JP4139373B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気通路に2つの三元触媒(以下、上流側のものを「第1触媒」、下流側のものを「第2触媒」と称呼する。)が直列に配設され、第1触媒の上流、第1触媒の下流であって第2触媒の上流、及び第2触媒の下流の排気通路に空燃比センサがそれぞれ配設された内燃機関に適用され、各空燃比センサの出力値に基づいて機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する。なお、以下、内燃機関を、単に「機関」と呼ぶこともある。
従来より、内燃機関の排気通路に配設された1つの三元触媒(以下、単に「触媒」と云うこともある。)の上流側及び下流側の排気通路にそれぞれ配設された上流側空燃比センサ、及び下流側空燃比センサの各出力値に基づいて機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置が広く知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004−183585号公報
この空燃比制御装置(排気浄化装置)は、下流側空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である下流側目標値との差に基づいて(例えば、サブフィードバックコントローラで同差を比例・積分・微分処理(PID処理)して)サブフィードバック補正量を算出する。
また、この装置は、上流側空燃比センサの出力値を上記算出したサブフィードバック補正量で補正した値と同上流側空燃比センサの出力の目標値である上流側目標値との差に基づいて(例えば、メインフィードバックコントローラで同差を比例・積分処理(PI処理)して)メインフィードバック補正量を算出する。そして、この装置は、上記算出したメインフィードバック補正量により燃料噴射量を補正することで機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御するようになっている。
上記開示された装置は、サブフィードバック補正量の値に応じてメインフィード補正量を算出するための値(即ち、PI処理される値)が直接変更されるように構成されている。換言すれば、メインフィードバック補正量を算出するメインフィードバックコントローラとサブフィードバック補正量を算出するサブフィードバックコントローラとが直列に配置されている。
従って、メインフィードバックコントローラに使用されるメインフィードバック制御定数(比例ゲイン、及び積分ゲイン)とサブフィードバックコントローラに使用されるサブフィードバック制御定数(比例ゲイン、積分ゲイン、及び微分ゲイン)のいずれか一方側の適合を行う際には他方側の値が強く影響する。
換言すれば、フィードバック制御ループ(閉ループ)毎にそれぞれのフィードバック制御定数の適合を互いに独立して実行することができない。従って、各フィードバック制御定数の適合が困難であって同適合を行う際の労力が多大であるという問題があった。
係る問題に対処するためには、メインフィードバックコントローラとサブフィードバックコントローラとを燃料噴射量の補正に関して並列に配置することが好ましいと考えられる。この場合、具体的には、サブフィードバックコントローラにより下流側空燃比センサ出力値と上記下流側目標値との差に基づいてサブフィードバック補正量が算出されるとともに、メインフィードバックコントローラにより上流側空燃比センサ出力値と上記上流側目標値との差に基づいてメインフィードバック補正量が算出される。そして、上記算出されたメインフィードバック補正量と上記サブフィードバック補正量とによりそれぞれ独立に燃料噴射量が直接補正されることで機関に供給される混合気の空燃比がフィードバック制御される。
これにより、フィードバック制御ループ毎にそれぞれのフィードバック制御定数の適合を互いに独立して実行することができるようになり、各フィードバック制御定数の適合を行う際の労力が低減され得る。
ところで、触媒は、通常、流入する排ガスの空燃比がリーン空燃比のとき同排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元して同窒素酸化物から奪った酸素を内部に貯蔵するとともに同流入する排ガスの空燃比がリッチ空燃比のとき同貯蔵している酸素により同排ガス中のHC,CO等の未燃成分を酸化する所謂酸素吸蔵機能を有している。係る酸素吸蔵機能により、触媒上流の排ガスの空燃比変動における比較的周波数の高い高周波数成分、及び同空燃比変動における比較的周波数が低くて振幅(理論空燃比からの偏移量)が比較的小さい低周波数成分は完全に吸収されて触媒下流の排ガスの空燃比変動として現れ難い傾向がある。
一方、触媒上流の排ガスの空燃比変動における比較的周波数が低くて振幅が比較的大きい低周波数成分は上記触媒の酸素吸蔵機能では完全には吸収されず、少し遅れて触媒下流の排ガスの空燃比変動として現れ易い傾向がある。この場合、係る酸素吸蔵機能を有する触媒が上記低周波数成分に対してフィードバック制御上の「むだ時間要素」として機能していると言うこともできる。
この結果、上流側空燃比センサの出力値と下流側空燃比センサの出力値とが理論空燃比に対して互いに逆方向に偏移した空燃比を示す値となる場合が存在する。この場合、上記メインフィードバック補正量に基づく機関の空燃比制御(メインフィードバック制御)とサブフィードバック補正量に基づく機関の空燃比制御(サブフィードバック制御)とが互いに干渉することになるので良好な機関の空燃比制御を行うことができない。
係るメインフィードバック制御とサブフィードバック制御との干渉は、排ガスの空燃比変動に関するメインフィードバック制御の制御周波数帯域とサブフィードバック制御の制御周波数帯域とを互いに重複しないように設定することで回避され得る。このため、上流側空燃比センサ出力値と上記上流側目標値との差の値をハイパスフィルタ処理した後の値に基づいてメインフィードバック補正量を算出するとともに、下流側空燃比センサ出力値と上記下流側目標値との差の値をローパスフィルタ処理した後の値に基づいてサブフィードバック補正量を算出することが考えられる。
以上のことから、本出願人は、特願2004−13225において、以下のような空燃比制御装置(排気浄化装置)を既に提案している。この装置は、図14にそれらの周波数−ゲイン特性を示した共通のカットオフ周波数ω1を有するハイパスフィルタ(HPF)とローパスフィルタ(LPF)とを使用する。
この装置は、下流側空燃比センサ出力値と上記下流側目標値との差の値をローパスフィルタ処理した後の値に基づいてサブフィードバックコントローラによりサブフィードバック補正量を算出する。これにより、下流側空燃比センサ出力値の変動におけるカットオフ周波数ω1以上の高周波数成分が減衰されるから、サブフィードバック制御の制御周波数帯域は同カットオフ周波数ω1以下の帯域となり得る。
また、この装置は、上流側空燃比センサ出力値と上記上流側目標値との差の値をハイパスフィルタ処理した後の値に基づいてメインフィードバックコントローラによりメインフィードバック補正量を算出する。これにより、上流側空燃比センサ出力値の変動におけるカットオフ周波数ω1以下の低周波数成分が減衰されるから、メインフィードバック制御の制御周波数帯域は同カットオフ周波数ω1以上の帯域となり得る。
そして、この装置は、上記算出されたメインフィードバック補正量と上記サブフィードバック補正量とによりそれぞれ独立に燃料噴射量を直接補正することで機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する。
これにより、メインフィードバックコントローラとサブフィードバックコントローラとが燃料噴射量の補正に関して並列に配置されることで各フィードバック制御定数の適合を行う際の労力が低減され得る。また、メインフィードバック制御の制御周波数帯域とサブフィードバック制御の制御周波数帯域とが互いに重複しないように設定され得るから、上述したメインフィードバック制御とサブフィードバック制御との干渉が回避できる。
ところで、内燃機関の始動直後の排ガスを浄化するとともに、完全暖機後の排気浄化性能を一層向上するため、機関の排気通路にスタート・コンバータと云われる第1触媒を配設するとともに、第1触媒よりも下流の排気通路にアンダ・フロア・コンバータと云われる比較的容量の大きい第2触媒を配設する構成が採用されることがある。
このように、第1触媒と第2触媒が排気通路において直列に配設される場合、第1触媒の上流、第1触媒の下流であって第2触媒の上流、及び第2触媒の下流の排気通路に、上流空燃比センサ、中流空燃比センサ及び下流空燃比センサがそれぞれ配設され、3つの空燃比センサの出力値に基づいて機関に供給される混合気の空燃比がフィードバック制御される場合が考えられる。
この場合においても、良好な空燃比制御を達成するためには、上述した2つの空燃比センサに基づくそれぞれの空燃比フィードバック制御(メインフィードバック制御とサブフィードバック制御)間の相互干渉の回避と同様、3つの空燃比センサに基づくそれぞれの空燃比フィードバック制御が互いに干渉することを回避することが好ましい。しかしながら、このように3つの空燃比フィードバック制御間の相互の干渉を回避する手法については、未だ開示も示唆もされていないのが現状である。
従って、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、第1触媒の上流、第1触媒の下流であって第2触媒の上流、及び第2触媒の下流の排気通路にそれぞれ配設された3つの空燃比センサに基づくそれぞれの空燃比フィードバック制御が互いに干渉することを回避できる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
