JP4135827B2 - 波動歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脆性破壊による破断の起きない可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波動歯車装置は、そこに組み込まれている可撓性外歯歯車の形状によって、カップ型、シルクハット型、およびフラット型のものに分類できる。
【0003】
図1および図2には、カップ型の波動歯車装置の代表的な例を示してある。これらの図に示すように、カップ型の波動歯車装置1は、環状の剛性内歯歯車2と、この内側に配置されたカップ形の可撓性外歯歯車3と、この内側にはめ込まれた楕円形の波動発生器4とを有している。カップ形の可撓性外歯歯車3は、円筒状の胴部31と、この胴部31の一端に連続している外歯34が形成された円筒状歯部30と、胴部31の他端を封鎖している環状のダイヤフラム32と、このダイヤフラム32の中心に一体形成されているボス33とを備えている。
【0004】
可撓性外歯歯車3は、波動発生器4によって楕円形に撓められて、その楕円形状の長軸方向の両端の部分の外歯34が、内歯歯車2の内周面に形成した内歯21に噛み合っている。波動発生器4がモータ回転軸等により回転すると、両歯車の噛み合い位置が円周方向に移動する。内歯21と外歯34の歯数は2N(Nは正の整数)だけ差があるので、この歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。一般的には、内歯歯車2の側が固定されるので、カップ形の可撓性外歯歯車3の側から、両歯車の歯数差に応じて大幅に減速された回転が出力される。
【0005】
一方、図4には、シルクハット型の波動歯車装置5の典型例を示してある。この図に示すように、シルクハット型の波動歯車装置5では、その可撓性外歯歯車51が、円筒状の胴部511と、この胴部511の一端に連続している外歯514が形成された円筒状歯部511と、胴部511の他端開口縁から半径方向の外側に広がっている環状のダイヤフラム512と、このダイヤフラムの外周縁に一体形成された環状のボス513とを備えたシルクハット形をしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、例えば、図1、2に示すカップ型の波動歯車装置1においては、波動発生器4によって可撓性外歯歯車3の開口端の部分である外歯34が形成されている円筒状歯部30の部分は繰り返し半径方向に撓められる。すなわち、図3に示すように、楕円形状の長軸側では半径方向の外側に撓められ、短軸側では半径方向の内側に撓められる。これに伴い、歯部30に繋がっている円筒状胴部31、この胴部31に繋がっているダイヤフラム32の部分も繰り返し変形する。このような歯部30、胴部31およびダイヤフラム32の撓み動作、すなわち、コーニングが発生するので、これらの部分の疲労強度を高める必要がある。特に、肉厚の薄い円筒状胴部31およびダイヤフラム32の部分の疲労強度を高める必要がある。
【0007】
このことは、シルクハット型の波動歯車装置におけるシルクハット形の可撓性外歯歯車51についても同様に当てはまる。すなわち、図5に示すようにシルクハット形の可撓性外歯歯車51は繰り返し撓められるので、円筒状胴部511、ダイヤフラム512の部分の疲労強度を高める必要がある。
【0008】
ここで、鋼材の静的強度及び疲労強度を高めるための一般的な表面硬化処理を可撓性外歯歯車3、51の円筒状胴部31、511およびダイヤフラム32、512に適用すると、これらの部分の疲労強度自体は増すものの、これらの部分の脆性が低下して、割れ等が発生しやすくなる。特に、肉厚の薄い円筒状胴部31、511と、厚い円筒状歯部30、510の境界部分に割れが発生しやすくなるので、望ましくない。
【0009】
本発明の課題は、この点に鑑みて、脆性破壊による破断を起こすことが無く、しかも疲労強度が高い可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された可撓性外歯歯車と、この内側に配置された波動発生器とを有し、前記可撓性外歯歯車が、半径方向に変形可能な可撓性の筒状胴部と、この筒状胴部の一端に連続している外歯が形成された筒状歯部と、前記筒状胴部の他端に連続して半径方向に延びている環状のダイヤフラムと、このダイヤフラムに連続しているボスとを備えた構成となっている波動歯車装置において、前記ダイヤフラムおよび前記筒状胴部の両面に表面硬化処理を施すことにより、これらの部分の静的強度および疲労強度を高めるようにすると共に、当該表面硬化処理による硬化層深さの合計を、当該表面硬化処理が施されている部分の厚さに対して45パーセント以下の割合となるようにしている。
【0011】
本発明者等の実験によれば、このように表面硬化処理の硬化層深さを制御することにより、ダイヤフラムおよび円筒状胴部の静的強度および疲労強度を向上させることができると共に、次のような特性が得られることが確認された。すなわち、このように表面硬化処理が施された部分では、脆性破壊よりも先に座屈が発生するので、脆性破壊による破断が発生しない。
【0012】
ここで、前記表面硬化処理による硬化深さは、当該表面硬化処理が施されている部分の両面において同一の深さとすることができる。
【0013】
また、前記表面硬化処理としては、軟窒化またはレーザービーム焼き入れを採用することができる。
【0014】
一方、本発明を適用可能な前記可撓性外歯歯車には、前記筒状胴部の他端から半径方向の内方に延びる円環状の前記ダイヤフラムを備えたカップ形の可撓性外歯歯車、および前記筒状胴部の他端から半径方向の外方に延びる円環状の前記ダイヤフラムを備えたシルクハット形の可撓性外歯歯車が含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1、2に示す(ピッチ円直径が4インチの)カップ型の波動歯車装置1のカップ形の可撓性外歯歯車3における円筒状胴部31、ダイヤフラム32の両面に軟窒化を施した。
【0016】
図6に示すように、軟窒化処理を施したダイヤフラム32の部分の全体厚さをt、その外側の表面から形成した窒化層深さをd1、その内側の表面から形成した窒化層深さをd2とし、実質的にd1=d2となる条件下で、窒化層深さ割合を変えて、その部分の破壊強度の増加割合、および破壊形態(座屈破壊あるいは脆性破壊)を測定した。
【0017】
図7は、この測定により得られた結果を示すグラフである。このグラフの曲線Aは一連の測定結果をプロットしたものであり、窒化層割合を増加させると、それに伴って破壊トルク増加割合(軟窒化処理を施さない場合の破壊トルクに対する増加割合)が増加する。ここで、窒化層割合が45パーセント以下の場合には表面硬化処理部分は座屈破壊が優勢であるのに対して、この割合が45パーセントを超えると、脆性破壊が優勢となることが見出された。
【0018】
この知見に基づき、条件を変えて同様な測定を行ったところ、同様な結果が得られた。すなわち、図7において窒化層割合が45パーセント以下の領域(座屈領域)に入るように、窒化層割合を制御すると、ダイヤフラムの疲労強度を向上できると共に、脆性破壊も回避できることが確認された。45パーセントを超える領域(脆性破壊領域)では、ダイヤフラムの疲労強度は向上するものの、割れ等が発生するので、実用上では好ましくない。
【0019】
次に、図4に示すシルクハット形の可撓性外歯歯車51に対する表面硬化処理の場合においても同様な結果が得られることが確認された。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、波動歯車装置の可撓性外歯歯車における円筒状胴部、ダイヤフラムの両面に形成する硬化層深さの合計を、その部分の厚さの45パーセント以下に制御するようにしている。
【0021】
本発明による表面硬化処理が施された可撓性外歯歯車によれば、その円筒状胴部およびダイヤフラムの静的強度および疲労強度を高めることができる共に、その部分が脆性破壊により破断することも回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なカップ型の波動歯車装置の概略断面構成図である。
【図2】図1の装置の概略正面図である。
【図3】図1の装置のカップ形の可撓性外歯歯車の撓み状態の説明図である。
【図4】本発明を適用可能なシルクハット型の波動歯車装置の概略断面構成図である。
【図5】図4の装置のシルクハット形の可撓性外歯歯車の撓み状態の説明図である。
【図6】図1のカップ形の可撓性外歯歯車のダイヤフラムに施こす窒化層の深さの割合を示すための説明図である。
【図7】窒化層割合に対する破壊トルク増加割合及び破壊形態を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カップ型の波動歯車装置
2 内歯歯車
21 内歯
3 可撓性外歯歯車
4 波動発生器
30 歯部
31 胴部
32 ダイヤフラム
33 ボス
34 外歯
5 シルクハット型の波動歯車装置
510 歯部
511 胴部
512 ダイヤフラム
513 ボス
514 外歯
t 軟窒化処理が施されたダイヤフラムの部分の厚さ
d1 外側表面からの窒化層深さ
d2 内側表面からの窒化層深さ
Claims (5)
- 環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置された可撓性外歯歯車と、この内側に配置された波動発生器とを有する波動歯車装置において、
前記可撓性外歯歯車は、半径方向に変形可能な可撓性の筒状胴部と、この筒状胴部の一端に連続している外歯が形成された筒状歯部と、前記筒状胴部の他端に連続して半径方向に延びている環状のダイヤフラムと、このダイヤフラムに連続しているボスとを備えており、
前記ダイヤフラムおよび前記筒状胴部の両面には表面硬化処理が施されており、
前記ダイヤフラムおよび前記筒状胴部において脆性破壊よりも先に座屈破壊が発生するように、前記表面硬化処理による硬化層深さの合計を、当該表面硬化処理が施されている部分の厚さに対して45パーセント以下の割合にしたことを特徴とする波動歯車装置。 - 請求項1において、
前記表面硬化処理による硬化深さは、当該表面硬化処理が施されている部分の両面において同一の深さであることを特徴とする波動歯車装置。 - 請求項1または2において、
前記表面硬化処理は、軟窒化またはレーザービーム焼き入れであることを特徴とする波動歯車装置。 - 請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記可撓性外歯歯車は、前記筒状胴部の他端から半径方向の内方に延びる円環状の前記ダイヤフラムを備えたカップ形の可撓性外歯歯車であることを特徴とする波動歯車装置。 - 請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記可撓性外歯歯車は、前記筒状胴部の他端から半径方向の外方に延びる円環状の前記ダイヤフラムを備えたシルクハット形の可撓性外歯歯車であることを特徴とする波動歯車装置。
Priority Applications (1)
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JP22129598A JP4135827B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 波動歯車装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22129598A JP4135827B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 波動歯車装置 |
Publications (2)
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JP2000055147A JP2000055147A (ja) | 2000-02-22 |
JP4135827B2 true JP4135827B2 (ja) | 2008-08-20 |
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ID=16764557
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP22129598A Expired - Lifetime JP4135827B2 (ja) | 1998-08-05 | 1998-08-05 | 波動歯車装置 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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JP5709025B2 (ja) * | 2010-03-30 | 2015-04-30 | アイシン精機株式会社 | 波動歯車用基材の製造方法 |
-
1998
- 1998-08-05 JP JP22129598A patent/JP4135827B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2000055147A (ja) | 2000-02-22 |
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