JP4144125B2 - 走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクータ、スノーモービル、バギーカーなどの走行装置を駆動する2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクータやスノーモービルのように、操作が簡便であることを尊ぶ走行装置の原動機としては、リコイルスタートやキックスタートにより容易に始動することができ、しかも小型、軽量かつ安価である2サイクルガソリン機関(以下2サイクル内燃機関という。)が多く用いられている。また内燃機関の回転を走行装置の被駆動部(例えば駆動輪)に伝達する動力伝達系統に設ける変速機としては、バックギアを持たない遠心クラッチ式の無断変速機が多く用いられている。
【0003】
この種の走行装置では、その変速機がバックギアを備えていないため、狭い場所等で走行装置の向きを反転させる必要が生じたときに、車体全体を持ち上げてその向きを変える必要があり、操作性が悪かった。
【0004】
そこで、最近、回転方向が正逆いずれの方向であっても正常な運転ができる2サイクル内燃機関の特性に着目して、内燃機関の回転方向を正回転から逆回転に切り替えることにより、走行装置に後退機能を持たせることが検討されている。2サイクル内燃機関の回転方向を切り替えることにより、走行装置を前進または後退させるためには、運転者の指令に応じて内燃機関の回転方向を任意に切り替え得るようにすることが必要である。
【0005】
内燃機関の回転方向を切り替える回転方向切替制御方法としては、特開平11−93718号、特開平11−93719号、及び特開平11−82270号に見られるように、機関の点火位置や燃料の供給量を制御することにより機関の回転数[rpm ]をアイドリング回転数よりも低い回転数まで低下させて機関の慣性を低下させた状態で、点火位置(機関を点火する時のクランク軸の回転角度位置)を過進角位置(定常運転時の点火位置の適性な最大進角位置よりも更に進角した位置)まで進角させることによりピストンを押し戻して回転方向を反転させ、その後反転した方向への機関の回転を維持するために適した点火位置で機関を点火することにより、回転方向が反転した状態での機関の運転を行わせる方法が提案されている。
【0006】
既提案の回転方向切替制御方法により機関の回転方向を切り替える際の機関の回転数の時間的変化の一例を図12に示した。図12においてTo は反転指令が与えられるタイミングを示し、T2 は反転指令が与えられてから機関の回転数が過進角開始回転数に達するタイミングを示している。またT3 はECU(電子制御ユニット)が回転方向が反転したことを認識するタイミングを示している。No は機関のアイドリング回転数を示し、N2 はアイドリング回転数No よりも低く設定された過進角開始回転数を示している。
【0007】
図12に示した例では、機関がアイドリング運転を行っている状態で、時刻To において反転指令が与えられる。反転指令が与えられると、内燃機関への燃料の供給が停止され、機関の回転数が低下させられる。時刻T2 で回転数が過進角開始回転数N2 に達する直前に機関への燃料の供給が再開され、時刻T2 で機関の点火位置が過進角位置まで進角させられる。機関の回転数が十分に低下している状態で点火位置が過進角させられると、ピストンが上死点に到達する前に押し戻されるため、機関の回転方向が反転する。その後時刻T3 において機関の回転方向の反転が確認された後に回転方向が反転した状態での機関の回転を維持するために適した位置で点火を行わせて、回転方向が反転した状態での機関の運転を行わせる。
【0008】
機関の回転方向を反転するに先立って回転数を低下させる方法としては、機関を失火させる方法もあるが、機関を失火させると、未燃焼ガスが排出されるため排気管内で混合気が燃焼してアフタファイアが生じたり、大気が汚染されたりして好ましくない。これに対し、上記のように、機関への燃料の供給を停止することにより回転数を低下させるようにすれば、未燃焼ガスの排出を抑えることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の回転方向切替制御方法では、反転指令に応答して機関への燃料の供給を停止させた後、機関の回転数が過進角開始回転数に達して、過進角位置での点火が行われる直前に燃料の供給を再開している。内燃機関に燃料を供給する方法として、機関のシリンダ内に直接インジェクタから燃料を噴射する方法をとる場合には、上記のように過進角位置で点火を行わせるタイミングの直前のタイミングで燃料の供給を再開させても、機関を反転させることができる。しかしながら、機関の吸気管内、クランクケース内、または掃気管内に燃料を噴射して、掃気管を通して混合気をシリンダ内に供給する方法をとる場合には、燃料の供給を開始した後、所定の空燃比の混合気がシリンダ内に到達するまでに時間がかかるため、過進角位置で点火を行わせる直前に燃料の供給を再開させたのでは、燃料の供給が間に合わず、過進角位置で点火動作を行わせた際に混合気の着火に失敗して、回転方向の反転に失敗することがあるという問題があった。
【0010】
