JP4139692B2 - ポリクロロプレン系接着剤組成物及び接着剤構造物 - Google Patents

ポリクロロプレン系接着剤組成物及び接着剤構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリクロロプレン系接着剤組成物及び接着剤構造物に関するものである。詳細には、本発明は、金属アルコキシドのゾルゲル反応を応用してシリカ粒子を微細に分散させたシリカ含有ポリクロロプレン系接着剤組成物及び接着剤構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリカは補強剤として有効であるため、ポリクロロプレン(CR)溶剤系接着剤の配合剤として多く使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1では、CR溶剤系接着剤にシリカを配合することによって、常態接着力が向上することが示されている。
【0003】
【非特許文献1】
「Double Liaison−Physique et Chimie des Peintures et Adhesifs」、1985年、32巻、361号、p. 365−375
【0004】
しかし、従来のシリカの配合技術は、混練配合法である。つまり、従来は、ハロゲン化珪素化合物や有機珪素化合物の熱分解、珪砂の加熱気化及び空気酸化などの製法で製造された乾式法シリカや、珪酸塩の熱分解または酸分解などの製法で製造された湿式法シリカといった、市販シリカ粉末を、ミキシングロールやバンバリーミキサーなどを用いて、ポリクロロプレンゴムに配合した後に、これを有機溶剤に溶解させて、CR溶剤系接着剤を製造していた。
この方法では、接着剤または乾燥後の接着皮膜に分散するシリカの凝集粒子径を出来るだけ小さくすることによって接着性能が向上するが、現実には最大凝集粒子径を50μmよりも小さくすることは困難であり、従って、接着性能の改善にも限界があった。
【0005】
本発明者らは、ゾルゲル法を用いることによって、接着剤または乾燥後の接着皮膜に分散するシリカの凝集粒子径を50μmよりも小さくすることを発明している(特許文献1参照。)。この技術で製造された接着剤組成物は、小粒径のシリカを接着皮膜に微分散させることができるので、従来の混練法よりも、シリカとポリマーとの吸着面積、及び、接着皮膜におけるシリカの体積率が増加する。その結果、接着皮膜の弾性率が増加し、熱膨張率が低下するため、初期接着力と耐熱接着力を向上させることができた。しかし、特許文献1に開示した技術は、シリカのポリマー相とシリカ相の相互作用が乏しい。つまり、ポリマー相とシリカ相とに共有結合を付与させ、更に接着性能が優れる接着剤組成物の開発が課題であった。
【0006】
【特許文献1】
特願2002−360475
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シリカ粒子が微細に分散されている結果、接着性能が優れる、新規なシリカ含有CR溶剤系接着剤組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、皮膜中のシリカを、混練法では達成できなかった最大凝集粒子径50μm以下又は最大一次粒子径0.2μm以下で微細に分散させ、なおかつ、アルコキシシリル基含有重合体を用いることによって、シリカとポリマーとの間にシロキサン結合を付与させて、シリカとポリマーの親和性を向上させることによって、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、シリカとクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体と有機溶剤とを含み、クロロプレン系重合体100質量部に対して、シリカが2〜100質量部の量で存在し、アルコキシシリル基含有重合体が0.5〜25質量部の量で存在し、有機溶剤が150〜1900質量部の量で存在することを特徴とするポリクロロプレン系接着剤組成物を提供する。
【0010】
本発明のポリクロロプレン系接着剤組成物は、また、接着後の接着剤層中において、シリカが最大凝集粒子径0.005〜5μmの凝集粒子として又は最大一次粒子径0.005〜0.2μmの粒子として分散されるものである。
【0011】
更に、本発明は、上記の接着剤組成物によって接着された接着剤構造物も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。本発明の接着剤組成物において用いるクロロプレン系重合体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、クロロプレンと記す)の単独重合体またはクロロプレンと共重合可能な単量体の一種類以上とを共重合して得られる共重合体である。
【0013】
クロロプレンと共重合可能な単量体とは、クロロプレンと有意に共重合する単量体であればいずれでもよいが、これにはアルコキシシリル基共役ジエン含有単量体は含まれない。クロロプレンとアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体との共重合体は、アルコキシ基含有重合体と見なす。
クロロプレンと共重合可能である単量体の一例を挙げれば、共役ジエン単量体としては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどがあり、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル類などがある。更に、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、硫黄などがある。これらの単量体は、必要に応じて二種類以上併用してもよい。クロロプレン以外の単量体の仕込量は特に限定されないが、単量体の合計100質量部の内、クロロプレン以外の単量体が0.01質量部以上10質量部以下であるのが好ましい。クロロプレン以外の単量体を0.01質量部以上共重合させることで、反応性の官能基を導入したり、重合体の結晶化速度を低くさせたりすることができる。しかし、クロロプレンの重合速度は、他の単量体の重合速度に比べて著しく速いので、クロロプレン以外の単量体を10質量部よりも多く共重合させるのは難しい場合が多い。なお、クロロプレン系重合体は、0.1質量%テトラヒドロフラン溶液をGPC測定(スチレン換算)することによって得られる数平均分子量が、10万以上100万以下であるのが好ましい。
【0014】
本発明におけるアルコキシシリル基含有重合体とは、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の単独重合体またはアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体と共重合可能な単量体の一種類以上とをラジカル共重合して得られる重合体である。
【0015】
アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体とは、分子内に共役二重結合及びアルコキシシリル基を含有する構造を有する化合物であればいずれでもよく、二種類以上を併用してもよい。
アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の例としては、1−トリメトキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリエトキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリプロポキシシリル−1,3−ブタジエン、1−トリイソプロポキシシリル−1,3−ブタジエンなどの1−アルコキシシリル−1,3−ブタジエン類、2−トリメトキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリプロポキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリイソプロポキシシリル−1,3−ブタジエンなどの2−アルコキシシリル−1,3−ブタジエン類、あるいは、4−メチレン−5−ヘキセニルトリメトキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリプロポキシシラン、4−メチレン−5−ヘキセニルトリイソプロポキシシランなどの4−メチレン−5−ヘキセニルアルコキシシラン類がある。
【0016】
アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体と共重合可能な単量体の例としては、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン(即ちクロロプレン)、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びメタクリル酸エステル類、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等が挙げられる。共重合可能な単量体は、二種以上を用いてもよい。アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体と共重合可能な単量体の共重合量は40モル%以上99.9モル%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明において用いるアルコキシシリル基含有重合体中におけるアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の共重合量は、0.1モル%以上60モル%以下であることが好ましい。アルコキシシリル基含有重合体は、0.1モル%よりも少ないと、アルコキシシリル基の導入効果が得られにくい。また、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体は比較的高価であるため、60モル%よりも多く共重合させようとすると、経済的に不利となるため好ましくない。アルコキシシリル基含有重合体は、0.1質量%テトラヒドロフラン溶液をGPC測定(スチレン換算)することによって得られる数平均分子量が、5,000以上300,000以下であることが好ましく、更に好ましくは5,000以上200,000以下である。この範囲であれば、重合反応中における共重合体のゲル化が起こりにくい。
【0018】
本発明において、アルコキシシリル基含有単量体の合計の1モル%以上50モル%以下の範囲で、アルコキシシリル基含有共役ジエン単量体の一部をアルコキシシリル基含有ビニル単量体に代えて用いてもよい。このようなアルコキシシリル基含有ビニル単量体の例としては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジプロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシランなどを挙げることができる。
【0019】
アルコキシシリル基含有重合体の製造において用いるアルコキシシリル基含有共役ジエン単量体は、共重合反応を効率的に進める上で、上記の中でも4−メチレン−5−ヘキセニルアルコキシシラン類が好ましい。
【0020】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランは、新規な物質であり、下記式によって表される:
【化1】
Figure 0004139692
(式中、R、R’、R”は互いに同一であっても異なってもよく、炭素数1〜5の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基である)。
【0021】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランは、下記の通りにして合成することができる。
溶媒中で、下記の式で示される2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド:
【化2】
Figure 0004139692
と、下記の式で示される3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシラン:
【化3】
Figure 0004139692
(Xはハロゲン原子である。R、R’、R”は、上に定義したのと同じである)とをカップリング反応させることによって4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランが得られる。
【0022】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドとは、2−クロロ−1,3−ブタジエンのグリニャール試薬のことである。
【0023】
2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの合成方法の一例を示す。マグネシウム粉末と、2−クロロ−1,3−ブタジエンと、溶媒と、塩化亜鉛とを混合して加熱することによって、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの溶液を得る。反応温度は40〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。40℃より低いと、反応率が低くなる可能性があり、100℃よりも高いと、原料化合物の揮発や2−クロロ−1,3−ブタジエンの重合が著しく起こり収率が低下する可能性がある。この反応では、系内に水分があると誘導期があったり反応率が低下したりする傾向があるため、使用する原料試薬は全て乾燥または脱水したものを使用することが好ましい。使用する溶媒は、原料試薬を溶解することができるものであれば、特に限定しないが、沸点が40℃以上の有機溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DIMSO)、ジグライム、トリグライム、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、o−キシレン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。このうち、テトラヒドロフラン(THF)が、蒸留分離が容易であるため最も好ましい。2−クロロ−1,3−ブタジエンの量は、溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。この範囲であれば、安全に高い濃度の2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド溶液を得ることが出来る。2−クロロ−1,3−ブタジエンの反応率は100%とすることが好ましい。未反応の2−クロロ−1,3−ブタジエンが残ると、蒸留操作が複雑になる。
【0024】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランは、下記の式で表される化合物である:
【化4】
Figure 0004139692
(Xはハロゲン原子であり、塩素及びヨウ素であるのが一般的であり;R、R’、R”は、上に定義したのと同じである)。
【0025】
3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの具体例として、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリメチルシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリプロポキシシラン、3−ヨードプロピルトリプロポキシシランなどを挙げることができる。
【0026】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランは、アルコキシ基の炭素数が小さい方が最終目的物の沸点が低くなり、精製操作が容易となることから、アルコキシ基の炭素数が小さいものを使用するのが好ましい。この関係で、本発明において用いる3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランにおけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5であり、好ましくは1〜2である。
【0027】
3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランにおけるハロゲン原子は、塩素及びヨウ素が一般的であるが、塩素化されたものよりもヨウ素化されたものの方がカップリング反応の反応速度が速い。これらの理由から、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシランを使用するのが好ましい。
【0028】
カップリング反応速度を高めるために、3−クロロプロピルトリアルコキシシランにおける塩素を、あらかじめヨウ素に置換して3−ヨードプロピルトリアルコキシシランとして用いてもよい。このような置換反応は、ヨウ化ナトリウムのような金属ヨウ化物と3−クロロプロピルトリアルコキシシランとを、脱水アセトンのような溶媒に溶解させ、温度40〜100℃、好ましくは50〜80℃において、反応させることによって実施することができる。ヨウ素への置換は、ガスクロマトグラフィーによって確認することができる。反応液を冷却した後に、反応液を過剰のヘキサンのような溶媒に入れて塩化ナトリウムを析出させた後に、蒸留を行って3−ヨードプロピルトリアルコキシシランを得ることができる。
【0029】
カップリング反応速度を高めるために、また、触媒を用いても構わない。触媒としては、塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化リチウム、塩化ニッケル(II)などを挙げることができる。触媒を用いる場合、その使用量は、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシラン、及び2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリド1molに対して、0.05〜0.20molであることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.15molである。この範囲であれば、高い収率で目的とする化合物を得ることが出来る。
