JP2000111553A - 正常アグリカン測定法とその応用 - Google Patents

正常アグリカン測定法とその応用

Info

Publication number
JP2000111553A
JP2000111553A JP10284937A JP28493798A JP2000111553A JP 2000111553 A JP2000111553 A JP 2000111553A JP 10284937 A JP10284937 A JP 10284937A JP 28493798 A JP28493798 A JP 28493798A JP 2000111553 A JP2000111553 A JP 2000111553A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
normal aggrecan
aggrecan
solid phase
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10284937A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4124526B2 (ja
Inventor
Satoshi Miyauchi
聡 宮内
Hiroko Yoshida
裕子 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP28493798A priority Critical patent/JP4124526B2/ja
Publication of JP2000111553A publication Critical patent/JP2000111553A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4124526B2 publication Critical patent/JP4124526B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正常アグリカンの極めて実用的な測定方法、
および極めて実用的な関節軟骨基質の異常性の検出方法
を提供すること。 【解決手段】 下記の工程を少なくとも含むことを特徴
とする検体中の正常アグリカンの測定方法。工程1:抗
ケラタン硫酸抗体(例、5D4)および抗コンドロイチ
ン硫酸抗体(例、CS56、LY111)からなる抗体
群から選ばれる1または2以上の抗体が固着された固相
に検体を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−
ヒアルロン酸」からなる複合体を形成させる工程。工程
2:前記固相に、さらにヒアルロン酸と結合能を有する
タンパク質(好ましくは標識物質で標識されている。
例、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来)を接触
させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−ヒアルロン酸
−ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質」からなる
サンドイッチ状複合体を形成させる工程。上記の測定方
法を利用する関節軟骨基質の異常性を検出する方法およ
び関節軟骨基質の異常性の検出キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒアルロン酸に会
合能を有するアグリカン(正常アグリカン)の測定方
法、より詳細には正常アグリカンの免疫測定方法および
その応用(関節軟骨基質の異常性を検出する方法および
正常アグリカン測定用キット)に関する。
【0002】
【従来の技術】軟骨中のプロテオグリカンは「アグリカ
ン」とよばれており、コアタンパク質にコンドロイチン
硫酸(以下、「CS」ということもある。)およびケラ
タン硫酸(以下、「KS」ということもある。)が結合
した構造を有している。アグリカンは、通常、軟骨基質
においてヒアルロン酸(以下、「HA」ということもあ
る。)と会合し、巨大な会合体を形成している。このア
グリカンのHAとの会合能は、軟骨基質の分解や変性に
伴って低下することが知られている。アグリカンの分解
物は関節液にも存在しており、軟骨あるいは関節液中の
アグリカンのHAとの会合能の低下が、軟骨基質の異常
性の指標として有用であることも知られている(WO9
5/22765号公報)。
【0003】本明細書では、HAと会合能を有するアグ
リカンを「正常アグリカン」、HAと会合能を有さない
アグリカンを「異常アグリカン」、正常アグリカンと異
常アグリカンを合わせて、単に「アグリカン」という。
なお本明細書では、関節液中に存在するアグリカンの分
解物も「アグリカン」という用語に包含される。以下、
本発明に最も近い技術について、文献名を挙げて説明す
る。
【0004】米国特許第5,185,245号には、抗K
S抗体または抗CS抗体を固相に固着させ、これに検体
(関節液)を接触させ、さらに標識した抗KS抗体または
抗CS抗体を接触させることにより、「抗CS抗体(ま
たは抗KS抗体)−プロテオグリカン−抗CS抗体(抗K
S抗体)」からなるサンドイッチ状複合体を形成させ、
これを検出することによる関節液中のプロテオグリカン
の検出方法、および関節破壊の検出方法等が記載されて
いる。また、プロテオグリカンのグリコサミノグリカン
成分に対する抗体が固着された固相を構成成分として含
む、体液中のプロテオグリカンの検出キットが記載され
ている。しかしながら、正常アグリカンを異常アグリカ
ンと区別して測定する思想、HAと結合能を有するタン
パク質を用いること、および特定の抗体(5D4、CS
56およびLY111からなる群から選ばれる1または
2以上の抗体)が固着された固相を用いることについて
は記載されていない。
【0005】WO95/22765号公報には、検体中
の正常アグリカンと会合したHAおよび遊離のHAをヒ
アルロニダーゼ等により分解または除去し、得られた処
理検体を正常アグリカンが結合または吸着できる固相
(例えばHAを結合させた固相)に接触させ、該固相に
結合または吸着した正常アグリカンを検出する方法が記
載されている。また固相に結合または吸着した正常アグ
リカンの検出には、抗CS抗体や抗KS抗体を使用する
ことができる旨、また抗CS抗体として具体的には、C
S−56、MO−225、MC21C、S54C、3B
3が記載されており、抗KS抗体として具体的には、5
D4が記載されている。またこの方法で正常アグリカン
を測定することにより、関節炎の病状が把握できる旨が
記載されている。
【0006】しかしながら、特定の抗体(5D4、CS
56およびLY111からなる群から選ばれる1または
2以上の抗体)が固着された固相を用いること、および
ヒアルロン酸と結合能を有するタンパク質を用いること
については開示がない。なおこの方法では、ヒアルロニ
ダーゼ等の試薬が必要であり、ヒアルロニダーゼ処理の
ステップ等が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】正常アグリカンを、多
