JP4131437B2 - 発光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ディスプレイ、照明、レーザー等に利用可能な発光体の製造方法及び発光体に関する。
従来、ディスプレイ、照明、レーザー等の分野で用いられる発光体は、主として硫酸化物、複合酸化物のいずれかに、希土類元素を混合したものが用いられており、原料を高温で焼成反応させて作製することを特徴としている。
特に、照明用の光源において、硫酸化物としてはY2 2 S、複合酸化物としてはBa,Mg,AlからなるBaMg2 Al1627やYAG(Y3 Al5 12)などの母体結晶に、希土類元素を少量含有するものが用いられている。
これらの母体結晶は、透明かつ長寿命であることが求められている。したがって、硫化物等に比較して安定な酸化物であって、機械的強度や化学的安定性に優れるα−アルミナ(Al2 3 )は、理想的な母体結晶であるが、以下に示す理由から用いられてこなかった。
一つには、融点が高いため作製プロセスが容易でないことであり、また、Al(アルミニウム)と希土類元素イオンの原子半径の違いによって効率のよいドーピングが不可能であることである。もちろん、発光性の遷移金属イオンを付加することにより、発光体とすることは可能であるが、発光効率が希土類元素イオンに比べて低いことや、価数の制御が困難であることから広く用いられるには至っていない。
一方、希土類元素や遷移金属の発光性イオンを含有する酸化物は、レーザー用母体結晶として極めて有用である。例として、希土類元素を含むYAG結晶やTi(チタン)を含むアルミナ単結晶(サファイア)は、広く利用されている。アルミナはその機械的強度やバンドギャップの広さから、理想的な母材と考えられるが、上記した理由により希土類元素を発光中心とするレーザーには用いられていない。
しかしながらこのことは、アルミナが有する発光体としての高いポテンシャルを実現するための、発光イオンを導入する技術的な課題が解決されていないことに起因する部分が大きい。
ゾル−ゲル法は、通常のガラス・セラミックスの製造方法である溶融法や固相反応法に比べ、低温で作製可能なこと、高純度なものが作製可能なこと、さらには不純物を均一に分散可能であること、などの利点があり、発光材料の作製方法として非常に適しており、現にシリカガラスによる光ファイバープリフォームや有機色素を含有するレーザーロッドの試作に用いられている。
次に、ゾル−ゲル法の概略を説明する。一般にゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドなど有機金属化合物を加水分解し、得られたコロイド溶液を適当なpH値の元で解膠し、さらに昇温、乾燥によって得られたゲルを焼成することによって、任意の形状のガラス・セラミックスを製造する方法である。
ゾル−ゲル法をアルミナを主成分とするセラミックスに適用する方法は、既にいくつかの報告に述べられている。例えば、非特許文献1においては、Al(OC4 9 3 を温水中で加水分解し、重合反応による析出によって生成した混濁液に酸を加えることによって解膠し、透明なコロイド溶液を得る。これを加熱することによって湿潤アルミナゲルとなり、さらに加熱することによって多孔質の乾燥アルミナゲルとなる。これをさらに高温まで加熱することでコランダム構造の所謂α−アルミナのセラミックス体が得られることが報告されている。
また、若干の原料や、条件の差はあるものの本質的には同じ方法でアルミナセラミックスが得られている(非特許文献2及び3参照)。
J.J. Lannutti and D.E. Clark, "Sol-Gel Derived Alimina Substrates", Ceramics International, 1985, Vol.11, No.3, p.91 B. Yoldas, "Alimina Sol Preparation from Alkoxides", Ceramic Bulletin, 1975, Vol.54, No.3, p.289 S.M. Wolfrum,"Drying and sintering of Al2O3 compacts made by sol-gel processing", Journal of Material Science Letters, 1987, Vol.6, p.706
アルミナ中に希土類元素の発光中心を導入する試みは、置換されるべきアルミニウムと、希土類元素のイオン半径が著しく異なることに由来する結晶製作の困難さゆえに、溶融法や固相反応法を用いたバルクの結晶製作はほとんど試みられていない。
本発明者らは、ゾル−ゲル法を用いることにより上記の困難を解決できるのではないかと考えた。しかしながら従来のゾル−ゲル法は、主として構造材や研磨剤を作製するために用いられており、発光体の製作にはほとんど用いられていない。これまでゾル−ゲル法を用いた発光体を作製する試みはなかったわけではないが、光学的な特性に関して言えば試料に発光は認められず、あるにしても欠陥に起因するごく微弱なものであった。また、多くはシリカをベースとするものであり、アルミナを微量混合するにしても、その主たる目的は、消光を防ぐためという側面が大きい。シリカをベースとする生成物はガラス体であり、熱伝導率はセラミックスに劣り、また熱膨張率も大きいため、レーザー等への応用には適さない。さらに、シリカをベースとする発光体粉体の応用もより困難である。
このように、アルミナ中に希土類元素の発光中心を導入した発光体は極めて有用であるが、その製造方法が確立していないという課題があった。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、アルミナゲル(Al2 3 ・nH2 O)を焼成して作製する発光体の製造方法において、希土類元素を添加したアルミナゲルを焼成する際に、真空中の雰囲気で行えば、α−アルミナ中に含有された希土類元素を発光中心とする発光強度の強い発光体が製造できることを見出し、本発明に想到したものである。
従って本発明の目的は、アルミナ中に希土類元素の発光中心を導入した発光体の製造方法及びその方法を用いた発光体を提供することである。
上記目的を解決するため本発明の発光体の製造方法は、発光体の母体結晶がα−アルミナであり、発光中心が希土類元素である発光体のゾル−ゲル法による製造方法であって、アルミニウムの有機金属化合物を加水分解する加水分解工程と、加水分解工程で得られ加水分解物をコロイド溶液とするコロイド溶液形成工程と、希土類元素を添加する工程と、コロイド溶液を湿潤アルミナゲルとする湿潤アルミナゲル形成工程と、湿潤アルミナゲルを乾燥アルミナゲルとする乾燥アルミナゲルの形成工程と、乾燥アルミナゲルを真空中の雰囲気で焼成する焼成工程、とからなることを特徴とする。
上記方法によれば、従来のゾル−ゲル法では困難であった、発光体の母体結晶がα−アルミナであり、発光中心が希土類元素である発光体を再現性良く製造することができ、希土類元素の種類、量を選択することによって、可視光から赤外の領域において発光効率の高い発光体を製造することができる。
上記方法において、添加する希土類元素は、好ましくはCe,Eu,Tb,Pr,Er,Tm,Gd,Nd,Ybのいずれかである。また、希土類元素の濃度は、好ましくは、0.001から10モル%である。
また、上記の発光体の製造方法において、アルミナゲル中にシリカゲルを混入することを特徴とする。この方法によれば、α−アルミナ母体結晶中にシリカが含有され、発光体の透明度を向上させることができ、輝度の高い発光体を製造できる。
そして、本発明の発光体は、母体結晶がα−アルミナであり、Ceを発光中心としたことを特徴とする、上記方法で得た発光体である。この発光体はCe3+のd−f遷移に基づく青色の発光を示し、広帯域にわたって大きな振動子強度を有している。
また本発明の発光体は、母体結晶がα−アルミナであり、Euを発光中心としたことを特徴とする、上記方法で得た発光体である。この発光体はEu2+のd−f遷移に基づく青色発光もしくは、Eu3+のf−f遷移に基づく赤色発光を示し、後者は大きな振動子強度を有する広帯域の発光を示す。
また本発明の発光体は、母体結晶がα−アルミナであり、Tbを発光中心としたことを特徴とする、上記方法で得た発光体である。この発光体はTb3+のf−f遷移に基づく緑色の発光を示し、高い発光効率を有している。
本発明の発光体の製造方法によれば、発光体の母体結晶がα−アルミナであり、発光中心が希土類元素である発光体を製造することができる。また、本発明の方法で作製した発光体は、母体結晶がα−アルミナであるから寿命が長く、発光中心が希土類元素であるから発光強度が大きく、従って例えば、信頼性の高いレーザー媒質として使用し得る。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
最初に、本発明に係る発光体の製造方法について説明する。図1は本発明の発光体の製造方法を示す工程図である。
本発明に係る発光体の製造方法は、アルミニウムを含む材料の加水分解工程(A)と、加水分解物からコロイド溶液の形成工程(B)と、希土類元素添加材料が添加される工程(C)と、湿潤アルミナゲルの形成工程(D)と、湿潤アルミナゲルを乾燥アルミナゲルにする乾燥アルミナゲルの形成工程(E)と、乾燥アルミナゲルを焼成する焼成工程(F)と、からなる工程を備えている。
最初に、加水分解工程(A)において、図1(A)に示すように、有機アルミニウム化合物を水の中に入れて加水分解を行う。有機アルミニウム化合物を、モル比にして10から1000倍の純水中に投入し、加水分解を行うと懸濁した液体が生成する。ここで、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムアルコキシドやアセチルアセトネートを用いることができる。より望ましくは、sec−ブトキシド(Al(OC4 9 3 )やイソプロポキシド(Al(OC3 7 3 )を用いることができる。
α−アルミナにシリカを添加した発光体(α−アルミナ・シリカ発光体と呼ぶ)を製造する場合には、有機アルミニウム化合物にさらに有機シリコン化合物を添加し、アルミナゲルとシリカゲル(SiO2 ・mH2 O)とすればよい。α−アルミナへのシリカの添加量は、有機シリコン化合物の添加量により任意に制御することができる。有機シリコン化合物として、シリコンアルコキシドを用いることができる。より望ましくは、テトラメトキシシラン(TMOS、Si(OCH3 4 )やテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC2 5 4 )を用いることができる。
次に、コロイド溶液の形成工程(B)において、図1(B)に示すように、上記加水分解物の懸濁液に、酸もしくはアルカリ、より望ましくは硝酸を投入することにより所定のpH値で解膠し、透明なコロイド溶液とする。
次に、希土類元素添加材料の添加工程(C)として、図1(C)に示すように、このコロイド溶液へ発光中心となる希土類元素添加材料を添加する。希土類元素は、Ce(セリウム),Eu(ユウロピウム),Tb(テルビウム),Pr(プラセオジム),Er(エルビウム),Tm(ツリウム),Gd(ガドリニウム),Nd(ネオジム),Yb(イッテルビウム)のいずれかであればよい。これらの希土類元素が、一種又は二種以上添加されてもよい。
ここで、発光中心となる希土類元素の添加量は、α−アルミナに対して0.001〜10mol%(モル%)添加すればよい。希土類元素の添加量が0.001モル%以下の場合には、発光体からの発光強度が減少し望ましくない。また、希土類元素の添加量が10モル%以上の場合には、発光体の試料調製が困難となることと、発光体からの発光強度が減少し、希土類元素の活性が失われる所謂失活が生じ発光しなくなるので好ましくない。
ここで、希土類元素を含む希土類元素添加材料は、発光中心となる希土類元素を含む有機水和物や塩化水和物などであり、水またはアルコールなどの有機溶媒に可溶、もしくは十分に分散できる材料を用いることが望ましい。
上記工程において、希土類元素添加材料をコロイド溶液へ添加した際を示したが、これに限らない。例えば、加水分解前の加水分解を行う純水中に溶解するか、または、加水分解時に混合してもよい。
次に、図1(D)に示すように、湿潤アルミナゲルの形成工程(D)において、コロイド溶液を所定の温度で所定の時間乾燥させて湿潤アルミナゲルとする。この湿潤アルミナゲルの段階で、発光体を所望の形状に成型することができる。
次に、乾燥アルミナゲルの形成工程(E)において、図1(E)に示すように、湿潤アルミナゲルを所定の温度で所定の時間乾燥させて乾燥アルミナゲルとする。
次に、図1(F)に示すように、焼成工程(F)において、乾燥アルミナゲルを所定の温度で所定の時間により焼成し、本発明の発光体を製造することができる。
焼成工程においては、真空中の雰囲気で行えば、希土類元素の価数を発光効率の高い価数とすることができる。すなわち、Ceの場合にはCe3+、Euの場合にはEu2+からの発光が得られ易くなる。なお、焼成工程においては、通常マッフル炉と呼ばれる電気炉を使用することができる。
また、希土類元素の添加濃度を制御すれば、発光スペクトル及び発光強度を制御することができる。
次に、本発明の発光体について説明する。
本発明の発光体は、上記の製造方法により製造される発光体であり、酸化物材料であるα−アルミナの多結晶質を母体とし、母体には希土類元素が添加され、この希土類元素を発光起源とする発光中心を有している。この発光体においては、希土類元素からなる発光中心に外部から励起光または電子ビームが照射されると発光する。
本発明の発光体によれば、Ce、Eu、Tb添加の発光体により、それぞれ、青、赤、緑の発光が得られる。また、Pr、Er、Tm、Gdを添加をした発光体により、それぞれ赤、橙、青、紫の発光が得られる。さらに、NdまたはYbを添加すれば、赤外の発光が得られる。
ここで、本発明のCe添加の発光体は、三価のCeイオン(Ce3+)により、d−f遷移に特徴的な広帯域で振動子強度の大きな幅広い発光スペクトルを有している。
また、本発明のEu添加の発光体は、二価のEuイオン(Eu2+)のd−f遷移に基づく青色発光もしくは、三価のEuイオン(Eu3+)のf−f遷移に基づく赤色発光を示し、後者は大きな振動子強度を有する広帯域の発光を示す。
さらに、本発明のTb添加の発光体は、三価のTbイオン(Tb3+)のf−f遷移に基づく緑色の発光を示し、高い発光効率を有している。
本発明の発光体は、例えば、次に示す用途に使用することができる。
本発明の発光体は、紫外光励起により高効率の発光が得られ、水銀蒸気の有する発光線である245nm、365nmに近い波長の励起によって高い発光効率を示す。また、本発明の発光体自体は単純かつ堅牢な構造であるコランダム構造であるので、耐久性が高く、また、低コストで製造することができる。これにより、本発明の発光体は、蛍光管などの照明器具や紫外LEDを用いた白色光源に用いられる蛍光体に最適である。
また、本発明の発光体に用いる材料は一般に陰極発光を示すので、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管、フィールドエミッションディスプレイ等のディスプレイ用発光体として応用できる。
また、本発明の発光体はゾル−ゲル法により薄膜を容易に製造できるので、薄膜形態の自発光型ディスプレイであるエレクトロルミネッセンス表示用発光体に応用できる。特に、α−アルミナは絶縁耐圧が高いので、交流駆動型のエレクトロルミネッセンス表示用発光体として好適である。
さらに、本発明の発光体はゾル−ゲル法によって任意の形状に成型可能であるので、高エネルギーの放射検出用シンチレータなど検知体応用に好適である。特に、Ceを添加した発光体は発光寿命が短いので高速動作シンチレータに好適である。
また、本発明の発光体またはα−アルミナ・シリカ発光体は製造条件の最適化により透明な成型体とすることができるので、発光効率が高く透明な発光体が必要なレーザー材料にも好適である。
次に、本発明の実施例1を説明する。
Al(OC4 9 3 を25cm3 及び75℃に保ったH2 Oを180.148cm3 をデジタルホットスタラー(IUCHI(株)製、モデルDP−1S)上で撹拌しながら混合し、2時間撹拌した後、0.1モル/1000cm3 の硝酸(HNO3 )7cm3 を加え、pH=2で解膠し、コロイド溶液を形成した。この時点で、(C5 7 2 3 Ce・xH2 Oを0.274g加え、さらに1時間撹拌した。
数日後、ホットプレート(YAMATO(株)製DVS601)で室温から50℃まで48時間かけて昇温し、120時間保持して湿潤アルミナゲルとした後、90℃まで96時間かけて昇温し、24時間保持して乾燥することにより乾燥アルミナゲルを得た。
次いで、この乾燥アルミナゲルを真空装置(ULVAC SINKU KIKO(株)製GVD−200A )により真空(1×10-2Torr)に保ちながら、電気炉(モトヤマ(株)製MS電気炉)で1300℃まで5時間半かけて昇温し、3時間保持することにより焼成し、直径1mm、長さ7mmのCe添加発光体を得た。Ceの添加濃度は、容易に0.1〜1モル%とすることができた。
図2は、実施例1のCe添加発光体に266nm及び355nmのレーザー光を照射したときの発光スペクトルを示す図である。縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。
発光スペクトルの測定には、分光器(アクトン社製、モデル320i)及びCCD検出器(プリンストンインスツルメント社製、モデルCCD・IMAX512)を用いて行った。図から明らかなように、発光強度の強い青色発光が得られ、その発光ピーク波長は約420nmであり、Ce3+に特徴的な広帯域なd−f遷移による発光が生じた。
図3及び図4は、実施例1のCe添加発光体へそれぞれ波長266nm及び355nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。図の縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。
図3から明らかなように、波長266nmのレーザー光照射による発光体の発光直後から20ns毎に200ns後までの発光体強度変化から、発光寿命(発光強度が発光直後の1/e(約37%)に減衰する時間)は、37nsであることが分かる。
また、図4から明らかなように、波長355nmのレーザー光照射による発光体の発光直後から5ns毎に50ns後までの発光体強度から、発光寿命は、8.7nsであることが分かる。このCe添加発光体の量子効率は、発光寿命の値から約50%以上であると推定される。
実施例1と同じコロイド溶液を作製し、解膠時に、EuCl3 ・6H2 Oを0.3422g加え、さらに1時間撹拌した。次に、実施例1と同様にして乾燥アルミナゲルを得た。この乾燥アルミナゲルを真空装置(ULVAC SINKU KIKO(株)製GVD−200A )により真空(1×10-2Torr)に保ちながら、電気炉(MOTOYAMA(株)製SUPER BURN)で1300℃まで6時間半かけて昇温し、30分保持して焼成し、直径1mm、長さ10mmのEu添加発光体を得た。ここで、Euの添加濃度は、容易に0.1〜1モル%とすることができた。
図5は、実施例2のEu添加発光体に、(a)266nm及び(b)355nmのレーザー光を照射したときの発光スペクトルを示す図である。縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図から明らかなように、発光強度の強い赤色発光が得られ、その発光ピーク波長は約615nmであり、Eu3+に特徴的な広帯域のf−f遷移により発光が生じていることが分かった。
図6は、実施例2のEu添加発光体へ波長266nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。図の縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図6から明らかなように、発光体の発光直後から490μs毎に4900μs後までの発光体強度変化から、その発光寿命は870μsであることが分かる。同様に、波長355nmのレーザー光照射においても、発光体の発光寿命は870μsであった。このEu添加発光体の量子効率は、発光寿命の値から約30%以上であると推定される。
実施例1と同じコロイド溶液を作製し、解膠時にTbCl3 ・6H2 Oを0.075gを加え、さらに1時間撹拌した。以降の工程は実施例2と同様に行い、直径1mm、長さ17mmのTb添加発光体が得られた。ここで、Tbの添加濃度は、容易に0.1〜1モル%とすることができた。
図7は、実施例3のTb添加発光体に266nmのレーザー光を照射したときの発光スペクトルを示す図である。縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図から明らかなように、発光強度の強い緑発光が得られ、その発光ピーク波長は約545nmであることが分かった。
図8は、実施例3のTb添加発光体へ波長266nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。図の縦軸は発光強度(相対強度)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図8から明らかなように、発光体の発光直後から700μs毎に7000μs後までの発光体強度変化から発光寿命は、1.52msであることが分かった。このTb添加発光体の量子効率は、発光寿命の値から約30%以上であると推定される。
次に比較例について説明する。
(比較例1)
解膠時に、Ceの原料となる(C5 7 2 3 Ce・xH2 O0.274gを添加しない以外は実施例1と同じコロイド溶液を作製し、さらに、実施例1と同じ条件を用いてα−アルミナ焼成体を製造した。得られたα−アルミナ焼成体に紫外光励起をしたが、発光しなかった。
(比較例2)
実施例1と同様に、乾燥ゲルを作製した。この乾燥ゲルを、実施例1とは異なる大気中において、電気炉(モトヤマ(株)製MS電気炉)で1300℃まで5時間半かけて昇温し、3時間保持して焼成した。得られたα−アルミナ焼成体に紫外光励起をしたところ、微弱な発光を示した。
これにより、実施例1〜3の希土類元素添加発光体からの発光は、比較例2の希土類元素を添加しているが大気中で焼成したα−アルミナ焼成体よりも、はるかに発光強度の強いことが分かった。
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で説明した、焼成時の雰囲気、希土類元素の材料、アルミナの原料、加水分解時に用いる有機溶媒などは適宜に選択できることは勿論である。
本発明の発光体の製造方法を示す工程図である。 実施例1のCe添加発光体の発光特性を示す図である。 実施例1のCe添加発光体へ波長266nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。 実施例1のCe添加発光体へ波長355nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。 実施例2のEu添加発光体に、(a)266nm、(b)355nmの励起光を照射したときの発光特性を示す図である。 実施例2のEu添加発光体へ波長266nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。 実施例3のTb添加発光体に266nmの励起光を照射したときの発光特性を示す図である。 実施例3のTb添加発光体へ波長266nmのレーザー光を照射後の発光の時間依存性を示す図である。

Claims (4)

  1. 発光体の母体結晶がα−アルミナであり、発光中心が希土類元素である発光体のゾル−ゲル法による製造方法であって、
    アルミニウムの有機金属化合物を加水分解する加水分解工程と、
    加水分解工程で得られ加水分解物をコロイド溶液とするコロイド溶液形成工程と、
    希土類元素を添加する工程と、
    コロイド溶液を湿潤アルミナゲルとする湿潤アルミナゲル形成工程と、
    湿潤アルミナゲルを乾燥アルミナゲルとする乾燥アルミナゲルの形成工程と、
    乾燥アルミナゲルを真空中で焼成する焼成工程と、からなることを特徴とする発光体の製造方法。
  2. 前記希土類元素は、Ce又はTbであることを特徴とする、請求項1に記載の発光体の製造方法。
  3. 前記希土類元素の濃度は、0.001〜10モル%であることを特徴とする、請求項2に記載の発光体の製造方法。
  4. 前記湿潤アルミナゲル形成工程又は乾燥アルミナゲル形成工程において、アルミナゲル中にシリカゲルを混入することを特徴とする、請求項1に記載の発光体の製造方法。
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