JP4137542B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色を抑制できて、種々の用途に好適に用いることができるビニルエステル樹脂等の硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬化性の合成樹脂(以下、単に樹脂と記す)は、硬化させると、優れた耐蝕性、耐薬品性、耐水性、機械特性等を有する成形品となることが知られている。上記樹脂としては、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。上記硬化性は、樹脂に対する加熱または活性エネルギー線の照射により硬化する性質である。上記光活性エネルギー線としては、光、紫外線、X線、電子線などが挙げられる。
【0003】
例えば、上記ビニルエステル樹脂は、一般に、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによって製造される。しかしながら、これらの樹脂およびその原料中には、ビニル基等の反応性基が含まれるため、上記樹脂は、製造時あるいは貯蔵中に、上記各反応性基間の結合によって、ゲル化し易いという問題点を有している。
【0004】
従来、これらの樹脂のゲル化を防ぐ成分としては、酸素が有効であることが知られている。このため、製造過程や貯蔵、あるいは運搬時において、乾燥空気を流通させたり、一定期間毎に容器を開封したり、貯蔵容器中の樹脂の充填率を下げる等の作業面での工夫が行われている。
【0005】
しかしながら、このような樹脂の一部は反応中に流通させた酸素により酸化されて着色性の化合物となるため、得られた樹脂は著しく着色されており、例えばガードナー色数にして3〜8を示す。その上、常に充分な空気を共存させたとしても、これらの樹脂のゲル化対策は充分とは言い難く、製造工程や貯蔵中、運搬中にゲル化が起こる可能性が極めて高い。
【0006】
そこで、ゲル化を防止するため、他の種々の方法が検討されている。例えば、特開昭52−107090号公報には、熱硬化性樹脂に対し、リビングラジカル化合物を添加する熱硬化性樹脂の貯蔵安定化方法が開示されている。上記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂とアクリル酸および/またはメタクリル酸との反応生成物を重合性不飽和単量体に溶解させてなるものである。
【0007】
しかしながら、上記公報では、用いたリビングラジカル化合物は毒性が強く、取り扱いに注意が必要である。
【0008】
また、ゲル化を防止するための他の方法として、上記の各樹脂に、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の公知の重合禁止剤を添加することで保存安定性が向上することが知られている。
【0009】
しかしながら、上記に代表される既知の重合禁止剤は、何れも、重合禁止剤自身が着色しているか、あるいは、経時変化によって、得られた硬化性樹脂組成物を着色させる。つまり、該硬化性樹脂組成物が空気にさらされ続けると、これら重合禁止剤が硬化性樹脂組成物中に溶解している酸素により酸化され、有色の化合物に変化し、硬化性樹脂組成物を着色する。
【0010】
さらに、保存安定性をさらに向上させるために、これらの重合禁止剤を併用して用いたり、多量に添加したりすると、硬化性樹脂組成物を硬化させる際にゲル化時間が長くなる傾向があり、樹脂自身の硬化性が損なわれる。
【0011】
これらの樹脂は、着色し易いことから、優れた性能を有していながらも使用上の制限を受け、FRP(繊維強化プラスチック)用成型材料、注型用成型材料、ライニング材料、塗料等の分野でも、外観を重視しない限られた用途でしか利用されていない。言い換えると、これらの樹脂は、例えば、バスタブや洗面カウンター、ゲルコート等、外観を重視するような用途には不適なものとなっていた。
【0012】
そこで、例えば、着色が抑制された、淡色のビニルエステル樹脂を製造する方法として、特公平3−34771号公報には、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸および不飽和多塩基酸とをエステル化触媒を用いて、不活性雰囲気中、トリフェニルスチビン存在下で反応させる方法が開示されている。
【0013】
また、特公平6−23232号公報には、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸および不飽和多塩基酸とをエステル化触媒を用いて、亜リン酸および/または亜リン酸ジエステルの存在下で反応させる方法が開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法を用いてビニルエステル樹脂を製造する場合、あるいは上記の方法をウレタン(メタ)アクリレート樹脂やポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の製造に応用する場合、有意な淡色性を発現させるためには、上記トリフェニルスチビン、亜リン酸、亜リン酸ジエステル等の添加剤を大量に投入して不活性雰囲気あるいは酸素希薄雰囲気中で反応させる必要があり、製造時に、原料および反応物がゲル化し易いという問題が生じる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、上記問題を回避すべく鋭意検討した結果、N−オキシル類と、例えばビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の合成樹脂とを含む硬化性樹脂組成物が、保存安定性や硬化性等の物性に優れると共に、経時での着色を抑え、これにより種々の用途に好適に用いることができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0016】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、保存安定性や硬化性等の物性に優れると共に、保存開始前および保存開始後の経時での着色を抑え、これにより淡色となって、種々の用途に好適に用いることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0017】
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂と硬化剤とを含み、加熱により硬化する熱硬化性の樹脂組成物であって、一般式(1)
【0018】
【化2】
【0019】
(式中、X1 、X2 、X3 はそれぞれ独立して水素原子、−OR5 基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキル基を表し、R5 は水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を表す) で表される化合物であるN−オキシル類をさらに含み、上記ビニルエステル樹脂100 重量部に対するN−オキシル類の割合が 0.00001重量部〜1重量部となっており、上記ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによって得られるものであり、上記エステル化触媒は、第四級アンモニウム塩、無機塩、ホスフォニウム塩、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルスチビンからなる群より選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴としている。
【0020】
上記硬化性樹脂組成物においては、60℃での保存可能日数が1週間以上であり、組成物のハーゼン色数による着色度が100以下であり、60℃保存におけるゲル化直前の組成物のハーゼン色数による着色度が100以下であり、60℃での保存におけるゲル化直前の組成物と保存前の組成物とのハーゼン色数による着色度との差が20以下であり、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ−2-エチルヘキシルヘキサノエート1重量部と組成物100重量部とを混合したときの70℃での硬化特性測定時の最高発熱温度が100℃以上のものであることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、保存安定性のみならず、保存後の着色が少なく、かつ、硬化性にも優れた硬化性樹脂組成物を提供することができる。従って、該硬化性樹脂組成物は、例えば、FRP用成型材料、注型用成型材料、ライニング材料、塗料等の分野で好適に用いることができると共に、特にバスタブや洗面カウンター、ゲルコート等、外観を重視するような用途等、広範囲の用途に好適に用いることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、前述のN−オキシル類と、例えばビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の合成樹脂(以下、単に樹脂と記す)とを含んでいる。該硬化性樹脂組成物は、例えば、これらの樹脂にN−オキシル類を添加すること、あるいは、N−オキシル類の存在下で上記樹脂となるべき成分(原料)を反応させて上記樹脂を調製すること、必要に応じて、調製後、他の樹脂あるいは反応性単量体等を、さらに加えることによって容易に得ることができる。
【0023】
該硬化性樹脂組成物においては、その保存可能日数は、60℃にて、1週間以上であることが好ましい。さらに、一般にはこれらの樹脂組成物は冷暗所で保存されるものの、夏季の保存状態を考慮すると、40℃に達する可能性があることから、40℃での保存可能日数が、2ヵ月以上有するものが、より好ましい。また40℃での保存可能日数が2ヵ月以上有する硬化性樹脂組成物は、常温冷暗所での保存可能日数が、少なくとも6ヵ月と推定される。このような硬化性樹脂組成物は、製品として流通するときに、何ら支障を生じない。
【0024】
該硬化性樹脂組成物のハーゼン色数による着色度は、100以下であることが好ましく、さらには、組成物のハーゼン色数による着色度は50以下であれば、目視で、着色が観察されないため、より好ましい。組成物は、60℃での保存におけるゲル化直前の組成物と保存を行う前の組成物とのハーゼン色数による着色度との差が20以下であることが望ましい。
【0025】
該硬化性樹脂組成物は、70℃での硬化特性測定時における最高発熱温度は、100℃以上であることが好ましく、さらには150℃以上であれば、樹脂組成物の硬化物が本来有する機械物性や耐蝕性が確保される可能性が高くなるため、より好ましい。
【0026】
本発明において用いられるN−オキシル類としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-オール、4-メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル−アセテート、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル−2-エチルヘキサノエート、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル−ステアレート、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル−4-t-ブチルベンゾエート、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)コハク酸エステル、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)アジピン酸エステル、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)セバケート、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)n-ブチルマロン酸エステル、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)フタレート、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)イソフタレート、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)テレフタレート、ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N'−ビス(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)アジパミド、N-(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)カプロラクタム、N-(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6-トリス-[N-ブチル-N-(1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-イル)]−s-トリアジン、1-オキシル−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−4-オン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらN−オキシル類は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0027】
本発明において、好ましく用いられるN−オキシル類としては、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル、4-メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルが例示される。これらは、毒性が低く取り扱い性に優れると共に、少量の添加で保存安定性に優れる。
【0028】
また、本発明において用いられる上記樹脂としては、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂であればよく、そのなかでもビニルエステル樹脂であることが最も好ましい。
【0029】
上記ビニルエステル樹脂については、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによって得ることができるものであればよい。
【0030】