また従来の回転方向切替制御方法では、走行装置を後退させる際に機関の回転数を制限する手段を設けていなかったため、走行装置を後退させる際の速度が上昇し過ぎて危険な状態が生じるおそれがあった。
【0011】
本発明の目的は、掃気管を通してシリンダ内に混合気が供給される場合にも機関の回転方向を確実に反転させることができるようにした走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、機関の回転方向を確実に反転させることができるようにするとともに、走行装置を後退させる際には、安全のために機関の回転数を制限することができるようにした走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、掃気管内を通してシリンダ内に混合気が供給される2サイクル内燃機関により被駆動部が駆動されて走行する走行装置の走行方向を反転させるために、反転指令に応答して内燃機関への燃料の供給を一時的に停止することにより内燃機関の回転数を低下させ、内燃機関の回転数がアイドリング回転数よりも低く設定された過進角開始回転数まで低下したときに内燃機関の点火を過進角位置で行わせて内燃機関の回転方向を反転させ、その後回転方向が反転した状態での内燃機関の回転を維持するために適した位置で内燃機関を点火して回転方向が反転した状態での内燃機関の運転を行わせるように、内燃機関への燃料の供給と内燃機関の点火位置とを制御する走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法に係わるものである。
【0014】
本発明においては、過進角開始回転数よりも高い燃料供給再開回転数を設定しておき、燃料の供給の停止により内燃機関の回転数が低下して燃料供給再開回転数に達したときに内燃機関への燃料の供給を再開するようにした。
【0015】
上記のように、過進角開始回転数よりも高い燃料供給再開回転数を設定しておいて、内燃機関の回転数が低下して燃料供給再開回転数に達したときに内燃機関への燃料の供給を再開するようにすると、燃料供給再開回転数を適当に設定しておくことにより、過進角位置での点火動作が行われるまでの間に所定の空燃比を有する混合気がシリンダ内に供給される状態にすることができるため、過進角位置で点火を行わせた際に確実に混合気に着火して、機関の回転方向を反転させることができる。
【0016】
上記内燃機関への燃料の供給は、吸気管、クランクケース内、または掃気管内にインジェクタから燃料を噴射することにより行うようにするのが好ましい。
【0017】
気化器を用いて機関に燃料を供給するようにしてもよいが、気化器を用いる場合には、燃料の供給の停止及び再開を自在に行わせるために、燃料の供給通路に電磁弁などのバルブを挿入しておく必要がある。
【0018】
本発明においては、反転指令が与えられた後、内燃機関への燃料の供給を停止しているときに、内燃機関の回転数を反転時制限回転数以下に抑えるように内燃機関の点火位置を制御する回転数抑制制御を行わせるのが好ましい。
【0019】
この場合、反転時制限回転数は、反転指令が与えられたときの回転数に等しく設定するのが好ましい。
【0020】
上記のように構成すると、反転指令が与えられた後、燃料の供給を停止した直後に機関の回転数が急上昇するのを防ぐことができるため、運転者に不快感や恐怖感を与えるのを防ぐことができる。
【0021】
内燃機関のクランク軸と走行装置の被駆動部との間に設ける変速機として遠心クラッチを備えた変速機が用いられる場合には、上記反転時制限回転数を、遠心クラッチが投入される回転数よりも低く設定するのが好ましい。
【0022】
このように反転時制限回転数を設定しておくと、反転指令に応答して燃料の供給を停止させた直後に機関の回転数が上昇して遠心クラッチがつながるのを防ぐことができるため、反転指令を与えた直後に走行装置が動いて運転者が恐怖感を抱くおそれを無くすことができる。
【0023】
本発明においてはまた、走行装置を後退させる方向に内燃機関が回転しているときに、該内燃機関の回転数を設定された後退時制限回転数以下に制限する後退時過回転防止制御を行わせるのが好ましい。
【0024】
上記後退時過回転防止制御においては、内燃機関の点火動作を停止させることにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよく、内燃機関の点火位置を進角または遅角させるように制御することにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよい。
【0025】
また上記後退時過回転防止制御においては、内燃機関への燃料の供給量を減少(混合気をリーンにする)または増加させる(混合気をリッチにする)ように制御することにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよい。
【0026】
上記のように、後退時過回転防止制御を行わせると、走行装置を後退させる際の機関の回転数を制限することができるため、走行装置を後退させる際に速度が上昇し過ぎて事故が生じるのを防ぐことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明により制御する2サイクル内燃機関1の一例を示したもので、同図において101はクランクケース、102はクランクケースに接続されたシリンダで、クランクケース101内には各シリンダに対応するクランク室103が形成されている。104はクランク室103内に空気を導入する吸気管、105はクランク室103とシリンダ102内とを接続するように設けられた掃気管、106はシリンダ102に接続された排気管である。シリンダ102内にはピストン107が嵌合され、ピストン107とクランクケース101内に設けられたクランク軸108とがクランク機構109を介して連結されている。シリンダ102の頂部には点火プラグ110が取り付けられ、吸気管104にインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)111が取り付けられている。この例では、内燃機関1が2気筒内燃機関であるとする。
【0028】
この内燃機関においては、インジェクタ111から吸気管内に噴射された燃料Fが吸気管内の管壁やクランク室103の内壁に付着して液膜を形成し、該燃料が気化して吸気管内を通して供給される空気と混合されることにより、混合気fが形成される。混合気fはピストン107の下降に伴って生じるクランク室内の圧力上昇により掃気管105を通してシリンダ102内に導入される。シリンダ102内に導入された混合気fは、上昇に転じたピストン107により掃気ポート及び排気ポートが塞がれた時点から圧縮され、ピストンが上死点付近に到達したときに点火プラグ110に生じる火花により着火される。
【0029】
上記内燃機関はスノーモービルなどの走行装置に搭載されて、クランク軸108の回転が遠心クラッチを備えた図示しない無段変速機を介して走行装置の被駆動部(スノーモービルの場合にはキャタピラ)に伝達される。
【0030】
図2は上記の内燃機関1を制御する制御装置の要部の構成を概略的に示したものである。同図において10は走行装置の走行方向を反転させる際に操作される反転指令スイッチで、この例では、反転指令スイッチ10により反転指令発生手段が構成されている。反転指令スイッチ10としては、複数の固定接点と該複数の固定接点に選択的に接触させられる可動接点とを備えた切替スイッチを用いてもよく、押ボタンスイッチのように、操作力を与えている間だけオン状態またはオフ状態になるモメンタリスイッチを用いてもよい。反転指令スイッチ10として切替スイッチを用いる場合には、走行装置を前進させるときと後退させるときとで可動接点を異なる固定接点に接触させることにより、反転指令を発生させる。
【0031】
また反転指令スイッチとしてモメンタリスイッチを用いる場合には、該スイッチを操作する毎に走行方向を反転させる反転指令を発生させる。
【0032】
図2において11及び12はそれぞれ機関により駆動される信号発電機に設けられた第1及び第2パルサで、これらのパルサは、機関のクランク軸の回転に同期して、その回転情報を含むパルス信号を発生する。
【0033】
13は反転指令スイッチ10により与えられる反転指令と、第1パルサ及び第2パルサ11及び12が発生するパルスとを入力として、内燃機関点火装置14及び燃料供給装置15を制御するECU(電子式制御ユニット)である。図示の例では、機関の各気筒に対して設けられたインジェクタ111と、各インジェクタに駆動電流を与える駆動回路(図示せず。)とにより燃料供給装置15が構成されている。
【0034】
図示してないが、ECU13には、スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサの出力、機関の冷却水の温度を検出する温度センサの出力、吸気温度を検出するセンサの出力、大気圧を検出するセンサの出力等が更に入力されている。これらのセンサから得られる検出出力は、機関の点火位置及びインジェクタから燃料を噴射する時間(燃料噴射時間)を演算するために用いられる。
【0035】
図3は第1パルサ11及び第2パルサ12が設けられる信号発電機16の構成を模式的に示したものである。この例では、機関のクランク軸108の先端に取り付けられたカップ状のフライホイール17の外周に、180度間隔で配置された形状が異なる2つの第1リラクタ18,18´と、同じく180度間隔で配置された同形状の第2リラクタ19,19´とを軸線方向に位置をずらした状態で形成して構成したロータ20と、第1リラクタ18,18´及び第2リラクタ19,19´にそれぞれ対向するように配置されて機関のケースなどに取り付けられた第1パルサ11及び第2パルサ12とにより信号発電機16が構成されている。
【0036】
第1リラクタ18,18´のうちの一方18は図4(A)に示すように、幅が狭い第1の部分18aと幅が広い第2の部分18bとがフライホイールの周方向に並ぶ形状を有する2段リラクタからなり、他方のリラクタ18´はフライホイールの周方向に沿って均一な幅寸法を有する1段リラクタからなっている。また第2リラクタ19,19´は図4(C)に示すように、フライホイールの周方向に沿って均一な幅寸法を有する1段リラクタからなっている。
【0037】
