JP4123103B2 - スタータ - Google Patents
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Description
日本電装公開技報整理番号23−056(1981年7月20日)
請求項1に記載の発明によれば、エンジン始動用のスタータは、慣性により生ずるピニオンの回転遅れとヘリカルスプラインによる推力とにより、ピニオンが前方へ飛び出しリングギヤに噛み合う慣性飛び込み式であり、アーマチャコイルおよび界磁極を内包する筒状のヨークを、フロントハウジングとエンドフレームとで挟み込むとともに、スルーボルトで締め付けることにより構成されている。フロントハウジングは、エンジンの所定位置に取り付けられる略円環状のフランジを備え、このフランジは、フランジの外周縁から外側に膨出するとともにエンジンの所定位置へ取り付けられる取付部と、スルーボルトにより締め付けられる締付部とを有している。そして、この締付部は、取付部の近傍であって、この取付部の最外周縁よりも内周側に設けられ、締付部の前面は、内燃機関への取付面であるフランジの前面と同一の平面上にある。
これにより、締付部、すなわちスルーボルトのネジ部が螺合するネジ穴を備えた台座部が、過度にエンジン側に膨出しないので、エンジン側部品と干渉を起こさなくなる(以降、締付部を台座部と呼ぶ)。また、台座部自体の強度を向上することができるとともに、フランジの強度も向上することができ耐振動性の向上を図ることができる。
さらに、締付部の前面を、エンジンへの取付面であるフランジの前面と同一の平面とすることにより、エンジンとフロントハウジングとの接触面積が増加するので、更なる耐振動性の向上を図ることができる。
これにより、台座部および取付部の強度をさらに向上することができる。また、フランジの強度もさらに向上することができ、さらなる耐振動性の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、スタータの界磁極は、希土類金属を含有する永久磁石からなる。
これにより、スタータにおいて、エネルギー積の大きな永久磁石を用いることにより、ギャップを所定値に保ったまま界磁極を径方向に薄くしてヨーク外径を縮小することができる。また、スルーボルトがヨークの外側に配置されているので、従来のようにスルーボルトを通す作業が磁石の吸引により妨げられることがない。このため、界磁極のエネルギー積が大きくなっても、スムーズにスルーボルトを通すことができる。さらに、スルーボルトがヨークの外側に配置されているので、ギャップを所定値に保ったまま界磁極を径方向に薄くしても、スルーボルトとアーマチャコイルの外周とが立体的に干渉することがない。このため、スルーボルトを従来よりも小径にする必要がなくなるので、耐振動性を従来どおり維持することができる。
請求項3に記載の発明によれば、取付部と回転軸とを垂直に結ぶ線分と、台座部と回転軸とを垂直に結ぶ線分とがなす角度をX°としたとき、10≦X≦30の関係を満たす。
これにより、台座部は、取付部の近傍に確実に配置され、台座部の強度向上が確実に行われる。
請求項4に記載の発明によれば、エンドフレームは、回転軸に垂直な方向に締め付けられるとともに、エンジンの所定位置にネジ止めされるステーを有し、このステーに設けられたネジ挿通穴は、回転軸方向に伸びる長穴である。
これにより、フロントハウジングおよびエンドフレームの両方をエンジン側に固定する場合であっても、ステーの長穴により、エンドフレーム側のステーとエンジン側の取付部との間で段差が発生するのを防止することができる。このため、スタータを確実にエンジンに取り付けることができ、スルーボルトへの偏荷重を抑えることができる。
請求項5に記載の発明によれば、長穴の回転軸方向の長さは、フロントハウジング、エンドフレーム、およびヨークの回転軸方向における公差を合計した値よりも大きい。
これにより、ステーとエンジン側の取付部との段差の発生要因であるフロントハウジング、エンドフレーム、およびヨークの回転軸方向の寸法ばらつきを吸収することができる。
請求項6に記載の発明によれば、フランジをエンジンの所定位置に仮止めした後、ステーをエンジンの所定位置にネジ止めして固定し、その後、フランジを固定することにより、スタータを組み付ける。
これにより、スルーボルトへの偏荷重を防止しながら、スタータの組み付けを行うことができる。
本実施例のスタータ1を図面に基づいて説明する。本実施例のスタータ1は、エンジンを始動するエンジン始動用スタータであって、バッテリ(図示せず)から電力の供給を受けることにより作動する直流電動機である。また、本実施例のスタータ1は、ピニオン2の慣性により生ずるピニオン2のアーマチャシャフト3に対する回転遅れと、ヘリカルスプライン4による推力とにより、ピニオン2が前方へ飛び出しリングギヤ(図示せず)に噛み込む慣性飛び込み式スタータである。なお、以下の説明では、アーマチャシャフト3の回転軸方向のピニオン2寄りを前方、コンミテータ5寄りを後方とし、前後方向はこれに従うものとする。また、アーマチャシャフト3の回転軸を、単に回転軸と呼ぶ。
本実施例のスタータ1をエンジンに組み付ける組付方法を説明する。まず、フロントハウジング18のフランジ31をエンジンの所定位置に配置し、取付部30のネジ穴と所定のボルト(図示せず)のネジ部とを螺合させることにより、フランジ31をエンジン側に仮止めする。次に、エンドフレーム25のステー38をエンジンの所定位置に配置し、エンジン側に設けられたネジ穴と所定のボルト(図示せず)のネジ部とを螺合させることにより、ステー38をエンジン側に締め付けて固定する。その後、フランジ31において、取付部30のネジ穴とボルト(図示せず)のネジ部との螺合を再開して、フランジ31をエンジン側に締め付けて固定する。以上により、本実施例のスタータ1がエンジンに組み付けられる。
本実施例のスタータ1の作用を説明する。キースイッチ(図示せず)がONされる前は、図1(b)に示すごとく、ピニオン2を含むクラッチは、ピニオン2の前端部を除いて周壁部27の円筒内に内包されている。キースイッチがONされてバッテリからモータ部に電力が供給されると、アーマチャシャフト3が回転を始める。このアーマチャシャフト3の回転開始に対し、ピニオン2を含むクラッチは慣性のため遅れて回転を始める。この回転開始遅れとヘリカルスプライン4の推力とにより、クラッチはリターンスプリング14の付勢力に抗して前方へ飛び出し、ピニオン2のギヤとリングギヤとが噛み合う。これにより、エンジンが始動する。一方、ピニオン2を含むクラッチの前進は、ピニオン2の前端面がピニオンストッパ13の後端面に突き当たることにより規制される。
本実施例のスタータ1のフランジ31には、フランジ31の外周縁から外側に膨出するとともにエンジンの所定位置へ取り付けられる取付部30と、スルーボルト26により締め付けられる締付部としての台座部33とが備えられている。そして、この台座部33は、取付部30の近傍であって、この取付部30の最外周縁よりも内周側に設けられている。また、台座部33の前面は、エンジンへの取付面であるフランジ31の前面と同一の平面上にある。
これにより、スルーボルト26のネジ部が螺合するネジ穴を備えた台座部33が、過度にエンジン側に膨出しないので、エンジン側部品と干渉を起こさなくなる。また、台座部33自体の強度を向上することができるとともに、フランジ31の強度も向上することができ耐振動性の向上を図ることができる。さらに、台座部33の前面を、フランジ31の前面と同一の平面とすることにより、エンジンとフロントハウジングとの接触面積が増加するので、更なる耐振動性の向上を図ることができる。
これにより、台座部33および取付部30の強度をさらに向上することができる。また、フランジ31の強度もさらに向上することができ、さらなる耐振動性の向上を図ることができる。
これにより、スタータ1において、エネルギー積の大きな永久磁石を用いることにより、ギャップを所定値に保ったまま界磁極8を径方向に薄くしてヨーク7の外径を縮小することができる。また、スルーボルト26がヨーク7の外側に配置されているので、従来のようにスルーボルト26を通す作業が磁石の吸引により妨げられることがない。このため、界磁極8のエネルギー積が大きくなっても、スムーズにスルーボルト26を通すことができる。さらに、スルーボルト26がヨーク7の外側に配置されているので、ギャップを所定値に保ったまま界磁極8を径方向に薄くしても、スルーボルト26とアーマチャコイル6の外周とが立体的に干渉することがない。このため、スルーボルト26を従来よりも小径にする必要がなくなるので、耐振動性を従来どおり維持することができる。
これにより、台座部33は、取付部30の近傍に確実に配置され、台座部33の強度向上が確実に行われる。
これにより、フロントハウジング18およびエンドフレーム25の両方をエンジン側に固定する場合であっても、ステー38のネジ挿通穴39により、エンドフレーム25側のステー38とエンジン側の取付部との間で段差が発生するのを防止して、取付時の軸方向の拘束を抑制することができる。このため、スタータ1を確実にエンジンに取り付けることができ、スルーボルト26への偏荷重を抑えることができる。
これにより、ステー38とエンジン側の取付部との段差の発生要因であるフロントハウジング18、エンドフレーム25、およびヨーク7の回転軸方向の寸法ばらつきを吸収することができる。
これにより、スルーボルト26への偏荷重を防止しながら、スタータ1の組み付けを行うことができる。
本実施例では、取付部30および台座部33はともにネジ山を有する螺合穴であったが、回転軸方向に貫通した貫通穴でもよい。この場合、スルーボルト26等のネジ部がこれらの貫通穴を貫通するとともにナットなどと螺合することにより、ヨーク7やフランジ31が所定の方向に締め付けられる。
本実施例では、2本のスルーボルト26でヨーク7を締め付けたが、3本以上のスルーボルト26を用いてヨーク7を締め付けてもよい。
本実施例では、界磁極8に用いる永久磁石として、ネオジウム−鉄−ボロン磁石を用いたが、一般的なフェライト磁石を用いてもよい。
2 ピニオン
3 アーマチャシャフト
4 ヘリカルスプライン
6 アーマチャコイル
7 ヨーク
8 界磁極
13 ピニオンストッパ
14 リターンスプリング
17 クラッチアウタ
18 フロントハウジング
20 クラッチインナ
21 クラッチローラ
25 エンドフレーム
26 スルーボルト
30 取付部
31 フランジ
33 台座部(締付部)
34 第1連結曲面
35 第2連結曲面
36 第3連結曲面
38 ステー
39 ネジ挿通穴
Claims (6)
- 慣性により生ずるピニオンの回転遅れとヘリカルスプラインによる推力とにより、ピニオンが前方へ飛び出しリングギヤに噛み合う慣性飛び込み式の内燃機関始動用のスタータであって、
アーマチャコイルおよび界磁極を内包する筒状のヨークと、
このヨークの一端側に配され、内燃機関の所定位置に取り付けられる略円環状のフランジを有するフロントハウジングと、
前記ヨークの他端側に配され、前記フロントハウジングとともに前記ヨークをアーマチャの回転軸と同軸的に挟み込むエンドフレームと、
前記回転軸と平行して前記ヨークの外側に配置されるとともに、前記エンドフレームと前記フロントハウジングとの間に、前記ヨークを回転軸方向に締め付けるスルーボルトとを備え、
前記フランジは、前記フランジの外周縁から外側に膨出するとともに前記内燃機関の所定位置へ取り付けられる取付部と、前記スルーボルトにより締め付けられる締付部とを具備し、
この締付部は、前記取付部の近傍であって、前記取付部の最外周縁よりも内周側に設けられ、
前記締付部の前面は、前記内燃機関への取付面である前記フランジの前面と同一の平面上にあり、
前記締付部は、前記フランジの外周縁から外側に膨出しており、
前記締付部の外縁と前記取付部の外縁とが連なる第1連結曲面の曲率半径が、前記取付部の外縁と前記フランジの外周縁とが連なる第2連結曲面の曲率半径、および前記締付部の外縁と前記フランジの外周縁とが連なる第3連結曲面の曲率半径よりも大きいことを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載のスタータにおいて、
前記界磁極は、希土類金属を含有する永久磁石からなることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載のスタータにおいて、
前記取付部と前記回転軸とを垂直に結ぶ線分と、前記締付部と前記回転軸とを垂直に結ぶ線分とがなす角度をX°としたとき、10≦X≦30の関係を満たすことを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載のスタータにおいて、
前記エンドフレームは、前記回転軸に垂直な方向に締め付けられるとともに、前記内燃機関の所定位置にネジ止めされるステーを有し、
このステーに設けられたネジ挿通穴は、回転軸方向に伸びる長穴であることを特徴とするスタータ。 - 請求項4に記載のスタータにおいて、
前記長穴の回転軸方向の長さは、前記フロントハウジング、前記エンドフレーム、および前記ヨークの回転軸方向における公差を合計した値よりも大きいことを特徴とするスタータ。 - 請求項4に記載のスタータの内燃機関への組付方法において、
前記フランジを前記内燃機関の所定位置に仮止めした後、前記ステーを前記内燃機関の所定位置にネジ止めして固定し、その後、前記フランジを固定することを特徴とするスタータの組付方法。
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