【0030】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの合成におけるカップリング反応は、下記のようにして実施する。まず、反応容器において、必要に応じて触媒を溶媒中に溶解させる。反応温度は40〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。40℃よりも低いと、反応率が低くなる可能性があり、100℃よりも高いと、4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランの重合が起こる可能性がある。使用する溶媒は、沸点が40℃以上の有機溶媒が好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DIMSO)、ジグライム、トリグライム、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、o−キシレン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。このうち、テトラヒドロフラン(THF)が、蒸留分離が容易であるため最も好ましい。次いで、反応容器に、上述した通りにして合成した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの溶液を加えた後に、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの溶液を滴下して加える。3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの添加量は、溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lとすることが好ましい。この範囲であれば、高い収率で4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランを得ることが出来る。また、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの量と、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの量とは等モルにすることが好ましい。後者が過剰であると、ケイ素原子上でも置換反応が起こり、下式に示すような二量体が生成する場合がある。
【化5】
Figure 0004139692
カップリング反応は発熱反応であるため、3−ハロゲン化プロピルトリアルコキシシランの溶液を滴下する速度は、反応液の温度を上昇させ過ぎないように、調節する。カップリング反応の進行は、ガスクロマトグラフィーによって確認することができる。
【0031】
カップリング反応が終了したことを確認した後に、塩化アンモニウムなどの塩の水溶液と、ジエチルエーテルなどの有機溶媒とを用いて、一般的な抽出操作を行って生成物を精製する。精製操作を行った後に蒸留することによって、4−メチレン−5−ヘキセニルトリアルコキシシランが高い純度で得られる。
【0032】
アルコキシシリル基含有重合体としては、クロロプレンとアルコキシシリル基含有ジエン単量体との共重合体を用いるのが好ましい。
【0033】
本発明において、クロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体を製造する際の重合方法は特に限定されず、塊重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれでもよい。特に、重合体をラテックス状態で得ることができるために、乳化重合がより好ましい。ラテックスの状態で利用することの利点は、ゾルゲル反応に必要な水を既に含んでいることと、容易に均一混合が可能であることである。
【0034】
本発明において用いるクロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体は、開始剤、乳化剤及び/または分散剤、反応溶媒、連鎖移動剤、重合停止剤、重合温度、最終重合率、脱モノマーなどを適切に選定、制御することで、溶剤可溶部の分子量、溶剤不溶分(ゲル含有量)などを調整することが可能である。
【0035】
開始剤は、過酸化物、アゾ系化合物などの従来ラジカル重合において公知の開始剤から適宜選択すれば良い。
過酸化物の一例を挙げれば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキサイド)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがある。
【0036】
アゾ系化合物の一例を挙げれば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)などがある。
【0037】
乳化重合によってラテックス状態で重合体を製造する場合には、乳化剤及び/または分散剤が必要となる。この場合の乳化剤及び/または分散剤は特に限定するものではなく、各種アニオン系、ノニオン系、カチオン系が使用できる。アニオン系としては、カルボン酸型、硫酸エステル型などがあり、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルホネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物などが挙げられる。ノニオン系の具体例としては、水溶性高分子、エーテル型、エステル型、ソルビタンエステル型、ソルビタンエステルエーテル型、アルキルフェノール型などがあり、例えば、ポリビニルアルコール及びその共重合体、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ソルビタンモノオレート等を挙げることができる。カチオン系の具体的としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アミン塩、芳香族4級アンモニウム塩等があり、例えば、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
クロロプレン系重合体ラテックスの製造では、安定に重合することが可能であるロジン酸のアルカリ金属塩を使用することが好ましい。
一方、アルコキシシリル基含有重合体ラテックスの製造では、乳化重合中にアルコキシシリル基の加水分解を起こさないように、反応系のpHを中性付近に維持することが好ましい。この場合には、pHが中性付近でも乳化安定性を維持し易いことから、ノニオン系乳化剤または硫酸エステル型アニオン系乳化剤が、より好適である。
【0038】
乳化重合に使用される乳化剤及び分散剤の添加量は、初期仕込み単量体の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部が好適である。0.5質量部よりも少ないと、乳化が不十分である可能性があり、20質量部よりも多いと、撹拌時の発泡が問題となったり、最終的なゴム製品の物性に悪影響したりする可能性が考えられる。
【0039】
溶液重合の場合に用いる反応溶媒としての有機溶剤は特に限定されない。具体的には、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられ、2種類以上の有機溶剤を混合しても良い。
【0040】
連鎖移動剤の種類は特に限定されるものではなく、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できるが、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0041】
重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものでなく、例えば、2,6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンなどが使用できる。
【0042】
重合時の重合温度は特に限定されるものではないが重合反応を円滑に行うために、重合温度を10℃以上50℃以下とすることが好ましい。
【0043】
最終重合率は、特に限定するものではなく、任意に調節することができる。未反応の単量体は減圧加熱等の公知の方法によって除去でき、その方法は特に限定するものではない。
【0044】
本発明では、クロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体をラテックス状態で使用することが好ましいが、この両者のラテックスは、濃縮したり、水等を添加して希釈したりすることで、固形分濃度を必要な濃度に制御することができる。濃縮の方法としては、減圧濃縮などがあるが、特に限定するものではない。乳化安定性を考慮すると、両者のラテックスの固形分濃度は、10質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0045】