第1パルサ11は第1リラクタ18,18´に対向する磁極部を先端に有する鉄心と該鉄心に巻回された信号コイルと該鉄心に磁気結合された永久磁石とを有する周知のもので、リラクタ18の第1の部分18a側の端部を検出したとき及び第1の部分18aと第2の部分18bとの境界部を検出したときに同極性のパルス信号を発生し、第2の部分18b側の端部を検出したときに異極性のパルス信号を発生する。第1パルサ11はまた、リラクタ18´の両端をそれぞれ検出したときに極性が異なるパルス信号を発生する。
【0038】
第2パルサ12は第1パルサと同様に構成されていて、リラクタ19の両端をそれぞれ検出したときに極性が異なるパルス信号を発生する。
【0039】
内燃機関が正回転しているときに第1パルサ及び第2パルサが発生するパルス信号の波形を図4に示し、内燃機関が逆回転しているときに第1パルサ及び第2パルサが発生するパルス信号の波形を図5に示した。
【0040】
図4及び図5に示された符号BT(Before Top Dead Centre) は、その後に続けて表示された数字が、上死点を基準にして進角側に測った角度であることを意味し、AT(After Top Dead Centre)はその後に続けて表示された数字が上死点を基準にして遅角側に測った角度であることを意味している。また#1及び#2はそれぞれ機関の第1気筒及び第2気筒に関連する回転角度位置であることを意味している。例えば、#1BT52は第1気筒の上死点前52度の位置であることを意味し、#2AT12は第2気筒の上死点後12度の位置であることを意味している。
【0041】
図示の例では、内燃機関が正回転しているとき(走行装置が前進しているとき)に、図4(A)に示すように、リラクタ18の第1の部分18aが第2の部分18bよりも先に第1パルサ11の磁極部に対向し、機関が逆回転しているときに、図5(A)に示すように、リラクタ18の第2の部分18bが第1の部分18aよりも先に第1パルサ11の磁極部に対向するようにリラクタ18が設けられている。
【0042】
図示の例では、機関が正回転しているときに、図4(B)に示すように、第1パルサ11が第1気筒の上死点前72度の位置でリラクタ18の第1の部分18a側の端部18a1を検出して負極性のパルス信号Sn1を発生し、第1気筒の上死点前52度の位置で第1の部分18aと第2の部分18bとの境界部を検出して負極性のパルス信号Sn2を発生する。第1パルサ11はまた、機関の正回転時に第1気筒の上死点前12度の位置でリラクタ18の第2の部分側の端部18b1を検出して正極性のパルス信号Spを発生し、第2気筒の上死点前72度の位置及び12度の位置でそれぞれリラクタ18´の一端及び他端をそれぞれ検出して負極性のパルス信号Sn´及び正極性のパルス信号Sp´を発生する。
【0043】
また第2パルサ12は、機関の正回転時に、図4(D)に示すように、第1気筒の上死点前12度の位置及び上死点後12度の位置でリラクタ19の両端をそれぞれ検出して負極性のパルス信号Vn及び正極性のパルス信号Vpを発生し、第2気筒の上死点前12度の位置及び上死点後12度の位置でそれぞれリラクタ19´の一端及び多端を検出して負極性のパルス信号Vn´及び正極性のパルス信号Vp´を発生する。
【0044】
機関が逆回転している時には、図5(B)に示すように、第1パルサ11が、第1気筒の上死点後12度の位置で負極性のパルス信号Snを発生し、第1気筒の上死点後52度の位置及び上死点後72度の位置でそれぞれ正極性のパルス信号Sp1及びSp2を発生する。
【0045】
また内燃機関の逆転時に第2パルサ12は、第1気筒の上死点前12度の位置及び上死点後12度の位置でそれぞれ負極性のパルス信号Vn及び正極性のパルス信号Vpを発生し、第2気筒の上死点前12度の位置及び上死点後12度の位置でそれぞれ負極性のパルス信号Vn´及び正極性のパルス信号Vp´を発生する。
【0046】
図示の例では、フライホイール17の周壁部の内周に永久磁石21が取り付けられてフライホイール磁石回転子が構成され、この磁石回転子とその内側に配置されて機関のケースに固定された固定子(電機子鉄心と該鉄心に巻回された電機子コイルとからなる)22とにより、磁石発電機が構成されている。この磁石発電機の出力は、内燃機関点火装置14に点火エネルギを与えたり、ECUを駆動するための電源電圧を得たり、ヘッドランプなどの電装品負荷を駆動したりするために用いられる。
【0047】
図2に示されたECU13はマイクロコンピュータを備えていて、第1パルサ11が負極性パルス及び正極性パルスを発生する順序から機関の回転方向を認識するとともに、機関の気筒を判別し、パルサ11または12が発生するパルスの発生間隔から機関の回転数を演算する。またECU13は、スロットルバルブ開度と機関の回転数と点火位置との関係を与える点火位置演算用マップを用いて各気筒の点火位置を演算する。ECU13はまた、スロットルバルブ開度と機関の回転数と燃料噴射時間との関係を与える噴射時間演算用マップを用いて各回転数における基本燃料噴射時間を演算し、機関の冷却水温度、大気圧、吸気温度等により決まる補正係数を演算した基本燃料噴射時間に乗じることにより、各気筒用のインジェクタ111から燃料を噴射する時間(燃料噴射時間)を演算する。
【0048】
ECUは、所定のタイミングで燃料供給装置15に噴射指令信号を与えて、演算した噴射時間の間各気筒用のインジェクタ111から燃料を噴射させ、演算した点火位置で内燃機関点火装置14に点火指令信号を与えて各気筒で点火動作を行わせる。
【0049】
本発明の回転方向切替制御方法では、反転指令が発生した時に、内燃機関への燃料の供給を停止し、内燃機関の回転数がアイドリング回転数よりも低く、過進角開始回転数よりも高く設定された燃料供給再開回転数まで低下した時に燃料の供給を再開する。その後回転数が過進角開始回転数まで低下したときに内燃機関の点火を過進角位置で行わせて内燃機関の回転方向を反転させ、次いで回転方向が反転した状態での内燃機関の回転を維持するために適した位置で内燃機関を点火して回転方向が反転した状態での機関の運転を行わせる。
【0050】
本発明の回転方向切替制御方法により機関の点火位置と機関への燃料の供給とを制御した場合の回転数Nの時間的変化の一例を図6に示した。
【0051】
図6において、No はアイドリング回転数を示し、N1 及びN2 はそれぞれ燃料供給再開回転数及び過進角開始回転数を示している。またTo は反転指令が与えられたタイミングを示しており、T1 は反転指令が与えられた後、機関の回転数が燃料供給再開回転数N1 に達した時のタイミングを示している。更にT2 は回転数が過進角開始回転数N2 まで低下した時のタイミングを示し、T3 は機関の回転方向が反転した後、ECU13が機関の回転方向を判別した時のタイミングを示している。
【0052】
機関の回転方向を反転させる際には、走行装置のスロットルバルブを絞って機関をアイドリング状態にし、反転指令スイッチ10を操作して反転指令をECUに与える。図6に示した例では、時刻To でECUに反転指令が与えられている。図6の時刻To よりも前の状態では、ECUにより演算された噴射タイミングで演算され噴射時間の間インジェクタ111から燃料が噴射され、演算された点火位置で各気筒の点火が行われて、内燃機関の正回転方向への定常運転が行われている。
【0053】
図7(A),(B)は第1リラクタ18,18´と第2リラクタ19,19´の位置関係を示し、同図(C)及び(D)は時刻Tが反転指令が与えられる時刻To よりも前の状態での第1気筒及び第2気筒の燃料噴射タイミングを示している。また図7(E)は時刻To よりも前の状態での正回転時の点火タイミングを示している。
【0054】
時刻To で反転指令が与えられたときに図7(F)に示すように燃料の噴射を停止させ、機関への燃料の供給を停止する。点火動作は図7(G)に示すように通常の点火位置(演算された点火位置)で行わせる。
【0055】
燃料の供給を停止した後、回転数が燃料供給再開回転数N1 まで低下した時の時刻T1 において、燃料の噴射を再開する。この時刻T1 から、回転数が過進角開始回転数N2 に達する時刻T2 の直前までの期間(T1 ≦T<T2 の期間)は、図7(H)に示すように、第2パルサ12がリラクタ19のエッジを検出してパルス信号を発生するタイミング(第2気筒の上死点前12度の位置)で一定時間の間第1気筒のインジェクタ及び第2気筒のインジェクタから同時に燃料を噴射する。このとき図7(I)に示すように、第1パルサ11が各気筒の上死点前72度の位置でリラクタ18,18´のエッジを検出してパルス信号を発生したときに暫定的な点火動作を行わせるが、この期間においては、未だ所定の空燃比の混合気がシリンダに到達しないため、シリンダ内での燃焼は行われない。
【0056】
T1 ≦T<T2 の期間の長さ、及びこの期間における燃料噴射時間(インジェクタから燃料を噴射させる時間)は、後に時刻T2 において過進角位置での点火が行われる際に、シリンダ内の混合気が燃焼に適した適切な空燃比となっているように、予め実験で定めた長さに設定する。
【0057】
回転数が過進角開始回転数N2 に達した時の時刻T2 において、図7(K)に示すように、第1気筒の上死点前52度の過進角位置(第1パルサ11がリラクタ18の第1の部分18aと第2の部分18bとの境界部を検出してパルス信号を発生する位置)で1回だけ点火を行わせる。またこのとき図7(J)に示すように、第2パルサ12がリラクタ19及び19´のエッジを検出する上死点前12度の位置で第1気筒及び第2気筒のインジェクタから同時に燃料の噴射を行わせる。
【0058】
時刻T2 で過進角位置での第1気筒の点火を行わせると、混合気が燃焼し、この燃焼により生じる圧力上昇により第1気筒のピストンが押し戻されるため、機関の回転方向が反転する。
【0059】
時刻T2 で過進角位置での点火を行った後、ECUが機関の回転方向の反転を認識する時刻T3 の直前までの期間(T2 ≦T<T3 の期間)においては、図7(L)に示すように、各気筒の上死点前12度の位置で機関をアイドリング状態に保つために適した噴射時間の間燃料を噴射する。またこのとき図7(M)に示したように、第2パルサ12がリラクタ19,19´の回転方向の前端側のエッジを検出してパルス信号を発生するタイミングで過渡時固定点火を行わせる。
【0060】
T2 ≦T<T3 の期間においては、実際に機関の回転方向が反転しているか否か確認されていないが、リラクタ19,19´は各気筒の上死点に対して左右対称に形成されているので、機関がいずれの方向に回転していても点火動作は適切な位置(上死点前12度の位置)で行われる。
【0061】
