JP4127892B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量で、かつ重負荷特性および低温高率放電特性が優れたリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウム二次電池用の正極活物質としては、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物が使用されていた。しかしながら、これらの金属硫化物系正極活物質は、電池電圧が3V以下であり、エネルギー密度の高い電池を得る観点からは、電池電圧が低いという問題があった。
【0003】
そのため、最近は、リチウムイオンをインターカレーション、デインターカレーションするLiCoO2 を正極に用い、黒鉛などの炭素質材料を負極に用いた電池電圧が約4Vのリチウムイオン二次電池が開発されている。しかしながら、コバルトは資源的な面で希少であり、コスト高になるという問題があった。
【0004】
そこで、さらなる高容量化と実用性の確保を目指して、LiCoO2 に代わる正極活物質の開発が行われており、コバルトより安価なニッケルを用いたLiNiO2 が提案されている。しかし、LiNiO2 は、高容量が得られる反面、その単結晶粒が板状で不規則に結晶成長し、不定形の二次粒子が生成して、単結晶粒の層状構造面が、二次粒子の外側に向かって露出することが少なく、従って、リチウムのインターカレーション・デインターカレーションが効率よく行われないという問題や、LiNiO2 が水に敏感で分解しやすいという問題があり、そのため、LiNiO2 のニッケルの一部をコバルトで置換したニッケルコバルト酸リチウム(一般式:LiNix Coy 2 )が提案されている(特開昭63−299056号公報、特開平2−40861号公報、特開平6−60887号公報、特開平7−130367号公報)。
【0005】
しかしながら、上記ニッケルコバルト酸リチウムは、充放電により層状格子へのリチウムイオンのインターカレーション・デインターカレーションを繰り返すうちに結晶格子に歪が生じ、特に充電深度を深くしていった場合、破壊しやすいという欠点があった。
【0006】
また、高温貯蔵時においては、上記ニッケルコバルト酸リチウムの活物質の触媒作用により、電解液が分解し、ガス発生により正極の極板形状に変形が起こり、活物質を含有する正極合剤層と集電体との密着性が低下し、内部抵抗が上昇するという問題があった。
【0007】
そのため、正極活物質としてニッケルコバルト酸リチウムを用いた場合には、正極、負極の容量比を一定にするとともに、Liを0.35〜0.90の範囲に規制して充放電したり、Al、Siなどの異種元素を添加したり、平均粒径10〜30μmに粉砕した粉末を活物質として利用したり、さらには、ニッケルまたはコバルトの酸化数が3以下の酸化物を添加することなどが提案されている(特開昭62−90863号公報、特開平7−142056号公報、特開平7−320721号公報、特開平8−78006号公報、特開平8−250119号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高容量化のためには上記のように充電深度を浅くしたり、添加物を添加することは不利を招くことになる。また、単に特定範囲の粒径のものを用いても、正極活物質自体のリチウムイオンをインターカレーション・デインターカレーションし得る効率が悪いと、高容量化のためには正極合剤の充填密度を増加させなければならなくなり、また正極合剤と集電体との密着性が低下しやすくなる。さらに、異種元素で置換したものは、サイクル特性が向上するが、放電容量が小さくなる傾向があり、LiNiO2 の高エネルギー密度という特徴を充分に生かすことができなくなる。すなわち、LiNiO2 のニッケルの一部が他の元素に置換されることにより活物質のリチウムイオンをインターカレーション・デインターカレーションし得る範囲が狭まってしまい、その結果、放電容量が低下することになる。このような放電容量の低下は、特に放電電流が大きい重負荷条件時や低温で電解液の移動度が小さくなる低温高率放電条件で顕著になる。
【0009】
また、正極、負極には、それぞれリテンションと呼ばれる充電容量と放電容量との差がある。例えば、ニッケルコバルト酸リチウムでは、1回目の電池の充電で正極から抜け出たリチウムのうち、ある割合のリチウムが通常の放電状態では正極内に戻らず、1.5V近くまで放電しないと元に戻らない。そのため、初回充電時に正極から負極に吸蔵されたリチウムイオンが、その後の放電によっても負極中に残存したままになる不可逆量が大きく、高容量の活物質でありながら、その特性を充分に生かすことができないという問題があった。
【0010】
従って、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、高容量で、かつ負荷特性および低温高率放電特性が優れたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、正極活物質として一次粒子が放射状に集まって、平均粒径5〜20μmで、比表面積が0.4〜1.2m/gの球状ないし楕円状の二次粒子を形成している下記の一般式(I)
LiNiCo1−y (I)
(式中、xは充放電により変化する値であり、0<x<1.10、0.75<y<0.90)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを用いることにより、高容量で、かつ重負荷特性および低温高率放電特性が優れたリチウムイオン二次電池が得られることを見出したものである。
【0012】
また、本発明は上記正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極活物質として特定の炭素質材料を用いることを好ましい態様としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、正極活物質であるニッケルコバルト酸リチウムは、上記のように一般式(I):Lix Niy Co1-y 2 (式中、xは充放電により変化する値であり、0<x<1.10、0.75<y<0.90)で表されるが、このようなニッケルコバルト酸リチウムについて詳細に説明するにあたり、これまでのニッケルコバルト酸リチウムについても、その形状について触れておくと、図4の電子顕微鏡写真に示すように、従来のニッケルコバルト酸リチウムは、二次粒子が角張った形状をしている。
【0014】
リチウムイオン二次電池では、正極合剤の合剤密度を上げて高容量化を図る必要があるが、上記のような角張った形状をしたニッケルコバルト酸リチウムでは、その角張った形状のため合剤密度を上げることができず、充填密度が低くなってしまうという問題がある。
【0015】
本発明において、正極活物質として用いる一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムは、上記のような問題を解決することができるものであり、図1に示すように、二次粒子が球状ないし楕円状をしているので、活物質粒子内での電気化学的な反応が均一に進行するものと考えられ、それによって、大きな放電容量を期待でき、さらに、このニッケルコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた場合、正極合剤の充填密度を高めることができ、高容量のリチウムイオン二次電池が得られるようになる。本発明において、上記一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを表現するにあたり、球状ないし楕円状と表現しているが、これはほぼ球状のものからほぼ楕円状のものまでのすべて(つまり、ほぼ球状からほぼ楕円状までの中間的な形状のものも含む)を含み、その中に含まれるいずれの形状であってもよいことを意味している。
【0016】
また、従来のニッケルコバルト酸リチウムは、図4に示すように、ニッケルコバルト酸リチウムの一次粒子が集まって二次粒子を形成するときに、ランダムに結晶成長し、一次粒子の層状構造が不規則になっている。そのため、リチウムイオンのインターカレーション・デインターカレーションし得る効率が低下するとともに、層状構造を有する部位での局部的な反応が多くなるため、充放電反応により結晶構造が歪みやすくなる。
【0017】
これに対して、本発明で正極活物質として用いる一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムは、図2の二次粒子の断面に示すように、一次粒子が放射状に二次粒子の外側に向かって規則的に結晶成長しているので、二次粒子表面から均一にリチウムイオンが結晶内にインターカレーション・デインターカレーションでき、効率的な反応が可能となり、高容量化が達成できるとともに、優れた重負荷特性と低温での高率放電特性が得られるようになるものと考えられる。
【0018】
本発明において、正極活物質として用いる一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを得るための製造方法の特徴について説明すると、ニッケルコバルト酸リチウムの一般的な製造方法は、焼成法や共沈法などがあるが、本発明では、まず、ニッケルとコバルトの水酸化物を共沈法により形成し、これにリチウム化合物を混合して熱処理することによりニッケルコバルト酸リチウムを製造する方法を採用しており、本発明で採用する方法は、上記のようなニッケルとコバルトの水酸化物の製法に特に特徴がある。すなわち、ニッケルとコバルトの水酸化物を合成する際に、できるだけ水酸化物を単一相にし、放射状に結晶成長させることが重要である。
【0019】
具体的に説明すると、飽和状態の硫酸ニッケル水溶液を調製し、これに所定量(本発明のNi/Co比の範囲になるように)の硫酸コバルトを加え、さらに水を加えて硫酸ニッケルおよび硫酸コバルトを含む飽和水溶液を調製する。次いで攪拌しながら、この水溶液に濃度1〜5Nの水酸化ナトリウムを溶解したアルカリ水溶液を温度15〜30℃に維持しながら、ゆっくりと添加し、pH10〜12の範囲でNiとCoの水酸化物の沈殿(共沈)を生成させる。アルカリ溶液を過剰に加えて上記水酸化物の沈殿が終了した後、濾過して沈殿物を回収し水洗する。pHを確認しながら水洗を繰り返し、pHが7付近になって、残存アルカリがほぼ消失した後、90〜110℃で乾燥する。
【0020】
このようにして得られるNi/Co複合水酸化物は、粉末X線回折の結果、極めて単一相に近いものであり、電子顕微鏡写真では断面観察で一次粒子が放射状に結晶成長しても球状ないし楕円状の二次粒子を形成していることが確認できる。なお、共沈の原料としてのNi源に硝酸ニッケル、Co源として硝酸コバルトなど、水溶液を作製することができる塩であればいずれの塩であってもかまわないが、アルカリ水溶液の添加時の温度とpHを上記範囲にすることが必要である。また、アルカリ源として水酸化ナトリウムのほか、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど他のアルカリ源を用いたアルカリ溶液も使用することができる。
【0021】
本発明では、NiとCoの組成比を、ニッケルコバルト酸リチウム生成時に、一般式(I):Lix Niy Co1-y 2 で表したときに、yが0.75〜0.90とNiリッチになるような組成比にするが、これは、yの組成比を0.75以上にすることにより、高容量化の点で優れるLiNiO2 の特性を発揮できるとともに、yの組成比を0.90以下とすることにより、結晶の安定化を図ることができるからであり、好ましくは、yの組成比が0.80以上0.85以下である。
【0022】
次にリチウム化合物との混合、焼成の工程について説明すると、NiとCoの複合水酸化物中のNiとCoの量とリチウム化合物中のLiが等モル比になるように充分混合し、650〜750℃で10〜24時間酸素雰囲気で熱処理を行うことにより、本発明のニッケルコバルト酸リチウムが得られる。
【0023】
上記のようにして得られた一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムは、一次粒子が放射状に集まって二次粒子を形成し、その二次粒子は平均粒径が5〜20μmで球状ないし楕円状の形状をしている。本発明において、上記ニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の平均粒径が5〜20μmであることを必要としているのは、次の理由によるものである。すなわち、上記ニッケルコバルト酸リチウムの平均粒径を5μm以上にすることにより、正極中から一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムの微粉が剥がれ落ちて内部短絡を引き起こすのを防止することができ、また、平均粒径を20μm以下にすることにより、後で記す正極合剤ペーストを均一に調製することができ、また該ペーストを集電体に塗布する際にも均一な塗布がしやすいからである。
【0024】
また、本発明において、正極活物質として用いる一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムは、比表面積が0.4〜1.2m2 /gであることが好ましく、ニッケルコバルト酸リチウムを前記の方法で製造すると、比表面積が上記のように0.4〜1.2m2 /g程度のものが得られる。本発明にいう二次粒子の比表面積とは、試料1gを120℃で25時間脱気処理し、試料の測定環境真空度が10mTorr以下になった後に試料の1〜100Åの細孔について窒素吸着法(ユアサアイオニオクス製、オートソープ1)で比表面積の測定を行い、その際の吸着側での測定値から求めた値をいい、平均粒径とは異なった物理量であり、例えば、二次粒子の平均粒径は同じであっても、比表面積が大きなものと、小さなものとが存在する。本発明において、ニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の比表面積が0.4〜1.2m2 /gであることを好ましいとするのは、次の理由に基づいている。すなわち、ニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の比表面積を0.4m2 /g以上にすることにより、実用的な反応面積を保有することができやすくなり、また、1.2m2 /g以下にすることにより、かさ(嵩)密度が小さくなりすぎて充填密度が低下するのを防止して、充填密度を高くすることがしやすくなる。
【0025】
なお、上記のようにして製造したニッケルコバルト酸リチウムの一次粒子の平均粒径が0.3〜3μmとなるように、NiとCoの水酸化物を合成する時に制御することが好ましい。すなわち、一次粒子の平均粒径を0.3μm以上にすることにより、NiとCoの水酸化物の層状構造を安定に保持することがしやすくなり、また一次粒子の平均粒径を3μm以下にすることにより、二次粒子を発達させて目的とする球状ないし楕円状の二次粒子を形成しやすくすることができる。
【0026】
本発明において、正極の作製にあたっては、まず、上記一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを、必要があれば導電助剤などの添加剤と共に、結着剤を加えて有機溶媒を用いて分散して、正極合剤のペーストを調製する。上記結着剤としては、従来から使用されてきた結着剤と同様のものを使用することができる。例えば、結着剤としては、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂と他の樹脂との混合物などを使用することができ、具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを使用することができ、それらの中でもポリフッ化ビニリデンが活物質粒子の分散と成膜性に優れているので好ましい。
【0027】
ニッケルコバルト酸リチウムと結着剤との混合割合は、結着剤をニッケルコバルト酸リチウムに対して重量比で1重量%以上10重量%以下にすることが好ましく、3重量%以上7重量%以下にすることがより好ましい。結着剤量をニッケルコバルト酸リチウムに対して1重量%以上にすることにより、結着剤をニッケルコバルト酸リチウム中に均一に分散させることがしやすくなり、また10重量%以下にすることにより、活物質間に電解液が浸透できる空孔を充分に確保しやすくなる。
【0028】
ニッケルコバルト酸リチウムを分散させるための有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、テトラヒドロフランなどが適宜選択して使用される。
【0029】
また、上記正極合剤ペーストの調製にあたって、導電助剤として鱗片状黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの炭素質材料を添加することもできる。この場合、導電助剤の添加量としては、ニッケルコバルト酸リチウムに対して1重量%以上9重量%以下にすることが好ましい。
【0030】
正極の集電体としては、例えば、アルミニウム箔、表面改質されたステンレス鋼箔などの金属箔などが好適に用いられる。
【0031】
本発明において、正極は、例えば、上記のような材料を溶剤中で分散機を用いて充分に混合分散して正極合剤ペーストを調製し(ただし、結着剤はあらかじめ溶剤に溶解させておいてから正極活物質などと混合してもよい)、その正極合剤ペーストをスムージングを行いながら、集電体に塗布し、乾燥して、集電体上に正極合剤層を形成し、該正極合剤層の充填性を向上するためにロールプレスによる圧延処理を施して作製される。この際、活物質と結着剤などからなる正極合剤層の充填密度を2.8〜3.5g/cm3 にすることが好ましい。正極合剤層の充填密度を上記範囲にすることにより、より一層高容量化を図ることができる。ただし、正極の作製方法は上記方法に限られることなく、他の方法を採用してもよい。
【0032】
本発明の一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを活物質とする正極と組み合わせて使用することができる負極としては、リチウムイオンをインターカレーション・デインターカレーションし得る炭素質材料を主たる活物質成分とするものを用いることができるが、通常の炭素質材料ではリチウムイオン二次電池にした時にリテンションと呼ばれる不可逆容量が生じる。
【0033】
本発明者らは、上記一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた場合に、不可逆容量の少ない負極活物質との組み合わせについても検討したところ、好ましくは、X線回折分析での(002)面の面間隔(d002 )が0.338nm以下、より好ましくは0.336nm以下、結晶サイズ(Lc)が35〜57nm、より好ましくは40〜45nm、アスペクト比(長軸径/短軸径)が2〜20、より好ましくは5〜15、平均粒径20μm以下、より好ましくは平均粒径6μm以下の鱗片状炭素質材料を用いることにより、不可逆容量の小さいリチウムイオン二次電池が得られることを見出した。このような炭素質材料を用いることにより、不可逆容量を小さくできる理由は現在のところ必ずしも明かではないが、おそらくこれらの炭素質材料は発達した層構造を有するので、正極から負極にインターカレーションされるリチウムイオンが円滑に炭素質材料中に挿入されるとともに、リチウムイオンがインターカレーション・デインターカレーションすることによって生ずる正極活物質の膨張収縮に伴ってスライドしながら接触を保ち、導電性を維持しつづけることによるものと思われる。
【0034】
上記炭素質材料において、(002)面の面間隔(d002 )が0.338nm以下であることが好ましいとするのは、面間隔(d002 )が0.338nm以下になることによって結晶性が高くなりやすいからであり、この面間隔(d002 )は小さいほど炭素質材料層間へのリチウムイオンのインターカレーション量が増加するので好ましく、そのような観点から特に0.336nm以下が好ましく、実用上、0.335nm程度までのものが好ましい。また、結晶子サイズ(Lc)が35〜57nmであることが好ましいとするのは、結晶子サイズ(Lc)が35nm以上であることによって炭素質材料層間へのリチウムイオンのインターカレーション量の増加が助長されやすくなるからである。また、アスペクト比(長軸径/短軸径)が2〜20であることが好ましいとするのは、アスペクト比(長軸径/短軸径)が2以上であることによって鱗片状の形状をとりやすくなり、また20以下であることによって望ましい結晶子サイズを保ちやすいからである。また、平均粒径が20μm以下であることが好ましいとするのは、平均粒径が20μm以下であることによって均一な負極合剤層を形成しやすいからであり、この平均粒径は特に6μm以下であることが好ましいが、あまりにも小さくなりすぎると取扱いが困難になるおそれがあるので、平均粒径は20μm以下で2μm以上であることが好ましい。さらに、炭素質材料の形状が鱗片状であることが好ましいとするのは、鱗片状であることによって密度の高い負極合剤層を形成しやすいからである。
【0035】
上記のような炭素質材料としては、例えば、天然黒鉛の他、種々の有機化合物の熱分解または焼成炭化によって得られるものが挙げられ、例えば、ベンゼン、メタン、一酸化炭素などの炭素化合物を気相熱分解させて得られる炭素質材料があり、熱分解の温度としては、2000℃以上3300℃以下が好ましい。また、他の例としてはピッチ系炭素質材料が挙げられ、このようなピッチ類の一例を挙げると、例えば、石油ピッチ、アスファルトピッチ、コールタールピッチ、原油分解ピッチ、石油スラッジピッチなどの石油、石炭の熱分解により得られるピッチ、有機低分子芳香族化合物の熱分解による得られるピッチなどが挙げられる。さらに、他の例を挙げると、アクリロニトリルなどを主成分とする重合体の焼成炭化物などが挙げられる。
【0036】
また、正極と負極の活物質の重量比率も、上記不可逆容量に影響を与える。これらの比率も用いる材料により異なるが、例えば、負極に前記炭素質材料を用いた系では、材料の拡散係数などの相違から、2〜3の範囲にすることにより、特に不可逆容量の小さいリチウムイオン二次電池を得ることができるので好ましい。
【0037】
上記の負極活物質には、必要に応じて導電助剤や結着剤などを添加することができ、導電助剤としては、例えば、Ni粉などの非炭素質材料や、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの炭素質材料を挙げられる。これらの導電助剤の添加量は、特に制限されることはないが、負極活物質に対して1〜30重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
【0038】
負極の結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンジエンゴムなどが1種またはそれらの混合物として使用することができる。結着剤の添加量は、特に制限されることはないが、負極活物質に対して1〜50重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましい。
【0039】
負極は、例えば、上記の材料にさらに溶剤を加え、混合して負極合剤ペーストを調製し(ただし、結着剤はあらかじめ溶剤に溶解させておいてから負極活物質などと混合してもよい)、その負極合剤ペーストを集電体に塗布し、乾燥して、負極合剤層を形成し、該負極合剤層を圧延する工程を経て作製される。ただし、負極の作製方法は上記方法に限られることなく、他の方法を採用してもよい。
【0040】
電解液としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの単独または2種以上の混合溶媒に、例えば、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3 、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 などの1種または2種以上を溶解させた有機溶媒系の電解液が用いられる。この電解液量は、多すぎると漏液などの原因になり、少なすぎると電極に充分に浸透できず、負荷特性が低下するおそれがあるので、正極合剤と負極合剤の合計に対して重量%で0.1〜0.5重量%が好ましい。
【0041】
セパレータとしては、強度が充分でしかも電解液を多く保持できるものがよく、この点から、例えば、厚さが10〜50μmで、開孔率が30〜70%のポリプロピレン製、ポリエチレン製またはポリプロピレンとポリエチレンのコポリマー製の微孔性フィルムや不織布などが好ましい。
【0042】
【実施例】
つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。また、実施例に先立って、実施例で正極活物質として用いるニッケルコバルト酸リチウムの製造例を示す。
【0043】
〔製造例1〕
飽和状態の硫酸ニッケル水溶液を調製し、これに硫酸コバルトを1mol/lの濃度になるように加え、さらに水を加えて硫酸ニッケルと硫酸コバルトを含む飽和水溶液を調製した。
【0044】
次いで、攪拌しながら上記硫酸ニッケルと硫酸コバルトを含む水溶液に濃度2Nの水酸化ナトリウムを溶解したアルカリ水溶液を温度20〜25℃に維持しながら、ゆっくりと添加し、pH11〜12の範囲でNiとCoの水酸化物の沈殿(共沈)を生成させた。上記アルカリ水溶液を過剰に加え、上記水酸化物の沈殿が終了した後、濾過して沈殿物を回収し、pHを確認しながら水洗を繰り返し、pHが約7になって残存アルカリがほぼ消失した後、100℃で乾燥した。
【0045】
次に、上記のようにして得られたニッケル・コバルト複合酸化物557gと水酸化リチウム254gを混合し、これを酸素雰囲気で700℃で熱処理した後、分級、粉砕することにより、粒径5〜15μm(平均粒径=10μm)のニッケルコバルト酸リチウムを得た。このようにして得られたニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の倍率1000倍の電子顕微鏡写真を図1に示す。また、その二次粒子の断面の倍率5000倍の電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0046】
図1および図2に示すように、得られたニッケルコバルト酸リチウムは、その粒子断面(図2参照)から分かるように、一次粒子が放射状に結晶成長して二次粒子を形成しており、二次粒子は球状ないし楕円状をしていた。また、二次粒子の断面を示す図2(倍率:5000倍)からわかるように、一次粒子の粒径は0.3〜1.0μmであった。なお、二次粒子の比表面積を前記窒素吸着法で測定したところ、0.98m2 /gであり、また、得られたニッケルコバルト酸リチウムを一般式(I):Lix Niy Co1-y 2 で表したときに、x=1.00、y=0.83であった。
【0047】
〔製造例2〕
製造例1のニッケルコバルト酸リチウムの製造において、硫酸コバルト1mol/lの代わりに、硫酸コバルトの濃度を0.8mol/lにした以外は、製造例1と同様にして、ニッケルコバルト酸リチウムを製造した。
【0048】
このようにして得られたニッケルコバルト酸リチウムの倍率1000倍の電子顕微鏡写真を図3に示す。図3に示すように、製造例2のニッケルコバルト酸リチウムも、一次粒子が結晶成長して二次粒子を形成しており、二次粒子は球状ないし楕円状をしていた。また、この製造例2のニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子も、一次粒子が放射状に結晶成長して二次粒子を形成していて、一次粒子の粒径は0.2〜0.8μmであった。なお、この二次粒子の比表面積を製造例1と同様に測定したところ、1.01m2 /gであり、また、得られたニッケルコバルト酸リチウムを一般式(I):Lix Niy Co1-y 2 で表したときに、x=1.00、y=0.80であった。
【0049】
実施例1
製造例1で製造したニッケルコバルト酸リチウム〔一般式(I)におけるx=1.00、y=0.83〕100重量部に、導電助剤として鱗片状黒鉛を5重量部および球状カーボンを1重量部、結着剤として平均分子量が約13000のポリフッ化ビニリデンを4重量部加えて混合して正極合剤ペーストを調製した。上記正極合剤ペーストの調製は、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンにあらかじめ溶解しておき、この溶液に正極活物質のニッケルコバルト酸リチウムと導電助剤を加え、攪拌しながら、さらにN−メチルピロリドンを加えて充分に分散し、粘度を調整することによって行った。
【0050】
この正極合剤ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔に、乾燥後の厚みが両面で180μmになるように均一に塗布し乾燥した。同様に、アルミニウム箔の裏面にも正極合剤ペーストを塗布し、真空乾燥した。このシート状電極をロールプレスで圧力を加えて、圧延処理し、シート状の正極を作製した。なお、このようにして作製した正極の正極合剤の充填密度は3.0g/cm3 であった。
【0051】
負極活物質としては(002)面の面間隔(d002 )が0.336nm、結晶サイズ(Lc)が42nmで、アスペクト比が10、平均粒径が10μmの鱗片状黒鉛を用い、この鱗片状黒鉛100重量部に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを10重量部加えて混合し、攪拌しながら、さらにN−メチルピロリドンを加えて粘度を調整して、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを厚さ18μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した後、幅56mmに裁断して、ロールプレスで圧延してシート状負極を作製した。なお、正極活物質と負極活物質との重量比は、2.1:1にした。また、上記正極や負極の作製時、集電体となるアルミニウム箔や銅箔の一部にペーストを塗布せず、それぞれリード体接続用の露出部分を残しておいた。
【0052】
電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒にLiPF6 を1mol/l溶解した有機溶媒系の電解液を用いた。
【0053】
上記正極のアルミニウム箔の露出部分にアルミニウム製で短冊状の集電用リード体を溶接し、かつ負極の銅箔の露出部分にニッケル製で短冊状の集電用リード体を溶接し、この正極と負極との間に厚さ25μmの微孔性のポリエチレン製フィルムからなるセパレータを介在させて渦巻状に巻回した。
【0054】
上記のようにして作製した渦巻状巻回構造の電極体を負極缶に挿入し、負極のリード体の先端部を絶縁体の透孔を通過させて負極缶の缶底に溶接し、上記渦巻状巻回構造の電極体の上部に絶縁体を配置し、負極缶の開口端近傍をグルーブした後、封口板と正極のアルミニウム製リード体とを溶接し、全体を真空乾燥機で乾燥した後、乾燥雰囲気のグローブボックス中で上記の電解液を3cc注入し、封口した後、温度20℃、上限電圧4.2V、0.2Cの定電流定電圧法(CCCV法)により2.5時間充電して、図5に示す構造の円筒形のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0055】
図5に示す電池について説明すると、1は前記の正極で、2は負極である。ただし、図5では、繁雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔などは図示していない。そして、これらの正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回され、渦巻状巻回構造の電極体として電解液4と共に負極缶5内に収容されている。
【0056】
負極缶5はステンレス鋼製で、負極端子を兼ねており、この負極缶5の底部には上記渦巻状巻回構造の電極体の挿入に先立って、ポリプロピレン製の絶縁体6が配置されている。封口板7はアルミニウム製で、円板状をしていて、中央部に薄肉部7aを設け、かつ上記薄肉部7aの周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設けた薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上での理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、切断面後方の輪郭線は図示を省略している。また、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとの溶接部分11も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張した状態に図示している。
【0057】
端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしており、この端子板8にはガス排出孔8aが設けられている。防爆弁9は、アルミニウム製で、円板状をしており、その中央部には発電要素側(図5では、下側)に先端部を有する突出部9aが設けられ、その突出部9aの下面が、前記したように、封口板7の薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成している。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で、環状をしており、封口板7の周縁部の上部に配置され、その上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9とを絶縁するとともに、両者の間から電解液が漏れないように両者の間隙を封止している。環状ガスケット12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、渦巻状巻回構造の電極体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と負極缶5の底部とはニッケル製のリード体15で接続されている。
【0058】
前記のように、負極缶5の底部には絶縁体6が配置され、前記正極1、負極2およびセパレータ3からなる渦巻状巻回構造の電極体や、電解液4、渦巻状巻回構造の電極体上部の絶縁体14などは、この負極缶5内に収容され、それらの収容後、負極缶5の開口端近傍部分に底部が内方に突出した環状の溝が形成される。そして、上記負極缶5の開口部に、封口板7、絶縁パッキング10、防爆弁9が挿入された環状ガスケット12を入れ、さらにその上から端子板8を挿入し、負極缶5の溝から先の部分を内方に締め付けることによって、負極缶5の開口部が封口されている。ただし、上記のような電池組立にあたっては、前記のように、あらかじめ負極2と負極缶5とをリード体15で接続し、正極1と封口板7とをリード体13で接続しておくことが好ましい。
【0059】
上記のようにして組み立てられた電池においては、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとが溶接部分11で接触し、防爆弁9の周縁部と端子板8の周縁部とが接触し、正極1と封口板7とは正極側のリード体13で接続されているので、正極1と端子板8とはリード体13、封口板7、防爆弁9およびそれらの溶接部分11によって電気的接続が得られ、電路として正常に機能する。
【0060】
そして、電池に異常事態が起こり、電池内部にガスが発生して電池の内圧が上昇した場合には、その内圧上昇により、防爆弁9の中央部が内圧方向(図5では、上側の方向)に変形し、それに伴って溶接部分11で一体化されている薄肉部7aに剪断力が働いて、該薄肉部7aが破断するか、または防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離し、それによって、正極1と端子板8との電気的接続が消失して、電流が遮断されるようになる。その結果、電池反応が進行しなくなるので、過充電時や短絡時でも、充電電流や短絡電流による電池の温度上昇や内圧上昇がそれ以上進行しなくなって、電池の発火や破裂を防止できるように設計されている。
【0061】
なお、上記防爆弁9には薄肉部9bが設けられており、たとえば、充電が極度に進行にして電解液や活物質などの発電要素が分解し、大量のガスが発生した場合は、防爆弁9が変形して、防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離した後、この防爆弁9に設けた薄肉部9bが開裂してガスを端子板8のガス排出孔8aから電池外部に排出させて電池の破裂を防止することができるように設計されている。
【0062】
実施例2
正極活物質として製造例2で製造したニッケルコバルト酸リチウム〔一般式(I)におけるx=1.00、y=0.80〕を用い、負極活物質として(002)面の面間隔(d002)が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が42nm、アスペスト比が10、平均粒径が10μmの鱗片状炭素材料を用い、正極活物質と負極活物質との重量比を2.3:1にした以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。なお、このようにして作製した電池の正極合剤の充填密度を測定したところ、3.3g/cm3 であった。
【0063】
比較例1
正極活物質として市販のニッケルコバルト酸リチウムを用い、負極活物質として(002)面の面間隔(d002)が0.380nm、結晶子サイズ(Lc)が1.2nm、平均粒径が10μmの擬黒鉛構造の炭素質材料を用い、正極活物質と負極活物質との重量比を1.9:1にした以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。この比較例1の電池の正極活物質として使用したニッケルコバルト酸リチウムは、図4の電子顕微鏡写真(倍率:1000倍)に示すように、二次粒子の粒子形状が塊状の角張った形状をしており、また一次粒子が不規則に結晶成長していた。なお、このニッケルコバルト酸リチウムの比表面積を前記製造例1と同様に測定したところ、0.4m2 /gであり、また、この電池の正極合剤の充填密度を実施例1と同様に測定したところ、2.5g/cm3 であって、実施例1の3.0g/cm3 や実施例2のの3.3g/cm3 に比べて低かった。
【0064】
上記のようにして作製した実施例1〜2および比較例1のリチウムイオン二次電池について、以下の条件で放電容量、負荷特性、低温高率放電特性および1サイクル目の放電容量/充電容量を調べた。その結果を表1に示す。
【0065】
〔放電容量〕
放電容量は、各電池を0.2Cの電流密度で2.75Vまで放電したときの電池容量を測定し、それを比較例1の電池容量を100%とした場合との比較で示す。
【0066】
〔負荷特性〕
負荷特性は、各電池を2Cで2.75Vまで放電したときの容量とを0.2Cで2.75Vまで放電したときの容量を測定し、2Cで放電したときの容量を0.2Cで放電したときの容量で除したときの割合〔(2Cでの放電容量/0.2Cでの放電容量)×100〕で示す。
【0067】
〔低温高率放電特性〕
低温高率放電特性は、各電池を−10℃、1Cで2.75Vまで放電したときの容量と20℃、1Cで2.75Vまで放電したときの容量を測定し、−10℃で放電したときの容量を20℃で放電したときの容量で除したときの割合〔(−10℃での放電容量/20℃での放電容量)×100〕で示す。
【0068】
〔1サイクル目の放電容量/充電容量〕
各電池を上限電圧4.2V、0.2Cの定電流定電圧法で充電したときの容量を測定し、上記充電後、0.2Cで下限電圧2.75Vまで放電させたときの容量を測定し、それに基づいて求める。
【0069】
【表1】
Figure 0004127892
【0070】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜2の電池は、比較例1の電池に比べて、放電容量が大きく、かつ重負荷での負荷特性および低温高率放電特性が優れ、また、1サイクル目の充放電による不可逆容量が少なかった。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高容量で、かつ重負荷特性および低温高率放電特性が優れたリチウムイオン二次電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で製造した本発明で正極活物質として用いるニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の粒子構造を示す倍率1000倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】図1に示すニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の断面の倍率5000倍の電子顕微鏡写真である。
【図3】製造例2で製造した本発明で正極活物質として用いるニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の粒子構造を示す倍率1000倍の電子顕微鏡写真である。
【図4】従来のニッケルコバルト酸リチウムの二次粒子の粒子構造を示す倍率1000倍の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明に係るリチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (6)

  1. リチウムイオンをインターカレーション・デインターカレーションし得る活物質を主たる成分とする正極および負極を用いるリチウムイオン二次電池において、正極活物質として一次粒子が放射状に集まって平均粒径5〜20μmで、比表面積が0.4〜1.2m /gの球状ないし楕円状の二次粒子を形成している下記の一般式(I)
    LiNiCo1−y (I)
    (式中、xは充放電により変化する値であり、0<x<1.10、0.75<y<0.90)
    で表されるニッケルコバルト酸リチウムを含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 負極活物質が、(002)面の面間隔(d002)が0.338nm以下、平均粒径が20μm以下の鱗片状炭素質材料であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 鱗片状炭素質材料の結晶サイズ(Lc)が35〜57nm、アスペクト比(長軸径/短軸径)が2〜20であることを特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 一般式(I)で表されるニッケルコバルト酸リチウムの一次粒子の平均粒径が0.3〜3μmであることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 正極の充填密度が2.8〜3.5g/cmであることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  6. セパレータとして、厚さが10〜25μmの微孔性フィルムを用いた請求項1〜のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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