JP2002117902A - 非水電解液電池及び固体電解質電池 - Google Patents
非水電解液電池及び固体電解質電池Info
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Abstract
形の電池における高電気容量化及び定電気容量電池にお
ける小型、薄型化を実現する。 【解決手段】 一般式LixFe1-yMyPO4(ただし、
MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、
Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以
上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8であ
る。)で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合
して正極活物質に使用する。非水電解液電池1は、電池
素子5が内周側に負極材3が、外周側に正極材2が位置
するように積層されかつ巻回されてなり、外装ケース6
に収容されるとともに、この外装ケース6と対向する電
池素子5の最外周に位置する正極材2、又は負極材3同
士が相対向する電池素子5の最内周に位置する負極材3
の少なくともいずれか一方に、集電体が露出している集
電体露呈部2c、3cが設けられる。
Description
び固体電解質電池に関し、特にこれら非水電解液電池と
固体電解質電池の電池素子を構成する正極材、負極材の
改良に関する。
もに、長時間便利に、かつ経済的に使用できる電源とし
て、繰り返して充放電が可能な二次電池の研究が進めら
れている。代表的な二次電池としては、鉛蓄電池やアル
カリ蓄電池、非水電解質二次電池等が知られている。
水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池は、高
出力、高エネルギー密度等の利点を有している。リチウ
ムイオン二次電池は、少なくともリチウムイオンを可逆
的に脱挿入可能な活物質を有する正極及び負極と、非水
電解質(非水電解液又は固体電解質)とから構成されて
いる。
リチウム、Li−Al合金等のリチウム合金、ポリアセ
チレンやポリピロール等のリチウムをドープした導電性
高分子、リチウムイオンを結晶中に取り込んだ層間化合
物や炭素材料等が用いられている。
硫化物、或いはポリマーが用いられ、例えばTiS2、
MoS2、NbSe2、V2O5等が知られている。
の放電反応は、負極においてリチウムイオンが電解液中
に溶出し、正極では正極活物質の層間にリチウムイオン
がインターカレーションすることによって進行する。逆
に、充電する場合には、上記の逆反応が進行し、正極に
おいては、リチウムがインターカレーションする。すな
わち、負極からのリチウムイオンが正極活物質に出入り
する反応を繰り返すことによって充放電を繰り返すこと
ができる。
質としては、高エネルギー密度、高電圧を有すること等
から、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等が用
いられている。しかし、これらの正極活物質は、クラー
ク数の低い金属元素をその組成中に有しているため、コ
ストが高くつく他、安定供給が難しいという問題があ
る。また、これらの正極活物質は、毒性も比較的高く、
環境に与える影響も大きいことから、これらに代わる新
規正極活物質が求められている。
式LixFe1-yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、C
o、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、
Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05
≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化
合物(以下、単にLixFe1-yMyPO4と称して説明す
る。)を単独で、又は他の材料と混合させて正極活物質
に用いることが提案されている。このLixFe1-yMy
PO4を正極活物質に使用した場合には、資源的に豊富
で安価な材料である鉄をその組成中に有しているため、
上述のLiCoO 2、LiNiO2、LiMn2O4等と比
較して低コストであり、また、毒性も低いため環境に与
える影響も小さく、その実用化が渇望されている。
物質にLixFe1-yMyPO4を使用した場合、充放電を
繰り返すと、内部ショートの発生により充放電容量が激
減する。具体的には、正極活物質にLixFe1-yMyP
O4を使用したリチウムイオン二次電池では、300サ
イクル目での電気容量が初期電気容量の50%以下とな
る現象が多く発生している。これは、充放電過程におけ
る電池反応により、正極材及び負極材に体積変化が生じ
ることに起因する。この体積変化は、正極材及び負極材
の電池反応に寄与する部分において生じる。そして、正
極材、負極材において、電池反応に寄与しない部分があ
る場合には、体積変化した部分、すなわち電池反応に寄
与する部分からの応力が加わり、電池反応に寄与しない
部分の活物質が集電体から剥離、脱落して内部ショート
の原因となっている。
の正極材と負極材とを積層し巻回して巻回体を作製し電
池素子とする場合、この巻回体の最内周部分は同極同士
が対向しているため、また巻回体の最外周部分は外装材
と対向しているため、電池反応に寄与しない。また、特
にLixFe1-yMyPO4は、他の材料を正極活物質とし
て使用した場合に比して体積変化率が大きい(約7%の
体積収縮が生じる。)ため、電池反応に寄与しない部分
に対して加えられる応力が大きく、内部ショートが発生
する割合がさらに高くなる。このため、巻回体を作製す
る際に使用する正極材の正極活物質にLixFe1-yMy
PO4を使用した場合には、良好なサイクル特性を得る
ことができない。
のものの特性としてCo系活物質や、Ni系活物質、M
n系活物質に比べ、体積当たりのエネルギー密度が小さ
い。したがって、LixFe1-yMyPO4を正極活物質に
使用すると、一定の容積の電池を作製した場合には他の
活物質を使用した場合に比べ電気容量が小さくなり、実
用的ではない。また、一定の電気容量の電池を作製した
場合には他の活物質を使用した場合に比べて外形が大き
くなり、やはり実用的ではない。
1-yMyPO4を使用した場合に、内部ショートの発生を
抑制してサイクル特性を向上させるとともに、一定電気
容量の電池を作製する場合における小型、薄型化及び一
定外形の電池を作製する場合における高電気容量化が達
成される非水電解液電池及び固体電解質電池を提供する
ことを目的とするものである。
本発明に係る非水電解液電池は、オリビン型結晶構造を
有し、一般式LixFe1-yMyPO4(ただし、MはM
n、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、
Al、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表