ECUが機関が逆回転していることを認識する時刻T3 以降の期間(T3 ≦Tの期間)においては、第1パルサ及び第2パルサが発生するパルス信号から機関の回転数の情報を得ることができるようになる。従ってこの時は、図7(N)に示すように、第2パルサ12がリラクタ19,19´の回転方向の前端側のエッジを検出したときのタイミングで、回転数等の制御条件に応じて演算した噴射時間の間各気筒のインジェクタから燃料の噴射を行わせる。また図7(O)に示すように、ECUが演算した点火位置で各気筒の点火動作(逆転時通常点火)を行わせる。
【0062】
なおECUは、正回転時用の点火位置演算用マップ及び燃料噴射時間演算用マップと逆回転時用の点火位置演算用マップ及び燃料噴射時間演算用マップとを持っていて、正回転時と逆回転時とで機関の特性を異ならせており、走行装置を後退させる機関の逆転時には、安全のために機関の回転数を制限したり、急激な可減速が行われないようにしている。
【0063】
図3に示すように、時刻To で燃料の供給を停止すると、一旦機関の回転数が上昇してから下降している。このように、燃料をカットした直後に回転数が上昇するのは下記の理由による。
【0064】
図1において、インジェクタ111から噴射された燃料は、混合気となって、吸気ポートからクランクケース101内に入る。インジェクタから噴射された燃料のうち、霧化されなかった燃料は、吸気管104の内面や、クランクケース101の内面に付着する。一方、アイドリング時のスロットル開度(アイドル開度という。)は、気圧が低い高地でのアイドリングが可能になるように決められている。図8は、アイドル開度を同一とした場合の、低地と高地の気圧の違いによる機関の回転数対空燃比(A/F)特性の違いを示しており、同図の横軸の空燃比A/Fは、図の右側に向かうに従ってリッチになっている(燃料が濃くなっている)。
【0065】
図8において曲線aは高地における特性を示し、曲線bは低地における特性を示している。この図から明らかなように、アイドリング時の燃料供給量としては、燃料供給量の変化に対する回転数の変動が少ないリッチ側を使うのが普通であり、高地の気圧に合わせてアイドリング時の燃料供給量を設定する場合には、空燃比が図示の(A/F)2 に等しくなる燃料供給量をアイドリング時の燃料供給量として設定する。空燃比を同一とした場合、気圧が高くなればなるほど回転数が高くなるため、高地に適合するように空燃比を設定した機関を低地に持って行くと、アイドリング回転数が上昇してしまう。
【0066】
アイドリング回転数は、低地でも高地でも同じであることが望ましい。従って、高地で所定のアイドリング回転数No が得られるように設定した機関を低地に持って行く場合には、混合気をリッチにして、空燃比を図示の(A/F)3 に設定することによりアイドリング回転数をNo まで下げる必要がある。
【0067】
このように、低地で適切なアイドリング回転数が得られるように調整された機関では、アイドリング時の混合気がリッチになっているため、霧化しない燃料の量が多くなり、吸気管やクランクケースの内面に付着する燃料の量が多くなる。そのため、図3の時刻To で燃料の供給を停止した場合、インジェクタ111からの燃料の供給はなくなるが、吸気管内面やクランクケース内面に付着した燃料が気化してシリンダ内に供給される混合気の空燃比が最大トルクが発生する空燃比(A/F)1 に近付いていき、機関の回転数が上昇する。その後、吸気管の内面やクランクケースの内面に付着した燃料がなくなってシリンダ内に供給される混合気の空燃比がリーン限界を超えると、シリンダ内で燃焼が生じなくなって機関の回転数が低下していく。
【0068】
上記のように、燃料の供給を停止した直後に回転数の上昇が生じると、運転者に不快感や恐怖感を与えるため好ましくない。また条件によっては、時刻To で燃料をカットした直後に回転数が遠心クラッチ投入回転数を超えて車体が発進するおそれがある。
【0069】
このような状態が生じるのを防ぐためには、反転指令に応答して内燃機関への燃料の供給を停止しているとき(図3のTo ≦T<T1 の期間)に機関の回転数を反転時制限回転数以下に抑えるように内燃機関の点火位置を制御する(例えば点火位置を適正位置よりも遅角または進角させる)回転数抑制制御を行わせるようにすればよい。このような制御を行わせた場合の回転数の時間的変化の特性を図9に示した。図9に示した例では、反転指令に応答して燃料の供給を停止した後、混合気の空燃比が最大トルク発生時の値に近付いて機関の回転数が上昇し、予め設定した反転時制限回転数NL1を超えた時に点火位置を遅角させて回転数の上昇を抑えるようにしている。
【0070】
図10は、機関の回転角θとシリンダ内圧力Pとの関係を示したもので、同図の曲線aは適正位置(クランク軸の回転角度位置)で点火を行わせた場合を示している。また曲線bは適正位置よりも進角した位置で点火を行わせた場合を示し、曲線cは適正位置よりも遅角した位置で点火を行わせた場合を示している。これより、点火位置を適正位置よりも遅角させるか、または進角させると、シリンダ内の圧力Pが低くなり、機関の回転数の上昇が抑制されることがわかる。
【0071】
