JP4132467B2 - ビニルアルコール系重合体の製法 - Google Patents

ビニルアルコール系重合体の製法 Download PDF

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/12Hydrolysis

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はビニルアルコール系重合体の製法に関する。さらに詳しくは、ビニルエステル系重合体をアルコールを主成分とする溶媒中で特定の条件下にけん化するビニルアルコール系重合体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコールをPVAと略記する)は、数少ない結晶性の水溶性高分子として、優れた造膜性、透明性、強度特性及び界面活性を有することから、紙用コーティング剤及び紙用内添剤などの紙用改質剤、紙、木材及び無機物等の接着剤、経糸糊剤、乳化重合や懸濁重合用の安定剤、各種バインダー等に幅広く利用されているほか、ポリビニルアルコール系フィルムやポリビニルアルコール系繊維及びポリビニルアルコール系シート等の原料として重要な地位を占めている。
【0003】
PVAは、通常、塩基性触媒を用いて、ポリ酢酸ビニル(以下、ポリ酢酸ビニルをPVAcと略記する)のけん化反応により製造されている。例えば、米国特許第2642419号明細書には、濃度24〜40重量%のPVAcのメタノール溶液と苛性ソーダのメタノール溶液との混合物を、沸点以下の温度で連続的にベルトコンベア上に供給し、PVAcのけん化反応により生成するゲル状物を粉砕及び乾燥してPVAとする方法が開示されており、特公昭45−33191号及び特公昭46−9826号明細書には、アルカリ触媒の存在下、重合体の濃度が1%以下になるように連続的に供給して行うけん化方法により、まずPVAcをメタノール溶液中で10〜40モル%のけん化度までけん化し、次いでさらに97〜98.5モル%までけん化し、反応生成物を抜き取り、脱液及び乾燥してPVAを得る方法が開示されている。
【0004】
また、英国特許第1199651号明細書には、界面活性剤を用いて分散重合して得られた平均粒径0.05〜50μmのPVAcを非水性分散液中でアルカリ触媒を用いてけん化し、 PVAの微粒子を得る方法、特開平8−188619号明細書には、特定の条件で分散させたPVAcを、アルカリ触媒(0.01〜0.03モル比)の存在下、温度40℃、PVAc濃度20〜50重量%でけん化する方法が知られている(以下、この条件下に行うけん化を常法によるけん化という)。さらに、特願平8−138240号明細書には、けん化度20〜60モル%の低けん化度PVAとPVAcを混合した溶液をニーダー等を使用してけん化し、水への溶解性に優れたPVAを製造する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知のPVAの製法では、いずれも触媒の存在下に、溶媒の沸点以下の温度でけん化反応を行うものであり、けん化反応時に酢酸ソーダ等の不純物が副生され、得られるPVAにはこれらの不純物が含有される。最近、特開平10−265507号明細書で、電子吸引基を有するポリマーを、高温高圧のアルコールと接触させることにより水酸基を導入する方法が提案されている。この方法は、高温高圧のアルコールのポリマーに対する溶解力、ポリマー粒子内部への浸透力などを利用するものであり、水酸基を効率的に導入することが期待できる方法ではあるが、この方法により、効率的に水酸基を導入することはできるものの、上述した不純物の問題は依然として解決されない。したがって、本発明の目的は、けん化触媒に由来する酢酸ソーダ等の不純物を含有せず、生産性にも優れる工業的に有利なビニルアルコール系重合体の製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、けん化反応に係る温度、圧力、及び流体の密度について詳細に検討した結果、アルコールを主成分とする溶媒中、触媒の不存在下において、特定の温度、圧力、及び流体密度でビニルエステル系重合体をけん化することによって上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、アルコールを主成分とする溶媒中、触媒の不存在下において、該溶媒の臨界温度(Tc)+5℃〜295℃の温度、該溶媒の臨界圧力(Pc)〜40MPaの圧力、反応開始時の流体密度0.1〜0.4g/cm ビニルエステル系重合体をけん化することを特徴とするビニルアルコール系重合体の製法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるビニルエステル系重合体としては、公知のビニルエステル系重合体全てを使用することができる。このようなビニルエステル系重合体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のビニルエステル系単量体の重合体をあげることができる。工業的実施の点からは酢酸ビニルが好ましく、反応効率の点からは、ピバリン酸ビニルが好ましい。
【0008】
本発明のビニルエステル系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルエステル単位と共重合可能な他の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体、ポリオキシアルキレン基を有すアリルエーテル類、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体、アクリル酸及びその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド誘導体があげられる。
【0009】
これらの単量体の含有量は、使用される目的や用途等によって異なるが、通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下である。とくに、上記単量体の単位がエチレンの場合、エチレンの含有量は通常60モル%以下である。さらに、本発明で用いられるビニルエステル系重合体は、2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプト、3−メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合することによって得られる末端変性物でもよい。
【0010】
ビニルエステル系単量体の重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法があげられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールがあげられる。本発明のビニルアルコール系重合体の製法においては、アルコールを主成分とする溶媒を用いることが必須となることから、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法が適し、アルコールを溶媒として用いた溶液重合法が最も好ましい。
【0011】
重合開始剤としては、α,α'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、nープロピルパーオキシカーボネート、シクロヘキシルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤を使用することができる。重合温度についてはとくに制限はないが、通常0℃〜200℃の範囲で実施される。
【0012】
けん化反応時に溶媒として使用されるアルコールとしては、とくに制限はないが、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが好ましく、工業的実施の見地からメチルアルコールがとくに好ましい。本発明の製法において、これらのアルコールは混合して使用してもよく、水、ヘキサンなどのアルカン類、二酸化炭素、エタン、ブタンなどの炭化水素などを本発明の効果を阻害しない範囲で使用してもよい。また、けん化反応速度を調整するために、不活性物質を使用してもよい。
【0013】
けん化反応時のビニルエステル系重合体の濃度は、ビニルエステル系重合体の重合度やけん化反応の条件にもよるが、あまり低いと生産性が低下し、またあまり高いと溶液の粘度が高くなり、作業性が低下したり、副生成物であるエステルとビニルエステル系重合体とのアルコリシスが平衡反応により十分にけん化反応が進まない場合があるので、好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは0.2〜30重量%で実施するのが望ましい。
【0014】
けん化反応の温度は、Tc+5℃〜295℃で実施する必要があり、Tc+10℃〜290℃がより好ましい。けん化反応温度が臨界温度(Tc)+10℃未満の場合は、けん化反応速度が小さく、本発明の目的とする生産性が得られない。一方、けん化反応温度が295℃より高い場合は、原料であるビニルエステル系重合体及び得られるビニルアルコール系重合体の熱分解が起こり、分子量の低下や架橋によるゲル化及び着色が起こることがある。
【0015】
けん化反応の圧力は、Pc〜40MPaで実施する必要があり、Pc+0.5MPa〜35MPaが好ましく、Pc+1MPa〜30MPaがより好ましく、Pc+1.5MPa〜20MPaがさらに好ましい。けん化反応圧力が臨界圧力未満の場合には、けん化反応速度が小さく、本発明の目的とする生産性が得られない。一方、けん化反応圧力が40MPaより大きい場合には、けん化反応速度が大きすぎてけん化度の制御が困難となったり、原料であるビニルエステル系重合体及び得られるビニルアルコール系重合体の分解が起こることがある。
【0016】
本発明のビニルアルコール系重合体の製法において、ビニルエステル系重合体をけん化反応する時の反応系の流体密度は、アルコールのポリマーに対する溶解度及び浸透力を発現させる因子となる点で重要であり、反応開始時の流体密度を0.1〜0.4g/cm3で実施する必要がある。反応系の流体密度が0.1g/cm3未満の場合には、アルコールのポリマーに対する溶解度及び浸透力が不足して、高い生産性が得られない。一方、反応系の流体密度が0.4g/cm3より大きい場合には、けん化反応速度が大きすぎてけん化度の制御が困難となったり、圧力が高くなりすぎることがある。反応系の流体密度は0.12〜0.38g/cm3とするのが好ましく、0.14〜0.36g/cm3とするのがさらに好ましい。
【0017】
けん化反応の時間は、使用する溶媒、重合体の濃度、けん化反応の温度及び圧力によって異なるのでとくに制限はないが、PVAの生産性、原料であるビニルエステル系重合体及び得られるビニルアルコール系重合体の分解を抑制する点から、下記の式(I)を満足するようにけん化反応を行うのが好ましい。
−T/60+5.1≦t≦−5T/3+520 (I)
ここで、tはけん化反応時間(分)を表し、Tはけん化反応の温度(℃)を表す。
【0018】
けん化反応の時間をあまり長くすると、生産性が低下すると同時に原料であるビニルエステル系重合体及び得られるビニルアルコール系重合体の分解が起こることがあるので、PVAを工業的に有利に製造する観点からはけん化反応の時間は短い方が好ましい。具体的なけん化反応の時間としては、60分間以下が好ましく、30分間以下がより好ましい。10分間以下で実施するとさらに好ましい。けん化反応の速度を大きくするには、例えば、原料であるビニルエステル系重合体及び得られるビニルアルコール系重合体の分解を抑制しながら、けん化反応温度、けん化反応圧力及びけん化反応時間を前記の範囲内で厳しく制御すればよい。
【0019】
本発明の方法は、ビニルエステル系重合体を高温高圧のアルコールを主成分とする流体中でけん化反応を行うための耐圧性の容器、冷却器及びこれらに付随する各種の機器から構成される反応装置を使用して実施することができる。本発明のけん化方法としてはバッチ法や連続法などの方法が適用可能である。けん化反応系中に酸素が存在する場合には、分解によるPVA系重合体の着色や重合度の低下がおこる場合があるので、十分に脱酸素を行うことが好ましい。本発明のPVA系重合体の製法は、特定の条件下でアルコールを主成分とする流体中で触媒を添加することなくビニルエステル系重合体をけん化することを特徴とし、得られたPVA系重合体は、けん化触媒に由来するアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの不純物を実質的に含有しない。
【0020】
本発明のビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(以下、重合度(P)と略記する)はとくに制限はないが、通常20〜20000であり、30〜15000が好ましく、40〜10000がさらに好ましく、50〜8000がとくに好ましい。重合度が20未満の場合にはPVAの機械的強度が小さく、PVA系重合体の特徴である皮膜の強度、伸度が小さくなったり、バインダー力が小さくなったりしてPVA系重合体本来の特徴が損なわれる傾向がある。重合度が20000を越えると、原料である高重合度のビニルエステル系重合体を工業的に製造することができなかったり、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液の粘度が高くなり、作業性に難があるため好ましくない。
【0021】
PVA系重合体の重合度(P)は、JIS−K 6726に準じて測定される。すなわち、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式(II)により求められるものである。P=([η]×103/8.29)(1/0.62) (II)
本発明のビニルアルコール系重合体のけん化度についてもとくに制限はないが、通常20モル%以上である。上記PVA系重合体の特徴を発現させる点から好ましいけん化度は25〜99.99モル%であり、30〜99.98モル%がより好ましい。
【0022】
本発明の製法で得られるPVA系重合体は、固体状である。固体状のPVA系重合体の形状及び粒度は、けん化反応の条件、攪拌や取り出し等の設備特性、PVA系重合体の重合度及びけん化度等によって任意に制御可能である。さらに、PVA系重合体を洗浄することも可能である。洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エステル、ヘキサン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液を使用するのが好ましい。洗浄液の量は目的に応じて適宜設定されるが、通常、PVA100重量部に対して、30〜10000重量部が好ましく、50〜3000重量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜10時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。洗浄方法としてはバッチ法や向流洗浄法など公知の方法が適用可能である。
【0023】
本発明の製法で得られるPVA系重合体には、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて充填材、銅化合物等の等の加工安定剤、耐候安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、他の可塑剤樹脂、潤滑剤、香料、発泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強材、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの通常の添加剤を適宜配合することができる。
【0024】
本発明の製法で得られるビニルアルコール系重合体は、公知のPVA系重合体の用途に使用することができる。具体的には、繊維糊剤、繊維処理剤、繊維加工剤、繊維製品用サイズ剤、紙のクリアーコーテイング、紙の顔料コーティング剤、紙の内添サイズ剤、感熱紙のオーバーコート用バインダー等の紙加工剤、感圧接着剤、防曇剤、塗料、有機及び無機顔料用の分散剤、染料等の有機化合物の分散剤、エマルジョン用重合分散安定剤、塩ビ用重合分散安定剤、紙や木材及びプラスチックなどの接着剤、不織布用バインダー、繊維用バインダー、セラミックス用バインダー、石膏ボードや繊維板などの各種建材用バインダー、セメントやモルタル用添加剤、ホットメルト接着剤、画像形成材料、感光性樹脂、ホルマール樹脂やブチラール樹脂等のポリビニルアセタール用原料、ゲル用基材、フィルム、繊維、シート、成形物(フィルム、繊維、シート、チューブ、不織布など)、土壌改良剤などに用いることができる。また、単独あるいは無変性PVAや他の変性PVAとの併用、でんぷん(及びその変性物)、セルロース誘導体、ガム類、ゼラチン、カゼイン等の他種ポリマーとの併用、可塑剤と併用して利用してもよい。
【0025】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、得られたPVA系重合体の分析はとくに記載のない限りはJIS−K6726に従って行った。本発明により得られたPVA系重合体のけん化度は、d6―DMSO溶媒にて500MHzの1H―NMR(JEOL GX―500)装置を使用し、4.1〜4.7ppmの水酸基と1.9〜2.0ppmのアセチル基の値から求めた。
【0026】
重合度は得られたPVAを大過剰のメタノールに浸し、ポリマーに対する水酸化ナトリウムのモル比0.5以上の水酸化ナトリウムを添加し、60℃で2時間加熱した後に、メタノールソックスレーを2日間実施し、次いで60℃で1日間乾燥したけん化度99.5モル%以上のPVAを用いて30℃、水中で測定した極限粘度から算出した。得られたPVAの着色は、60℃で1日間乾燥した後に目視で判断した。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量は原子吸光法で求めた。
【0027】
【実施例】
実施例1
内容積50mlの耐圧容器に、メタノールを使用した溶液重合により製造したPVAc(常法のアルカリけん化により重合度1700のPVAとなる)の30重量%メタノール溶液0.40g及びメタノール11.60gを仕込み、5℃に冷却して攪拌しながら窒素バブリングを30分間行った。次いで、耐圧容器を260℃のシリコーン浴に浸し、圧力を16MPaに保持し、7分後に反応器をシリコーン浴から取り出し急冷した。内容物を取り出し、60℃で1日間乾燥した。生成物は白色の固体状であり、d6―DMSOに溶解し、NMRでけん化度を測定したところ97.3モル%であった。NMRにより測定した結果を図1に示す。
【0028】
該PVAを10gのメタノールに浸し、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.30のアルカリ溶液(NaOHの10重量%メタノール溶液)を添加して60℃、2時間のけん化を行った。次いで、メタノールソックスレーを2日間実施した後、60℃で1日間乾燥してけん化度99.9モル%の重合度測定用の乾燥PVAを得た。30℃、水中で測定した極限粘度から求めた該PVAの重合度は1690であり、常法のけん化で得られるPVAの重合度と同一であった。得られたPVAのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を原子吸光法で測定したところ、含有量は0であった。
【0029】
比較例1
けん化反応の温度を310℃、圧力を24MPaに変更する以外は実施例1と全く同様にしてけん化反応を実施した。反応後の重合体を実施例1と全く同様にして処理したものは褐色の粉体であった。この重合体は90℃のDMSOに不溶であった。
【0030】
実施例2〜、比較例2〜3及び参考例
けん化反応条件を表1及び表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてけん化反応、後処理及び得られた重合体の分析を行った。得られたPVAの結果を表2に示す。本発明の製法により得られたPVAは白色であった。一方、臨界温度より低い温度で反応を実施した場合には、けん化度は0モル%であり原料のポリ酢酸ビニルと全く同一であった。また、圧力を45MPaにした場合には、90℃のDMSOに不溶物が残った。
【0031】
比較例4
けん化触媒に水酸化ナトリウムを使用して表1及び表2に示す条件でけん化反応を実施した。反応後の重合体を実施例1と全く同様にして処理したものは褐色の粉体であった。この重合体は90℃のDMSOに不溶であった。
【0032】
実施例
実施例1の溶媒をメタノールからi−プロパノール及びメタノール/水の混合溶媒に変更し、表1及び表2に示す条件を採用して実施例1と同様にしてけん化反応、後処理及び得られた重合体の分析を行った。結果を表2に示す。アルコールを主体とする溶媒ではメタノールと同様にけん化反応が起こることがわかる。
【0033】
実施例
けん化反応の時間を2時間に延長する以外は実施例2と全く同様にしてけん化反応、後処理及び得られた重合体の分析を行った。結果を表2に示す。反応時間を延長することにより、けん化度は高くなっていたが、得られたPVAは黄色に着色し、PVAの重合度は1540であり、ポリマーは若干分解していた。
【0034】
実施例12
ポリ酢酸ビニルに代えて、エチレンを共重合した酢酸ビニル共重合体(実施例10)、N−ビニルアセトアミドを共重合した酢酸ビニル系共重合体(実施例11)及びポリピバリン酸ビニル(実施例12)をビニルエステル系重合体に用いて、表1及び表2に示す条件でけん化反応を実施し、実施例1と全く同様にして後処理及び得られた重合体の分析を行った。結果を表2に示す。通常のけん化条件ではけん化されにくいコモノマーを共重合したビニルエステル系重合体及びポリピバリン酸ビニルでも、本発明の方法によればポリマーが分解することなくけん化反応が可能であることがわかる。
【0035】
【表1】
Figure 0004132467
【0036】
【表2】
Figure 0004132467
【0037】
【発明の効果】
本発明により、けん化触媒に由来する酢酸ソーダなどの不純物を含有せず、生産性にも優れるビニルアルコール系重合体の製法を提供することができる。また、本発明によれば、ビニルアルコール系重合体の製造プロセスを簡略化することができ、産業上の有用性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法により得られたPVAをd6―DMSO溶媒にて500MHz の1H―NMRを使用して分析したチャートである。

Claims (1)

  1. アルコールを主成分とする溶媒中、触媒の不存在下において、該溶媒の臨界温度(Tc)+5℃〜295℃の温度、該溶媒の臨界圧力(Pc)〜40MPaの圧力、反応開始時の流体密度0.1〜0.4g/cmでビニルエステル系重合体をけん化することを特徴とするビニルアルコール系重合体の製法。
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