JP4126862B2 - 非水電解液電池及び固体電解質電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液電池及び固体電解質電池に関し、特にこれら非水電解液電池と固体電解質電池の電池素子を構成する正極材、負極材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、種々の電子機器の飛躍的進歩とともに、長時間便利に、かつ経済的に使用できる電源として、繰り返して充放電が可能な二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては、鉛蓄電池やアルカリ蓄電池、非水電解質二次電池等が知られている。
【0003】
上述したような二次電池の中でも特に、非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池は、高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。リチウムイオン二次電池は、少なくともリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極及び負極と、非水電解質(非水電解液又は固体電解質)とから構成されている。
【0004】
ここで、負極活物質としては、一般に金属リチウム、Li−Al合金等のリチウム合金、ポリアセチレンやポリピロール等のリチウムをドープした導電性高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合物や炭素材料等が用いられている。
【0005】
一方、正極活物質には、金属酸化物、金属硫化物、或いはポリマーが用いられ、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等が知られている。
【0006】
これらの材料を用いた非水電解質二次電池の放電反応は、負極においてリチウムイオンが電解液中に溶出し、正極では正極活物質の層間にリチウムイオンがインターカレーションすることによって進行する。逆に、充電する場合には、上記の逆反応が進行し、正極においては、リチウムがインターカレーションする。すなわち、負極からのリチウムイオンが正極活物質に出入りする反応を繰り返すことによって充放電を繰り返すことができる。
【0007】
現在、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O2等が用いられている。しかし、これらの正極活物質は、クラーク数の低い金属元素をその組成中に有しているため、コストが高くつく他、安定供給が難しいという問題がある。また、これらの正極活物質は、毒性も比較的高く、環境に与える影響も大きいことから、これらに代わる新規正極活物質が求められている。
【0008】
これに対し、オリビン型構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物(以下、単にLixFe1−yMyPO4と称して説明する。)を単独で、又は他の材料と混合させて正極活物質に用いることが提案されている。このLixFe1−yMyPO4を正極活物質に使用した場合には、資源的に豊富で安価な材料である鉄をその組成中に有しているため、上述のLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等と比較して低コストであり、また、毒性も低いため環境に与える影響も小さく、その実用化が渇望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、正極活物質にLixFe1−yMyPO4を使用した場合、充放電を繰り返すと、内部ショートの発生により充放電容量が激減する。具体的には、正極活物質にLixFe1−yMyPO4を使用したリチウムイオン二次電池では、300サイクル目での電気容量が初期電気容量の50%以下となる現象が多く発生している。これは、充放電過程における電池反応により、正極材及び負極材に体積変化が生じることに起因する。この体積変化は、正極材及び負極材の電池反応に寄与する部分において生じる。そして、正極材、負極材において、電池反応に寄与しない部分がある場合には、体積変化した部分、すなわち電池反応に寄与する部分からの応力が加わり、電池反応に寄与しない部分の活物質が集電体から剥離、脱落して内部ショートの原因となっている。
【0010】
リチウムイオン二次電池においては、帯状の正極材と負極材とを積層し巻回して巻回体を作製し電池素子とする場合、この巻回体の最内周部分は同極同士が対向しているため、また巻回体の最外周部分は外装材と対向しているため、電池反応に寄与しない。また、特にLixFe1−yMyPO4は、他の材料を正極活物質として使用した場合に比して体積変化率が大きい(約7%の体積収縮が生じる。)ため、電池反応に寄与しない部分に対して加えられる応力が大きく、内部ショートが発生する割合がさらに高くなる。このため、巻回体を作製する際に使用する正極材の正極活物質にLixFe1−yMyPO4を使用した場合には、良好なサイクル特性を得ることができない。
【0011】
また、LixFe1−yMyPO4は、活物質そのものの特性としてCo系活物質や、Ni系活物質、Mn系活物質に比べ、体積当たりのエネルギー密度が小さい。したがって、LixFe1−yMyPO4を正極活物質に使用すると、一定の容積の電池を作製した場合には他の活物質を使用した場合に比べ電気容量が小さくなり、実用的ではない。また、一定の電気容量の電池を作製した場合には他の活物質を使用した場合に比べて外形が大きくなり、やはり実用的ではない。
【0012】
そこで、本発明は正極活物質にLixFe1−yMyPO4を使用した場合に、内部ショートの発生を抑制してサイクル特性を向上させるとともに、一定電気容量の電池を作製する場合における小型、薄型化及び一定外形の電池を作製する場合における高電気容量化が達成される非水電解液電池及び固体電解質電池を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解液電池は、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負極集電体に被着されてなる負極材と、これら正極材と負極材とを離間するセパレータと、非水電解液とを備えてなり、内周側に負極材が、外周側に正極材が位置するようにセパレータを介して積層されかつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容される。この非水電解液電池は、電池素子の最外周に位置する正極材の外装材に対向する面、及び電池素子の最内周に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面に、集電体が露出している集電体露呈部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る固体電解質電池は、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負極集電体に被着されてなる負極材と、固体電解質とを備えてなり、内周側に負極材が、外周側に正極材が位置するように積層されかつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容される。この固体電解質電池は、電池素子の最外周に位置する正極材の外装材に対向する面、及び電池素子の最内周に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面に、集電体が露出している集電体露呈部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