この場合、機関の回転数をフィードバック要素として、回転数とその制限値との偏差にPID演算を施すことにより点火位置の遅角量または進角量を演算するようにすると、安定した回転数抑制制御を行わせることができる。
【0072】
上記反転時制限回転数NL1は、運転者に不快感や恐怖感を一切与えないようにするために、反転指令が与えられた時の機関の回転数(通常はアイドリング回転数)に等しく設定するか、または遠心クラッチ投入回転数よりも低い回転数に設定するのが好ましい。
【0073】
図9に示すように、反転指令に応答して燃料の供給を停止している期間に回転数抑制制御を行う場合に、ECUのマイクロコンピュータが実行するプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートの一例を図11に示した。
【0074】
図11に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ1で反転指令が与えられた後、ステップ2で燃料の供給を停止し、ステップ3で回転数Nが反転時制限回転数NL1を超えているか否かを判定する。その結果回転数が反転時制限回転数を超えている場合には、ステップ4に移行して点火位置を適正位置よりも遅角させる。次いでステップ5で回転数Nが燃料供給再開回転数N1 以下になったか否かを判定し、燃料供給再開回転数N1 以下になっていない場合には、ステップ3に戻る。ステップ5で回転数Nが燃料供給再開回転数N1 以下になったと判定されたときには、ステップ6に移行して燃料の供給を再開させる。次いでステップ7で回転数Nが過進角開始回転数N2 以下になったか否かを判定し、その結果、回転数Nが過進角開始回転数N2 以下になったと判定されたときにステップ8に移行して点火位置を過進角させることにより、機関の回転方向を反転させる。
【0075】
走行装置を後退させる方向に内燃機関が回転しているときには、走行速度を制限しておくことが安全上好ましい。従って、走行装置を後退させる方向に内燃機関が回転しているときに、内燃機関の回転数を設定された後退時制限回転数以下に制限する後退時過回転防止制御を行わせるのが好ましい。
【0076】
この後退時過回転防止制御においては、内燃機関の点火動作を停止させることにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよく、内燃機関の点火位置を進角または遅角させるように制御することにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよい。
【0077】
また上記後退時過回転防止制御においては、内燃機関への燃料の供給量を減少(混合気をリーンにする)または増加させる(混合気をリッチにする)ように制御することにより内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限するようにしてもよい。
【0078】
上記のように、後退時過回転防止制御を行わせると、走行装置を後退させる際の機関の回転数を制限することができるため、走行装置を後退させる際に速度が上昇し過ぎて事故が生じるのを防ぐことができる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、過進角開始回転数よりも高い燃料供給再開回転数を設定して、内燃機関の回転数が低下して燃料供給再開回転数に達したときに内燃機関への燃料の供給を再開するようにしたので、燃料供給再開回転数を適当に設定しておくことにより、過進角位置での点火動作が行われるまでの間に所定の空燃比を有する混合気がシリンダ内に供給される状態にして、過進角位置で点火を行わせた際に確実に混合気に着火して、機関の回転方向を反転させることができる。
【0080】
本発明において、反転指令が与えられた後、内燃機関への燃料の供給を停止しているときに、内燃機関の回転数を反転時制限回転数以下に抑えるように内燃機関の点火位置を制御する回転数抑制制御を行わせる場合には、反転指令が与えられた後、燃料の供給を停止した直後に機関の回転数が急上昇するのを防ぐことができるため、運転者に不快感や恐怖感を与えるのを防ぐことができる。
【0081】
本発明において、走行装置を後退させる方向に内燃機関が回転しているときに、該内燃機関の回転数を設定された後退時制限回転数以下に制限する後退時過回転防止制御を行わせるようにした場合には、後退時の走行速度を低く抑えることができるため、後退時に速度が急上昇して事故が発生するおそれをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により制御する2サイクル内燃機関の一例を示した構成図である。
【図2】本発明に係わる回転方向切替制御方法を実施する制御装置の要部の構成例を示した構成図である。
【図3】本発明に係わる回転方向切替制御方法において、機関の回転情報を得るために用いる発電機の構成例を示した断面図である。
【図4】機関が正回転している時にパルサから得られるパルス信号の波形を示した波形図である。
【図5】機関が逆回転している時にパルサから得られるパルス信号の波形を示した波形図である。
【図6】本発明に係わる回転方向切替制御方法により機関の回転方向を反転させるように制御する場合の回転数の時間的変化の一例を示した線図である。