上記ビニルエステル樹脂の原料として用いられるエポキシ化合物としては、分子中に、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS等のビスフェノール類と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、ビスフェノール等のフェノール類とホルマリンとの縮合物であるノボラックとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるノボラックタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類および/またはビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらエポキシ化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
上記ビニルエステル樹脂の原料として用いられる不飽和一塩基酸としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、マレイン酸、イタコン酸等のハーフエステル等を用いてもよい。さらに、これらの化合物と、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の多価カルボン酸や、酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、パルミチン酸等の飽和一価カルボン酸や、フタル酸等の飽和多価カルボン酸またはその無水物や、末端基がカルボキシル基である飽和あるいは不飽和アルキッド等の化合物とを併用してもよい。これら不飽和一塩基酸は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0032】
上記エステル化触媒としては、具体的には、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;塩化リチウム、塩化クロム等の無機塩;2-エチル−4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;テトラメチルホスフォニウムクロライド、ジエチルフェニルプロピルホスフォニウムクロライド、トリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ジベンジルエチルメチルホスフォニウムクロライド、ベンジルメチルジフェニルホスフォニウムクロライド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホスフォニウム塩;第二級アミン類;テトラブチル尿素;トリフェニルホスフィン;トリトリールホスフィン;トリフェニルスチビン等が挙げられ、特に限定されるものではないが、第四級アンモニウム塩、無機塩、ホスフォニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビンを用いる方が、着色度のより小さい樹脂が得られるのでさらに好適である。これらエステル化触媒は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0033】
また、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができる。また、水酸基含有(メタ)アクリル化合物とポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらにポリイソシアネートを反応させてもよい。
【0034】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられるポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、2,4-トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、デスモジュールL(商品名;住友バイエル社製)、コロネートL(商品名;日本ポリウレタン社製)、タケネートD102(商品名;武田薬品社製)、イソネート143L(商品名;三菱化成社製)等が挙げられ、特に限定されるものではないが、ヘキサメチレンジイソシアネートに代表される脂肪族ジイソシアネート類や、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどに代表される脂環族ジイソシアネート類を用いる方が、着色度のより小さい樹脂が得られるのでさらに好適である。これらポリイソシアネートは、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0035】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル- 1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4-テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3-プロパンジオール、1,2-シクロヘキサングリコール、1,3-シクロヘキサングリコール、1,4-シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル-4,4'-ジオール、2,6-デカリングリコール、2,7-デカリングリコール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら多価アルコール類は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0036】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられるポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられ、具体的には、例えば、グリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらポリヒドロキシ化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0037】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら水酸基含有(メタ)アクリル化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0038】
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として必要に応じて用いられる水酸基含有アリルエーテル化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2-ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3-ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら水酸基含有アリルエーテル化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0039】
また、不飽和ポリエステル樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、二塩基酸と多価アルコール類とを縮合反応させることによって得ることができる。
【0040】