本発明に係る空燃比制御装置は、第1触媒上流の上流空燃比センサの出力値、又は前記上流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である上流センサ目標値との相違の程度に応じた値、をハイパスフィルタ処理した後の値に基づいて(上流フィードバックコントローラにより)上流フィードバック補正量を算出し、前記算出された上流フィードバック補正量により燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する上流フィードバック制御手段と、第1触媒下流であって第2触媒上流の中流空燃比センサの出力値、又は前記中流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である中流センサ目標値との相違の程度に応じた値、をバンドパスフィルタ処理した後の値に基づいて(中流フィードバックコントローラにより)中流フィードバック補正量を算出し、前記算出された中流フィードバック補正量により前記燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで前記内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する中流フィードバック制御手段と、第2触媒下流の下流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である下流センサ目標値との相違の程度に応じた値をローパスフィルタ処理した後の値、又は前記下流空燃比センサの出力値をローパスフィルタ処理した後の値と前記下流センサ目標値との相違の程度に応じた値、に基づいて(下流フィードバックコントローラにより)下流フィードバック補正量を算出し、前記算出された下流フィードバック補正量により前記燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで前記内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する下流フィードバック制御手段とを備える。
ここにおいて、「上流センサ目標値」、「中流センサ目標値」、及び「下流センサ目標値」は理論空燃比に相当する値に設定されることが好適であり、また、これらの値は対応する空燃比が互いに等しくなるように設定されることが好適である。
また、「センサの出力値とセンサ目標値との相違の程度に応じた値」は、例えば、センサの出力値とセンサ目標値との偏差、センサの出力値に対応する検出空燃比(実空燃比)とセンサ目標値に対応する目標空燃比との偏差、筒内吸入空気量をセンサの出力値に対応する検出空燃比で除した値である実際の筒内燃料供給量と同筒内吸入空気量をセンサ目標値に対応する目標空燃比で除した値である目標筒内燃料供給量との偏差であって、これらに限定されない。
また、上記ハイパスフィルタ処理される対象となる上記2つの値(即ち、上流空燃比センサの出力値と、上流空燃比センサの出力値と上流センサ目標値との相違の程度に応じた値)と、上記バンドパスフィルタ処理される対象となる上記2つの値(即ち、中流空燃比センサの出力値と、中流空燃比センサの出力値と中流センサ目標値との相違の程度に応じた値)と、下流フィードバックコントローラに入力される上記2つの値(即ち、下流空燃比センサの出力値と下流センサ目標値との相違の程度に応じた値をローパスフィルタ処理した後の値と、下流空燃比センサの出力値をローパスフィルタ処理した後の値と下流センサ目標値との相違の程度に応じた値)の組み合わせは何れの組み合わせであってもよい。
上述した2つの空燃比センサに基づく空燃比フィードバック制御間の相互の干渉の回避と同様、係る3つの空燃比センサに基づく空燃比フィードバック制御(上流、中流、及び下流フィードバック制御)間の相互の干渉を回避するためには、それぞれの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域を互いに重複しないように設定する必要がある。
ところで、先に述べたように、触媒の酸素吸蔵機能は、排ガスの空燃比変動における同触媒を通過し得る周波数成分に対してフィードバック制御上の「むだ時間要素」として機能する(以下、触媒の酸素吸蔵機能に起因するむだ時間を「触媒に起因するむだ時間」と呼ぶ。)。空燃比フィードバック制御における「触媒に起因するむだ時間」は、同空燃比フィードバック制御に係わる空燃比センサの上流に存在する触媒の酸素吸蔵機能の程度が大きいほど(従って、同空燃比センサの上流に存在する触媒の容量が大きいほど)長くなる。
他方、一般に、フィードバック制御においては、同制御における「むだ時間」が長くなるほど同制御の制御周波数帯域をより低い帯域に設定することがハンチングの発生を抑制する上で好ましいことが知られている。
ここで、上流空燃比センサの上流には触媒が存在しないから、上流空燃比センサ出力に係わる上流フィードバック制御における「触媒に起因するむだ時間」は発生しない。一方、中流空燃比センサの上流には第1触媒が存在するから、中流空燃比センサ出力に係わる中流フィードバック制御における「触媒に起因するむだ時間」は、同第1触媒の容量に相当する時間となる。
また、下流空燃比センサの上流には第1触媒、及び第2触媒が存在するから、下流空燃比センサ出力に係わる下流フィードバック制御における「触媒に起因するむだ時間」は、同第1触媒の容量に同第2触媒の容量を加えた触媒の容量(即ち、第1触媒と第2触媒とを単一の触媒とみなした場合における同単一の触媒の容量)に相当する時間となる。従って、下流フィードバック制御における「触媒に起因するむだ時間」は、中流フィードバック制御におけるものよりも長くなる。
以上のことから、上記3つの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域は、それぞれが互いに重複しないように設定されることに加えて、中流フィードバック制御のものが上流フィードバック制御のものよりも低い帯域に、且つ下流フィードバック制御のものが中流フィードバック制御のものよりも低い帯域になるように設定されるべきである。
本発明は係る知見に基づくものである。即ち、上記構成によれば、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数ωhiがバンドパスフィルタ処理の高周波数側のカットオフ周波数(ωbaup)以上となり、且つ、バンドパスフィルタ処理の低周波数側のカットオフ周波数(ωbadown)がローパスフィルタ処理のカットオフ周波数(ωlow)以上となるように各フィルタ処理のカットオフ周波数が設定され得る。
この場合、上流フィードバックコントローラに入力される値(信号)は、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数以上の高周波数成分のみであるから、上流フィードバック制御の制御周波数帯域はωhi(≧ωbaup)以上の帯域となる。
中流フィードバックコントローラに入力される値(信号)は、バンドパスフィルタ処理の低周波数側のカットオフ周波数以上、同バンドパスフィルタ処理の高周波数側のカットオフ周波数以下の中周波数成分のみであるから、中流フィードバック制御の制御周波数帯域は、ωbadown以上ωbaup以下の帯域となる。
同様に、下流フィードバックコントローラに入力される値(信号)は、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数以下の低周波数成分のみであるから、下流フィードバック制御の制御周波数帯域は、ωlow(≦ωbadown)以下の帯域となる。
これにより、上記3つの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域は、それぞれが互いに重複しないように、且つ、上流フィードバック制御、中流フィードバック制御、下流フィードバック制御の順に、高い帯域に設定され得る。この結果、ハンチングの発生が適切に抑制され得るとともに、上記3つの空燃比フィードバック制御間の相互の干渉が回避され得る。この結果、適切な空燃比フィードバック制御が達成され得、第2触媒から排出されるエミッションの排出量を安定して抑制することができる。
なお、係る構成によれば、機関が過渡運転状態にある場合等、排ガスの空燃比が上記ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数ωhi以上の高周波数で急変・変動するような場合における空燃比制御(即ち、過渡運転状態における空燃比の急変に対する補償)は、上流フィードバック制御により迅速に行われる。
また、第2触媒下流の空燃比変動として現れ得る程度の、ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数ωlow以下の極低周波数帯域の定常的な空燃比変動に対する空燃比制御は、下流フィードバック制御により確実に達成され得る。
更には、第1触媒下流であって第2触媒上流の空燃比変動として現れ得るωbadown以上ωbaup以下の中周波数帯域の空燃比変動に対して中流フィードバック制御により空燃比制御が実行されることは、少なくとも、下流空燃比センサ出力の下流センサ目標値への収束を促進する方向に働くと考えられる。即ち、上記中流フィードバック制御の実行により、第2触媒から排出されるエミッションの排出量をより一層抑制することができる。
加えて、上記本発明による空燃比制御装置によれば、内燃機関の運転状態(例えば、内燃機関の回転速度、スロットル弁開度等)に応じて決定される(基本)燃料噴射量が上流フィードバック補正量、中流フィードバック補正量、及び下流フィードバック補正量によりそれぞれ独立に補正された後の(最終)燃料噴射量の燃料が燃料噴射手段により噴射され得る。この結果、機関に供給される混合気の空燃比がフィードバック制御(上流、中流、下流フィードバック制御)され得る。この場合、上記提案された空燃比制御装置と同様、上流フィードバックコントローラ、中流フィードバックコントローラ、及び下流フィードバックコントローラが燃料噴射量の補正に関して並列に配置されることになり、各フィードバック制御定数の適合を行う際の労力が低減され得る。
上記本発明による空燃比制御装置においては、前記上流フィードバック制御手段による前記ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数と前記中流フィードバック制御手段による前記バンドパスフィルタ処理の高周波数側のカットオフ周波数とが同一であるとともに、前記中流フィードバック制御手段による前記バンドパスフィルタ処理の低周波数側のカットオフ周波数と前記下流フィードバック制御手段による前記ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数とが同一であることが好ましい。
これによれば、3つの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域が互いに連続することになり、空燃比フィードバック制御の対象とならない制御周波数帯域がなくなる。即ち、あらゆる周波数の空燃比変動に対して3つの空燃比フィードバック制御の何れかにより確実に空燃比制御が実行され得るようになり、この結果、第2触媒から排出されるエミッションの排出量をより一層安定して抑制することができる。