くの装置や試薬(例えばヒアルロニダーゼ等)を用いる
ことなく、特異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、
簡便、迅速かつ安価に測定できる方法が提供できれば、
正常アグリカンの測定法として極めて実用性が高く、関
節軟骨基質の異常性の検出も極めて容易になり、このよ
うな測定方法および測定キットが望まれていた。すなわ
ち本発明は、正常アグリカンの極めて実用的な測定方
法、および極めて実用的な関節軟骨基質の異常性の検出
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の抗体が固着され
た固相を用いることにより、正常アグリカンが極めて特
異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速か
つ安価に測定できる方法を見いだし、またこの方法によ
り関節軟骨基質の異常性が極めて簡便に検出できること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、下記の工程を少なくと
も含むことを特徴とする検体中の正常アグリカンの測定
方法(以下、「本発明測定方法」と略称することもあ
る。)を要旨とする。 工程1:抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫
酸抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗
体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体
−正常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形
成させる工程。 工程2:前記固相に、さらにヒアルロン酸と結合能を有
するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグ
リカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有する
タンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させ
る工程。 工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合
体を検出する工程。
【0010】上記の抗ケラタン硫酸抗体は、好ましくは
5D4であり、上記の抗コンドロイチン硫酸抗体が、好
ましくはCS56およびLY111からなる抗体群から
選ばれる1または2以上の抗体であり、本発明は、好ま
しくは上記工程1が、5D4、CS56およびLY11
1からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が
固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体−正
常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形成さ
せる工程であることを特徴とする、本発明測定方法を要
旨としている。
【0011】上記のヒアルロン酸と結合能を有するタン
パク質が、標識物質で標識されていることを特徴とし、
本発明は、好ましくは上記の工程2が前記固相に、さら
に標識物質で標識されているヒアルロン酸と結合能を有
するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグ
リカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有する
タンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させ
る工程であることを特徴とする、本発明測定方法を要旨
としている。上記のヒアルロン酸と結合能を有するタン
パク質が、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来の
タンパク質であり、本発明は、好ましくは上記の工程2
が前記固相に、さらに軟骨プロテオグリカンコアタンパ
ク質由来の、あるいは標識物質で標識されている軟骨プ
ロテオグリカンコアタンパク質由来のヒアルロン酸と結
合能を有するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−
正常アグリカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能
を有するタンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を
形成させる工程であることを特徴とする、本発明測定方
法を要旨としている。
【0012】また本発明は、下記の工程を少なくとも含
むことを特徴とする関節軟骨基質の異常性を検出する方
法。(以下、「本発明検出方法」ともいう)を要旨とす
る。 工程1:上記の本発明測定方法によって、関節液中の正
常アグリカンを測定する。 工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカ
ン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。
【0013】また本発明は、下記の(A)、(B)を少
なくとも含むことを特徴とする正常アグリカン測定用キ
ット(以下、「本発明測定キット」と略称することもあ
る。)を要旨としている。 (A)抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫酸
抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体
が固着された固相。 (B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を
有するタンパク質。上記の正常アグリカン測定用キット
が、関節軟骨基質の異常性の検出キットであり、本発明
は、本発明測定キットからなる、関節軟骨基質の異常性
の検出キット(以下、「本発明検出キット」と略称する
こともある。)を要旨としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。 <1>本発明測定方法 本発明測定方法は、下記の工程を少なくとも含むことを
特徴とする、検体中の正常アグリカンの測定方法であ
る。 工程1:下記の抗体群から選ばれる1または2以上の抗
体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体
−正常アグリカン−HA」からなる複合体を形成させる
工程。 抗体群:抗KS抗体、抗CS抗体 工程2:前記固相に、さらにHAと結合能を有するタン
パク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグリカン−
HA−HAと結合能を有するタンパク質」からなるサン