本発明におけるアルコキシシリル基含有重合体の使用量は特に限定されないが、クロロプレン系重合体を固形分換算で100質量部に対して、アルコキシシリル基含有重合体を固形分換算で0.5〜25質量部の添加量が好ましい。0.5質量部よりも少ない場合には、添加効果が得られにくく、25質量部を超える場合には、ゴムの加工性を低下させてしまう可能性がある。
【0046】
本発明のゴム組成物中におけるシリカの含有量は特に限定されないが、クロロプレン系重合体100質量部に対して、2質量部以上100質量部以下が好ましい。2質量部よりも少ないと補強効果が得られにくいが、100質量部よりも多いと加工性が低下する可能性がある。
【0047】
本発明のシリカは、接着後の乾燥被膜(接着剤層)中において、最大凝集粒子径が0.005μm以上5μm以下、さらに好ましくは、0.005μm以上0.5μm以下の凝集粒子として分散していることが好ましい。この範囲であれば、高い耐熱接着力を発現させることができる。
なお、シリカの最大凝集粒子径とは、本発明の接着剤組成物の乾燥被膜(接着剤層)中に分散しているシリカの凝集粒子の最大径のことであり、乾燥被膜の破断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によって観察して測定する。
【0048】
本発明のシリカは、最大一次粒子径が0.005μm以上0.2μm以下であることが好ましい。この範囲であれば、耐熱接着力を著しく向上させることができる。
なお、シリカの最大一次粒子径とは、上記凝集粒子を構成する粒子で、分子間の結合を切断することなく存在する最小単位の粒子の最大サイズのことである。乾燥被膜中では、一次粒子の凝集体(凝集粒子)として分散しており、破断面の観察から最大一次粒子径を判定することは困難である。そこで、本発明では、乾燥被膜を酸素または空気雰囲気中で700℃以上で完全に燃焼させ、燃焼残分(灰分)に含まれているシリカを、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)または原子間力顕微鏡(AFM)によって観察して、最大一次粒子径を判定する。
【0049】
本発明のシリカは、クロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体及び水の存在下において、アルコキシシラン類化合物の加水分解及び縮合反応、いわゆるゾルゲル反応を進行させることによって生成させることが好ましい。
好適な具体例としては、クロロプレン系重合体ラテックスにアルコキシシリル基含有重合体ラテックス及びアルコキシシラン類化合物を混合する工程と、アルコキシシラン類化合物をシリカに転化させる工程と、乾燥させる工程を備えた製造方法によって、シリカを配合する方法が挙げられる。
【0050】
アルコキシシラン類化合物とは、同一分子内に1つ以上のケイ素原子と2つ以上のアルコキシ基を有する、分子量100〜1000の低分子量化合物である。
四官能性アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)等が挙げられる。
三官能性アルコキシシランとしては、フェニルトリエトキシシラン(PTEOS)、オクタデシルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
二官能性アルコキシシランとしては、ジエトキシジメチルシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシ等が挙げられる。
本発明では、二種類以上のアルコキシシラン類化合物を混合して用いてもよい。上記の化合物うち、安価であり、大気中で容易に取り扱うことができることから、テトラエトキシシラン(TEOS)が最も好ましい。
アルコキシシラン類化合物の添加量は、シリカの配合量を考慮して決定すれば良い。
【0051】
クロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体及び水及びアルコキシシラン類化合物を混合する工程(以下、混合工程と記す)では、固形のクロロプレン系重合体及びアルコキシシリル基含有重合体、水、アルコキシシリル化合物をバンバリーミキサーや押出機などの中で混合する方法、または、クロロプレン系重合体ラテックスとアルコキシシリル基含有ラテックスの混合ラテックスにアルコキシシラン化合物を直接添加・乳化させる方法などが挙げられる。後者の方が低温での作業であり、簡便であるため好ましい。
また、前記のアルコキシシラン類化合物をある程度予め重縮合反応させて低分子量のポリシロキサンの状態でラテックスに添加する方法でも良い。
【0052】
アルコキシシラン類化合物をシリカに転化させる工程では、上記の混合工程で得られた混合物を任意の温度及び時間で熟成させ、ゾルゲル反応を進行させる。反応温度は特に限定しないが、10℃以上50℃以下が好ましい。10℃よりも低いとゾルゲル反応速度が遅過ぎる可能性があり、50℃よりも高いとポリマーの劣化やゲル化が起こる可能性が考えられる。反応時間は特に限定されない。反応時間は、アルコキシシラン化合物の添加量によって変化するので、反応混合物の固形分測定や比重測定等の手段によって、アルコキシシラン類化合物の反応率を確認して決めればよい。
【0053】
反応系は、密閉系である必要はなく、開放系であっても構わない。ゾルゲル反応中は、反応混合物を撹拌または振盪することによって、より微細なシリカ粒子を形成することが出来る。
【0054】
また、塩酸、硫酸等の酸触媒、またはアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基触媒を添加することによって、効率的にゾルゲル反応を進行させることができる。酸触媒ではアルコキシラン類化合物が線状の重合体(ポリシロキサン)となり易いのに対して、塩基触媒ではアルコキシシラン類化合物が網目状に重縮合したゲル体となり易いことから、塩基触媒が好適である。
【0055】
ラテックス系または溶液系でゾルゲル反応を行う場合には、反応が終了した後に、反応液を乾燥させる工程が必要である。乾燥方法は、公知のポリクロロプレン系ラテックスの仕上げ方法を適用することができ、そのまま蒸発乾燥させる方法や、一旦凍結させた後に水洗・乾燥させる方法等が可能である。ゾルゲル反応中に反応系が凝固する場合には、凝固物をそのまま乾燥させることによって目的とするシリカ複合化ポリクロロプレン系ゴムが得られる。
【0056】
次に、上述した通りにして得たシリカ複合化ポリクロロプレン系ゴムを有機溶剤に溶解させる。本発明において用いる有機溶剤は、特に限定されず、シリカ複合化ポリクロロプレン系ゴムの溶解性を考慮して選定すればよい。
有機溶剤の例としては、具体的には、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられ、2種類以上の有機溶剤を混合してもよい。
【0057】
有機溶剤の添加量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、150質量部以上1900質量部以下が好ましい。更に好ましくは、200質量部以上1000質量部以下である。150質量部よりも少ないと固形分濃度及び粘度が高過ぎて塗工性に問題が生じる可能性がある。また1900質量部よりも多いと、接着剤組成物の固形分濃度が低くなり過ぎ接着性能が低下する恐れがある。
【0058】
本発明のシリカ複合化ポリクロロプレン系ゴム接着剤組成物は、粘着付与樹脂を配合することによって、常態接着力を更に向上させることができる。粘着付与樹脂は、溶剤系接着剤の分野において一般的に使用されているものであり、その種類は限定されない。具体的には、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5留分系石油樹脂、C9留分系石油樹脂、C5/C9留分系石油樹脂、DCPD系石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂などがある。例えば、履き物の靴底や部品の接着に使用する場合には、耐熱接着力を考慮して、軟化点が80〜150℃のものが好ましい。
【0059】
粘着付与樹脂の添加量は、クロロプレン重合体100質量部に対して5質量部以上100質量部以下、好ましくは20質量部以上80質量部以下が適切である。5質量部以上用いると初期接着力及び常態接着力の向上が認められるが、80質量部を超えると接着剤被膜の可撓性を損なう可能性がある。
【0060】
本発明のポリクロロプレン系接着剤組成物は、要求性能に合わせて、上述の化合物以外に、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属酸化物、充填剤、補強剤、加硫剤、加硫促進剤、硬化剤、抗菌剤、防黴剤などを任意に添加することができる。
【0061】
老化防止剤としては、アミン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックスなどが使用でき、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲で好適に添加することができる。複数の老化防止剤を組み合わせて添加してもよい。
【0062】
アミン系の具体例としては、フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−(メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどがある。
【0063】
イミダゾール系の具体例としては、2−メルカプトベンツイミダゾール、2−メルカプトメチルベンツイミダゾール、2−メルカプトベンツイミダゾール亜鉛などがある。
カルバミン酸塩系の具体例としては、ジエチルジチオカルバミン酸ニックル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどがある。
【0064】
フェノール系の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(またはジまたはトリ)(α−メチル−ベンジル)フェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルエチルホスホネート)カルシウム塩、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イゾシアヌレート、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチル−シクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタンなどであり、二種類以上を併用してもよい。
【0065】
本発明のポリクロロプレン系接着剤組成物に、耐光変色性を付与する目的で紫外線吸収剤を0.1質量部〜10質量部の範囲で好適に添加することができる。紫外線吸収剤は、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、無機微粒子系などを適宜選択でき、複数の紫外線吸収剤を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
ヒンダードアミン系としては、具体的には、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラートなどである。
【0067】
ベンゾトリアゾール系としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールの縮合物などである。
【0068】
ベンゾフェノン系としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等が挙げられる。この中では、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンがポリクロロプレン系重合体の耐光変色性改良に有効であることが知られており好ましい。
無機微粒子系としては、粒子径が100nm以下の微粒子状酸化チタン、微粒子状酸化亜鉛、微粒子状酸化セリウムなどがある。
上記に示した紫外線吸収剤は、二種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0069】
金属酸化物としては、酸化亜鉛または酸化マグネシウムが好ましいが、それ以外に酸化鉛、三酸化鉄、酸化カルシウムなど、CR溶剤系接着剤の分野で広く知られた金属酸化物が用いられる。
金属酸化物を添加する場合、その添加量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.05質量部〜20質量部が好ましい。0.05質量部よりも少ないと、受酸剤または加硫剤としての効果が得られにくい。20質量部を超える添加量は、接着剤組成物を長期貯蔵した場合に沈降や分離を起こす可能性があるので好ましくない。
【0070】
充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、合成粘土などがあり、補強剤としてはカーボンブラックなどがある。これらは、接着剤組成物に要求される性能や色調に合わせて適宜選定することができる。塗工性を考慮すれば、充填剤または補強剤の添加量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、5質量部〜50質量部が好ましい。
【0071】
加硫剤としては、有機過酸化物、トリアジン化合物、ビスマレイミド化合物、及びその他の、ポリクロロプレンゴムの加硫で広く知られた架橋剤が用いられる。
【0072】
有機過酸化物の一例を挙げれば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキサイド)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがある。
【0073】
トリアジン化合物の具体例としては、1,3,5−トリメルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジメチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−アニリノ−3,5−ジメルカプトトリアジンなどがある。
またマレイミド化合物としては、N,N’−m−フェニレンジマレイミドなど、また、メタクリル酸またはアクリル酸のアルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムの金属塩なども用いられる。その他、ハイドロタルサイト類などを適宜使用することができる。
【0074】
加硫剤を添加する場合、その添加量は、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.05質量部〜20質量部が好適である。この範囲であれば、接着剤組成物の貯蔵安定性を安定に維持することができる。
【0075】
加硫促進剤を添加する場合には、ポリクロロプレンゴムに対して一般的に用いられる加硫促進剤を、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.05質量部〜20質量部の範囲で適宜添加することができる。
加硫促進剤としては、チオウレア化合物、グアニジン化合物、チアゾール化合物、チウラム化合物などを選択できる。
チオウレア化合物の具体例としては、N,N’−ジフェニルチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレアなどがある。
グアニジン化合物の具体例としては、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニドジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩などがある。
チアゾール化合物の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどがある。
チウラム化合物の具体例としては、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどがある。
【0076】
硬化剤を用いる場合には、公知の各種架橋剤を、クロロプレン系重合体100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部の範囲で好適に添加することができる。複数の硬化剤を併用してもよく、また、主剤と硬化剤を分離して保管しておき、使用時に二液を混合する、いわゆる二液型接着剤としてもよい。
具体的には、メラミン樹脂等のメチロール基を有する化合物、エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物(イソシアネート化合物)、オキサゾリン基を有する化合物、フェノール樹脂やグリコール類のような分子内に2個以上の水酸基を有する化合物、イミノ基を有する化合物(イミン化合物)等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート化合物は、クロロプレン系重合体が有する水酸基などと容易に結合するため、大きな耐熱接着力の向上を期待することができ、最も好適である。
【0077】
脂肪族及び/または脂環族イソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、重合MDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHPI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等が挙げられる。中でも、HDI、MDI、IPDI、水添XDIは、工業的に入手し易く良好である。
【0078】
接着剤の調製は、既述の方法によって既にシリカが充填されたゴムを素練りし、それを粘着付与樹脂などと共に溶剤に溶解させつつ混合することにより行われる。また、金属酸化物や老化防止剤その他の添加剤を用いる場合には、通常、ゴムと金属酸化物や老化防止剤その他の添加剤を予め混練しておき、得られた混練物を溶剤に溶解させる調製方法を採用することができる。