以下、本発明による内燃機関の空燃比制御装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による空燃比制御装置を火花点火式多気筒(4気筒)内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース、及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排気ガスを外部に放出するための排気系統50とを含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、及びクランク軸24を含んでいる。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランク軸24に伝達され、これにより同クランク軸24が回転するようになっている。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを含むとともに同インテークカムシャフトの位相角を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を駆動するエキゾーストカムシャフト36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38、及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
吸気系統40は、吸気ポート31に連通し同吸気ポート31とともに吸気通路を形成するインテークマニホールドを含む吸気管41、吸気管41の端部に設けられたエアフィルタ42、吸気管41内にあって吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁43、スロットル弁駆動手段を構成するDCモータからなるスロットル弁アクチュエータ43a、スワールコントロールバルブ(以下、「SCV」と称呼する。)44、及びDCモータからなるSCVアクチュエータ44aを備えている。
排気系統50は、排気ポート34に連通したエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51(実際には、各排気ポート34に連通したそれぞれのエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、エキゾーストパイプ52に配設(介装)された上流側の三元触媒53(上流側触媒コンバータ、又はスタート・キャタリティック・コンバータとも云うが、以下「第1触媒53」と称呼する。)、及びこの第1触媒53の下流のエキゾーストパイプ52に配設(介装)された下流側の三元触媒54(車両のフロア下方に配設されるため、アンダ・フロア・キャタリティック・コンバータとも云うが、以下「第2触媒54」と称呼する。)を備えている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51、及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、水温センサ65、第1触媒53の上流の排気通路(本例では、上記各々のエキゾーストマニホールド51が集合した集合部)に配設された空燃比センサ66(以下、「上流空燃比センサ66」と称呼する。)、第1触媒53の下流であって第2触媒54の上流の排気通路に配設された空燃比センサ67(以下、「中流空燃比センサ67」と称呼する。)、第2触媒54の下流の排気通路に配設された空燃比センサ68(以下、「下流空燃比センサ68」と称呼する。)、及びアクセル開度センサ69を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管41内を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量に応じた電圧Vgを出力するようになっている。かかるエアフローメータ61の出力Vgと、計測された吸入空気量(流量)Gaとの関係は、図2に示したとおりである。スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁43の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。カムポジションセンサ63は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(即ち、クランク軸24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号(G2信号)を発生するようになっている。クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランク軸24が360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。この信号は、エンジン回転速度NEを表す。水温センサ65は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
上流空燃比センサ66は、限界電流式の酸素濃度センサであり、図3に示したように、空燃比A/Fに応じた電流を出力し、この電流に応じた電圧である出力値vabyfsを出力するようになっていて、特に、空燃比が理論空燃比であるときには出力値vabyfsは値vstoichになる。図3から明らかなように、上流空燃比センサ66によれば、広範囲にわたる空燃比A/Fを精度良く検出することができる。
中流、下流空燃比センサ67,68は、起電力式(濃淡電池式)の酸素濃度センサであり、図4に示したように、理論空燃比近傍において急変する電圧である出力値Voxs1,Voxs2を出力するようになっている。より具体的に述べると、中流、下流空燃比センサ67,68は、空燃比が理論空燃比よりもリーンのときは略0.1(V)、空燃比が理論空燃比よりもリッチのときは略0.9(V)、及び空燃比が理論空燃比のときは0.5(V)の電圧を出力するようになっている。アクセル開度センサ69は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、同アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続されたCPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM74、並びにADコンバータを含むインターフェース75等からなるマイクロコンピュータである。インターフェース75は、前記センサ61〜69と接続され、CPU71にセンサ61〜69からの信号を供給するとともに、同CPU71の指示に応じて可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、イグナイタ38、インジェクタ39、スロットル弁アクチュエータ43a、及びSCVアクチュエータ44aに駆動信号を送出するようになっている。
(空燃比フィードバック制御の概要)
次に、上記のように構成された空燃比制御装置が行う機関に供給される混合気の空燃比(以下、単に「機関の空燃比」と云うこともある。)のフィードバック制御の概要について説明する。
第1、第2触媒53,54のような三元触媒(以下、単に「触媒」と云うこともある。)は、触媒に流入するガスの空燃比が理論空燃比であるときに、HC,COを酸化するとともにNOxを還元し、これらの有害成分を高い効率で浄化する。また、触媒は、酸素を吸蔵・放出する機能(酸素吸蔵機能、酸素吸蔵・放出機能)を有し、この酸素吸蔵・放出機能により、空燃比が理論空燃比からある程度まで偏移したとしても、HC,CO、及びNOxを浄化することができる。即ち、機関の空燃比がリーンとなって触媒に流入するガスにNOxが多量に含まれると、触媒はNOxから酸素分子を奪って同酸素分子を吸蔵するとともに同NOxを還元し、これによりNOxを浄化する。また、機関の空燃比がリッチになって触媒に流入するガスにHC,COが多量に含まれると、触媒はこれらに吸蔵している酸素分子を与えて(放出して)酸化し、これによりHC,COを浄化する。
従って、触媒が連続的に流入する多量のHC,COを効率的に浄化するためには、同触媒が酸素を多量に貯蔵していなければならず、逆に連続的に流入する多量のNOxを効率的に浄化するためには、同触媒が酸素を十分に貯蔵し得る状態になければならないことになる。以上のことから、触媒の浄化能力は、同触媒が貯蔵し得る最大の酸素量(最大酸素吸蔵量)に依存する。
一方、第1、第2触媒53,54のような三元触媒は燃料中に含まれる鉛や硫黄等による被毒、或いは触媒に加わる熱により劣化し、これに伴い最大酸素吸蔵量が次第に低下してくる。このように最大酸素吸蔵量が低下した場合であっても、エミッションの排出量を継続的に抑制するには、触媒から排出されるガスの空燃比(従って、触媒に流入するガスの空燃比)が、理論空燃比に極めて近い状態となるように制御する必要がある。
そこで、本実施形態の空燃比制御装置は、上流、中流、及び下流空燃比センサ66,67,68の出力値が対応するセンサ目標値(原則的に理論空燃比に対応する値)にそれぞれ一致するように、上流空燃比センサ出力値vabyfs(即ち、第1触媒上流の空燃比)、中流空燃比センサ出力値Voxs1(即ち、第1触媒下流、且つ第2触媒上流の空燃比)、及び下流空燃比センサ出力値Voxs2(即ち、第2触媒下流の空燃比)に応じて機関の空燃比をフィードバック制御する。
より具体的に述べると、この空燃比制御装置(以下、「本装置」と云うこともある。)は、その機能ブロック図である図5に示したように、A1〜A16の各手段等を含んで構成されている。以下、図5を参照しながら各手段について説明していく。
<基本燃料噴射量の決定>
先ず、基本燃料噴射量Fbaseの決定について説明する。基本燃料噴射量Fbaseは基本燃料噴射量決定手段A1により決定される。基本燃料噴射量決定手段A1は、後に後述するように、機関の運転状態に応じて推定される今回の吸気行程を迎える気筒の吸入空気量である筒内吸入空気量Mcと、目標空燃比abyfrとから、機関の空燃比を同目標空燃比abyfrとするための今回の吸気行程に対する基本燃料噴射量Fbaseを求める。
<燃料噴射量の算出>
次に、燃料噴射量Fiの算出について説明する。燃料噴射量算出手段A2は、基本燃料噴射量決定手段A1により求められた基本燃料噴射量Fbaseに、後述する上流フィードバック補正係数KFiupと、後述する中流フィードバック補正係数KFimidと、後述する下流フィードバック補正係数KFidownとを乗算することで、下記(1)式に基づいて、(最終)燃料噴射量Fiを求める。
Fi=Fbase・KFiup・KFimid・KFidown ・・・(1)
本装置は、このようにして、燃料噴射量算出手段A2により基本燃料噴射量Fbaseを上流、中流、下流フィードバック補正係数KFiup,KFimid,KFidownによりそれぞれ独立に補正することにより得られる燃料噴射量Fiの燃料を今回の吸気行程を迎える気筒に対してインジェクタ39により噴射する。
<上流フィードバック制御>
続いて、上流フィードバック制御について説明する。上流センサ目標値設定手段A3は、内燃機関10の運転状態であるエンジン回転速度NE、及びスロットル弁開度TA等に基づいて上流空燃比センサ出力vabyfsの目標値である上流センサ目標値vabyfrefを決定する。この上流センサ目標値vabyfrefは、例えば、内燃機関10の暖機終了後においては、特殊な場合を除き理論空燃比に対応する値(即ち、上記値vstoich)に設定されている(図3を参照。)。また、本例では、この上流センサ目標値vabyfrefは、同上流センサ目標値vabyfrefに対応する空燃比が上述した基本燃料噴射量Fbaseを決定するために使用される上記目標空燃比abyfrと常時一致するように設定される。
上流出力偏差量算出手段A4は、下記(2)式に基づいて、現時点での上流空燃比センサ66の出力値vabyfsから上流センサ目標値設定手段A3により設定されている現時点での上流センサ目標値vabyfrefを減じることにより、上流出力偏差量Dvabyfを求める。この上流出力偏差量Dvabyfは、上流空燃比センサ66の出力値vabyfsと上流センサ目標値vabyfrefとの相違の程度に応じた値に相当する。
Dvabyf=vabyfs-vabyfref ・・・(2)
ハイパスフィルタA5は、その特性をラプラス演算子sを用いて表した下記(3)式に示すように、一次のフィルタである。下記(3)式において、τhiはハイパスフィルタA5の時定数である。このハイパスフィルタA5の周波数−ゲイン特性は図6に示したとおりである。図6に示したように、ハイパスフィルタA5は、カットオフ周波数ω1(=1/τhi)以下の周波数成分(中周波数以下の成分)を減衰することで同中周波数以下の成分が通過することを実質的に禁止する。換言すれば、ハイパスフィルタA5は、上記カットオフ周波数ω1以上の高周波数成分のみが通過することを実質的に許容する。
1−1/(1+τhi・s) ・・・(3)
ハイパスフィルタA5は、前記上流出力偏差量算出手段A4により求められた前記上流出力偏差量Dvabyfの値を入力するとともに、上記(3)式に従って同上流出力偏差量Dvabyfの値をハイパスフィルタ処理した後の値であるハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhiを出力する。従って、ハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhiは、上流空燃比センサ66の出力値vabyfsと上流センサ目標値vabyfrefとの相違の程度に応じた値をハイパスフィルタ処理した後の値である。
PコントローラA6(上流フィードバックコントローラ)は、ハイパスフィルタA5の出力値であるハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhiを比例処理(P処理)することで、下記(4)式に基づいて上流フィードバック補正量DFiupを求める。下記(4)式において、Kupは予め設定された比例ゲイン(比例定数)である。
DFiup=Kup・Dvabyfhi ・・・(4)
上流フィードバック補正係数算出手段A7は、前記上流フィードバック補正量DFiupを使用して、下記(5)式に基づいて上流フィードバック補正係数KFiup(>0)を求める。この上流フィードバック補正係数KFiupは、先に述べたように燃料噴射量算出手段A2により燃料噴射量Fiを求める際に使用される。
KFiup=DFiup+1 ・・・(5)
このようにして、本装置は、上流側空燃比センサ出力値vabyfsと上流センサ目標値vabyfrefとの相違の程度に応じた値をハイパスフィルタ処理した後の値であるハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量DvabyfhiをPコントローラA6に入力することで上流フィードバック補正量DFiupを求めるとともに、同上流フィードバック補正量DFiupを使用して上流フィードバック補正係数KFiupを求める。そして、前記基本燃料噴射量Fbaseに上流フィードバック補正係数KFiupを乗算することで、後述する中流、下流フィードバック制御による基本燃料噴射量Fbaseの補正とは独立に同基本燃料噴射量Fbaseを補正して上流フィードバック制御を実行する。
例えば、機関の空燃比が急変してリーンとなると、図3から理解できるように、上流空燃比センサ出力値vabyfsは上流センサ目標値設定手段A3により設定されている上流センサ目標値vabyfrefよりも大きな値となる。このため、上流出力偏差量算出手段A4にて求められる上流出力偏差量Dvabyfは正の値となる。ここで、機関の空燃比の急変によりこの上流出力偏差量Dvabyfを示す信号には前記カットオフ周波数ω1以上の高周波数成分が含まれている。係る高周波数成分は、ハイパスフィルタA5を通過し得る。従って、ハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhi(従って、上流フィードバック補正量DFiup)も正の値となる。この結果、上流フィードバック補正係数算出手段A7により算出される上流フィードバック補正係数KFiupが「1」より大きい値となる。これにより、燃料噴射量算出手段A2にて求められる燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも大きくなって、機関の空燃比がリッチとなるように制御される。
反対に、機関の空燃比が急変してリッチとなると、上流空燃比センサ出力値vabyfsは上流センサ目標値vabyfrefよりも小さい値となる。このため、上流出力偏差量Dvabyfは負の値となる。この場合も、上流出力偏差量Dvabyfを示す信号にはハイパスフィルタA5を通過し得る前記カットオフ周波数ω1以上の高周波数成分が含まれている。従って、ハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhi(従って、上流フィードバック補正量DFiup)も負の値となる。この結果、上流フィードバック補正係数KFiupが「1」より小さい値(>0)となる。これにより、燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも小さくなって、機関の空燃比がリーンとなるように制御される。
以上、燃料噴射量算出手段A2、上流センサ目標値設定手段A3、上流出力偏差量算出手段A4、ハイパスフィルタA5、PコントローラA6、及び上流フィードバック補正係数算出手段A7は上流フィードバック制御手段に相当する。
<中流フィードバック制御>
次に、中流フィードバック制御について説明する。中流センサ目標値設定手段A8は、上述した上流センサ目標値設定手段A3と同様、内燃機関10の運転状態に基づいて中流空燃比センサ出力Voxs1の目標値である中流センサ目標値Voxsref1を決定する。この中流センサ目標値Voxsref1は、対応する空燃比が上記上流センサ目標値vabyfrefに対応する空燃比と常時一致するように設定される。従って、中流センサ目標値Voxsref1は、特殊な場合を除き理論空燃比に対応する値(0.5(V))に設定される(図4を参照。)。
中流出力偏差量算出手段A9は、下記(6)式に基づいて、中流センサ目標値設定手段A8により設定されている現時点での中流センサ目標値Voxsref1から現時点での中流空燃比センサ67の出力値Voxs1を減じることにより、中流出力偏差量DVoxs1を求める。この中流出力偏差量DVoxs1は、中流空燃比センサ67の出力値Voxs1と中流センサ目標値Voxsref1との相違の程度に応じた値に相当する。
DVoxs1=Voxsref1-Voxs1 ・・・(6)
バンドパスフィルタA10は、その特性をラプラス演算子sを用いて表した下記(7)式に示すように、一次のフィルタである。このバンドパスフィルタA10の周波数−ゲイン特性は図6に示したとおりである。図6に示したように、バンドパスフィルタA10は、後述するローパスフィルタA15のカットオフ周波数と等しい低周波数側のカットオフ周波数ω0(=1/τlow)以下の低周波数成分を減衰するとともに前記ハイパスフィルタA5のカットオフ周波数と等しい高周波数側のカットオフ周波数ω1(=1/τhi)以上の高周波数成分を減衰する。これにより、バンドパスフィルタA10は、上記低周波数成分が通過することを実質的に禁止するとともに上記高周波数成分が通過することを実質的に禁止する。換言すれば、バンドパスフィルタA10は、上記低周波数側のカットオフ周波数ω0以上、上記高周波数側のカットオフ周波数ω1以下の中周波数成分のみが通過することを実質的に許容する。
1/(1+τhi・s)+(1−1/(1+τlow・s)) ・・・(7)
バンドパスフィルタA10は、前記中流出力偏差量算出手段A9により求められた前記中流出力偏差量DVoxs1の値を入力するとともに、上記(7)式に従って同中流出力偏差量DVoxs1の値をバンドパスフィルタ処理した後の値であるバンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baを出力する。従って、バンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baは、中流空燃比センサ67の出力値Voxs1と中流センサ目標値Voxsref1との相違の程度に応じた値をバンドパスフィルタ処理した後の値である。
PコントローラA11(中流フィードバックコントローラ)は、バンドパスフィルタA10の出力値であるバンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baを比例処理(P処理)することで、下記(8)式に基づいて中流フィードバック補正量DFimidを求める。下記(8)式において、Kmidは予め設定された比例ゲイン(比例定数)である。
DFimid=Kmid・DVoxs1ba ・・・(8)
中流フィードバック補正係数算出手段A12は、前記中流フィードバック補正量DFimidを使用して、下記(9)式に基づいて中流フィードバック補正係数KFimid(>0)を求める。この中流フィードバック補正係数KFimidは、先に述べたように燃料噴射量算出手段A2により燃料噴射量Fiを求める際に使用される。
KFimid=DFimid+1 ・・・(9)
このようにして、本装置は、中流側空燃比センサ出力値Voxs1と中流センサ目標値Voxsref1との相違の程度に応じた値をバンドパスフィルタ処理した後の値であるバンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baをPコントローラA11に入力することで中流フィードバック補正量DFimidを求めるとともに、同中流フィードバック補正量DFimidを使用して中流フィードバック補正係数KFimidを求める。そして、前記基本燃料噴射量Fbaseに中流フィードバック補正係数KFimidを乗算することで、上述した上流フィードバック制御、及び後述する下流フィードバック制御による基本燃料噴射量Fbaseの補正とは独立に同基本燃料噴射量Fbaseを補正して中流フィードバック制御を実行する。
例えば、第1触媒53下流であって第2触媒54上流(以下、「中流」と呼ぶこともある。)の排ガスの空燃比がリーンとなると、図4から理解できるように、中流空燃比センサ67の出力値Voxs1は中流センサ目標値設定手段A8により設定されている中流センサ目標値Voxsref1よりも小さな値となる。このため、中流出力偏差量算出手段A9にて求められる中流出力偏差量DVoxs1は正の値となる。ここで、上記「中流」の排ガスの空燃比変動において前記カットオフ周波数ω0以上カットオフ周波数ω1以下の中周波数成分が含まれている場合、この中流出力偏差量DVoxs1を示す信号にも同中周波数成分が含まれる。係る中周波数成分は、バンドパスフィルタA10を通過し得る。従って、この場合、バンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1ba(従って、中流フィードバック補正量DFimid)も正の値となる。この結果、中流フィードバック補正係数算出手段A12により算出される中流フィードバック補正係数KFimidが「1」より大きい値となる。これにより、燃料噴射量算出手段A2にて求められる燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも大きくなって、機関の空燃比がリッチとなるように制御される。
反対に、「中流」の排ガスの空燃比がリッチとなると、中流空燃比センサ出力値Voxs1は中流センサ目標値Voxsref1よりも大きい値となる。このため、中流出力偏差量DVoxs1は負の値となる。従って、上記と同様、バンドパスフィルタA10を通過し得る上記中周波数成分が中流出力偏差量DVoxs1を示す信号に含まれている場合、バンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1ba(従って、中流フィードバック補正量DFimid)も負の値となる。この結果、中流フィードバック補正係数KFimidが「1」より小さい値(>0)となる。これにより、燃料噴射量Fiは、基本燃料噴射量Fbaseよりも小さくなって、機関の空燃比がリーンとなるように制御される。
以上、燃料噴射量算出手段A2、中流センサ目標値設定手段A8、中流出力偏差量算出手段A9、バンドパスフィルタA10、PコントローラA11、及び中流フィードバック補正係数算出手段A12は中流フィードバック制御手段に相当する。
<下流フィードバック制御>
次に、下流フィードバック制御について説明する。下流センサ目標値設定手段A13は、上述した中流センサ目標値設定手段A8と同様、内燃機関10の運転状態に基づいて下流空燃比センサ出力Voxs2の目標値である下流センサ目標値Voxsref2を決定する。この下流センサ目標値Voxsref2も、対応する空燃比が上記上流センサ目標値vabyfrefに対応する空燃比と常時一致するように設定される。従って、下流センサ目標値Voxsref2は、特殊な場合を除き理論空燃比に対応する値(0.5(V))に設定される(図4を参照。)。
下流出力偏差量算出手段A14は、上記(6)式と同様、下記(10)式に基づいて下流出力偏差量DVoxs2を求める。この下流出力偏差量DVoxs2は、下流空燃比センサ68の出力値Voxs2と下流センサ目標値Voxsref2との相違の程度に応じた値に相当する。
DVoxs2=Voxsref2−Voxs2 ・・・(10)
ローパスフィルタA15は、その特性をラプラス演算子sを用いて表した下記(11)式に示すように、一次のフィルタである。下記(11)式において、τlowはローパスフィルタA15の時定数である。このローパスフィルタA15の周波数−ゲイン特性は図6に示したとおりである。図6に示したように、ローパスフィルタA15は、カットオフ周波数ω0(=1/τlow)以上の周波数成分(中周波数以上の成分)を減衰することで同中周波数以上の成分が通過することを実質的に禁止する。換言すれば、ローパスフィルタA15は、上記カットオフ周波数ω0以下の低周波数成分のみが通過することを実質的に許容する。
1/(1+τlow・s) ・・・(11)
ローパスフィルタA15は、前記下流出力偏差量算出手段A14により求められた前記下流出力偏差量DVoxs2の値を入力するとともに、上記(11)式に従って同下流出力偏差量DVoxs2の値をローパスフィルタ処理した後の値であるローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowを出力する。従って、ローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowは、下流空燃比センサ68の出力値Voxs2と下流センサ目標値Voxsref2との相違の程度に応じた値をローパスフィルタ処理した後の値である。
PIコントローラA16(下流フィードバックコントローラ)は、ローパスフィルタA15の出力値であるローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowを比例・積分処理(PI処理)することで、下記(12)式に基づいて下流フィードバック補正量としての下流フィードバック補正係数KFidown(>0)を求める。
KFidown=(Kp・DVoxs2low+Ki・SDVoxs2low)+1 ・・・(12)
上記(12)式において、Kpは予め設定された比例ゲイン(比例定数)、Kiは予め設定された積分ゲイン(積分定数)である。また、SDVoxs2lowはローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowの時間積分値である。
このようにして、本装置は、下流側空燃比センサ出力値Voxs2と下流センサ目標値Voxsref2との相違の程度に応じた値をローパスフィルタ処理した後の値であるローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowをPIコントローラA16に入力することで下流フィードバック補正量としての下流フィードバック補正係数KFidownを求めるとともに、前記基本燃料噴射量Fbaseに下流フィードバック補正係数KFidownを乗算することで、上述した上流フィードバック制御、及び中流フィードバック制御による基本燃料噴射量Fbaseの補正とは独立に同基本燃料噴射量Fbaseを補正して下流フィードバック制御を実行する。
例えば、機関の平均的(定常的)な空燃比がリーンであるために下流空燃比センサ68の出力値Voxs2が理論空燃比よりもリーンである空燃比に対応した値を定常的に示すと、下流出力偏差量算出手段A14により求められる下流出力偏差量DVoxs2が定常的に正の値となる(図4を参照)。従って、ローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowも正の値となり、PIコントローラA16にて求められる下流フィードバック補正係数KFidownは「1」より大きい値となる。これにより、燃料噴射量算出手段A2にて求められる燃料噴射量Fiは基本燃料噴射量Fbaseよりも大きくなって、機関の空燃比がリッチとなるように制御される。
反対に、機関の定常的な空燃比がリッチであるために下流側空燃比センサ出力値Voxs2が理論空燃比よりもリッチである空燃比に対応した値を定常的に示すと、下流出力偏差量DVoxs2(従って、ローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2low)が負の値となるので、下流フィードバック補正係数KFidownは「1」より小さい値(>0)となる。これにより、燃料噴射量Fiは基本燃料噴射量Fbaseよりも小さくなって、機関の空燃比がリーンとなるように制御される。
また、PIコントローラA16は積分処理を実行する(即ち、積分(I)項「Ki・SDVoxs2low」が使用されている)から、機関が定常運転状態にある場合、下流出力偏差量DVoxs2が「0」になることが保証される。換言すれば、下流空燃比センサ68の出力値Voxs2の下流センサ目標値Voxsref2からの定常偏差がゼロになる。そして、定常運転状態では、下流出力偏差量DVoxs2が「0」になることで比例項Kp・DVoxs2lowが「0」となるから、下流フィードバック補正係数KFidownは積分項Ki・SDVoxs2lowの値に「1」を加えた値となる。この値が基本燃焼噴射量Fbaseに乗算されることにより、インジェクタ39の誤差(指令される燃料噴射量である燃料噴射量Fiと実際の燃料噴射量の差)、エアフローメータ61の誤差(吸入空気流量計測値Gaと実際の吸入空気流量の差)が補償されつつ、定常運転状態において第2触媒54の下流の空燃比(従って、機関の空燃比)が下流センサ目標値Voxsref2に対応する目標空燃比(即ち、原則的に理論空燃比)に収束する。以上、燃料噴射量算出手段A2、下流センサ目標値設定手段A13、下流出力偏差量算出手段A14、ローパスフィルタA15、及びPIコントローラA16が下流フィードバック制御手段に相当する。
<空燃比フィードバック制御間の相互干渉の回避>
上述したように、上流フィードバックコントローラであるPコントローラA6に入力される値Dvabyfhiには、ハイパスフィルタA5のカットオフ周波数ω1以上の高周波数成分のみが含まれているから、上流フィードバック制御の制御周波数帯域はω1以上の帯域となる。
中流フィードバックコントローラであるPコントローラA11に入力される値DVoxs1baには、ローパスフィルタA15のカットオフ周波数ω0以上、ハイパスフィルタA5のカットオフ周波数ω1以下の中周波数成分のみが含まれているから、中流フィードバック制御の制御周波数帯域は、ω0以上ω1以下の帯域となる。
同様に、下流フィードバックコントローラであるPIコントローラA16に入力される値DVoxs2lowには、ローパスフィルタA15のカットオフ周波数ω0以下の低周波数成分のみが含まれているから、下流フィードバック制御の制御周波数帯域は、ω0以下の帯域となる。
これにより、上記3つの空燃比フィードバック制御(上流、中流、下流フィードバック制御)の制御周波数帯域は、それぞれが互いに重複しないように設定されている。従って、本装置においては、3つの空燃比フィードバック制御間の相互の干渉が回避されている。
更には、機関が過渡運転状態にある場合等、排ガスの空燃比がハイパスフィルタA5のカットオフ周波数ω1以上の高周波数で急変・変動するような場合、係る空燃比変動により、上流空燃比センサ66の出力値vabyfsにはカットオフ周波数ω1以上の高周波数成分が含まれる。この高周波数成分はハイパスフィルタA5を通過する。従って、本装置においては、過渡運転状態における空燃比の急変に対する空燃比制御(補償)は上流フィードバック制御により迅速、且つ確実に行われ得る。
また、第2触媒54の下流の空燃比変動として現れ得る程度の、ローパスフィルタA15のカットオフ周波数ω0以下の極低周波数での定常的な空燃比変動が発生するような場合、係る定常的な空燃比変動により、下流空燃比センサ68の出力値Voxs2にはカットオフ周波数ω0以下の低周波数成分が含まれる。この低周波数成分はローパスフィルタA15を通過する。従って、本装置においては、このような定常的な空燃比変動に対する空燃比制御は、下流フィードバック制御により確実に達成され得る。
加えて、第1触媒53の下流であって第2触媒54の上流の空燃比変動として現れ得るω0以上ω1以下の中周波数での空燃比変動に対しては、中流フィードバック制御により空燃比制御が実行される。係る中流フィードバック制御による燃料噴射量Fiの補正は、下流空燃比センサ出力Voxs2の下流センサ目標値Voxsref2への収束を促進する方向に働くと考えられる。即ち、中流フィードバック制御の実行により、第2触媒54から排出されるエミッションの排出量をより一層抑制することができる。
更には、本装置においては、上記3つの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域は、上流フィードバック制御、中流フィードバック制御、下流フィードバック制御の順に、高い帯域に設定されている。ここで、空燃比フィードバック制御における前記「触媒に起因するむだ時間」は、上流フィードバック制御、中流フィードバック制御、下流フィードバック制御の順に、短くなる。一方、フィードバック制御におけるハンチングの発生を抑制する上では、同制御における「むだ時間」が長くなるほど同制御の制御周波数帯域をより低い帯域に設定することが好ましい。以上のことから、本装置においては、空燃比フィードバック制御における前記「触媒に起因するむだ時間」によるハンチングの発生が効果的に抑制されている。
以上のように、本装置においては、ハンチングの発生が適切に抑制され得るとともに、上記3つの空燃比フィードバック制御間の相互の干渉が回避され得る。以上が、本装置が行う機関の空燃比のフィードバック制御の概要である。
(実際の作動)
次に、上記第1実施形態に係る空燃比制御装置の実際の作動について説明する。
<空燃比フィードバック制御>
CPU71は、図7にフローチャートにより示した燃料噴射量Fiの計算、及び燃料噴射の指示を行うルーチンを、各気筒のクランク角が各吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、任意の気筒のクランク角度が前記所定クランク角度になると、CPU71はステップ700から処理を開始してステップ705に進み、エアフローメータ61が計測している吸入空気流量Gaと、クランクポジションセンサ64の出力に基づいて得られるエンジン回転速度NEと、ROM72が記憶しているテーブルMapMcとに基づいて今回の吸気行程を迎える気筒の吸入空気量である筒内吸入空気量Mcを求める。
次に、CPU71はステップ710に進み、上記求めた筒内吸入空気流量Mcを現時点での上記目標空燃比abyfrで除することで、機関の空燃比を同目標空燃比abyfrとするための基本燃料噴射量Fbaseを求める。
次いで、CPU71はステップ715に進み、上記求めた基本燃料噴射量Fbaseに、後述するルーチンで計算されている上流、中流、下流フィードバック補正係数KFiup,KFimid,KFidownをそれぞれ乗じることで上記(1)式に従って燃料噴射量Fiを算出する。
そして、CPU71はステップ720に進み、燃料噴射量Fiの燃料を噴射するための指示を今回の吸気行程を迎える気筒のインジェクタ39に対して行った後、ステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。以上により、上流、中流、下流フィードバック制御によりそれぞれ独立に補正された後の燃料噴射量Fiの燃料が吸気行程を迎える気筒に対して噴射される。
(上流フィードバック補正係数の計算)
次に、上流フィードバック制御において上流フィードバック補正係数KFiupを算出する際の作動について説明すると、CPU71は図8にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ800から処理を開始し、ステップ805に進んで上流フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。この上流フィードバック制御条件は、例えば、機関の冷却水温THWが第1所定温度以上であって、機関の一回転当りの吸入空気量(負荷)が所定値以下であるときに成立する。
いま、上流フィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU71はステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進み、現時点の上流側空燃比センサ66の出力値vabyfsから現時点での上流センサ目標値vabyfrefを減じることで上記(2)式に従って上流出力偏差量Dvabyfを求める。
次いで、CPU71はステップ815に進み、前記上流出力偏差量DvabyfをハイパスフィルタA5によりハイパスフィルタ処理してハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhiを取得し、続くステップ820にて上記(4)式に従って上流フィードバック補正量DFiupを求める。
続いて、CPU71はステップ825に進み、上記求めた上流フィードバック補正量DFiupと、上記(5)式とに基づいて上流フィードバック補正係数KFiupを求め、続くステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上により、上流フィードバック補正係数KFiupが求められ、この上流フィードバック補正係数KFiupが前述した図7のステップ715により燃料噴射量Fiに反映されることで上述した上流フィードバック制御に基づく機関の空燃比制御が実行される。
一方、ステップ805の判定時において、上流フィードバック制御条件が不成立であると、CPU71は同ステップ805にて「No」と判定してステップ830に進んで上流フィードバック補正係数KFiupの値を「1」に設定し、その後、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、上流フィードバック制御条件が不成立であるときは、上流フィードバック補正係数KFiupの値を「1」として上流フィードバック制御に基づく機関の空燃比の補正を行わない。
(中流フィードバック補正係数の計算)
次に、中流フィードバック制御において中流フィードバック補正係数KFimidを算出する際の作動について説明すると、CPU71は図9にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ900から処理を開始し、ステップ905に進んで中流フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。この中流フィードバック制御条件は、例えば、前述したステップ805での上流フィードバック制御条件に加え、機関の冷却水温THWが前記第1所定温度よりも高い第2所定温度以上のときに成立する。
いま、中流フィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU71はステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、現時点での中流センサ目標値Voxsref1から現時点の中流空燃比センサ67の出力値Voxs1を減じることで上記(6)式に従って中流出力偏差量DVoxs1を求める。
次いで、CPU71はステップ915に進み、前記中流出力偏差量DVoxs1をバンドパスフィルタA10によりバンドパスフィルタ処理してバンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baを取得し、続くステップ920にて上記(8)式に従って中流フィードバック補正量DFimidを求める。
続いて、CPU71はステップ925に進み、上記求めた中流フィードバック補正量DFimidと、上記(9)式とに基づいて中流フィードバック補正係数KFimidを求め、続くステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上により、中流フィードバック補正係数KFimidが求められ、この中流フィードバック補正係数KFimidが前述した図7のステップ715により燃料噴射量Fiに反映されることで上述した中流フィードバック制御に基づく機関の空燃比制御が実行される。
一方、ステップ905の判定時において、中流フィードバック制御条件が不成立であると、CPU71は同ステップ905にて「No」と判定してステップ930に進んで中流フィードバック補正係数KFimidの値を「1」に設定し、その後、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、中流フィードバック制御条件が不成立であるときは、中流フィードバック補正係数KFimidの値を「1」として中流フィードバック制御に基づく機関の空燃比の補正を行わない。
(下流フィードバック補正係数の計算)
次に、下流フィードバック制御において下流フィードバック補正係数KFidownを算出する際の作動について説明すると、CPU71は図10にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行している。従って、所定のタイミングになると、CPU71はステップ1000から処理を開始し、ステップ1005に進んで下流フィードバック制御条件が成立しているか否かを判定する。下流フィードバック制御条件は、例えば、前述したステップ905での中流フィードバック制御条件と同一である。
いま、下流フィードバック制御条件が成立しているものとして説明を続けると、CPU71はステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、上記(10)式に従って、現時点での下流センサ目標値Voxsref2から現時点の下流空燃比センサ68の出力値Voxs2を減じることにより、下流出力偏差量DVoxs2を求める。
次に、CPU71はステップ1015に進んで、前記下流出力偏差量DVoxs2をローパスフィルタA15によりローパスフィルタ処理してローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowを取得する。
次いで、CPU71はステップ1020に進み、上記(12)式に従って、下流フィードバック補正係数KFidownを求め、続くステップ1025にて、その時点におけるローパスフィルタ通過後下流出力偏差量の積分値SDVoxs2lowに上記ステップ1015にて求めたローパスフィルタ通過後下流出力偏差量DVoxs2lowを加えて、新たなローパスフィルタ通過後出力偏差量の積分値SDVoxs2lowを求める。そして、CPU71はステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上により、下流フィードバック制御係数KFidownが求められ、この下流フィードバック補正係数KFidownが前述した図7のステップ715により燃料噴射量Fiに反映されることで上述した下流フィードバック制御に基づく機関の空燃比制御が実行される。
一方、ステップ1005の判定時において、下流フィードバック制御条件が不成立であると、CPU71は同ステップ1005にて「No」と判定してステップ1030に進んで下流フィードバック補正係数KFidownの値を「1」に設定し、続くステップ1035にてローパスフィルタ通過後下流出力偏差量の積分値SDVoxs2lowを「0」に初期化した後、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、下流フィードバック制御条件が不成立であるときは、下流フィードバック補正係数KFidownを「1」として下流フィードバック制御に基づく機関の空燃比の補正を行わない。
以上、説明したように、本発明による内燃機関の空燃比制御装置の第1実施形態によれば、第1触媒53の上流に配設された上流空燃比センサ66の出力値vabyfsに基づく空燃比制御である上流フィードバック制御において、上流空燃比センサ出力値vabyfsに基づく値(上流出力偏差量Dvabyf)をハイパスフィルタA5(通過許可周波数:ω1以上)によりハイパスフィルタ処理した後の値を上流フィードバックコントローラ(PコントローラA6)で比例処理(P処理)することで上流フィードバック補正係数KFiupが求められる。
また、第1触媒53の下流であって第2触媒54の上流に配設された中流空燃比センサ67の出力値Voxs1に基づく空燃比制御である中流フィードバック制御において、中流空燃比センサ出力値Voxs1に基づく値(中流出力偏差量DVoxs1)をバンドパスフィルタA10(通過許可周波数:ω0以上ω1以下)によりバンドパスフィルタ処理した後の値を中流フィードバックコントローラ(PコントローラA11)で比例処理(P処理)することで中流フィードバック補正係数KFimidが求められる。
加えて、第2触媒54の下流に配設された下流空燃比センサ68の出力値Voxs2に基づく空燃比制御である下流フィードバック制御において、下流空燃比センサ出力値Voxs2に基づく値(下流出力偏差量DVoxs2)をローパスフィルタA15(通過許可周波数:ω0以下)によりローパスフィルタ処理した後の値を下流フィードバックコントローラ(PIコントローラA16)で比例・積分処理(PI処理)することで下流フィードバック補正係数KFidownが求められる。
そして、上流、中流、下流フィードバック補正係数KFiup,KFimid,KFidownで互いに独立に燃料噴射量Fiを補正することにより、上流フィードバック制御、中流フィードバック制御、及び下流フィードバック制御がそれぞれ実行される。
これにより、上流、中流、下流フィードバック制御の制御周波数帯域はそれぞれ、高周波数帯域(ω1以上)、中周波数帯域(ω0以上ω1以下)、低周波数帯域(ω0以下)となり、それぞれが互いに重複しないように設定される。これにより、上記3つの空燃比フィードバック制御間の相互の干渉が回避されるから、良好な空燃比制御が達成され得、この結果、エミッションの排出量を安定して抑制することができる。
また、これにより、上流フィードバック制御は、機関が過渡運転状態にある場合等における高周波数の空燃比変動(外乱等による高周波数の変動を含む。)に対する空燃比制御を達成し得る。下流フィードバック制御は、第2触媒54の下流の空燃比変動として現れ得る程度の極低周波数での定常的な空燃比変動に対する空燃比制御を達成し得る。また、下流フィードバック制御では、PIコントローラA16にて積分処理が実行されるから、第2触媒下流の空燃比の目標空燃比(理論空燃比)からの定常偏差が「0」になることが保証される。この結果、定常運転状態でのエミッションの排出量を効果的に低減することができる。
加えて、中流フィードバック制御は、第1触媒53から流出する排ガスの空燃比変動として現れ得る、上流フィードバック制御、及び下流フィードバック制御ではカバーされない中周波数帯域での空燃比変動に対する空燃比制御を達し得る。
更には、この結果、3つの空燃比フィードバック制御の制御周波数帯域が互いに連続することになり、あらゆる周波数の空燃比変動に対して3つの空燃比フィードバック制御の何れかにより確実に空燃比制御が実行され得るようになる。この結果、第2触媒54から排出されるエミッションの排出量をより一層安定して抑制することができる。
また、上流フィードバック制御系(従って、上流フィードバックコントローラ(PコントローラA6))と、中流フィードバック制御系(従って、中流フィードバックコントローラ(PコントローラA11))と、下流フィードバック制御系(従って、下流フィードバックコントローラ(PIコントローラA16))とが、燃料噴射量Fiの補正に関して並列に接続されている。従って、上流フィードバック制御系のフィードバック制御定数(即ち、PコントローラA6の比例ゲインKup)と、中流フィードバック制御系のフィードバック制御定数(即ち、PコントローラA11の比例ゲインKmid)と、下流フィードバック制御系のフィードバック制御定数(即ち、PIコントローラA16の比例ゲインKp、及び積分ゲインKi)と、のうちいずれか一つの制御系の制御定数の適合を行うとき、同適合が他の2つの制御系の制御定数の値から受ける影響の程度は少ない。この結果、各フィードバック制御定数の適合を行う際の労力を少なくすることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る空燃比制御装置について説明する。この第2実施形態は、機能ブロック図である図11に示すように、前記上流出力偏差量Dvabyfの代わりに上流空燃比センサ66の出力値vabyfsを直接ハイパスフィルタA5に入力する点、並びに、前記中流出力偏差量DVoxs1の代わりに中流空燃比センサ67の出力値Voxs1を直接バンドパスフィルタA10に入力する点においてのみ、上記第1実施形態と異なる。即ち、上流空燃比センサ出力値vabyfsそのものをハイパスフィルタ処理した後の値に基づいて上流フィードバック補正係数KFiupが算出されるとともに、中流空燃比センサ出力値Voxs1そのものをバンドパスフィルタ処理した後の値に基づいて中流フィードバック補正係数KFimidが算出される。以下、係る相違点を中心として説明する。
この相違点に基づき、この変形例のCPU71は図8、及び図9に示したルーチンに代えて、上流フィードバック補正係数KFiupを算出するための図12にフローチャートにより示したルーチン、及び中流フィードバック補正係数KFimidを算出するための図13にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行する。図12、及び図13において、図8、及び図9に示したステップと同一のステップにはそれぞれ同一の符号を付している。
即ち、図12のルーチンは、上流出力偏差量Dvabyfを求めるためのステップ810が存在しない点、ステップ815〜820にそれぞれ対応するステップ1205〜1210において、上流空燃比センサ出力値vabyfsそのものをハイパスフィルタ処理して得られるハイパスフィルタ通過後上流空燃比センサ出力値vabyfhiに比例ゲインKhiを乗じることで上流フィードバック補正量DFiupを算出する点、においてのみ、図8のルーチンと異なる。従って、図12のルーチンのその他のステップについての詳細な説明は省略する。
また、図13のルーチンは、中流出力偏差量DVoxs1を求めるためのステップ910が存在しない点、ステップ915〜920にそれぞれ対応するステップ1305〜1310において、中流空燃比センサ出力値Voxs1そのものをバンドパスフィルタ処理して得られるバンドパスフィルタ通過後中流空燃比センサ出力値Voxs1baに比例ゲインKmidを乗じることで中流フィードバック補正量DFimidを算出する点、においてのみ、図9のルーチンと異なる。従って、図13のルーチンのその他のステップについての詳細な説明は省略する。
上記第1実施形態においてハイパスフィルタA5に入力される上流出力偏差量Dvabyfは、上流空燃比センサ出力値vabyfsから上流センサ目標値vabyfref(原則的に、理論空燃比に対応する一定値)を減じた値である。従って、上流出力偏差量Dvabyfを示す信号は、上流空燃比センサ出力値vabyfsを示す信号と、変動の中心値が異なる一方で同じタイミング、同じ振幅で増減する波形を有する信号となる。
よって、ハイパスフィルタA5を通過した後のカットオフ周波数ω1以上の高周波数成分からなる上記ハイパスフィルタ通過後上流出力偏差量Dvabyfhiを示す信号は、ハイパスフィルタA5を通過した後の同カットオフ周波数ω1以上の高周波数成分からなる上記ハイパスフィルタ通過後上流空燃比センサ出力値vabyfhiを示す信号と、全く同一の値をとる信号となる。
同様に、上記第1実施形態においてバンドパスフィルタA10に入力される中流出力偏差量DVoxs1は、中流センサ目標値Voxsref1(原則的に、理論空燃比に対応する一定値)から中流空燃比センサ出力値Voxs1を減じた値である。従って、中流出力偏差量DVoxs1を示す信号は、中流空燃比センサ出力値Voxs1を示す信号と、変動の中心値が異なる一方で同じタイミング、同じ振幅で増減する波形を有する信号となる。
