JP4123708B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットルが踏み込まれた(パワーオン)状態でのダウンシフトに際して、係合側の摩擦係合要素のファーストフィル(ガタ詰め)のばらつきによるショックの発生を防止することの出来る、自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラッチの掴み換えによるダウンシフトに際して、当該ダウンシフトがパワーオンの場合、係合側の摩擦係合要素は、終期制御後の完了制御において、一定のスイープ勾配で油圧を上昇させ、同時に一定のスイープ勾配で油圧が下降される解放側摩擦係合要素側から、トルクを受け渡されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、係合側摩擦係合要素は、単に一定時間、所定勾配で油圧を上昇させるだけなので、係合側摩擦係合要素のサーボ起動制御のファーストフィルに際して、十分な油圧の供給が行われなかった場合などには、摩擦係合要素のガタ詰めが不十分なために、スイープアップ初期に係合が行われず、スイープ途中で係合が開始される場合がある。
【0004】
すると、係合側摩擦係合要素の係合が開始される前に、解放側摩擦係合要素の油圧が解放されるので、エンジン吹きが生じて入力軸回転数及び出力トルクが急上昇し、その後、係合側摩擦係合要素が係合を開始することによって、それらが強制的に変速後の同期回転速度に戻されるので、シフトショックが発生することとなる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑み、スロットルが踏み込まれた、つまり、エンジントルクが発生している(パワーオン)状態でのダウンシフト時において、係合側摩擦係合要素のファーストフィルの状態にばらつきが生じたとしても、円滑にダウンシフト動作を行うことが出来る、自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エンジンからの回転が入力される入力軸、車軸に接続される出力軸、前記入力軸と出力軸との間に配置された複数の変速要素、それら複数の変速要素を係止、係止解除自在に設けられた複数の摩擦係合要素を有し、それら摩擦係合要素を操作することにより、ダウンシフト変速動作を行うことが出来る自動変速機の制御装置において、
解放側摩擦係合要素を解放動作を開始すると共に、係合側摩擦係合要素の係合動作することにより、所定の変速段にダウンシフトを行うに際して、前記解放側摩擦係合要素の油圧サーボの解放側油圧(PA)を、入力軸の回転数(N C1 )の変化に基づきフィードバック制御すると共に、前記係合側摩擦係合要素の油圧サーボの係合側油圧(PB)を、前記係合側摩擦係合要素が担持する係合側入力トルク(TB)に基づき算出された係合側目標圧(PTB)に向ってスイープアップし、
前記解放側油圧のフィードバック制御と係合側油圧のスイープアップによる終期制御により変速進行が完了に近い所定割合(a2)に達した後の完了制御において、前記解放側油圧(PA)を所定勾配(δP FA )で解放すると共に、前記係合側油圧(PB)を、通常の係合圧(PE)より低くかつ係合側摩擦係合要素の変速後のトルク伝達を確保するために必要とする圧であるトルク保持圧(PTB’)に向けて急勾配(δP1)で上昇し、その後予め設定された緩勾配(δP2)にて変速完了時間(tSE)まで上昇した後、前記係合圧(PE)に昇圧して前記所定変速段へのダウンシフトを完了してなる、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置にある。
【0009】
前記ダウンシフトは、コーストダウン中に行われたパワーオンダウンシフトで構成される。
【0010】
前記ダウンシフトは、アップシフト中に行われたパワーオンダウンシフトで構成される。
【0011】
前記ダウンシフトが、パワーオンダウンシフトであることを判定するパワーオンダウンシフト判定手段を設け、
前記係合側摩擦係合要素制御手段は、前記パワーオンダウンシフト判定手段が、ダウンシフトがパワーオンダウンシフトであると判定した場合に、前記係合側摩擦係合要素を制御することを特徴として構成される。
【0012】
変速の終期を判断する変速終期判断手段を設け、前記係合側摩擦係合要素制御手段は、前記変速終期判断手段が変速の終期を判断した場合に、前記係合側摩擦係合要素を制御するようにして構成される。
【0013】
前記変速終期判断手段が変速の終期を判断した場合に、前記解放側摩擦係合要素の油圧サーボの油圧を、所定勾配で低下させる、解放側摩擦係合要素制御手段を設けて構成される。
【0014】