【図7】本発明に係わる回転方向切替制御方法を実施する際の燃料噴射タイミングと点火タイミングとを示したタイミングチャートである。
【図8】2サイクル内燃機関の回転数と空燃比との関係を与える特性の一例を示した線図である。
【図9】本発明において、反転指令に応じて燃料の供給を停止したときに、機関の回転数が上昇するのを抑制する回転数抑制制御を行った場合の回転数の時間的変化を示した線図である。
【図10】シリンダ内の圧力とクランク軸の回転角との関係を点火位置をパラメータにして示した線図である。
【図11】図9に示した制御を行う場合にマイクロコンピュータが実行するプログラムのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図12】従来の回転方向切替制御方法による場合の回転数の時間的変化を示した線図である。
【符号の説明】
1…2サイクル内燃機関、11…第1パルサ、12…第2パルサ、13…ECU(電子式制御ユニット)、14…内燃機関点火装置、15…燃料供給装置。
Claims (9)
- 掃気管内を通してシリンダ内に混合気が供給される2サイクル内燃機関により被駆動部が駆動されて走行する走行装置の走行方向を反転させるために、反転指令に応答して前記内燃機関への燃料の供給を一時的に停止することにより前記内燃機関の回転数を低下させ、前記内燃機関の回転数がアイドリング回転数よりも低く設定された過進角開始回転数まで低下したときに前記内燃機関の点火を過進角位置で行わせて前記内燃機関の回転方向を反転させ、その後回転方向が反転した状態での内燃機関の回転を維持するために適した位置で前記内燃機関を点火して回転方向が反転した状態での前記内燃機関の運転を行わせるように、前記内燃機関への燃料の供給と前記内燃機関の点火位置とを制御する走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法において、
前記過進角開始回転数よりも高い燃料供給再開回転数を設定しておき、
前記燃料の供給の停止により前記内燃機関の回転数が低下して前記燃料供給再開回転数に達したときに前記内燃機関への燃料の供給を再開することを特徴とする走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。 - 前記内燃機関の吸気管、クランクケース内、または掃気管内にインジェクタから燃料を噴射することにより、前記掃気管内を通してシリンダ内に供給する混合気を生成する請求項1に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記内燃機関への燃料の供給を停止しているときに、前記内燃機関の回転数を反転時制限回転数以下に抑えるように前記内燃機関の点火位置を制御する回転数抑制制御を行わせる請求項1または2に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記反転時制限回転数は、前記反転指令が与えられたときの回転数に等しく設定する請求項3に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記内燃機関のクランク軸と前記走行装置の被駆動部との間に設ける変速機として遠心クラッチを備えた変速機が用いられ、
前記反転時制限回転数は、前記遠心クラッチが投入される回転数よりも低く設定されている請求項3に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。 - 前記走行装置を後退させる方向に前記内燃機関が回転しているときに、該内燃機関の回転数を設定された後退時制限回転数以下に制限する後退時過回転防止制御を行わせる請求項1ないし5のいずれか1つに記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記後退時過回転防止制御においては、前記内燃機関の点火動作を停止させることにより前記内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限する請求項6に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記後退時過回転防止制御においては、前記内燃機関の点火位置を制御することにより前記内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限する請求項6に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
- 前記後退時過回転防止制御においては、前記内燃機関への燃料の供給量を制御することにより前記内燃機関の回転数を後退時制限回転数以下に制限する請求項6に記載の走行装置駆動用2サイクル内燃機関の回転方向切替制御方法。
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- 1999-07-28 JP JP21351499A patent/JP4144125B2/ja not_active Expired - Fee Related
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