JP4124526B2 - 正常アグリカン測定法とその応用 - Google Patents

正常アグリカン測定法とその応用 Download PDF

Info

Publication number
JP4124526B2
JP4124526B2 JP28493798A JP28493798A JP4124526B2 JP 4124526 B2 JP4124526 B2 JP 4124526B2 JP 28493798 A JP28493798 A JP 28493798A JP 28493798 A JP28493798 A JP 28493798A JP 4124526 B2 JP4124526 B2 JP 4124526B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
normal aggrecan
protein
aggrecan
hyaluronic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28493798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000111553A (ja
Inventor
聡 宮内
裕子 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP28493798A priority Critical patent/JP4124526B2/ja
Publication of JP2000111553A publication Critical patent/JP2000111553A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4124526B2 publication Critical patent/JP4124526B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒアルロン酸に会合能を有するアグリカン(正常アグリカン)の測定方法、より詳細には正常アグリカンの免疫測定方法およびその応用(関節軟骨基質の異常性を検出する方法および正常アグリカン測定用キット)に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟骨中のプロテオグリカンは「アグリカン」とよばれており、コアタンパク質にコンドロイチン硫酸(以下、「CS」ということもある。)およびケラタン硫酸(以下、「KS」ということもある。)が結合した構造を有している。
アグリカンは、通常、軟骨基質においてヒアルロン酸(以下、「HA」ということもある。)と会合し、巨大な会合体を形成している。このアグリカンのHAとの会合能は、軟骨基質の分解や変性に伴って低下することが知られている。
アグリカンの分解物は関節液にも存在しており、軟骨あるいは関節液中のアグリカンのHAとの会合能の低下が、軟骨基質の異常性の指標として有用であることも知られている(WO95/22765号公報)。
【0003】
本明細書では、HAと会合能を有するアグリカンを「正常アグリカン」、HAと会合能を有さないアグリカンを「異常アグリカン」、正常アグリカンと異常アグリカンを合わせて、単に「アグリカン」という。なお本明細書では、関節液中に存在するアグリカンの分解物も「アグリカン」という用語に包含される。
以下、本発明に最も近い技術について、文献名を挙げて説明する。
【0004】
米国特許第5,185,245号には、抗KS抗体または抗CS抗体を固相に固着させ、これに検体(関節液)を接触させ、さらに標識した抗KS抗体または抗CS抗体を接触させることにより、「抗CS抗体(または抗KS抗体)−プロテオグリカン−抗CS抗体(抗KS抗体)」からなるサンドイッチ状複合体を形成させ、これを検出することによる関節液中のプロテオグリカンの検出方法、および関節破壊の検出方法等が記載されている。また、プロテオグリカンのグリコサミノグリカン成分に対する抗体が固着された固相を構成成分として含む、体液中のプロテオグリカンの検出キットが記載されている。しかしながら、正常アグリカンを異常アグリカンと区別して測定する思想、HAと結合能を有するタンパク質を用いること、および特定の抗体(5D4、CS56およびLY111からなる群から選ばれる1または2以上の抗体)が固着された固相を用いることについては記載されていない。
【0005】
WO95/22765号公報には、検体中の正常アグリカンと会合したHAおよび遊離のHAをヒアルロニダーゼ等により分解または除去し、得られた処理検体を正常アグリカンが結合または吸着できる固相(例えばHAを結合させた固相)に接触させ、該固相に結合または吸着した正常アグリカンを検出する方法が記載されている。また固相に結合または吸着した正常アグリカンの検出には、抗CS抗体や抗KS抗体を使用することができる旨、また抗CS抗体として具体的には、CS−56、MO−225、MC21C、S54C、3B3が記載されており、抗KS抗体として具体的には、5D4が記載されている。またこの方法で正常アグリカンを測定することにより、関節炎の病状が把握できる旨が記載されている。
【0006】
しかしながら、特定の抗体(5D4、CS56およびLY111からなる群から選ばれる1または2以上の抗体)が固着された固相を用いること、およびヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を用いることについては開示がない。なおこの方法では、ヒアルロニダーゼ等の試薬が必要であり、ヒアルロニダーゼ処理のステップ等が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
正常アグリカンを、多くの装置や試薬(例えばヒアルロニダーゼ等)を用いることなく、特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速かつ安価に測定できる方法が提供できれば、正常アグリカンの測定法として極めて実用性が高く、関節軟骨基質の異常性の検出も極めて容易になり、このような測定方法および測定キットが望まれていた。
すなわち本発明は、正常アグリカンの極めて実用的な測定方法、および極めて実用的な関節軟骨基質の異常性の検出方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の抗体が固着された固相を用いることにより、正常アグリカンが極めて特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速かつ安価に測定できる方法を見いだし、またこの方法により関節軟骨基質の異常性が極めて簡便に検出できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、下記の工程を少なくとも含むことを特徴とする検体中の正常アグリカンの測定方法(以下、「本発明測定方法」と略称することもある。)を要旨とする。
工程1:抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫酸抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形成させる工程。
工程2:前記固相に、さらにヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させる工程。
工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合体を検出する工程。
【0010】
上記の抗ケラタン硫酸抗体は、好ましくは5D4であり、上記の抗コンドロイチン硫酸抗体が、好ましくはCS56およびLY111からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体であり、本発明は、好ましくは上記工程1が、5D4、CS56およびLY111からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形成させる工程であることを特徴とする、本発明測定方法を要旨としている。
【0011】
上記のヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質が、標識物質で標識されていることを特徴とし、本発明は、好ましくは上記の工程2が前記固相に、さらに標識物質で標識されているヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させる工程であることを特徴とする、本発明測定方法を要旨としている。
上記のヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質が、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来のタンパク質であり、本発明は、好ましくは上記の工程2が前記固相に、さらに軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来の、あるいは標識物質で標識されている軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来のヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させる工程であることを特徴とする、本発明測定方法を要旨としている。
【0012】
また本発明は、下記の工程を少なくとも含むことを特徴とする関節軟骨基質の異常性を検出する方法。(以下、「本発明検出方法」ともいう)を要旨とする。
工程1:上記の本発明測定方法によって、関節液中の正常アグリカンを測定する。
工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。
【0013】
また本発明は、下記の(A)、(B)を少なくとも含むことを特徴とする正常アグリカン測定用キット(以下、「本発明測定キット」と略称することもある。)を要旨としている。
(A)抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫酸抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相。
(B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質。
上記の正常アグリカン測定用キットが、関節軟骨基質の異常性の検出キットであり、本発明は、本発明測定キットからなる、関節軟骨基質の異常性の検出キット(以下、「本発明検出キット」と略称することもある。)を要旨としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
<1>本発明測定方法
本発明測定方法は、下記の工程を少なくとも含むことを特徴とする、検体中の正常アグリカンの測定方法である。
工程1:下記の抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体を形成させる工程。 抗体群:抗KS抗体、抗CS抗体
工程2:前記固相に、さらにHAと結合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA−HAと結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させる工程。
工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合体を検出する工程。
【0015】
以下、本発明測定方法を各工程ごとに詳述する。
(1) 工程1
(1)−1 抗KS抗体および抗CS抗体
(1)−1−1 抗KS抗体
抗KS抗体は、KSに対して反応する抗体である限りにおいて特に限定されず、またモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であっても良いが、モノクローナル抗体であることが好ましく、その中でも下記のモノクローナル抗体であることが好ましい。
(A)5D4
5D4〔J.Biol.Chem.,258,8848-(1983)、Eur.J.Biochem.,157,385-391(1986)〕は、ヒト関節軟骨プロテオグリカンモノマーをコンドロイチナーゼABCで消化して得られるプロテオグリカンコアタンパク質を抗原とし、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有する;角膜と軟骨のKSと反応する。またヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、サメの硝子軟骨から調製したプロテオグリカンモノマーと反応するが、デルマタン硫酸(以下、「DS」ということもある。)、ヘパリン(以下、「Hep」ということもある。)、ヘパラン硫酸(以下、「HS」ということもある。)、HAとは反応しない。
なお5D4は、生化学工業株式会社から販売されている。
【0016】
(1)−1−2 抗CS抗体
抗CS抗体は、CSに対して反応する抗体である限りにおいて特に限定されず、またモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であっても良いが、モノクローナル抗体であることが好ましく、その中でも下記のモノクローナル抗体であることが好ましい。
(B)CS56
CS56〔Exp.Cell Res.,158,321-(1985)、J.
Cell Biol.,91,205-(1981)、Biochem.
Biophys.Acta.,694,375-(1982)、J.Biol.
Chem.,255,7102-(1980)、Int.Rev.Cytol.,53,65-(1978)〕は、ニワトリ砂嚢線維芽細胞を抗原とし、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有する;ネイティブなCSプロテオグリカンのグリコサミノグリカン部分に特異的で、コンドロイチン硫酸A(CS−A)とコンドロイチン硫酸C(CS−C)に反応するが、DSとは反応しない。
なおCS56は、生化学工業株式会社から販売されている。
(C)LY111
LY111は、CS−Aを抗原とし、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体である。
なおLY111は、生化学工業株式会社から販売されている。
【0017】
(1)−2 固相
抗KS抗体や抗CS抗体を固着する固相は、抗体を固着させることができ、かつ、水、検体または測定反応液に不溶性である限りにおいて特に限定されない。固相の形状としては、プレート(例えばマイクロプレートのウェル等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル等を例示することができる。固相の材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド等が例示される。
これらの中でも、ポリスチレンを材質としたプレートが好ましい。
これらの固相に抗KS抗体および/または抗CS抗体を固着させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、包括法等固定化酵素の調製法として一般的な方法(固定化酵素、1975年、講談社発行、第9〜75頁参照)を応用することができる。
これらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡便かつ頻用されていることから好ましい。
物理的吸着法として具体的には、例えば次の方法を挙げることができる;
抗KS抗体および/または抗CS抗体をpH7〜9程度の緩衝液(例えばリン酸緩衝液、リン酸緩衝食塩液(PBS)、炭酸緩衝液等)に溶解して固相(例えばマイクロプレート)に加え、37℃程度で1〜2時間保存するか、4℃程度で一晩保存して固着させる。
また、抗KS抗体および/または抗CS抗体を固着させた固相の表面には、これらが固着していない表面部分が残存している場合があり、そこに検体中のアグリカンや他の分子種が固着すると正確な測定結果が得られなくなるおそれがある。よって、検体を固相と接触させる前にブロッキング物質を添加して抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着していない部分を被覆しておくことが好ましい。このようなブロッキング物質としては、血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等が挙げられ、また、ブロッキング物質として市販されているものを使用することもできる。
ブロッキングの方法として具体的には、例えば次の方法を挙げることができる;ブロッキング物質(血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等)を添加して、37℃程度で30分〜2時間保存するか、常温(15〜25℃) で1〜2時間保存する。
【0018】
(1)−3 検体
検体は、測定の対象物質である正常アグリカンが含有されている、あるいは正常アグリカンが含有されている可能性がある検体である限りにおいて特に限定されない。また検体は、予め精製されていなくてもよい。検体として具体的には、例えば関節液、軟骨の抽出液、血液、血清、血漿、尿等が例示される。
抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相への検体の接触方法は、当該固相と検体とが接触する限りにおいて特に限定されない。例えば、抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相に検体を添加して接触させても良く、検体に抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相を添加して接触させても良い。
なおこれら両者を接触させた後、抗KS抗体および/または抗CS抗体と検体中の正常アグリカンとを十分に結合させるために、例えば0〜45℃、好ましくは37℃で1時間程度反応させることが好ましい。また反応後、固相と液相の十分な分離または固相の洗浄、例えば、固相の表面を洗浄液で洗浄して非特異吸着物や、反応しなかった検体中の成分を除去することが好ましい。
洗浄液としては、例えば、トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した緩衝液(例えばリン酸緩衝液、PBS、トリス塩酸緩衝液等)を用いることが好ましい。
抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相に検体を接触させることにより、検体中に含有されているアグリカンと抗KS抗体および/または抗CS抗体が複合体を形成する。なお、正常アグリカンはHAと会合能を有しており、関節液等の検体中では通常「正常アグリカン−HA」からなる複合体として存在しているので、抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相に検体を接触させることにより、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体が形成される。また、この工程では「固相固着抗体−異常アグリカン」からなる複合体も形成される。なお、検体中の正常アグリカンが「正常アグリカン−HA」からなる複合体として存在していない場合は、検体に分子量数十万以上のHAを添加して「正常アグリカン−HA」からなる複合体を形成させておく必要がある。
【0019】
(2) 工程2
(2)−1 HAと結合能を有するタンパク質
HAと結合能を有するタンパク質は、HAに結合する能力を有するタンパク質である限りにおいて特に限定されないが、HA結合性のプロテオグリカン(例えば、軟骨プロテオグリカン、軟骨プロテオグリカンのトリプシン消化物、軟骨プロテオグリカンのコンドロイチナーゼABC消化物等)、プロテオグリカンのコアタンパク質(例えば、軟骨プロテオグリカンのコアタンパク質等)、リンクプロテイン、ヒアルロネクチン、CD44、これらのタンパク質のHA結合部位を含む部分タンパク質、あるいは該部分タンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質等が挙げられるが、特に軟骨プロテオグリカンのトリプシン消化物、さらにはウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物が好ましい。なお、ウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物については、「ヒアルロン酸バインディングプロテイン」として生化学工業株式会社から販売されている。
また、HAと結合能を有するタンパク質は標識物質で標識されていることが、工程3において検出が容易であることから好ましい。
HAと結合能を有するタンパク質の標識に使用される標識物質としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光色素(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)など〕、化学発光物質(ルミノールなど)、ビオチン、アビジン(ストレプトアビジンを含む)等が挙げられるが、通常タンパク質の標識に可能なものであれば、特に限定されない。標識方法は、標識物質に適した公知の方法、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エステル法等〔「タンパク質の化学(下)」、東京化学同人、1987年発行参照〕等から適宜選択することができる。例えば標識物質としてビオチンを使用する場合は、ビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin-
Biotin Chemistry:A Handbook,p57−63,
PIERCE CHEMICAL COMPANY,1994年発行参照)、またフルオレセインイソチオシアネートを使用する場合は特公昭63−17843号公報記載の方法等から適宜選択できる。
なお、ビオチンで標識されたウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物については、「ビオチン標識ヒアルロン酸バインディングプロテイン」として生化学工業株式会社から販売されている。
前記固相(「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体が形成されたもの)にHAと結合能を有するタンパク質を接触させることにより、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA−HAと結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体が形成される。「固相固着抗体−異常アグリカン」からなる複合体には、HAと結合能を有するタンパク質が結合しないため、このようなサンドイッチ状複合体は形成されない。
なおこれら両者を接触させた後、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体とHAと結合能を有するタンパク質とを十分に結合させるために、例えば0〜45℃、好ましくは37℃で1時間程度反応させることが好ましい。また反応後、固相と液相の十分な分離または固相の洗浄、例えば、固相の表面を洗浄液で洗浄して非特異吸着物や、反応しなかった上記タンパク質を除去することが好ましい。洗浄液としては、例えば、トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した緩衝液を用いることが好ましい。
なお、HAと結合能を有するタンパク質として、軟骨プロテオグリカンのようにKSやCSが結合しているタンパク質を用いる場合には、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体を形成させた後に、前記固相にCSおよび/またはKSを接触させ、未反応の抗体(正常アグリカンとの複合体を形成していない抗体)をブロッキングしておくことが好ましい。
【0020】
(3) 工程3
工程3は、工程2において形成されたサンドイッチ状複合体を検出する工程である。検出は、HAと結合能を有するタンパク質に特異的に反応する抗体を用いて行ってもよく、また工程2においてHAと結合能を有するタンパク質を標識物質で標識したものを用いた場合には、用いた標識物質に応じて当業者が適宜検出方法を選択することができる。
例えば、標識物質にビオチンを使用する場合には、ストレプトアビジン等を結合させた酵素を添加して、このストレプトアビジン等を介してペルオキシダーゼ等の酵素を標識物質としてビオチンを含む複合体へ結合させ、該酵素の基質としてテトラメチルベンジジン等の発色基質および過酸化水素水を加え、酵素反応による生成物の発色の度合いを吸光度の変化で測定する方法等を挙げることができる。また、蛍光物質や化学発光物質を使用する場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を測定する方法等が挙げられる。なお、「ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質が、標識物質で標識されている」とは、タンパク質が直接標識されていることのみを意味するのではなく、前記のように標識された抗体やストレプトアビジン等で最終的に標識されうることも意味する。
本発明測定方法において、検体中のアグリカンの濃度は、予め既知濃度のアグリカン標準液を用いてアグリカン濃度と標識物質の検出結果(例えば吸光度)との関係について検量線を作成しておき、未知濃度の検体についての検出結果と前記検量線とを用いることにより求めることができる。
本発明方法によれば、抗KS抗体および/または抗CS抗体と、ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を使用することにより、ヒアルロン酸と結合能を有するアグリカン(正常アグリカン)を、異常アグリカンから分別し検出することができる。
本発明測定方法では、後述の実施例からも明らかな通り、ヒアルロニダーゼ等の試薬や高速液体クロマトグラフィー等の装置を使用せずに正常アグリカンの測定が可能であることから、簡便、迅速かつ安価に測定することができる。また本発明測定方法は、正常アグリカンを特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく測定することができる。
【0021】
<2>本発明検出方法
本発明検出方法は、下記の工程を少なくとも含む、関節軟骨基質の異常性を検出する方法である。
工程1:請求項1〜5のいずれか1項記載の測定方法によって、関節液中の正常アグリカンを測定する。
工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。
以下、本発明検出方法を各工程ごとに詳述する。
【0022】
(1) 工程1
工程1は、上記<1>の本発明測定方法と全く同様であるが、本発明検出方法においては検体として関節液を用いる。なお、軟骨の抽出液を用いてもよい。
(2) 工程2
工程2は、工程1により得られた関節液中の正常アグリカン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程である。
なお、「正常アグリカン量」は、工程1で測定された正常アグリカン量の測定値そのものであってもよく、また関節液中のアグリカン量に対する、工程1で測定された正常アグリカン量の割合であってもよい。関節液中のアグリカン量は、例えば米国特許第5,185,245号等に記載されている方法等により測定することができる。
関節軟骨基質の異常性とは、関節液中の正常アグリカン量の減少を伴う異常性である限りにおいて特に限定されず、例えば関節軟骨の変性や破壊等を伴う疾患、より具体的には変形性関節症、慢性関節リウマチ、外傷性関節炎、痛風等が例示される。このような疾患では、関節液中の正常アグリカン量が健常なヒト(関節軟骨基質の異常性がないヒト)の関節液中の正常アグリカン量に比して有意に減少するので、工程1で測定された正常アグリカン量が健常人の関節液中の正常アグリカン量に比して少ない場合には、「関節軟骨基質の異常性がある」、もしくは「関節軟骨基質に異常性がある可能性が高い」と関連づけることができる。工程1で測定された正常アグリカン量が健常人の関節液中の正常アグリカン量と同等であれば、「関節軟骨基質の異常性がない」、もしくは「関節軟骨基質に異常性がある可能性は低い」と関連づけることができる。
また本発明検出方法においては、関節軟骨基質の異常性の有無のみでなく、当該異常性の程度の検出も含まれる。例えば個人の関節液中の正常アグリカン量を工程1により定期的に測定し、正常アグリカン量が減少傾向にある場合には「関節軟骨基質の異常性が進行している」、もしくは「関節軟骨基質に異常性が進行している可能性が高い」と関連づけることができる。また工程1で測定された正常アグリカン量が増加傾向にある場合には、「関節軟骨基質の異常性が改善方向にある」、もしくは「関節軟骨基質の異常性が改善方向にある可能性が高い」と関連づけることができる。また工程1で測定された正常アグリカン量に変化がない場合には、「関節軟骨基質の異常性(正常性)に変化がない」、もしくは「関節軟骨基質の異常性(正常性)に変化がない可能性が高い」と関連づけることができる。
なお、関節軟骨基質の異常性の検出基準となる正常アグリカン量は、正常アグリカン標準品濃度と標識物質の検出結果との関係について作成した検量線を用いて求めた正常アグリカン濃度であっても良く、また当該検量線を用いずに健常なヒト(関節軟骨基質の異常性がないヒト)の関節液中の正常アグリカン量に対する比であっても良い。
【0023】
<3>本発明測定キット
本発明測定キットは、下記の構成を少なくとも含む、正常アグリカン測定用キットである。
(A)下記抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相
抗体群:抗ケラタン硫酸抗体、抗コンドロイチン硫酸抗体
(B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質
(A)の固相および(B)のタンパク質についての説明は、<1>本発明測定方法と同様である。
本発明測定キットは、上記(A)および(B)を少なくとも含む限りにおいて特に限定されず、さらに検量線作成のための標準となる既知濃度の正常アグリカン標準品、標識物質の検出試薬、HAと結合能を有するタンパク質を標識する試薬、あるいはHAと結合能を有するタンパク質を検出する試薬(標識された当該タンパク質に対する抗体等)等を構成として加えることができる。また、これらの構成の他に、前記ブロッキング物質、前記洗浄液、検体希釈液、酵素反応停止液等が含まれていてもよい。
これらの構成は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時に本発明測定方法に従って使えるキットとして保存しておくことができる。
本発明測定キットを用いた正常アグリカンの測定は、上記<1>の本発明測定方法に従って行うことができる。
【0024】
<4>本発明検出キット
本発明検出キットは、本発明測定キットからなる、関節軟骨基質の異常性の検出キットである。本発明検出キットの構成等の説明は、上記<3>の本発明測定キットと同じである。
本発明検出キットを用いた関節軟骨基質の異常性の検出は、上記<2>の本発明検出方法に従って行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
本実施例中で用いた抗体、HAに結合能を有するタンパク質、および正常アグリカンについて説明する。
(1)抗体
(1−1)抗KS抗体として5D4を用いた。5D4の特性等については前記した。
(1−2)抗CS抗体として、CS56、LY111、MO−225およびMC21Cを用いた。CS56およびLY111の特性については前記した。MO−225およびMC21Cの特性について以下に説明する。
MO−225:
MO−225〔J.Biol.Chem.,262,4146−4152(1987)、J.Biol.Chem.,264,8012−8018(1989)〕は、鶏胚肢芽プロテオグリカンを抗原とし、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有する;
インタクトなCS鎖上の決定基(D−グルクロン酸−2−硫酸(β1→3)−N−アセチルガラクトサミン−6−硫酸の二糖構造(D−ユニット))を認識し、D−ユニットの繰り返し構造が連なったものはより強く反応する。
なおMO−225は、生化学工業株式会社から販売されている。
MC21C:
MC21C〔Dev.Biol.,133,475-488(1989)、
Differentiation,43,37−50(1990)、Int.
Dev.Biol.,34,191-204(1990)〕は、成熟ラット骨タンパク質を抗原とし、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有する;
ラット、マウス、ニワトリ、サメ、ウシのインタクトなCS−Cと反応し、DS、ヘパラン硫酸(以下、「HS」ということもある。)やKSとは反応しない。
なおMC21Cは、生化学工業株式会社から販売されている。
(1−3)抗プロテオグリカンコアタンパク質抗体として、2−B−1を用いた。2−B−1の特性について以下に説明する。
2−B−1〔Histochemical J.,21,455−459(1989)〕は、ヒトのヨークサック腫瘍より調製したプロテオグリカンを抗原として、これをマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有する;
プロテオグリカンのコアタンパク質を認識する。成人の組織では、大動脈の内膜、中膜が染色され、血管周囲および筋周囲の結合組織には弱く反応し、一方、胎児では全ての組織において間質が強く染色される。癌組織では、胃癌、直腸癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌等の全ての間質線維成分と反応し、癌特有の間質像を示す。
なお2−B−1は、生化学工業株式会社から販売されている。
【0026】
(2)HAに結合能を有するタンパク質
生化学工業株式会社から販売されている、「ビオチン標識ヒアルロン酸結合性タンパク質」を用いた。これは、ウシ鼻中隔軟骨から塩酸グアニジン抽出したコアタンパク質をトリプシン消化後、アフィニティークロマトグラフィーにより精製したものを、N−ヒドロキシスクシンイミドビオチンにより標識したものである。
【0027】
(3)正常アグリカン
正常アグリカンの標準品として、生化学工業株式会社製のウシ軟骨プロテオグリカン(ウシの正常アグリカン)を使用した。
【0028】
実施例1
本発明測定方法による正常アグリカンの測定
(1)上記抗体をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2〜7.5、二価イオン不含)〔以下、「PBS(−)」ということもある。〕で20μg/mLに希釈し、この溶液50μL(1μg/ウェル)ずつを96ウェルのイムノプレート(ヌンク社製;商品名マキシソープ)の各ウェルに加え、4℃で16時間保存することにより、均一に固着させた。
(2)このプレートをPBS(−)で2回洗浄し、ブロッキング物質として3%ウシ血清アルブミン(BSA;生化学工業株式会社販売)を含むPBS(−)溶液を加えて、室温で2時間静置した。
次いで、このプレートを洗浄液〔0.05%トゥイーン20(和光純薬工業株式会社製)を含むPBS(−)〕で3回洗浄後、1%BSAを含むPBS(−)(以下、「反応希釈液」という。)で希釈したウシ正常アグリカン100,10,1,0.1または0.01μg/mlの濃度のもの(以下、「正常アグリカン標準溶液」ということもある。)を添加し、37℃で1時間反応させた。
上記の溶液を除去し、抗KS抗体が固着されたプレートには反応希釈液で希釈した5μg/mlのサメ鰭由来ケラタン硫酸50μlをウェルに添加し、抗CS抗体が固着されたプレートには反応希釈液で希釈した0、1、5または10μg/mlのコンドロイチン硫酸D(生化学工業株式会社製)50μlをウェルに添加し、37℃で60分間静置することにより、未反応の抗体をブロッキングした。
このプレートを前記洗浄液にて3回洗浄し、反応希釈液で希釈したビオチン標識−ヒアルロン酸結合性タンパク質(生化学工業株式会社販売)を終濃度1μg/mlで添加し、37℃で60分間静置して反応させた。
このプレートを前記洗浄液で3回洗浄し、反応希釈液で5000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Jackson社製、生化学工業株式会社販売)50μlを加え、37℃で30分間静置して反応させた。プレートを前記洗浄液で3回洗浄後、ペルオキシダーゼの基質としてテトラメチルベンジジン溶液(モス社製:以下、「TMB」と略す。)を50μl 加え、37℃で15分間反応させ、発色させた。
発色後、プレートに1N−HC1を50μl 加えて反応を停止させ、TMBの分解による着色液の波長450nmでの吸光度(対照波長630nm)(A450/630)をウェルリーダーSK601(生化学工業株式会社販売)にて測定した。5D4の結果を図1に、CS56の結果を図2に、LY111の結果を図3に、MO−225の結果を図4に、MC21Cの結果を図5に、2−B−1の結果を図6にそれぞれ示す。
図1〜図3の結果から、5D4、CS56およびLY111を固着させた固相を用いた場合には検量線が得られ、およそ0.1〜10μg/mLの範囲で定量が可能であることがわかる。この結果から、本発明方法によれば、正常アグリカンを高感度に、定量性・再現性よく測定できることが示された。
これに対し、図4〜図6からわかるように、抗CS抗体であるMO−225およびMC21C並びに抗プロテオグリカンコアタンパク質抗体である2−B−1を固着させた固相を用いた場合は、検量線が得られず、本発明における正常アグリカンの測定には向かないことが示された。
なお図1〜図3の結果からわかるように、正常アグリカンの検量線は、ブロッキングに使用したコンドロイチン硫酸Dの濃度によって影響を受けなかった。
【0029】
実施例2
ヒアルロン酸 ケラタン硫酸、ヒアルロニダーゼおよびケラタナーゼによる影響
反応希釈液で希釈した種々の濃度のHAおよびKSを各々実施例1の方法(抗体は5D4を使用)で測定し、本発明測定方法の特異性を検討した。また実施例1の方法に従い、正常アグリカン標準溶液と10mU/ウェルのヒアルロニダーゼSD(生化学工業株式会社販売)または5mU/ウェルのケラタナーゼII(生化学工業株式会社販売)をウェルに添加し37℃で60分間反応させ、本発明測定方法への影響を検討した。
HAを測定した結果を図7に、KSを測定した結果を図8に、ヒアルロニダーゼSDによる影響を調べた結果を図9に、ケラタナーゼIIによる影響を調べた結果を図10にそれぞれ示す。
これらの結果から、本発明測定方法はHAまたはKS単独では反応せず、また、ヒアルロニダーゼ、ケラタナーゼ添加により阻害をうけることから、KSを分子内に含み、HAと会合している正常アグリカンを特異的に測定していることが示された。 本発明方法では、ヒアルロニダーゼ処理や、高速液体クロマトグラフィー等による分析を必要としないので、簡便、迅速かつ安価に正常アグリカンを測定できる。
【0030】
実施例3
関節炎の軟骨中の正常アグリカンの定量
健常ウサギ(10例)、パパイン惹起関節炎ウサギ(10例)の左右の大腿骨および左右の脛骨の関節軟骨中に存在する正常アグリカンの定量を実施例1に記載した方法にて行った。関節軟骨は凍結乾燥後、グアニジン塩酸を含む抽出液で処理した。結果を図11に示した。図11より、パパイン惹起関節炎ウサギ軟骨中の正常アグリカン量の平均値は、健常ウサギに比べ、有意に低値を示した。また、健常ウサギおよびパパイン惹起関節炎ウサギの関節液中の正常アグリカンも同様に測定したところ、同様の結果が得られた。
【0031】
実施例4
本発明測定キットおよび本発明検出キット
下記の構成からなる本発明測定キットおよび本発明検出キットを作成した。
1.CS56が固着された96ウェルのイムノプレート 1枚
2.正常アグリカン標準溶液 1セット
3.ビオチン標識−ヒアルロン酸結合性タンパク質 1本
4.ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン 1本
5.TMB溶液 1本
6.反応停止液(1N HCl) 1本
また、上記1のイムノプレートを、5D4が固着された96ウェルのイムノプレート又はLY111が固着された96ウェルのイムノプレートに置換した上記本発明測定キットおよび本発明検出キットを作成した。
【0032】
【発明の効果】
本発明測定方法は、正常アグリカンを特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速かつ安価に測定できる方法であり、非常に実用性が高い方法である。また本発明検出方法は本発明測定方法を応用したものであり、関節軟骨基質の異常性が極めて簡便に検出できるので、非常に実用性が高い方法である。また本発明測定キットおよび本発明検出キットは、本発明測定方法および本発明検出方法を利用するキットであるので、正常アグリカンを特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速に測定でき、かつ安価に提供できる。
本発明は軟骨疾患の状態の把握等のみならず、関節疾患に関する医薬品開発の有用な評価方法としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】5D4を固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図2】CS56を固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図3】LY111を固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図4】MO−225を固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図5】MC21Cを固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図6】2−B−1を固着させたプレートを用いた場合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図7】本発明測定方法を用いた、HAの測定結果を示す。
【図8】本発明測定方法を用いた、KSの測定結果を示す。
【図9】本発明測定方法における、ヒアルロニダーゼの影響を示す。
【図10】本発明測定方法における、ケラタナーゼの影響を示す。
【図11】健常ウサギ軟骨抽出液およびパパイン惹起関節炎関節軟骨抽出液中の正常アグリカンの濃度を示す。

Claims (8)

  1. 下記の工程を少なくとも含むことを特徴とする検体中の正常アグリカンの測定方法。
    工程1:抗ケラタン硫酸抗体およびコンドロイチン硫酸Aを抗原とするかまたはコンドロイチン硫酸Aに反応性を有する抗コンドロイチン硫酸抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形成させる工程。
    工程2:前記固相に、さらにヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させる工程。
    工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合体を検出する工程。
  2. 上記の抗ケラタン硫酸抗体が、5D4である請求項1の測定方法。
  3. 上記のコンドロイチン硫酸Aを抗原とするかまたはコンドロイチン硫酸Aに反応性を有する抗コンドロイチン硫酸抗体が、CS56およびLY111からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体である請求項1または2の測定方法。
  4. 上記のヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質が、標識物質で標識されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの測定方法。
  5. 上記のヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質が、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来のタンパク質である請求項1〜4のいずれかの測定方法。
  6. 下記の工程を少なくとも含むことを特徴とする関節軟骨基質の異常性を検出する方法。
    工程1:請求項1〜5のいずれかの測定方法によって、関節液中の正常アグリカンを測定する。
    工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。
  7. 下記の(A)、(B)を少なくとも含むことを特徴とする正常アグリカン測定用キット。
    (A)抗ケラタン硫酸抗体およびコンドロイチン硫酸Aを抗原とするかまたはコンドロイチン硫酸Aに反応性を有する抗コンドロイチン硫酸抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相。
    (B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質。
  8. 関節軟骨基質の異常性の検出キットである請求項7の正常アグリカン測定用キット。
JP28493798A 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用 Expired - Fee Related JP4124526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28493798A JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28493798A JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000111553A JP2000111553A (ja) 2000-04-21
JP4124526B2 true JP4124526B2 (ja) 2008-07-23

Family

ID=17685007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28493798A Expired - Fee Related JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4124526B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1556781A (zh) * 2002-04-28 2004-12-22 小出正文 多孔陶瓷及其制造方法
US20070259380A1 (en) * 2004-05-20 2007-11-08 Kyoichi Sumida Method for Measuring Hyaluronic Acid Using Hyaluronic Acid Binding Protein
JP2020165937A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立大学法人弘前大学 プロテオグリカンの測定方法、評価方法および測定用キット
CN114217078A (zh) * 2021-12-23 2022-03-22 西安依朵生物科技有限公司 一种检测聚集蛋白聚糖的试纸条、试剂盒及检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000111553A (ja) 2000-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3694894B2 (ja) 正常アグリカンの測定法および測定用キット
JPH0684971B2 (ja) 軟骨組織異常の診断法
US6210902B1 (en) Estimation of the fragmentation pattern of collagen in body fluids and the diagnosis of disorders associated with the metabolism of collagen
US20070184504A1 (en) Assay for anti-INGAP antibodies
JP4372680B2 (ja) 抗アシアロガングリオシド抗体の測定による敗血症の診断方法
US6372442B1 (en) Method of characterizing the degradation of type II collagen
JP4124526B2 (ja) 正常アグリカン測定法とその応用
CN109725158A (zh) 多肽sle2018-v001在诊断***性红斑狼疮试剂盒中的应用
JP3976848B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
JP3698563B2 (ja) グリコサミノグリカンの測定方法及び測定キット
US5869273A (en) Chondroitin sulfate as a marker of bone resorption
US9097731B2 (en) Method and kit for the detection of heparin-dependent antibodies and the diagnosis of immune or autoimmune pathologies potentiated by heparin, such as heparin-induced thrombocytopenia
FI97649B (fi) Diagnostinen reagenssi nivelreuman diagnosoinnissa käytettäväksi
JP4217716B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
JP4217717B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
JP3889463B2 (ja) アガラクトIgGの測定法および測定キット
JP3768165B2 (ja) 抗カルパスタチン抗体の測定法及び測定キット
JP3859677B2 (ja) 関節情報の判定方法および正常関節と病態関節の識別方法
JP3308027B2 (ja) 一又はそれより多い被分析物質の免疫学的測定のための診断方法
JP3665698B2 (ja) 慢性関節リウマチ用マーカーとしての使用および慢性関節リウマチ診断用免疫試薬
JP2024046503A (ja) 細胞外小胞に含まれるアルカリフォスファターゼの活性を測定する方法、キャリブレータ及び結合体
JP3909732B2 (ja) 肝疾患又は慢性関節リウマチの検出方法並びにこれらの疾患の診断キット
WO2013035727A1 (ja) 光架橋剤と分子プローブを用いた糖鎖の検出方法
EP2917730A1 (en) Collagen iv binding assay for the detection of collagen vii
JP2006250862A (ja) 妊娠中毒症の検知方法及び検知キット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070703

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120516

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130516

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140516

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees