸模様13)が形成される。
なお,発泡成形金型には,空気抜き及びスチーム導入のために,ピッチ25mmで孔径1mmの細孔を設けた(図示略)。
【0034】
以上により,図1に示すような発泡成形金型1の下型1a及び上型1bを作製する。
そして,該発泡成形金型1内にポリエチレン等の熱可塑性樹脂の予備発泡粒子を充填し,水蒸気等の加熱媒体により加熱,発泡,融着せしめて,発泡成形体2を成形する。これにより,図2に示すごとく,該発泡成形体2の表面21には,亀甲模様22と共にナシ地模様(凹凸模様23)が形成される。
【0035】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記発泡成形金型1の成形面11には,図1に示すごとく,無数の凹凸模様13が形成されている。そのため,上記発泡成形金型1を用いて発泡成形体2を成形することにより,該発泡成形体2の表面21に,上記成形面11の凹凸模様13に対応した無数の凹凸模様23,即ちナシ地模様を形成することができる。
それ故,図18に示すごとく,上記発泡成形体2を構成する発泡樹脂粒子20の間に形成される亀甲模様22を目立たなくすることができ,発泡成形体2の外観意匠性を向上させることができる。
【0036】
また,上記発泡成形金型1における凹凸模様13は,成形面11に直接形成されているため,発泡成形金型1の構造を簡単にすることができる。それ故,該発泡成形金型1の製造コストの低減,生産効率の向上を図ることができる。
また,発泡成形体2を成形する際においても,発泡成形体2に凹凸模様23を付すための別部材を,金型に別途配設する必要がないため,発泡成形体2の製造コストの低減,生産効率の向上を図ることができる。
【0037】
また,上記表面材41を構成する粗砂は平均粒径0.5〜5.0mmであるため,適度な大きさの凹凸模様23を,発泡成形体2の表面21に形成することができる。そのため,発泡成形体2の表面21における亀甲模様22をより効果的に目立たなくすることができ,外観意匠性を向上させることができる。
【0038】
以上のごとく,本例によれば,外観意匠性に優れた発泡成形体を安価かつ効率よく成形することができる発泡成形金型及びその製造方法,並びに該発泡成形金型により成形される発泡成形体を提供することができる。
【0039】
(実験例)
上記実施例に示した発泡成形金型を用いて,発泡成形体を製造した。
即ち,発泡樹脂粒子として嵩密度18g/Lのポリプロピレン予備発泡粒子(三菱化学フォームプラスティック(株)製,商品名EPポール)を発泡成形金型内に充填圧力0.15MPaで圧縮充填した。
次いで,加熱水蒸気圧0.3MPa,加熱時間30秒,冷却時間60秒の条件で発泡成形を行なった。得られた発泡成形体の成形品倍率は,30倍であった。そして,発泡成形体の表面には,上記実施例の図18に示したように,多数のナシ地模様(凹凸模様23)が形成されていると共に亀甲模様22が形成されていた。しかし,亀甲模様22はナシ地模様によってその存在が目立たず,発泡成形体表面の意匠性が向上していた。
一方,比較例として,上記凹凸模様は形成していない従来の発泡成形金型を用いて,他は同様の条件にて発泡成形体を製造した。
その結果,このものは,上記図19に示すごとく,上記ナシ地模様が形成されていないので,亀甲模様92が非常に目立つものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,発泡成形金型の断面図。
【図2】実施例における,発泡成形体の断面図。
【図3】実施例における,木型の断面図。
【図4】実施例における,1次型を成形する工程の説明図。
【図5】実施例における,1次型の断面図。
【図6】実施例における,1次型に表面材を配置した状態を表す断面図。
【図7】実施例における,1次型に背面材を配置した状態を表す断面図。
【図8】実施例における,木型の断面図。
【図9】実施例における,砂型の下型の断面図。
【図10】実施例における,砂型の断面図。
【図11】実施例における,木型の断面図。
【図12】実施例における,1次型を成形する工程の説明図。
【図13】実施例における,1次型に表面材及び背面材を配置した状態を表す断面図。
【図14】実施例における,砂型の下型を成形する工程の説明図。
【図15】実施例における,砂型の下型の断面図。
【図16】実施例における,砂型の断面図。
【図17】実施例における,発泡成形金型の上型を成形する工程の説明図。
【図18】実施例における,発泡成形体の表面の説明図。
【図19】従来例における,発泡成形体の表面の説明図。
【符号の説明】
1...発泡成形金型,
1a...下型,
1b...上型,
11...成形面,
13...凹凸模様,
2...発泡成形体,
21...表面,
22...亀甲模様,
23...凹凸模様,
3,30...1次型,
4,40...砂型,
41...表面材,
42...背面材,
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂よりなる発泡成形体を成形するための発泡成形金型の製造方法において、
砂型作製用の1次型の型面に、凝固材と粒子の大きい粗砂とよりなる表面材を配置すると共にその外側には上記粗砂よりも粒子の小さい細砂と凝固材とよりなる背面材を配置して、これらを一体的に硬化させて砂型を作製し、
次いで、該砂型を用いて鋳造することにより、成形面に無数の凹凸模様を有する発泡成形金型を得ることを特徴とする発泡成形金型の製造方法。 - 請求項1において、上記粗砂は平均粒径0.5〜5.0mmであることを特徴とする発泡成形金型の製造方法。
- 請求項1または2において、上記無数の凹凸模様は、ナシ地模様であることを特徴とする発泡成形金型の製造方法。
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