JP4138113B2 - 窓開閉操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、常時は開放方向に付勢された障子に連結されたワイヤの一端が固着された巻き取りドラムを正転させることによりワイヤを巻き取りドラムに巻き取って障子を閉鎖し、障子への開放付勢力に基づく巻き取りドラムの逆転によりワイヤを巻き取りドラムから繰り出して、障子を開放するようにした窓開閉操作装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
窓開閉操作装置としては、実公平6−13982号公報に記載されているものがあるが、この公報に記載された窓開閉操作装置では、巻き取りドラムに形成されたラチェットホイールに係合する二つのラチェット爪部材を設けて、ワイヤを巻き取りドラムに巻き取る際には、一方のラチェット爪部材をラチェットホイールに係合させて、巻き取りドラムの逆転を禁止(ロック)し、ワイヤを巻き取りドラムから繰り出す際には、押しボタンの操作により一方のラチェット爪部材とラチェットホイールとの係合を解除(ロック解除)して、他方のラチェット爪部材をラチェットホイールに係合させ、繰り出し後のワイヤの巻き取りにおいては、他方のラチェット爪部材とラチェットホイールとの係合により押しボタンの自動復帰を行わせるようにしている。
【0003】
ところで、公報に記載の窓開閉操作装置においては、ラチェットホイールの回転で、他方のラチェット爪部材をラチェットホイールの係止歯から押し出すようにして押しボタンの自動復帰を行っているために、他方のラチェット爪部材とラチェットホイールの係止歯との間の摩擦が大きいと、押しボタンの自動復帰がスムーズに行われない虞があり、また、他方のラチェット爪部材とラチェットホイールの係止歯との係合角が浅いものでないと、他方のラチェット爪部材をラチェットホイールの係止歯から押し出すことが困難となり、他方のラチェット爪部材がラチェットホイールの回転に対しての突っ張り部材となり、結局、上記と同様に、押しボタンの自動復帰をスムーズに且つ信頼性をもって行い得ない場合が生じ得る。
【0004】
また、ロック及びロック解除に二つのラチェット爪部材を設けるために構造が複雑となり、しかも、この二つのラチェット爪部材及びラチェットホイールの係止歯を上記の不都合が生じないように、設計、調整しなければならないために、コストアップになる虞がある。
【0005】
更に、公報に記載の窓開閉操作装置においては、操作ハンドルは着脱式となっているために、操作ハンドルの紛失等により障子を閉鎖できなくなる場合があり、それ程実用的であるとは言えず、加えて、不注意により操作ハンドルを取り付けけたままでロック解除が行われると、操作ハンドルの飛び出し又は操作指の操作ハンドルへの巻き込み等が生じ、思わぬ事故の原因となる虞がある。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、設計、調整が容易であって、コスト低減を図り得る窓開閉操作装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的とするところは、巻き取りドラムの逆転を禁止する禁止手段をスムーズに元に復帰させることができる窓開閉操作装置を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的とするところは、操作ハンドルの紛失等を生じさせることがなく、しかも、操作ハンドルに適宜の逆転阻止力が付加されている場合には、巻き取りドラムが逆転されても、操作ハンドルが逆転しないようにした窓開閉操作装置を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的とするところは、操作ハンドルの飛び出し又は操作指の操作ハンドルへの巻き込み等を生じさせない安全な窓開閉操作装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
常時は開放方向に付勢された障子に連結されたワイヤの一端が固着された巻き取りドラムを正転させることによりワイヤを巻き取りドラムに巻き取って障子を閉鎖し、障子への開放付勢力に基づく巻き取りドラムの逆転によりワイヤを巻き取りドラムから繰り出して、障子を開放するようにした本発明の第一の態様の窓開閉操作装置は、回転操作自在な回転ハンドル手段と、この回転ハンドル手段の逆転を禁止するハンドル逆転禁止手段と、回転ハンドル手段からの回転を巻き取りドラムに伝達すると共に、巻き取りドラムの逆転において、ハンドル逆転禁止手段により逆転が禁止されている回転ハンドル手段に対して巻き取りドラムを空転させる回転伝達手段と、巻き取りドラムの逆転を禁止する巻き取りドラム逆転禁止手段と、この巻き取りドラム逆転禁止手段の逆転禁止を解除する解除手段と、逆転禁止が解除された状態の巻き取りドラム逆転禁止手段を元に復帰させる復帰手段とを具備している。
【0011】
第一の態様の窓開閉操作装置では、回転ハンドル手段と、ハンドル逆転禁止手段と、このハンドル逆転禁止手段により逆転が禁止されている回転ハンドル手段に対して巻き取りドラムを空転させる回転伝達手段とを具備するために、回転ハンドル手段の紛失等を生じさせることがなく、しかも、巻き取りドラムの逆転で回転ハンドル手段が逆転されることがなく、その上、ハンドル逆転禁止手段が正常に動作しないようになっても、回転ハンドル手段に適宜の逆転阻止力が付加されている場合には、巻き取りドラムが逆転されても、回転ハンドル手段が逆転しなく、而して、回転ハンドル手段の飛び出し又は操作指の回転ハンドル手段への巻き込み等を生じさせない安全なものを提供できる。
【0012】
本発明の第二の態様の窓開閉操作装置では、第一の態様の窓開閉操作装置において、回転伝達手段は、遊星歯車機構を具備しており、遊星歯車機構は、回転ハンドル手段に連結された入力軸と、この入力軸に設けられた太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合って太陽歯車の周りに配されて、巻き取りドラムに回転自在に支持された遊星歯車と、この遊星歯車に噛み合って遊星歯車を取り囲むと共に、巻き取りドラムに対して回転自在に配された内歯歯車とを具備している。
【0013】
第二の態様の窓開閉操作装置によれば、回転伝達手段が遊星歯車機構を具備して構成されているために、構成が簡単となる上に、回転ハンドル手段に対する巻き取りドラムの空転を確実且つ滑らかに行わせることができ、而して、ハンドル逆転禁止手段が正常に動作しない場合でも、回転ハンドル手段への少しの逆転阻止力の付加により、巻き取りドラムの逆転での回転ハンドルの逆転を確実に阻止でき、更にフェールセーフな安全なものを提供できる。
【0014】
本発明の第三の態様の窓開閉操作装置では、第一又は第二の態様の窓開閉操作装置において、回転ハンドル手段は、円盤状のハンドル基体と、このハンドル基体に取り付けられたハンドル摘みとを具備しており、ハンドル逆転禁止手段は、ハンドル基体に固定して設けられたラチェット歯と、このラチェット歯に係合された揺動自在なラチェット爪部材と、このラチェット爪部材をラチェット歯への係合方向に弾性的に付勢する弾性手段とを具備している。
【0015】
第三の態様の窓開閉操作装置によれば、円盤状のハンドル基体を具備しているために、操作指の回転ハンドル手段への巻き込み等を生じさせない安全なものを提供でき、また、ラチェット歯とラチェット爪部材とでハンドル逆転禁止手段を構成するために、逆転禁止に関して信頼性のあるものを提供できる。
【0016】
本発明の第四の態様の窓開閉操作装置では、上記のいずれかの態様の窓開閉操作装置において、巻き取りドラム逆転禁止手段は、内歯歯車の外周に設けられた他のラチェット歯と、この他のラチェット歯に係合する他のラチェット爪部材と、この他のラチェット爪部材を揺動自在に備えている回動自在なアーム部材と、他のラチェット爪部材を他のラチェット歯に係合する方向に弾性的に付勢する弾性手段と、アーム部材を一方の方向に回動するように弾性的に付勢する弾性手段と、他のラチェット爪部材の他のラチェット歯への係合を維持するべく、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備しており、解除手段は、手動操作によりアーム部材の一端の維持手段への当接を解除するべく、維持手段を変位させるようになっている。
【0017】
第四の態様の窓開閉操作装置によれば、他のラチェット爪部材を備えている回動自在なアーム部材と、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備し、解除手段が維持手段を変位させるようになっているために、設計、調整が容易であって、コスト低減を図り得る。
【0018】
本発明の第五の態様の窓開閉操作装置では、第一の態様の窓開閉操作装置において、回転ハンドル手段は、円盤状のハンドル基体を具備しており、ハンドル逆転禁止手段は、ハンドル基体に固定して設けられたラチェット歯と、このラチェット歯に係合された揺動自在なラチェット爪部材とを具備しており、巻き取りドラム逆転禁止手段は、内歯歯車の外周に設けられた他のラチェット歯と、この他のラチェット歯に係合する他のラチェット爪部材と、この他のラチェット爪部材を揺動自在に備えている回動自在なアーム部材と、アーム部材を一方の方向に回動するように弾性的に付勢する弾性手段と、他のラチェット爪部材の他のラチェット歯への係合を維持するべく、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備しており、解除手段は、手動操作によりアーム部材の一端の維持手段への当接を解除するべく、維持手段を変位させるようになっており、復帰手段は、ハンドル基体の回転によるハンドル逆転禁止手段のラチェット爪部材の揺動で揺動される揺動自在部材を具備しており、揺動自在部材は、その揺動においてアーム部材の他端に当接して、アーム部材を他方の方向に回動させるようになっている。
【0019】
第五の態様の窓開閉操作装置によれば、円盤状のハンドル基体を具備しているために、操作指の回転ハンドル手段への巻き込み等を生じさせない安全なものを提供でき、また、ラチェット歯とラチェット爪部材とでハンドル逆転禁止手段を構成するために、逆転禁止に関して信頼性のあるものを提供でき、しかも、他のラチェット爪部材を備えている回動自在なアーム部材と、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備し、解除手段が維持手段を変位させるようになっており、復帰手段が揺動自在部材を具備しており、揺動自在部材がアーム部材の他方の方向に回動させるようになっているために、極めて設計、調整が容易であって、コスト低減を大幅に図り得る。
【0020】
本発明の第六の態様の窓開閉操作装置では、第四又は第五の態様の窓開閉操作装置において、維持手段は、揺動自在に支持された他の揺動自在部材と、アーム部材の一方の方向の回動を阻止する揺動方向に揺動自在部材を弾性的に付勢する弾性手段とを具備している。
【0021】
本発明の第七の態様の窓開閉操作装置では、上記のいずれかの態様の窓開閉操作装置において、巻き取りドラムの逆転における当該巻き取りドラムの回転速度を抑える制動手段を更に具備している。
【0022】
第七の態様の窓開閉操作装置によれば、制動手段を具備しているために、巻き取りドラムの逆回転におけるその回転速度を抑えて、障子の窓枠12等への激突を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこの例に何等限定されないのである。
【0024】
【実施例】
図1から図9において、本例の窓開閉操作装置1は、常時は開放方向にガスステイ2により付勢された障子3に連結されたワイヤ4の一端が固着された巻き取りドラム6を正転、すなわちF方向に回転させることによりワイヤ4を巻き取りドラム6に巻き取って障子3を閉鎖し、ガスステイ2のガス圧及び障子3の自重に基づく障子3への開放付勢力により巻き取りドラム6の逆転、すなわちR方向の回転によりワイヤ4を巻き取りドラム6から繰り出して、障子3を開放するようになっている。
【0025】
なお、本例では、障子3への開放付勢力を、ガスステイ2のガス圧及び障子3の自重により与えているが、これに代えて、障子3の自重のみで与えてもよく、また、板ばね又はコイルばね等により与えてもよい。
【0026】
各ガスステイ2は、障子3の枠11と窓枠12との間に配されており、各障子3を常時そのガス圧により開放方向に付勢している。障子3及び窓枠12等からなる排煙窓13の窓枠12に一端で回動自在に軸支された各障子3の夫々及び窓枠12には、プーリ14が取り付けられており、他端15が窓枠12に固定されたワイヤ4は、各プーリ14を通って配索されている。
【0027】
手動操作可能なように、排煙窓13の下方の壁面等に配される窓開閉操作装置1は、前記の巻き取りドラム6と、回転操作自在な回転ハンドル手段21と、回転ハンドル手段21の逆転を禁止するハンドル逆転禁止手段22と、回転ハンドル手段21からの回転を巻き取りドラム6に伝達すると共に、巻き取りドラム6の逆転において、ハンドル逆転禁止手段22により逆転が禁止されている回転ハンドル手段21に対して巻き取りドラム6を空転させる回転伝達手段23と、巻き取りドラム6の逆転を禁止する巻き取りドラム逆転禁止手段24と、巻き取りドラム逆転禁止手段24の逆転禁止を解除する解除手段25と、逆転禁止が解除された状態の巻き取りドラム逆転禁止手段24を元に復帰させる復帰手段26と、巻き取りドラム6のR方向の回転における巻き取りドラム6の回転速度を抑える制動手段27と、排煙窓13の下方の壁面等にねじ等により固着される基台28と、支柱部29を一体に有しており、基台28にねじ及び支柱29等を介して取り付けられた中間基板30と、ドラム6、ハンドル逆転禁止手段22、回転伝達手段23、巻き取りドラム禁止手段24、復帰手段26、制動手段27及び中間基板30等を覆うように、基台28に着脱自在に取り付けられており、貫通孔31及び32を有した化粧カバー33とを具備している。
【0028】
巻き取りドラム6は、中空の巻き取りドラム本体35と、巻き取りドラム本体35の一端面にねじ36等を介して取り付けられた環状の歯付き鍔部37と、歯付き鍔部37と同様に、巻き取りドラム本体35の他端面にねじ等を介して取り付けられた環状の鍔部38とを具備している。
【0029】
巻き取りドラム6は、軸心42を中心としたF方向の回転により、これに一端が固着されたワイヤ4を巻き取りドラム本体35に巻き取り、解除手段25の作動で、軸心42を中心としたF方向と逆のR方向の回転により、巻き取りドラム本体35に巻き取ったワイヤ4を繰り出すようになっている。
【0030】
回転ハンドル手段21は、化粧カバー33の前面に配された円盤状のハンドル基体51と、ハンドル基体51に回転自在に取り付けられたハンドル摘み52とを具備しており、ハンドル基体51は、その中心部の六角孔53に嵌合された回転軸54の六角形の一端部55にねじ56により固着されており、ハンドル摘み52を介してハンドル基体51をF方向に回転させることにより、回転軸54が同じく軸心42を中心としてF方向に回転されるようになっている。
【0031】
ハンドル逆転禁止手段22は、中央部に、六角孔53と同位置に配されて、回転軸54の一端部55が挿通された六角孔61を有しており、ハンドル基体51の裏面に一体的に固定して設けられた歯部材62と、歯部材62の外周に形成されたラチェット歯63に係合された揺動自在なラチェット爪部材64と、ラチェット爪部材64をラチェット歯63への係合方向に弾性的に付勢する捩りコイルばね65からなる弾性手段66とを具備している。
【0032】
ラチェット爪部材64は、揺動伝達軸72の一端部に固着されており、揺動伝達軸72は、その一端部側では、中間基板30に形成された貫通孔71を貫通して当該中間基板30に回転自在に支持されており、他端部側では、基台28に同じく回転自在に支持されている。
【0033】
捩りコイルばね65は、一端75が中間基板30に、他端76がラチェット爪部材64に夫々係止されて、中間部77が揺動伝達軸72において中間基板30から突出する一端部側の周りに巻かれており、ラチェット爪部材64をラチェット歯63へ常に係合させるように弾性的に付勢している。
【0034】
ハンドル逆転禁止手段22は、捩りコイルばね65の弾性力によるラチェット爪部材64のラチェット歯63への係合でハンドル基体51のR方向の回転を禁止する一方、ハンドル基体51のF方向の回転における捩りコイルばね65の弾性力に抗するラチェット爪部材64のラチェット歯63への断続的な係合解除で、当該ハンドル基体51のF方向の回転を許容するようになっている。
【0035】
なお、揺動伝達軸72は、ハンドル基体51のF方向の回転によるラチェット爪部材64のラチェット歯63への断続的な係合でラチェット爪部材64が揺動することにより、往復回動されるようになっている。
【0036】
回転伝達手段23は、遊星歯車機構81を具備しており、遊星歯車機構81は、回転ハンドル手段21のハンドル基体51に一端部55が連結された入力軸としての前記の回転軸54と、回転軸54の他端部に一体的に形成されて設けられた太陽歯車82と、太陽歯車82に噛み合って太陽歯車82の周りに配されていると共に、巻き取りドラム6の鍔部38に回転自在に支持された3個の遊星歯車83と、遊星歯車83に噛み合う歯84が内周面に形成されており、遊星歯車83を取り囲む内歯歯車85とを具備している。
【0037】
回転軸54は、太陽歯車82が形成されたその他端部において基台28に回転自在に支持されて、内歯歯車85の中央孔90及び巻き取りドラム6の中心貫通孔86並びに鍔付きブッシュ87の貫通孔88、中間基板30に形成された貫通孔89及び化粧カバー33の貫通孔31を通って、ハンドル基体51にその一端部55が連結されて、配されている。
【0038】
内歯歯車85は、巻き取りドラム6の鍔部38に隣接して、鍔部38に対して軸心42を中心として相対的にF及びR方向に回転自在となるように配されている。
【0039】
なお、巻き取りドラム6の中央の貫通孔86には、鍔付きブッシュ87の円筒部91が挿着されており、円筒部91を介して巻き取りドラム6は、回転軸54に対して相対的にF及びR方向に回転自在に支持されている。
【0040】
遊星歯車機構81は、巻き取りドラム逆転禁止手段24により内歯歯車85がR方向の回転が禁止されている際にハンドル基体51がF方向に回転されて、回転軸54が同じくF方向に回転されると、この回転を太陽歯車82及び遊星歯車83を介して巻き取りドラム6に伝達して、巻き取りドラム6がF方向に回転されるようにし、逆に、巻き取りドラム逆転禁止手段24による内歯歯車85のR方向の回転の禁止が解除されて、巻き取りドラム6がR方向に回転される際には、ハンドル逆転禁止手段22によりハンドル基体51のR方向の回転が禁止されて、回転軸54もR方向の回転が禁止されている結果、巻き取りドラム6を回転ハンドル手段21のハンドル基体51に対して空転させるようになっている。
【0041】
巻き取りドラム逆転禁止手段24は、内歯歯車85の外周に形成されたラチェット歯101と、ラチェット歯101に係合するラチェット爪部材102と、ラチェット爪部材102を揺動自在に備えている回動自在なアーム部材103と、ラチェット爪部材102をラチェット歯101に係合する方向に弾性的に付勢する弾性手段104と、アーム部材103を軸ピン118の周りで一方の方向、すなわちA方向に回動するように弾性的に付勢する弾性手段105と、ラチェット爪部材102のラチェット歯101への係合を維持するべく、アーム部材103の一端106に当接してアーム部材103のA方向の回動を阻止する変位自在な維持手段107とを具備している。
【0042】
ラチェット爪部材102は、軸ピン111を介してアーム部材103の凹所112に揺動自在に取り付けられており、凹所112によりその揺動限界が規定されるようになっている。
【0043】
アーム部材103は、凹所112が形成されたL形のアーム本体115と、アーム本体115に一体に形成された中空の軸受部116と、アーム本体115の一端に一体に且つ前面に立ち上がって形成されており、一端106を有したL形状部117とを具備しており、軸受部116に挿入されて且つアーム本体115を貫通して、一端が基台28に固着された軸ピン118により、当該軸ピン118の周りでA及びB方向に回動となるように、基台28に取り付けられている。
【0044】
弾性手段104は、一端121がアーム本体115の一方の側面に形成された窪み122に係止されて、他端123がラチェット爪部材102に係止され、中間部124が軸ピン111の周りに巻かれて配された捩りコイルばね125からなる。
【0045】
弾性手段105は、一端131がアーム本体115の他方の側面に形成された窪み132に係止されて、他端133が、基台28に一体に形成された円筒部134に係止され、中間部135が軸受部116の周りに巻かれて配された捩りコイルばね136からなる。
【0046】
維持手段107は、基台28に一体に形成された支持部材141と、支持部材141に、軸ピン142を介してC及びD方向に変位自在、本例では揺動自在に支持された揺動自在部材143と、アーム部材103の一方の方向の回動、すなわちA方向の回動を阻止する揺動方向であるC方向に揺動自在部材143を弾性的に付勢する弾性手段144と、支持部材141に一体に形成されたストッパ突起145とを具備している。
【0047】
揺動自在部材143は、板状部146と、板状部126に一体に形成されたアーム部147とを具備しており、アーム部147を貫通した軸ピン142によりC及びD方向に揺動自在に支持部材141に支持されており、アーム部147のストッパ突起145への当接により揺動自在部材143のC方向の揺動限界が規定されている。板状部146の側面に、L形状部117の一端106が当接するようになっている。
【0048】
弾性手段144は、板状部146の一方の面に形成された凹所151と基台28との間に配されたコイルばね152を具備しており、コイルばね152は、揺動自在部材143をC方向に弾性的に付勢している。
【0049】
巻き取りドラム逆転禁止手段24は、捩りコイルばね136の弾性力に抗してアーム部材103がB方向に回動され、揺動自在部材143がコイルばね152の弾性力によりC方向に付勢され、アーム部147がストッパ突起145に当接されて、板状部146の側面にL形状部117の一端106を当接させている際には、捩りコイルばね125の弾性力と共にラチェット爪部材102をラチェット歯101に係合させて、この係合により内歯歯車85のR方向の回転を禁止し、而して、巻き取りドラム6のR方向の回転を禁止するようにしている。
【0050】
解除手段25は、基台28に一体的に形成された円筒部161内に、当該円筒部161に対してE及びG方向に移動自在に挿着された押しボタン部材162と、押しボタン部材162をE方向に弾性的に付勢する弾性手段163とを具備している。
【0051】
押しボタン部材162は、カップ状部164と、カップ状部164の円筒部165に一体的に形成されて、円筒部161の切り欠け(スリット)166から外部に突出した係合板部167とを具備しており、カップ状部164は、その閉塞端面部168が貫通孔32に臨んで配されており、係合板部167は、板状部146をD方向に揺動できるように、板状部146上に重ね合わされて、外部に伸びている。
【0052】
弾性手段163は、カップ状部164の閉塞端面部168と基台28との間に配されたコイルばね171からなる。
【0053】
解除手段25は、手動操作により押しボタン部材162がコイルばね171の弾性力に抗してG方向に押されることにより、係合板部167を介して板状部146をD方向に揺動させ、而して、アーム部材103の一端106の板状部146の側面への当接を解除して、アーム部材103のA方向の回動を許容する。
【0054】
解除手段25の作動で、アーム部材103のA方向の回動が許容されると、アーム部材103は、捩りコイルばね136の弾性力により図10から図12に示すように、A方向に回動されて、これによりラチェット爪部材102のラチェット歯101への係合が解除されて、この係合解除により内歯歯車85のR方向の回転が許容され、而して、巻き取りドラム6のR方向の回転が許容されるようになる。
【0055】
復帰手段26は、前記の揺動伝達軸72と、揺動伝達軸72に固着された揺動自在部材175とを具備しており、揺動自在部材175は、その揺動においてアーム部材103の他端176に当接する突起177を一体的に具備している。
【0056】
揺動自在部材175は、ハンドル基体51のF方向の回転によるハンドル逆転禁止手段22のラチェット爪部材64の断続的な揺動で、揺動伝達軸72を介して同様に揺動されるようになっており、アーム部材103がA方向に回動されている際に、その揺動において、アーム部材103の他端176に当接して、アーム部材103をB方向に回動させるようになっている。
【0057】
復帰手段26は、図10から図12に示すように、揺動自在部材143がD方向に揺動された状態で、障子3を閉じるべくハンドル基体51がF方向に回転されることにより、突起177をアーム部材103の他端176に当接させて当該他端176を蹴り上げて、アーム部材103をB方向に回動させ、而して、図6から図9に示す位置にアーム部材103、揺動自在部材143及びラチェット爪部材102を復帰させる。
【0058】
制動手段27は、鍔部37の外周面に形成された歯181に噛み合うようにして、中間基板30の貫通孔182に回転自在に支持された歯車183と、歯車183に噛み合うピニオン184を一体的に有して、一端部185で中間基板30の貫通孔186に、他端部(図示しない)で基台28に回転自在に支持された軸部材187と、軸部材187に径方向に突出して形成された複数の突起188の夫々に、径方向に移動自在に装着された制動部材189と、各制動部材189の外周部の溝190に装着されて各制動部材189の周囲を取り囲み、各制動部材189を軸部材187に向かって弾性的に付勢する伸縮自在な環状のガータスプリング191と、基台28に一体的に形成された前記の円筒部134とを具備しており、各制動部材189は、円筒部134に囲まれて配されている。
【0059】
制動手段27は、歯車183の回転でピニオン184を介して軸部材187が回転されることにより、制動部材189に遠心力を与えて、一定以上の大きさの遠心力により制動部材189をガータスプリング191の弾性力に抗して径方向の外側に移動させて、制動部材189の外周面を円筒部134の内周面に摩擦接触させて、制動部材189の回転、すなわち歯車183の回転に制動を与えるようになっている。
【0060】
制動手段27のこの制動作用により、巻き取りドラム6のR方向の回転におけるその回転速度を抑えて、障子3の窓枠12等への激突を防止するようにしている。
【0061】
以上の窓開閉操作装置1では、ハンドル基体51がF方向にハンドル摘み52を介して手動により回転されることにより、遊星歯車機構81を介して巻き取りドラム6が、同じくF方向に回転される結果、ワイヤ4が巻き取りドラム6に巻き取られて、而して、ガスステイ2のガス圧等に抗して障子3を閉鎖することができる。
【0062】
完全閉鎖後又は閉鎖途中で、ハンドル基体51へのF方向の回転力の付与を停止すると、ラチェット爪部材64のラチェット歯63への係合と、ラチェット爪部材102のラチェット歯101への係合により、巻き取りドラム6のR方向の回転が阻止され、障子3の完全閉鎖又は半開きが維持される。
【0063】
また、窓開閉操作装置1では、押しボタン部材162がG方向に手動により押されると、図10から図12に示すように、揺動自在部材143がD方向に揺動され、板状部146の側面へのL形状部117の一端106の当接が解除され、アーム部材103のA方向の回動が許容され、アーム部材103が捩りコイルばね136の弾性力によりA方向に回動されて、これによりラチェット爪部材102のラチェット歯101への係合が解除されて、この係合解除により巻き取りドラム6のR方向の回転が許容され、以後、巻き取りドラム6は、ワイヤ4を介するガスステイ2のガス圧等によりR方向に回転され、巻き取りドラム6からワイヤ4が繰り出され、障子3が完全開放されると、図示しないストッパ等に障子3が当接して、ワイヤ4の繰り出しが停止され、巻き取りドラム6のR方向の回転が停止される。
【0064】
そして、窓開閉操作装置1では、巻き取りドラム6のR方向の回転が速くなると、制動部材189の外周面の円筒状部134の内周面への摩擦接触が生じて、巻き取りドラム6のR方向の回転に制動を与えて、障子3の図示しないストッパ等への激突を避けるようになっており、また、ハンドル逆転禁止手段22によりハンドル基体51のR方向の回転が禁止されて、回転軸54もR方向の回転が禁止されている結果、巻き取りドラム6のR方向の回転では、遊星歯車機構81により巻き取りドラム6は、回転ハンドル手段21に対して空転されるようになっている。
【0065】
更に窓開閉操作装置1では、障子3の完全開放後、障子3を閉鎖するためにハンドル基体51がF方向に回転されると、ラチェット爪部材64の断続的な揺動が生じ、これにより突起177をアーム部材103の他端176に当接させて当該他端176を蹴り上げて、アーム部材102をB方向に回動させ、アーム部材102、揺動自在部材143及びラチェット爪部材102を元に復帰させるようになっている。
【0066】
上記のように窓開閉操作装置1では、回転ハンドル手段21の紛失等を生じさせることがなく、しかも、巻き取りドラム6の逆転で回転ハンドル手段21が逆転されることがなく、その上、ハンドル逆転禁止手段22が正常に動作しないようになっても、回転ハンドル手段21に適宜の逆転阻止力が付加されている場合には、巻き取りドラム6が逆転されても、回転ハンドル手段21が逆転しなく、而して、回転ハンドル手段21の飛び出し又は操作指の回転ハンドル手段21への巻き込み等を生じさせない。
【0067】
また窓開閉操作装置1では、構成が簡単となる上に、回転ハンドル手段21に対する巻き取りドラム6の空転を確実且つ滑らかに行わせることができ、操作指の回転ハンドル手段21への巻き込み等を生じさせない安全なものを提供できる上に、逆転禁止に関して信頼性のあるものとすることができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、設計、調整が容易であって、コスト低減を図り得、巻き取りドラムの逆転を禁止する巻き取りドラム逆転禁止手段をスムーズに元に復帰させることができ、また、回転ハンドル手段の紛失等を生じさせることがなく、しかも、回転ハンドル手段に適宜の逆転阻止力が付加されている場合には、巻き取りドラムが逆転されても、回転ハンドル手段が逆転しないようにでき、その上、回転ハンドル手段の飛び出し又は操作指の回転ハンドル手段への巻き込み等を生じさせない安全な窓開閉操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施の形態の図2に示す例の分解説明図である。
【図2】本発明の好ましい一実施の形態の例の全体斜視図である。
【図3】図2の例を排煙窓に適用した例の説明図である。
【図4】図2の例のカバーの斜視図である。
【図5】図2の例のカバーを取り除いた正面図である。
【図6】図2の例のカバー及び中間基板等を取り除いた正面図である。
【図7】図2の例のカバー、中間基板及び巻き取りドラム等を取り除いた正面図である。
【図8】図2の例の一部の断面説明図である。
【図9】図2の例の一部分の断面説明図である。
【図10】図2の例の動作説明図である。
【図11】図2の例の動作説明図である。
【図12】図2の例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 窓開閉操作装置
2 ガスステイ
3 障子
4 ワイヤ
6 巻き取りドラム
21 回転ハンドル手段
22 ハンドル逆転禁止手段
23 回転伝達手段
24 巻き取りドラム逆転禁止手段
25 解除手段
26 復帰手段
Claims (6)
- 常時は開放方向に付勢された障子に連結されたワイヤの一端が固着された巻き取りドラムを正転させることによりワイヤを巻き取りドラムに巻き取って障子を閉鎖し、障子への開放付勢力に基づく巻き取りドラムの逆転によりワイヤを巻き取りドラムから繰り出して、障子を開放するようにした窓開閉操作装置であって、回転操作自在な回転ハンドル手段と、この回転ハンドル手段の逆転を禁止するハンドル逆転禁止手段と、回転ハンドル手段からの回転を巻き取りドラムに伝達すると共に、巻き取りドラムの逆転において、ハンドル逆転禁止手段により逆転が禁止されている回転ハンドル手段に対して巻き取りドラムを空転させる回転伝達手段と、巻き取りドラムの逆転を禁止する巻き取りドラム逆転禁止手段と、この巻き取りドラム逆転禁止手段の逆転禁止を解除する解除手段と、逆転禁止が解除された状態の巻き取りドラム逆転禁止手段を元に復帰させる復帰手段とを具備しており、巻き取りドラム逆転禁止手段は、内歯歯車の外周に設けられたラチェット歯と、このラチェット歯に係合するラチェット爪部材と、このラチェット爪部材を揺動自在に備えている回動自在なアーム部材と、ラチェット爪部材をラチェット歯に係合する方向に弾性的に付勢する弾性手段と、アーム部材を一方の方向に回動するように弾性的に付勢する弾性手段と、ラチェット爪部材のラチェット歯への係合を維持するべく、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備しており、解除手段は、手動操作によりアーム部材の一端の維持手段への当接を解除するべく、維持手段を変位させるようになっている窓開閉操作装置。
- 回転伝達手段は、遊星歯車機構を具備しており、遊星歯車機構は、回転ハンドル手段に連結された入力軸と、この入力軸に設けられた太陽歯車と、この太陽歯車に噛み合って太陽歯車の周りに配されて、巻き取りドラムに回転自在に支持された遊星歯車と、この遊星歯車に噛み合って遊星歯車を取り囲むと共に、巻き取りドラムに対して回転自在に配された内歯歯車とを具備している請求項1に記載の窓開閉操作装置。
- 回転ハンドル手段は、円盤状のハンドル基体と、このハンドル基体に取り付けられたハンドル摘みとを具備しており、ハンドル逆転禁止手段は、ハンドル基体に固定して設けられた他のラチェット歯と、この他のラチェット歯に係合された揺動自在な他のラチェット爪部材と、この他のラチェット爪部材を他のラチェット歯への係合方向に弾性的に付勢する弾性手段とを具備している請求項1又は2に記載の窓開閉操作装置。
- 常時は開放方向に付勢された障子に連結されたワイヤの一端が固着された巻き取りドラムを正転させることによりワイヤを巻き取りドラムに巻き取って障子を閉鎖し、障子への開放付勢力に基づく巻き取りドラムの逆転によりワイヤを巻き取りドラムから繰り出して、障子を開放するようにした窓開閉操作装置であって、回転操作自在な回転ハンドル手段と、この回転ハンドル手段の逆転を禁止するハンドル逆転禁止手段と、回転ハンドル手段からの回転を巻き取りドラムに伝達すると共に、巻き取りドラムの逆転において、ハンドル逆転禁止手段により逆転が禁止されている回転ハンドル手段に対して巻き取りドラムを空転させる回転伝達手段と、巻き取りドラムの逆転を禁止する巻き取りドラム逆転禁止手段と、この巻き取りドラム逆転禁止手段の逆転禁止を解除する解除手段と、逆転禁止が解除された状態の巻き取りドラム逆転禁止手段を元に復帰させる復帰手段とを具備しており、巻き取りドラム逆転禁止手段は、内歯歯車の外周に設けられたラチェット歯と、このラチェット歯に係合するラチェット爪部材と、このラチェット爪部材を揺動自在に備えている回動自在なアーム部材と、アーム部材を一方の方向に回動するように弾性的に付勢する弾性手段と、ラチェット爪部材のラチェット歯への係合を維持するべく、アーム部材の一端に当接してアーム部材の一方の方向の回動を阻止する変位自在な維持手段とを具備しており、回転ハンドル手段は、円盤状のハンドル基体を具備しており、ハンドル逆転禁止手段は、ハンドル基体に固定して設けられた他のラチェット歯と、この他のラチェット歯に係合された揺動自在な他のラチェット爪部材とを具備しており、解除手段は、手動操作によりアーム部材の一端の維持手段への当接を解除するべく、維持手段を変位させるようになっており、復帰手段は、ハンドル基体の回転によるハンドル逆転禁止手段の他のラチェット爪部材の揺動で揺動される揺動自在部材を具備しており、揺動自在部材は、その揺動においてアーム部材の他端に当接して、アーム部材を他方の方向に回動させるようになっている窓開閉操作装置。
- 維持手段は、揺動自在に支持された他の揺動自在部材と、アーム部材の一方の方向の回動を阻止する揺動方向に揺動自在部材を弾性的に付勢する弾性手段とを具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の窓開閉操作装置。
- 巻き取りドラムの逆転における当該巻き取りドラムの回転速度を抑える制動手段を更に具備している請求項1から5のいずれか一項に記載の窓開閉操作装置。
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