し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)
で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使
用した正極活物質が正極集電体に被着されてなる正極材
と、負極活物質が負極集電体に被着されてなる負極材
と、これら正極材と負極材とを離間するセパレータと、
非水電解液とを備えてなり、内周側に負極材が、外周側
に正極材が位置するようにセパレータを介して積層され
かつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容され
る。この非水電解液電池は、電池素子の最外周に位置す
る正極材の外装材に対向する面、又は電池素子の最内周
に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面のいず
れか一方に、集電体が露出している集電体露呈部が設け
られていることを特徴とする。
リビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1-yMyPO4
(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、Ni、V、M
o、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nbの少なく
とも1種以上を表し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦
0.8である。)で表される化合物を単独で、又は他の
材料と混合して使用した正極活物質が正極集電体に被着
されてなる正極材と、負極活物質が負極集電体に被着さ
れてなる負極材と、固体電解質とを備えてなり、内周側
に負極材が、外周側に正極材が位置するように積層され
かつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容され
る。この固体電解質電池は、電池素子の最外周に位置す
る正極材の外装材に対向する面、又は電池素子の最内周
に位置する負極材の該負極材同士が相対向する面のいず
れか一方に、集電体が露出している集電体露呈部が設け
られていることを特徴とする。
解液電池及び固体電解質電池は、外装材と対向し、又は
同極同士が対向することで電池反応に寄与しない電池素
子の最外周部分と最内周部分とが、活物質が被着されず
に集電体が露出する集電体露呈部とされている。このた
め、本発明によれば、充放電が何度も繰り返された時
に、電池反応に寄与しない部分に応力が加わった場合で
あっても、活物質の剥離、脱落が無くなり、内部ショー
トの発生が抑制され、サイクル特性が向上する。
ない活物質を集電体に被着させないため、外形の小型、
薄型化や、外形はそのままの状態で電池反応に寄与する
部分の活物質を多くして高電気容量化を可能とする。
態について説明する。なお、本実施の形態においては、
非水電解質に液体の電解質を用いた非水電解液電池を例
示して説明する。
正極材2と負極材3とが、セパレータ4を介して積層さ
れかつ渦巻き状に複数回巻回された電池素子5が、非水
電解液とともに外装ケース6内に封入されている。
する正極集電体7の両面に、リチウムを電気的に放出す
ることが可能であり、かつ吸蔵することも可逆的に可能
である正極活物質を含有する正極活物質層8が形成され
ている。正極材2においては、その一端側が、上述した
ような電池素子5を形成する際の巻回開始端2aとさ
れ、他端側が巻回終止端2bとされる。なお、図2にお
いて、(a)は電池素子5を形成した場合において外側
に面する外周側を、(b)は内側に面する内周側を図示
している。
正極リード9が取り付けられている。また、正極材2に
は、外周側の巻回終止端2b側に正極活物質層8が形成
されずに正極集電体7が露出する集電体露呈部2cが設
けられている。
からなる。正極活物質層8に含有される正極活物質とし
ては、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe1-y
MyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、N
i、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、N
bの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.
2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独
で、又は他の材料と混合して使用する。本実施の形態に
おいては、詳細を後述するLiFePO4と炭素材料と
の複合体を正極活物質として使用する。以下、LixF
e1-yMyPO4としてLiFePO4を用い、これと炭素
材料とからなる複合体を正極活物質として用いる場合に
ついて説明する。
下、単にLiFePO4炭素複合体と称して説明す
る。)は、LiFePO4粒子の表面に、当該LiFe
PO4粒子の粒径に比べて極めて小とされる粒径を有す
る炭素材料の粒子が多数個、付着してなるものである。
炭素材料は導電性を有するので、炭素材料とLiFeP
O4とから構成されるLiFePO4炭素複合体は、例え
ばLiFePO4のみを正極活物質とした場合と比較す
ると電子伝導性に優れている。すなわち、LiFePO
4炭素複合体は、LiFePO4粒子の表面に付着してな
る炭素粒子により電子伝導性が向上するので、LiFe
PO4本来の容量が十分に引き出される。したがって、
正極活物質としてLiFePO4炭素複合体を用いるこ
とにより、高電気容量を有する非水電解液電池1を実現
できる。
量当たりの炭素含有量は、3重量%以上であることが好
ましい。LiFePO4炭素複合体における単位重量当
たりの炭素含有量が3重量%未満である場合、LiFe
PO4粒子の表面に付着している炭素粒子の量が十分で
ないため、電子伝導性向上の効果を十分に得ることがで
きない虞がある。
材料としては、ラマン分光法において、グラファイト
(以下、Grと称する。)のラマンスペクトルの波数1
340〜1360cm-1に出現する回折線に対する波数
1570〜1590cm-1に出現する回折線の強度面積
比A(D/G)が0.3以上であるものを好適に用いる
ことができる。
ン分光法により測定された波数1570〜1590cm
-1に出現するGピークと波数1340〜1360cm-1
に出現するDピークとのバックグランドを含まないラマ
ンスペクトル強度面積比A(D/G)と定義する。ま
た、バックグランドを含まないとは、ノイズ部分は含ま
ないことを意味する。
の数あるピークの中に波数1570〜1590cm-1に
現れるGピークと波数1340〜1360cm-1に現れ
るDピークと呼ばれる2つのピークが観察される。この
うち、Dピークは、本来Gピーク由来のピークではな
く、構造が歪んで構造の対称性が低くなったときに現れ
るラマン不活性のピークである。それ故、Dピークは、
Grの歪んだ構造の尺度となり、DピークとGピークと
の強度面積A(D/G)は、Grのa軸方向結晶子サイ
ズLaの逆数と直線的関係を有することが知られてい
る。
は、アセチレンブラック等の非晶質系炭素材料を好まし
