JP4127553B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は加熱調理器に関する。
家庭用の加熱調理器において、高周波により加熱を行うもの、いわゆる電子レンジは従来よりなじみの深いものであるが、最近では蒸気、特に食品の脂肪分や塩分を落とすのに効果の高い過熱蒸気により加熱を行うタイプのものも広く使用されるようになっている。蒸気により調理を行う加熱調理器には、蒸気のみで加熱するタイプのものと、高周波を併用するタイプのものとがある。
高周波で加熱するにせよ蒸気で加熱するにせよ、高周波や蒸気が加熱室から漏洩すると危険なので、様々な漏洩防止対策が講じられている。高周波の漏洩防止対策としては、特許文献１−４に見られるようなチョーク構造が一般的である。加熱室の扉にチョーク構造を設ける場合、扉の辺の部分では比較的漏洩を防止しやすいが、扉の隅の部分で漏洩を防止することは容易でない。これを克服するため、扉の四隅のチョークの長手方向の幅を特定の寸法にしたり（特許文献１）、上・下ヒンジと扉体が重複する領域にスリットチョーク構造を設けたり（特許文献２）、折り曲げ部の折り曲げ角度を、角部の近傍において他部よりも大きくしたり（特許文献３）、扉のコーナ部付近に位置する突出面部の突出量を他の部分に位置する突出面部の突出量より大きくしたり（特許文献４）するといった、様々な工夫が施されている。蒸気の漏洩防止対策としては、特許文献５、６に見られるようなガスケットが一般的である。
特開２００３−２４３１５０号公報（第２−４頁、図１、２） 特開２００３−１０９７４５号公報（第２−３頁、図１−１０） 特開平８−１２４６７４号公報（第３−４頁、図１−４） 特開平７−９４２７２号公報（第３−４頁、図１−５） 特開２０００−３０８５６号公報（第２−３頁、図１−４） 特開平２−１７８５２４号公報（第２頁、図１−５）
高周波と蒸気を併用して加熱調理を行う場合、高周波と蒸気の漏洩を効果的に防ぐ必要がある。本発明はかかる課題を達成できる加熱調理器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、蒸気と高周波を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、加熱室の扉に、加熱室からの蒸気漏洩を防止するガスケットを設けるとともに、前記ガスケットのリップ部には、加熱室内部に向く側を入口とする袋状断面を備え、前記リップ部の先端は、前記扉の側に曲がっており、前記扉に、前記加熱室からの高周波漏洩を防止するチョーク構造を設け、前記ガスケットは、このチョーク構造を覆うチョークカバーによってチョーク構造に近接した位置に取り付けられていることを特徴としている。
この構成によると、加熱室内の蒸気圧がガスケットの袋状断面を膨らませる方向に働き、蒸気圧が高まるほどガスケットの密閉作用が向上する。
また、壁面に密着して気体の流通を遮断する役割を主に担うのはリップ部先端ではなく袋状断面の中ほどの部位なので、リップ部先端が熱によって変形したとしても密閉性が低下しない。
本発明によると、蒸気漏洩をガスケットにより防止でき、ガスケットのリップ部は加熱室内部に向く側を入口とする袋状断面を備えているので、加熱室内の蒸気圧が高まるほど袋状断面が膨らみ、密閉作用が向上する。また、チョーク構造に近接してガスケットが設けられたことにより高周波の位相がずれた点をチョーク構造の櫛歯の折曲角度変更で補償して、従来と変わらない高周波漏洩防止機能を維持できる。
以下本発明の実施形態を図に基づき説明する。図１は加熱調理器の正面図、図２は加熱室扉の部分断面図、図３は図２の丸囲み部の部分拡大図、図４はチョーク構造の部分正面図、図５はチョーク構造の側面図、図６はチョーク構造の部分拡大図、図７は異なる部位におけるチョーク構造の部分拡大図である。
加熱調理器１は高周波発生装置と蒸気発生装置（いずれも図示せず）を備え、高周波のみによる加熱、蒸気のみによる加熱、高周波と蒸気を併用した加熱の３態様による加熱が可能である。加熱調理器１は筐体２の内部に加熱室３を有し（図２参照）、加熱室３の開口部を覆う扉４を正面中央に備えている。扉４は下端のヒンジ部（図示せず）を支点として垂直面内で回動するものであり、正面上部に把手５が設けられている。
扉４は多くの部品を組み合わせて構成されるが、それらの部品の中でも本発明において注目すべきは次の３点である。すなわち内枠１０、チョークカバー２０、及びガスケット３０である。
内枠１０は金属板（具体的には鋼板）をプレス加工して額縁状としたものであり、中央の窓１１には高周波の漏洩を防ぎつつ内部の視認を可能とするパンチングメタルやガラスなどが装着される。内枠１０の周縁には高周波漏洩を防止するチョーク構造１２が形成される。チョーク構造１２は、金属板の端に所定寸法の櫛歯１３を所定間隔で多数形成し、この櫛歯１３を所定角度で折曲して構成される。櫛歯１３の先端は内枠１０に形成された内部***壁１４の外面と所定間隔を隔てて対峙している。
チョークカバー２０は内枠１０を囲む額縁状の合成樹脂成型品である。チョークカバー２０は櫛歯１３と平行する壁面２１（図３参照）を備え、壁面２１に続く内縁部２２は内枠１０の内部***壁１４と所定の隙間を隔てて対峙する。
ガスケット３０は耐熱性に富む軟質合成樹脂の押出成型品であり、チョークカバー２０の内縁部２２を包むベース部３１（図３参照）に、加熱室３の開口部周囲の壁面６に密着するリップ部３２を連設したものである。リップ部３２は加熱室３内部に向く側を入口とする袋状断面を有する。またリップ部３２は先端が扉４の側に曲がり、あたかも袋の入口がすぼまったかのような形状を呈している。
ガスケット３０のベース部３１をチョークカバー２０の内縁部２２に被せた状態でチョークカバー２０を内枠１０に嵌合すると、ベース部３１は内縁部２２と内枠１０の内部***壁１４との間の隙間に押し込まれ、隙間をぴったりと塞ぐ。これにより、内枠１０とチョークカバー２０との間の空間に蒸気が侵入することが防がれる。このようにガスケット３０を介して結合した内枠１０とチョークカバー２０を扉４の他の部品に対して組み付ければ、ガスケット３０は装着完了となる。
加熱室３の内部の蒸気圧が高まると、その圧力はリップ部３２の袋状断面を膨らませる方向に作用し、リップ部３２は壁面６に一層密着する。このため蒸気圧が高まるほどガスケット３０の密閉作用が向上する。またリップ部３２の先端は扉４の側に曲がっているので、壁面６に密着して気体の流通を遮断する役割を主に担うのはリップ部３２の先端ではなく、袋状断面の中ほどの部位ということになる。このため、リップ部３２の先端が熱によって変形し、例えば波打ち状態になったとしても、密閉性は低下しない。
ガスケット３０がチョーク構造１２に近接した位置に取り付けられていることから、チョーク構造１２に向かう高周波は位相がずれる。このため、櫛歯１３の折曲角度をガスケット３０を設けなかったときのままにしておいたのでは高周波の漏洩を防げなくなる。そこで櫛歯１３の折曲角度を調整し、高周波漏洩防止機能が維持されるようにする。
具体的には、櫛歯１３の折曲角度を深くする。図６は折曲角度を深くした櫛歯１３を示すものであり、櫛歯１３は内枠１０の前面に対し約４５゜の角度をなしている。これにより櫛歯１３は高周波漏洩防止機能を回復する。
ところで櫛歯１３の折曲角度を深くするという手法は、全ての櫛歯１３に対し有効という訳ではない。扉４の隅部に位置する櫛歯、すなわち図４において符号１３ａを付した櫛歯の対は、双方の折曲角度を深くすると先端同士の最短距離が開き、高周波漏洩防止機能が失われてしまう。そこで、隣接する櫛歯１３ａ同士については折曲角度を深くしないで従前のままに保つ。図７はかかる櫛歯１３ａを示すものである。櫛歯１３ａは内枠１０の前面に対し約３０゜の角度をなす。
櫛歯１３ａの折曲角度を他の櫛歯１３と異ならせるという手法は、櫛歯１３ａが扉４のヒンジ金具（図示せず）に近接している場合には効果顕著であるが、櫛歯１３ａがヒンジ金具に近接していなければそうでもない。そこで、折曲角度を櫛歯１３と異ならせる櫛歯１３ａを、ヒンジ金具に近接するもの、具体的には扉４の下方２箇所の隅に位置するものに限定してもよい。これによりチョーク構造１２の形成作業を簡単化できる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
本発明は高周波と蒸気を併用して加熱調理を行う加熱調理器に広く利用可能である。
加熱調理器の正面図 加熱室扉の部分断面図 図２の丸囲み部の部分拡大図 チョーク構造の部分正面図 チョーク構造の側面図 チョーク構造の部分拡大図 異なる部位におけるチョーク構造の部分拡大図
符号の説明
１ 加熱調理器
２ 筐体
３ 加熱室
４ 扉
５ 把手
１０ 内枠
１２ チョーク構造
１３、１３ａ 櫛歯
２０ チョークカバー
３０ ガスケット
３２ リップ部

Claims (1)

  1. 蒸気と高周波を用いて加熱調理を行う加熱調理器において、
    加熱室の扉に、加熱室からの蒸気漏洩を防止するガスケットを設けるとともに、前記ガスケットのリップ部には、加熱室内部に向く側を入口とする袋状断面を備え、前記リップ部の先端は、前記扉の側に曲がっており、
    前記扉に、前記加熱室からの高周波漏洩を防止するチョーク構造を設け、前記ガスケットは、このチョーク構造を覆うチョークカバーによってチョーク構造に近接した位置に取り付けられていることを特徴とする加熱調理器。
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