前記係合圧は、前記係合側摩擦係合要素を係合保持できるライン圧相当の圧で構成される。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、係合側摩擦係合要素に供給する油圧を、急勾配(δP1)で係合圧(PE)よりも低いトルク保持圧(PTB’)まで上昇させて、係合側摩擦係合要素を急速に係合させ、サーボ起動制御に際して係合側摩擦係合要素への油圧の供給が適切に行われておらず、摩擦係合要素のガタ詰めが不十分で、ストローク不足となっている場合でも、急速な油圧の供給により、係合側摩擦係合要素はストローク不足状態が直ちに矯正される。従って、入力軸回転数(Nc1)及び出力トルク(To)は、ストローク不足に起因するエンジン吹きを最小限に抑えてそれに伴う出力トルク(To)の過度の上昇も少なくすることが出来る。
【0016】
また、係合圧(PE)よりも低い所定圧であるトルク保持圧(PTB’)で係合したその後は、緩勾配(δP2)によりゆっくりと係合させ、急係合動作の継続による急激な入力軸回転数及び出力トルクの変動を排除するので、ストローク不足で多少エンジン吹きが生じた状態で係合した摩擦係合要素は、急激にその係合圧が高まるようなことが回避され、入力軸回転数(Nc)及び出力トルク(To)に、大きな変動を生させることなく係合動作を行うことが出来る。
【0017】
係合側の摩擦係合要素は、係合初期の段階で、変速後の変速段におけるトルクが伝達可能な状態まで迅速に係合させることが出来、係合が不十分な状態で、急激なエンジン吹きなどが生じることを未然に防止することが出来る。
【0018】
トルク保持圧演算手段により、変速状態に応じたトルク保持圧を演算することが出来るので、適正な係合側摩擦係合要素の係合動作を行うことが出来る。
【0019】
コーストダウン中やアップシフト中のダウンシフトという、係合側摩擦係合要素のファーストフィルにばらつきが生じやすい状況で、係合側摩擦係合要素の係合動作を適切に制御することが出来、円滑なパワーオンダウンシフト動作が可能となる。
【0020】
パワーオンダウンシフト判定手段により、パワーオンダウンシフトを適切に判定することが出来る。
【0021】
変速終期を判断した後に、係合側摩擦係合要素が係合を開始するので、クラッチの掴み換えを円滑に行うことが出来、ショックの少ない制御が可能となる。
【0022】
変速終期を判断した後に、解放側摩擦係合要素の油圧を低下させるので、クラッチの掴み換えを円滑に行うことが出来、ショックの少ない制御が可能となる。
【0023】
摩擦係合要素はライン圧相当の係合圧で係合保持される。
【0024】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係わる電子制御部を示すブロック図、図2は、本発明が適用される自動変速機の一例を示すスケルトン図、図3は図2の自動変速機における摩擦係合要素の作動を示す図、図4は摩擦係合要素の油圧回路の概略を示す図、図5及び図6はダウンシフト解放側の制御態様の一例を示すフローチャート、図7乃至図8はダウンシフト係合側の制御態様の一例を示すフローチャート、図9はパワーオンダウンシフト時における摩擦係合要素の基本的な駆動状態を示す基本タイムチャートの一例、図10は、パワーオンダウンシフト時の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート、図11は、コースト時にパワーオンダウンシフトが行われた際の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート、図12は、アップシフト中に、パワーオンダウンシフトが行われた際の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート。
【0027】
5速自動変速機1は、図2に示すように、トルクコンバータ4、3速主変速機構2、3速副変速機構5及びディファレンシャル8を備えており、かつこれら各部は互に接合して一体に構成されるケースに収納されている。そして、トルクコンバータ4は、ロックアップクラッチ4aを備えており、エンジンクランクシャフト13から、トルクコンバータ内の油流を介して又はロックアップクラッチによる機械的接続を介して主変速機構2の入力軸3に入力する。そして、一体ケースにはクランクシャフトと整列して配置されている第1軸3(具体的には入力軸)及び該第1軸3と平行に第2軸6(カウンタ紬)及び第3軸(左右車軸)14a,14bが回転自在に支持されており、また該ケースの外側にバルブボディが配設されている。
【0028】
主変速機構2は、シンプルプラネタリギヤ7とダブルピニオンプラネタリギヤ9からなるプラネタリギヤユニット15を有しており、シンプルプラネタリギヤ7はサンギヤSl、リングギヤRl、及びこれらギヤに噛合するピニオンPlを支持したキャリヤCRからなり、またダブルピニオンプラネタリギヤ9は上記サンギヤSlと異なる歯数からなるサンギヤS2、リングギヤR2、並びにサンギヤS2に噛合するピニオンP2及びリングギヤR2に噛合するピニオンP3を前記シンプルプラネタリギヤ7のピニオンPlと共に支持する共通キャリヤCRからなる。
【0029】
そして、エンジンクランクシャフト13からトルクコンバータ4を介して連動している入力軸3は、第1の(フォワード)クラッチClを介してシンプルプラネタリギヤ7のリングギヤRlに連結し得ると共に、第2の(ダイレクト)クラッチC2を介してシンプルプラネタリギヤ7のサンギヤSlに連結し得る。また、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のサンギヤS2は、第1のブレーキBlにて直接係止し得ると共に、第1のワンウェイクラッチFlを介して第2のブレーキB2にて係止し得る。更に、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のリングギヤR2は、第3のブレーキB3及び第2のワンウェイクラッチF2にて係止し得る。そして、共通キャリヤCRが、主変速機構2の出力部材となるカウンタドライブギヤ18に連結している。
【0030】
一方、副変速機構5は、第2軸を構成するカウンタ軸6の軸線方向リヤ側に向って、出力ギヤ16、第1のシンプルプラネタリギヤ10及び第2のシンプルプラネタリギヤ11が軸線方向に並んで配置されており、またカウンタ軸6はベアリングを介して一体ケースに回転自在に支持されている。前記第1及び第2のシンプルプラネタリギヤ10,11は、シンプソンタイプからなる。
【0031】
また、第1のシンプルプラネタリギヤ10は、そのリングギヤR3が前記カウンタドライブギヤ18に噛合するカウンタドリブンギヤ17に連結しており、そのサンギヤS3がカウンタ軸6に回転自在に支持されているスリーブ軸12に固定されている。そして、ピニオンP3はカウンタ軸6に一体に連結されたフランジからなるキャリヤCR3に支持されており、また該ピニオンP3の他端を支持するキャリヤCR3はUDダイレクトクラッチC3のインナハブに連結している。また、第2のシンプルプラネタリギヤ11は、そのサンギヤS4が前記スリーブ軸12に形成されて前記第1のシンプルプラネタリギヤのサンギヤS3に連結されており、そのリングギヤR4は、カウンタ軸6に連結されている。
【0032】
そして、UDダイレクトクラッチC3は、前記第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3と前記連結されたサンギヤS3,S4との間に介在しており、かつ該連結されたサンギヤS3,S4は、バンドブレーキからなる第4のプレーキB4にて係止し得る。更に、第2のシンプルプラネタリギヤのピニオンP4を支持するキャリヤCR4は、第5のブレーキB5にて係止し得る。
【0033】
ついで、図2及び図3に沿って、本5速自動変速機の機構部分の作用について説明する。
【0034】
D(ドライブ)レンジにおける1速(1ST)状態では、フォワードクラッチClが接続し、かつ第5のブレーキB5及び第2のワンウェイクラッチF2が係止して、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のキャリヤCR4が停止状態に保持される。この状態では、入力軸3の回転は、フォワードクラッチClを介してシンプルプラネタリギヤのリングギヤRlに伝達され、かつダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2は停止状態にあるので、両サンギヤSl、S2を逆方向に空転させながら共通キャリヤCRが正方向に大幅減速回転される。即ち、主変速機構2は、1速状態にあり、該減速回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5における第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3に伝達される。該副変速機構5は、第5のブレーキB5により第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が停止され、1速状態にあり、前記主変速機構2の減速回転は、該副変速機構5により更に減速されて、出力ギヤ16から出力する。
【0035】
2速(2ND)状態では、フォワードクラッチClに加えて、第2のブレーキB2(及び第1のブレーキBl)が作動し、更に、第2のワンウェイクラッチF2から第1のワンウェイクラッチFlに作動が切換わり、かつ第5のブレーキB5が係止状態に維持されている。この状態では、サンギヤS2が第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチFlにより停止され、従って入力軸3からフォワードクラッチClを介して伝達されたシンプルプラネタリギヤのリングギヤRlの回転は、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2を正方向に空転させながらキャリヤCRを正方向に減速回転する。更に、該減速回転は、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。即ち、主変速機構2は2速状態となり、副変速機構5は、第5のブレーキB5の係合により1速状態にあり、この2速状態と1速状態が組合されて、自動変速機1全体で2速が得られる。なおこの際、第1のブレーキBlも作動状態となるが、コーストダウンにより2速になる場合、該第1のブレーキBlは解放される。
【0036】
3速(3RD)状態では、フォワードクラッチCl、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチFl並びに第1のブレーキBlはそのまま係合状態に保持され、第5のブレーキB5の係止が解放されると共に第4のブレーキB4が係合する。即ち、主変速機構2はそのままの状態が保持されて、上述した2速時の回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝えられ、そして副変速機構5では、第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3からの回転がそのサンギヤS3及びサンギヤS4の固定により2速回転としてキャリヤCR3から出力し、従って主変速機構2の2速と副変速機構5の2速で、自動変速機1全体で3速が得られる。
【0037】
4速(4TH)状態では、主変速機構2は、フォワードクラッチCl、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチFl並びに第1のブレーキBlが係合した上述2速及び3速状態と同じであり、副変速機構5は、第4のブレーキB4を解放すると共にUDダイレクトクラッチC3が係合する。この状態では、第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3とサンギヤS3,S4が連結して、プラネクリギヤ10,11が一体回転する直結回転となる。従って、主変速機構2の2速と副変速機構5の直結(3速)が組合されて、自動変速機全体で、4速回転が出力ギヤ16から出力する。
【0038】
5速(5TH)状態では、フォワードクラッチCl及びダイレクトクラッチC2が係合して、入力軸3の回転がシンプルプラネタリギヤのリングギヤRl及びサンギヤSlに共に伝達されて、主変速機構2は、ギヤユニットが一体回転する直結回転となる。この際、第1のブレーキBlが解放されかつ第2のブレーキB2は係合状態に保持されるが第1のワンウェイクラッチFlが空転することにより、サンギヤS2は空転する。また、副変速機構5は、UDダイレクトクラッチC3が係合した直結回転となっており、従って主変速機構2の3速(直結)と副変速機構5の3速(直結)が組合されて、自動変速機全体で、5速回転が出力ギヤ16から出力する。
【0039】
更に、本自動変速機は、加速等のダウンシフト時に作動する中間変速段、即ち3速ロー及び4速ローがある。
【0040】
3速ロー状態は、フォワードクラッチCl及びダイレクトクラッチC2が接続し(第2ブレーキB2が係合状態にあるがワンウェイクラッチFlによりオーバランする)、主変速機構2はプラネタリギヤユニット15を直結した3速状態にある。一方、第5のブレーキB5が係止して副変速機構5は1速状態にあり、従って主変速機構2の3速状態と副変速機構5の1速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した2速と3速との問のギヤ比となる変速段が得られる。
【0041】
4速ロー状態は、フォワードクラッチCl及びダイレクトクラッチC2が接続して、主変速機構2は、上記3速ロー状態と同様に3速(直結)状態にある。一方、副変速機構5は、第4のブレーキB4が係合して、第1のシンプルプラネタリギヤ10のサンギヤS3及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のサンギヤS4が固定され、2速状態にある。従って、主変速機構2の3速状態と副変速機構5の2速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した3速と4速との間のギヤ比となる変速段が得られる。
【0042】
なお、図2において点線の丸印は、コースト時エンジンブレーキの作動状態を示す。即ち、1速時、第3のブレーキB3が作動して第2のワンウェイクラッチF2のオーバランによるリングギヤR2の回転を阻止する。また、2速時、3速時及び4速時、第1のブレーキB1が作動して第1のワンウェイクラッチFlのオーバランによるサンギヤSlの回転を阻止する。
【0043】
また、R(リバース)レンジにあっては、ダイレクトクラッチC2及び第3のブレーキB3が係合すると共に、第5のブレーキB5が係合する。この状態では、入力軸3の回転はダイレクトクラッチC2を介してサンギヤSlに伝達され、かつ第3のブレーキB3によりダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2が停止状態にあるので、シンプルプラネタリギヤのリングギヤRlを逆転方向に空転させながらキャリヤCRも逆転し、該逆転が、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。副変速機構5は、第5のブレーキB5に基づき第2のシンプルプラネクリギヤのキャリヤCR4が逆回転方向にも停止され、1速状態に保持される。従って、主変速機構2の逆転と副変速機構5の1速回転が組合されて、出力軸16から逆転減速回転が出力する。
【0044】
図1は、電気制御系を示すブロック図であり、21は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(ECU)で、エンジン回転センサ22、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度センサ23、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回転数(=タービン回転数)を検出するセンサ25、車速(=自動変速機出力軸回転数)センサ26及びシフトセンサ27からの各信号が入力しており、また油圧回路のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUに出力している。前記制御部21は、変速制御部21eを構成する解放側油圧を制御する解放側制御手段21aと、係合側油圧を制御する係合側制御手段21bとを有し、更に、変速状態判断手段21cとを備えている。
【0045】
図4は、油圧回路の概略を示す図であり、前記2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進5速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ29、30を有している。また、前記リニアソレノイドバルブSLS及びSLUの入力ポートal,a2にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートbl・b2からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ31,32の制御油室31a,32aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ31,32は、ライン圧がそれぞれ入力ポート31b,32bに供給されており、前記制御油圧にて調圧された出力ポート31c,32cからの調圧油圧が、それぞれシフトバルブ33,35を介して適宜各油圧サーボ29,30に供給される。
【0046】
なお、本油圧回路は、一方の摩擦係合要素を解放すると共に他方の摩擦係合要素を係合する、いわゆるクラッチツークラッチによる変速に係る基本概念を示すものであり、各油圧サーボ29,30及びシフトバルブ33,35は、象徴的に示すものであって、実際には、自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられているが、具体的には、3→2変速に際して第4のブレーキB4用油圧サーボ及び第5のブレーキB5用油圧サーボ、4→3変速に際しての第3のクラッチC3用油圧サーボ及び第4のブレーキB4用油圧サーボであり、また、これら油圧サーボヘの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。
【0047】
ついで、図9に沿って、パワーオン・ダウンシフトについて説明するに、まず図5及び図6に示すフローチャートに基づき、解放側油圧PAの制御について説明する。なお、具体的には、運転者がアクセルペダルを踏込んでトルクを要求するパワーオンダウンシフトであって、3−2変速する状態を示し、従って解放側摩擦係合要素は、B4ブレーキである。
【0048】
スロットル開度センサ23及び車速センサ26からの信号に基づき、制御部21の変速状態判断手段21cはマップによりダウンシフトを判断すると、該変速判断から所定遅れ時間後、解放側制御手段21aにより計時が開始されて変速制御が開始される(S1)。該開始時点(t=0)にあっては、解放側油圧PAが係合圧となっており、解放側摩擦係合要素が係合した状態にある。そして、入力トルクTtの関数により解放側トルクTA が算出される(S2)。該入力トルクTtは、マップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータの入出力回転数から速度比を計算し、該速度比によりマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。更に、該入力トルクにトルク分担率等が関与して上記解放側トルクTAが求められる。
【0049】
該解放側トルクTA から解放側の待機係合圧Pwが算出され(S3)、解放側油圧PAが該待機係合圧Pwになるようにリニアソレノイドバルブに制御信号を出力し(S4)、該入力トルク等に基づく解放側油圧の制御が所定時間tw経過するまで続行する(S5)。上記ステップS2からS4までが待機制御となるが、該待機制御時間twは、入力トルクTtにより変更される。
【0050】
そして、所定解放側油圧PAS及び上述と同様に解放側トルクTA が算出され(S7,S8)、更に該解放トルクTA に基づき目標油圧PTAが算出される(S9)。更に、余裕率(タイアップ度合)S11,S21により、ドライブフィーリングを考慮して解放側目標油圧PTAが算出される(S10)。なお、上記余裕率は、油温の相違により選択される多数のスロットル開度・車速マップにて求められるものであり、一般にS11>1.0,S21>0.0からなる。
【0051】
更に、予め設定された時間tTAにより、前記目標油圧PTAまでの勾配が、[(PTA−PAS)/tTA]により設定され、該勾配によりスイープダウンが行なわれる(S11)。即ち、パワーオン状態にあっては、比較的急な勾配からなるスイープダウンが行なわれ、解放側油圧PAが前記イナーシャ相開始時直前の目標油圧PTAになるまで続く(S12)。ついで、解放側油圧変化δPTAが、関数[δPTA=fδPTA (ωa)]に基づき算出される(S13)。なお、上記ωaは、出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)Nの回転変化開始時における目標とする目標入力軸回転変化率(目標回転加速度)である。そして、該油圧変化δPTAによる勾配で(第2の)スイープダウンが行なわれ(S14)、該スイープダウンは、パワーオン状態にあっては、変速開始前の入力軸回転数NS から、所定精度で回転変化量ΔNが検出される変速開始判定回転数まで続行される(S15)。上記ステップS7〜S14が初期変速制御であり、解放側摩擦係合要素はそのトルク容量を減じるが、変速は進行していない。
【0052】
ついで、予め設定された比較的低い勾配からなる所定油圧変化δPI による勾配にてスイープダウンする(S16)。該スイープダウンは、パワーオン状態にあって、解放側油圧PAが前記戻しスプリングの荷重圧より大きい場合、即ち解放側油圧サーボのトルク容量が0とならない場合、変速開始(回転変化開始)から変速完了するまでの全回転数変化量のaF[%]、即ち所定変速進行度まで行なわれる(S18)。なお、上記変速進行度は、回転変化開始時の入力軸回転数をNTS、該回転変化開始時から現在までのギヤ比に基づく入力軸回転数の変化量(一定回転による出力軸回転数に対する入力軸回転数の変化量)をΔN、変速前ギヤ比をgi 、変速後ギヤ比をgi+1 とすると、
[(ΔN×100)/(NTS/gi )・(gi+1 −gi )]
にて求められる。上記勾配δP1 でのスイープダウンが、イナーシャ相制御となり、ギヤ比に基づく入力軸回転数NT の変化が開始される。
【0053】
そして、入力軸回転数NT の変化が安定する所定変速進行度aF[%]、例えば20[%]が経過すると、目標値制御であるダウンシフトフィードバック制御(S20)が行なわれ、該フィードバック制御は、変速進行度が上記ダウンシフト完了となるギヤ比の全回転変化回転数近傍のa2[%]、例えば90[%]、従って、変速の終期まで続けられる(S21)。なお、後述する係合側油圧の制御との関係でサーボ起動制御時間tSEの終了まで(S23)、かつ係合側油圧PBが目標油圧PTBより大きくなるまで(S24)は、前記フィードバック制御(S20)は続行される。該ステップS20が、フィードバック制御となる。
【0054】
そして、上記a2[%]までの変速が終了して、変速の終期が判断されると、比較的急勾配からなる所定油圧変化δPFAが設定され、該勾配にてスイープダウンを行い(S25)、解放側油圧PAが0になることによりダウンシフト時の解放側油圧制御が完了する(S26)。上記ステップS25が完了制御となる。
【0055】
ついで、図7及び図8のフローチャート及び図9のタイムチャートに沿って、ダウンシフトにおける係合側油圧PBの制御について説明する。なお、具体的には、上述したように3−2ダウンシフトであり、従って係合側摩擦係合要素は、B5ブレーキであって、その油圧サーボの油圧PBは、(ロックアップ制御用)リニアソレノイドバルブSLUにて調圧制御される。
【0056】
まず、制御部21からのダウンシフト指令に基づき係合側制御手段21bにより計時が開始され(S30)、係合側油圧PBが所定圧PS1になるように所定信号をリニアソレノイドバルブSLUに出力する(S31)。該所定圧PS1は、油圧サーボの油圧室20を満たす(ファーストフィル)ために必要な油圧に設定されており、所定時間tSA保持される。これにより、係合側摩擦係合要素がガタ詰めされる。該所定時間tSAが経過すると(S32)、係合側油圧PBは、所定勾配[(PS1−PS2)/tSB]でスイープダウンし(S33)、係合側油圧PBが所定低圧PS2になると(S34)、該スイープダウンが停止され、該所定低圧PS2に保持される(S35)。該所定低圧PS2は、ピストンストローク圧以上でかつ入力軸の回転変化を生じさせない圧に設定されており、該所定低圧PS2は、計時tが所定時間tSE経過するまで保持される(S36)。上記ステップS31からS36までがサーボ起動制御となる。
【0057】
ついで、係合側トルクTB が解放側油圧PA及び入力トルクTtの関数[TB =fTB(PA,Tt)]により算定され(S37)、更に前記余裕率を勘案して、係合側トルクTB が、[TB =S1D×TB +S2D]にて算出される(S38)。そして、該係合側トルクTB から係合側油圧PBが算出される[PB=fPB(TB )](S39)。上記ステップS37〜S39が係合制御となる。そして、上記ステップS39による係合側入力トルクTB (解放側油圧PA及び入力トルクTtに依存する)に基づく係合側油圧PBによる制御が、ダウンシフトの全変速進行度のa1[%]、例えば70[%]まで続く(S40)。即ち、NTSを変速開始時の入力軸回転数、ΔNを回転変化量、gi を変速前ギヤ比、gi+1 を変速後ギヤ比とすると、
[(ΔN×100)/(NTS/gi )・(gi+1 −gi )]がa1[%]になるまで続けられる。
【0058】
ステップS40にて、上記全変速進行度のa1[%]を越えると、終期制御に入る。まず、係合側入力トルクTB から係合側目標圧PTBが算出され(S41)、また上記回転変化量a1[%]時点での係合側油圧PBがPLSBとして記憶される(S42)。これにより、予め設定されている所定時間tLEにより、所定勾配[(PTB−PLSB )/tLE]が算出され、比較的緩い該勾配にてスイープアップされ(S43)、該スイープアップは、係合側油圧が上記目標油圧PTBに達するまで継続される(S44)。上記ステップS41からS44までが終期制御となる。
【0059】
係合側油圧が上記目標油圧PTBに達したところで、更に、変速進行度が、変速の終期であるa2[%]、例えば90[%]に達しているかが判断され(S47)、完了制御の開始判断が行われる。変速進行度がa2[%]に達して、終期制御の完了、即ち、変速の終期が判断されると、ステップS48に入り、係合側の摩擦係合要素で変速後のトルク伝達を確保するための最低必要圧としてのトルク保持圧PTB’を計算する。
【0060】
次に、ステップS49で、係合側油圧PBを、PTBからδP1の急勾配で、通常の係合圧PEよりも低い、トルク保持圧PTB’まで上昇させ、係合側摩擦係合要素を急速に係合させる。なお、この係合圧PEは、係合側摩擦係合要素を係合保持できるライン圧相当の圧である。
【0061】
すると、サーボ起動制御に際して係合側摩擦係合要素への油圧の供給が適切に行われておらず、摩擦係合要素のガタ詰めが不十分で、ストローク不足となっている場合でも、急速な油圧の供給により、係合側摩擦係合要素はストローク不足状態が直ちに矯正されると共に、変速後の変速段におけるトルクが伝達可能な状態まで迅速に係合される。従って、入力軸回転数Nc1及び出力トルクToは、図10の破線「新(油圧遅れ)」に示すように、ストローク不足に起因するエンジン吹きが最小限に抑えられ、それに伴う出力トルクToの過度の上昇も少なくなる。
【0062】
なお、係合側摩擦係合要素のサーボ起動制御が通常通り行われた場合には、ストローク不足が生じないので、図10の実線「新旧通常」で示すように、摩擦係合要素は油圧サーボに供給される油圧がトルク保持圧PTB’まで急上昇する形で係合するが、係合動作は円滑に行われ、エンジン吹きやそれに伴うトルクの過度の上昇などが生じることはない。
【0063】
また、従来のように、例えば図10の破線Aで示すように、トルク保持圧PTB’を越える通常の係合圧PEまで係合側摩擦係合要素の油圧を勾配δPFで上昇させた場合には、ストローク不足が生じていると、図10の一点鎖線「旧(油圧遅れ)」に示すように、摩擦係合要素の係合遅れが顕著に生じ、係合を開始するまでの間にエンジン吹きが生じ、入力軸回転数Ncは大きく上昇し、同様に出力トルクToも過度に上昇する。油圧はエンジン吹きの状態に無関係に所定勾配δPFで係合圧PEまで上昇されるので、係合側摩擦係合要素は大きく上昇した入力軸回転数Ncを急激に引き戻す形で係合されて、出力トルクToも急激に減少し、シフトショックが生じる。
【0064】
このように、ステップS49、S50で、終期制御が終了した後に、所定のトルク保持圧PTB ’まで急勾配で油圧を上昇させ、係合側摩擦係合要素のサーボ起動制御時に生じる可能性のあるファーストフィルのばらつきに起因するストローク不足を吸収して、エンジン吹きの発生を防止したところで、ステップS51に入り、油圧をトルク保持圧PTB’から、δP1の急勾配よりも緩やかな緩勾配δP2でゆっくりと上昇待機させる。これにより係合側摩擦係合要素の油圧サーボに供給される油圧は、急激に上昇した後でトルク保持圧PTB’付近でバッファされる形で供給される。
【0065】
これにより、係合側摩擦係合要素は、解放側摩擦係合要素の解放に伴って、ストローク不足部分を短時間で通過すべく急速に係合動作に入るが、一旦、所定のトルク保持圧PTB’で係合したその後は、緩勾配δP2によりゆっくりと係合させ、急係合動作による急激な入力軸回転数及び出力トルクの変動を排除する。
【0066】
これにより、ストローク不足で多少エンジン吹きが生じた状態で係合した摩擦係合要素は、急激にその係合圧が高まるようなことが回避され、図10破線「新(油圧遅れ)」に示すように、入力軸回転数Nc及び出力トルクToに、大きな変動を生させることなく係合動作を行うことが出来る。
【0067】
こうして、ステップS52及びS53で、入力軸回転数Nc1が変速後の所定回転数に達し、更に緩勾配δP2によるスイープアップが所定時間経過したところで、ダウンシフト動作が終了する。以上、ステップS48からS52が完了制御である。
【0068】
このように、クラッチの掴み換えによるパワーオンダウンシフト時に、解放側摩擦係合要素を解放すると共に、係合側摩擦係合要素を係合させてトルクを解放側から係合側に受け渡す際に、係合側の油圧供給のばらつきに起因するストローク不足を、解放側の油圧をトルク保持圧にまで急勾配で上昇させ、その後緩勾配で待機させる制御は、上述した通常のパワーオンダウンシフト時に限らない。例えば、図11に示すように、エンジントルクが負となるコーストダウン時に、パワーオンダウンシフトが行われた場合など、係合側の摩擦係合要素の油圧サーボへの油圧供給がコーストダウンにより遅れ気味となっていた場合でも、トルク保持圧PTB’まで油圧を急勾配で上昇させることによりストローク不足部分を一気に解消し、更に、その後は油圧の急上昇の影響を排除する形で、緩勾配でのスイープアップとさせることにより、シフトショックのない円滑な係合動作が可能となる。
【0069】
更に、図12に示すように、アップシフト中にパワーオンダウンシフトが行われた場合も同様であり、アップシフトで解放された摩擦係合要素が再度係合される際に生じる係合側の油圧供給のばらつきに起因するシフトショックを未然に防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係わる電子制御部を示すブロック図。
【図2】図2は、本発明が適用される自動変速機の一例を示すスケルトン図。
【図3】図3は図2の自動変速機における摩擦係合要素の作動を示す図。
【図4】図4は摩擦係合要素の油圧回路の概略を示す図。
【図5】図5はダウンシフト解放側の制御態様の一例を示すフローチャート。
【図6】図6はダウンシフト解放側の制御態様の一例を示すフローチャート。
【図7】図7はダウンシフト係合側の制御態様の一例を示すフローチャート。
【図8】図8はダウンシフト係合側の制御態様の一例を示すフローチャート。
【図9】図9はパワーオンダウンシフト時における摩擦係合要素の基本的な駆動状態を示す基本タイムチャートの一例。
【図10】図10は、パワーオンダウンシフト時の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート。
【図11】図11は、コースト時にパワーオンダウンシフトが行われた際の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート。
【図12】図12は、アップシフト中に、パワーオンダウンシフトが行われた際の、摩擦係合要素の駆動状態、入力軸回転数及び出力トルクの状態を、本発明及び従来技術について比較したフローチャート。
【符号の説明】
1……自動変速機
21……制御部
δP1……急勾配
δP2……緩勾配
PTB’……トルク保持圧
Nc1……入力軸回転数
To……出力トルク
Claims (1)
- エンジンからの回転が入力される入力軸、車軸に接続される出力軸、前記入力軸と出力軸との間に配置された複数の変速要素、それら複数の変速要素を係止、係止解除自在に設けられた複数の摩擦係合要素を有し、それら摩擦係合要素を操作することにより、ダウンシフト変速動作を行うことが出来る自動変速機の制御装置において、
解放側摩擦係合要素を解放動作を開始すると共に、係合側摩擦係合要素の係合動作することにより、所定の変速段にダウンシフトを行うに際して、前記解放側摩擦係合要素の油圧サーボの解放側油圧を、入力軸の回転数の変化に基づきフィードバック制御すると共に、前記係合側摩擦係合要素の油圧サーボの係合側油圧を、前記係合側摩擦係合要素が担持する係合側入力トルクに基づき算出された係合側目標圧に向ってスイープアップし、
前記解放側油圧のフィードバック制御と係合側油圧のスイープアップによる終期制御により変速進行が完了に近い所定割合に達した後の完了制御において、前記解放側油圧を所定勾配で解放すると共に、前記係合側油圧を、通常の係合圧より低くかつ係合側摩擦係合要素の変速後のトルク伝達を確保するために必要とする圧であるトルク保持圧に向けて急勾配で上昇し、その後予め設定された緩勾配にて変速完了時間まで上昇した後、前記係合圧に昇圧して前記所定変速段へのダウンシフトを完了してなる、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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