よって、バンドパスフィルタA10を通過した後のカットオフ周波数ω0以上の中周波数成分からなる上記バンドパスフィルタ通過後中流出力偏差量DVoxs1baを示す信号は、バンドパスフィルタA10を通過した後の同カットオフ周波数ω0以上の中周波数成分からなる上記バンドパスフィルタ通過後中流空燃比センサ出力値Voxs1baを示す信号と、全く同一の値をとる信号となる。
以上のことから、上流出力偏差量算出手段A4、及び中流出力偏差量算出手段A9を省略した第2実施形態においても、上記第1実施形態と全く同一の作用・効果が得られる。
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第1実施形態においては、「上流空燃比センサの出力値と上流センサ目標値との相違の程度に応じた値」として、上流空燃比センサ出力値vabyfsそのものと上流センサ目標値vabyfrefとの差が使用されているが、上流空燃比センサ66の検出空燃比abyfs(図3を参照。)と目標空燃比abyfrとの差、或いは、筒内吸入空気量Mcを検出空燃比abyfsで除した値である実際の筒内燃料供給量と同筒内吸入空気量Mcを目標空燃比abyfrで除した値である目標筒内燃料供給量との差を使用してもよい。
また、上記第1実施形態においては、「中流空燃比センサの出力値と中流センサ目標値との相違の程度に応じた値」として、中流空燃比センサ出力値Voxs1そのものと中流センサ目標値Voxsref1との差が使用されているが、中流空燃比センサ67の検出空燃比(図4を参照。)と目標空燃比abyfrとの差を使用してもよい。
同様に、上記第1、第2実施形態においては、「下流空燃比センサの出力値と下流センサ目標値との相違の程度に応じた値」として、下流空燃比センサ出力値Voxs2そのものと下流センサ目標値Voxsref2との差が使用されているが、下流空燃比センサ68の検出空燃比(図4を参照。)と目標空燃比abyfrとの差を使用してもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、上流フィードバック補正係数KFiup(>0)を基本燃料噴射量Fbaseに乗じることで上流フィードバック制御を実行しているが、前記上流フィードバック補正量DFiupを基本燃料噴射量Fbaseに加算することにより上流フィードバック制御を実行してもよい。
同様に、上記第1、第2実施形態においては、中流フィードバック補正係数KFimid(>0)を基本燃料噴射量Fbaseに乗じることで中流フィードバック制御を実行しているが、前記中流フィードバック補正量DFimidを基本燃料噴射量Fbaseに加算することにより中流フィードバック制御を実行してもよい。
同様に、上記第1、第2実施形態においては、下流フィードバック補正係数KFidown(>0)を基本燃料噴射量Fbaseに乗じることで下流フィードバック制御を実行しているが、同下流フィードバック補正係数KFidownに相当する正負の値を採りえる下流フィードバック補正量を基本燃料噴射量Fbaseに加算することにより下流フィードバック制御を実行してもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、下流空燃比センサ68の出力値Voxs2と下流センサ目標値Voxsref2との差DVoxs2をローパスフィルタ処理した後の値DVoxs2lowに基づいて下流フィードバック補正係数KFidownを算出しているが、同下流空燃比センサ68の出力値Voxs2をローパスフィルタ処理した後の値と同下流センサ目標値Voxsref2との差に基づいて同下流フィードバック補正係数KFidownを算出するように構成してもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、フィルタ(ハイパスフィルタA5、バンドパスフィルタA10、ローパスフィルタA15)として、1次フィルタを使用しているが、各フィルタが分担するそれぞれの帯域をさらに明白に分ける必要がある場合、これらのフィルタとして2次以上のフィルタを使用してもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、上流フィードバックコントローラとして比例処理(P処理)のみを行うPコントローラA6が採用されているが、微分処理(D処理)のみを行うDコントローラ、或いは、比例・微分処理(PD処理)のみを行うPDコントローラを採用してもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、下流フィードバックコントローラとして比例・積分処理(PI処理)のみを行うPIコントローラA16が採用されているが、比例処理(P処理)のみを行うPコントローラ、或いは、積分処理(I処理)のみを行うIコントローラを採用してもよい。
本発明の第1実施形態に係る空燃比制御装置を適用した内燃機関の概略図である。 図1に示したエアフローメータの出力電圧と計測された吸入空気流量との関係を示したグラフである。 図1に示した上流空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。 図1に示した中流、下流空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係をそれぞれ示したグラフである。 図1に示した空燃比制御装置が空燃比フィードバック制御を実行する際の機能ブロック図である。 図5に示したハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、及びローパスフィルタについての周波数−ゲイン特性をそれぞれ示した図である。 図1に示したCPUが実行する燃料噴射量計算のためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する上流フィードバック補正係数を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する中流フィードバック補正係数を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する下流フィードバック補正係数を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る空燃比制御装置が空燃比フィードバック制御を実行する際の機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行する上流フィードバック補正係数を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る空燃比制御装置のCPUが実行する中流フィードバック補正係数を計算するためのルーチンを示したフローチャートである。 従来の空燃比制御装置が使用するハイパスフィルタ、及びローパスフィルタについての周波数−ゲイン特性をそれぞれ示した図である。
符号の説明
10…内燃機関、25…燃焼室、39…インジェクタ、52…エキゾーストパイプ(排気管)、53…三元触媒(第1触媒)、54…三元触媒(第2触媒)、66…上流空燃比センサ、67…中流空燃比センサ、68…下流空燃比センサ、70…電気制御装置、71…CPU、A5…ハイパスフィルタ、A10…バンドパスフィルタ、A15…ローパスフィルタ

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路に配設された第1触媒と、
    前記第1触媒よりも上流の前記排気通路に配設された空燃比センサである上流空燃比センサと、
    前記第1触媒よりも下流の前記排気通路に配設された空燃比センサである中流空燃比センサと、
    前記中流空燃比センサよりも下流の前記排気通路に配設された第2触媒と、
    前記第2触媒よりも下流の前記排気通路に配設された空燃比センサである下流空燃比センサと、
    前記内燃機関の運転状態に応じた量の燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    を備えた内燃機関に適用される内燃機関の空燃比制御装置であって、
    前記上流空燃比センサの出力値、又は前記上流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である上流センサ目標値との相違の程度に応じた値、をハイパスフィルタ処理した後の値に基づいて上流フィードバック補正量を算出し、前記算出された上流フィードバック補正量により前記燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで前記内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する上流フィードバック制御手段と、
    前記中流空燃比センサの出力値、又は前記中流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である中流センサ目標値との相違の程度に応じた値、をバンドパスフィルタ処理した後の値に基づいて中流フィードバック補正量を算出し、前記算出された中流フィードバック補正量により前記燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで前記内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する中流フィードバック制御手段と、
    前記下流空燃比センサの出力値と同センサの出力の目標値である下流センサ目標値との相違の程度に応じた値をローパスフィルタ処理した後の値、又は前記下流空燃比センサの出力値をローパスフィルタ処理した後の値と前記下流センサ目標値との相違の程度に応じた値、に基づいて下流フィードバック補正量を算出し、前記算出された下流フィードバック補正量により前記燃料噴射手段により噴射される燃料噴射量を補正することで前記内燃機関に供給される混合気の空燃比をフィードバック制御する下流フィードバック制御手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記上流フィードバック制御手段による前記ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数と前記中流フィードバック制御手段による前記バンドパスフィルタ処理の高周波数側のカットオフ周波数とが同一であるとともに、
    前記中流フィードバック制御手段による前記バンドパスフィルタ処理の低周波数側のカットオフ周波数と前記下流フィードバック制御手段による前記ローパスフィルタ処理のカットオフ周波数とが同一である内燃機関の空燃比制御装置。
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