【0079】
本発明の接着剤組成物の使用条件は特に限定されない。
被着体としては、木材、コンクリート、ゴム、陶器などが挙げられ、例えば履き物では、布類(ナイロン、ポリエステル、綿などの編織布、不織布)、天然皮革(牛皮、カンガルー皮など)、人工皮革(ポリウレタン、ポリ塩化ビニル樹脂など)、加硫ゴム(SBR,CR,IR,IIR,NBR,BR)、樹脂(ポリウレタン、EVAなどの発泡体または非発泡体)などの同種または異種の接着に用いることができる。
【0080】
塗布する方法及び装置仕様は特に限定されない。具体的にはカーテンフローコーター法、バーコーター法、ロールコーター法、スプレー法などが挙げられ、更にロールコーター法には、グラビアロールコーター法、リバースグラビアロールコーター法などがある。用途に合った塗布方法を選択すれば良いが、例えば、連続的に均一に塗布する用途ではロールコーター法が好ましく、靴底や小型部品の接着のように塗布面積が小さい用途では刷毛による手作業が好ましい。
圧着装置や圧着条件、プレス圧力は特に限定されず、2つの被着体を重ねた後の圧着操作は、加熱プレスまたは常温プレスのいずれであっても好適に使用される。
【0081】
上述した本発明の接着剤組成物によって接着された接着剤構造物は、接着剤層中において、シリカが従来達成されない微細な粒子として分散されていることから、優れた接着性能を有する。
【0082】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0083】
実験例1
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ロジン酸のナトリウム塩5質量部、水酸化ナトリウム0.3質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩0.6質量部、亜硫酸ナトリウム0.5質量部を仕込み、これらを溶解させた後に、撹拌しながらクロロプレン単量体100質量部、n−ドデシルメルカプタン0.12質量部を加えた。過硫酸カリウム0.1質量部を重合開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が70%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。下記の方法で固形分濃度を測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。このラテックスをラテックスAとする。
【0084】
[固形分濃度]
アルミ皿だけを秤量してAとした。ラテックス試料を2ml入れたアルミ皿を秤量しBとした。ラテックス試料を入れたアルミ皿を110℃雰囲気下で2時間乾燥させた後、秤量しCとした。固形分濃度(質量%)は下式により求めた。
固形分濃度={(C−A)/(B−A)}×100
【0085】
得られた重合体の数平均分子量を、下記の方法で測定したところ、21.0万であった。
[数平均分子量]
ラテックス試料をテフロン製のシャーレに入れ、−30℃の冷凍庫内で24時間凍結した後、23℃で24時間真空乾燥させ、厚さ1mmの乾燥シートを得た。この乾燥シートを鋏で刻み、0.1質量%となるように、テトラヒドロフランに溶解させ、下記の条件で数平均分子量を測定した。
装置:HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)、プレカラム:TSKガードカラムHHR−H、分析カラム:HSKgelGMHHR−H、サンプルポンプ圧:8.0〜9.5MPa。
【0086】
実験例2
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩1質量部、水酸化ナトリウム2.0質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩1質量部を仕込み、これらを溶解させた後に、撹拌しながらクロロプレン単量体97質量部、メタクリル酸メチル単量体3質量部、n−ドデシルメルカプタン0.15質量部を加えた。過硫酸ナトリウム0.2質量部を重合開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が65%に達したところでジエチルヒドロキシルアミンを100ppm加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。実験例1と同様の方法で固形分濃度を測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。実験例1と同様の方法で得られた共重合体の数平均分子量を測定した結果、21.6万であった。このラテックスをラテックスBとする。
【0087】
実験例3
内容積10リットルの反応器に、窒素雰囲気中で、水100質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩1質量部、水酸化ナトリウム1.5質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩1質量部を仕込み、これらを溶解させた後に、撹拌しながらクロロプレン単量体95質量部、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン単量体1質量部、1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体1質量部、アクリロニトリル単量体3質量部、n−オクチルメルカプタン0.18質量部を加えた。過硫酸ナトリウム0.2質量部を重合開始剤として用い、窒素雰囲気下10℃で重合し、最終重合率が70%に達したところでジエチルヒドロキシルアミンを100ppm加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、ポリクロロプレン系ラテックスを得た。実験例1と同様の方法で固形分濃度を測定し、固形分濃度が25質量%になるように純水で希釈した。実験例1と同様の方法で得られた共重合体の数平均分子量を測定した結果、20.8万であった。このラテックスをラテックスCとする。
【0088】
実験例4
ヨウ化ナトリウム135.0g(0.9mol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン59.6g(0.3mol)とを、脱水アセトン900mlに溶解させた。80℃で4日間還流させた。ガスクロマトグラフィーによって、全量ハロゲン置換したことを確認した後、冷却した。反応液を過剰のヘキサンに入れて塩化ナトリウムを析出させた後、蒸留をおこなった。3−ヨードプロピルトリメトキシシランは、77℃、5mmHgで留出し、主留として80.5g得られた。
【0089】
実験例5
ヨウ化ナトリウム135.0g(0.9mol)と3−クロロプロピルトリエトキシシラン72.2g(0.3mol)を、脱水アセトン900mlに溶解させた。80℃で4日間還流させた。ガスクロマトグラフィーによって、全量ハロゲン置換したことを確認した後、冷却した。反応液を過剰のヘキサンに入れて塩化ナトリウムを析出させた後に、蒸留を行った。3−ヨードプロピルトリメトキシシランは、86℃、5mmHgで留出し、主留として80.5g得られた。
【0090】
実験例6
2−クロロ−1,3−ブタジエン30.0g(0.34mol)、テトラヒドロフラン(THF)170ml、マグネシウム粉末6.2g、塩化亜鉛5.0gを混合して約80℃で加熱した。2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液を得た。このTHF溶液の一部を、HCl水溶液とNaOH水溶液で滴定した結果、2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドの濃度は1.0mol/Lであることが分かった。
【0091】
参考例1
500ml丸底フラスコに、無水塩化リチウム0.64g(0.015mol)と、無水塩化銅(II)1.01g(0.0075mol)と、脱水テトラヒドロフラン(THF)75mlを入れて溶解させた。続いて、実験例4で作製した3−ヨードプロピルトリメトキシシランを43.5g(0.15mol)添加した。実験例6で作製した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液150mlを、滴下漏斗を用いて、少量ずつ添加した。滴下速度は、反応液が40〜50℃程度になるように調節した。ガスクロマトグラフィーにより、カップリング反応の反応率が100%であることを確認した後、塩化アンモニウムの20質量%水溶液200mlに、反応液を添加して混合した。ジエチルエーテルで5回抽出操作を行い、蒸留した。
【0092】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリメトキシシランを、70℃、5mmHgで留出し、主留として25.5g(0.12mol)得た。ガスクロマトグラフィーにて純度を測定した結果、99.5%以上であった。蒸留による回収率は78.5%であった。
【0093】
参考例2
500ml丸底フラスコに、無水塩化リチウム0.64g(0.015mol)と、無水塩化銅(II)1.01g(0.0075mol)と、脱水テトラヒドロフラン(THF)75mlを入れて溶解させた。続いて、実験例4で作製した3−ヨードプロピルトリエトキシシランを49.8g(0.15mol)添加した。実験例6で作製した2−(1,3−ブタジエニル)マグネシウムクロリドのTHF溶液150mlを、滴下漏斗を用いて、少量ずつ添加した。滴下速度は、反応液が40〜50℃程度になるように調節した。ガスクロマトグラフィーにより、カップリング反応の反応率が100%であることを確認した後、塩化アンモニウムの20質量%水溶液200mlに、反応液を添加して混合した。ジエチルエーテルで5回抽出操作を行い、蒸留した。
【0094】
4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシランを、75℃、5mmHgで留出し、主留として31.3g(0.12mol)得た。ガスクロマトグラフィーにて純度を測定した結果、99.5%以上であった。蒸留による回収率は80.6%であった。
【0095】
実験例7
3Lガラス製丸底フラスコを反応器として用いて、窒素雰囲気中で、クロロプレン943.8g(10.6mol)、4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシラン56.2g(0.22mol)、1−ドデカンチオール2.2g、純水1150g、ラウリル硫酸ナトリウム40.0gを仕込み乳化させた。乳化後、過硫酸カリウム1gを開始剤として用い、窒素雰囲気下35℃で重合し、最終重合率が59%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応単量体を除去し、アルコキシシリル基含有重合体ラテックスを得た。実験例1と同様の方法によって、このラテックスの固形分濃度を測定したところ、32.6質量%であった。このラテックスをラテックスDとする。
メタノール析出とベンゼン溶解を繰り返し行い、ラテックスDから精製ポリマーを取り出し、1H−NMR測定によって、共重合体の溶剤可溶分のモノマー組成比を調べた。共重合体中におけるクロロプレン共重合量は98.7モル%で、4−メチレン−5−ヘキセニルトリエトキシシランの共重合量は1.3%であった。実験例1と同様の方法で得られた共重合体の溶剤可溶分の数平均分子量を測定した結果、8.4万であった。
【0096】
実験例8
実験例1で得られたラテックスA2126.9g(見掛け質量(ウエット質量、すなわち水を含む質量))に対して、実験例7で得られたラテックスDを33.1g(見掛け質量)混合した。つまり、固形分換算でのクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体との質量比は、100対2.0である。
この混合ラテックスに対して、テトラエトキシシランを208.1g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を18.3g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
以下の方法でシリカ含有率を測定したところ、10質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムAとする。
【0097】
[シリカ含有率]
TG/DTA20(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、空気雰囲気における150℃残分率と800℃残分率を測定し、下式により算出した。試料量は約15mg、昇温速度は20℃/min、空気流量は500ml/min、到達温度は805℃である。
シリカ含有率=(800℃残分率/150℃残分率)×100
【0098】
実験例9
実験例1で得られたラテックスA1890.5g(見掛け質量)に対して、実験例7で得られたラテックスDを29.4g(見掛け質量)混合した。つまり、固形分換算でのクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体とsの質量比は、100対2.0である。
この混合ラテックスに対して、テトラエトキシシランを416.1g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を18.6g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
実験例5と同じ方法でシリカ含有率を測定したところ、20質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムBとする。
【0099】
実験例10
実験例2で得られたラテックスB1890.5g(見掛け質量)に対して、実験例4で得られたラテックスDを29.4g(見掛け質量)混合した。つまり、固形分換算でのクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体との質量比は、100対2.0である。
この混合ラテックスに対して、テトラエトキシシランを416.1g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を18.3g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
実験例8と同じ方法でシリカ含有率を測定したところ、20質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムCとする。
【0100】
実験例11
実験例3で得られたラテックスC1890.5g(見掛け質量)に対して、実験例7で得られたラテックスDを29.4g(見掛け質量)混合した。つまり、固形分換算でのクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体との質量比は、100対2.0である。
この混合ラテックスに対して、テトラエトキシシランを416.1g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を18.6g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
実験例8と同じ方法でシリカ含有率を測定したところ、20質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムDとする。
【0101】
実験例12
実験例1で得られたラテックスA3600g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを346.8g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を30.5g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
実験例8と同じ方法でシリカ含有率を測定したところ、10質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムEとする。
【0102】
実験例13
実験例1で得られたラテックスA3200g(見掛け質量)に対して、テトラエトキシシランを693.5g添加した。ホモジナイザーで1000rpm、30分間撹拌した後、29質量%のアンモニア水溶液を30.9g添加し、25℃で24時間撹拌した。24時間後、反応乳化液を−60℃で1日間凍結させ、真空乾燥させた。
実験例8と同じ方法でシリカ含有率を測定したところ、20質量%であった。このシリカ複合化ゴムを、シリカ複合化ゴムFとする。
【0103】
実施例1
実験例8のシリカ複合化ゴムAを用いて、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。老化防止剤の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)は、Nocrac200(大内新興化学工業株式会社製)を使用し、酸化マグネシウムは、Kyowamag150(協和化学工業株式会社製)を使用し、酸化亜鉛は、亜鉛華2種(堺化学工業株式会社製)を使用した。調製手順としては、シリカ複合化ゴム、BHT、酸化マグネシウム、酸化亜鉛をミキシングロールで混練し、次にその混練物をトルエンと共にボールミルに入れて、2日間溶解させた。得られた接着剤組成物を接着剤1Aとする。
【0104】
接着評価方法を説明する。まず、被着体として、2枚の綿帆布を用意した。糊代部の大きさは、幅25mm×長さ50mmである。この2枚の被着体の両方に、塗布量が2400g/m2となるように、接着剤1Aを刷毛で塗布した。25℃で30分間のオープンタイムを置いた後、両者を張り合わせ、10ポンドロールを5往復させて接着した。
