JP4123827B2 - 電流検出装置を用いた制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流検出装置およびこの装置を用いた制御装置に係り、特に、例えばモータ等の対象に流れる電流量を検出するうえで好適な電流検出装置およびこの装置を用いた制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば実開平3−112472号公報に開示される如く、モータに流れる電流量を検出する電流検出回路を備える電流検出装置が知られている。この装置は、モータに接続する一の経路上に流れる電流量を一の電流検出回路を用いて検出する。すなわち、モータに流れる電流の大きさに関係なく、所望の電流検出レンジ内の電流量を検出することができる程度の一定の分解能で電流量を検出する。そして、モータは、検出した電流量に基づいて、実際に流れる電流量が目標電流量に一致するようにフィードバック制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電流検出装置においては、モータに接続する一の経路上に流れる電流量を一定の分解能で検出するため、電流量が大電流である場合にはその電流量を精度よく検出することができる一方で、電流量が“0”近傍の微小電流である場合にはその微小電流の検出精度が低下する事態が生ずる。このため、上記従来の電流検出装置では、微小電流が流れる際にモータの電流フィードバックの制御性が悪化し、モータのトルクリップルや軸の振動が発生することとなる。
【0004】
尚、かかる不都合を回避し、モータの微小電流の検出精度を高く維持するうえでは、電流検出回路の出力値に基づいて電流量を演算する演算側(例えばマイコン)の性能を上げることが考えられる。しかしながら、かかる構成では、高性能化に伴うコストの上昇を招くので、モータに流れる電流の検出精度の向上を低廉なシステムで実現することは困難となる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、演算側の性能を上げることなく、モータ等の対象に流れる微小電流を検出する際の検出精度を向上させることが可能な電流検出装置およびこの装置を用いた制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は対象に流れる電流を第1の所定値以下の領域内において検出可能な第1の電流検出回路と、
前記対象に流れる電流を前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の領域内において検出可能な、前記第1の電流検出回路のものに比して高い分解能を有する第2の電流検出回路と、
検出値が前記対象の電流量として用いられる電流検出回路として、該対象に流れる電流が前記第2の所定値を上回る際には前記第1の電流検出回路を、一方、該対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である際には前記第2の電流検出回路を、それぞれ設定する検出回路設定手段と、
前記検出回路設定手段により設定された電流検出回路の検出値に基づいて所定の制御を実行する制御実行手段を備え、
前記制御実行手段は、前記第1の電流検出回路の異常が検知された場合には、前記所定の制御を、前記第2の電流検出回路の検出可能領域である前記第2の所定値以下の領域の検出値に基づくものに制限する電流検出装置を用いた制御装置により達成される。
【0007】
本発明において、対象に流れる電流量が第2の所定値を上回る際には、第2の所定値よりも大きい第1の所定値以下の電流を検出し得る第1の電流検出回路の検出値が、一方、対象に流れる電流量が第2の所定値以下である際には、第2の所定値以下の電流を検出し得る、第1の電流検出回路のものに比して高い分解能を有する第2の電流検出回路の検出値が、対象の電流量として用いられる。かかる構成においては、対象の電流量が第2の所定値以下である場合、第2の所定値を上回る場合に比して高い分解能でその電流量が検出される。このため、対象に第2の所定値以下の微小電流が流れる際の電流の検出精度が向上する。また、かかる構成においては、対象の微小電流の検出精度を向上させるうえで、電流検出回路の出力値に基づいて電流量を演算する演算側の性能を高く上げることは不要である。
更に、第1の電流検出回路に異常が生ずると、第1の電流検出回路による第1の所定値以下の電流の検出が不可能となる。一方、かかる場合においても第2の電流検出回路が正常である場合には、第2の所定値以下の電流は第2の電流検出回路を用いて検出可能である。この点、かかる事態が生じた場合、所定の制御を第2の電流検出回路の検出可能領域内に制限すれば、その制御を続行することが可能となる。
【0008】
ところで、第1の電流検出回路による電流値と第2の電流検出回路による電流値との差は、両回路が正常にある場合には多くても検出精度の誤差分だけである一方、両回路の少なくとも何れか一方に異常が生じている場合にはその検出精度の誤差分を超えて大きくなる。
【0009】
従って、請求項2に記載する如く、請求項1記載の電流検出装置において、前記第1の電流検出回路の検出値に基づくパラメータと前記第2の電流検出回路の検出値に基づくパラメータとを比較することにより該第1および第2の電流検出回路の異常を検知する異常検知手段を備えることとすれば、第1及び第2の電流検出回路の検出異常を正確に検知することができる。
【0010】
尚、第2の電流検出回路は、第2の所定値以下のレンジの電流量しか検出することができず、第2の所定値を上回る電流量を検出することはできない。
【0011】
従って、請求項3に記載する如く、請求項2記載の電流検出装置において、前記異常検知手段は、前記対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である状況下において異常検知処理を行うこととすれば、電流量が第2の所定値を上回る場合には電流検出回路の異常検知処理が行われないので、電流検出回路の異常検知の精度が低下するのを防止することができる。
【0012】
