JP4126195B2 - 多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気信号を利用した治療器(物理療法機器)の一種として、従来から低周波治療器が知られている。この低周波治療器では、患者の体表面に装着された一対の電極(導子)間に低周波電気信号(低周波治療用信号)を付与することにより行われる。そして、一対の電極を複数組設けた多チャンネル式の低周波治療器も実用化されている。
【0003】
また、低周波治療器の一種として、干渉低周波治療器がある。このものは、1対の電極に対して低周波電気信号を付与する一方、他の一対の電極に対して高周波電気信号を付与して、この低周波電気信号と高周波電気信号との干渉によって実質的に治療用の低周波電気信号を生成するものとなっている。
【0004】
上述のように、低周波治療器においては、患者の体表面に複数、特に多数の電極を装着することが多いが、多くの電極を患者の体表面にすみやかに装着するために、あらかじめ複数の電極を絶縁性の保持シート本体に保持させることが行われている。このように、保持シート本体に対して多くの電極を装備させる場合、電極の清掃や交換のために、各電極を保持シート本体に対して着脱自在とすることも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、保持シート本体に対して複数の電極を容易に着脱するために、凹凸嵌合形式によって電極を保持シート本体に対して取付るようにしたものを開発した。すなわち、保持シート本体側に係止部としての凹部または凸部を形成する一方、各電極には、上記係止部に係合される凸部または凹部からなる係合部を形成したものを開発した。このものにあっては、電極を保持シート本体に対して押しつけるだけで電極の取付を行うことができ、また、電極を保持シート本体から引き剥がす外力を与えるだけで電極を保持シート本体から取外すことが可能となる。そして、上記係止部および係合部をそれぞれ導電性を有するように構成して、保持シート本体内に配設した通電用配設を係止部に接続しておくことにより、この配線から、係止部および係合部を介して電極へ通電できるようにしたものを開発した。
【0006】
ところで、電極と患者体表面との間の導電性向上のために、複数の電極を、導電性向上のための導電シートで覆うことが行われる。この導電シートは、例えば、導電シートを有するスポンジシートによって構成されて、例えば水を浸すことによってより導電性が高められることになる。この場合、係止部と係合部とが通電経路を構成するために、導電シートの水分が係止機構に付着したり、あるいは患者の体表面から発生される汗が電極に付着すると、各電極間で電気信号がリークしてしまうことが考えられ、この点において何らかの対策が望まれることになる。
【0007】
また一方、取付等の簡単化のために、係止機構を構成する係止部と係合部とを、1つの電極については1つのみ設けることが望ましいものとなる。この場合、電極を保持シート本体に対して取付たとき、係止機構を中心にして電極が不用意に回転しまうおそれがある。電極が円形であれば、回転しても特に問題はないが、電極が例えばほぼ長方形等の異形形状に形成されている場合、電極が不用意に回転してしまうと、患者への通電位置が微妙に相違してしまうばかりでなく、各電極間の隙間が小さいときは電極同士が接触して電気信号のリークということが問題となり、この点において何らかの対策が望まれることになる。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、保持シート本体に対して電極を取付けるための係止機構を、電極に対して治療用電気信号を付与するための通電経路として兼用させた場合に、係止機構を介して不用意に電気信号がリークしないようにすると共に、保持シート本体に対して取付られた電極が不用意に回転してしまう事態を確実に防止できるようにした多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
絶縁性の保持シート本体の一面側に複数の電極が設けられ、該複数の電極が患者の体表側に位置するようにして患者に装着される多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置において、
前記各電極はそれぞれ、前記保持シート本体に対して凹凸嵌合式の係止機構によって該保持シート本体に対して着脱自在とされており、
前記係止機構は、前記保持シート本体の前記一面側に設けられた凹部または凸部からなる係止部と、前記各電極に設けられて該係止部に凹凸嵌合される凸部または凹部からなる係合部と、から構成されると共に、該係止機構を構成する該係止部および係合部は、1つの電極について1つのみ設けられ、
前記係止部および係合部はそれぞれ導電性を有して、前記各電極への通電用配線が前記保持シート本体内において前記係止部に接続され、
前記保持シート本体と各電極との間には、前記係止機構によって該電極を該保持シート本体に対して係止させたときに、該係止機構を外部と液密に遮断するシール機構が構成され、
前記シール機構は、前記保持シート本体に一体成形されて前記係止部を取り囲む第1凸状シール部と、前記電極に一体成形されて前記係合部を取り囲む第2凸状シール部とから構成されて、該係止部に該係合部を係合させたときに、該第1凸状シール部と第2凸状シール部とが内外2重構造で嵌合されるように設定されており、
前記第1凸状シール部と第2凸状シール部とがそれぞれ、弾性を有すると共に、前記係止機構を中心とする円環状に形成され、
前記保持シート本体と電極との間には、前記係止機構によって該電極を該保持シート本体に対して係止させたときに、該電極が該保持シート本体に対して該係止機構を中心として回転されるのを規制する回り止め機構が構成され、
前記回り止め機構は、前記係止部と偏心した位置において前記保持シート本体に形成された凹部または凸部からなる第1嵌合部と、前記係合部と偏心した位置において前記電極に形成されて前記第1嵌合部に嵌合される凸部または凹部からなる第2嵌合部とから構成され、
前記係合部と前記係止部との嵌合方向と、前記第1凸状シール部と第2凸状シール部との嵌合方向と、前記第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合方向とが互いに同一方向となるように設定されている、
ようにしてある。これにより、凹凸嵌合される係止機構を利用して電極の保持シート本体に対する取付、取外しを容易にしつつ、係止機構を電極への通電経路として兼用させることができる。そして、シール機構によって係止機構を外部と液密に遮断することにより、係止機構を介して治療用電気信号がリークしてしまう事態も防止されることになる。さらに、回り止め機構によって、電極が保持シート本体に対して不用意に回転してしまう事態を防止することができる。
【0010】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記保持シート本体には、前記第1凸状シール部と共働して前記第2凸状シール部をその径方向から挟持するための挟持部が形成されている、ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、挟持部によって、第1凸状シール部と第2凸状シール部とをその径方向にしっかりと密着させて、シール性をより向上させる上で好ましいものとなる。
【0011】
前記電極には、前記第2凸状シール部と共働して前記第1凸状シール部をその径方向から挟持するための挟持部が形成されている、ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、挟持部によって、第1凸状シール部と第2凸状シール部とをその径方向にしっかりと密着させて、シール性をより向上させる上で好ましいものとなる。
【0012】
前記各電極が異形形状とされている、ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、異形形状とされているために特に不用意な回転を防止することが望まれる電極について、不用意な回転を防止することができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、凹凸嵌合される係止機構を利用して電極の保持シート本体に対する取付、取外しを容易にしつつ、係止機構を電極への通電経路として兼用させることができる。そして、シール機構によって係止機構を外部と液密に遮断することにより、係止機構を介して治療用電気信号がリークしてしまう事態も防止されることになる。さらに、回り止め機構によって、電極が保持シート本体に対して不用意に回転してしまう事態を防止することができる。
また、本発明は、次のような種々の効果をも奏する。すなわち、
シール機構は、内外2重構造となる嵌合方式によって、係止機構をより確実に外部と液密に遮断することができ、特に弾性を有すると共に、円環状に形成されていることから、シール機構のシール性をより十分に確保することができる。
さらに、1つの電極については、係止機構を必要最小限の1つとしつつ、回り止め機構によって、電極が不用意に回転してしまう事態を防止することができる。特に、電極を保持シート本体に対して取付ける動作を行うことにより、自動的に回り止め機構における凹凸嵌合が完了され、また電極を保持シート本体から取外す動作を行うことにより自動的に回り止め機構の凹凸嵌合が解除されることになる(電極の取付、取外しの動作とは別個に回り止めを得るための動作や回り止め機能解除の動作を行うことが不用になる)。さらに、係止機構とは偏心した位置に回り止め用の嵌合部が構成されるので、係止機構に極力回り止めのための無理な外力を加えないようにしつつ、回り止めを行う上で好ましいものとなる。
さらに又、上記係止機構とシール機構と回り止め機構との各嵌合方向が互いに同一方向に設定されているので、電極を保持シート本体に対して位置方向から接近させることにより、係止機構とシール機構と回り止め機構との嵌合を同時に行わせることができ、また、電極を保持シート本体から離脱させることにより、係止機構とシール機構と回り止め機構との嵌合解除を同時に行わせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、図1〜図7を参照しつつ、複数組の電極対を利用して、低周波治療器として特別なモードとなるさすり感覚のマッサージ効果を得るための基本的な構成について説明する。その後、複数の電極とこれを保持する保持シート本体との関係について図8以下を参照しつつ説明することとする。
【0015】
図1において、Hは多チャンネル式低周波治療器の本体である。この本体Hは、実施形態では4チャンネル式とされて、合計4つの出力部1〜4を有する。各出力部1〜4は、それぞれ一対の電極(導子)が接続可能とされている。すなわち、第1チャンネルとなる第1出力部1には、配線1A、1Bを介して、一対の電極1a、1bが接続される。同様に、第2チャンネルとなる第2出力部2には、配線2A、2Bを介して、一対の電極2a、2bが接続される。第3チャンネルとなる第3出力部3には、配線3A、3Bを介して、一対の電極3a、3bが接続される。第4チャンネルとなる第4出力部4には、配線4A、4Bを介して、一対の電極4a、4bが接続される。このように、実施形態では、合計4組の電極対が用いられるようになっている。
【0016】
図1中、Tは治療台、Kは治療台T上にうつ伏せとなった患者である。上記電極1a、1b〜4a、4bは、患者Kの治療部位としての例えば背中に対して、後述する保持シート本体を利用して装着される。これにより、出力部1〜4からの後述する治療用の低周波信号(低周波の電気信号)を出力することにより、各一対の電極1aと1bとの間、2aと2bとの間、3aと3bとの間、および4aと4bとの間という各部位に刺激が与えられる。
【0017】
図2は、本発明に用いる制御系統をブロック図的に示すものであり、特に、さすり感覚のマッサージを行うための特定モードに着目したものとなっている(通常の低周波治療のための回路部分については図示を略す部分もある)。この図2において、Uはマイクロコンピュータを利用して構成された制御ユニット(コントローラ)である。制御ユニットUは、CPU、ROM、RAM、システムタイマ等を有する。この制御ユニットUには、各出力部1〜4からの出力の大きさをマニュアル調整するための独立調整手段としてのスイッチ11〜14からの信号が入力される。このスイッチ11〜14は、出力を低下させる低下用操作部11a〜14aと、出力を増大させる増大用操作部11b〜14bとを有する。低下用操作部11aは、例えば押圧操作されることにより、出力を低下させる指令信号を制御ユニットUに出力する(12a〜14aについても同じ)。また、増大用操作部11bは、例えば押圧操作されることにより、出力を増大させる指令信号を制御ユニットUに出力する(12b〜14bについても同じ)。
【0018】
スイッチ5は、マニュアル操作される決定スイッチであり、例えば押圧操作されることにより、各出力部1〜4からの現在の出力状態を記憶すべき指令、特に各出力部1〜4の間での現在の出力の大きさの割合を記憶すべき指令信号を制御ユニットUに出力するものである。スイッチ6は、共通調整手段としてのマニュアル操作される共通スイッチであり、各出力部1〜4からの出力の大きさを同時に変更する指令信号を制御ユニットUに指令する。この共通スイッチ6は、例えばボリューム式とされて、所定の一方向へ回転させることにより出力増大要求となり、他方向へ回転させることにより出力低下要求となる。この共通スイッチ6による各出力部1〜4の出力の変更要求を受けたとき、制御ユニットUは、前述した決定スイッチ5が操作された時点での記憶されている出力割合を維持した状態で出力の大きさを変更するような制御を行う。なお、共通スイッチ6は、制御ユニットUによって制御されるモータ7によって、自動的に出力零の状態に復帰可能とされている。
【0019】
図2中、符号8は、マニュアル操作される治療時間の設定用スイッチであり、所望の治療時間(例えば15分等)を指令する。制御ユニットUからは、D/A回路(デジタルーアナログ変換回路)21〜24に対して、治療用低周波電気信号に対応した制御信号が出力される。すなわち、出力部1〜4は、アンプ31〜34からの電気信号(治療用低周波電気信号)を外部へ出力するものとなっており、この制御ユニットUからアンプ31〜34への制御信号が、上記D/A変換回路21〜31介して行われるようになっている。また、制御ユニットUからは、各出力部1〜4からの出力状態を示す信号が、本体Hの目視易い場所に設けた表示器9に出力される。表示器9は、各出力部1〜4の出力状態を個々独立して表示するもので、実施形態では、各出力部1〜4から出力されている電圧と電流とが表示されるようになっている。さらに、制御ユニットUからは、アンプ35を介して、スピーカ(ブザー)36に出力されるようになっている。
【0020】
次に、各出力部1〜4からの出力波について、図3〜図5を参照しつつ説明する。なお、出力部1〜4からの出力(の大きさ)は、実施形態では電圧値としてあるが、電流値することも可能である。まず、各出力部1〜4から出力される電気信号は、図3に示すように、基本的に、方形の所定幅(時間幅)のパルスが低周波でもって出力される低周波電気信号とされる(図3のパルス間隔となる周期が低周波対応となっており、例えば周波数で1HZ〜999HZ)。実施形態では、この低周波電気信号に、搬送波としての中周波が重合される(例えば周波数で2KHZ〜10KHZ)。すなわち、低周波信号となる方形のパルス幅内において、中周波数の電気信号が重合され、重合割合となるバーストデューティ比は実施形態では常時一定値(例えば30%)とされている。これにより、低周波成分を持ちつつ、患者Kの体表面から奥深く入った部分への刺激付与に効果的となる。
【0021】
各出力部1〜4からの出力は、図4に示すように、所定時間一定値が持続される持続出力状態とされるが、持続出力状態とするまでは出力が徐々に大きくなる漸増出力状態とされ、また持続出力状態から徐々に出力が低下される漸減出力状態とされる。この場合、漸増出力状態における出力増大割合(単位時間あたりの出力の増加割合)は、漸減出力状態における出力減少割合(単位時間あたりの出力の減少割合)よりも小さくされている。換言すれば、出力の増加はゆっくりで、出力の低下は急速に行われるようになっている。なお、各出力部1〜4の間での漸増出力状態における出力増大割合は互いにほぼ等しくなるようい設定され、同様に漸減出力状態における出力低下割合も互いにほぼ等しくなるように設定されている。
【0022】
各出力部1〜4からの出力は、互いに時間をずらして順次行われる。例えば、第1出力部2(電極1a、1b)、第2出力部2(電極2a、2b)、第3出力部3(電極3a、3b)、第4出力部4(電極4a、4b)の順に出力される。この出力の順序は、さすりの方向に対応するものであり、例えば図1の場合、上記出力順において、右回り(時計方向回り)にさすった感覚が与えられる。上記出力順とは逆に、第4出力部4から第3出力部3、第2出力部2、第1出力部1の順に出力したときは、図1において左回り(反時計方向回り)にさすった感覚が与えられる。
【0023】
図5には、好ましい出力例が示される。この図5において、第1出力部1、第2出力部2、第3出力部3、第4出力部というように順次出力して、この順序での出力が繰り返し行われる場合が示される。そして、図5の例では、出力(持続出力状態)の大きさは、第2出力部2がもっとも大きく、第3出力部3がもっとも小さく、第1出力部1と第4出力部4とがその中間の大きさとされている。なお、各出力部1〜4の大きさが相違するのは、出力が同じ大きさであっても患者Kが感じる刺激の強さは電極の装着部位によって相違を生じることを勘案してなされたものである。換言すれば、電極が装着されている部位毎に同じ刺激の強さを感じるように、各出力部1〜4の間での出力の大きさの調整が行われているものである。
【0024】
図5から明らかなように、実施形態では、各出力部1〜4の間での出力遅延時間(ディレイ時間)は、互いにほぼ等しくなるように設定されている(例えば第1出力部1からの出力開始から一定遅延時間tだけ遅れて第2出力部2からの出力が開始され、第2出力部2からの出力開始から上記tだけ遅れて第3出力部3からの出力が開始される)。
【0025】
今回出力されている今回出力部(例えば第1出力部1)での出力が行われている間に、次に出力が行われる出力部(例えば第2出力部2)からの出力が開始される。より具体的には、今回出力部での出力状態が前述した持続出力状態の間に、次の出力部からの出力が開始されるようになっている。そして、今回出力部からの出力が中止(出力零)となる時点(漸減出力状態の終期)においては、次回の出力部での出力状態が持続出力状態となるようにされている。このような設定によって、特に、出力されているある一対の電極から次に出力される別の電極へ向けて連続的に刺激が移動するような感覚が強く得られることになる。以上に加えて、複数の出力部1〜4のうち今回出力が行われている今回出力部での出力状態が前記持続出力状態から前記漸減出力状態に移行する付近の過渡期に、次に出力される次回出力部からの出力が前記持続出力状態の開始時期となるようにされている。
【0026】
なお、今回出力されている出力部からの出力が完全に中止(出力零)になった後に、次の出力部からの出力を開始したのでは、さすりの感覚がが途中でとぎれるような感じとなってしまい、好ましくないものである。また、各出力部1〜4からの出力の状態として持続出力状態のみとすることも考えられるが(漸増出力状態および漸減出力状態共になしとした場合)、この場合は、刺激が連続的に徐々に移動するような感覚が得にくいものとなる。
【0027】
なお、例えば第1出力部からの出力開始から、第2出力部の出力、第3出力部の出力、第4出力部の出力を経て、再び第1出力部からの出力が開始されるまでの時間(1サイクルあたりの時間で、図5における繰り返し時間に相当する時間)は、通常の手で行うさすりマッサージを勘案した時間に設定すればよく、例えば0.5秒〜2秒程度、好ましくは0.8秒〜1.5秒程度の範囲で設定すればよい。また、この1サイクル時間を、マニュアル変更することもできる(このための手動スイッチを別途設ければよい)。
【0028】
次に、上述した制御を行う制御ユニットUの制御内容について、図6、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、複数組の電極1a、1b〜4a、4bの患者Kへの装着状態は、例えば図1に示すような場合としてあり、図1中左回りにさする感覚を与えるために、出力順序は第1出力部1、第2出力部2、第3出力部3、第4出力部4の順としてある。また、以下の説明でQはステップを示す。
【0029】
まず、Q1において、スイッチ8を操作することによって、治療時間が例えば15分というように設定される。Q2では、各出力部1〜4からの出力が、調整スイッチ11〜14を利用して、個々独立して調整される。より具体的には、Q1での治療時間設定が行われた後に、まず第1出力部1からのみ出力が行われて、スイッチ11(の低下用操作部11a、増大用操作部11b)を操作することによって、患者Kが刺激を感じる最小限の出力となるように調整され、この調整値が一時的に記憶される。次いで、第2出力部2からのみ出力が行われて、スイッチ12(の操作部12a、12b)を操作することによって、患者Kが感じる最小限の出力となるように調整され、この調整値が一時的に記憶される。この後、第3出力部3からのみ出力が行われて、スイッチ13(の操作部13a、13b)を操作することによって、患者Kが感じる最小限の出力となるように調整され、この調整値が一時的に記憶される。最後に、第4出力部4からのみ出力が行われて、スイッチ14(の操作部14a、14b)を操作することによって、患者Kが感じる最小限の出力となるように調整され、この調整値が一時的に記憶される。このようにして、各出力部1〜4に対応した電極1a、1b〜4a、4bの装着部位において刺激を感じる最小限の出力の大きさが、各出力部1〜4について個々独立して設定、記憶されることになる。なお、現在出力されている1つの出力部がどれであるかを、表示器9に表示するようにすることもできる。
【0030】
Q3では、決定スイッチ5がON操作されたか否かが判別される。このQ3の判別でNOのときは、Q2に戻る。Q3の判別でYESのときは、Q4において、上述したように記憶された各出力部1〜4の間での出力割合の大きさが記憶される。この記憶としては、例えばもっとも小さい出力値となった第3出力部3の出力値を100%としたとき、第1出力部1の出力値が110%、第2出力部2の出力値が140%、第4出力部4の出力値が120%というように記憶される。
【0031】
Q5では、上述のように記憶されている出力の割合でもって、各出力部1〜4から同時に出力される(実施形態では、Q2で設定、記憶されている出力値をそのまま出力)。この各出力部1〜4から同時に出力が行われている状態では、患者Kは、各出力部1〜4に対応した電極1aと1bとの間〜4aと4bの間の全ての装着部位において、ほぼ同じような強さの刺激を感じ状態となっている。この状態で、Q6では、共通スイッチ6を操作することにより、患者Kが心地よいと感じる強さとなるように、各出力部1〜4からの出力の大きさが調整される(実施形態では、当初はもっとも弱い刺激を与える出力となっているので、共通スイッチ6によって刺激を強くする方向、つまり出力を大きくする方向の調整となる)。この共通スイッチ6による出力調整のとき、各出力部1〜4からの出力の大きさは、Q4で記憶されている出力の大きさ割合が維持されるように行われる。これにより、患者Kは、全ての電極装着部位についてほぼ同じ大きさの刺激を感じることになる。
【0032】
Q7では、Q3での決定スイッチ5がONされてから所定時間(例えば15秒)が経過したか否かが判別される。このQ7の判別でNOのときは、Q5へ戻る。Q7の判別でYESのときは、Q8において、各出力部1〜4からの同時出力が中止されて、所定順序での順次出力が開始される。すなわち、例えば図5に示すようなさすり感覚を得るためのさすりモード(特定モード)での出力態様でもって出力が開始される。
【0033】
Q9においては、Q8でのさすりモードでの出力開始時点から、Q1で設定された治療時間が経過したか否かが判別される。このQ9の判別でNOのときは、Q8の処理が繰り返されて、さすりモードでの出力態様が継続される。Q9の判別でYESのときは、Q10において、治療の終了を示すべくブザー36が作動される。この後、Q11において、モータ7によって共通スイッチ6の操作状態が強制的に出力零の状態に駆動、復帰されて、全ての出力部1〜4からの出力が中止される。
【0034】
Q8のさすりモードでの出力を行っているとき、各出力部1〜4からの出力の大きさを個々独立して調整したり、あるいは全出力部1〜4からの出力の大きさを同時に変更することもできる。この場合は、例えば図7に示すフローチャートが、図6に示すフローチャートに対して所定時間毎に割り込み処理される。なお、図7のフローチャートは、スイッチ11〜14あるいは共通スイッチ6のいずれか1つが操作されたときに図6のフローチャートに割り込み処理されるものであってもよい。
【0035】
図7のフローチャートにおいて、まずQ21において、スイッチ11〜14のいずれかが操作されたか否かが判別される。このQ21の判別でYESのときは、Q22において、操作されたスイッチ(例えばスイッチ11)に対応した出力部(例えば第1出力部1)からの出力が変更される。また、このQ22では、一部の出力部からの出力が変更されたことに伴って、各出力部1〜4の間での出力割合が変更、記憶される。
【0036】
Q22の後、あるいはQ21の判別でNOのときは、それぞれQ23において、共通スイッチ6が操作されたか否かが判別される。このQ23の判別でYESのときは、Q24において、記憶されている出力割合を維持しつつ、各出力部1〜4からの出力の大きさが同時に変更される。なお、出力の同時変更は、ソフト的な同時変更であって、実際に出力の変化として具現されるのは、各出力部1〜4の出力タイミング毎である(出力の順次変更)。Q23の判別でNOのときは、そのままリターンされる。
【0037】
次に、図8以下を参照しつつ、複数組の電極対1a、1b〜4a、4bとこれらを保持する保持シート本体について説明する。まず、保持シート本体が符号41で示される、この保持シート本体41は、例えば軟質の合成樹脂によって全体として薄いシート状に形成されて、内部に薄い内部空間42を有するようになっている(図12参照)。この保持シート本体41のうちその一面側に、複数組の電極対1a、1b〜4a、4bが着脱自在に取付けられるようになっている。
【0038】
保持シート本体41は、実質的に2つの領域51と52とに分けられていて、この2つの領域51と52との仮想の境界線γが図9中一点鎖線で示される。すなわち、第1領域51は、ほぼ方形とされて、保持シート本体41の左右方向(図9、図10左右方向)ほぼ中央でかつ上部に位置されている。また、第2領域52は、第1領域51の周縁部を部分的に取り囲むように形成されている。すなわち、図9において、第2領域52は、全体的にほぼU字状とされて、第1領域51のうち、下方にある第1周縁部51aと、第1周縁部51aの一端側に連なる左側の第2周縁部52bと、第1周縁部51aの他端側に連なる右側の第3周縁部51cとに沿って伸びて、全体的にほぼU字状とされている。つまり、前述の仮想境界線γは、ほぼU字状となるように設定されている。
【0039】
第1領域51に、複数組の電極1a、1b〜4a、4bのうち、一方側の電極1a、2a、3a、4aが配置されている。具体的には、4つの一方側電極1a〜4aは、ほぼ方形とされた第1領域51のほぼ4隅に分散して配置されていて、電極1aが第2周縁部51aの上部に、電極1bが第3周縁部の上部に、電極3aが第2周縁部51aの下部(第1周縁部51aの右端部)に、電極4aが第3周縁部51aの下部に(第1周縁部51aの左端部)に配置されている。このように、電極1a、2a、3a、4aは、電極1aを出発点として、図10中時計回りに順次配設されている。
【0040】
4つの他方側電極1b〜4bが、第2領域52に配設されている。すなわち、電極1bが、第2周縁部51bに沿った位置で、対となる電極1aの近傍に配置される。電極2bが、第3周縁部51cに沿った位置で、対となる電極2aの近傍に配置されている。電極3bが、第1周縁部51aに沿った位置で、対となる電極3aの近傍で、しかも電極2bの隣りに配置されている。電極4bが、第1周縁部51aに沿った位置で、電極4aの近傍で、しかも電極1bと3bとの間に配置されている。
【0041】
上記第1領域51は、導電性向上のために、第1導電シート53により覆われる。同様に、第2領域52も、第2導電シート54により覆われる。第1導電シート53は、第1領域51に対応した形状、つまりほぼ方形に形成されている。同様に、第2導電シート54は、第2領域42に対応した形状、つまりほぼU字状に形成されている。このような各導電シート53、54は、例えばカーボン等の導電材が混入された連通気泡を有するスポンジ等の薄いシート状に形成されている。導電性向上のために、導電シート53、54が例えば水に浸された状態で、電極1a〜4aあるいは電極1b〜4bを覆うようになっている。
【0042】
第1導電シート53を保持シート本体41に対して着脱自在に取付けるために、保持シート本体41(の一面側)には、第1取付部55が形成されている。同様に、第2導電シート54を保持シート本体41に着脱自在に取付けるために、保持シート本体41(の一面側)には第2取付部56が形成されている。各取付部55、56は、それぞれ、保持シート本体41と一体成形されている。すなわち、保持シート本体41は例えばブロー成形により形成することができるが、各取付部55、56もこのブロー成形時に同時に形成することができる。
【0043】
上記第1取付部55は、第1領域51のほぼ全周囲を取り囲むように形成される。この第1取付部は55は、図14に示すように断面略L字状とされて、保持シート本体41(の一面側)から突出する縦壁部55aと、縦壁部55aの先端(上端)から第1領域51の方向(第1領域51を覆う方向)に伸びる横壁部55bとを有する。第1導電シート53は、その外周縁部を、第1取付部55に係止されることにより、保持シート本体41に保持されるが、横壁部55bが導電シート53の保持シート本体41からの離脱を防止する係止作用と行うことになる。なお、第1取付部51は、第1導電シート55の外周縁部の一部を把持してその取付、取外しが容易に行えるように、第1領域51の全周縁部のうち一部に切り欠き部を有するようにされている。
【0044】
上記第2取付部56は、第2領域52のほぼ全周囲を取り囲むように形成される。この第2取付部は56は、第1取付部55と同様に形成されている。すなわち、図14に示すように、第2取付部56は、断面略L字状とされて、保持シート本体41(の一面側)から突出する縦壁部56aと、縦壁部56aの先端(上端)から第2領域52の方向(第2領域52を覆う方向)に伸びる横壁部56bとを有する。第2導電シート54は、その外周縁部を、第2取付部56に係止されることにより、保持シート本体41に保持されるが、横壁部56bが第2導電シート54の保持シート本体41からの離脱を防止する係止作用と行うことになる。なお、第2取付部56は、第2導電シート54の外周縁部の一部を把持してその取付、取外しが容易に行えるように、第2領域52の全周縁部のうち一部に切り欠き部を有するようにされている。
【0045】
各電極1a、1b〜4a、4bは、実施形態では、保持シート本体41に対して着脱自在とされている。この電極1a、1b〜4a、4bの保持シート本体41に対する取付けは、実施形態では、例えばホックのような凹凸嵌合方式の係止機構を利用して行われるようになっている。この係止機構の一例について、電極1aに着目して図13を参照しつつ説明するが、その他の電極についても同様な係止機構が採択されている。すなわち、保持シート本体41の一面側には、係止部としての係合凹部を構成する雌側部材61が固定され、電極1aには係合凸部を構成する雄側部材62が固定されている。雄側部材62を雌側部材61に整合させて、電極1aを保持シート本体41に対して強く押しつけることにより、電極1aが保持シート本体41に固定される。固定された電極1aを引き剥がすことにより、雌側部材61と雄側部材62との係合が解除されて、電極1aが保持シート本体41から取外されることになる。
【0046】
上記雌側部材61と雄側部材との嵌合部分の断面形状(係合方向となる軸線に対して直交する方向の断面形状)は、実施形態では円形(あるいはほぼ円形)とされており、このため、雌側部材61と雄側部材62とを単に係合させただけでは、電極1a、1b〜4a、4bは保持シート本体41に対して相対回転してしまうことになる。なお、この相対回転防止のための回り止め機構については、後述する。
【0047】
上記雌側部材61と雄側部材62とは、それぞれ導電性の部材により形成されていて、十分な強度(剛性)を確保するために例えば鉄系金属や銅合金等により形成されている(例えば両部材61、62の表面に導電性向上のための銀メッキや金メッキ等を施す処理を行うこともできる)。雄側部材62は、電極1aに固定されていて電極1aとの間に常時導電性が確保されている。雌側部材61と雄側部材62とが係合されている状態において、雌側部材61に通電することにより、雄側部材62を介して電極1aに通電される。保持シート本体41そのものは、軟質の非導電部材(絶縁部材)により形成されていて、雌側部材61に対して通電しても、保持シート本体41そのものには通電されないようになっている。なお、各電極1a、1b〜4a、4bは、実施形態では、例えばカーボン等の導電性材料が混入された軟質材によって全体的に導電性を有するように構成されて、雄側部材62に接触されるだけで当該雄側部材62との通電が確保されるようになっている。
【0048】
以上のような電極1aと保持シート本体41との係合関係は、他の電極1b、2a、2b、3a、3b、4a、4bについても同様である。保持シート本体41内の薄い内部空間42には、前述した通電用の配線1A、1B〜4A、4Bが配設されている。各配線1A、1B〜4A、4Bは、保持シート本体41の外部へ導出される部分からは1本のケーブルにまとめられて、その外部接続端は、図示を略すが接続カプラにまとめて結線されている。すなわち、接続カプラは、合計8本の配線1A、1B〜4A、4Bに対応した少なくとも8本の接続端子を有して、低周波治療器本体Hに設けられた接続端子に着脱自在に接続可能とされる。つまり、図1では、各配線1A、1B〜4A、4Bをわかりやすくするために個々独立して示しているが、実際には、上述のように、1本のケーブルにまとめられた形式でもって低周波治療器本体Hに接続されるようになっている。
【0049】
使用に際しては、図8に示すように、保持シート本体41に対して各電極1a、1b〜4a、4bを取付け、その後、2つの導電シート53、54を取付けて、図10の状態とする。そして、導電シート53、54が患者の体表面側に位置されるようにして、患者に接触される。なお、各電極1a、1b〜4a、4bを導電シート53あるいは54を介して確実に患者体表面に接触させるために、別途ベルト等を利用して、保持シート本体41つまり各電極1a、1b〜4a、4bを患者体表面に押しつけるようにすることができ、この場合上記ベルト等を利用して、保持シート本体41の患者体表面に対する位置ずれを防止するようにすることもできる。また、電極と患者との導電シート向上のために、図14に示すように、電極1a、1b〜4a、4bのうち患者側となる表面には複数本のリブ部が突設されている。
【0050】
ここで、雌側部材61と雄側部材62とが金属で形成されていると、導電シート53、54に付着される水分や患者から発生される汗等によって、当該部材61、62に錆が発生してしまうことが考えられる。この錆発生防止のために、両部材61と62とを、外部と遮断つまりシールするのが好ましい。このシールのためのシール機構の一例について説明する。まず、図8、図9、図13に示すように、図保持シート本体41(の一面側)には、雌側部材61を取り囲むように、円環状の凸状シール部71が保持シート本体41に一体成形されている。
【0051】
同様に、各電極1a、1b〜4a、4bには、雄側部材62を取り囲むように、円環状の凸状シール部72が当該電極1a、1b〜4a、4bと一体成形されている(図13、図15を参照)。各電極1a、1b〜4a、4bの雄側部材62を保持シート本体41の雌側部材61に係合させたとき、上記2つの凸状シール部71、72同士が内外2重の関係となるように密接状態で嵌合される。これにより、外部つまり電極1a、1b〜4a、4b側からの水分や汗等が、雌側部材61、雄側部材62に部分に侵入することが防止されて、両部材61、62の錆発生が防止される。特に、各凸状シール部71、72が弾性を有するので、そのシール性が極めて良好となる。
【0052】
各電極1a、1b〜4a、4bには、図13、図15に示すように、第2凸状シール部72の径方向外側において、凸状とされた一対の挟持部83が一体成形されている。この挟持部83は、第2凸状シール部72を周方向において少なくとも部分的に取り囲むように形成されていて、第2凸状シール部2に臨むその内面は円弧状とされている。そして、第2凸状シール部72と挟持部83の間の隙間は、保持シート本体41に形成された第1凸状シール部71の径方向厚さとほぼ同一とされて、各凸状シール部71と72とを内外2重構造で嵌合させた状態では、第2凸状シール部72と挟持部83とで第1凸状シール部71をその径方向から挟持するようになっている。これにより、両凸状シール部71と72との径方向の密着状態がより十分に確保されることになる。なお、挟持部83を全体的に円環状にすることも可能である。また、挟持部83に相当する挟持部を、保持シート本体41側に形成(一体成形)することも可能であり、この場合、保持シート本体41の第1凸状シール部71と挟持部とで、電極1a、1b〜4a、4bの第2凸状シール部72をその径方向から挟持することになる。
【0053】
ここで、電極1a、1b〜4a、4bを異形形状とする一方、保持シート本体41に対する嵌合部位を1カ所のみとした場合は、電極1a、1b〜4a、4bが保持シート本体41に対して勝手に回転して、所望の取付姿勢状態からずれてしまうことが考えられる。このような事態を防止するために、電極1a、1b〜4a、4bの回り止め機構を別途構成することができる。この回り止め機構は、実施形態では、電極1a、1b〜4a、4bの回転中心となる雌側部材61に対して偏心した位置において、保持シート本体41(の一面側)には、合計2カ所の嵌合凹部81が形成されている。この嵌合凹部81に対応して、各電極1a、1b〜4a、4bには、嵌合凸部82が一体成形されている。雌側部材61に雄側部材62を係合させた電極1a、1b〜4a、4bの取付状態では、嵌合凸部82が嵌合凹部81に嵌合されるようにして行われる。これにより、各電極1a、1b〜4a、4bが雌側部材61(雄側部材62)を中心にして、使用中に勝手に回転してしまう事態が防止されて、各電極1a、1b〜4a、4bを所望の姿勢状態で保持シート本体41に対して固定しておくことができる。なお、回り止めのために、保持シート本体41側に嵌合凸部を形成する一方、電極側に嵌合凹部を形成するようにしてもよい。要は、回り止めのためには、雌側部材61と雄側部材62とに対して偏心した位置において、保持シート本体41と電極との間において係合関係を構成するようにすればよく、保持シート本体41と電極とのそれぞれに係合凸部を形成してもよい。
【0054】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず例えば次のような場合をも含むものである。一対の電極の組数(出力部の数)としては、2組以上であればよいが、3組以上、特に実施形態で示すような4組以上とするのが、さすりの感覚を十分に得る上で好ましいものとなる。複数の出力部からの出力順序は、同じ順序で繰り返す場合に限らず、例えば、初回に出力する例えば第1出力部1から出力を開始して、最後に出力する例えば第4出力部4の後は、出力順序を逆にするようにしてもよい。より具体的には、例えば図5の例において、第1出力部1、第2出力部2、第3出力部3、第4出力部4、第3出力部3、第2出力部2、第1出力部1、第2出力部2、第3出力部3・・・・・というようにすることによって、さすり方向が反転するような出力を行わせるようにしてもよい。このように、複数の出力部の出力順序を変更しないで同じ出力順序を繰り返す繰り返しモードと、上述のようにさすり方向が反転するような反転モードとをマニュアル操作によって選択するスイッチを別途設けるようにすることもできる。
【0055】
全ての出力部からの順次出力が1回終了するまでの1サイクルあたりの時間を変更可能としてもよく、この場合、上記1サイクルあたりの時間を変更指令するためのマニュアル操作されるスイッチを別途設ければよい。これにより、さすりの早さを変更すること、つまりさすりを早く行う感覚や遅く行う感覚を任意に得ることができる。低周波電気信号としては、中周波の搬送波を重合させないものであってもよい。
【0056】
第2領域52を環状(例えば円環状、角形環状、楕円環状)となるように設定して、第1領域51を全体的に取り囲むように設定することもできる。例えば、第1領域51をほぼ方形あるいはほぼ円形に形成する一方、第2領域52を、第1領域51を全体的に取り囲む環状(ほぼ環状)に形成することもできる。この場合、電極対の組数を4組以上、例えば5組、6組、7組、8組等、極力多い数にするのが好ましい(複数組の電極対は、周方向に略等間隔に配置するのが好ましい)。電極1a、1b〜4a、4bは、保持シート本体41に対して着脱自在とすることなく、常時固定式とすることもできる。また、各電極1a、1b〜4a、4bを保持シート本体41に対して着脱自在とするには、凹凸嵌合式に限らず、適宜の取付手法を採択できるものである。
【0057】
電極1a、1b〜4a、4bの保持シート本体41に対する係合位置を、1つの電極について2箇所以上とすることもできる(この場合、電極の回り止め機構を別途設けることは不用となる)。また、電極の保持シート本体41に対する係合位置と、電極でほ通電位置とを別途独立して構成することもできる(雌側部材61と雄側部材62とを利用した電極への通電を行わない)。
【0058】
雌側部材61を電極側に設ける一方、雄側部材62を保持シート本体41側に設けるようにしてもよい。雌側部材61と雄側部材62との通電部位のシールを行う場合、保持シート本体41に形成した例えば円環状の凹部(または凸部)に対して、電極側に形成した例えば円環状の凸部(または凹部)を嵌合させることにより行うこともできる。シール部分は、全体として円環状とすることなく、例えば4角形の環状や楕円形の環状とすることもできるが、角部の存在をなくして良好なシール性を確保するためや製造の容易性等を勘案すると、円環状とするのが好ましい。
【0059】
実施形態では、さすり感覚を得る場合に着目して説明したが、本発明における電極保持シート装置は、通常のマッサージ用としても利用できるものである。例えば、複数組の電極対について同時に治療用電気信号を印加して、同時に複数箇所に対して刺激を与えることができる。また、複数組の電極対のうち、ある1つの電極に対してのみ長時間(例えば5分)治療用信号を印加した後、別の電極対に対して長時間治療用電気信号を印加するとうことを、電気信号を印加する電極対を変更しながら順次行う等のこともできる(長時間刺激を与える複数箇所の部位に対してあらかじめ電極を配設しておくという使用の仕方であって、1つの電極対に対して長時間電気信号を印加し続けるので、さすり感覚とは全く無関係)。
【0060】
電極1a、1b〜4a、4bの保持シート本体41に対する回り止め機構は、例えば、雌側部材61と雄側部材62との嵌合部位の断面形状をそれぞれ異形形状とすることにより構成することも可能である。もっとも、この場合は、回り止めのための外力が、係止機構としての雌側部材61と雄側部材62との嵌合部位に集中するので、実施形態のように、係止機構とは偏心した位置において回り止めのための外力を受ける部位を別途構成するのが好ましいものである。フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)あるいはスイッチ等の各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。電極の配置は任意に設定することができ、特にさすり感覚を得るための特別のモードを必要としない場合は、例えば一方側電極1a〜4aを所定直線に沿って互いに直列に配置すると共に、他方側電極も上記所定直線に沿って互いに直列に配置する等のことができる。
【0061】
導電シート53、54は、電極が存在しない位置において、その中央部付近をホック等によって保持シート本体41に対して着脱自在に連結するように設定することができる(導電シート53、54の保持シート本体41に対するより確実な取付の確保)。勿論、導電シート53、54を用いないようにすることもできる。フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)の機能は、制御ユニット(コントローラ)内に設定された機能部の機能として表現することもできる(機能部の存在)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】さすり感覚を得るための患者に対する電極の配置例を示す簡略上面図。
【図2】さすり感覚を得るための制御系統例を示すブロック図。
【図3】治療用の低周波信号の一例を示す図。
【図4】各出力部からの好ましい出力例を1回あたりの出力に着目して示す図。
【図5】各出力部から順次出力する場合の好ましい出力例を示す図。
【図6】さすり感覚を得るための制御例を示すフローチャート。
【図7】さすり感覚を得るための制御例を示すフローチャート。
【図8】保持シート本体に対して取付けられる電極と導電シートとを示す分解斜視図。
【図9】保持シート本体のうち電極取付面側を示す平面図。
【図10】図9の状態から電極と導電シートとを取付けた状態を示す平面図。
【図11】図9裏面図。
【図12】保持シート本体の側面断面図。
【図13】保持シート本体と電極との取付部位を示す拡大断面図。
【図14】保持シート本体に取付けた電極を導電シートで覆った状態を示す要部断面図。
【図15】電極のうち保持シート本体に対する取付面側を示す図。
【符号の説明】
H:多チャンネル式低周波治療器の本体
K:患者
U:制御ユニット
γ:仮想境界線
1〜4:出力部
1a、1b〜4a、4b:電極
41:保持シート本体
42:内部空間
51:第1領域
52:第2領域
53:第1導電シート
54:第2導電シート
55:第1取付部
56:第2取付部
61:雌側部材(係止凹部)
62:雄側部材(係合凸部)
71:第1凸状シール部
72:第2凸状シール部
81:嵌合凹部(回り止め用)
82:嵌合凸部(回り止め用)
83:挟持部
Claims (4)
- 絶縁性の保持シート本体の一面側に複数の電極が設けられ、該複数の電極が患者の体表側に位置するようにして患者に装着される多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置において、
前記各電極はそれぞれ、前記保持シート本体に対して凹凸嵌合式の係止機構によって該保持シート本体に対して着脱自在とされており、
前記係止機構は、前記保持シート本体の前記一面側に設けられた凹部または凸部からなる係止部と、前記各電極に設けられて該係止部に凹凸嵌合される凸部または凹部からなる係合部と、から構成されると共に、該係止機構を構成する該係止部および係合部は、1つの電極について1つのみ設けられ、
前記係止部および係合部はそれぞれ導電性を有して、前記各電極への通電用配線が前記保持シート本体内において前記係止部に接続され、
前記保持シート本体と各電極との間には、前記係止機構によって該電極を該保持シート本体に対して係止させたときに、該係止機構を外部と液密に遮断するシール機構が構成され、
前記シール機構は、前記保持シート本体に一体成形されて前記係止部を取り囲む第1凸状シール部と、前記電極に一体成形されて前記係合部を取り囲む第2凸状シール部とから構成されて、該係止部に該係合部を係合させたときに、該第1凸状シール部と第2凸状シール部とが内外2重構造で嵌合されるように設定されており、
前記第1凸状シール部と第2凸状シール部とがそれぞれ、弾性を有すると共に、前記係止機構を中心とする円環状に形成され、
前記保持シート本体と電極との間には、前記係止機構によって該電極を該保持シート本体に対して係止させたときに、該電極が該保持シート本体に対して該係止機構を中心として回転されるのを規制する回り止め機構が構成され、
前記回り止め機構は、前記係止部と偏心した位置において前記保持シート本体に形成された凹部または凸部からなる第1嵌合部と、前記係合部と偏心した位置において前記電極に形成されて前記第1嵌合部に嵌合される凸部または凹部からなる第2嵌合部とから構成され、
前記係合部と前記係止部との嵌合方向と、前記第1凸状シール部と第2凸状シール部との嵌合方向と、前記第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合方向とが互いに同一方向となるように設定されている、
ことを特徴とする多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置。 - 請求項1において、
前記保持シート本体には、前記第1凸状シール部と共働して前記第2凸状シール部をその径方向から挟持するための挟持部が形成されている、ことを特徴とする多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置。 - 請求項1において、
前記電極には、前記第2凸状シール部と共働して前記第1凸状シール部をその径方向から挟持するための挟持部が形成されている、ことを特徴とする多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記各電極が異形形状とされている、ことを特徴とする多チャンネル式低周波治療器用の電極保持シート装置。
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