く用いることができる。
G)が0.3以上である炭素材料は、例えば粉砕器で粉
砕する等の処理を施すことで得ることができる。そし
て、粉砕時間を制御することにより、容易に任意のA
(D/G)を有する炭素材料を得ることができる。
ボールミル等の強力な粉砕器を用いて粉砕することで構
造が容易に破壊されて非晶質化が進み、それにしたがっ
て強度面積比A(D/G)は増大する。つまり、粉砕器
の運転時間を制御することによって任意のA(D/
G)、すなわち0.3以上である炭素材料を容易に得る
ことが可能となる。したがって、粉砕を施すことによ
り、炭素材料として晶質炭素系材料等も好ましく用いる
ことができる。
度は、2.2g/cm3以上であることが好ましい。L
iFePO4炭素複合体は、その粉体密度が2.2g/
cm3以上となる程度に合成原料に対してミリングが施
されると、十分に微小化されたものとなる。したがっ
て、正極活物質の充填率が向上し、高電気容量を有する
非水電解液電池1を実現できる。また、LiFePO4
炭素複合体は、上記粉体密度を満たすように微小化され
ているので、LiFePO4の比表面積も増大している
といえる。つまり、LiFePO4と炭素材料との接触
面積を十二分に確保することができ、電子伝導性を向上
させることが可能となる。
2.2g/cm3未満である場合、LiFePO4炭素複
合体は十分に圧縮されてないため、正極材2における活
物質充填率の向上が図れない虞がある。
ウアーエメットテラー(以下、BETと称する。)比表
面積は、10.3m2/g以上であることが好ましい。
LiFePO4炭素複合体のBET比表面積を10.3
m2/g以上とすると、単位重量当たりにおけるLiF
ePO4の比表面積を十分に大きいものとすることがで
き、LiFePO4と炭素材料との接触面積を大きくす
ることができる。したがって、正極活物質の電子伝導性
を確実に向上させることができる。
粒径は、3.1μm以下であることが好ましい。LiF
ePO4炭素複合体の1次粒径を3.1μm以下とする
ことにより、単位重量当たりにおけるLiFePO4の
比表面積を十分に大きいものとすることができ、LiF
ePO4と炭素材料との接触面積を大きくすることがで
きる。したがって、正極活物質の電子伝導性を確実に向
上させることができる。
ようにLiFePO4と炭素材料の複合体を正極活物質
として使用したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本発明において、正極活物質には、LiFePO
4を単独で使用してもよく、またLiFePO4以外であ
って一般式LixFe1-yMyPO4(ただし、MはMn、
Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、A
l、Ga、Mg、B、Nbの少なくとも1種以上を表
し、0.05≦x≦1.2、0≦y≦0.8である。)
で表される化合物を単独で、又は他の材料と混合して使
用してもよい。このような化合物としては、例えばLi
Fe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.2Cr0. 8PO4、Li
Fe0.2Co0.8PO4、LiFe0.2Cu0.8PO4、Li
Fe0.2Ni0.8PO4、LiFe0.25V0.75PO4、Li
Fe0.25Mo0.75PO4、LiFe 0.25Ti0.75PO4、
LiFe0.3Zn0.7PO4、LiFe0.3Al0.7PO4、
LiFe0.3Ga0.7PO4、LiFe0.25Mg0.75P
O4、LiFe0.25B0.75PO 4、LiFe0.25Nb0.75
PO4が挙げられる。
は、この種の非水電解液電池において正極活物質層の結
合剤として通常用いられている公知の樹脂材料等を用い
ることができる。
と同様に帯状を呈する負極集電体10の両面に負極活物
質層11が形成されている。負極材3においては、その
一端側が、上述したように渦巻き状の電池素子5を形成
する際の巻回開始端3aとされ、他端側が巻回終止端3
bとされる。なお、図3において、(a)は電池素子5
を形成した場合において外側に面する外周側を、(b)
は内側に面する内周側を図示している。
負極リード12が取り付けられている。また、負極材3
には、内周側の巻回開始端3aに負極活物質層11が形
成されずに負極集電体10が露出する集電体露呈部3c
が設けられている。
箔等が用いられる。負極活物質層11は、負極活物質と
して、リチウムをドープ、脱ドープ可能な材料が用いら
れる。このリチウムをドープ、脱ドープ可能な負極活物
質としては、金属リチウム、リチウム合金、リチウムが
ドープされた導電性高分子、炭素材料や金属酸化物など
の層状化合物を用いることができる。この負極活物質層
10に含有される結合剤としては、この種の非水電解液
電池において負極活物質層の結合剤として通常用いられ
ている公知の樹脂材料等を用いることができる。
8と、負極材3の負極活物質層11とを離間させるもの
であり、この種の非水電解液電池のセパレータとして通
常用いられている公知の材料を用いることができ、例え
ばポリプロピレンなどの高分子フィルムが用いられる。
また、セパレータ4は、リチウムイオン伝導度とエネル
ギー密度との関係から、その厚みができるだけ薄いこと
が必要である。具体的には、セパレータの厚みは例えば
50μm以下が適当である。
媒に電解質を溶解させた溶液が用いられる。
ボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ビニレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、スル
ホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキ
シエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル
−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メ
チル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
ジプロピルカーボネート等を使用することができる。特
に、電圧安定性の点からは、プロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレ
ンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネ
ート等の鎖状カーボネート類を使用することが好まし
い。また、このような非水溶媒は、1種類を単独で用い
てもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
は、例えば、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、
LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等
のリチウム塩を使用することができる。これらのリチウ
ム塩の中でも特に、LiPF 6、LiBF4を使用するこ
とが好ましい。
ように非水電解質として液系電解質を用いた非水電解液
電池1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、非水電解質として固体電解質を用い
た固体電解質電池にも適用可能である。ここで、固体電
解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であ
れば無機固体電解質、固体状態又はゲル状態の何れも用
いることができる。ここで、無機固体電解質としては、
窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。また、
高分子固体電解質は、電解質塩とそれを溶解する高分子
化合物からなり、その高分子化合物は、ポリ(エチレン
オキサイド)や、同架橋体などのエーテル系高分子、ポ
リ(メタクリレート)エステル系高分子、アクリレート
系高分子等を単独、又は分子中に共重合、又は混合して
用いることができる。この場合、例えばゲル状電解質の
マトリックスとしては、非水電解液を吸収してゲル化す
るものであれば種々の高分子材料を用いることができ
る。このような高分子材料としては、例えば、ポリ(ビ
ニリデンフルオロライド)や、ポリ(ビニリデンフルオ
ロライド−CO−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ
素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や、同架橋体
などのエーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリ
ル)などを用いることができる。そして、これらの中で
も特に、酸化還元安定性の観点からフッ素系高分子を用
いることが好ましい。なお、非水電解質として固体電解
質を用いた固体電解質電池においては、正極材と負極材
とを離間するセパレータに代えて、正極材及び負極材の
少なくとも片面に固体電解質からなる電解質層が設けら
れ、正極活物質層と負極活物質層との間に電解質層が配
されるように正極材と負極材とが積層され、巻回されて
電池素子5を構成してもよく、また、電解質層とセパレ
ータとを正極活物質層と負極活物質層との間に併せて配
して電池素子5を構成してもよい。
が負極材3、最外周が正極材2となるように正極材2と
負極材3とがセパレータ4を介して積層され、これらが
渦巻き状に巻回されてなる。電池素子5は、その最内周
において負極材3同士が対向し、またその最外周部にお
いて正極材2が外装ケース6と対向している。これらの
部位は、電池反応に寄与するものではなく、正極材2と
負極材3とがセパレータ4を介して対向して電池反応に
寄与する部分において充放電時に発生する体積変化によ
る応力が加えられる。しかしながら、電池素子5の最内
周に位置する負極材3の巻回開始端3a側には、内周側
に負極活物質層11が形成されずに負極集電体10が露
出する集電体露出部3cが設けられている。また、電池
素子5の最外周に位置する正極材2の巻回終止端2b側
には、その外周側に正極活物質層8が形成されずに正極
集電体7が露出する集電体露出部2cが設けられてい
る。このため、電池素子5においては、充放電時に起こ
る電極材の体積変化によって、電池反応に寄与せずに体
積変化が起こらない部分に応力が加わった場合であって
も、活物質が剥離して脱落するということがなく、非水
電解液電池1の内部ショートの発生が抑制されてサイク
ル特性が向上する。
反応に寄与しない部分に活物質層が形成されていない。
このため、非水電解液電池1においては、電池素子5自
体の厚さが薄くなり、小型、薄型化を実現する。また、
非水電解液電池1は、電池反応に寄与する部分の活物質
層の厚さを厚くして高電気容量化を実現する。
水電解液を封入するものである。外装ケース6には、上
述したように非水電解質として非水電解液を使用する場
合には、内側にニッケルメッキを施した鉄製の電池缶等
が使用される。また、非水電解質として固体電解質を使
用する場合には、フレキシブルな多層ラミネートフィル
ムを使用することもできる。
製造方法について説明する。
炭素材料との複合体を、以下に示す製造方法に従って合
成する。
PO4の合成原料を混合し、ミリングを施し、焼成し、
且つ上記の何れかの時点で炭素材料を添加する。LiF
ePO4の合成原料としては、Li3PO4と、Fe3(P
O4)2又はその水和物であるFe3(PO4)2・nH2O
(ただし、nは水和数である。)とを用いる。
(Li3PO4)と、下記に示すようにして合成されるリ
ン酸第一鉄八水和物(Fe3(PO4)2・8H2O)とを
用い、この合成原料に炭素材料を添加した後に種々の工
程を行うことにより、LiFePO4炭素複合体を合成
する場合について説明する。
料とを混合して混合物とする混合工程を行う。次いで、
混合工程で得られた混合物にミリングを施すミリング工
程を行う。次いで、ミリング工程でミリングを施した混
合物を焼成する焼成工程を行う。
チウムとリン酸第一鉄八水和物とを所定比で混合し、さ
らに炭素材料を添加して混合物とする。
物は、硫酸鉄七水和物(FeSO4・7H2O)を水に溶
かしてなる水溶液に、リン酸水素二ナトリウム一二水和
物(2Na2HPO4・12H2O)を添加し、所定の時
間放置することにより合成される。リン酸第一鉄八水和
物の合成反応は、下記化1に示す反応式で表される。
は、その合成工程上、ある程度のFe 3+が含まれてい
る。合成原料にFe3+が残存すると、焼成により3価の
Fe化合物が生成されるため、LiFePO4炭素複合
体の単相合成が妨げられてしまう。このため、焼成前の
合成原料に還元剤を添加し、焼成時に合成原料中に含ま
れているFe3+をFe2+に還元する必要がある。
還元能力には限界があり、合成原料中のFe3+の含有率
が多すぎる場合、Fe3+が還元されきれずにLiFeP
O4炭素複合体中に残存してしまうことがある。
に対するFe3+の含有率を、61重量%以下とすること
が好ましい。合成原料であるリン酸第一鉄八水和物中の
鉄総量に対するFe3+の含有率を61重量%以下とあら
かじめ制限することにより、焼成時においてFe3+を残
存させることなく、すなわちFe3+に起因する不純物を
生成させることなく、LiFePO4炭素複合体の単相
合成を確実に行うことができる。
の放置時間が長いほど、生成物中のFe3+の含有率が多
くなるので、放置時間を所定の時間に制御することによ
り、任意のFe3+の含有率を有するリン酸第一鉄八水和
物を生成させることができる。また、リン酸第一鉄八水
和物中の鉄総量に対するFe3+の含有率は、メスバウア
測定法により測定することができる。
合成原料のリン酸第一鉄八水和物中に含まれるFe2+が
大気中の酸素や焼成等によりFe3+に酸化されたとして
も、焼成時にFe3+をFe2+に還元する還元剤として働
く。したがって、合成原料にFe3+が残存していたとし
ても、不純物の生成が防止され、LiFePO4炭素複
合体の単相合成が可能となる。さらに、炭素材料は、合
成原料に含まれるFe 2+のFe3+への酸化を防止する酸
化防止剤として働く。すなわち、炭素材料は、焼成前又
は焼成時において大気中及び焼成炉内に存在する酸素に
より、Fe2+がFe3+へ酸化されてしまうことを防止す
る。
極活物質の電子伝導性を向上させる導電材としての働き
をするとともに、還元剤及び酸化防止剤として働く。な
お、この炭素材料は、LiFePO4炭素複合体の構成
要素となるので、LiFePO4炭素複合体の合成後に
除去する必要がない。従って、LiFePO4炭素複合
体の製造が効率化される。
量あたりの炭素含有量は、3重量%以上とすることが好
ましい。LiFePO4炭素複合体の単位重量あたりの
炭素含有量を3重量%以上とすることにより、LiFe
PO4が本来有する容量及びサイクル特性を十分に引き
出すことが可能となる。
合物に、粉砕・混合同時に行うミリングを施す。本発明
におけるミリングとは、ボールミルを用いた強力な粉砕
・混合をいう。また、ボールミルとしては、例えば遊星
型ボールミル、シェイカー型ボールミル、メカノフュー
ジョン等を好適に用いることができる。
すことにより、合成原料及び炭素材料を均一に混合する
ことができる。また、ミリングを施すことにより合成原
料を微細化すると、合成原料の比表面積を増大させるこ
とができる。したがって、原料同士の接触点が増大し、
引き続く焼成工程における合成反応を速やかに進行する
ことが可能となる。
グを施すことにより、粒子径3μm以上の粒子の粒度分
布が体積基準の積算頻度にして22%以下となるように
規定することが好ましい。合成原料の粒度分布を上記範
囲と規定しているので、合成原料は、表面積として、合
成反応に十分な表面活性を得ることができる広さを有し
ている。したがって、焼成温度が例えば600℃という
合成原料の融点以下という低い温度であっても、反応効
率が良好であり、LiFePO4炭素複合体の単相合成
を確実に行うこと可能となる。
度が2.2g/cm3以上となるように、ミリングを施
すことが好ましい。上記粉体密度となるように合成原料
を微小化することにより、LiFePO4の比表面積を
大きくすることができる。これにより、LLiFePO
4と炭素材料との接触面積を大きくすることができ、正
極活物質の電子伝導性を向上させることが可能となる。
ミリングを施すことにより、高容量である非水電解液電
池1を実現する正極活物質を製造することができる。
施した混合物を焼成する。混合物を焼成することによ
り、リン酸リチウムとリン酸第一鉄八水和物とを反応さ
せ、LiFePO4を合成する。
示す反応式で表される。なお、下記化に示す反応式にお
いては、Li3PO4と、Fe3(PO4)2又はその水和
物であるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和
数である。)とを反応させた場合を示す。
に、合成原料としてFe3(PO4)2を用いた場合、副
生成物が生じない。また、Fe3(PO4)2・nH2Oを
用いた場合、副生成物として無毒である水のみが生じ
る。
ウム、リン酸二水素アンモニウム及び酢酸鉄(II)を
所定比で混合し、焼成し、下記化3に示す反応によって
LiFePO4を合成していた。
に、従来のLiFePO4の合成方法では、焼成時に有
毒なアンモニアや酢酸等の副生成物が生じていた。この
ため、これら有毒な副生成物を処理するための大規模な
集気装置等の設備が必要となり、製造コスト上昇の原因
となっていた。また、これらの副生成物が大量に生じる
ため、LiFePO4の収率が低下していた。
してLi3PO4と、Fe3(PO4) 2又はその水和物で
あるFe3(PO4)2・nH2O(ただし、nは水和数で
ある。)とを用いているので、有毒な副生成物が生じる
ことなく、目的物質であるLiFePO4を得られる。
言い換えると、従来の製造方法に比べて、焼成時におけ
る安全性が著しく向上する。また、従来では有毒な副生
成物を処理するために大規模な処理設備が必要だった
が、副生成物が無毒である水なので、処理工程を大幅に
簡略化でき、処理設備を縮小できる。したがって、従来
の副生成物であるアンモニア等を処理する際に比べて、
製造コストを大幅に削減することができる。さらにま
た、上記化2に示す反応式から明らかなように、副生成
物の生成が少量であるので、LiFePO4の収率を大
幅に向上させることができる。
の合成方法により400℃〜900℃とすることが可能
であるが、電池性能を考慮すると、600℃程度とする
ことが好ましい。焼成温度が400℃未満であると、化
学反応及び結晶化が十分に進まず、合成原料であるLi
3PO4等の不純物相が存在し、均一なLiFePO4を
得られない虞がある。一方、焼成温度が900℃を上回
ると、結晶化が過剰に進行してLiFePO4の粒子が
大きくなり、LiFePO4と炭素材料との接触面積が
減少し、電子伝導性が下がるため、十分な放電容量を得
られない虞がある。
4炭素複合体中のFeは2価の状態である。このため、
合成温度である600℃程度の温度においては、LiF
ePO4炭素複合体中のFeは、焼成雰囲気中の酸素に
よって下記化4に示す反応式によりFe3+にすみやかに
酸化されてしまう。これに起因して、3価のFe化合物
等の不純物が生成され、LiFePO4炭素複合体の単
相合成が妨げられてしまう。
等の不活性ガス又は水素や一酸化炭素等の還元性ガスを
用いるとともに、焼成雰囲気中の酸素濃度を、LiFe
PO 4炭素複合体中のFeが酸化されない範囲、すなわ
ち1012体積ppm以下とすることが好ましい。焼成
雰囲気中の酸素濃度を、1012体積ppm以下とする
ことにより、600℃程度の合成温度においてもFeの
酸化を防止し、LiFePO4炭素複合体の単相合成を
確実に行うことが可能となる。
pmよりも高い場合には、焼成雰囲気中の酸素量が多す
ぎるため、LiFePO4炭素複合体中のFeがFe3+
に酸化されてしまい、これに起因して不純物が生成して
しまうため、LiFePO4炭素複合体の単相合成が妨
げられてしまう虞がある。
出しについては、焼成後のLiFePO4炭素複合体の
取り出し温度、すなわちLiFePO4炭素複合体を大
気中に暴露する際のLiFePO4炭素複合体の温度は
305℃以下とすることが好ましい。また、焼成後のL
iFePO4炭素複合体の取り出し温度を204℃以下
とすることがより好ましい。LiFePO4炭素複合体
の取り出し温度を305℃以下とすることにより、焼成
後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気中の酸素
により酸化され、不純物が生成されることを防止でき
る。
に冷却しない状態で取り出した場合、LiFePO4炭
素複合体中のFeが大気中の酸素により酸化され、不純
物が生成される虞がある。しかしながら、あまり低い温
度までLiFePO4炭素複合体を冷却したのでは、作
業効率の低下を招く虞がある。
複合体の取り出し温度を305℃以下とすることによ
り、焼成後のLiFePO4炭素複合体中のFeが大気
中の酸素により酸化されて不純物が生成されることを防
止するとともに、作業効率も維持することが可能とな
り、電池特性として好ましい特性を有するLiFePO
4炭素複合体を効率よく合成することができる。
の冷却は焼成炉内で行うが、このときの冷却方法は、自
然冷却でも良く、また、強制冷却でも良い。ただし、冷
却時間の短縮、すなわち、作業効率を考慮した場合に
は、強制冷却することが好ましい。そして、強制冷却す
る場合には、焼成炉内を上述した酸素濃度、すなわち1
012体積ppm以下とするように酸素と不活性ガスと
の混合ガス、又は不活性ガスのみを焼成炉内に供給すれ
ば良い。
材料の添加を行っているが、炭素材料の添加は、ミリン
グ後または焼成後に行うことも可能である。
合、焼成時の還元効果、及び酸化防止効果を得ることは
できず、導電性向上効果のみのために用いるという条件
が付く。したがって、炭素材料を焼成後に添加する場
合、他の手段によりFe3+の残存を防止することが必要
となる。
焼成により合成された生成物はLiFePO4炭素複合
体ではなく、LiFePO4である。そこで、焼成によ
り合成されたLiFePO4に炭素材料を添加した後、
再度ミリングを施す。ミリングを再度行うことにより、
添加した炭素材料は微細化され、LiFePO4の表面
に付着しやすくなる。また、ミリングを再度行うことに
より、LiFePO4と炭素材料とが十分に混合される
ので、微細化された炭素材料をLiFePO4の表面に
均一に付着させることができる。したがって、焼成後に
炭素材料を添加した場合においても、ミリングを施す前
に炭素材料を添加した場合と同様の生成物、すなわちL
iFePO4炭素複合体を得ることが可能であり、ま
た、上述した同様の効果を得ることが可能である。
炭素複合体を正極活物質として用いた非水電解液電池1
は、例えば次のようにして製造される。
るLiFePO4炭素複合体と結着剤とを溶媒中に分散
させてスラリーの正極合剤を調製する。次に、得られた
正極合剤を正極集電体7上に均一に塗布し、乾燥させて
正極活物質層8を形成することにより正極材2が作製さ
れる。このとき、正極合剤の塗布は、正極集電体7の外
周側の巻回終止端2b側に集電体露呈部2cが設けられ
るように行われる。上記正極合剤の結着剤としては、公
知の結着剤を用いることができるほか、上記正極合剤に
公知の添加剤等を添加することができる。
ようにLiFePO4と炭素材料の複合体を正極活物質
として使用したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本発明において、正極活物質には、LiFePO
4を単独で使用してもよく、またLiFePO4以外であ
って、オリビン型結晶構造を有する一般式LixFe 1-y
MyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、N
i、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、N
bの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.
2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独
で、又は他の材料と混合して使用してもよい。このよう
な化合物としては、例えばLiFe0.2Mn0.8PO4、
LiFe0.2Cr0.8PO4、LiFe0.2Co0.8PO4、
LiFe0. 2Cu0.8PO4、LiFe0.2Ni0.8PO4、
LiFe0.25V0.75PO4、LiFe0.25Mo0.75P
O4、LiFe0.25Ti0.75PO4、LiFe0.3Zn0.7
PO4、LiFe0.3Al0.7PO4、LiFe0.3Ga0.7
PO4、LiFe0.25Mg0.75PO4、LiFe0.25B
0.75PO4、LiFe0.25Nb0.75PO4が挙げられる。
着剤とを溶媒中に分散させてスラリーの負極合剤を調製
する。次に、得られた負極合剤を負極集電体上に均一に
塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成することにより
負極材3が作製される。このとき、負極合剤の塗布は、
負極正極集電体10の内周側の巻回開始端3a側に集電
体露呈部3cが設けられるように行われる。上記負極合
剤の結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ
るほか、上記負極合剤に公知の添加剤等を添加すること
ができる。
とを、間にセパレータ4を配して積層し、複数回巻回し
て電池素子5を作製する。
解することにより調製される。
容し、非水電解液を注入して、ガスケットを介して蓋体
を外装ケース6にかしめ付けることにより非水電解液電
池1が完成する。
づいて説明する。
着剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の正極合剤を調
製し、正極集電体に片面塗布厚を60μm、両面とも塗
布長を巻回開始端から巻回終止端までの30cmで塗布
して正極材を作製した。
散させてスラリーの負極合剤を調製し、負極集電体に片
面塗布厚45μm、両面とも塗布長30cmで塗布して
負極材を作製した。
の電解質層を介して5回巻回して総厚3.11mmの電
池素子を作製し、この電池素子を厚さ3.6mm、幅3
5mm、長さ60mmの電池缶内に収容して封口して電
池セルを作製した。この比較例1の電池セルでは、集電
体露呈部がなく、電池素子の最内周に位置する負極材の
内側の面の負極活物質層同士が相対向するとともに、最
外周に位置する正極材の外側の面の正極活物質層が電池
缶内面と対向している。
mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を64.5
μm、負極活物質の片面塗布厚48.5μmとするとと
もに、巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端
側から23cmとし、これ以外は比較例1の電池セルと
同じ条件で作製した。この実施例1の電池セルでは、電
池缶内面と対向する最外周に位置する正極材、すなわち
正極材の巻回終止端側の外側の面に正極活物質が塗布さ
れていない集電体露呈部が設けられている。
mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を65μ
m、負極活物質の片面塗布厚49μmとするとともに、
巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回終止端側から
24cmとし、これ以外は比較例1の電池セルと同じ条
件で作製した。この実施例2の電池セルでは、電池素子
の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材
の巻回開始端側の内側の面に負極活物質が塗布されてい
ない集電体露呈部が設けられている。
mmとなるように、正極活物質の片面塗布厚を70.5
μm、負極活物質の片面塗布厚53μmとするととも
に、巻回時の外側の正極活物質の塗布長を巻回開始端側
から23cm、巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻
回終止端側から24cmとし、これ以外は比較例1の電
池セルと同じ条件で作製した。この実施例3の電池セル
では、電池缶内面と対向する最外周に位置する正極材、
すなわち正極材の巻回終止端側の外側の面と、電池素子
の最内周に位置して相対向する負極材、すなわち負極材
の巻回開始端側の内側の面とに活物質が塗布されていな
い集電体露呈部が設けられている。
のセパレータを介在させ、電池缶内に電解液を注入した
こと以外は実施例3の電池セルと同様に作製した。
着剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の正極合剤を調
製し、正極集電体に片面塗布厚を60μm、両面とも塗
布長を巻回開始端から巻回終止端までの35cmで塗布
して正極材を作製した。
散させてスラリーの負極合剤を調製し、負極集電体に片
面塗布厚45μm、両面とも塗布長35cmで塗布して
負極材を作製した。
の電解質層を介して6回巻回して総厚3.71mmの電
池素子を作製し、この電池素子を多層ラミネートフィル
ムからなる外装フィルム内に収納して電池セルを作製し
た。この比較例2の電池セルでは、集電体露呈部がな
く、電池素子の最内周に位置する負極材の内側の面の負
極活物質層同士が相対向するとともに、最外周側に位置
する正極材の外側の面の正極活物質層が外装フィルムの
内面と対向している。
9cmとし、電池素子の総厚を3.56mmとした以外
は比較例2の電池セルと同じ条件で作製した。この実施
例5の電池セルでは、外装フィルムの内面と対向する最
外周に位置した正極材、すなわち正極材の巻回終止端側
の外側の面に正極活物質が塗布されていない集電体露呈
部が設けられている。
0cmとし、電池素子の総厚を3.53mmとした以外
は比較例2の電池セルと同じ条件で作製した。この実施
例6の電池セルでは、電池素子の最内周に位置して相対
向する負極材、すなわち負極材の巻回開始端側の内側の
面に負極活物質が塗布されていない集電体露呈部が設け
られている。
9cmとし、巻回時の内側の負極活物質の塗布長を巻回
終止端から30cmとして、電池素子の総厚を3.38
mmとした以外は比較例2の電池セルと同じ条件で作製
した。この実施例7の電池セルでは、外装フィルム内面
と対向する最外周に位置する正極材、すなわち正極材の
巻回終止端側の外側の面と、電池素子の最内周に位置し
て相対向する負極材、すなわち負極材の巻回終止端側の
内側の面に活物質が塗布されていない集電体露呈部が設
けられている。
のセパレータを介在させて外装フィルム内に収容し、電
解液を注入したこと以外は実施例7の電池セルと同様に
作製した。
例2の電池セル、実施例1乃至実施例8の電池セルを用
いて、電気容量と外形形状、及びサイクル特性の評価を
行った。
電池セルを対比して、電気容量の評価を行った。
布して集電体露呈部を設けなかった比較例1の電池セル
に対して、実施例1乃至実施例4の各電池セルは、集電
体露呈部を設けて電池反応に寄与しない部分の活物質層
を無くした分、素子の総厚を比較例1の電池セルと同等
に保ったまま電池反応に寄与する部分の活物質層の厚み
を増すことができた。この結果、表1に示すように、比
較例1の電池セルの電気容量が646mAhであるのに
対し、実施例1乃至実施例4の各電池セルの電池容量が
約690mAh〜750mAhと比較例1の電池セルに
比して高電気容量となっていることがわかる。具体的に
は、実施例1の電池セルが正極材に集電体露呈部を設け
ることで107%、実施例2の電池セルが負極材に集電
体露呈部を設けることで107%、実施例3及び実施例
4電池セルが正極材及び負極材に集電体露呈部を設ける
ことで115%、電気容量が増大している。
回に増やした場合、比較例2と同じ素子総厚、具体的に
は表1に示すように電池素子の総厚が3.71mmとな
ってしまうため、比較例1、実施例1乃至実施例4に使
用した厚さ3.6mm電池缶に収容できなくなる。これ
に対し、実施例の素子構造では、比較例1と同様の塗布
厚で活物質を塗布し、巻回数を6回に増やしても、その
素子総厚が実施例5乃至実施例8と同じ素子総厚とな
る。したがって、実施例の素子構造によれば、素子の総
厚が3.6mmを越えるものが無く、巻回数を増やすこ
とにより電池容量の増大を図ることもできることがわか
る。
電気容量の増加が見られることから、液体の電解質を用
いてセパレータで正極材と負極材とを離間した場合で
も、固体電解質を用いた場合でも、実施例に示す素子構
造を採ることにより電気容量の増大することが判断でき
る。また、このことから電解質層とセパレータとで正極
材と負極材とを離間した場合であっても同様の効果を得
られる。
電池セルを対比して、外形形状の評価を行った。なお、
多層ラミネートフィルムを外装材として使用した場合、
素子の総厚が電池セルの総厚に直接反映されるため、素
子の厚みを以て外形形状の評価を行った。
布して集電体露呈部を設けなかった比較例2の電池セル
に対して、実施例5乃至実施例8の各電池セルは、集電
体露呈部を設けて電池反応に寄与しない部分の活物質層
を無くすことにより、電気容量を比較例1の電池セルと
同等に保ったまま素子の総厚を減らすことができた。こ
の結果、表1に示すように、比較例2の電池セルの素子
総厚が3.71mmであるのに対し、実施例5の電池セ
ルが3.56mm(厚み減少率96%)、実施例6の電
池セルが3.53mm(厚み減少率95%)、実施例7
の電池セルが3.38mm(厚み減少率91%)、そし
て実施例8の電池セルが3.39mm(厚み減少率91
%)と薄型化を実現していることがわかる。この場合、
電気容量はほぼ同等であるが、比較例2の電池セルに比
して、実施例5乃至実施例8の電池セルの方が体積当た
りの電気容量密度が増加していることが確認できる。
減少率が見られることから、液系の電解質を用いてセパ
レータで正極材と負極材とを離間した場合でも、固体電
解質を用いた場合でも、実施例に示す素子構造を採るこ
とにより電池セルの外形形状の小型、薄型化が実現され
ることが判断できる。また、このことから電解質層とセ
パレータとで正極材と負極材とを離間した場合であって
も同様の効果を得られる。
乃至実施例8のテスト用の電池セルをそれぞれ100個
ずつ作製し、これらを使ってサイクル特性の評価を行っ
た。サイクル特性は、充放電を300サイクル繰り返し
た後の電気容量が初期容量の50%以下となったもの
が、内部ショートによるものであったので、「内部ショ
ート数×100/100(試験セル数)」によって内部
ショート率を求め、その数値によって評価した。
に塗布されている比較例1及び比較例2の電池セルは、
内部ショート率が共に20%以上であるのに対し、正極
材又は負極材のどちらか一方に集電体露呈部を設けた実
施例1、実施例2、実施例5及び実施例6の電池セルに
おいては、内部ショート率が10%未満に減少している
ことが確認できる。さらに、正極材及び負極材の両方に
集電体露呈部を設けた実施例3、実施例4、実施例7及
び実施例8の電池セルは、内部ショート率が0%となっ
ていることが確認できる。これは、正極材及び負極材の
それぞれの電極において、充放電時の電池反応に寄与す
る部分の体積変化による応力が電池反応に寄与しない部
分に加わった際に、比較例の電池セルは応力を受ける部
分、すなわち電池反応に寄与しない部分にも活物質が塗
布されており、受けた応力が蓄積されると活物質が集電
体から剥離して脱落するため内部ショートを引き起こす
のに対し、実施例の電池セルは応力を受ける部分に活物
質が塗布されておらず、内部ショートの原因となる活物
質の剥離、脱落が生じないからである。このことから、
電池反応に寄与しない部分に活物質を塗布しないこと
で、内部ショートの発生が抑制され、サイクル特性の向
上を実現することができる。
施例8とで内部ショート率が同じ0%となっていること
から、液体の電解質を用いてセパレータで正極材と負極
材とを離間した場合でも、固体電解質を用いた場合で
も、実施例に示す素子構造を採ることにより電池セルの
サイクル特性が向上すると判断できる。また、このこと
から電解質層とセパレータとで正極材と負極材とを離間
した場合であっても同様の効果を得られる。
例22の電池セルを作製し、上述した電池容量、外形形
状及びサイクル特性の評価を行った。
にLiFe0.2Mn0.8PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.2Cr0.8PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.2Co0.8PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.2Cu0.8PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.2Ni0.8PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25V0.75PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25Mo0.7 5PO4を使用した以外は実施例
3の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25Ti0.7 5PO4を使用した以外は実施例
3の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.3Zn0.7PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.3Al0.7PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.3Ga0.7PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25Mg0.7 5PO4を使用した以外は実施例
3の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25B0.75PO4を使用した以外は実施例3
の電池セルと同じ条件で作製した。
にLiFe0.25Nb0.7 5PO4を使用した以外は実施例
3の電池セルと同じ条件で作製した。
セルに対しても、実施例1乃至実施例8と同様に電気容
量、外形形状及びサイクル特性について評価した結果、
LiFePO4を正極活物質に使用した実施例3と同様
な効果が確認された。
る非水電解液電池及び固体電解質電池によれば、正極活
物質に、オリビン型結晶構造を有し、一般式LixFe
1-yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、Cu、
Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、
Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦1.
2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を単独
で、又は他の材料と混合して使用し、電池素子を構成す
る正極材及び負極材のうち電池反応に寄与しない部分は
活物質が塗布されずに集電体が露出する素子構造とする
ことで、内部ショートの発生を抑制し、良好なサイクル
特性を得ることができる。また、本発明によれば、この
ような素子構造とすることで、一定外形の電池を作製す
る場合における高電気容量化及び一定電気容量の電池を
作製する場合における小型、薄型化を実現することがで
きる。
ある。
構成する正極材を説明するための図であり、(a)は巻
回体である電池素子における内周側を、(b)は外周側
を示す図である。
を説明するための図であり、(a)は巻回体である電池
素子における内周側を、(b)は外周側を示す図であ
る。
部,3 負極材,3c集電体露呈部,4 セパレータ,
5 電池素子,6 外装ケース,7 正極集電体,8
正極活物質層,10 負極集電体,11 負極活物質
Claims (3)
- 【請求項1】 オリビン型結晶構造を有し、一般式Li
xFe1-yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、C
u、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、
B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦
1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を
単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が
正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負
極集電体に被着されてなる負極材と、上記正極材と上記
負極材とを離間するセパレータと、非水電解液とを備え
てなり、上記正極材と上記負極材とが、内周側に上記負
極材が、外周側に上記正極材が位置するように上記セパ
レータを介して積層されかつ巻回されて電池素子を構成
して外装材に収容される非水電解液電池において、 上記電池素子の最外周に位置する正極材の上記外装材に
対向する面、又は上記電池素子の最内周に位置する負極
材の該負極材同士が相対向する面のいずれか一方に、集
電体が露出している集電体露呈部が設けられていること
を特徴とする非水電解液電池。 - 【請求項2】 オリビン型結晶構造を有し、一般式Li
xFe1-yMyPO4(ただし、MはMn、Cr、Co、C
u、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、
B、Nbの少なくとも1種以上を表し、0.05≦x≦
1.2、0≦y≦0.8である。)で表される化合物を
単独で、又は他の材料と混合して使用した正極活物質が
正極集電体に被着されてなる正極材と、負極活物質が負
極集電体に被着されてなる負極材と、固体電解質とを備
えてなり、上記正極材と上記負極材とが、内周側に上記
負極材が、外周側に上記正極材が位置するように積層さ
れかつ巻回されて電池素子を構成して外装材に収容され
る固体電解質電池において、 上記電池素子の最外周に位置する正極材の上記外装材に
対向する面、又は上記電池素子の最内周に位置する負極
材の該負極材同士が相対向する面のいずれか一方に、集
電体が露出している集電体露呈部が設けられていること
を特徴とする固体電解質電池。 - 【請求項3】 上記正極材と上記負極材との間には、セ
パレータが配されることを特徴とする請求項2に記載の
固体電解質電池。
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