上述した構成を有する本発明に係る非水電解液電池及び固体電解質電池は、外装材と対向し、又は同極同士が対向することで電池反応に寄与しない電池素子の最外周部分と最内周部分とが、活物質が被着されずに集電体が露出する集電体露呈部とされている。このため、本発明によれば、充放電が何度も繰り返された時に、電池反応に寄与しない部分に応力が加わった場合であっても、活物質の剥離、脱落が無くなり、内部ショートの発生が抑制され、サイクル特性が向上する。
【0016】
また、本発明によれば、電池反応に寄与しない活物質を集電体に被着させないため、外形の小型、薄型化や、外形はそのままの状態で電池反応に寄与する部分の活物質を多くして高電気容量化を可能とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。なお、本実施の形態においては、非水電解質に液体の電解質を用いた非水電解液電池を例示して説明する。
【0018】
非水電解液電池1は、図1に示すように、正極材2と負極材3とが、セパレータ4を介して積層されかつ渦巻き状に複数回巻回された電池素子5が、非水電解液とともに外装ケース6内に封入されている。
【0019】
正極材2は、図2に示すように、帯状を呈する正極集電体7の両面に、リチウムを電気的に放出することが可能であり、かつ吸蔵することも可逆的に可能である正極活物質を含有する正極活物質層8が形成されている。正極材2においては、その一端側が、上述したような電池素子5を形成する際の巻回開始端2aとされ、他端側が巻回終止端2bとされる。なお、図2において、(a)は電池素子5を形成した場合において外側に面する外周側を、(b)は内側に面する内周側を図示している。
【0020】
正極材2には、その巻回開始端2a近傍に正極リード9が取り付けられている。また、正極材2には、外周側の巻回終止端2b側に正極活物質層8が形成されずに正極集電体7が露出する集電体露呈部2cが設けられている。
【0021】
正極集電体7は、例えばアルミニウム箔等からなる。正極活物質層8に含有される正極活物質としては、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用する。本実施の形態においては、詳細を後述するLiFePO4と炭素材料との複合体を正極活物質として使用する。以下、LixFe1−yMyPO4としてLiFePO4を用い、これと炭素材料とからなる複合体を正極活物質として用いる場合について説明する。
【0022】
LiFePO4と炭素材料との複合体(以下、単にLiFePO4炭素複合体と称して説明する。)は、LiFePO4粒子の表面に、当該LiFePO4粒子の粒径に比べて極めて小とされる粒径を有する炭素材料の粒子が多数個、付着してなるものである。炭素材料は導電性を有するので、炭素材料とLiFePO4とから構成されるLiFePO4炭素複合体は、例えばLiFePO4のみを正極活物質とした場合と比較すると電子伝導性に優れている。すなわち、LiFePO4炭素複合体は、LiFePO4粒子の表面に付着してなる炭素粒子により電子伝導性が向上するので、LiFePO4本来の容量が十分に引き出される。したがって、正極活物質としてLiFePO4炭素複合体を用いることにより、高電気容量を有する非水電解液電池1を実現できる。
【0023】
LiFePO4炭素複合体における単位重量当たりの炭素含有量は、3重量%以上であることが好ましい。LiFePO4炭素複合体における単位重量当たりの炭素含有量が3重量%未満である場合、LiFePO4粒子の表面に付着している炭素粒子の量が十分でないため、電子伝導性向上の効果を十分に得ることができない虞がある。
【0024】
LiFePO4炭素複合体を構成する炭素材料としては、ラマン分光法において、グラファイト(以下、Grと称する。)のラマンスペクトルの波数1340〜1360cm− 1に出現する回折線に対する波数1570〜1590cm− 1に出現する回折線の強度面積比A(D/G)が0.3以上であるものを好適に用いることができる。
【0025】
ここで、強度面積比A(D/G)は、ラマン分光法により測定された波数1570〜1590cm− 1に出現するGピークと波数1340〜1360cm−1に出現するDピークとのバックグランドを含まないラマンスペクトル強度面積比A(D/G)と定義する。また、バックグランドを含まないとは、ノイズ部分は含まないことを意味する。
【0026】
上述したように、Grのラマンスペクトルの数あるピークの中に波数1570〜1590cm− 1に現れるGピークと波数1340〜1360cm− 1に現れるDピークと呼ばれる2つのピークが観察される。このうち、Dピークは、本来Gピーク由来のピークではなく、構造が歪んで構造の対称性が低くなったときに現れるラマン不活性のピークである。それ故、Dピークは、Grの歪んだ構造の尺度となり、DピークとGピークとの強度面積A(D/G)は、Grのa軸方向結晶子サイズLaの逆数と直線的関係を有することが知られている。
【0027】
このような炭素材料としては、具体的には、アセチレンブラック等の非晶質系炭素材料を好ましく用いることができる。
【0028】
また、上述したような強度面積比A(D/G)が0.3以上である炭素材料は、例えば粉砕器で粉砕する等の処理を施すことで得ることができる。そして、粉砕時間を制御することにより、容易に任意のA(D/G)を有する炭素材料を得ることができる。
【0029】
例えば、晶質炭素材である黒鉛は、遊星型ボールミル等の強力な粉砕器を用いて粉砕することで構造が容易に破壊されて非晶質化が進み、それにしたがって強度面積比A(D/G)は増大する。つまり、粉砕器の運転時間を制御することによって任意のA(D/G)、すなわち0.3以上である炭素材料を容易に得ることが可能となる。したがって、粉砕を施すことにより、炭素材料として晶質炭素系材料等も好ましく用いることができる。
【0030】
また、LiFePO4炭素複合体の粉体密度は、2.2g/cm3以上であることが好ましい。LiFePO4炭素複合体は、その粉体密度が2.2g/cm3以上となる程度に合成原料に対してミリングが施されると、十分に微小化されたものとなる。したがって、正極活物質の充填率が向上し、高電気容量を有する非水電解液電池1を実現できる。また、LiFePO4炭素複合体は、上記粉体密度を満たすように微小化されているので、LiFePO4の比表面積も増大しているといえる。つまり、LiFePO4と炭素材料との接触面積を十二分に確保することができ、電子伝導性を向上させることが可能となる。
【0031】
LiFePO4炭素複合体の粉体密度が2.2g/cm3未満である場合、LiFePO4炭素複合体は十分に圧縮されてないため、正極材2における活物質充填率の向上が図れない虞がある。
【0032】
また、LiFePO4炭素複合体のブルナウアーエメットテラー(以下、BETと称する。)比表面積は、10.3m2/g以上であることが好ましい。LiFePO4炭素複合体のBET比表面積を10.3m2/g以上とすると、単位重量当たりにおけるLiFePO4の比表面積を十分に大きいものとすることができ、LiFePO4と炭素材料との接触面積を大きくすることができる。したがって、正極活物質の電子伝導性を確実に向上させることができる。
【0033】
さらに、LiFePO4炭素複合体の1次粒径は、3.1μm以下であることが好ましい。LiFePO4炭素複合体の1次粒径を3.1μm以下とすることにより、単位重量当たりにおけるLiFePO4の比表面積を十分に大きいものとすることができ、LiFePO4と炭素材料との接触面積を大きくすることができる。したがって、正極活物質の電子伝導性を確実に向上させることができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、上述したようにLiFePO4と炭素材料の複合体を正極活物質として使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明において、正極活物質には、LiFePO4を単独で使用してもよく、またLiFePO4以外であって一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用してもよい。このような化合物としては、例えばLiFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.2Cr0.8PO4、LiFe0.2Co0.8PO4、LiFe0.2Cu0.8PO4、LiFe0.2Ni0.8PO4、LiFe0.25V0.75PO4、LiFe0.25Mo0.75PO4、LiFe0.25Ti0.75PO4、LiFe0.3Zn0.7PO4、LiFe0.3Al0.7PO4、LiFe0.3Ga0.7PO4、LiFe0.25Mg0.75PO4、LiFe0.25B0.75PO4、LiFe0.25Nb0.75PO4が挙げられる。
【0035】
正極活物質層に含有される結合剤としては、この種の非水電解液電池において正極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。
【0036】
負極材3は、図3に示すように、正極材2と同様に帯状を呈する負極集電体10の両面に負極活物質層11が形成されている。負極材3においては、その一端側が、上述したように渦巻き状の電池素子5を形成する際の巻回開始端3aとされ、他端側が巻回終止端3bとされる。なお、図3において、(a)は電池素子5を形成した場合において外側に面する外周側を、(b)は内側に面する内周側を図示している。
【0037】
負極材3には、その巻回開始端3a近傍に負極リード12が取り付けられている。また、負極材3には、内周側の巻回開始端3aに負極活物質層11が形成されずに負極集電体10が露出する集電体露呈部3cが設けられている。
【0038】
負極集電体10としては、例えばニッケル箔等が用いられる。負極活物質層11は、負極活物質として、リチウムをドープ、脱ドープ可能な材料が用いられる。このリチウムをドープ、脱ドープ可能な負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムがドープされた導電性高分子、炭素材料や金属酸化物などの層状化合物を用いることができる。この負極活物質層10に含有される結合剤としては、この種の非水電解液電池において負極活物質層の結合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用いることができる。
【0039】
セパレータ4は、正極材2の正極活物質層8と、負極材3の負極活物質層11とを離間させるものであり、この種の非水電解液電池のセパレータとして通常用いられている公知の材料を用いることができ、例えばポリプロピレンなどの高分子フィルムが用いられる。また、セパレータ4は、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、その厚みができるだけ薄いことが必要である。具体的には、セパレータの厚みは例えば50μm以下が適当である。
【0040】
非水電解液としては、非プロトン性非水溶媒に電解質を溶解させた溶液が用いられる。
【0041】
非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等を使用することができる。特に、電圧安定性の点からは、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類を使用することが好ましい。また、このような非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0042】
また、非水溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を使用することができる。これらのリチウム塩の中でも特に、LiPF6、LiBF4を使用することが好ましい。
【0043】
なお、本実施の形態においては、上述したように非水電解質として液系電解質を用いた非水電解液電池1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非水電解質として固体電解質を用いた固体電解質電池にも適用可能である。ここで、固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、固体状態又はゲル状態の何れも用いることができる。ここで、無機固体電解質としては、窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。また、高分子固体電解質は、電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物は、ポリ(エチレンオキサイド)や、同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系高分子、アクリレート系高分子等を単独、又は分子中に共重合、又は混合して用いることができる。この場合、例えばゲル状電解質のマトリックスとしては、非水電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子材料を用いることができる。このような高分子材料としては、例えば、ポリ(ビニリデンフルオロライド)や、ポリ(ビニリデンフルオロライド−CO−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や、同架橋体などのエーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリル)などを用いることができる。そして、これらの中でも特に、酸化還元安定性の観点からフッ素系高分子を用いることが好ましい。なお、非水電解質として固体電解質を用いた固体電解質電池においては、正極材と負極材とを離間するセパレータに代えて、正極材及び負極材の少なくとも片面に固体電解質からなる電解質層が設けられ、正極活物質層と負極活物質層との間に電解質層が配されるように正極材と負極材とが積層され、巻回されて電池素子5を構成してもよく、また、電解質層とセパレータとを正極活物質層と負極活物質層との間に併せて配して電池素子5を構成してもよい。
【0044】
電池素子5は、図1に示すように、最内周が負極材3、最外周が正極材2となるように正極材2と負極材3とがセパレータ4を介して積層され、これらが渦巻き状に巻回されてなる。電池素子5は、その最内周において負極材3同士が対向し、またその最外周部において正極材2が外装ケース6と対向している。これらの部位は、電池反応に寄与するものではなく、正極材2と負極材3とがセパレータ4を介して対向して電池反応に寄与する部分において充放電時に発生する体積変化による応力が加えられる。しかしながら、電池素子5の最内周に位置する負極材3の巻回開始端3a側には、内周側に負極活物質層11が形成されずに負極集電体10が露出する集電体露出部3cが設けられている。また、電池素子5の最外周に位置する正極材2の巻回終止端2b側には、その外周側に正極活物質層8が形成されずに正極集電体7が露出する集電体露出部2cが設けられている。このため、電池素子5においては、充放電時に起こる電極材の体積変化によって、電池反応に寄与せずに体積変化が起こらない部分に応力が加わった場合であっても、活物質が剥離して脱落するということがなく、非水電解液電池1の内部ショートの発生が抑制されてサイクル特性が向上する。
【0045】
また、上述したように電池素子5は、電池反応に寄与しない部分に活物質層が形成されていない。このため、非水電解液電池1においては、電池素子5自体の厚さが薄くなり、小型、薄型化を実現する。また、非水電解液電池1は、電池反応に寄与する部分の活物質層の厚さを厚くして高電気容量化を実現する。
【0046】
外装ケース6は、上述した電池素子5と非水電解液を封入するものである。外装ケース6には、上述したように非水電解質として非水電解液を使用する場合には、内側にニッケルメッキを施した鉄製の電池缶等が使用される。また、非水電解質として固体電解質を使用する場合には、フレキシブルな多層ラミネートフィルムを使用することもできる。
【0047】
以下、上述したような非水電解液電池1の製造方法について説明する。
【0048】
まず、正極活物質としてLiFePO4と炭素材料との複合体を、以下に示す製造方法に従って合成する。
【0049】
この正極活物質を合成するには、LiFePO4の合成原料を混合し、ミリングを施し、焼成し、且つ上記の何れかの時点で炭素材料を添加する。LiFePO4の合成原料としては、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを用いる。
【0050】
以下、合成原料として、リン酸リチウム(Li3PO4)と、下記に示すようにして合成されるリン酸第一鉄八水和物(Fe3(PO4)2・8H2O)とを用い、この合成原料に炭素材料を添加した後に種々の工程を行うことにより、LiFePO4炭素複合体を合成する場合について説明する。
【0051】
まず、LiFePO4の合成原料と炭素材料とを混合して混合物とする混合工程を行う。次いで、混合工程で得られた混合物にミリングを施すミリング工程を行う。次いで、ミリング工程でミリングを施した混合物を焼成する焼成工程を行う。
【0052】
混合工程では、合成原料として、リン酸リチウムとリン酸第一鉄八水和物とを所定比で混合し、さらに炭素材料を添加して混合物とする。
【0053】
合成原料として用いるリン酸第一鉄八水和物は、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を水に溶かしてなる水溶液に、リン酸水素二ナトリウム一二水和物(2Na2HPO4・12H2O)を添加し、所定の時間放置することにより合成される。リン酸第一鉄八水和物の合成反応は、下記化1に示す反応式で表される。
【0054】
【化1】
【0055】
合成原料であるリン酸第一鉄八水和物には、その合成工程上、ある程度のFe3+が含まれている。合成原料にFe3+が残存すると、焼成により3価のFe化合物が生成されるため、LiFePO4炭素複合体の単相合成が妨げられてしまう。このため、焼成前の合成原料に還元剤を添加し、焼成時に合成原料中に含まれているFe3+をFe2+に還元する必要がある。
【0056】
しかし、還元剤によるFe3+のFe2+への還元能力には限界があり、合成原料中のFe3+の含有率が多すぎる場合、Fe3+が還元されきれずにLiFePO4炭素複合体中に残存してしまうことがある。
【0057】
そこで、リン酸第一鉄八水和物中の鉄総量に対するFe3+の含有率を、61重量%以下とすることが好ましい。合成原料であるリン酸第一鉄八水和物中の鉄総量に対するFe3+の含有率を61重量%以下とあらかじめ制限することにより、焼成時においてFe3+を残存させることなく、すなわちFe3+に起因する不純物を生成させることなく、LiFePO4炭素複合体の単相合成を確実に行うことができる。
【0058】
なお、リン酸第一鉄八水和物を生成する際の放置時間が長いほど、生成物中のFe3+の含有率が多くなるので、放置時間を所定の時間に制御することにより、任意のFe3+の含有率を有するリン酸第一鉄八水和物を生成させることができる。また、リン酸第一鉄八水和物中の鉄総量に対するFe3+の含有率は、メスバウア測定法により測定することができる。
【0059】
また、合成原料に添加される炭素材料は、合成原料のリン酸第一鉄八水和物中に含まれるFe2+が大気中の酸素や焼成等によりFe3+に酸化されたとしても、焼成時にFe3+をFe2+に還元する還元剤として働く。したがって、合成原料にFe3+が残存していたとしても、不純物の生成が防止され、LiFePO4炭素複合体の単相合成が可能となる。さらに、炭素材料は、合成原料に含まれるFe2+のFe3+への酸化を防止する酸化防止剤として働く。すなわち、炭素材料は、焼成前又は焼成時において大気中及び焼成炉内に存在する酸素により、Fe2+がFe3+へ酸化されてしまうことを防止する。
【0060】
すなわち、炭素材料は、上述したように正極活物質の電子伝導性を向上させる導電材としての働きをするとともに、還元剤及び酸化防止剤として働く。なお、この炭素材料は、LiFePO4炭素複合体の構成要素となるので、LiFePO4炭素複合体の合成後に除去する必要がない。従って、LiFePO4炭素複合体の製造が効率化される。
【0061】
なお、LiFePO4炭素複合体の単位重量あたりの炭素含有量は、3重量%以上とすることが好ましい。LiFePO4炭素複合体の単位重量あたりの炭素含有量を3重量%以上とすることにより、LiFePO4が本来有する容量及びサイクル特性を十分に引き出すことが可能となる。
【0062】
ミリング工程では、混合工程で得られた混合物に、粉砕・混合同時に行うミリングを施す。本発明におけるミリングとは、ボールミルを用いた強力な粉砕・混合をいう。また、ボールミルとしては、例えば遊星型ボールミル、シェイカー型ボールミル、メカノフュージョン等を好適に用いることができる。
【0063】
混合工程で得られた混合物にミリングを施すことにより、合成原料及び炭素材料を均一に混合することができる。また、ミリングを施すことにより合成原料を微細化すると、合成原料の比表面積を増大させることができる。したがって、原料同士の接触点が増大し、引き続く焼成工程における合成反応を速やかに進行することが可能となる。
【0064】
また、合成原料を含有する混合物にミリングを施すことにより、粒子径3μm以上の粒子の粒度分布が体積基準の積算頻度にして22%以下となるように規定することが好ましい。合成原料の粒度分布を上記範囲と規定しているので、合成原料は、表面積として、合成反応に十分な表面活性を得ることができる広さを有している。したがって、焼成温度が例えば600℃という合成原料の融点以下という低い温度であっても、反応効率が良好であり、LiFePO4炭素複合体の単相合成を確実に行うこと可能となる。
【0065】
また、LiFePO4炭素複合体の粉体密度が2.2g/cm3以上となるように、ミリングを施すことが好ましい。上記粉体密度となるように合成原料を微小化することにより、LiFePO4の比表面積を大きくすることができる。これにより、LiFePO4と炭素材料との接触面積を大きくすることができ、正極活物質の電子伝導性を向上させることが可能となる。
【0066】
したがって、合成原料を含有する混合物にミリングを施すことにより、高容量である非水電解液電池1を実現する正極活物質を製造することができる。
【0067】
焼成工程では、ミリング工程でミリングを施した混合物を焼成する。混合物を焼成することにより、リン酸リチウムとリン酸第一鉄八水和物とを反応させ、LiFePO4を合成する。
【0068】
LiFePO4の合成反応は、下記化2に示す反応式で表される。なお、下記化に示す反応式においては、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを反応させた場合を示す。
【0069】
【化2】
【0070】
上記化2に示す反応式から明らかなように、合成原料としてFe3(PO4)2を用いた場合、副生成物が生じない。また、Fe3(PO4)2・nH2Oを用いた場合、副生成物として無毒である水のみが生じる。
【0071】
ところで、従来は合成原料として炭酸リチウム、リン酸二水素アンモニウム及び酢酸鉄(II)を所定比で混合し、焼成し、下記化3に示す反応によって LiFePO4を合成していた。
【0072】
【化3】
【0073】
上記化3に示す反応式から明らかなように、従来のLiFePO4の合成方法では、焼成時に有毒なアンモニアや酢酸等の副生成物が生じていた。このため、これら有毒な副生成物を処理するための大規模な集気装置等の設備が必要となり、製造コスト上昇の原因となっていた。また、これらの副生成物が大量に生じるため、LiFePO4の収率が低下していた。
【0074】
非水電解液電池1においては、合成原料としてLi3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数である。)とを用いているので、有毒な副生成物が生じることなく、目的物質であるLiFePO4を得られる。言い換えると、従来の製造方法に比べて、焼成時における安全性が著しく向上する。また、従来では有毒な副生成物を処理するために大規模な処理設備が必要だったが、副生成物が無毒である水なので、処理工程を大幅に簡略化でき、処理設備を縮小できる。したがって、従来の副生成物であるアンモニア等を処理する際に比べて、製造コストを大幅に削減することができる。さらにまた、上記化2に示す反応式から明らかなように、副生成物の生成が少量であるので、LiFePO4の収率を大幅に向上させることができる。
【0075】
混合物の焼成を行う際の焼成温度は、上記の合成方法により400℃〜900℃とすることが可能であるが、電池性能を考慮すると、600℃程度とすることが好ましい。焼成温度が400℃未満であると、化学反応及び結晶化が十分に進まず、合成原料であるLi3PO4等の不純物相が存在し、均一なLiFePO4を得られない虞がある。一方、焼成温度が900℃を上回ると、結晶化が過剰に進行してLiFePO4の粒子が大きくなり、LiFePO4と炭素材料との接触面積が減少し、電子伝導性が下がるため、十分な放電容量を得られない虞がある。
【0076】
焼成時において、合成されたLiFePO4炭素複合体中のFeは2価の状態である。このため、合成温度である600℃程度の温度においては、LiFePO4炭素複合体中のFeは、焼成雰囲気中の酸素によって下記化4に示す反応式によりFe3+にすみやかに酸化されてしまう。これに起因して、3価のFe化合物等の不純物が生成され、LiFePO4炭素複合体の単相合成が妨げられてしまう。
【0077】
【化4】
【0078】
そこで、焼成雰囲気として窒素、アルゴン等の不活性ガス又は水素や一酸化炭素等の還元性ガスを用いるとともに、焼成雰囲気中の酸素濃度を、LiFePO4炭素複合体中のFeが酸化されない範囲、すなわち1012体積ppm以下とすることが好ましい。焼成雰囲気中の酸素濃度を、1012体積ppm以下とすることにより、600℃程度の合成温度においてもFeの酸化を防止し、LiFePO4炭素複合体の単相合成を確実に行うことが可能となる。
【0079】
焼成雰囲気中の酸素濃度が1012体積ppmよりも高い場合には、焼成雰囲気中の酸素量が多すぎるため、LiFePO4炭素複合体中のFeがFe3+に酸化されてしまい、これに起因して不純物が生成してしまうため、LiFePO4炭素複合体の単相合成が妨げられてしまう虞がある。
【0080】
焼成後のLiFePO4炭素複合体の取り出しについては、焼成後のLiFePO4炭素複合体の取り出し温度、すなわちLiFePO4炭素複合体を大気中に暴露する際のLiFePO4炭素複合体の温度は305℃以下とすることが好ましい。また、焼成後のLiFePO4炭素複合体の取り出し温度を204℃以下とすることがより好ましい。LiFePO4炭素複合体の取り出し温度を305℃以下とすることにより、焼成後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気中の酸素により酸化され、不純物が生成されることを防止できる。
【0081】
焼成後にLiFePO4炭素複合体を十分に冷却しない状態で取り出した場合、LiFePO4炭素複合体中のFeが大気中の酸素により酸化され、不純物が生成される虞がある。しかしながら、あまり低い温度までLiFePO4炭素複合体を冷却したのでは、作業効率の低下を招く虞がある。
【0082】
したがって、焼成後のLiFePO4炭素複合体の取り出し温度を305℃以下とすることにより、焼成後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気中の酸素により酸化されて不純物が生成されることを防止するとともに、作業効率も維持することが可能となり、電池特性として好ましい特性を有するLiFePO4炭素複合体を効率よく合成することができる。
【0083】
なお、焼成後のLiFePO4炭素複合体の冷却は焼成炉内で行うが、このときの冷却方法は、自然冷却でも良く、また、強制冷却でも良い。ただし、冷却時間の短縮、すなわち、作業効率を考慮した場合には、強制冷却することが好ましい。そして、強制冷却する場合には、焼成炉内を上述した酸素濃度、すなわち1012体積ppm以下とするように酸素と不活性ガスとの混合ガス、又は不活性ガスのみを焼成炉内に供給すれば良い。
【0084】
上記においては、ミリングを施す前に炭素材料の添加を行っているが、炭素材料の添加は、ミリング後または焼成後に行うことも可能である。
【0085】
ただし、炭素材料を焼成後に添加する場合、焼成時の還元効果、及び酸化防止効果を得ることはできず、導電性向上効果のみのために用いるという条件が付く。したがって、炭素材料を焼成後に添加する場合、他の手段によりFe3+の残存を防止することが必要となる。
【0086】
また、炭素材料を焼成後に添加する場合、焼成により合成された生成物はLiFePO4炭素複合体ではなく、LiFePO4である。そこで、焼成により合成されたLiFePO4に炭素材料を添加した後、再度ミリングを施す。ミリングを再度行うことにより、添加した炭素材料は微細化され、LiFePO4の表面に付着しやすくなる。また、ミリングを再度行うことにより、LiFePO4と炭素材料とが十分に混合されるので、微細化された炭素材料をLiFePO4の表面に均一に付着させることができる。したがって、焼成後に炭素材料を添加した場合においても、ミリングを施す前に炭素材料を添加した場合と同様の生成物、すなわちLiFePO4炭素複合体を得ることが可能であり、また、上述した同様の効果を得ることが可能である。
【0087】
上述のようにして得られたLiFePO4炭素複合体を正極活物質として用いた非水電解液電池1は、例えば次のようにして製造される。
【0088】
正極材2としては、まず、正極活物質となるLiFePO4炭素複合体と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの正極合剤を調製する。次に、得られた正極合剤を正極集電体7上に均一に塗布し、乾燥させて正極活物質層8を形成することにより正極材2が作製される。このとき、正極合剤の塗布は、正極集電体7の外周側の巻回終止端2b側に集電体露呈部2cが設けられるように行われる。上記正極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記正極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0089】
なお、本実施の形態においては、上述したようにLiFePO4と炭素材料の複合体を正極活物質として使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明において、正極活物質には、LiFePO4を単独で使用してもよく、またLiFePO4以外であって、オリビン型結晶構造を有する一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用してもよい。このような化合物としては、例えばLiFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.2Cr0.8PO4、LiFe0.2Co0.8PO4、LiFe0.2Cu0.8PO4、LiFe0.2Ni0.8PO4、LiFe0.25V0.75PO4、LiFe0.25Mo0.75PO4、LiFe0.25Ti0.75PO4、LiFe0.3Zn0.7PO4、LiFe0.3Al0.7PO4、LiFe0.3Ga0.7PO4、LiFe0.25Mg0.75PO4、LiFe0.25B0.75PO4、LiFe0.25Nb0.75PO4が挙げられる。
【0090】
負極材3としては、まず、負極活物質と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製する。次に、得られた負極合剤を負極集電体上に均一に塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成することにより負極材3が作製される。このとき、負極合剤の塗布は、負極正極集電体10の内周側の巻回開始端3a側に集電体露呈部3cが設けられるように行われる。上記負極合剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができるほか、上記負極合剤に公知の添加剤等を添加することができる。
【0091】
この様にして得られた正極材2と負極材3とを、間にセパレータ4を配して積層し、複数回巻回して電池素子5を作製する。
【0092】
非水電解液は、電解質塩を非水溶媒中に溶解することにより調製される。
【0093】
そして、外装ケース6内に電池素子5を収容し、非水電解液を注入して、ガスケットを介して蓋体を外装ケース6にかしめ付けることにより非水電解液電池1が完成する。
【0094】
【実施例】
以下、本発明につき、具体的な実験結果に基づいて説明する。
【0095】
[比較例1]
まず、正極活物質となるLiFePO4炭素複合体と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の正極合剤を調製し、正極集電体に片面塗布厚を60μm、両面とも塗布長を巻回開始端から巻回終止端までの30cmで塗布して正極材を作製した。
【0096】
次に、負極活物質と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製し、負極集電体に片面塗布厚45μm、両面とも塗布長30cmで塗布して負極材を作製した。
【0097】
そして、これら正極材、負極材を30μmの電解質層を介して5回巻回して総厚3.11mmの電池素子を作製し、この電池素子を厚さ3.6mm、幅35mm、長さ60mmの電池缶内に収容して封口して電池セルを作製した。この比較例1の電池セルでは、集電体露呈部がなく、電池素子の最内周に位置する負極材の内側の面の負極活物質層同士が相対向するとともに、最外周に位置する正極材の外側の面の正極活物質層が電池缶内面と対向している。
【0098】
[参照例1]
電池素子の総厚が比較例1の電池セルと同様に3.11mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を64.5μm、負極活物質の片面塗布厚48.5μmとするとともに、巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端側から23cmとし、これ以外は比較例1の電池セルと同じ条件で作製した。この参照例1の電池セルでは、電池缶内面と対向する最外周に位置する正極材、すなわち正極材の巻回終止端側の外側の面に正極活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0099】
[参照例2]
電池素子の総厚が比較例1の電池セルと同様に3.11mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を65μm、負極活物質の片面塗布厚49μmとするとともに、巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回終止端側から24cmとし、これ以外は比較例1の電池セルと同じ条件で作製した。この参照例2の電池セルでは、電池素子の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材の巻回開始端側の内側の面に負極活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0100】
[実施例3]
電池素子の総厚が比較例1の電池セルと同様に3.11mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を70.5μm、負極活物質の片面塗布厚53μmとするとともに、巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端側から23cm、巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回終止端側から24cmとし、これ以外は比較例1の電池セルと同じ条件で作製した。この実施例3の電池セルでは、電池缶内面と対向する最外周に位置する正極材、すなわち正極材の巻回終止端側の外側の面と、電池素子の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材の巻回開始端側の内側の面とに活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0101】
[実施例4]
電解質層に変えて正極材と負極材との間に厚さ30μmのセパレータを介在させ、電池缶内に電解液を注入したこと以外は実施例3の電池セルと同様に作製した。
【0102】
[比較例2]
まず、正極活物質となるLiFePO4炭素複合体と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の正極合剤を調製し、正極集電体に片面塗布厚を60μm、両面とも塗布長を巻回開始端から巻回終止端までの35cmで塗布して正極材を作製した。
【0103】
次に、負極活物質と結着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製し、負極集電体に片面塗布厚45μm、両面とも塗布長35cmで塗布して負極材を作製した。
【0104】
そして、これら正極材、負極材を30μmの電解質層を介して6回巻回して総厚3.71mmの電池素子を作製し、この電池素子を多層ラミネートフィルムからなる外装フィルム内に収納して電池セルを作製した。この比較例2の電池セルでは、集電体露呈部がなく、電池素子の最内周に位置する負極材の内側の面の負極活物質層同士が相対向するとともに、最外周側に位置する正極材の外側の面の正極活物質層が外装フィルムの内面と対向している。
【0105】
[参照例5]
巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端から29cmとし、電池素子の総厚を3.56mmとした以外は比較例2の電池セルと同じ条件で作製した。この参照例5の電池セルでは、外装フィルムの内面と対向する最外周に位置した正極材、すなわち正極材の巻回終止端側の外側の面に正極活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0106】
[参照例6]
巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回終止端から30cmとし、電池素子の総厚を3.53mmとした以外は比較例2の電池セルと同じ条件で作製した。この参照例6の電池セルでは、電池素子の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材の巻回開始端側の内側の面に負極活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0107】
[実施例7]
巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端から29cmとし、巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回終止端から30cmとして、電池素子の総厚を3.38mmとした以外は比較例2の電池セルと同じ条件で作製した。この実施例7の電池セルでは、外装フィルム内面と対向する最外周に位置する正極材、すなわち正極材の巻回終止端側の外側の面と、電池素子の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材の巻回終止端側の内側の面に活物質が塗布されていない集電体露呈部が設けられている。
【0108】
[実施例8]
電解質層に変えて正極材と負極材との間に厚さ30μmのセパレータを介在させて外装フィルム内に収容し、電解液を注入したこと以外は実施例7の電池セルと同様に作製した。
【0109】
上述したように作製した比較例1及び比較例2の電池セル、参照例1、参照例2、実施例3、実施例4、参照例5、参照例6、実施例7及び実施例8の電池セルを用いて、電気容量と外形形状、及びサイクル特性の評価を行った。
【0110】
結果を以下の表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
まず、比較例1と参照例1、参照例2、実施例3、実施例4の電池セルを対比して、電気容量の評価を行った。
【0113】
正極、負極とも活物質を集電体の全面に塗布して集電体露呈部を設けなかった比較例1の電池セルに対して、参照例1、参照例2、実施例3、実施例4の各電池セルは、集電体露呈部を設けて電池反応に寄与しない部分の活物質層を無くした分、素子の総厚を比較例1の電池セルと同等に保ったまま電池反応に寄与する部分の活物質層の厚みを増すことができた。この結果、表1に示すように、比較例1の電池セルの電気容量が646mAhであるのに対し、参照例1、参照例2、実施例3、実施例4の各電池セルの電池容量が約690mAh〜750mAhと比較例1の電池セルに比して高電気容量となっていることがわかる。具体的には、参照例1の電池セルが正極材に集電体露呈部を設けることで107%、参照例2の電池セルが負極材に集電体露呈部を設けることで107%、実施例3及び実施例4電池セルが正極材及び負極材に集電体露呈部を設けることで115%、電気容量が増大している。
【0114】
また、比較例の素子構造では、巻回数を6回に増やした場合、比較例2と同じ素子総厚、具体的には表1に示すように電池素子の総厚が3.71mmとなってしまうため、比較例1、参照例1、参照例2、実施例3及び実施例4に使用した厚さ3.6mm電池缶に収容できなくなる。これに対し、実施例の素子構造では、比較例1と同様の塗布厚で活物質を塗布し、巻回数を6回に増やしても、その素子総厚が参照例5、参照例6、実施例7及び実施例8と同じ素子総厚となる。したがって、実施例の素子構造によれば、素子の総厚が3.6mmを越えるものが無く、巻回数を増やすことにより電池容量の増大を図ることもできることがわかる。
【0115】
なお、実施例3と実施例4とでほぼ同様の電気容量の増加が見られることから、液体の電解質を用いてセパレータで正極材と負極材とを離間した場合でも、固体電解質を用いた場合でも、実施例に示す素子構造を採ることにより電気容量の増大することが判断できる。また、このことから電解質層とセパレータとで正極材と負極材とを離間した場合であっても同様の効果を得られる。
【0116】
次に、比較例2と参照例5及び参照例6の電池セルを対比して、外形形状の評価を行った。なお、多層ラミネートフィルムを外装材として使用した場合、素子の総厚が電池セルの総厚に直接反映されるため、素子の厚みを以て外形形状の評価を行った。
【0117】
正極、負極とも活物質を集電体の全面に塗布して集電体露呈部を設けなかった比較例2の電池セルに対して、参照例5、参照例6、実施例7及び実施例8の各電池セルは、集電体露呈部を設けて電池反応に寄与しない部分の活物質層を無くすことにより、電気容量を比較例1の電池セルと同等に保ったまま素子の総厚を減らすことができた。この結果、表1に示すように、比較例2の電池セルの素子総厚が3.71mmであるのに対し、参照例5の電池セルが3.56mm(厚み減少率96%)、参照例6の電池セルが3.53mm(厚み減少率95%)、実施例7の電池セルが3.38mm(厚み減少率91%)、そして実施例8の電池セルが3.39mm(厚み減少率91%)と薄型化を実現していることがわかる。この場合、電気容量はほぼ同等であるが、比較例2の電池セルに比して、参照例5、参照例6、実施例7及び実施例8の電池セルの方が体積当たりの電気容量密度が増加していることが確認できる。
【0118】
なお、実施例7と実施例8とで同様の厚み減少率が見られることから、液系の電解質を用いてセパレータで正極材と負極材とを離間した場合でも、固体電解質を用いた場合でも、実施例に示す素子構造を採ることにより電池セルの外形形状の小型、薄型化が実現されることが判断できる。また、このことから電解質層とセパレータとで正極材と負極材とを離間した場合であっても同様の効果を得られる。
【0119】
さらに、比較例1、比較例2、参照例1、参照例2、実施例3、実施例4、参照例5、参照例6、実施例7及び実施例8のテスト用の電池セルをそれぞれ100個ずつ作製し、これらを使ってサイクル特性の評価を行った。サイクル特性は、充放電を300サイクル繰り返した後の電気容量が初期容量の50%以下となったものが、内部ショートによるものであったので、「内部ショート数×100/100(試験セル数)」によって内部ショート率を求め、その数値によって評価した。
【0120】
表1に示すように、活物質画集電体の全面に塗布されている比較例1及び比較例2の電池セルは、内部ショート率が共に20%以上であるのに対し、正極材又は負極材のどちらか一方に集電体露呈部を設けた参照例1、参照例2、参照例5及び参照例6の電池セルにおいては、内部ショート率が10%未満に減少していることが確認できる。さらに、正極材及び負極材の両方に集電体露呈部を設けた実施例3、実施例4、実施例7及び実施例8の電池セルは、内部ショート率が0%となっていることが確認できる。これは、正極材及び負極材のそれぞれの電極において、充放電時の電池反応に寄与する部分の体積変化による応力が電池反応に寄与しない部分に加わった際に、比較例の電池セルは応力を受ける部分、すなわち電池反応に寄与しない部分にも活物質が塗布されており、受けた応力が蓄積されると活物質が集電体から剥離して脱落するため内部ショートを引き起こすのに対し、実施例の電池セルは応力を受ける部分に活物質が塗布されておらず、内部ショートの原因となる活物質の剥離、脱落が生じないからである。このことから、電池反応に寄与しない部分に活物質を塗布しないことで、内部ショートの発生が抑制され、サイクル特性の向上を実現することができる。
【0121】
なお、実施例3と実施例4、実施例7と実施例8とで内部ショート率が同じ0%となっていることから、液体の電解質を用いてセパレータで正極材と負極材とを離間した場合でも、固体電解質を用いた場合でも、実施例に示す素子構造を採ることにより電池セルのサイクル特性が向上すると判断できる。また、このことから電解質層とセパレータとで正極材と負極材とを離間した場合であっても同様の効果を得られる。
【0122】
また、さらに以下に示す実施例9乃至実施例22の電池セルを作製し、上述した電池容量、外形形状及びサイクル特性の評価を行った。
【0123】
[実施例9]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.2Mn0.8PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0124】
[実施例10]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.2Cr0.8PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0125】
[実施例11]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.2Co0.8PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0126】
[実施例12]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.2Cu0.8PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0127】
[実施例13]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.2Ni0.8PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0128】
[実施例14]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25V0.75PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0129】
[実施例15]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25Mo0.75PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0130】
[実施例16]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25Ti0.75PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0131】
[実施例17]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.3Zn0.7PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0132】
[実施例18]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.3Al0.7PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0133】
[実施例19]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.3Ga0.7PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0134】
[実施例20]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25Mg0.75PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0135】
[実施例21]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25B0.75PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0136】
[実施例22]
LiFePO4と炭素材料の複合体に代えて正極活物質にLiFe0.25Nb0.7 5PO4を使用した以外は実施例3の電池セルと同じ条件で作製した。
【0137】
上述した実施例9乃至実施例22の各電池セルに対しても、参照例1、参照例2、実施例3、実施例4、参照例5、参照例6、実施例7乃至実施例8と同様に電気容量、外形形状及びサイクル特性について評価した結果、LiFePO4を正極活物質に使用した実施例3と同様な効果が確認された。
【0138】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明に係る非水電解液電池及び固体電解質電池によれば、正極活物質に、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用し、電池素子を構成する正極材及び負極材のうち電池反応に寄与しない部分は活物質が塗布されずに集電体が露出する素子構造とすることで、内部ショートの発生を抑制し、良好なサイクル特性を得ることができる。また、本発明によれば、このような素子構造とすることで、一定外形の電池を作製する場合における高電気容量化及び一定電気容量の電池を作製する場合における小型、薄型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る非水電解液電池の縦断面図である。
【図2】実施の形態に係る非水電解液電池の電池素子を構成する正極材を説明するための図であり、(a)は巻回体である電池素子における内周側を、(b)は外周側を示す図である。
【図3】同非水電解液電池の電池素子を構成する負極材を説明するための図であり、(a)は巻回体である電池素子における内周側を、(b)は外周側を示す図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池,2 正極材,2c 集電体露呈部,3 負極材,3c 集電体露呈部,4 セパレータ,5 電池素子,6 外装ケース,7 正極集電体,8 正極活物質層,10 負極集電体,11 負極活物質
Claims (3)
- オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負極集電体に被着されてなる負極材と、上記正極材と上記負極材とを離間するセパレータと、非水電解液とを備えてなり、上記正極材と上記負極材とが、内周側に上記負極材が、外周側に上記正極材が位置するように上記セパレータを介して積層されかつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容される非水電解液電池において、
上記電池素子の最外周に位置する正極材の上記外装材に対向する面、及び上記電池素子の最内周に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面に、集電体が露出している集電体露呈部が設けられていることを特徴とする非水電解液電池。 - オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1−yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負極集電体に被着されてなる負極材と、固体電解質とを備えてなり、上記正極材と上記負極材とが、内周側に上記負極材が、外周側に上記正極材が位置するように積層されかつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容される固体電解質電池において、
上記電池素子の最外周に位置する正極材の上記外装材に対向する面、及び上記電池素子の最内周に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面に、集電体が露出している集電体露呈部が設けられていることを特徴とする固体電解質電池。 - 上記正極材と上記負極材との間には、セパレータが配されることを特徴とする請求項2に記載の固体電解質電池。
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