これらの場合、請求項4に記載する如く、請求項1乃至3の何れか一項記載の電流検出装置において、前記対象は、多相モータであると共に、前記第1及び第2の電流検出回路はそれぞれ、前記多相モータの各相にそれぞれ対応して設けられ、該相に流れる電流量を検出することとしてもよい。
【0013】
また、請求項5に記載する如く、請求項1乃至4の何れか一項記載の電流検出装置において、前記対象は、実際に流れる電流量が目標電流量に一致するようにフィードバック制御されることとしてもよい。
【0014】
更に、請求項6に記載する如く、請求項1乃至5の何れか一項記載の電流検出装置において、前記対象は、車両のステアリング系に設けられた、運転者によるステアリング操作に対してアシスト力を発生させる補助モータであることとしてもよい。
【0015】
ところで、第2の電流検出回路に異常が生ずると、第2の電流検出回路による第2の所定値以下の電流の検出が不可能となる。第2の所定値は、第1の電流検出回路の検出可能領域の上限である第1の所定値よりも小さい値である。この点、第2の所定値以下の電流の検出を第2の電流検出回路を用いて行うことが不可能であっても、第1の電流検出回路を用いてその検出を行うことは可能である。
【0016】
従って、請求項7に記載する如く、請求項1記載の電流検出装置において、前記検出回路設定手段は、前記第2の電流検出回路の異常が検知された場合には、前記対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である際にも、前記第1の電流検出回路を、検出値が前記対象の電流量として用いられる電流検出回路として設定することとすれば、第2の電流検出回路の異常時にも、第2の所定値以下の微小な電流を検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である電流検出装置を備えるシステムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両に搭載される電動パワーステアリング装置(以下、単にステアリング装置と称す)10のシステムである。ステアリング装置10は、ラック&ピニオン式のステアリング装置であり、運転者が車両を操舵させるために操作するステアリングホイール(図示せず)に接続するステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12に設けられたピニオン14と、ピニオン14に係合するラック16と、を備えている。ラック16の両端には、ボールジョイント、タイロッド、及びナックルアームを介して操舵用車輪(図示せず)が連結されている。
【0022】
上記の構成において、ステアリングホイールが操作されると、それに伴ってピニオン14が回転し、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。ラック16が車幅方向に沿って変位すると、タイロッド及びナックルアームが動作し、車輪が転舵される。すなわち、ステアリング装置10は、ピニオン14の回転運動をラック16の長手方向の直進運動に変換することで、運転者によるステアリング操作により車輪を転舵させる機能を有している。
【0023】
本実施例において、ステアリング装置10は、後述するモータを用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるべく、運転者が車輪を転舵させる際に必要な操舵トルクをアシストする車速感応型のパワーステアリング装置である。ステアリングシャフト12には、トルクセンサ20が配設されている。トルクセンサ20は、運転者によるステアリング操作によりステアリングホイールに加わる操舵トルクTに応じた信号を出力する。トルクセンサ20の出力信号は、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)22に供給されている。ECU22は、トルクセンサ20の出力信号に基づいてステアリングホイールに加わる操舵トルクTを検出する。
【0024】
ステアリング装置10は、また、ラック16に係合する三相交流ブラシレスモータ(以下、単にモータと称す)24を備えている。モータ24は、ラック16を覆う車体側のハウジングに固定されたステータ26と、ラック16に係合しそのラック16を囲む筒状の部材であり、ハウジングにベアリングを介して回転可能に支持されたロータ28と、を有している。ステータ26は、コイルとコアとにより構成されている。ロータ28には、マグネットが取り付けられている。ステータ26の励磁によりロータ28が回転すると、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。すなわち、ステアリング装置10において、モータ24は、その回転駆動によりラック16を車幅方向に沿って変位させるトルクを発生する。
【0025】
モータ24のU相,V相,W相の各相にはそれぞれ、ECU22が接続されている。ECU22は、バッテリ30を電源としてモータ24の各相にそれぞれ電力を供給する駆動回路32を有している。駆動回路32は、各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッチング素子を有している。駆動回路32の各パワースイッチング素子は、ECU22によりPWM駆動され、モータ24に電圧を印加する。
【0026】
ECU22には、車速センサ34が接続されている。車速センサ34は、車両の速度に応じた周期でパルス信号を出力する。ECU22は、車速センサ34の出力信号に基づいて車速SPDを検出する。ECU22は、アシスト電流演算部36を有し、アシスト電流演算部36を用いて、トルクセンサ20による操舵トルクTと車速センサ34による車速SPDとの関係に基づいてラック16に付与すべきアシスト力を演算し、そのアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24を駆動するために必要な目標アシスト電流量を演算する。
【0027】
ECU22は、駆動回路32とモータ24のU相,V相,W相との間の各電流経路に対応して設けられた電流検出回路40〜44を有している。電流検出回路40〜44はそれぞれ、自己に対応する電流経路を流れる電流量、すなわち、駆動回路32からモータ24の各相に流れる電流量iu,iv,iwに応じた信号を出力する。尚、本実施例において、駆動回路32からモータ24へ流れる電流を+の電流とし、逆方向に流れる電流を−の電流とする。
【0028】
具体的には、電流検出回路40,41はU相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iuを、電流検出回路42,43はV相に流れる−側から+側までのアナログの電流量ivを、また、電流検出回路44はW相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iwを、例えば“0”V〜“5”Vのレンジの電圧にそれぞれA/D変換し出力する。電流検出回路40,42,44はそれぞれ、モータ24に流れ得る最大の電流量を検出することができる程度の分解能を有しており、−側の最大値から+側の最大値までの電流量に対応してA/D変換処理を行うことができるように構成されている。また、電流検出回路41,43はそれぞれ、“0”近傍の所定値以下の微小電流を検出するだけの分解能を有しており、上記した電流検出回路40,42,44の電流検出レンジよりも狭いレンジ内の電流量に対応してA/D変換処理を行うことができるように構成されている。以下、電流検出回路40,42,44を大電流用検出回路40,42,44と、電流検出回路41,43を小電流用検出回路41,43と、それぞれ称す。
【0029】
電流検出回路40〜44には、モータ24の制御方式の簡素化を図るべく、三相交流の電流,電圧を2軸直流で表すdq変換を行う三相−二相変換回路46が接続されている。ステアリング装置10は、モータ24に配設された回転角センサ48を備えている。回転角センサ48は、モータ24におけるロータ28のステータ26に対する回転角度位置δに応じた信号を出力する。回転角センサ48の出力信号は、ECU22に供給されている。ECU22は、回転角センサ48の出力信号に基づいてモータ24の回転角度位置δを検出する。上記した電流検出回路40〜44の各出力信号および回転角センサ48の出力信号は共に、三相−二相変換回路46に供給されている。三相−二相変換回路46は、電流検出回路40〜44の各出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従ったq軸電流Iqおよびd軸電流Idに応じた信号を出力する。
【0030】
アシスト電流演算部36および三相−二相変換回路46には、電流フィードバック演算部50が接続されている。アシスト電流演算部36の出力信号および三相−二相変換回路46の出力信号は共に、電流フィードバック演算部50に供給されている。ECU22は、モータ24の各相に流れる電流量が目標アシスト電流量に一致するようにモータ24をフィードバック制御する。電流フィードバック演算部50は、三相−二相変換回路46によるq軸電流Iqおよびd軸電流Idをアシスト電流演算部36による目標のq軸電流およびd軸電流と比較することにより、それらの偏差に基づいて2軸の電流指令値を演算する。
【0031】
電流フィードバック演算部50には、2軸直流を三相の交流電圧,電流で表すdq逆変換を行う二相−三相変換回路52が接続されている。電流フィードバック演算部50による2軸の電流指令値および上記の回転角センサ48の出力信号は共に、二相−三相変換回路52に供給されている。二相−三相変換回路52は、電流フィードバック演算部50の出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従った三相交流電流に応じた信号を出力する。
【0032】
二相−三相変換回路52には、PWM指令部54が接続されている。二相−三相変換回路52の出力信号は、PWM指令部54に供給されている。PWM指令部54は、二相−三相変換回路52の出力信号に基づいて駆動回路32の各パワースイッチング素子をPWM駆動し、モータ24の各相に目標のアシスト電流が流れるようにモータ24への電圧印加を指令する。
【0033】
上記の構成において、運転者によりステアリングホイールが操作されると、その操舵トルクTに応じたアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24が駆動される。具体的には、モータ24の駆動は、操舵トルクTが大きいほど大きなアシスト力が発生するように行われる。また、このアシスト力は、車両の車速SPDに応じた値である。従って、本実施例のステアリング装置10によれば、モータ24を用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減することができる。
【0034】
ところで、モータ24の各相に流れる電流量をそれぞれ一の電流検出回路により検出することとすると、その電流検出回路は、電流検出のための分解能が一定である状況下で、モータ24に流れ得る最小電流(電流量=“0”)から最大の電流量までを検出すべき状態となるため、実際に流れる電流量が“0”近傍の微小電流である際にはその微小電流の検出精度が低下することとなる。このため、かかる構成では、微小電流が流れる際にモータ24の電流フィードバックの制御性が悪化し、モータ24のトルクリップルや軸の振動が生じ、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングが低下してしまう。
【0035】
尚、かかる不都合を回避し、モータ24の微小電流の検出精度を高く維持するうえでは、電流検出回路の分解能を高くし、ECU22の性能を上げることが考えられる。しかしながら、かかる構成では、ECU22の高性能化に伴うコストの上昇が招来するので、モータ24に流れる電流の検出精度の向上を低廉なシステムで実現することは困難となる。
【0036】
そこで、本実施例のシステムは、ECU22の演算性能を上げることなく、モータ24に流れ得る最大の電流量の検出を確実に行いつつ、微小電流が流れる際のその微小電流の検出精度を向上させる点に第1の特徴を有している。以下、図2および図3を参照して、その特徴部について説明する。
【0037】
図2は、本実施例の電流検出回路40〜44の特性を表した図を示す。本実施例において、大電流用検出回路40,42,44はそれぞれ、図2に示す如く、モータ24の各相に流れ得る−側の最大値から+側の最大値までの電流量に対応して、アナログ電流量を“0”V〜電源電圧“5”Vのレンジの電圧にA/D変換する。一方、小電流用検出回路41,43はそれぞれ、図2に示す如く、大電流用検出回路40,42,44の電流検出レンジよりも狭い−γから+γまでの電流量(尚、γはモータ24に流れる電流の最大値よりも小さい所定の電流量)に対応して、アナログ電流量を“0”V〜電源電圧“5”Vのレンジの電圧にA/D変換する。
【0038】
かかる構成において、−γと+γとの間の電流量は、図2に示す如く、大電流用検出回路40,42,44によるA/D変換後の出力値としてはα1とβ1との間の比較的狭いレンジ内にしか現れない一方、小電流用検出回路41,43によるA/D変換後の出力値としてはα1よりも小さいα2とβ1よりも大きいβ2との間の比較的広いレンジ内に現れる。すなわち、小電流用検出回路41,43は、大電流用検出回路40,42,44のものに比して高い分解能を有し、−γと+γとの間の電流量を大電流用検出回路40,42,44よりも木目細かく電圧に変換して出力することができる。
【0039】
このため、モータ24のU相又はV相に流れる電流量が−γと+γとの間の値である状況下においては小電流用検出回路41,43によるA/D出力値に基づいてその電流量を検出することとすれば、−γから+γの微小電流がモータ24に流れる際のその微小電流の検出精度を、大電流用検出回路40,42によるA/D出力値に基づいて検出する場合に比して向上させることが可能となる。この場合には、モータ24に流れる微小電流の検出精度の向上が、ECU22の演算性能を上げることなく実現される。また、モータ24のU相又はV相に流れる電流量が−γと+γとの間の値でない状況下においては大電流用検出回路40,42によるA/D出力値に基づいてその電流量を検出することとすれば、モータ24に流れ得る最大の電流が流れたとしても、その電流量を確実に検出することが可能となる。従って、かかる構成によれば、ECU22の演算性能を上げることなく、モータ24に流れ得る最大の電流量の検出を確実に行いつつ、微小電流の検出精度を向上させることが可能となる。
【0040】
図3は、上記の機能を実現すべく、本実施例においてECU22が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3に示すルーチンは、所定時間(例えば5ms)ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図3に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0041】
ステップ100では、大電流用検出回路40,42によるA/D変換後の出力値および小電流用検出回路41,43によるA/D変換後の出力値をそれぞれ取り込む処理が実行される。
【0042】
ステップ102では、上記ステップ100で取り込んだ小電流用検出回路41,43によるA/D出力値が所定値α2と所定値β2との間にあるか否かが判別される。尚、所定値α2は、小電流用検出回路41,43により検出すべき最小の電流(=−γ)に対応したA/D出力値であり、所定値β2は、小電流用検出回路41,43により検出すべき最大の電流(=+γ)に対応したA/D出力値である。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ104の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、次にステップ106の処理が実行される。
【0043】
ステップ104では、小電流用検出回路41,43によるA/D出力値に基づいて上記図2に示すマップに従って把握される電流量(以下、小電流用検出値と称す;f(A/D出力値))を、モータ24のU相又はV相における検出電流it(t=u,v)として設定する処理が実行される。本ステップ104の処理が実行されると、以後、モータ24の電流フィードバック制御においては、大電流用検出回路40,42による検出電流iu,ivではなく、小電流用検出回路41,43による検出電流iu,ivが用いられることとなる。
【0044】
また、ステップ106では、大電流用検出回路40,42によるA/D出力値に基づいて上記図2に示すマップに従って把握される電流量(以下、大電流用検出値と称す;g(A/D出力値))を、モータ24のU相又はV相における検出電流itとして設定する処理が実行される。本ステップ104の処理が実行されると、以後、モータ24の電流フィードバックにおいては、小電流用検出回路41,43による検出電流iu,ivではなく、大電流用検出回路40,42による検出電流iu,ivが用いられることとなる。ステップ104又は106の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0045】
上記図3に示すルーチンによれば、小電流用検出回路41,43によるA/D出力値がα2とβ2との間にあり、モータ24に−γと+γとの間の微小電流が流れる場合には、小電流用検出回路41,43のA/D出力値に基づく小電流用検出値を検出電流として設定することができ、一方、小電流用検出回路41,43によるA/D出力値がα2を下回り或いはβ2を上回り、モータ24に流れる電流の絶対値がγを上回る場合には、大電流用検出回路40,42のA/D出力値に基づく大電流用検出値を検出電流として設定することができる。
【0046】
上記の如く、小電流用検出回路41,43は、大電流用検出回路40,42のものに比して高い分解能を有し、−γと+γとの間の電流量を大電流用検出回路40,42,44よりも木目細かく電圧に変換する。このため、上記の構成によれば、モータ24に大電流が流れる際には大電流用検出回路40,42を用いてその電流量を確実に検出することができると共に、モータ24に−γから+γの微小電流が流れる際にはその微小電流の検出精度を大電流用検出回路40,42によるA/D出力値に基づいて検出する場合に比して向上させることが可能となっている。
【0047】
このため、本実施例のステアリング装置10によれば、モータ24に微小電流が流れても、その微小電流を精度よく検出することができるため、その電流フィードバックの制御性を高く維持することができ、これにより、モータ24のトルクリップルや軸の振動の発生を回避することができ、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することが可能となる。
【0048】
また、本実施例の構成においては、モータ24に流れる電流を検出するための電流検出回路として大電流用検出回路40,42と共に、分解能が比較的高い小電流用検出回路41,43を備えるので、微小電流の検出精度を向上させるうえで、電流検出回路40〜44によるA/D変換後の出力値を電流量に変換するECU22のマイコン側の性能を上げることは不要である。従って、本実施例によれば、ECU22のマイコン側の性能を上げることなく、モータ24に微小電流が流れる際のその微小電流の検出精度を向上させることが可能となっている。
【0049】
尚、本実施例において、モータ24のW相には、大電流用検出回路44は設けられている一方で、小電流用検出回路は設けられていない。すなわち、モータ24のW相に流れる電流は、大電流検出回路44を用いて検出される一方で、U相およびV相の電流と異なり、小電流用検出回路を用いて検出されない。
【0050】
図4は、本実施例のシステムが備える駆動回路32およびモータ24の模式的な構成を表した図を示す。また、図5は、モータ24のロータ28の回転角度位置δと各相に流れる電流量iu,iv,iwとの関係を表した図を示す。本実施例のシステムにおいては、モータ24は上記の如く三相交流ブラシレスモータであるので、モータ24の3つのステータコイルが電気角120°間隔で配置される。この点、図4及び図5に示す如く、同時刻、すなわち、同一の回転角度位置δにおいてはU相,V相,W相に流れる電流量の和は次式(1)に示す如くゼロである。この電流量の和がゼロとなる状態は、回転角度位置δにかかわらず不変である。
【0051】
iu+iv+iw=0 ・・・(1)
従って、モータ24の各相に流れる電流量のすべてを検出しなくても、同一のタイミングにおける2つの相の電流量を検出することとすれば、上記(1)式に従ってそのタイミングにおける残りの一相の電流量を検出することができる。この場合、モータ24の2つの相には電流を検出するための電流検出回路を設けることは必要であるが、残りの一相には電流検出回路を設けることは不要である。
【0052】
そこで、本実施例においては、大電流用検出回路40又は小電流用検出回路41を用いて検出されたモータ24のU相に流れる電流量iuと、大電流用検出回路42又は小電流用検出回路43を用いて検出されたV相に流れる電流量ivとに基づいて、上記(1)式に従って、W相に流れる電流量iwが算出される。この場合、その算出されたW相の電流量iwは、小電流用検出回路41,43によるU相の電流量iuおよびV相の電流量ivを考慮した値となり得る。このため、本実施例においては、モータ24のW相に小電流用検出回路が設けられていなくても、W相に微小電流が流れる際のその微小電流を正確に把握することが可能となる。この点、部品点数の削減およびコストの低減を図りつつ、微小電流の検出精度の向上を図ることが可能となっている。
【0053】
尚、上記の如く、モータ24のW相には、大電流用検出回路44が設けられている。ECU22は、大電流用検出回路44の出力信号に基づいてW相に流れる電流量を検出する。この点、大電流用検出回路40,42によるU相の電流量iuおよびV相の電流量ivに基づいて上記(1)式に従って算出されたW相の電流量iwと大電流用検出回路44を用いて検出されたW相の電流量iwとを比較することにより、大電流検出回路40,42,44の少なくとも何れか一に生じた検出異常を検知できる。両者間に生じている電流量の差が所定値以上となっている場合には大電流検出回路40,42,44の少なくとも何れか一に検出異常が生じたと判断でき、一方、その差が所定値を下回る場合には何れの回路40,42,44にも検出異常が生じていないと判断できる。
【0054】
そこで、本実施例のシステムは、大電流用検出回路40,42によるU相の電流量iuおよびV相の電流量ivに基づいて上記(1)式に従って算出されたW相の電流量iwと大電流用検出回路44を用いて検出されたW相の電流量iwとを比較し、大電流検出回路40,42,44の少なくとも何れか一に検出異常が生じているか否かを検知する。
【0055】
ところで、大電流用検出回路40と小電流用検出回路41とは共に、モータ24のU相に流れる電流を検出する。また、大電流用検出回路42と小電流用検出回路43とは共に、モータ24のV相に流れる電流を検出する。従って、大電流用検出回路40による電流量と小電流用検出回路41による電流量との差、及び、大電流用検出回路42による電流量と小電流用検出回路43による電流量との差は共に、電流検出回路40〜43が正常にある場合にはほとんどなく、多くても検出精度の誤差分だけである。一方、それらの差が検出精度の誤差分を超えて大きくなっている場合には、大電流用検出回路40,42と小電流用検出回路41,43との少なくとも何れか一の電流検出回路40〜43に検出異常が生じていると判断できる。
【0056】
そこで、本実施例のシステムは、大電流用検出回路40,42による電流量と小電流用検出回路41,43による電流量とを比較することにより電流検出回路40〜43の検出異常を検知する点に第2の特徴を有している。以下、図6を参照して、その特徴部について説明する。
【0057】
図6は、電流検出回路40〜43の検出異常を検知すべく、本実施例においてECU22が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図6に示すルーチンは、所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図6に示すルーチンが起動されると、まずステップ200の処理が実行される。
【0058】
ステップ200では、大電流用検出回路40,42のA/D出力値に基づいて把握される電流量(大電流用検出値)の絶対値がγ以下であるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされる場合は、小電流用検出回路41,43を用いても検出することが可能な電流がモータ24に流れていることとなるので、かかる判別がなされた場合は、次にステップ202の処理が実行される。
【0059】
ステップ202では、小電流用検出回路41,43のA/D出力値に基づいて把握される電流量(小電流用検出値)と大電流用検出回路40,42のA/D出力値に基づく大電流用検出値との差が、所定値A以上であるか否かが判別される。尚、所定値Aは、電流検出回路40〜43に異常が生じていると判断できる最小の電流量差である。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ204の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、次にステップ208の処理が実行される。
【0060】
ステップ204では、異常カウンタCNTを“1”だけインクリメントする処理が実行される。異常カウンタCNTは、上記ステップ202の条件が成立する継続時間を計数するためのカウンタである。ステップ206では、異常カウンタCNTの計数値が所定値CNT0に達しているか否かが判別される。尚、所定値CNT0は、電流検出回路40〜43に確実に異常が生じていると判断できる最小の時間である。その結果、CNT≧CNT0が成立しないと判別された場合は、再び上記ステップ200の処理が実行される。一方、CNT≧CNT0が成立すると判別された場合は、次にステップ210の処理が実行される。
【0061】
一方、上記ステップ200において、|大電流用検出値|≦γが成立しない否定判定がなされた場合は、小電流用検出回路41,43を用いて検出することが不可能な電流がモータ24に流れていることとなる。従って、かかる判別がなされた場合は、次にステップ208の処理が実行される。ステップ208では、上記の異常カウンタCNTを“0”にリセットする処理が実行される。本ステップ208の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0062】
また、ステップ210では、電流検出回路40〜43に検出異常が生じたとして、モータ24の電流フィードバック制御を中止し、ステアリング操作をアシストするアシスト制御を中止すると共に、その旨を運転者にスピーカや音声案内で知らせる異常確定処理が実行される。本ステップ210の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0063】
上記図6に示すルーチンによれば、モータ24の同一の相に設けられている大電流用検出回路40,42および小電流用検出回路41,43による大電流用検出値と小電流用検出値との差が所望の範囲内にある場合には、電流検出回路40〜43に検出異常が生じていないとして、通常どおりそれらの検出値に基づいてモータ24の電流フィードバック制御を実行し、一方、上記大電流用検出値と小電流用検出値との差が所望の範囲を超えて大きくなっている場合には、その相の電流検出回路40〜43に検出異常が生じたとして、その異常確定処理を実行することができる。
【0064】
モータ24に流れる電流が小電流用検出回路41,43の電流検出レンジ内にあれば、電流検出回路40〜43のすべてが正常にある場合には、大電流用検出回路40による電流量と小電流用検出回路41による電流量との差、及び、大電流用検出回路42による電流量と小電流用検出回路43による電流量との差は共にほとんどなく、多くても検出精度の誤差分だけである。従って、本実施例によれば、電流検出回路40〜43に生ずる検出異常を正確に検知することができる。
【0065】
また、上記の手法により電流検出回路40〜43の検出異常が検知された場合には、異常確定処理として、モータ24の電流フィードバック制御が中止され、ステアリング操作をアシストするアシスト制御が中止されると共に、その旨が運転者にスピーカや音声案内で知らされる。このため、本実施例においては、電流検出回路40〜43の検出異常に起因してアシスト制御が誤制御されるのを回避することができると共に、運転者にアシスト制御が行われなくなったことを認識させることができ、これにより、電流検出回路40〜43の検出異常に対する処置を速やかに行うことが可能となっている。
【0066】
更に、本実施例において、小電流用検出回路41,43は、“0”近傍の微小電流(所定値γ以下)を検出するだけの電流検出レンジしか有しておらず、所定値γを超える電流量を検出することはできない。すなわち、モータ24に所定値γを超える電流量が流れる場合には、その電流量の大きさにかかわらず小電流用検出回路41,43のA/D出力値は“0”V又は“5”V近傍に維持される。従って、モータ24に所定値γを超える電流が流れる際にそのA/D出力値に基づいて把握される小電流用検出値を用いて、上記の手法による電流検出回路40〜43の検出異常が生じているか否かの検知処理が行われるものとすると、その検知処理の精度が低下することとなる。
【0067】
そこで、本実施例においては、小電流用検出値と大電流用検出値との比較による電流検出回路40〜43の検出異常が生じているか否かの検知処理が、モータ24に流れる電流量が小電流用検出回路41,43の電流検出レンジ内、具体的には、所定値γ以下である場合(図6に示すルーチンのステップ200における肯定判定時)にのみ行われる一方、その所定値γを超える場合には行われない。このため、本実施例のシステムによれば、小電流用検出値と大電流用検出値との比較による電流検出回路40〜43の検出異常が生じているか否かの検知処理の精度が低下する事態を防止することが可能となっている。
【0068】
尚、上記の実施例においては、大電流用検出回路40,42が特許請求の範囲に記載した「第1の電流検出回路」に、小電流用検出回路41,43が特許請求の範囲に記載した「第2の電流検出回路」に、大電流用検出回路40,42の電流検出レンジの最大電流値が特許請求の範囲に記載した「第1の所定値」に、所定値γが特許請求の範囲に記載した「第2の所定値」に、それぞれ相当している。
【0069】
また、上記の実施例においては、ECU22が、上記図3に示すルーチン中ステップ104,106の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「検出回路設定手段」が、上記図6に示すルーチン中ステップ202〜206の処理結果に従ってステップ210の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「異常検知手段」が、それぞれ実現されている。
【0070】
ところで、上記の実施例においては、電流検出を行うモータ24を三相のブラシレスモータとしているが、三相に限らず、二相および四相以上の多相のモータに適用することも可能であり、また、ブラシレスに限らず、ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0071】
また、上記の実施例においては、車両の搭載する電動パワーステアリング装置10に用いるモータ24の電流検出を行うこととしているが、電動パワーステアリング装置10に限定されるものではなく、他の用途のモータに適用することも可能である。
【0072】
また、上記の実施例においては、モータ24に流れる電流量が−γと+γとの間の微小電流であるか否かの判別を、図3に示すルーチンでは小電流用検出回路41,43のA/D出力値がα2とβ2との間にあるか否かに基づいて、また、図6に示すルーチンでは大電流用検出回路40,42のA/D出力値から把握される電流量(すなわち、大電流用検出値)自体が−γと+γとの間にあるか否かに基づいて行うこととしているが、小電流用検出回路41,43のA/D出力値から把握される電流量(すなわち、小電流用検出値)自体が−γと+γとの間にあるか否かに基づいて行うこととしてもよいし、或いは、大電流用検出回路40,42のA/D出力値がα1とβ1との間にあるか否かに基づいて行うこととしてもよい。更に、かかる判別を図3に示すルーチンと図6に示すルーチンとで同一のパラメータを用いて行うこととしてもよい。
【0073】
また、上記の実施例においては、電流検出回路40〜43に検出異常が生じているか否かの検知を、大電流用検出回路40,42のA/D出力値から把握される大電流用検出値と小電流用検出回路41,43のA/D出力値から把握される小電流用検出値とを比較することにより行うこととしているが、A/D出力値同士を比較することとしてもよい。この場合には、異常判別を行うための両者の差のしきい値は電流量に応じて変動し、“0”から(α1−α2)又は(β2−β1)までの適当な値に誤差分を加えた値となる。
【0074】
更に、上記の実施例においては、小電流用検出値と大電流用検出値とを比較することにより電流検出回路40〜43に検出異常が生じているか否かの検知を行うと共に、その検出異常が生じていると判断された場合にはモータ24の電流フィードバック制御の中止等の異常確定処理を行うこととしているが、かかる異常が検知された状況下において小電流用検出回路41,43のA/D出力値が“0”V又は“5”Vに維持・固定される場合には、大電流用検出回路40,42のA/D出力値に基づく大電流用検出値を用いて通常どおりモータ24の電流フィードバックやアシスト制御を続行することとしてもよい。
【0075】
すなわち、小電流用検出回路41,43のA/D出力値が接地電圧“0”V又は電源電圧“5”Vに維持・固定される場合には、その経路に断線やショートが生じていると判断できる。かかる異常が生じた場合は、小電流用検出回路41,43を用いて−γから+γまでの電流量の検出を正確に行うことができなくなる。一方、大電流用検出回路40,42は、小電流用検出回路41,43の電流検出レンジである−γから+γまでの領域を完全に包含するモータ24に流れ得る−側の最大値から+側の最大値までを電流検出レンジとする回路である。このため、上記の如く小電流用検出回路41、43に異常が生じても、その電流検出レンジである−γから+γまでの微小電流を大電流用検出回路40,42を用いて検出することは可能である。
【0076】
そこで、小電流用検出回路41,43に検出異常が生じた場合には、常に、大電流用検出回路40,42を用いてモータ24に流れる電流量が検出される。かかる構成によれば、小電流用検出回路41,43に検出異常が生じても、−γから+γまでの微小電流を検出することができ、その結果、モータ24に流れる電流量が−γから+γまでの値であっても、大電流用検出回路40,42を用いて検出した検出値に基づいてモータ24の電流フィードバック制御やアシスト制御を続行することができる。このため、かかる構成によれば、小電流用検出回路41,43の検出異常に起因して上記の制御が全く行われなくなる事態を回避することができ、運転者のステアリング操作負担が過大となるのを抑制することが可能となる。
【0077】
尚、この場合、ECU22が、大電流用検出回路40,42を用いて検出した検出値に基づいてモータ24の電流フィードバック制御やアシスト制御を続行することにより特許請求の範囲の請求項8に記載した「制御実行手段」が実現される。
【0078】
また、上記の実施例においては、モータ24のU相、V相、及びW相にそれぞれ流れる電流量を検出する大電流用検出回路40,42,44が設けられている。モータ24の各相に流れる電流の和は常にゼロであるので、大電流用検出回路40,42,44のA/D出力値に基づく大電流用検出値の和も、それらの検出回路40,42,44が正常にある場合には、上記(1)式に従って常に“0”の筈である。すなわち、それら大電流用検出値の和がゼロでない場合には、少なくとも何れかの検出回路40,42,44に検出異常が生じていると判断できる。かかる異常が生ずると、大電流用検出回路40,42,44を用いてモータ電流の検出を正確に行うことができなくなる。一方、小電流用検出回路41,43は、−γから+γまでの電流量の電流検出レンジを有している。このため、モータ24に流れる電流量がその−γから+γまでの電流量となれば、その電流検出を行うことは可能である。
【0079】
そこで、大電流用検出回路40,42,44に検出異常が生じた場合には、モータ24に流通させる目標アシスト電流量が、小電流用検出回路41,43の検出可能領域である−γから+γの領域内に収まるように、アシスト制御におけるラック16に付与すべき目標アシスト力を所定の領域内に制限する。この場合、モータ24に流れる電流量が−γから+γの領域を超えて大きくなることは回避される。このため、かかる構成によれば、大電流用検出回路40,42,44に検出異常が生じた場合にも、小電流用検出回路41,43を用いて電流フィードバック制御やアシスト制御を続行することができる。このため、かかる構成によれば、大電流用検出回路40,42,44の検出異常に起因して上記の制御が全く行われなくなる事態を回避することができ、運転者のステアリング操作負担が過大となるのを抑制することが可能となる。
【0080】
尚、この場合、ECU22が、小電流用検出回路41,43を用いて検出した検出値に基づいてモータ24の電流フィードバック制御やアシスト制御を続行することにより特許請求の範囲の請求項9に記載した「制御実行手段」が実現される。
【0081】
【発明の効果】
上述の如く、発明によれば、電流検出回路の出力値に基づいて電流量を演算する演算側の性能を上げることなく、対象に所定値以下の微小電流が流れる際の電流の検出精度を向上させることができる。また、第1の電流検出回路に異常が生じた場合も、所定の制御を、第2の電流検出回路の検出可能領域である第2の所定値以下の領域内において続行することができる。
【0082】
請求項2記載の発明によれば、大電流用検出回路と小電流用検出回路とを備える電流検出回路の検出異常を正確に検知することができる。
【0083】
請求項3記載の発明によれば、対象の電流量が所定値を上回る場合には電流検出回路の異常検知処理を行わないので、電流検出回路の異常検知の精度が低下するのを防止することができる。
【0084】
請求項7記載の発明によれば、第2の所定値以下の領域における電流を検出可能な第2の電流検出回路に異常が生じた場合にも、第1の電流検出回路を用いてその第2の所定値以下の微小電流を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】本実施例のシステムが備える電流検出装置の特性を表した図である。
【図3】本実施例において、検出値をモータの電流量として用いる電流検出回路を決定すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】本実施例のシステムが備える駆動回路およびモータの模式的な構成を表した図である。
【図5】モータの回転角度位置δと各相に流れる電流量iu,iv,iwとの関係を表した図である。
【図6】本実施例において、電流検出回路の検出異常を検知すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
22 電子制御ユニット(ECU)
24 三相交流ブラシレスモータ(モータ)
40,42,44 大電流用検出回路
41,43 小電流用検出回路

Claims (7)

  1. 対象に流れる電流を第1の所定値以下の領域内において検出可能な第1の電流検出回路と、
    前記対象に流れる電流を前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下の領域内において検出可能な、前記第1の電流検出回路のものに比して高い分解能を有する第2の電流検出回路と、
    検出値が前記対象の電流量として用いられる電流検出回路として、該対象に流れる電流が前記第2の所定値を上回る際には前記第1の電流検出回路を、一方、該対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である際には前記第2の電流検出回路を、それぞれ設定する検出回路設定手段と、
    前記検出回路設定手段により設定された電流検出回路の検出値に基づいて所定の制御を実行する制御実行手段を備え、
    前記制御実行手段は、前記第1の電流検出回路の異常が検知された場合には、前記所定の制御を、前記第2の電流検出回路の検出可能領域である前記第2の所定値以下の領域の検出値に基づくものに制限することを特徴とする電流検出装置を用いた制御装置
  2. 前記第1の電流検出回路の検出値に基づくパラメータと前記第2の電流検出回路の検出値に基づくパラメータとを比較することにより該第1および第2の検出回路の異常を検知する異常検知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電流検出装置を用いた制御装置
  3. 前記異常検知手段は、前記対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である状況下において異常検知処理を行うことを特徴とする請求項2記載の電流検出装置を用いた制御装置
  4. 前記対象は、多相モータであると共に、
    前記第1及び第2の電流検出回路はそれぞれ、前記多相モータの各相にそれぞれ対応して設けられ、該相に流れる電流量を検出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の電流検出装置を用いた制御装置
  5. 前記対象は、実際に流れる電流量が目標電流量に一致するようにフィードバック制御されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の電流検出装置を用いた制御装置
  6. 前記対象は、車両のステアリング系に設けられた、運転者によるステアリング操作に対してアシスト力を発生させる補助モータであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の電流検出装置を用いた制御装置
  7. 前記検出回路設定手段は、前記第2の電流検出回路の異常が検知された場合には、前記対象に流れる電流が前記第2の所定値以下である際にも、前記第1の電流検出回路を、検出値が前記対象の電流量として用いられる電流検出回路として設定することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置を用いた制御装置
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