上記不飽和ポリエステル樹脂の原料として用いられる二塩基酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和二塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、 1,10-デカンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、 4,4'-ビスフェニルジカルボン酸、および、これらのジアルキルエステル等の飽和二塩基酸等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら二塩基酸は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0041】
上記不飽和ポリエステル樹脂の原料として用いられる多価アルコール類としては、具体的には、例えば、前述の多価アルコールが挙げられるが、特に限定されるものではない。これら多価アルコール類は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。また、必要によりジシクロペンタジエン系化合物を樹脂骨格中に組み入れてもよい。
【0042】
また、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、不飽和あるいは飽和ポリエステルの末端に(メタ)アクリル化合物を反応させることによって得ることができる。上記ポリエステルの原料としては、例えば上記不飽和ポリエステル樹脂の原料として例示した化合物と同様の化合物を用いることができる。
【0043】
上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる(メタ)アクリル化合物としては、具体的には、例えば、不飽和グリシジル化合物、(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸およびそのグリシジルエステル類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら(メタ)アクリル化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0044】
これら合成樹脂、即ち、上記ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびポリエステル(メタ)アクリレート樹脂等の樹脂を得る際の各原料の配合条件等は、それぞれ所望する樹脂の物性等に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものではない。
【0045】
また、硬化性樹脂の成分として用いられる反応性単量体としては、使用目的や用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルフタレート、酢酸ビニル等が挙げられる。これら反応性単量体は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。また、単官能単量体のみを用いてもよく、単官能単量体と多官能単量体とを混合して用いてもよい。これら反応性単量体は、樹脂合成の際の溶剤として用いてもよく、高粘度の樹脂の溶剤として粘度の調節に用いてもよい。
【0046】
上記N−オキシル類の添加方法は、特に限定されるものではなく、樹脂合成後、例えば、反応性単量体や他の樹脂を混合する前あるいは混合した後で添加する方法や、予め樹脂の原料中にN−オキシル類を混合してから重合させる方法等、種々の方法を用いることができる。
【0047】
何れの場合でも上記N−オキシル類の添加量は、樹脂 100重量部に対して 0.00001重量部〜1重量部の範囲内となるように添加すればよく、さらに 0.001重量部〜0.05重量部の範囲内となるように添加することが好ましい。上記N−オキシル類の添加量が 0.00001重量部未満であれば、N−オキシル類を添加することによる保存安定性や耐着色性の向上等の効果が得られないので好ましくない。一方、N−オキシル類の添加量が1重量部を越えると、樹脂の硬化性を損なう虞れがあるので好ましくない。
【0048】
また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、N−オキシル類以外の重合禁止剤、硬化剤や硬化促進剤、揺変化剤、揺変助剤、溶剤、充填剤、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、減粘剤、低収縮化剤、消泡剤、酸化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、補強剤等の各種添加剤を、副資材として含んでいてもよい。尚、これら添加剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0049】
本発明においては、上記のN−オキシル類を使用することにより、該硬化性樹脂組成物の保存安定性を大幅に向上させることができる。また、該硬化性樹脂組成物が、上記のN−オキシル類を含むことで、例えば製造時における酸素の使用量を低減させたり、酸素を用いなくてもゲル化を防止することができる。従って、本発明によれば、製造時や貯蔵時、または運搬時等に、ゲル化を防止するために乾燥空気を流通させたり、一定期間毎に容器を開封するといった手間を省くことができ、作業性を向上させることもできる。
【0050】
硬化性樹脂の製造時にゲル化を防止できる製造方法は、硬化性樹脂を形成する成分、即ち、硬化性樹脂の原料を、N−オキシル類の存在下で反応させて、該硬化性樹脂を調製する方法である。この製造方法は、一般的な硬化性樹脂の製造に適用可能であり、該硬化性樹脂としては、特に限定されるものではない。そのなかでも上記の製造方法は、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選ばれる一種の硬化性樹脂の製造方法に特に好適に用いられる。
【0051】
反応系におけるN−オキシル類の存在量、つまり、使用量は、特に限定されるものではないが、得られる硬化性樹脂 100重量部に対して 0.00001重量部〜1重量部の範囲内が好ましく、 0.001重量部〜0.05重量部の範囲内がさらに好ましい。上記N−オキシル類の使用量が 0.00001重量部未満であれば、製造時でのゲル化防止効果が得られず、ゲル化による製造トラブルが生じる虞れがあるので好ましくない。一方、N−オキシル類の使用量が1重量部を越えると、製造時においてゲル化することなく樹脂が得られたとしても、得られる樹脂の硬化性を損なう虞れがあるので好ましくない。
【0052】
上記N−オキシル類を反応系に共存させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、硬化性樹脂となるべき原料を反応装置に仕込み、攪拌しながら所定温度、即ち、反応温度に昇温した後、N−オキシル類を供給する方法や、予め硬化性樹脂の原料中にN−オキシル類を供給し、混合した後、反応を開始する方法等、種々の方法を用いることができる。
【0053】