接着性能の評価結果を表1に示した。初期接着力は、張り合わせてから5時間養生後の25℃雰囲気中でのT型剥離強度である。また、耐熱接着力は、張り合わせてから7日間養生した後の60℃雰囲気中におけるT型剥離強度である。引張速度は50mm/minである。
【0105】
また、評価を終えた試験片の剥離面に付着している接着剤(乾燥皮膜)を剥がし、以下の方法によって、接着剤層中における凝集粒子径と、最大一次粒子径とを測定した。その結果を表1に示した。
【0106】
[最大凝集粒子径]
乾燥被膜の一部を液体窒素中で破断した時の破断面を、走査型電子顕微鏡で観察し、ポリクロロプレン系ゴム組成物中におけるシリカの凝集粒子の最大径を測定した。観察対象物がシリカであることは、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(EDS)で確認した。
【0107】
[最大一次粒子径]
乾燥被膜約15mgを、TG/DTA20(セイコーインスツルメンツ株式会社製)にセットして、空気雰囲気で燃焼させた。昇温速度は20℃/min、空気流量は500ml/min,到達温度は900℃である。
燃焼残分(灰分)を走査型電子顕微鏡で観察し、最大一次粒子径を判定した。シリカ粒子であることはエネルギー分散型X線スペクトロメーター(EDS)によって確認した。
【0108】
実施例2
実験例9のシリカ複合化ゴムBを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤2Aとする。実施例1と同じ方法によって接着剤2Aの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表1に示した。
【0109】
実施例3
実験例10のシリカ複合化ゴムCを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤3Aとする。実施例1と同じ方法によって接着剤3Aの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表1に示した。
【0110】
実施例4
実験例11のシリカ複合化ゴムDを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤4Aとする。実施例1と同じ方法によって接着剤4Aの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表1に示した。
【0111】
比較例1
実験例12のシリカ複合化ゴムEを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤5Aとする。実施例1と同じ方法によって接着剤5Aの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表1に示した。
【0112】
比較例2
実験例13のシリカ複合化ゴムFを用いたこと以外は、全て実施例1と同じ条件で、表1に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤6Aとする。実施例1と同じ方法によって接着剤6Aの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表1に示した。
【0113】
実施例5
実験例8のシリカ複合化ゴムAを用いて、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。老化防止剤の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)は、Nocrac200(大内新興化学工業株式会社製)を、酸化マグネシウムは、Kyowamag150(協和化学工業株式会社製)を、酸化亜鉛は、亜鉛華2種(堺化学工業株式会社製)を、粘着付与樹脂のアルキルフェノール樹脂(融点83℃)はSP−551(日本触媒株式会社製)を使用した。調製手順としては、まず、トルエンに粘着付与樹脂と酸化マグネシウムをボールミルで2日間溶解させてトルエン溶液を作製しておいた。次にシリカ複合化ゴム、BHT、酸化亜鉛をミキシングロールで混練し、その混練物を、予め作製しておいたトルエン溶液と共にボールミルに入れて、2日間溶解させた。得られた接着剤組成物を接着剤1Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤1Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0114】
実施例6
実験例9のシリカ複合化ゴムBを用いたこと以外は、全て実施例5と同じ条件で、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤2Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤2Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0115】
実施例7
実験例10のシリカ複合化ゴムCを用いたこと以外は、全て実施例5と同じ条件で、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤3Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤3Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0116】
実施例8
実験例11のシリカ複合化ゴムDを用いたこと以外は、全て実施例5と同じ条件で、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤4Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤4Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0117】
比較例3
実験例12のシリカ複合化ゴムEを用いたこと以外は、全て実施例5と同じ条件で、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤5Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤5Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0118】
比較例4
実験例13のシリカ複合化ゴムFを用いたこと以外は、全て実施例5と同じ条件で、表2に示す処方で接着剤組成物を調製した。得られた接着剤組成物を接着剤6Bとする。実施例1と同じ方法によって接着剤6Bの接着性能及びシリカの形態観察を行い、その結果を表2に示した。
【0119】
【表1】
Figure 0004139692
【0120】
【表2】
Figure 0004139692
【0121】
【発明の効果】
表1と表2より明らかな如く、本発明の接着剤組成物(実施例1〜8)は、シリカが微細に分散しており、また、アルコキシシリル基含有重合体を使用しない従来の接着剤組成物(比較例1〜4)よりも初期接着力及び耐熱接着力が優れることが明らかである。

Claims (7)

  1. シリカとクロロプレン系重合体とアルコキシシリル基含有重合体と有機溶剤とを含み、クロロプレン系重合体100質量部に対して、シリカが2〜100質量部の量で存在し、アルコキシシリル基含有重合体が0.5〜25質量部の量で存在し、有機溶剤が150〜1900質量部の量で存在することを特徴とするポリクロロプレン系接着剤組成物。
  2. 前記シリカが、接着後の接着剤層中において、最大凝集粒子径0.005〜5μmの凝集粒子として分散されることを特徴とする請求項1記載のポリクロロプレン系接着剤組成物。
  3. 前記シリカが、接着後の接着剤層中において、最大凝集粒子径0.005〜0.5μmの凝集粒子として分散されることを特徴とする請求項2記載のポリクロロプレン系接着剤組成物。
  4. 前記シリカの最大一次粒子径が0.005〜0.2μmであることを特徴とする請求項1記載のポリクロロプレン系接着剤組成物。
  5. 更に、粘着付与樹脂を、クロロプレン重合体100質量部に対して5〜100質量部の量で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のポリクロロプレン系接着剤組成物。
  6. 前記シリカが、クロロプレン系重合体ラテックスにアルコキシシラン類化合物を配合し、アルコキシシラン類化合物のゾルゲル反応によりシリカが生成されることによって得られることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載のポリクロロプレン系接着剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載のポリクロロプレン系接着剤組成物によって接着されたことを特徴とする接着剤構造物。
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