ドイッチ状複合体を形成させる工程。 工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合
体を検出する工程。
【0015】以下、本発明測定方法を各工程ごとに詳述
する。 (1) 工程1 (1)−1 抗KS抗体および抗CS抗体 (1)−1−1 抗KS抗体 抗KS抗体は、KSに対して反応する抗体である限りに
おいて特に限定されず、またモノクローナル抗体であっ
てもポリクローナル抗体であっても良いが、モノクロー
ナル抗体であることが好ましく、その中でも下記のモノ
クローナル抗体であることが好ましい。 (A)5D4 5D4〔J.Biol.Chem.,258,8848-(1
983)、Eur.J.Biochem.,157,385-
391(1986)〕は、ヒト関節軟骨プロテオグリカ
ンモノマーをコンドロイチナーゼABCで消化して得ら
れるプロテオグリカンコアタンパク質を抗原とし、これ
をマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であ
り、下記の反応性を有する;角膜と軟骨のKSと反応す
る。またヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、サメの
硝子軟骨から調製したプロテオグリカンモノマーと反応
するが、デルマタン硫酸(以下、「DS」ということも
ある。)、ヘパリン(以下、「Hep」ということもあ
る。)、ヘパラン硫酸(以下、「HS」ということもあ
る。)、HAとは反応しない。なお5D4は、生化学工
業株式会社から販売されている。
【0016】(1)−1−2 抗CS抗体 抗CS抗体は、CSに対して反応する抗体である限りに
おいて特に限定されず、またモノクローナル抗体であっ
てもポリクローナル抗体であっても良いが、モノクロー
ナル抗体であることが好ましく、その中でも下記のモノ
クローナル抗体であることが好ましい。 (B)CS56 CS56〔Exp.Cell Res.,158,321-
(1985)、J.Cell Biol.,91,205-
(1981)、Biochem.Biophys.Ac
ta.,694,375-(1982)、J.Biol.Ch
em.,255,7102-(1980)、Int.Re
v.Cytol.,53,65-(1978)〕は、ニワト
リ砂嚢線維芽細胞を抗原とし、これをマウスに免疫して
得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を有
する;ネイティブなCSプロテオグリカンのグリコサミ
ノグリカン部分に特異的で、コンドロイチン硫酸A(C
S−A)とコンドロイチン硫酸C(CS−C)に反応す
るが、DSとは反応しない。なおCS56は、生化学工
業株式会社から販売されている。 (C)LY111 LY111は、CS−Aを抗原とし、これをマウスに免
疫して得られるモノクローナル抗体である。なおLY1
11は、生化学工業株式会社から販売されている。
【0017】(1)−2 固相 抗KS抗体や抗CS抗体を固着する固相は、抗体を固着
させることができ、かつ、水、検体または測定反応液に
不溶性である限りにおいて特に限定されない。固相の形
状としては、プレート(例えばマイクロプレートのウェ
ル等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル等を例示
することができる。固相の材質としては、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミド等
が例示される。これらの中でも、ポリスチレンを材質と
したプレートが好ましい。これらの固相に抗KS抗体お
よび/または抗CS抗体を固着させる方法としては、物
理的吸着法、共有結合法、包括法等固定化酵素の調製法
として一般的な方法(固定化酵素、1975年、講談社
発行、第9〜75頁参照)を応用することができる。こ
れらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡便かつ頻用さ
れていることから好ましい。物理的吸着法として具体的
には、例えば次の方法を挙げることができる;抗KS抗
体および/または抗CS抗体をpH7〜9程度の緩衝液
(例えばリン酸緩衝液、リン酸緩衝食塩液(PBS)、
炭酸緩衝液等)に溶解して固相(例えばマイクロプレー
ト)に加え、37℃程度で1〜2時間保存するか、4℃
程度で一晩保存して固着させる。また、抗KS抗体およ
び/または抗CS抗体を固着させた固相の表面には、こ
れらが固着していない表面部分が残存している場合があ
り、そこに検体中のアグリカンや他の分子種が固着する
と正確な測定結果が得られなくなるおそれがある。よっ
て、検体を固相と接触させる前にブロッキング物質を添
加して抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着して
いない部分を被覆しておくことが好ましい。このような
ブロッキング物質としては、血清アルブミン、カゼイ
ン、スキムミルク、ゼラチン等が挙げられ、また、ブロ
ッキング物質として市販されているものを使用すること
もできる。ブロッキングの方法として具体的には、例え
ば次の方法を挙げることができる;ブロッキング物質
(血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン
等)を添加して、37℃程度で30分〜2時間保存する
か、常温(15〜25℃)で1〜2時間保存する。
【0018】(1)−3 検体 検体は、測定の対象物質である正常アグリカンが含有さ
れている、あるいは正常アグリカンが含有されている可
能性がある検体である限りにおいて特に限定されない。
また検体は、予め精製されていなくてもよい。検体とし
て具体的には、例えば関節液、軟骨の抽出液、血液、血
清、血漿、尿等が例示される。抗KS抗体および/また
は抗CS抗体が固着された固相への検体の接触方法は、
当該固相と検体とが接触する限りにおいて特に限定され
ない。例えば、抗KS抗体および/または抗CS抗体が
固着された固相に検体を添加して接触させても良く、検
体に抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された
固相を添加して接触させても良い。なおこれら両者を接
触させた後、抗KS抗体および/または抗CS抗体と検
体中の正常アグリカンとを十分に結合させるために、例
えば0〜45℃、好ましくは37℃で1時間程度反応さ
せることが好ましい。また反応後、固相と液相の十分な
分離または固相の洗浄、例えば、固相の表面を洗浄液で
洗浄して非特異吸着物や、反応しなかった検体中の成分
を除去することが好ましい。洗浄液としては、例えば、
トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性
界面活性剤を添加した緩衝液(例えばリン酸緩衝液、P
BS、トリス塩酸緩衝液等)を用いることが好ましい。
抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された固相
に検体を接触させることにより、検体中に含有されてい
るアグリカンと抗KS抗体および/または抗CS抗体が
複合体を形成する。なお、正常アグリカンはHAと会合
能を有しており、関節液等の検体中では通常「正常アグ
リカン−HA」からなる複合体として存在しているの
で、抗KS抗体および/または抗CS抗体が固着された
固相に検体を接触させることにより、「固相固着抗体−
正常アグリカン−HA」からなる複合体が形成される。
また、この工程では「固相固着抗体−異常アグリカン」
からなる複合体も形成される。なお、検体中の正常アグ
リカンが「正常アグリカン−HA」からなる複合体とし
て存在していない場合は、検体に分子量数十万以上のH
Aを添加して「正常アグリカン−HA」からなる複合体
を形成させておく必要がある。
【0019】(2) 工程2 (2)−1 HAと結合能を有するタンパク質 HAと結合能を有するタンパク質は、HAに結合する能
力を有するタンパク質である限りにおいて特に限定され
ないが、HA結合性のプロテオグリカン(例えば、軟骨
プロテオグリカン、軟骨プロテオグリカンのトリプシン
消化物、軟骨プロテオグリカンのコンドロイチナーゼA
BC消化物等)、プロテオグリカンのコアタンパク質
(例えば、軟骨プロテオグリカンのコアタンパク質
等)、リンクプロテイン、ヒアルロネクチン、CD4
4、これらのタンパク質のHA結合部位を含む部分タン
パク質、あるいは該部分タンパク質と他のタンパク質と
の融合タンパク質等が挙げられるが、特に軟骨プロテオ
グリカンのトリプシン消化物、さらにはウシ鼻軟骨のプ
ロテオグリカンのトリプシン消化物が好ましい。なお、
ウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物につ
いては、「ヒアルロン酸バインディングプロテイン」と
して生化学工業株式会社から販売されている。また、H
Aと結合能を有するタンパク質は標識物質で標識されて
いることが、工程3において検出が容易であることから
好ましい。HAと結合能を有するタンパク質の標識に使
用される標識物質としては、酵素(ペルオキシダーゼ、
アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ル
シフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光
色素(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)
など〕、化学発光物質(ルミノールなど)、ビオチン、
アビジン(ストレプトアビジンを含む)等が挙げられる
が、通常タンパク質の標識に可能なものであれば、特に
限定されない。標識方法は、標識物質に適した公知の方
法、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋
法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エス
テル法等〔「タンパク質の化学(下)」、東京化学同
人、1987年発行参照〕等から適宜選択することがで
きる。例えば標識物質としてビオチンを使用する場合
は、ビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avi
din-Biotin Chemistry:A Han
dbook,p57−63,PIERCE CHEMIC
AL COMPANY,1994年発行参照)、またフル
オレセインイソチオシアネートを使用する場合は特公昭
63−17843号公報記載の方法等から適宜選択でき
る。なお、ビオチンで標識されたウシ鼻軟骨のプロテオ
グリカンのトリプシン消化物については、「ビオチン標
識ヒアルロン酸バインディングプロテイン」として生化
学工業株式会社から販売されている。前記固相(「固相
固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる複合体が形
成されたもの)にHAと結合能を有するタンパク質を接
触させることにより、「固相固着抗体−正常アグリカン
−HA−HAと結合能を有するタンパク質」からなるサ
ンドイッチ状複合体が形成される。「固相固着抗体−異
常アグリカン」からなる複合体には、HAと結合能を有
するタンパク質が結合しないため、このようなサンドイ
ッチ状複合体は形成されない。なおこれら両者を接触さ
せた後、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」から
なる複合体とHAと結合能を有するタンパク質とを十分
に結合させるために、例えば0〜45℃、好ましくは3
7℃で1時間程度反応させることが好ましい。また反応
後、固相と液相の十分な分離または固相の洗浄、例え
ば、固相の表面を洗浄液で洗浄して非特異吸着物や、反
応しなかった上記タンパク質を除去することが好まし
い。洗浄液としては、例えば、トゥイーン(Twee
n)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した
緩衝液を用いることが好ましい。なお、HAと結合能を
有するタンパク質として、軟骨プロテオグリカンのよう
にKSやCSが結合しているタンパク質を用いる場合に
は、「固相固着抗体−正常アグリカン−HA」からなる
複合体を形成させた後に、前記固相にCSおよび/また
はKSを接触させ、未反応の抗体(正常アグリカンとの
複合体を形成していない抗体)をブロッキングしておく
ことが好ましい。
【0020】(3) 工程3 工程3は、工程2において形成されたサンドイッチ状複
合体を検出する工程である。検出は、HAと結合能を有
するタンパク質に特異的に反応する抗体を用いて行って
もよく、また工程2においてHAと結合能を有するタン
パク質を標識物質で標識したものを用いた場合には、用
いた標識物質に応じて当業者が適宜検出方法を選択する
ことができる。例えば、標識物質にビオチンを使用する
場合には、ストレプトアビジン等を結合させた酵素を添
加して、このストレプトアビジン等を介してペルオキシ
ダーゼ等の酵素を標識物質としてビオチンを含む複合体
へ結合させ、該酵素の基質としてテトラメチルベンジジ
ン等の発色基質および過酸化水素水を加え、酵素反応に
よる生成物の発色の度合いを吸光度の変化で測定する方
法等を挙げることができる。また、蛍光物質や化学発光
物質を使用する場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を
測定する方法等が挙げられる。なお、「ヒアルロン酸と
結合能を有するタンパク質が、標識物質で標識されてい
る」とは、タンパク質が直接標識されていることのみを
意味するのではなく、前記のように標識された抗体やス
トレプトアビジン等で最終的に標識されうることも意味
する。本発明測定方法において、検体中のアグリカンの
濃度は、予め既知濃度のアグリカン標準液を用いてアグ
リカン濃度と標識物質の検出結果(例えば吸光度)との
関係について検量線を作成しておき、未知濃度の検体に
ついての検出結果と前記検量線とを用いることにより求
めることができる。本発明方法によれば、抗KS抗体お
よび/または抗CS抗体と、ヒアルロン酸と結合能を有
するタンパク質を使用することにより、ヒアルロン酸と
結合能を有するアグリカン(正常アグリカン)を、異常
アグリカンから分別し検出することができる。本発明測
定方法では、後述の実施例からも明らかな通り、ヒアル
ロニダーゼ等の試薬や高速液体クロマトグラフィー等の
装置を使用せずに正常アグリカンの測定が可能であるこ
とから、簡便、迅速かつ安価に測定することができる。
また本発明測定方法は、正常アグリカンを特異的かつ高
感度に、定量性・再現性よく測定することができる。
【0021】<2>本発明検出方法 本発明検出方法は、下記の工程を少なくとも含む、関節
軟骨基質の異常性を検出する方法である。 工程1:請求項1〜5のいずれか1項記載の測定方法に
よって、関節液中の正常アグリカンを測定する。 工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカ
ン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。以
下、本発明検出方法を各工程ごとに詳述する。
【0022】(1) 工程1 工程1は、上記<1>の本発明測定方法と全く同様であ
るが、本発明検出方法においては検体として関節液を用
いる。なお、軟骨の抽出液を用いてもよい。 (2) 工程2 工程2は、工程1により得られた関節液中の正常アグリ
カン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程で
ある。なお、「正常アグリカン量」は、工程1で測定さ
れた正常アグリカン量の測定値そのものであってもよ
く、また関節液中のアグリカン量に対する、工程1で測
定された正常アグリカン量の割合であってもよい。関節
液中のアグリカン量は、例えば米国特許第5,185,
245号等に記載されている方法等により測定すること
ができる。関節軟骨基質の異常性とは、関節液中の正常
アグリカン量の減少を伴う異常性である限りにおいて特
に限定されず、例えば関節軟骨の変性や破壊等を伴う疾
患、より具体的には変形性関節症、慢性関節リウマチ、
外傷性関節炎、痛風等が例示される。このような疾患で
は、関節液中の正常アグリカン量が健常なヒト(関節軟
骨基質の異常性がないヒト)の関節液中の正常アグリカ
ン量に比して有意に減少するので、工程1で測定された
正常アグリカン量が健常人の関節液中の正常アグリカン
量に比して少ない場合には、「関節軟骨基質の異常性が
ある」、もしくは「関節軟骨基質に異常性がある可能性
が高い」と関連づけることができる。工程1で測定され
た正常アグリカン量が健常人の関節液中の正常アグリカ
ン量と同等であれば、「関節軟骨基質の異常性がな
い」、もしくは「関節軟骨基質に異常性がある可能性は
低い」と関連づけることができる。また本発明検出方法
においては、関節軟骨基質の異常性の有無のみでなく、
当該異常性の程度の検出も含まれる。例えば個人の関節
液中の正常アグリカン量を工程1により定期的に測定
し、正常アグリカン量が減少傾向にある場合には「関節
軟骨基質の異常性が進行している」、もしくは「関節軟
骨基質に異常性が進行している可能性が高い」と関連づ
けることができる。また工程1で測定された正常アグリ
カン量が増加傾向にある場合には、「関節軟骨基質の異
常性が改善方向にある」、もしくは「関節軟骨基質の異
常性が改善方向にある可能性が高い」と関連づけること
ができる。また工程1で測定された正常アグリカン量に
変化がない場合には、「関節軟骨基質の異常性(正常
性)に変化がない」、もしくは「関節軟骨基質の異常性
(正常性)に変化がない可能性が高い」と関連づけるこ
とができる。なお、関節軟骨基質の異常性の検出基準と
なる正常アグリカン量は、正常アグリカン標準品濃度と
標識物質の検出結果との関係について作成した検量線を
用いて求めた正常アグリカン濃度であっても良く、また
当該検量線を用いずに健常なヒト(関節軟骨基質の異常
性がないヒト)の関節液中の正常アグリカン量に対する
比であっても良い。
【0023】<3>本発明測定キット 本発明測定キットは、下記の構成を少なくとも含む、正
常アグリカン測定用キットである。 (A)下記抗体群から選ばれる1または2以上の抗体が
固着された固相 抗体群:抗ケラタン硫酸抗体、抗コンドロイチン硫酸抗
体 (B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を
有するタンパク質 (A)の固相および(B)のタンパク質についての説明
は、<1>本発明測定方法と同様である。本発明測定キ
ットは、上記(A)および(B)を少なくとも含む限り
において特に限定されず、さらに検量線作成のための標
準となる既知濃度の正常アグリカン標準品、標識物質の
検出試薬、HAと結合能を有するタンパク質を標識する
試薬、あるいはHAと結合能を有するタンパク質を検出
する試薬(標識された当該タンパク質に対する抗体等)
等を構成として加えることができる。また、これらの構
成の他に、前記ブロッキング物質、前記洗浄液、検体希
釈液、酵素反応停止液等が含まれていてもよい。これら
の構成は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時
に本発明測定方法に従って使えるキットとして保存して
おくことができる。本発明測定キットを用いた正常アグ
リカンの測定は、上記<1>の本発明測定方法に従って
行うことができる。
【0024】<4>本発明検出キット 本発明検出キットは、本発明測定キットからなる、関節
軟骨基質の異常性の検出キットである。本発明検出キッ
トの構成等の説明は、上記<3>の本発明測定キットと
同じである。本発明検出キットを用いた関節軟骨基質の
異常性の検出は、上記<2>の本発明検出方法に従って
行うことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
本実施例中で用いた抗体、HAに結合能を有するタンパ
ク質、および正常アグリカンについて説明する。 (1)抗体 (1−1)抗KS抗体として5D4を用いた。5D4の
特性等については前記した。 (1−2)抗CS抗体として、CS56、LY111、
MO−225およびMC21Cを用いた。CS56およ
びLY111の特性については前記した。MO−225
およびMC21Cの特性について以下に説明する。 MO−225:MO−225〔J.Biol.Chem.,
262,4146−4152(1987)、J.Bio
l.Chem.,264,8012−8018(198
9)〕は、鶏胚肢芽プロテオグリカンを抗原とし、これ
をマウスに免疫して得られるモノクローナル抗体であ
り、下記の反応性を有する;インタクトなCS鎖上の決
定基(D−グルクロン酸−2−硫酸(β1→3)−N−
アセチルガラクトサミン−6−硫酸の二糖構造(D−ユ
ニット))を認識し、D−ユニットの繰り返し構造が連
なったものはより強く反応する。なおMO−225は、
生化学工業株式会社から販売されている。 MC21C:MC21C〔Dev.Biol.,133,4
75-488(1989)、Differentiat
ion,43,37−50(1990)、Int.Dev.
Biol.,34,191-204(1990)〕は、成熟
ラット骨タンパク質を抗原とし、これをマウスに免疫し
て得られるモノクローナル抗体であり、下記の反応性を
有する;ラット、マウス、ニワトリ、サメ、ウシのイン
タクトなCS−Cと反応し、DS、ヘパラン硫酸(以
下、「HS」ということもある。)やKSとは反応しな
い。なおMC21Cは、生化学工業株式会社から販売さ
れている。 (1−3)抗プロテオグリカンコアタンパク質抗体とし
て、2−B−1を用いた。2−B−1の特性について以
下に説明する。2−B−1〔Histochemica
l J.,21,455−459(1989)〕は、ヒトの
ヨークサック腫瘍より調製したプロテオグリカンを抗原
として、これをマウスに免疫して得られるモノクローナ
ル抗体であり、下記の反応性を有する;プロテオグリカ
ンのコアタンパク質を認識する。成人の組織では、大動
脈の内膜、中膜が染色され、血管周囲および筋周囲の結
合組織には弱く反応し、一方、胎児では全ての組織にお
いて間質が強く染色される。癌組織では、胃癌、直腸
癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌等の全ての間質線維成分と反
応し、癌特有の間質像を示す。なお2−B−1は、生化
学工業株式会社から販売されている。
【0026】(2)HAに結合能を有するタンパク質 生化学工業株式会社から販売されている、「ビオチン標
識ヒアルロン酸結合性タンパク質」を用いた。これは、
ウシ鼻中隔軟骨から塩酸グアニジン抽出したコアタンパ
ク質をトリプシン消化後、アフィニティークロマトグラ
フィーにより精製したものを、N−ヒドロキシスクシン
イミドビオチンにより標識したものである。
【0027】(3)正常アグリカン 正常アグリカンの標準品として、生化学工業株式会社製
のウシ軟骨プロテオグリカン(ウシの正常アグリカン)
を使用した。
【0028】実施例1本発明測定方法による正常アグリカンの測定 (1)上記抗体をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2〜
7.5、二価イオン不含)〔以下、「PBS(−)」と
いうこともある。〕で20μg/mLに希釈し、この溶
液50μL(1μg/ウェル)ずつを96ウェルのイム
ノプレート(ヌンク社製;商品名マキシソープ)の各ウ
ェルに加え、4℃で16時間保存することにより、均一
に固着させた。 (2)このプレートをPBS(−)で2回洗浄し、ブロ
ッキング物質として3%ウシ血清アルブミン(BSA;
生化学工業株式会社販売)を含むPBS(−)溶液を加
えて、室温で2時間静置した。次いで、このプレートを
洗浄液〔0.05%トゥイーン20(和光純薬工業株式
会社製)を含むPBS(−)〕で3回洗浄後、1%BS
Aを含むPBS(−)(以下、「反応希釈液」とい
う。)で希釈したウシ正常アグリカン100,10,
1,0.1または0.01μg/mlの濃度のもの(以
下、「正常アグリカン標準溶液」ということもある。)
を添加し、37℃で1時間反応させた。上記の溶液を除
去し、抗KS抗体が固着されたプレートには反応希釈液
で希釈した5μg/mlのサメ鰭由来ケラタン硫酸50
μlをウェルに添加し、抗CS抗体が固着されたプレー
トには反応希釈液で希釈した0、1、5または10μg
/mlのコンドロイチン硫酸D(生化学工業株式会社
製)50μlをウェルに添加し、37℃で60分間静置
することにより、未反応の抗体をブロッキングした。こ
のプレートを前記洗浄液にて3回洗浄し、反応希釈液で
希釈したビオチン標識−ヒアルロン酸結合性タンパク質
(生化学工業株式会社販売)を終濃度1μg/mlで添
加し、37℃で60分間静置して反応させた。このプレ
ートを前記洗浄液で3回洗浄し、反応希釈液で5000
倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン
(Jackson社製、生化学工業株式会社販売)50
μlを加え、37℃で30分間静置して反応させた。プ
レートを前記洗浄液で3回洗浄後、ペルオキシダーゼの
基質としてテトラメチルベンジジン溶液(モス社製:以
下、「TMB」と略す。)を50μl 加え、37℃で
15分間反応させ、発色させた。発色後、プレートに1
N−HC1を50μl 加えて反応を停止させ、TMBの
分解による着色液の波長450nmでの吸光度(対照波長
630nm)(A450/630)をウェルリーダーS
K601(生化学工業株式会社販売)にて測定した。5
D4の結果を図1に、CS56の結果を図2に、LY1
11の結果を図3に、MO−225の結果を図4に、M
C21Cの結果を図5に、2−B−1の結果を図6にそ
れぞれ示す。図1〜図3の結果から、5D4、CS56
およびLY111を固着させた固相を用いた場合には検
量線が得られ、およそ0.1〜10μg/mLの範囲で定
量が可能であることがわかる。この結果から、本発明方
法によれば、正常アグリカンを高感度に、定量性・再現
性よく測定できることが示された。これに対し、図4〜
図6からわかるように、抗CS抗体であるMO−225
およびMC21C並びに抗プロテオグリカンコアタンパ
ク質抗体である2−B−1を固着させた固相を用いた場
合は、検量線が得られず、本発明における正常アグリカ
ンの測定には向かないことが示された。なお図1〜図3
の結果からわかるように、正常アグリカンの検量線は、
ブロッキングに使用したコンドロイチン硫酸Dの濃度に
よって影響を受けなかった。
【0029】実施例2ヒアルロン酸、ケラタン硫酸、ヒアルロニダーゼおよび
ケラタナーゼによる影響 反応希釈液で希釈した種々の濃度のHAおよびKSを各
々実施例1の方法(抗体は5D4を使用)で測定し、本
発明測定方法の特異性を検討した。また実施例1の方法
に従い、正常アグリカン標準溶液と10mU/ウェルの
ヒアルロニダーゼSD(生化学工業株式会社販売)また
は5mU/ウェルのケラタナーゼII(生化学工業株式会
社販売)をウェルに添加し37℃で60分間反応させ、
本発明測定方法への影響を検討した。HAを測定した結
果を図7に、KSを測定した結果を図8に、ヒアルロニ
ダーゼSDによる影響を調べた結果を図9に、ケラタナ
ーゼIIによる影響を調べた結果を図10にそれぞれ示
す。これらの結果から、本発明測定方法はHAまたはK
S単独では反応せず、また、ヒアルロニダーゼ、ケラタ
ナーゼ添加により阻害をうけることから、KSを分子内
に含み、HAと会合している正常アグリカンを特異的に
測定していることが示された。 本発明方法では、ヒア
ルロニダーゼ処理や、高速液体クロマトグラフィー等に
よる分析を必要としないので、簡便、迅速かつ安価に正
常アグリカンを測定できる。
【0030】実施例3関節炎の軟骨中の正常アグリカンの定量 健常ウサギ(10例)、パパイン惹起関節炎ウサギ(1
0例)の左右の大腿骨および左右の脛骨の関節軟骨中に
存在する正常アグリカンの定量を実施例1に記載した方
法にて行った。関節軟骨は凍結乾燥後、グアニジン塩酸
を含む抽出液で処理した。結果を図11に示した。図1
1より、パパイン惹起関節炎ウサギ軟骨中の正常アグリ
カン量の平均値は、健常ウサギに比べ、有意に低値を示
した。また、健常ウサギおよびパパイン惹起関節炎ウサ
ギの関節液中の正常アグリカンも同様に測定したとこ
ろ、同様の結果が得られた。
【0031】実施例4本発明測定キットおよび本発明検出キット 下記の構成からなる本発明測定キットおよび本発明検出
キットを作成した。 1.CS56が固着された96ウェルのイムノプレート 1枚 2.正常アグリカン標準溶液 1セット 3.ビオチン標識−ヒアルロン酸結合性タンパク質 1本 4.ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン 1本 5.TMB溶液 1本 6.反応停止液(1N HCl) 1本 また、上記1のイムノプレートを、5D4が固着された
96ウェルのイムノプレート又はLY111が固着され
た96ウェルのイムノプレートに置換した上記本発明測
定キットおよび本発明検出キットを作成した。
【0032】
【発明の効果】本発明測定方法は、正常アグリカンを特
異的かつ高感度に、定量性・再現性よく、簡便、迅速か
つ安価に測定できる方法であり、非常に実用性が高い方
法である。また本発明検出方法は本発明測定方法を応用
したものであり、関節軟骨基質の異常性が極めて簡便に
検出できるので、非常に実用性が高い方法である。また
本発明測定キットおよび本発明検出キットは、本発明測
定方法および本発明検出方法を利用するキットであるの
で、正常アグリカンを特異的かつ高感度に、定量性・再
現性よく、簡便、迅速に測定でき、かつ安価に提供でき
る。本発明は軟骨疾患の状態の把握等のみならず、関節
疾患に関する医薬品開発の有用な評価方法としても有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】5D4を固着させたプレートを用いた場合にお
ける正常アグリカンの測定結果を示す。
【図2】CS56を固着させたプレートを用いた場合に
おける正常アグリカンの測定結果を示す。
【図3】LY111を固着させたプレートを用いた場合
における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図4】MO−225を固着させたプレートを用いた場
合における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図5】MC21Cを固着させたプレートを用いた場合
における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図6】2−B−1を固着させたプレートを用いた場合
における正常アグリカンの測定結果を示す。
【図7】本発明測定方法を用いた、HAの測定結果を示
す。
【図8】本発明測定方法を用いた、KSの測定結果を示
す。
【図9】本発明測定方法における、ヒアルロニダーゼの
影響を示す。
【図10】本発明測定方法における、ケラタナーゼの影
響を示す。
【図11】健常ウサギ軟骨抽出液およびパパイン惹起関
節炎関節軟骨抽出液中の正常アグリカンの濃度を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程を少なくとも含むことを特徴
    とする検体中の正常アグリカンの測定方法。 工程1:抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫
    酸抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗
    体が固着された固相に検体を接触させ、「固相固着抗体
    −正常アグリカン−ヒアルロン酸」からなる複合体を形
    成させる工程。 工程2:前記固相に、さらにヒアルロン酸と結合能を有
    するタンパク質を接触させ、「固相固着抗体−正常アグ
    リカン−ヒアルロン酸−ヒアルロン酸と結合能を有する
    タンパク質」からなるサンドイッチ状複合体を形成させ
    る工程。 工程3:工程2において形成されたサンドイッチ状複合
    体を検出する工程。
  2. 【請求項2】 上記の抗ケラタン硫酸抗体が、5D4で
    ある請求項1の測定方法。
  3. 【請求項3】 上記の抗コンドロイチン硫酸抗体が、C
    S56およびLY111からなる抗体群から選ばれる1
    または2以上の抗体である請求項1または2の測定方
    法。
  4. 【請求項4】 上記のヒアルロン酸と結合能を有するタ
    ンパク質が、標識物質で標識されていることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかの測定方法。
  5. 【請求項5】 上記のヒアルロン酸と結合能を有するタ
    ンパク質が、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質由来
    のタンパク質である請求項1〜4のいずれかの測定方
    法。
  6. 【請求項6】 下記の工程を少なくとも含むことを特徴
    とする関節軟骨基質の異常性を検出する方法。 工程1:請求項1〜5のいずれかの測定方法によって、
    関節液中の正常アグリカンを測定する。 工程2:工程1により得られた関節液中の正常アグリカ
    ン量と、関節軟骨基質の異常性とを関連づける工程。
  7. 【請求項7】 下記の(A)、(B)を少なくとも含む
    ことを特徴とする正常アグリカン測定用キット。 (A)抗ケラタン硫酸抗体および抗コンドロイチン硫酸
    抗体からなる抗体群から選ばれる1または2以上の抗体
    が固着された固相。 (B)標識物質で標識された、ヒアルロン酸と結合能を
    有するタンパク質
  8. 【請求項8】 関節軟骨基質の異常性の検出キットであ
    る請求項7の正常アグリカン測定用キット。
JP28493798A 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用 Expired - Fee Related JP4124526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28493798A JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28493798A JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000111553A true JP2000111553A (ja) 2000-04-21
JP4124526B2 JP4124526B2 (ja) 2008-07-23

Family

ID=17685007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28493798A Expired - Fee Related JP4124526B2 (ja) 1998-10-07 1998-10-07 正常アグリカン測定法とその応用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4124526B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2003093197A1 (ja) * 2002-04-28 2005-09-08 小出 正文 多孔質セラミックス及びその製造方法
JPWO2005114186A1 (ja) * 2004-05-20 2008-03-27 和光純薬工業株式会社 ヒアルロン酸バインディングプロテインを用いたヒアルロン酸の測定方法
JP2020165937A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立大学法人弘前大学 プロテオグリカンの測定方法、評価方法および測定用キット
CN114217078A (zh) * 2021-12-23 2022-03-22 西安依朵生物科技有限公司 一种检测聚集蛋白聚糖的试纸条、试剂盒及检测方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2003093197A1 (ja) * 2002-04-28 2005-09-08 小出 正文 多孔質セラミックス及びその製造方法
JPWO2005114186A1 (ja) * 2004-05-20 2008-03-27 和光純薬工業株式会社 ヒアルロン酸バインディングプロテインを用いたヒアルロン酸の測定方法
JP2011090004A (ja) * 2004-05-20 2011-05-06 Wako Pure Chem Ind Ltd 免疫凝集法用ヒアルロン酸測定試薬キット
JP4730304B2 (ja) * 2004-05-20 2011-07-20 和光純薬工業株式会社 ヒアルロン酸バインディングプロテインを用いたヒアルロン酸の測定方法
JP2020165937A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立大学法人弘前大学 プロテオグリカンの測定方法、評価方法および測定用キット
CN114217078A (zh) * 2021-12-23 2022-03-22 西安依朵生物科技有限公司 一种检测聚集蛋白聚糖的试纸条、试剂盒及检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4124526B2 (ja) 2008-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3694894B2 (ja) 正常アグリカンの測定法および測定用キット
JP2011514517A (ja) 環状シトルリン化ペプチドに対する抗体のアッセイ方法
JPS60502167A (ja) 軟骨に生じる変化の測定法
US20070184504A1 (en) Assay for anti-INGAP antibodies
JP3698563B2 (ja) グリコサミノグリカンの測定方法及び測定キット
JP4124526B2 (ja) 正常アグリカン測定法とその応用
US8460884B2 (en) Use of hematopoietic growth factor inducible neurokinin-1 (HGFIN) as a biomarker for renal injury or renal disease
US5869273A (en) Chondroitin sulfate as a marker of bone resorption
JP3976848B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
US20210132091A1 (en) Collagen iv binding assay for the detection of collagen vii
EP0398292A2 (en) Diagnostic composition for rheumatoid arthritis
JP3768165B2 (ja) 抗カルパスタチン抗体の測定法及び測定キット
JP4217716B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
JP4217717B2 (ja) 血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質−ヒアルロン酸結合体の測定法および測定キット
CN108948174A (zh) 一种瓜氨酸修饰肽及其应用
EP4343327A1 (en) Method for measuring activity of alkaline phosphatase contained in extracellular vesicle, calibrator, and conjugate
JPH09229930A (ja) ヒアルロン酸の測定方法及び測定用キット
JP3859677B2 (ja) 関節情報の判定方法および正常関節と病態関節の識別方法
JP3308027B2 (ja) 一又はそれより多い被分析物質の免疫学的測定のための診断方法
JP2006250862A (ja) 妊娠中毒症の検知方法及び検知キット
JP2005328752A (ja) グリコサミノグリカン分解酵素の活性測定方法
ITMI962054A1 (it) Saggio per la determinazione di anticorpi anti-endomisio
JPH08334513A (ja) インターフェロン療法後のc型慢性肝炎の予後判定

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070703

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110516

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120516

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130516

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140516

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees