JP4147612B2 - 給湯用ラドルの給湯量設定方法および装置 - Google Patents

給湯用ラドルの給湯量設定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの溶融金属である溶湯をダイカストマシン等の竪鋳込型射出スリーブまたは横鋳込型射出スリーブに給湯する給湯用ラドルに係り、特に、酸化物で汚染されない清浄な溶湯を短時間で精度よく射出スリーブへ給湯できる給湯用ラドルの給湯量設定方法および装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽合金の溶融金属である溶湯をダイカストマシン等の射出スリーブに給湯する場合は、たとえば、ダイカストマシンの近傍に専用の保持炉を設置し、この保持炉からラドル(とりべ)により、一定量の溶湯を汲み取り計量、搬送、注湯を行なう方法が実用化の主流をなしている。
【0003】
当初は、図7に示すような開放式のラドルが用いられたが、計量・搬送・注湯中に溶湯が外気に曝され、酸化が進行するとともに溶湯温度の低下を招くことから、密閉式で熱放散が少ない給湯装置を開発する様々な試みがなされるようになった。
【0004】
たとえば、
▲1▼ 上部を密閉したラドルの底面部に溶湯出入口を設け、ラドルの内部を開閉弁を介して大気または真空装置に連通させ、ラドルの下部を溶湯内に浸漬し、ラドル内に溶湯を取り込んだ後、開閉弁を閉じて外気と遮断し、ラドル内の溶湯を排出するときは開閉弁を開いて底面部の溶湯出入口から落下させる方法(実開昭55−55256号公報)や、
▲2▼ 図8に示すように、ラドル3の下端部に設けた溶湯出入口6を弁棒4により開閉自在とするラドル3を用い、ラドル3内に溶湯を取り込み、溶湯出入口6を閉じた状態で射出スリーブS内にラドル下部を挿入して溶湯の排出を開始し、ラドル3から排出され射出スリーブS内へ移された溶湯の湯面がラドル3の溶湯出入口6より高くなってからラドル3を上昇させ始め、溶湯の排出状態に対応させてラドル3を上昇させ、溶湯出入口6が常に射出スリーブS内の溶湯の湯面部にあるような状態で給湯する給湯方法(特公平2−54183号公報)等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の給湯方法では、以下に説明するような各種の方法で給湯量を設定していた。
【0006】
すなわち、
(1)重量検知による給湯量設定方法については、
給湯装置本体部と搬送用アームの間に重量検知手段を設け、給湯装置本体部の重量と給湯装置内に取り込まれた溶湯との合計重量を検知して、所定の重量に到達したことで給湯量を決定する方法であるが、この方法で給湯量を設定する場合、給湯装置の傾転角度や給湯装置の動作状況によって検出重量の値が変動すると言う欠点がある。
【0007】
一方、
(2)真空度検知による給湯量設定方法については、
真空吸引によって給湯装置の下部から溶湯を取り込みながら、配管経路における圧力(負圧)を検知して、所定の真空度に到達したことで給湯量を決定する方法であるが、この方法で給湯量を設定する場合、給湯装置本体部および配管経路の温度条件によって検出圧力の値が変動すると言う欠点がある。さらに、真空吸引を開始する前の給湯装置の位置決め精度も給湯量精度に影響するという問題点もある。
【0008】
また、
(3)高さ・位置検知による給湯量設定方法については、
給湯装置を徐々に下降させて給湯装置の下部を保持炉の溶湯に浸漬し、給湯装置の下部から溶湯を取り込みながら給湯装置の高さを検知して、所定の高さに到達した時点で溶湯の取り込みを完了して給湯量を決定する方法等の、位置を検知して給湯量を設定する方法であるが、この方法で給湯量を設定する場合、給湯量の変動実態は下記のようになる。
【0009】
一般に、位置を検出する際のばらつき幅は±3mm程度であるが、これによって生じる給湯量のばらつき幅は湯面検知時に貯湯室内の湯面が占める面積に比例する。
ここで、従来技術の実施例において、位置検出のばらつき幅が鋳造後のビスケット厚さをどの程度変動させていたかを説明する。
【0010】
図9および図10は従来技術の実施例に係る給湯量の計量精度を説明する図であり、図9(a)は傾転式ラドルの横断面図、図9(b)は傾転式ラドルの縦断面図、図10(a)は底抜き式ラドルの横断面図、図10(b)は底抜き式ラドルの縦断面図である。
【0011】
前述のように、湯面検知のばらつき幅Hは±3mm程度であるが、これによって生じる給湯量のばらつき幅Wは湯面検知時に給湯用ラドル内の湯面が占める面積に比例する。図9および図10に示すように、従来技術の実施例での湯面が占める面積(A2およびA3)は、傾転式ラドルにおいても、底抜き式ラドルにおいても、共に射出スリーブ内断面積A0の2倍程度であるから、給湯量設定の湯面検知時のばらつき幅Hの±3mmは鋳造後のビスケット厚さのばらつき幅の±6mmに相当し、これは冷却状態や押し湯効果に関して極めて大きな相違を生じさせる値である。
【0012】
このように、従来技術の給湯方法における各種の給湯量設定方法では、そのいずれもが計量精度に問題があり、これによって生じる鋳造後のビスケット厚さの変動は鋳造品質の安定を阻害していた。
本発明では、こうした欠点をなくし、短時間で確実に正確な給湯量の供給ができる給湯用ラドルの給湯量設定方法および装置を提供することを意図している。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明においては、第1の発明では、溶融金属である溶湯を金型装置の金型キャビティ内へ射出する射出スリーブへ傾動・移送手段を備えた給湯用ラドルにより溶湯を供給する給湯方法であって、該給湯用ラドルを保持炉まで移送して、該給湯用ラドルの下部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して真空吸引によって該保持炉内の溶湯を該給湯用ラドル内に取り込むとともに、該給湯用ラドルの内部に重錘を設けて給湯量検知時に該給湯用ラドル内の溶湯湯面が占有する面積を最小限に留めるようにして給湯量の計量精度を改善させるように、給湯量検知手段により該給湯用ラドル内に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したときに真空吸引を停止して、その状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、
射出スリーブ内に該給湯用ラドルの下部を挿入した後に、不活性ガスを該給湯用ラドル内に導入して溶湯上面を不活性ガスにより加圧し該給湯用ラドル内の溶湯を排出するようにした。
【0014】
また、第1の発明を主体とする第2の発明では、第1の発明において、給湯量検知手段は、給湯用ラドルの内部に設けた湯面検知電極とし、該給湯用ラドル内の溶湯湯面が該湯面検知電極の先端に接触したときに発する電気信号により真空吸引を停止させるようにした。
【0015】
さらに、第1の発明を主体とする第3の発明では、第1の発明において、給湯量検知手段は、真空吸引の配管経路に設けた圧力計とし、該圧力計が検出した配管経路の圧力が所定の真空度に到達したときに発する電気信号により真空吸引を停止させるようにした。
【0016】
そして、第4の発明では、溶融金属である溶湯を金型装置の金型キャビティ内へ射出する射出スリーブへ、溶湯を供給する傾動・移送手段を備えた給湯用ラドルにおいて、該給湯用ラドルは、上部が拡径をなし下部が縮径をなしていて内部に溶湯を貯溜する外筒と、該外筒の水平底面を貫通し該水平底面の上下方向に延在し外径が該外筒の下部の内径よりも小さな溶湯吸入・排出兼用の導管とを備え、該外筒の上部開口部をシール材を介して被覆する蓋板を設けるとともに、該給湯用ラドルの内部に重錘と該重錘に連結され該蓋板を貫通する支持軸とを設け、更に該給湯用ラドルの内部に湯面検知電極と該湯面検知電極に連結され該蓋板を貫通する支持軸とを設け、該重錘及び該湯面検知電極の支持軸の外周面と摺動自在に密接するシール材で該給湯用ラドル内の気密性を確保するとともに、該支持軸を昇降自在に構成して給湯量の変更に応じて該重錘及び該湯面検知電極を上下に調整可能にした。
【0017】
また、第5の発明では、第4の発明において、重錘の材質は、溶湯に侵食されず熱伝導率が低い耐火材質製またはセラミック製とした。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1〜図6はいずれも本発明の実施例に係り、図1は給湯用ラドルの全体構成図、図2はラドル要部の縦断面図、図3は給湯用ラドル要部の図2と直角方向の縦断面図、図4は図2の平面図、図5は本発明の実施例に係る給湯量の計量精度を説明する図であり図3のB〜B矢視側より見た横断面図、図6は給湯方法の工程を示す説明図である。
【0020】
図1に示すように、給湯用ラドル100を大きく分けると、真空吸引装置130および不活性ガス供給装置180等の配管系統と、ラドル要部90と、ラドル要部全体を移送したり傾動させたりするための搬送用アーム200とよりなる。なお、搬送用アーム200は、図示しない多関節ロボットまたは専用の搬送装置に連結されている。
【0021】
蓋板118に蓋板118を貫通する吸引口118aを設けて、外筒110内のガスを吸引するため、吸引口118aを吸引管120を介して真空吸引装置130と連結され、吸引管120の途中には開閉弁120aを配設する。また、吸引管120は途中で分岐され、不活性ガス供給管170および開閉弁170aを介して不活性ガス供給装置180と連結される。
さらに、遮断板114および蓋板118を貫通して設けた垂直管116に、不活性ガス供給装置180と連通する不活性ガス供給管172を接続し、途中に開閉弁170bを設けた。このように構成することで、堰板114bと導管112の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯液面に不活性ガスを吹き付けることによって導管112より侵入してくる大気をパージして、溶湯の酸化を防止することができる。
【0022】
次に、給湯用ラドル100のラドル要部90の構造を詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、給湯用ラドル本体は下方向に縮径した垂直円筒容器状に形成された外筒110と、外筒110の底面板110aの中央部に貫通して中間部で接続され直径が底面板110aの直径に比べて遙かに小さい内径を有する垂直状態の筒状の導管112とよりなる。
一方、外筒110の上端部には、蓋板用のシール材117を介在させて蓋板118がフランジ119とボルトで接合されて被覆されるとともに、ラドル要部90の全体を移送したり傾動させたりするために搬送用アーム200と接合される。
【0024】
蓋板118の下面中央部より下方に垂下した垂直管116の下端部には、導管112外径よりも大きい水平円板114aと円筒状の堰板114bとで逆凹状に形成された遮断板114が、導管112の上端開口部の上部に一定の間隙(たとえば、10mm程度)を介して該上端開口部を被覆するように固設される。
【0025】
これにより、本発明では、貯湯室内の溶湯の排湯後に堰板114b〜導管112の上部開口部外周側壁間(これを、「溶湯溜」という)に若干の溶湯が残留する構成となり、溶湯溜に作用する大気圧により給湯用ラドルからの溶湯漏出が防止される。このため、導管112の口径を30mm〜50mm以上にまで拡大することができて、溶湯の流入排出が短時間に実施される。
【0026】
さらに、本発明が解決しようとする課題である給湯量の計量精度改善を目的として、給湯量設定の湯面検知時に給湯ラドル内の湯面が占める面積をできるだけ狭くするために、溶湯に侵食されず熱伝導率が低い耐火材質製またはセラミック製の重錘101と、重錘101に連結され蓋板118を貫通する2本の重錘用支持軸101Aとを給湯用ラドル100内に設けるとともに、重錘用支持軸101Aの外周面と摺動自在に密接するシール材104とシール材押え金具105で給湯用ラドル100内の気密性を確保するようにした。
【0027】
蓋板118を貫通した2本の重錘用支持軸101Aは、蓋板118の上方で支持軸固定金具101Bにねじで螺合され、一方、支持軸固定金具101Bにはめねじが設けられていてねじ軸102Aとねじ螺合するように構成され、ねじ軸102Aの下端にはストッパ102Bが固設されている。また、ねじ軸受け金具(1)103およびねじ軸受け金具(2)103Bとでストッパ102Bを回動自在に蓋板118に係合し、さらに、ねじ軸102Aの上端にはクランプノブ102がボルトナット螺合されている。
このようにして、クランプノブ102を回動することにより支持軸固定金具101Bをねじの送り作用で上下動させ、給湯量に応じて2本の重錘用支持軸101Aおよび重錘101の位置を上下に移動させることができる構成とし、重錘が溶湯に浸漬する深さを最小限に留めるようにしたので、給湯用ラドルの最大給湯量は重錘の無いタイプと殆ど差がない。
【0028】
重錘101は給湯量設定の湯面検知時に貯湯室内の湯面が占める面積を狭くすることにより給湯量の計量精度を改善する目的で給湯用ラドル100内に設けるものであるから、重錘101の断面積をできるだけ大きく設計することが望ましい。また、重錘101は外筒110の内周面および垂直管116の外周面との干渉を避けなければならない。
本実施例では、図2、図3、図5に示すように、重錘101の横断面形状を単純なコの字状としたが、これに限定されるものではない。
なお、重錘の材質としては、給湯用ラドル100内に取り込んだ溶湯の温度低下を防ぐ見地からは熱伝導率が低いことが好ましく、また、耐久性の面からは溶湯に侵食されないことも併せて必要となるので、耐火性材質またはセラミックを採用するのが望ましい。
【0029】
ここで、本発明実施における給湯量の計量精度について、図5を用いて説明する。
【0030】
図5に示すように、本実施例における湯面検知時に給湯用ラドル100内の湯面が占める面積A1は、射出スリーブ内断面積A0の0.5倍程度であるから、給湯量設定の湯面検知時のばらつき幅Hの±3mmは鋳造後のビスケット厚さのばらつき幅の±1.5mmに相当する。これは従来技術の1/4の変動幅であり、冷却状態や押し湯効果を一定にして、鋳造品質の安定性を格段に向上させる値である。
【0031】
また、本発明では給湯量の計量精度をさらに改善するために、給湯用ラドル100内の湯面の高さを直接検知するようにしたが、その構成を以下に説明する。
【0032】
図2および図3に示すように、給湯量設定用の湯面検知電極(1)106と湯面検知電極(1)106に連結され蓋板118を貫通する電極支持軸(1)107とを給湯用ラドル100内に設け、電極支持軸(1)107の外周面と摺動自在に密接する支持軸用のシール材104で給湯用ラドル100内の気密性を確保するするようにした。
【0033】
蓋板118を貫通した電極支持軸(1)107は蓋板118の上方で支持軸固定金具101Bにねじ螺合され、一方、支持軸固定金具101Bにはめねじが設けられていてねじ軸102Aとねじ螺合するように構成され、ねじ軸102Aの下端にはストッパ102Bが固設されている。また、ねじ軸受け金具(1)103およびねじ軸受け金具(2)103Bとで、ストッパ102Bを回動自在に蓋板118に係合している。さらに、ねじ軸102Aの上端にはクランプノブ102がボルトナット螺合されている。
このようにして、クランプノブ102を回動することにより支持軸固定金具101Bをねじの送り作用で上下動させ、給湯量に応じて給湯量設定用の湯面検知電極(1)106および電極支持軸(1)107の位置を上下に移動させることができる構成とした。
【0034】
次に、このように構成された給湯用ラドル100を用いて、保持炉F内に貯蔵された溶融金属(溶湯)Mを、たとえば、竪型射出スリーブ内や横型射出スリーブ内に所要の給湯量を注湯する給湯方法について、以下に説明する。
図6は、給湯方法の作業手順の工程を説明するもので、工程(a)より工程(k)までの順序で、順次、作業を実施する。
【0035】
まず、工程(a)では、給湯用ラドル100の導管112の下部を保持炉Fの溶湯液面の中に浸漬する。浸漬する深さは、導管112の下端が溶湯の湯面から5mm〜30mm程度浸漬するようにし、底面板110aが溶湯の湯面に接しない深さとする。この後、真空吸引装置130を駆動して給湯用ラドル100内のガスを吸引し、導管112の下部開口部を経由して保持炉Fの溶湯を給湯用ラドル100内に取り込む。
【0036】
本実施例では、導管112の下端部先端のみを保持炉Fの溶湯Mの液面に浸漬し、外筒110を溶湯内に浸漬する必要はないから、外筒110外周面への溶湯の付着がなくなるため射出スリーブ内への付着物の落下混入がなくなり、射出スリーブSへ注湯する溶湯内の酸化物を最小に留めるので、溶湯の清浄度を高く保持できる。
【0037】
給湯用ラドル100内の溶湯Mの湯面が徐々に上昇し、やがて給湯量設定用の湯面検知電極(1)106の先端に溶湯Mの湯面が接した時点で発する電気信号により、真空吸引用の開閉弁120aを閉じて溶湯Mの真空吸引を停止し、そのままの状態を保持しつつ給湯用ラドル100を保持炉Fより引き上げる(工程(b))。
【0038】
次に、傾動した射出スリーブSの傾斜角まで給湯用ラドル100を傾転して、堰板114bと導管112の外周側壁との間に存在する溶湯Mの一部を外部へ廃棄(工程(c))した後、給湯用ラドル100の姿勢を垂直状態に復帰させ(工程(d))、その後、射出スリーブSの位置まで給湯用ラドル100を移送する(工程(e))。
【0039】
本実施例では、貯湯室内の真空吸引により給湯用ラドル100内への溶湯Mの取り込みが完了した状態では、円筒状の堰板114bと導管112の上部開口部外周側壁との間に存在する溶湯Mに大気圧が作用してバランスした状態であり、取り込み完了後、射出スリーブ位置までの移送に際して、給湯用ラドル100内の溶湯Mが外部へ漏出することがない。
【0040】
次に、垂直状態の給湯用ラドル100を再度傾転して、傾動した射出スリーブSの傾斜角に合わせ(工程(f))て、給湯用ラドル100の下部を射出スリーブSの中まで下降させる(工程(g))。
溶湯排出直前まで垂直管、遮断板、導管の内部に不活性ガスを供給するので、導管下部から流出した不活性ガスによって射出スリーブ内を不活性ガス雰囲気にすることができ、給湯時の酸化を防止できる。
続いて、不活性ガス供給用の開閉弁170aを開いて、たとえば、窒素ガスのような不活性ガスを不活性ガス供給管170および吸引管120を経由して給湯用ラドル100内に導入して、給湯用ラドル100内部の圧力を大気圧まで上げるか、または、大気圧以上に加圧して、給湯用ラドル100内の溶湯Mを射出スリーブS内に排出する(工程(h))。
【0041】
本実施例では、導管112の内径に任意の大きな直径を選定することができるため、従来技術に比べて排出速度を大きく注湯時間が短時間で終わり、溶湯の温度降下や酸化を少なくできる。
また、排湯開始と同時に給湯用ラドル100を徐々に上昇させ、射出スリーブS内の湯面の上昇と給湯用ラドル100の上昇を同期させることで溶湯の落下高さを低く一定に保ち、より静かな注湯を行なう。
さらに、給湯用ラドル100内の溶湯Mを射出スリーブSヘ注湯する際の排出速度は、不活性ガスの流量を任意に変えて調整することができるので、溶湯落下の際の溶湯Mへの空気の巻き込みを防止して、鋳造欠陥のない優れた成形品が得られる。
【0042】
給湯用ラドル100内の溶湯Mの排出が完了した後、給湯用ラドル100を射出スリーブS内より上昇させ(工程(i))、給湯用ラドル100を傾転状態から垂直状態に復帰させる(工程(j))。
この状態では、給湯用ラドル100内下部に導管112の上部開口部上端よりもやや低い液面をもつ溶湯が残留した状態となるが、不活性ガス供給用の開閉弁170aを開いて、たとえば、窒素ガスのような不活性ガスを不活性ガス供給管172を経由して垂直管116A内に流すことにより、導管112と遮断板114との間に残留する溶湯(表面)の酸化が防止される。
なお、給湯用ラドル100内の溶湯Mの排出が完了した後に溶湯の一部が残留する、堰板114b〜導管112の上部開口部外周側壁間を「溶湯溜」という。
【0043】
その後、給湯用ラドル100を再び、保持炉Fへ移送し、次のショットに備えて給湯作業を行なう(工程(k))。
以上が給湯方法の一連の作業工程である。
【0044】
なお、保持炉Fから給湯用ラドル100内へ溶湯Mを吸引する工程および給湯用ラドル100から射出スリーブS内へ溶湯Mを排出する工程を除く各工程では、垂直管116を通じて不活性ガスを給湯用ラドル100内に供給しておくことが望ましい。
そして、上記で説明した図6の工程説明図では、竪型射出スリーブへの給湯方法を説明しているが、これに拘泥することなく、横型の射出スリーブへ給湯することもできる。
【0045】
また、本実施例では、真空吸引装置130や不活性ガス供給装置180を使用した溶湯の吸引・排出方法を説明したが、これに限定されるものではなく、真空吸引装置や不活性ガス供給装置を使用しない給湯用ラドルに対して、第4、第5の発明もしくは第6の発明を単独に実施、あるいは、第4、第5の発明と第6の発明とを併用して実施しても、給湯量の計量精度を改善することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、下記のような優れた効果を発揮する。
(1)給湯用ラドル内に重錘を設けることで、給湯量設定の湯面検知時に、給湯用ラドル内の湯面が占める面積を狭くしたので、給湯量の計量精度が改善されて鋳造後のビスケット厚さのばらつき幅が従来技術の約1/4となり、鋳造品質の安定性が飛躍的に向上する。
(2)湯面検知電極を給湯用ラドル内に設けて、給湯用ラドル内の湯面が所定の位置に達したことを直接的に検知することによって給湯量を決定するようにしたので、再現性に優れた給湯量制御が行なえる。
(3)溶湯溜に作用する大気圧により、給湯用ラドルに溶湯を入れた後の移送途中に給湯用ラドルから溶湯が漏出することはない。
(4)導管口径を従来技術の数倍にすることができるので、給湯用ラドルの溶湯の流入・排出が短時間で実施されるから、高能率である。
(5)導管下端部周辺のみを保持炉に浸漬する給湯方法であり、給湯用ラドルの外周に溶湯が付着しない。また、射出スリーブへの注湯完了後に溶湯溜に残存する溶湯があるため、貯湯室内部および導管内部が空気と触れることを防いで不必要な酸化物の生成を防止できる。
(6)不活性ガス流量制御手段を装備したので、射出スリーブへの給湯時に射出スリーブを不活性ガス雰囲気にして酸化を防ぐとともに、射出スリーブへの注湯速度の調整が可能となり、空気巻き込みの無い静かな注湯が可能となって、鋳造欠陥の無い優れた品質の鋳造品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給湯用ラドルの全体構成図である。
【図2】本発明の実施例に係るラドル要部の縦断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るラドル要部の図2と直角方向の縦断面図である。
【図4】図2の平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る給湯量の計量精度を説明する図であり図3のB〜B矢視側より見た横断面図である。
【図6】本発明の実施例に係る給湯方法の工程を示す説明図である。
【図7】従来の傾転式ラドルの実施例に係る給湯用ラドル要部の縦断面図である。
【図8】従来の底抜き式ラドルの実施例に係る給湯用ラドル要部の縦断面図である。
【図9】従来の傾転式ラドルに係る給湯量の計量精度を説明する図である。
【図10】従来の底抜き式ラドルに係る給湯量の計量精度を説明する図である。
【符号の説明】
2 プランジャチップ
3 ラドル
4 弁棒
6 溶湯出入口
90 ラドル要部
100 給湯用ラドル
101 重錘
101A 重錘支持軸
101B 支持軸固定金具
102 クランプノブ
102A ねじ軸
102B ストッパ
103 ねじ軸受け金具(1)
103A ねじ軸受け金具(2)
104 シール材(支持軸用)
105 シール材押え金具
106 湯面検知電極(1)(給湯量検知用)
107 電極支持軸(1)(給湯量検知用)
108 湯面検知電極(2)(吸引位置検知用)
109 電極支持軸(2)(吸引位置検知用)
110 外筒
110a 底面板(底板)
112 導管
114 遮断板
114a 水平円板
114b 堰板
116 垂直管
117 シール材(蓋板用)
118 蓋板
118a 吸引口
119 フランジ
120 吸引管
120a 開閉弁(真空吸引用)
130 真空吸引装置
170 不活性ガス供給管
170a 開閉弁(不活性ガス供給用)
170b 開閉弁(不活性ガス供給用)
172 不活性ガス供給管
180 不活性ガス供給装置
200 搬送用アーム
M 溶湯(溶融金属)
F 保持炉
S 射出スリーブ
A0 射出スリーブ内断面積
A1 湯面の占める面積(本発明のラドル)
A2 湯面の占める面積(傾転式ラドル)
A3 湯面の占める面積(底抜き式ラドル)
H 湯面検知のばらつき幅
W 給湯量のばらつき幅

Claims (5)

  1. 溶融金属である溶湯を金型装置の金型キャビティ内へ射出する射出スリーブへ傾動・移送手段を備えた給湯用ラドルにより溶湯を供給する給湯方法であって、該給湯用ラドルを保持炉まで移送して、該給湯用ラドルの下部を該保持炉内の溶湯液面内に浸漬し、真空吸引手段を駆動して真空吸引によって該保持炉内の溶湯を該給湯用ラドル内に取り込むとともに、該給湯用ラドルの内部に重錘を設けて給湯量検知時に該給湯用ラドル内の溶湯湯面が占有する面積を最小限に留めるようにして給湯量の計量精度を改善させるように、給湯量検知手段により該給湯用ラドル内に取り込んだ給湯量を検知し、該給湯量が設定値に達したときに真空吸引を停止して、その状態を保持しつつ該給湯用ラドルを射出スリーブの位置まで移送し、射出スリーブ内に該給湯用ラドルの下部を挿入した後に、不活性ガスを該給湯用ラドル内に導入して溶湯上面を不活性ガスにより加圧し該給湯用ラドル内の溶湯を排出するようにしたことを特徴とする給湯用ラドルの給湯量設定方法。
  2. 給湯量検知手段は、給湯用ラドルの内部に設けた湯面検知電極とし、該給湯用ラドル内の溶湯湯面が該湯面検知電極の先端に接触したときに発する電気信号により真空吸引を停止させるようにした請求項1記載の給湯用ラドルの給湯量設定方法。
  3. 給湯量検知手段は、真空吸引の配管経路に設けた圧力計とし、該圧力計が検出した配管経路の圧力が所定の真空度に到達したときに発する電気信号により真空吸引を停止させるようにした請求項1記載の給湯用ラドルの給湯量設定方法。
  4. 溶融金属である溶湯を金型装置の金型キャビティ内へ射出する射出スリーブへ、溶湯を供給する傾動・移送手段を備えた給湯用ラドルにおいて、該給湯用ラドルは、上部が拡径をなし下部が縮径をなしていて内部に溶湯を貯溜する外筒と、該外筒の水平底面を貫通し該水平底面の上下方向に延在し外径が該外筒の下部の内径よりも小さな溶湯吸入・排出兼用の導管とを備え、該外筒の上部開口部をシール材を介して被覆する蓋板を設けるとともに、該給湯用ラドルの内部に重錘と該重錘に連結され該蓋板を貫通する支持軸とを設け、更に該給湯用ラドルの内部に湯面検知電極と該湯面検知電極に連結され該蓋板を貫通する支持軸とを設け、該重錘及び該湯面検知電極の支持軸の外周面と摺動自在に密接するシール材で該給湯用ラドル内の気密性を確保するとともに、該支持軸を昇降自在に構成して給湯量の変更に応じて該重錘及び該湯面検知電極を上下に調整可能にしたことを特徴とする給湯用ラドルの給湯量設定装置。
  5. 重錘の材質は、溶湯に侵食されず熱伝導率が低い耐火材質製またはセラミック製とした請求項4記載の給湯用ラドルの給湯量設定装置。
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