本発明において、上記硬化性樹脂となるべき各原料の配合条件等は、特に限定されるものではなく、所望する硬化性樹脂の物性等に応じて適宜設定すればよい。また、上記各反応を行う際の反応温度も特に限定されるものではなく、各反応を効率的に行うことができるように適宜設定すればよい。例えば、エポキシ化合物と不飽和一塩基酸とをN−オキシル類の存在下でエステル化触媒を用いて反応させる場合の反応温度は、特に限定されるものではないが、60℃〜150 ℃の範囲内に設定することが好ましい。また、反応時間も特に限定されるものではなく、原料の種類や組み合わせ、使用量、反応温度等に応じて、反応が終了するように適宜設定すればよい。さらに、反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れでも構わない。
【0054】
また、上記各反応を行う際には、必要に応じて、N−オキシル類と異なる重合調節剤(重合禁止剤)や溶媒、反応性単量体を用いてもよい。上記重合調節剤としては、具体的には、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、カテコール、ナフテン酸銅、銅粉等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、その使用量も特に限定されるものではない。上記重合禁止剤の添加においては、重合禁止剤の添加量を、樹脂 100重量部に対し、0.005重量部以下として、N−オキシル類 0.00001重量部〜1重量部と併用添加する方が、樹脂組成物の経時による着色度の変化が小さくなるため、より好ましい。
【0055】
上記各反応は、無溶媒で行うことができるが、溶媒を用いてもよい。上記溶媒としては、特に限定されるものではなく、また、その使用量も特に限定されるものではない。
【0056】
また、前記反応性単量体としては、使用目的や用途等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ジアリルフタレート、酢酸ビニル等が挙げられる。これら反応性単量体は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。また、単官能単量体のみを用いてもよく、単官能単量体と多官能単量体とを混合して用いてもよい。これら反応性単量体は、硬化性樹脂合成の際の溶剤として用いてもよく、高粘度の硬化性樹脂の溶剤として粘度の調節に用いてもよい。
【0057】
【実施例】
以下、各実施例および各比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、各硬化性樹脂組成物の着色度、硬化特性および保存可能日数は、以下に示す方法により測定した。また、以下の各実施例および各比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
【0058】
(a)保存可能日数
樹脂組成物600mlを容量650mlのネジ口バイアル瓶に入れて、瓶内に若干の空間を残しておき、該バイアル瓶を60℃と40℃の恒温槽内にそれぞれ直立させておいた。その後、60℃については、1日経過する毎に、40℃については約10日毎に、樹脂組成物のゲル化の有無を調べた。ゲル化の有無は、バイアル瓶を倒置し、バイアル瓶を倒置したときに、バイアル瓶内の空間が気泡となってバイアル瓶の底から上方に移動するのを観察することにより調べた。気泡がバイアル瓶の底から最上部まで完全に移動した場合を、「ゲル化無し」とし、気泡がバイアル瓶の途中で止まった場合を「ゲル化」と判定した。
【0059】
そして、ネジ口バイアル瓶を恒温槽に入れた日から樹脂組成物が最初に「ゲル化」と判断された日の前日までの経過日数を得られた樹脂組成物の保存可能日数とした。
【0060】
(b)着色度
各硬化性樹脂組成物の着色度はハーゼン色数として評価した。ハーゼン色数は、JIS K 6901に準じて測定した。先ず、塩化白金酸カリウム(特級)2.49gと塩化コバルト(特級)2.00gとを塩酸(特級)200mlにそれぞれ溶かし、蒸留水で2000mlに希釈することにより標準原液とした。次に、この標準原液をJIS K 6901に規定された割合で溶かし合わせてハーゼン色数標準液とした。
【0061】
そして、このハーゼン色数標準液と硬化性樹脂組成物とを、それぞれ、無色透明で内径23mmの共栓付き平底ガラス管に底から 100mmの高さまで注ぎ込み、白色板上に並べて直立させた。次いで、この樹脂組成物の入った平底ガラス管と、ハーゼン色数標準液の入った平底ガラス管とを、拡散昼光のもとで、平底ガラス管上方から肉眼で比較した。このとき、試験された硬化性樹脂組成物に最も近似した濃度を有するハーゼン色数標準液を選択して得られた色数を、上記硬化性樹脂組成物のハーゼン色数とした。
【0062】
また、前記の40℃および60℃における保存可能日数の測定において、各温度にて保存する前の樹脂を「保存前の樹脂」とし、前述の手法にしたがって、「保存前の樹脂」の着色度をそれぞれ調べた。
【0063】
さらに、上記各温度における保存可能日数の測定において、始めて「ゲル化」を確認したときの、該バイアル瓶中の気泡が移動する上澄み部分の樹脂を「ゲル化直前の樹脂」とし、前述の手法にしたがって、「ゲル化直前の樹脂」の着色度を、それぞれ調べた。
【0064】
(c)硬化特性
各樹脂組成物の硬化特性は何れもJIS K 6901に準じて測定した。
【0065】
硬化特性は、以下の方法により測定した。先ず、ビーカーに、樹脂組成物 100部と、硬化剤としての「パーキュアWO」2部(日本油脂株式会社製)とを入れて攪拌、混合することにより、混合物を得た。尚、「パーキュアWO」は、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ−2-エチルヘキシルヘキサノエートの、ジオクチルフタレートによる50%希釈溶液である。
【0066】
次いで、上記混合物を直径18mmの試験管に深さ 100mmとなるように入れ、この試験管を温度70℃に調節された恒温槽に保持した。そして、該混合物の温度が、反応熱によって55℃から75℃に昇温するまでの時間を測定し、この時間をゲル化時間とした。また、該混合物の温度が最高になったときの温度を最高発熱温度とし、該混合物の温度が55℃から最高発熱温度に達するまでの時間を最少硬化時間とした。
【0067】
〔実施例1〕
攪拌機、還流冷却管、気体導入管、および温度計を備えた5Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量465 のビスフェノール型エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名「YD−901」;以下、「YD−901」と記す)2500g、エポキシ当量185 のビスフェノール型エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名「YD−127」;以下、「YD−127」と記す) 580g、不飽和一塩基酸であるメタクリル酸 750g、重合禁止剤である2,2-メチレン−ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール) 0.600g、およびエステル化触媒としてのテトラフェニルホスフォニウムブロマイド 11.50gを仕込んで攪拌した。
【0068】
次に、上記の四つ口フラスコに乾燥空気を30ml/min で流しながら115℃で7時間反応させた後、反応性単量体としてのスチレンモノマー2100gを添加してビニルエステル樹脂(以下、ビニルエステル樹脂(I)と記す)を得た。所定の方法により測定した上記ビニルエステル樹脂(I)の酸価は 5.0mgKOH/gであった。なお、上記2,2-メチレン−ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール) 0.600gは、上記ビニルエステル樹脂(I) 100部に対し、0.01部に相当する。
【0069】
次いで、上記ビニルエステル樹脂(I) 100部に対して、N−オキシル類である4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル 0.002部を添加することによりビニルエステル樹脂組成物を得た。得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
〔実施例2〕
実施例1において、ビニルエステル樹脂(I) 100部に対する4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルの混合割合を 0.002部から0.01部に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行ってビニルエステル樹脂組成物を得た。得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0073】
〔実施例3〕
実施例1において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、N−オキシル類である4-メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル 0.002部を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行ってビニルエステル樹脂組成物を得た。得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0074】
〔実施例4〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、「YD−901」2500g、「YD−127」 580g、メタクリル酸 750g、およびテトラフェニルホスフォニウムブロマイド 11.50gを仕込むと共に、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルを、最終的に得られるビニルエステル樹脂 100部に対して、0.04部となるように仕込んで攪拌した。次に、上記の四つ口フラスコに乾燥窒素を30ml/min で流しながら115℃で7時間反応させた後、スチレンモノマー2100gを添加してビニルエステル樹脂組成物を得た。
【0075】
所定の方法により測定した上記ビニルエステル樹脂組成物の酸価は 5.0mgKOH/gであった。得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に記す。
【0076】
〔実施例5〕
実施例4において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、4-メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルを、最終的に得られるビニルエステル樹脂 100部に対して0.04部となるように用いた
以外は実施例4と同様の反応・操作を行ってビニルエステル樹脂組成物を得た。
【0077】
所定の方法により測定した上記ビニルエステル樹脂組成物の酸価は 5.0mgKOH/gであった。得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0078】
〔実施例6〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、「YD−901」2500g、「YD−127」 580g、メタクリル酸 750g、およびテトラフェニルホスフォニウムブロマイド 11.50gを仕込むと共に、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルを、最終的に得られるビニルエステル樹脂組成部 100部に対して、0.001部となるように仕込んで攪拌した。次に、上記の四つ口フラスコに乾燥空気を30ml/min で流しながら115 ℃で7時間反応させた。
【0079】
その後、得られたビニルエステル樹脂 100部に対して、2,2-メチレン−ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)0.02部となるように添加すると共に、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンを 0.005部となるように添加し、さらに、スチレンモノマー2100gを添加してビニルエステル樹脂組成物を得た。所定の方法により測定した上記ビニルエステル樹脂組成物の酸価は 5.0mgKOH/gであった。
【0080】
得られたビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0081】
〔比較例1〕
実施例1と同様の方法を用いて得られたビニルエステル樹脂(I)の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂(I)の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0082】
〔比較例2〕
実施例1と同様の方法を用いて得られたビニルエステル樹脂(I) 100部に対して従来の重合禁止剤としてのフェノチアジン0.05部を添加することにより比較用のビニルエステル樹脂組成物を得た。得られた比較用のビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0083】
〔比較例3〕
実施例1と同様の方法を用いて得られたビニルエステル樹脂(I) 100部に対して、従来の重合禁止剤としてのN−モルホリノアセトアセタミド 0.2部を添加することにより比較用のビニルエステル樹脂組成物を得た。得られた比較用のビニルエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のビニルエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ビニルエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表1および表2に示す。
【0084】
〔参考例1〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、ポリイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート1500g、スチレンモノマー1400g、触媒としてのジブチル錫ジラウレート 2.4g、および4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル240mg を仕込んで攪拌した。4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル240mg は、参考例1において最終的に得られる予定収量の 0.005部に相当する。
【0085】
次に、上記の四つ口フラスコに乾燥空気を30ml/min で流しながら60℃に昇温した後、多価アルコール類としてのジプロピレングリコール 590gを添加し、この反応溶液を60℃〜70℃に保持しながら3時間反応させた。
【0086】
その後、さらに、水酸基含有(メタ)アクリル化合物であるヒドロキシプロピルメタクリレート1270gを加え、100 ℃に昇温しながら5時間反応させてウレタン(メタ)アクリレート樹脂(以下、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(I)と記す)を得た。
【0087】
さらに、上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(I)100部に対して、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル0.02部を添加することによりウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物を得た。得られたウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
〔参考例2〕
攪拌機、還流冷却管、気体導入管、および温度計を備えた3Lの四つ口フラスコに、多価アルコール類であるエチレングリコール 310g、ジエチレングリコール 300g、およびジプロピレングリコール 320gと、二塩基酸である無水フタル酸 700gおよび無水マレイン酸 520gとを仕込んで攪拌した。
【0090】
次に、上記の四つ口フラスコに窒素ガスを30ml/min で流しながら210℃で7時間反応させた後、スチレンモノマー1110gを添加して不飽和ポリエステル樹脂(以下、不飽和ポリエステル樹脂(I)と記す)を得た。所定の方法により測定した上記不飽和ポリエステル樹脂(I)の酸価は43mgKOH/gであった。
【0091】
次いで、上記不飽和ポリエステル樹脂(I) 100部に対して、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル 0.005部を添加することにより不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前の不飽和ポリエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
〔参考例3〕
参考例2において、不飽和ポリエステル樹脂(I)に対する4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルの混合割合を 0.005部から0.02部に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前の不飽和ポリエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とを、まとめて表4に示す。
【0094】
〔参考例4〕
参考例2において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて4-メトキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル0.02部を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前の不飽和ポリエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表4に示す。
【0095】
〔比較例4〕
参考例2と同様の方法を用いて得られた不飽和ポリエステル樹脂(I) 100部に対して、フェノチアジン 0.005部を添加することにより比較用の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた比較用の不飽和ポリエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前の不飽和ポリエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表4に示す。
【0096】
〔比較例5〕
参考例2と同様の方法を用いて得られた不飽和ポリエステル樹脂(I) 100部に対して、従来の重合禁止剤としての4-tert−ブチルカテコール 0.005部を添加することにより比較用の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。得られた比較用の不飽和ポリエステル樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前の不飽和ポリエステル樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記不飽和ポリエステル樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表4に示す。
【0097】
〔参考例5〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、多価アルコール類であるプロピレングリコール1650gと、二塩基酸であるイソフタル酸1800gおよび無水マレイン酸1720gとを仕込んで攪拌した。次に、上記の四つ口フラスコに窒素ガスを30ml/min で流しながら200℃で8時間反応させて不飽和ポリエステルを得た。所定の方法により測定した上記不飽和ポリエステルの酸価は60mgKOH/gであった。
【0098】
次に、上記四つ口フラスコ内の不飽和ポリエステル 100部に対し、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル0.03部、および(メタ)アクリル化合物であるグリシジルメタクリレート 650gを添加し、該四つ口フラスコに乾燥空気を30ml/min で流しながら140℃で3時間反応させてポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物を得た。
【0099】
得られたポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表5に示す。
【0100】
【表5】
【0101】
〔参考例6〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、プロピレングリコール1650g、イソフタル酸1800g、および無水マレイン酸1720gを仕込んで攪拌した。次に、上記の四つ口フラスコに乾燥空気を30ml/min で流しながら200℃で8時間反応させて不飽和ポリエステルを得た。所定の方法により測定した上記不飽和ポリエステルの酸価は60mgKOH/gであった。
【0102】
次に、上記四つ口フラスコ内の不飽和ポリエステル 100部に対し、2,2-メチレン−ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)0.01部、およびグリシジルメタクリレート 650gを添加し、該四つ口フラスコに窒素ガスを30ml/min で流しながら140℃で3時間反応させてポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーを合成し、該オリゴマー60部と、スチレン40部とを混合してポリエステル(メタ)アクリレート樹脂を得た。
【0103】
次いで、上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂 100部に対し、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシル0.02部を添加してポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物を得た。得られたポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表5に示す。
【0104】
〔比較例6〕
参考例6において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、フェノチアジン0.05部を用いた以外は、参考例6と同様の方法を用いて比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物を得た。得られた比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて、それぞれ表5に示す。
【0105】
〔比較例7〕
参考例6において、2,2-メチレン−ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)に代えて、ハイドロキノン0.01部を用いると共に、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて4-tert−ブチルカテコール0.02部を用いた以外は、参考例6と同様の方法を用いて比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物を得た。得られた比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の保存可能日数、硬化特性、並びに、保存前およびゲル化直前のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の着色度を前述の方法を用いて測定した。上記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂組成物の主な製造条件と各試験結果とをまとめて表5に示す。
【0106】
上記表1〜5に記載の結果から明らかなように、本実施例で得られた樹脂組成物は、比較例で得られた樹脂組成物と比較して、保存安定性および硬化特性に優れ、しかも、経時による着色を抑えることができることが判った。
【0107】
〔比較例8〕
実施例1と同様の四つ口フラスコに、前述の「YD−901」2500g、前述の「YD−127」 580g、メタクリル酸 480g、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド8.90g、および既知の重合禁止剤としての4-メトキシフェノール1.20gを仕込み、実施例1と同様の方法を用いて比較用のビニルエステル樹脂を得た。所定の方法により測定した該比較用のビニルエステル樹脂の酸価は 5.0mgKOH/gであり、ハーゼン色数は120 であった。
【0108】
〔比較例9〕
実施例4において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、既知の重合禁止剤としてのハイドロキノン1.20gを用いた以外は、実施例4と同様の方法を用いて比較用のビニルエステル樹脂を得た。所定の方法により測定した該比較用のビニルエステル樹脂の酸価は 5.0mgKOH/gであり、ハーゼン色数は 800であった。
【0109】
〔比較例10〕
実施例4において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、4-メトキシフェノール 11.80gを用い、さらに、流通ガスとして空気の代わりに窒素ガスを用いた以外は、実施例4と同様の反応・操作を行ったところ、反応開始後2時間でゲル化した。
【0110】
〔比較例11〕
参考例1において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、4-メトキシフェノール1.20gを用いた以外は、参考例1と同様の方法を用いて比較用のウレタン(メタ)アクリレート樹脂を得た。得られた比較用のウレタン(メタ)アクリレート樹脂のハーゼン色数は 200であった。
【0111】
〔比較例12〕
参考例1において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、4-メトキシフェノール 100mgを用いた以外は、参考例1と同様の反応・操作を行ったところ、ヒドロキシプロピルメタクリレート1270g添加後、100 ℃に昇温しながら10分間反応させたところでゲル化した。
【0112】
〔比較例13〕
参考例5において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、ハイドロキノン1.20gを用いた以外は、参考例5と同様の方法を用いて、比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂を得た。得られた比較用のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂のハーゼン色数は、 500であった。
【0113】
〔比較例14〕
参考例5において、4-ヒドロキシ−2,2,6,6-テトラメチルピペリジン−1-オキシルに代えて、ハイドロキノン 100mgを用いた以外は、参考例5と同様の反応・操作を行ったところ、グリシジルメタクリレート添加後、乾燥空気を30ml/min で流しながら140℃で15分間反応させたところでゲル化した。
【0114】
以上、実施例1〜6および比較例1〜14に記載の結果から明らかなように、本実施例の樹脂組成物の製造方法は、製造時にゲル化させることなく、着色を抑制した硬化性樹脂組成物の製造法として好適であることが判った。
【0115】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂は、以上のように、保存安定性のみならず、保存後の着色が少なく、かつ、硬化性にも優れた硬化性樹脂組成物を提供することができる。従って、該硬化性樹脂組成物は、例えば、FRP用成型材料、注型用成型材料、ライニング材料、塗料等の分野で好適に用いることができると共に、特にバスタブや洗面カウンター、ゲルコート等、外観を重視するような用途や、光硬化性樹脂として優れた光硬化性が要求されるような用途等、広範囲の用途に好適に用いることができるという効果を奏する。
Claims (1)
- ビニルエステル樹脂と熱硬化剤とを含み、加熱により硬化する熱硬化性の樹脂組成物であって、
一般式(1)
上記ビニルエステル樹脂100 重量部に対するN−オキシル類の割合が 0.00001重量部〜1重量部となっており、
上記ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応させることによって得られるものであり、
上記エステル化触媒は、第四級アンモニウム塩、無機塩、ホスフォニウム塩、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルスチビンからなる群より選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
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