JP4144586B2 - トランスアクスル方式のハイブリッド車両 - Google Patents

トランスアクスル方式のハイブリッド車両 Download PDF

Info

Publication number
JP4144586B2
JP4144586B2 JP2004306595A JP2004306595A JP4144586B2 JP 4144586 B2 JP4144586 B2 JP 4144586B2 JP 2004306595 A JP2004306595 A JP 2004306595A JP 2004306595 A JP2004306595 A JP 2004306595A JP 4144586 B2 JP4144586 B2 JP 4144586B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor generator
engine
clutch
front wheels
driving force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004306595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006117084A (ja
Inventor
倫之 羽二生
和宏 竹田
忍 釜田
大羽  拓
岩野  浩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004306595A priority Critical patent/JP4144586B2/ja
Publication of JP2006117084A publication Critical patent/JP2006117084A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4144586B2 publication Critical patent/JP4144586B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/7072Electromobility specific charging systems or methods for batteries, ultracapacitors, supercapacitors or double-layer capacitors

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Retarders (AREA)
  • Arrangement Of Transmissions (AREA)

Description

本発明は、エンジンを車両前側、その変速機を車両後側に配置したトランスアクスル方式のハイブリッド車両に関する。
車両のパワートレインの方式として、エンジンを車両前側に配置し、変速機を車両後側に配置するトランスアクスル方式が知られている。この方式では、後軸荷重が増すので、駆動輪である後輪のスリップ限界が上昇し、路面に伝達可能な駆動力が増大するという利点がある。
ところで、動力性能を重視した車両では、エンジン等の駆動力源からの駆動力が大きくなるため、駆動力伝達に有利なトランスアクスル方式であっても、2輪駆動では駆動輪がスリップしやすくなる。このため、車両の性能を最大限に引き出すためには、4輪全てに駆動力を配分することが望ましい。
しかしながら、トランスアクスル方式では変速機が車両後側に配置されているので、変速機から前輪に駆動力を伝達するためには車両後側から車両前側へと延びる長いプロペラシャフトが必要となり、車両重量の増加、製造コストの増加、レイアウト性の悪化の原因となる。
この点に関し、特許文献1では、トルクコンバータの出力端から前輪に駆動力を伝達させるローギヤを設け、発進加速時のみ4輪駆動を実現する方式を提案している。
特開平6−107005号公報
上記特許文献1に開示されている方式によれば、発進加速時はエンジンから前輪及び後輪に駆動力を伝達し、4輪駆動を実現することができるので、路面に伝達する駆動力が大きくなる発進加速時において駆動輪のスリップを効果的に抑えることが可能である。
しかしながら、この方式では、4輪駆動を実現可能なのは発進加速時のみであり、車両の走行安定性を向上させるために4輪駆動が要求される中高速走行時、低μ路走行時において4輪駆動を実現することができないという問題があった。
本発明は、このような技術的課題を鑑みてなされたもので、トランスアクスル方式のハイブリッド車両において、エンジンの駆動力を前輪に配分するための機構を小型化するとともに、発進加速時以外においても4輪駆動を実現し、車両の走行安定性を向上させることを目的とする。
本発明の第1の態様は、車両前側に配置されるエンジン及び前輪と、前記エンジンに接続されるエンジン出力軸と、車両後側に配置され、前記エンジン出力軸が接続されるエンジン変速機と、車両後側に配置され、前記エンジン出力軸と前記エンジン変速機を介して前記エンジンの駆動力が伝達される後輪と、第1のモータジェネレータと、少なくとも第1から第3の3軸を有する差動機構と、前記後輪に駆動力を伝達する第2のモータジェネレータと、前記第1及び第2のモータジェネレータに接続されるバッテリと、を備え、前記第1のモータジェネレータを力行させると前記前輪に配分される前記エンジンの駆動力が増大するように前記前記第1から第3の軸に前記第1のモータジェネレータ、前記エンジン出力軸、前記前輪をそれぞれ接続し、車両前進時、前記第1のモータジェネレータのトルクを制御することによって前記エンジンの駆動力の前記前輪、前記後輪への配分を変更し、前記バッテリから前記第1のモータジェネレータに電力を供給して前記エンジンの駆動力を前記前輪に配分する一方で前記バッテリから前記第2のモータジェネレータに電力を供給して前記第2のモータジェネレータで前記後輪を駆動する場合、前記バッテリからの電力を前記第2のモータジェネレータよりも前記第1のモータジェネレータに優先的に供給し、残った電力を前記前記第2のモータジェネレータに供給することを特徴とするハイブリッド車両である。
本発明の第2の態様は、車両前側に配置されるエンジン及び前輪と、前記エンジンに接続されるエンジン出力軸と、車両後側に配置され、前記エンジン出力軸が接続されるエンジン変速機と、車両後側に配置され、前記エンジン出力軸と前記エンジン変速機を介して前記エンジンの駆動力が伝達される後輪と、第1のモータジェネレータと、少なくとも第1から第4の4軸を有する差動機構と、を備え、前記第1から第3の軸に前記第1のモータジェネレータ、前記エンジン出力軸、前記前輪をそれぞれ接続し、車両前進時、前記第1のモータジェネレータのトルクを制御することによって前記エンジンの駆動力の前記前輪、前記後輪への配分を変更し、前記前輪の接続する軸を前記第3の軸から前記第4の軸に切り換える切換機構を備えたことを特徴とするハイブリッド車両である。
本発明の第1の態様によれば、第1のモータジェネレータを力行させると前輪に配分されるエンジンの駆動力が増大するように第1から第3の軸にモータジェネレータ、エンジン出力軸、前輪をそれぞれ接続したので、4輪駆動時にはモータジェネレータの駆動力が前輪、後輪に伝達される駆動力に上乗せされ、車両の有するパワー源を有効に活用することができる。
また、第1のモータジェネレータに加え、後輪に駆動力を伝達することができる第2のモータジェネレータを備えたことにより、第2のモータジェネレータの発電電力を第1のモータジェネレータに供給すれば、バッテリの電力を用いなくても第2のモータジェネレータを力行させてエンジンの駆動力を前輪に配分することができ、4輪駆動状態を実現することができる。
また、バッテリから第1のモータジェネレータに電力を供給してエンジンの駆動力を前輪に配分する一方で、バッテリから第2のモータジェネレータに電力を供給して第2のモータジェネレータで後輪を駆動する場合においては、バッテリからの電力を第2のモータジェネレータよりも第1のモータジェネレータ17に優先的に供給し、残った電力をモータジェネレータに供給するようにした。これにより、第1のモータジェネレータへの供給電力が不足して4輪駆動状態が維持できなくなる事態を回避することができ、4輪駆動による安定な走行状態を維持したまま、駆動力配分が可能になる。
本発明の第2の態様によれば、差動機構を少なくとも第1から第4の4軸を有する差動機構とし、前輪の接続する軸を第3の軸から第4の軸に切り換える切換機構を備えたことにより、前輪変速段をローギヤ状態とハイギヤ状態とで切り替えることが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
第1の実施形態
図1は本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成を示している。
本発明に係るハイブリッド車両では、差動機構とモータジェネレータからなる動力伝達機構を用いて、前輪にエンジン駆動力を配分するハイブリッドシステムを構成することより、エンジンの駆動力を前輪に配分するための機構を小型化し、トランスアクスル本来の重量バランスの良さと、ハイブリッド機能とを両立させる。
エンジン11はガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関で、車両前側に配置される。モータジェネレータ17は三相交流式等の電動機であり、発電状態、力行状態を切り換えることができる。モータジェネレータ17にはインバータ19を介してバッテリ19が接続され、バッテリ19はモータジェネレータ17への電力供給、充電受入などを行う。
車両後側に配置されるエンジン変速機12は複数の変速段を有する有段変速機である。エンジン変速機12は、エンジン出力軸31を介して伝えられるエンジン11の回転を変速し、後輪デファレンシャル13を介して後輪14へと伝達する。
遊星歯車20は、リングギヤ21、リングギヤ21に噛み合う複数のピニオン24、複数のピニオン24に噛み合うサンギヤ23、複数のピニオン24をそれぞれ回転自在に支持するキャリア22で構成される。遊星歯車20は3軸の差動機構を構成し、第1の軸であるサンギヤ23にはモータジェネレータ17が接続され、第2の軸であるリングギヤ21にはエンジン出力軸31が接続され、第3の軸であるキャリア22には前輪駆動軸32、前輪デファレンシャル15を介して前輪16が接続される。
コントローラ50はハイブリッドシステム全体を制御する統合コントローラである。コントローラ50には、車輪速センサ51、52で検出される前輪16、後輪14の回転速度、アクセル操作量センサ53で検出されるアクセルペダルの操作量等が運転状態を示す信号として入力される。コントローラ50はこれら入力される信号に基づき、エンジン11のトルク、モータジェネレータ17のトルク及び回転速度、エンジン変速機12の変速段等を制御し、必要に応じてエンジン11の駆動力を前輪16にも配分して4輪駆動を実現する。
ここで、遊星歯車20のサンギヤ23の歯数をZs、リングギヤ21の歯数をZrとし、サンギヤ23とリングギヤ21の歯数比を、
Figure 0004144586
と定義すると、遊星歯車20の3つの軸の回転速度とトルクの関係は以下のようになる。
Figure 0004144586
Figure 0004144586
添え字rはリングギヤ21、cはキャリア22、sはサンギヤ23をそれぞれ表している。
さらに、駆動力の関係は、式(2)、(3)より、
Figure 0004144586
となり、サンギヤ23の駆動力とリングギヤ21の駆動力が加算されてキャリア22の駆動力となる。
図1においては、サンギヤ23がモータジェネレータ17に接続し、リングギヤ21がエンジン11の出力軸であるエンジン出力軸31に接続している。したがって、モータジェネレータ17とエンジン出力軸31の回転方向が同一のとき、モータジェネレータ17とエンジン11の駆動力は合成されてキャリア22から前輪16へと伝達され、後輪駆動から4輪駆動に切り換えられる。
式(3)より、サンギヤ23に流入するモータジェネレータ17のトルクに比例してリングギヤ21に流入するエンジン11のトルクが決まるので、駆動力の前後配分はエンジン11のトルクとモータジェネレータ17のトルクを調整することで変更することができる。さらに、モータジェネレータ17を発電ではなく、力行させることによって配分を変更するので、モータジェネレータ17のトルクは前後輪に配分されるエンジン11のトルクに上乗せされることになる。
図2は、2輪駆動で走行している状態からアクセルペダルが踏み込まれ、4輪駆動で加速する状態に切り換えるときのコントローラ50の制御内容を示したものである。
これによると、まず、ステップS11では、アクセル操作量(運転者の加速要求)に応じたトルク指令値に従いエンジン11のトルクを増加させる。
ステップS12では4輪駆動が必要か否かを判定する。4輪駆動が必要か否かは駆動力要求値、車速、舵角、ヨーレート、前後車輪速度差、外気温、および、ナビゲーションシステムからの情報などを考慮して判定する。4輪駆動が必要な場合はステップS13へ移行し、不要な場合は処理を終了する。
ステップS13ではモータジェネレータ17のトルクを上昇させる。第1のモータジェネレータ17のトルクを増大させれば前輪16に配分されるエンジン11の駆動力を増やして4輪駆動状態とし、かつ、前輪16にエンジン11とモータジェネレータ17のトルクを伝達することができる。
したがって、本発明に係るハイブリッド車両では、トランスアクスル方式の車両に第1から第3の3軸を有する差動機構としての遊星歯車20を組み合わせ、遊星歯車20の第1から第3の軸にモータジェネレータ17、エンジン出力軸31、前輪16をそれぞれ接続し、車両前進時、モータジェネレータ17のトルクを制御することでエンジン11の駆動力の前輪16、後輪14への配分が変更されるようにしたことにより、トランスアクスル車両でありながら、複数のプロペラシャフトを用いなくても全速度領域において前輪16にエンジン11の駆動力とモータジェネレータ17の駆動力を伝達し、4輪駆動を実現できる。さらに、前輪16への動力伝達機構がモータジェネレータ17と差動機構からなるシンプルな構成であるので、前輪16への動力伝達機構を小型化し、トランスアクスル方式の利点である最適な重量配分を損なうことがない。
また、モータジェネレータ17を力行させると前輪16に配分されるエンジン11の駆動力が増大するように第1から第3の軸にモータジェネレータ17、エンジン出力軸31、前輪16をそれぞれ接続したので、4輪駆動時にはモータジェネレータ17の駆動力が前輪16、後輪14に伝達される駆動力に上乗せされ、車両の有するパワー源を有効に活用することができる。
第2の実施形態
図3は本発明の第2の実施形態を示す。第1の実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付して説明を省略し、以下の説明では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図1の構成に対し、この第2の実施形態では、エンジン変速機12と接続する第2のモータジェネレータ61が追加されている。第2のモータジェネレータ61は後輪13に駆動力を伝達することができ、また、エンジン出力軸31を介して伝達されるエンジン11の駆動力を発電によって吸収することも可能である。第2のモータジェネレータ61は第2のインバータ62を介して第1のモータジェネレータ17と同じバッテリ19に接続される。
さらに、遊星歯車20のキャリア22の出力端には前輪変速段40が追加されている。前輪変速段40はローギヤ41およびハイギヤ42を有している。ローギヤ41からハイギヤ42への切換えは、第1のモータジェネレータ17の回転速度が所定回転まで上昇したタイミングで行われる。ここでは、前輪変速段切換時の前輪のトルク変動を少なくするために、ローギヤ41とハイギヤ42を多板クラッチである第1のクラッチ46、第2のクラッチ47によりキャリア22と接続しているが、電磁クラッチ、ドグクラッチ等の他のクラッチで代用しても構わない。
図4は車速と第1のモータジェネレータ17の回転速度の関係を示したもので、実線は前輪変速段40を有さない第1の実施形態のもの、破線は前輪変速段40を備えた第2の実施形態のものである。車速ゼロでの両者における前輪配分駆動力は等しく設定されている。
これに示されるように、前輪変速段40を有さない第1の実施形態の構成では、車速の増大に伴い第1のモータジェネレータ17の回転速度も増大する。このため、第1の実施形態では第1のモータジェネレータ17を高速回転に対応できるものにする必要がある。これに対し、前輪変速段40を有する第2の実施形態の構成では、ローギヤ41とハイギヤ42を切換えることで、使用されるモータジェネレータ17の回転範囲を狭めることができる。
この結果、前輪変速段40を追加した第2の実施形態の構成では、第1のモータジェネレータ17に要求される性能を第1の実施形態の構成よりも下げることができ、低コストのシステムとすることが可能である。
また、図5はエンジン変速機12及び前輪変速段40の変速タイミングと第1のモータジェネレータ17の回転速度の関係を示している。
エンジン変速機12と非同期で前輪変速段40のローギヤ41とハイギヤ42を切換える場合について説明すると、図中一点鎖線で示すように、前輪変速段40の切換タイミングが遅い場合、すなわち、エンジン変速機12の変速ポイントよりも高車速で切換えを行うと、エンジン変速機12の変速ポイントからハイギヤ42へ変速するまでの間、第1のモータジェネレータ17の回転速度は上昇し、過回転となる。
逆に、図中点線で示すように、切換タイミングが早い場合、すなわち、エンジン変速機12の変速ポイントよりも低車速で切換えを行うと、第1のモータジェネレータ17の回転方向を変えずに4輪駆動状態とするときに、第1のモータジェネレータ17は発電状態となり、駆動力を加算することができない。この状態で、4輪駆動での加速指令が発せられた場合には、第1のモータジェネレータ17の発電電力を第2のモータジェネレータ61で消費する必要があるため、バッテリ19のパワーを最大限に使えずに、加速性能が低下する。
そこで本発明に係るハイブリッド車両では、図中実線で示すように、エンジン変速機12と同期して前輪変速段40をローギヤからハイギヤに切換えるようにする。このタイミングで切り換えるようにすれば上記過回転等の問題が生じることがなく、安定した走行性能が得られる。
図6は、図3の構成のシステムにおいて、4輪駆動状態で前輪変速段40の変速段を切り換える場合のコントローラ50の制御内容を示したフローチャートであり、コントローラ50において前輪変速段40の変速指令が発せられるときに実行される。
ここで、前輪変速段40をローギヤ41からハイギヤ42に切り換えるには、第1のクラッチ46と第2のクラッチ47を掛け換える必要がある。しかし、車両の走行状態によっては第2のクラッチ47の入力側と出力側の回転速度差が大きく、クラッチの掛け換えだけでは変速が長期化、もしくは、ショックが発生する可能性がある。そこで、クラッチを掛け換える際には、第1のモータジェネレータ17を利用して両者の回転速度を合わせるようにする。
まず、ステップS21では、前輪変速段40に変速指令が出されたことに合わせて、エンジン変速機12にも変速指令が発せられる。これは上記の通り、エンジン変速機12と同期して前輪変速段40のローギヤとハイギヤを切換え、第1のモータジェネレータ17の過回転等の問題を生じないようにするためである。
ステップS22では第1のモータジェネレータ17の電流値より第1のモータジェネレータ17のトルクを推定し、これに基づき前輪駆動トルクを推定する。第1のモータジェネレータ17の電流値はコントローラ50からインバータ18に出される指令値から求めることができる。式(3)で表されるように、前輪駆動トルクは第1のモータジェネレータ17のトルクと比例関係にあるため、第1のモータジェネレータ17のトルクから、前輪駆動トルクを推定できる。
ステップS23では第1のクラッチ46の締結力を低下させる。第1のクラッチ46の締結力を低下させると、遊星歯車20の回転速度拘束状態が解放され、第1のモータジェネレータ17により各要素の回転状態を変更し易くなる。
ステップS24では第1のクラッチ46の締結力低下させるとともに第2のクラッチ47の締結力を上昇させ、第1のクラッチ46、第2のクラッチ47の掛け換えを開始する。前輪16への駆動トルク伝達経路は第1のクラッチ46および第2のクラッチ47であるので、これらクラッチ46、47の締結力の和が前輪伝達力となる。そこで、クラッチ46、47の締結力の和がステップS22で推定した前輪駆動トルク相当の力となるように両クラッチの締結力を制御する。
ステップS25では第1のモータジェネレータ17を速度制御してキャリア22の回転速度、すなわち、第2のクラッチ47の入力側回転速度を制御し、これによってクラッチ47の入力側と出力側の回転速度を近づける。具体的には、前輪16の回転速度とハイギヤ42の減速比から第2のクラッチ47の現在の出力側回転速度を演算する。そしてキャリア22の回転速度がこの第2のクラッチ47の出力側回転速度となるように第1のモータジェネレータ17の目標回転速度を設定し、設定された目標回転速度となるように第1のモータジェネレータ17を回転速度制御する。
ステップS26では、アクセル操作量、すなわち運転者からの加速要求に基づきエンジン11および第2のモータジェネレータ61のトルクを制御する。
ステップS27では第1のモータジェネレータ17の実回転速度と目標回転速度とを比較し、両者の回転速度差が以下であればステップS28に移行する。しきい値はクラッチ47を瞬時に締結してもイナーシャの変化に起因する駆動力変化が0.05Gよりも大きな加速度を生じない回転速度差に設定される。これは、クラッチ締結時のショックによって運転者に違和感を与えないような範囲に対応する。
ステップS28では第1のクラッチ46を完全に解放するとともに第2のクラッチ47を完全に締結し、クラッチの掛け換えを完了する。
ステップS29では第1のモータジェネレータ17を速度制御からトルク制御へ切換える。このときの目標値は必要とされる駆動力の前後配分、要求される駆動力に応じて設定される。
以上の切換制御によれば、前輪変速段40の変速段の変更は前輪駆動力の変動を抑えつつ、クラッチ掛け換え時の駆動力変動を抑えながら行われ、変速ショックを生じることなく前輪変速段40の変速段を変更することができる。
また、図7は走行状況に応じて2輪駆動から4輪駆動となるときのコントローラ50の制御の内容を示したフローチャートである。このフローは、運転者がアクセルペダルを踏込み、加速要求が出されたときに実行される。
ステップS31では、アクセル操作量(運転者の加速要求)に応じたトルク指令値に従い、エンジン11のトルクを増加させる。
ステップS32では4輪駆動が必要か否かを判定する。4輪駆動が必要かどうかは、駆動力要求値、車速、舵角、ヨーレート、前後車輪速度差、外気温、および、ナビゲーションシステムからの情報等を考慮して判定する。4輪駆動が必要な場合はステップS33へ移行し、不要な場合は処理を終了する。
ステップS33では第1のモータジェネレータ17のトルクを上昇させる。第1のモータジェネレータ17のトルクを増大させれば前輪16に配分されるエンジン11の駆動力を増やして4輪駆動状態とし、かつ、前輪16にエンジン11と第1のモータジェネレータ17のトルクを伝達することができる。
ステップS34ではアクセル操作量に応じた要求駆動力が第1のモータジェネレータ17のアシストでは駆動力が不足するかを判定する。十分な場合はステップS36に移行し、不足する場合はステップS35へ移行する。
ステップS35では、バッテリ19から第2のモータジェネレータ61に電力を供給し、第2のモータジェネレータ61を力行させる。第2のモータジェネレータ61を力行させて駆動力アシストを行うことで4輪駆動状態を維持したまま運転者の要求駆動力を満たすことができる。このとき、4輪駆動状態を維持するには第1のモータジェネレータ17が力行状態にあることが必要であることから、バッテリ19からの電力供給は第1のモータジェネレータ17への電力供給を優先し、第2のモータジェネレータ61には残った電力を供給するようにする。
ステップS36では後輪14がスリップ状態にあるかどうかを判定する。スリップ状態にあるかどうかは後輪14の回転速度からスリップ率を求めることで判定することができる。後輪14がスリップ状態(スリップ率が所定値以上)のときは、ステップS37に進み、第1のモータジェネレータ17とモータジェネレータ61の電力配分を前輪16に配分されるエンジン11の駆動力が多くなるように再配分し、ステップS35に戻ってモータジェネレータ61による駆動力アシスト量を減らす。
したがって、上記加速制御によれば、4輪駆動が要求される場合にはエンジン11の駆動力を前輪16に配分して4輪駆動を実現することができ、また、エンジン11及び第1のモータジェネレータ17の駆動力だけでは要求駆動力を実現できないときは、第2のモータジェネレータ61の駆動力で後輪14を駆動力アシストすることができる。
さらに、後輪14がスリップしたときは、第2のモータジェネレータ61による駆動力アシスト量を減らし、かつ、前輪16に配分されるエンジン11の駆動力を多くするようにしたので、スリップを速やかに収束させることもできる。
また、図8は4輪駆動状態での巡航時のコントローラ50の制御内容を示したフローチャートである。このフローは、運転者から4輪駆動での巡航要求が発令されたときに実行される。
4輪駆動状態での巡航は継続的に行われることから、バッテリ19から電力が供給される状態が長時間継続するとバッテリ19の充電状態がゼロになってしまう。そこで、モータジェネレータ17、18のトルク制御により、モータジェネレータ17、18の電力バランスを制御し、バッテリ19からの電力供給が最小となるようにする。ここでは、要求駆動力が一定の状態で、4輪駆動要求が発せられた場合について述べる。
まず、ステップS41ではエンジン11のトルクを徐々に低下させる。これは、本発明のハイブリッド車両の駆動装置では第1のモータジェネレータ17がアシスト状態となって4輪駆動状態を実現するため、4輪駆動状態ではエンジン11の駆動力に第1のモータジェネレータ17の駆動力が加算され、実際の駆動力が要求駆動力が大きくなってしまうためである。そこで、第1のモータジェネレータ17に比べ応答性能遅いエンジン11のトルクをまず低下させる。
ステップS42では、第1のモータジェネレータ17のトルクを上昇させ、4輪駆動状態とする。このときの実駆動力は要求駆動力に等しくなる。
ステップS43では、第1のモータジェネレータ17のトルク上昇に伴い、第1のモータジェネレータ17で消費する電力を第2のモータジェネレータ61で発電させる。
ステップS44では、第2のモータジェネレータ61の発電トルクの上昇に応じてエンジン11の駆動力を増大させる。
ステップS45は、バッテリ19からの供給電力がしきい値以下であるかを判定する。バッテリ19からの電力供給が続くとバッテリ19の充電量が減少するため、巡航状態ではバッテリ19からモータジェネレータ17に供給する電力がほぼゼロとなるように制御する。
供給電力がしきい値を超えている場合はステップS43に戻り、バッテリ19から第1のモータジェネレータ17へ駆動電流が流れないように、第2のモータジェネレータ61の発電トルクを制御する。第2のモータジェネレータ61の発電トルクを上昇させて、その発電電力を第1のモータジェネレータ17に供給すれば、バッテリ19からの駆動電流を少なくできる。同時に、第2のモータジェネレータ61の発電トルクの上昇とともにエンジン11のトルクを上げることで、車両駆動力の変化を抑える。このとき、エンジン11のトルク応答性に応じた発電トルク応答とすることで、運転者に違和感を与えずに、制御を行うことができる。バッテリ19には様々な電気負荷がつながっているため、巡航状態では第2のモータジェネレータ61による微小な充電状態が望ましい。
したがって、この制御によれば、4輪巡航状態においてバッテリ19からの供給電力をしきい値以下に下げることができ、4輪巡航状態を継続してもバッテリ19の充電状態が低下してゼロになるのを防止できる。
この第2の実施形態では第1の実施形態の作用効果に加え、以下のような作用効果がある。
第1のモータジェネレータ17に加え、後輪14に駆動力を伝達することができる第2のモータジェネレータ61を備えたことにより、第2のモータジェネレータ61の発電電力を第1のモータジェネレータ17に供給すれば、バッテリ19の電力を用いなくても第2のモータジェネレータ17を力行させてエンジン11の駆動力を前輪16に配分することができ、4輪駆動状態を実現することができる。図3に示した構成では、エンジン変速機12と後輪デファレンシャル13の間に第2のモータジェネレータ61を接続しているが、後輪14に駆動力を伝達できればこれ以外の接続態様、例えば、エンジン1あるいはエンジン出力軸31に第2のモータジェネレータ61を接続する構成であっても良く、後輪14に直結する構成であっても構わない。
また、バッテリ19から第1のモータジェネレータ17に電力を供給してエンジン11の駆動力を前輪16に配分する一方で、バッテリ19から第2のモータジェネレータ61に電力を供給して第2のモータジェネレータ61で後輪14を駆動する場合においては、バッテリ19からの電力をモータジェネレータ61よりもモータジェネレータ17に優先的に供給し、残った電力をモータジェネレータ61に供給するようにした。これにより、第1のモータジェネレータ17への供給電力が不足して4輪駆動状態が維持できなくなる事態を回避することができ、4輪駆動による安定な走行状態を維持したまま、駆動力配分が可能になる。
また、遊星歯車20の第3の軸であるキャリア22と前輪16の間に少なくとも2つの変速段を有する前輪変速段40を備えたことにより、第1のモータジェネレータ17の使用される回転領域を狭めて要求される性能を下げることができ、第1のモータジェネレータ17を小型化、低コスト化できる。
また、エンジン変速機12の変速タイミングと前輪変速段40の変速タイミングを同期させたことにより、第1のモータジェネレータ17の過回転等を防止し、運転者に違和感を与えることなく第1のモータジェネレータ17の運転点の変更が可能になる。
また、遊星歯車20の第3の軸(キャリア22)と前輪変速段40の2つの変速段(ローギヤ41、ハイギヤ42)の間にはそれぞれクラッチ46、47が設けられており、2つの変速段を切り換えるときは第1のモータジェネレータ17のトルクから前輪16に配分される駆動トルクを推定し、2つのクラッチ46、47の締結力の和が推定された前輪16に配分される駆動トルク相当の力となるようにクラッチ46、47の掛け換えを行うようにしたことにより、切換え時に前輪駆動力の変動を低減し、滑らかな切換えを実現することができる。
また、クラッチ46、47の掛け換えを行うとき、第1のクラッチ46の締結力を減少させた後、第2のクラッチ47の入力側と出力側の回転速度差が減少するように第1のモータジェネレータ17を速度制御するようにしたことにより、切換え時のショックを抑えることができ、また、クラッチ締結時のショックを抑えるためにクラッチを徐々に締結する必要がなくなるので、切換えに要する時間を短縮することもできる。
また、バッテリ19からモータジェネレータ17、61に供給される電力が所定値を超えるときはエンジン11の出力を増大するようにしたので、バッテリ19から持ち出される電力を所定値以下に抑えることができ、バッテリ19の電力が消費され続けて空になるのを防止することができる。
第3の実施形態
図9は本発明の第3の実施形態を示す。第1、第2の実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付して説明を省略し、以下の説明では第1、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
第3の実施形態では、図3に示した第2の実施形態における遊星歯車20と変速段40の機能をラビニオ式遊星歯車120で実現している点で第2の実施形態と相違する。ラビニオ式遊星歯車120はシングルピニオン遊星歯車とダブルピニオン遊星歯車を組み合わせて構成され、第1のサンギヤ121と、共通のキャリア122と、共通のリングギヤ123と、第2のサンギヤ124を有している。
ラビニオ式遊星歯車120は4軸の差動機構であり、第1の軸である第1のサンギヤ121は第1のモータジェネレータ17に接続され、第2の軸であるリングギヤ123はエンジン出力軸31に接続される。第3の軸であるキャリア122と第4の軸である第2のサンギヤ124はそれぞれ第1のクラッチ141と第2のクラッチ142を介して前輪出力軸33、前輪駆動軸32を介して前輪16に接続される。
図10はラビニオ式遊星歯車120の各要素の回転速度関係を示す共線図である。ラビニオ式遊星歯車120は上記の通り、2つのサンギヤ121、124と、キャリア122と、リングギヤ124の4入出力軸を有している。
ここで、第1のサンギヤ121の歯数をZs1、第2のサンギヤ124の歯数をZs2、リングギヤ123の歯数をZrとして、ラビニオ式遊星歯車120の特性値ρs、ρdを以下のように定義する。
Figure 0004144586
さらに、式(5)中のZs1、Zs2、Zrを共線図上の係数α、βに置き換えると、
Figure 0004144586
となる。
式(6)の関係を用いて、第1のクラッチ141、第2のクラッチ142を締結した時の前輪16へのエンジン11および第1のモータジェネレータ17の駆動力伝達状態について説明する。
ローギヤ状態は第1のクラッチ141に締結し、キャリア122を前輪16に接続することで実現される。このとき、ラビニオ式遊星歯車120では、シングルピニオン状態となり、回転要素間の回転速度、トルクは以下のような関係となる。
Figure 0004144586
Figure 0004144586
添え字c、s1、rはそれぞれキャリア122、第1のサンギヤ121、リングギヤ123を表している。
一方、ハイギヤ状態は第2のクラッチ142を締結し、第2のサンギヤ124を前輪16に接続することで実現される。キャリア122を共有しているので、エンジン11と第1のモータジェネレータ17のトルクはサンギヤ124を介して前輪16へ伝達される。この状態での回転要素間の回転速度、トルクは以下のような関係となる。
Figure 0004144586
Figure 0004144586
添え字s2は第2のサンギヤ124を示している。
遊星歯車の成立条件によりρsは0.5以上となるので、βは1以上である。そのため、出力端である第2のサンギヤ124への第1のモータジェネレータ17のトルク増幅率は式(8)よりも式(10)のほうが小さくなり、第2のクラッチ142を締結することでハイギヤ状態となることが分かる。
なお、ローギヤ状態、ハイギヤ状態、いずれの状態でもエンジン11に第1のモータジェネレータ17のパワーが加算されて前輪16に伝わるようにするために、ハイギヤ状態では第1のモータジェネレータ17をエンジン出力軸31と逆方向に回転させる。
図11はラビニオ式遊星歯車120における各要素の回転速度と車速の関係を示す。
前輪16の回転速度は車速の上昇とともに一定変化率で増加する。ローギヤ、ハイギヤの切換ポイント前後で第1のモータジェネレータ17の回転速度が反転している。
上記したように、ラビニオ式遊星歯車を用いた構成では、ハイギヤ変更後に第1のモータジェネレータ17の回転方向を反転させると、第1のモータジェネレータ17のパワーも前輪に加算できるようになる。そのため、ハイギヤ変更後に第1のモータジェネレータ17が反転し、且つ、最高速で第1のモータジェネレータ17が過回転とならないようにラビニオ式遊星歯車120は設計される。
図12は4輪駆動状態での前輪変速段の切換制御の内容を示したフローチャートである。このフローはコントローラ50より車速の増大等を受けて前輪変速段の変速指令が発せられるときに実行される。
ローギヤ状態からハイギヤ状態へ移行するためには、第1のクラッチ141から第2のクラッチ142に掛け換える必要がある。しかし、車両の状態においては第2のクラッチ142の入力側と出力側の回転速度差、すなわち、第2のサンギヤ124と前輪出力軸33の回転速度差が大きく、クラッチを掛け換えるだけでは変速が長期化したり、ショックが発生したりする可能性がある。そこで、この制御では以下に説明するように、第1のモータジェネレータ17を回転速度制御して、クラッチ掛け換え時における第2のサンギヤ124と前輪出力軸33の回転速度差を減少させる。
まず、ステップS51では、エンジン変速機12に変速指令が発せられる。これはエンジン変速機12と同期して前輪変速段のローギヤとハイギヤを切換え、第1のモータジェネレータ17の過回転等の問題を生じないようにするためである。
ステップS52では第1のモータジェネレータ17の電流値から第1のモータジェネレータ17のトルクを推定し、これに基づき前輪駆動トルクを推定する。式(8)から、前輪駆動トルクは第1のモータジェネレータ17のトルクと比例関係になるので、第1のモータジェネレータ17のトルクから前輪駆動トルクを推定することができる。
ステップS53では第1のクラッチ141の締結力を低下させる。第1のクラッチ141の締結力を低下させると、ラビニオ式遊星歯車120の回転速度拘束状態が解放され、第1のモータジェネレータ17によって各要素の回転状態を変更し易くなる。
ステップS54では第1のクラッチ141、第2のクラッチ142の掛け換え制御を行う。前輪16への駆動トルク伝達経路は第1のクラッチ141および第2のクラッチ142であるので、これらのクラッチ141、142の締結力の和が前輪伝達力となる。そこで、ここではクラッチ141、142の締結力の和がステップS52で推定した前輪駆動トルク相当の力となるように制御する。
ステップS55では第1のモータジェネレータ17を速度制御する。そのときの目標値tNmgはエンジン11の目標回転速度tNengと前輪回転速度の実値rNs1から以下のように定義される。
Figure 0004144586
この速度制御により、キャリア122の回転速度は前輪出力軸33の回転速度から離れ、第2のサンギヤ124の回転速度は前輪出力軸33の回転速度に近づけられる。
ステップS56では、アクセル操作量、すなわち運転者からの加速要求に基づきエンジン11および第2のモータジェネレータ61のトルクを制御する。
ステップS57では第1のモータジェネレータ17の回転速度がステップS55で設定した目標値tNmgと略一致しているかを比較する。目標値との差がしきい値以内であれば、次のステップS58に移行する。しきい値は第2のクラッチ142を瞬時に締結してもイナーシャの変化に起因する駆動力変化が0.05Gよりも大きな加速度を生じない回転速度差に設定される。これは、クラッチ締結時のショックによって運転者に違和感を与えないような範囲に対応する。
ステップS58では第1のクラッチ141を完全に解放するとともに第2のクラッチ142を完全に締結し、クラッチの掛け換えを終了する。
ステップS59では第1のモータジェネレータ17を速度制御からトルク制御へ切換える。このときの目標値は必要とされる駆動力の前後配分、要求される駆動力に応じて設定される。
以上の切換制御によれば、前輪変速段の変速制御は前輪駆動トルクの変動を抑えつつ、クラッチ掛け換え時のトルクを抑えながら変速段の変更が行われるので、変速ショックを生じることなく変速段の変更を終了させることができる。
なお、第3の実施形態における4輪加速時、4輪巡航時のコントローラ50の制御内容は図7、図8に示した第2の実施形態のものと同じであるので説明を省略する。
この第3の実施形態によれば、第1、第2の実施形態の作用効果に加え、前輪側の動力伝達機構をラビニオ式遊星歯車120で構成したことにより、前輪側の動力伝達機構を小型化、軽量化し、トランスアクスル方式の利点をさらに享受することができる。
図13は第3の実施形態の一部変形例であり、図9に示した構成に対してワンウェイクラッチ150が追加されている。
ワンウェイクラッチ150は第2のサンギヤ124に接続され、モータジェネレータ17を用いてエンジン11を始動させるときに作動する。ローギヤとハイギヤでモータジェネレータ17の回転方向が反転するようにラビニオ式遊星歯車120を設計すると、第2のサンギヤ124は全ての速度域で回転方向が変化しないので、このようにワンウェイクラッチ150を配置することができる。
ワンウェイクラッチ150を作動させることで、ラビニオ式遊星歯車120は変速段として機能し、第1のモータジェネレータ17のトルクは(1+α+β)/β倍されてエンジン11の駆動軸に伝達されるので、エンジン11をクランキングして始動させることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記実施形態は本発明の技術的範囲をその構成に限定する趣旨ではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明に係るハイブリッド車両の概略構成図である(第1の実施形態)。 4輪加速制御の内容を示したフローチャートである。 本発明の第2の実施形態を示す。 車速とモータジェネレータの回転速度の関係を示した図で、実線は第1の実施形態のもの、破線は前輪変速段を追加した第2の実施形態のものを示す。 エンジン変速機及び前輪変速段の変速タイミングとモータジェネレータの回転速度の関係を示した図である。 前輪変速段の変速段切換制御の内容を示したフローチャートである。 4輪加速制御の内容を示したフローチャートである。 4輪巡航制御の内容を示したフローチャートである。 本発明の第3の実施形態を示す。 ラビニオ式遊星歯車の各要素の回転速度関係を示す共線図である。 ラビニオ式遊星歯車における各要素の回転速度と車速の関係を示した図である。 前輪変速段の変速段切換制御の内容を示したフローチャートである。 第3の実施形態の一部変更例である。
符号の説明
11 エンジン
12 エンジン変速機
14 後輪
16 前輪
17 モータジェネレータ(第1のモータジェネレータ)
19 バッテリ
21 リングギヤ(第2の軸)
22 キャリア(第3の軸)
23 サンギヤ(第1の軸)
20 遊星歯車(差動機構)
31 エンジン出力軸
40 前輪変速段
41 ローギヤ
42 ハイギヤ
46、47 クラッチ
61 モータジェネレータ(第2のモータジェネレータ)
50 コントローラ
120 ラビニオ式遊星歯車
121 第1のサンギヤ(第1の軸)
122 キャリア(第3の軸)
123 リングギヤ(第2の軸)
124 第2のサンギヤ(第4の軸)
141 クラッチ
142 クラッチ
150 ワンウェイクラッチ(回転制限機構)

Claims (11)

  1. 車両前側に配置されるエンジン及び前輪と、
    前記エンジンに接続されるエンジン出力軸と、
    車両後側に配置され、前記エンジン出力軸が接続されるエンジン変速機と、
    車両後側に配置され、前記エンジン出力軸と前記エンジン変速機を介して前記エンジンの駆動力が伝達される後輪と、
    第1のモータジェネレータと、
    少なくとも第1から第3の3軸を有する差動機構と、
    前記後輪に駆動力を伝達する第2のモータジェネレータと、
    前記第1及び第2のモータジェネレータに接続されるバッテリと、
    を備え、
    前記第1のモータジェネレータを力行させると前記前輪に配分される前記エンジンの駆動力が増大するように前記前記第1から第3の軸に前記第1のモータジェネレータ、前記エンジン出力軸、前記前輪をそれぞれ接続し、車両前進時、前記第1のモータジェネレータのトルクを制御することによって前記エンジンの駆動力の前記前輪、前記後輪への配分を変更し、
    前記バッテリから前記第1のモータジェネレータに電力を供給して前記エンジンの駆動力を前記前輪に配分する一方で前記バッテリから前記第2のモータジェネレータに電力を供給して前記第2のモータジェネレータで前記後輪を駆動する場合、前記バッテリからの電力を前記第2のモータジェネレータよりも前記第1のモータジェネレータに優先的に供給し、残った電力を前記前記第2のモータジェネレータに供給することを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 前記第3の軸と前記前輪の間に少なくとも2つの変速段を有する前輪変速段を備えたことを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  3. 前記エンジン変速機の変速タイミングと前記前輪変速段の変速タイミングを同期させることを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  4. 前記第3の軸と前記2つの変速段の間にはそれぞれクラッチが設けられており、
    前記クラッチを掛け換えて前記2つの変速段を切り換えるときは、前記第1のモータジェネレータのトルクから前記前輪に配分される駆動トルクを推定し、前記2つのクラッチの締結力の和が前記推定された前記前輪に配分される駆動トルク相当の力となるように前記第1及び第2のクラッチの締結力を制御することを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  5. 前記クラッチの掛け換えを行うとき、前記第1のクラッチの締結力を減少させた後、前記第2のクラッチの入力側と出力側の回転速度差が減少するように前記第1のモータジェネレータを回転速度制御することを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  6. 車両前側に配置されるエンジン及び前輪と、
    前記エンジンに接続されるエンジン出力軸と、
    車両後側に配置され、前記エンジン出力軸が接続されるエンジン変速機と、
    車両後側に配置され、前記エンジン出力軸と前記エンジン変速機を介して前記エンジンの駆動力が伝達される後輪と、
    第1のモータジェネレータと、
    少なくとも第1から第4の4軸を有する差動機構と、
    を備え、
    前記第1から第3の軸に前記第1のモータジェネレータ、前記エンジン出力軸、前記前輪をそれぞれ接続し、車両前進時、前記第1のモータジェネレータのトルクを制御することによって前記エンジンの駆動力の前記前輪、前記後輪への配分を変更し、
    前記前輪の接続する軸を前記第3の軸から前記第4の軸に切り換える切換機構を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
  7. 前記エンジン変速機の変速タイミングと前記切換機構が前記前輪の接続する軸を切り換えるタイミングとを同期させることを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  8. 前記前輪と第3の軸の間に第1のクラッチ、前記前輪と第4の軸の間に第2のクラッチが設けられており、
    前記クラッチを掛け換えて前記前輪の接続する軸を前記第3の軸から前記第4の軸に切り換えるときは、前記第1のモータジェネレータのトルクから前記前輪に配分される駆動トルクを推定し、前記2つのクラッチの締結力の和が前記推定された前記前輪に配分される駆動トルク相当の力となるように前記第1及び第2のクラッチの締結力を制御することを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  9. 前記クラッチの掛け換えを行うとき、前記第1のクラッチの締結力を減少させた後、前記第2のクラッチの入力側と出力側の回転速度差が減少するように前記第1のモータジェネレータを回転速度制御することを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  10. 前記バッテリから前記第1及び第2のモータジェネレータに供給される電力が所定値を超えるときは前記エンジンの出力を増大することを特徴とする請求項に記載のハイブリッド車両。
  11. 前記差動機構の4つの軸のうち、少なくとも1つの軸が車両前進時に常に同じ方向に回転する順回転軸となるように前記差動機構を構成し、かつ、前記順回転軸となる1つの軸の回転方向を制限する回転制限機構を備えたことを特徴とする請求項からのいずれかひとつに記載のハイブリッド車両。
JP2004306595A 2004-10-21 2004-10-21 トランスアクスル方式のハイブリッド車両 Expired - Fee Related JP4144586B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004306595A JP4144586B2 (ja) 2004-10-21 2004-10-21 トランスアクスル方式のハイブリッド車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004306595A JP4144586B2 (ja) 2004-10-21 2004-10-21 トランスアクスル方式のハイブリッド車両

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006117084A JP2006117084A (ja) 2006-05-11
JP4144586B2 true JP4144586B2 (ja) 2008-09-03

Family

ID=36535393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004306595A Expired - Fee Related JP4144586B2 (ja) 2004-10-21 2004-10-21 トランスアクスル方式のハイブリッド車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4144586B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4775237B2 (ja) * 2006-11-28 2011-09-21 トヨタ自動車株式会社 駆動装置
US7871348B2 (en) * 2008-01-21 2011-01-18 Ford Global Technologies, Llc Vehicle hybrid powertrain system and method of operating same
US8960034B2 (en) * 2011-03-23 2015-02-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle drive device
GB2545689A (en) * 2015-12-22 2017-06-28 Jaguar Land Rover Ltd System for providing four wheel drive in a vehicle
WO2018014966A1 (de) * 2016-07-22 2018-01-25 Gkn Automotive Ltd. Getriebeanordnung für ein hybridfahrzeug, antriebssystem und hybridfahrzeug
DE102017218858B4 (de) 2017-04-06 2019-02-21 Magna powertrain gmbh & co kg Fahrzeug mit Verteilergetriebe und Verfahren zum Betrieb dieses Fahrzeugs
JP7231373B2 (ja) * 2018-10-09 2023-03-01 株式会社Subaru 車両用駆動装置
DE102019201638B4 (de) * 2019-02-08 2024-02-08 Audi Ag Getriebeeinrichtung für ein Kraftfahrzeug
CN110001379B (zh) * 2019-04-24 2024-06-18 吉林大学 一种多轴混合动力车辆驱动***
JP7452457B2 (ja) 2021-02-12 2024-03-19 トヨタ自動車株式会社 動力伝達装置
JP7396330B2 (ja) 2021-06-04 2023-12-12 トヨタ自動車株式会社 車両用駆動装置
CN113339496B (zh) * 2021-06-15 2022-12-20 深圳优安米科技有限公司 用于电动车辆的变速器的换挡控制方法
CN113479059B (zh) * 2021-07-30 2022-12-09 重庆长安汽车股份有限公司 一种混合动力驱动***及混合动力汽车
CN114083977A (zh) * 2021-09-10 2022-02-25 华为数字能源技术有限公司 一种电动汽车驱动***和电动汽车

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006117084A (ja) 2006-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10350983B2 (en) Power transmission system
JP4155236B2 (ja) 車両用駆動装置の制御装置
JP5310746B2 (ja) 四輪駆動車両用動力伝達装置の制御装置
US8425377B2 (en) Multiple-mode power split hybrid powertrain
JP4497057B2 (ja) 車両の変速制御装置
JP2005138743A (ja) ハイブリッド車両の駆動力制御装置
JP4144586B2 (ja) トランスアクスル方式のハイブリッド車両
US10801598B2 (en) Hybrid axle drive with torque vectoring
US20190276006A1 (en) Hybrid vehicle drive system
JP7035781B2 (ja) 車両の変速制御装置
US10737682B2 (en) Drive force control system for hybrid vehicle
JP2010215038A (ja) 前後輪駆動車両のエンジン始動制御装置
JP4375417B2 (ja) ハイブリッド自動車およびその制御方法
CN107249946A (zh) 混合动力车辆
JP3852403B2 (ja) ハイブリッド駆動装置の制御装置
JP2014051146A (ja) ハイブリッド車両用駆動装置
CN111216551B (zh) 四轮驱动车的控制装置
JP2021178601A (ja) 四輪駆動車両
JP6589757B2 (ja) ハイブリッド車両の走行モード切換制御装置
JP4005589B2 (ja) 動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力伝達装置
JP2008213632A (ja) 車両およびその制御方法
JP2001158254A (ja) 前後輪駆動車両の制御装置
JP6536498B2 (ja) ハイブリッド車両の走行モード切換制御装置
JP4299287B2 (ja) 車両およびその制御方法並びに車載用の駆動装置
US20220063586A1 (en) Vehicle control system

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080407

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080527

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees