JP4120422B2 - 交差偏波間干渉補償器回路リセット方法および交差偏波間干渉除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交差偏波伝送方式を用いるデジタルマイクロ波通信方式に関し、特に、交差偏波間の干渉成分を除去する交差偏波間干渉補償器回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
交差偏波伝送方式を用いるデジタルマイクロ波通信方式においては、互いに直交するV偏波とH偏波が同じ周波数を使用するため、アンテナや空間の偏波面の直交性が不完全な場合、V偏波からH偏波あるいは、H偏波からV偏波への信号の漏れ込みが発生する。この漏れ込みは、交差偏波間干渉と呼ばれ、信号の伝送品質に悪影響を与える。
【0003】
特に両偏波伝送方式とQAMなどの多値変復調方式を併用している場合は、影響が顕著であるため、交差偏波間干渉補償器(XPIC:Cross Polarization Interference Canceller)を用いて、干渉成分除去が行われる。
【0004】
従来、自偏波及び異偏波(XPICにおいて対象とする偏波を自偏波、またそれと直交するように偏波された電波を異偏波と定義する)が共に同期している時(キャリアが引き込み、信号が正常に復調されている状態)には、このXPIC回路をオート状態(XPIC回路が正常に動作している状態)にして干渉成分の除去を行い、同期外れ(キャリアが外れ、信号が正常に復調できない状態)の時にはXPIC回路をリセット状態(XPIC回路が停止している状態)にして干渉成分の除去を行わないようにしている(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0005】
図7は、従来の交差偏波間干渉補償器を用いたデジタルマイクロ波通信装置における復調回路の一例を示すブロック図である。図7において、V偏波、H偏波それぞれの構成は同一であるため、以下の説明では、V偏波を自偏波信号、H偏波を異偏波信号として説明する。
【0006】
送信されてきた自偏波信号は、端子1に入力され、乗算器5で周波数変換された後、低域ろ波器11及びA/D変換器15を通りデジタル信号に変換される。このデジタル信号と数値演算制御発振器(NCO:Numerical Controlled Oscillator)21で生成したキャリア信号とを無限位相器(EPS:Endless Phase Shifter)20に入力し周波数変換を行い、ベースバンド信号を復調する。キャリア同期制御器22は、判定回路39で生成した誤差信号を基に位相制御信号を生成し、NCO21で発生する二次キャリア信号の周波数制御を行う。無限位相器20とNCO21とキャリア同期制御器22とによって復調器19を構成している。
【0007】
また、端子3に入力された異偏波信号は、乗算器6で周波数変換された後、低域ろ波器12及びA/D変換器16を通りデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、自偏波側と共通のNCO21で生成したキャリア信号と共に無限位相器28に入力し、周波数変換されてXPIC参照信号となる。このXPIC参照信号とタップ係数制御回路30で生成されたXPICのタップ係数とがトランスバーサルフィルタ29の入力となり、異偏波の複製信号が生成される。無限位相器28とトランスバーサルフィルタ29とタップ係数制御回路30とにより交差偏波間干渉補償器(XPIC)27を構成している。
【0008】
そして、自偏波ベースバンド信号から異偏波干渉成分の複製信号を加算器35で減算して取り除くことにより交差偏波干渉を除去する。OR回路43は、自偏波の判定回路39による同期非同期情報と異偏波の判定回路40による同期非同期情報を入力し、XPIC回路27の制御を行う。
【0009】
自偏波及び異偏波が同期している時には、OR回路43の出力によりXPIC回路27がオート状態となり、異偏波成分の干渉除去動作が行われる。一方、自偏波、若しくは異偏波の少なくとも一方の同期が外れた場合には、判定回路39及び判定回路40の同期非同期情報のOR出力により、XPIC回路27がリセットされ、異偏波成分の干渉除去動作が停止される。即ち、図8のように自偏波と異偏波が同期している場合以外は、XPIC回路27はリセットされる。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−147437号公報
【特許文献2】
特開平10−303847号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、互いに直交する自偏波(例えばH偏波)と異偏波(例えばV偏波)のD/U比(主波と干渉波のレベル比)とそれに対する各偏波受信信号の同期引き込み範囲を示す図であり、上記従来の方法では、XPICの引き込み特性が図9の点線のようになってしまい、漏れ込み量が多い場合には同期状態に引き込めないという問題がある。これは、同期引き込みされるまではXPIC回路27が常にリセット状態であるので、自偏波及び異偏波が互いに漏れ込んでいる場合、異偏波成分を除去することができず、判定回路39から同期情報が出力されないためである。
【0012】
そのため特許文献1、2では、XPICのリセットを間欠的に解除することにより間欠リセット信号を送出し、自偏波が同期状態となった時点で間欠リセットを解除してリセット信号をそのまま送出するように切り換える手段を設けることによって、交差偏波干渉が改善されたときに同期引き込みをし易くし、正常動作状態への早期復帰を図っているが、これらの構成でも以下のような問題がある。
【0013】
上記特許文献記載の構成により間欠リセット信号が送出されている状態において、自偏波が異偏波に、異偏波が自偏波に漏れ込んでいるときに、自偏波が同期外れから同期に変化した直後、XPIC回路をリセット状態にすると、異偏波成分を除去することができなくなるため、再び同期が外れてしまうことがある。
【0014】
また、自偏波が同期直後にXPIC回路をオート状態に変化させた場合、自偏波は同期状態を保つが、XPIC回路がオート状態であるため、XPIC回路のタップ係数制御回路が動作し、そのためXPICのタップ係数(自偏波そのもの)が大きくなってしまう。そのため、XPIC回路をオート状態からリセット状態に変化させた瞬間に、自偏波の成分に影響を及ぼし、自偏波が再び外れてしまう場合がある。
【0015】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、自偏波から異偏波、及び異偏波から自偏波へ漏れ込みが大きくても安定した同期をとることが可能な交差偏波間干渉補償器回路リセット方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の交差偏波間干渉補償器回路リセット方法は、自偏波及び異偏波が非同期状態の時に、交差偏波間干渉補償回路(XPIC回路)を第1間欠リセット状態とし、該第1間欠リセット状態において自偏波が同期状態に変化したとき前記XPIC回路をリセット状態とし、該リセット状態において自偏波が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を第2間欠リセット状態とし、該第2間欠リセット状態において自偏波が同期状態に変化したとき、該変化時点から所定時間前記XPIC回路をオート状態とし、該所定時間内に異偏波が同期状態に変化したときには、前記XPIC回路をオート状態に保持し、前記所定時間内に異偏波が同期状態とならないときは、前記XPIC回路を再度リセット状態に切り換えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の交差偏波間干渉除去装置は、それぞれが、送信されてきた自偏波信号から自偏波ベースバンド信号を復調する復調器と、送信されてきた異偏波信号から異偏波の複製信号を生成する交差偏波間干渉補償回路(XPIC回路)と、前記自偏波ベースバンド信号から前記異偏波の複製信号を減算して交差偏波干渉を除去する加算器と、該加算器の出力から自偏波の同期非同期を判定する判定回路と、自偏波側の前記判定回路及び異偏波側の前記判定回路からの同期非同期判定結果を入力して、前記XPIC回路をオート状態またはリセット状態に切り換え制御するXPICリセット信号生成回路とを備えた交差偏波間干渉除去装置において、前記XPICリセット信号生成回路は、前記自偏波側及び異偏波側の判定結果が何れも同期外れ時には前記XPIC回路を第1間欠リセット状態に制御し、該第1間欠リセット状態において自偏波側の判定結果が同期状態に変化したとき前記XPIC回路をリセット状態に制御し、該リセット状態において自偏波側の判定結果が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を第2間欠リセット状態に制御し、該第2間欠リセット状態において自偏波側の判定結果が同期状態に変化したとき、該変化時点から所定時間前記XPIC回路をオート状態に制御し、該所定時間内に異偏波側の判定結果が同期状態に変化したときには、前記XPIC回路をオート状態に保持し、前記所定時間内に異偏波側の判定結果が同期状態とならないときは、前記XPIC回路を再度リセット状態に切り換え制御することを特徴とする。
【0018】
本発明では、自偏波及び異偏波が同期外れ時には、XPIC回路を間欠リセット状態とし、さらに、この状態から自偏波が同期外れから同期に変化した直後は、XPIC回路をリセット状態とする場合とオート状態にする場合とを交互に繰り返すことにより、異偏波の引き込みをし易くする。
【0019】
その結果、XPICの引き込み特性は、従来では図9の点線のようであったが、本発明のリセット方法によって図9の実線のようになり、自偏波、異偏波のお互いの漏れ込みが大きい場合でも引き込むことが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示す交差偏波間干渉補償器を用いたデジタルマイクロ波通信装置における復調回路のブロック図である。図1において、XPICを用いた復調回路の構成は、V偏波、H偏波それぞれ同一の構成であるので、V偏波の構成に関して説明する。
【0021】
送信されてきた自偏波信号は、端子1に入力され、乗算器5で周波数変換された後、低域ろ波器11及びA/D変換器15を通りデジタル信号に変換される。このデジタル信号と数値演算制御発振器(NCO)21で生成したキャリア信号とを無限位相器(EPS)20に入力し周波数変換を行い、ベースバンド信号を復調する。
【0022】
キャリア同期制御器22は、判定回路39で生成した誤差信号を基に位相制御信号を生成し、NCO21で発生する二次キャリア信号の周波数制御を行う。また、端子3に入力された異偏波信号は、乗算器6で周波数変換された後、低域ろ波器12及びA/D変換器16を通りデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、自偏波側と共通のNCO21で生成したキャリア信号と共に無限位相器28に入力し、周波数変換されてXPIC参照信号となる。
【0023】
このXPIC参照信号とタップ係数制御回路30で生成されたXPICのタップ係数とがトランスバーサルフィルタ29の入力となり、異偏波の複製信号が生成される。そして、自偏波ベースバンド信号から異偏波干渉成分の複製信号を加算器35で減算して取り除くことにより交差偏波干渉を除去する。さらに、XPICリセット信号生成回路37に自偏波の判定回路39による同期非同期情報及び異偏波の判定回路40による同期非同期情報を入力し、XPIC回路27の制御を行う。
【0024】
図1に示した回路は準同期検波と呼ばれる復調方式を用いる場合の構成である。次に、図1の復調回路の動作について説明する。V偏波の復調回路とH偏波の復調回路構成及び動作は同じであるので、以下では、主にV偏波の復調回路についての動作について説明する。
【0025】
端子1から入力した自偏波(V偏波)のIF信号は、ローカル発振器9の出力を用いて乗算器5で周波数変換され、その後、低域ろ波器11で高調波成分を除去され、さらにA/D変換器15で量子化されデジタル信号に変換される。このデジタル信号とNCO21で生成した二次キャリア信号とをEPS20に入力し周波数変換を行い、ベースバンド信号を復調する。キャリア同期制御器22は、判定回路39で生成した誤差信号を基に位相制御信号を生成し、NCO21で発生する二次キャリア信号の周波数制御を行う。
【0026】
また、端子3から入力した異偏波(H偏波)のIF信号は、自偏波との共通のローカル発振器9の出力を用いて乗算器6で周波数変換され、その後低域ろ波器12で高調波成分を除去され、A/D変換器16で量子化されデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、さらに自偏波側と共通のNCO21で生成した二次キャリアと共に無限位相器28に入力し、周波数変換されてXPIC参照信号となる。このXPIC参照信号とタップ係数制御回路30で生成されたXPICのタップ係数とがトランスバーサルフィルタ29の入力となり、空間で受けた異偏波からの干渉成分の複製信号が生成される。
【0027】
そして、自偏波ベースバンド信号から異偏波干渉成分の複製信号を加算器35で減算して取り除くことにより交差偏波干渉除去を行う。XPICリセット信号生成回路37は、自偏波の判定回路39で生成される同期非同期情報及び、異偏波の判定回路40で生成される同期非同期情報を基に制御信号を生成し、XPIC回路27を制御する。
【0028】
図2は、XPICリセット信号生成回路37の制御フローを示しており、自偏波及び異偏波が同期時には、XPICリセット信号生成回路37からは、XPIC回路27をオート状態になるように制御信号が出力される。また、自偏波か異偏波の何れか一方、若しくは、自偏波と異偏波の両方が非同期時(図2の▲1▼〜▲3▼の状態)には、次に記載するように、XPIC回路27がオート状態、またはリセット状態になるように制御信号が出力される。
【0029】
図3〜図6は、図2の▲1▼〜▲3▼の状態、即ち自偏波及び異偏波が共に非同期あるいは何れかが非同期の場合におけるXPIC回路のリセット方法を示すタイムチャート及びフロー図である。以下、本実施形態のXPIC回路の▲1▼〜▲3▼の状態におけるリセット方法について説明する。
【0030】
▲1▼自偏波及び異偏波が共に非同期の場合
【0031】
自偏波および異偏波が共に同期が外れている場合は、図3のAの部分のように間欠リセットをかける。この間欠リセットパルスにおけるリセット時間(T1)は、復調器の引き込み時間(V偏波、H偏波のお互いの漏れ込みがないときに、復調器へ入力が開始された時から同期になるまでの時間)より長くする。
【0032】
自偏波および異偏波が共に同期が外れている場合に、XPIC回路27をオート状態で保持せず、間欠リセット状態にするのは、XPIC参照信号とタップ係数制御回路30で生成されたXPICのタップ係数が発散してしまうことにより、自偏波が同期しにくくなることを防ぐためである。逆に、XPIC回路27をリセット状態で保持しないのは、自偏波に異偏波が漏れ込んでいるときに、XPIC回路27で異偏波の複製信号を生成し、加算器35に加えることで干渉波除去を行い、自偏波を引き込み易くするためである。
【0033】
また、間欠リセットパルスにおけるリセット時間を引き込み時間より長くするのは、次の理由による。
【0034】
自偏波が異偏波に漏れ込んでいる状態で、異偏波の送信信号が断となったとすると、自偏波の復調回路のXPIC回路27には、自偏波の成分のみが入力される。このとき、XPIC回路27で複製される信号は、自偏波そのものであるので、この複製信号を加算器35に加えると、自偏波が除去されてしまい、自偏波が同期状態にならないことがある。
【0035】
このため、XPIC回路27のリセット時間(T1)を復調回路の引き込み時間より長くとることにより、XPIC回路27で複製される信号が自偏波と同じ信号であっても、XPIC回路27がリセット中に自偏波の同期がとれるようにするためである。
【0036】
次に、自偏波が同期外れから同期状態に変化したときには、自偏波が同期状態に変化した直後(異偏波は同期外れのまま)は、図4のフローに従って、同期直後にXPIC回路をオート状態に保つ図3のBの動作と同期直後にXPIC回路をリセットする図3のCの動作を交互に行う。
【0037】
図3のBのように自偏波が同期直後、暫くの間、XPIC回路27をオート状態に保つのは、次の理由による。
【0038】
自偏波が異偏波に、異偏波が自偏波に漏れ込んでいるときに、自偏波が同期外れから同期に変化した直後、XPIC回路27をリセット状態にすると、異偏波成分を除去することができなくなるため、再び同期が外れてしまうことがある。そこで、XPIC回路27をオート状態に保ち、XPIC回路27がオート状態の間に異偏波が同期をとれるようにする。
【0039】
オート状態の間に異偏波が同期すれば、XPIC回路27は、リセット状態になることなくオート状態を保ち続けることができ、自偏波も同期したままとなる。このことによって、自偏波が同期後、直ちにXPIC回路をリセットする場合より、漏れ込み量が大きくても引き込むようにすることができる。XPIC回路をオート状態に保つ時間は、XPICの引き込み特性(図9)を測定して決定する。
【0040】
時間を長くしても、ある時間以上では、特性は、ほとんど改善されないので、最適なオート時間内に引き込まない場合は、XPIC回路27をリセット状態にする(通常、異偏波が同期外れのときは、自偏波が異偏波に漏れ込んでいる状態で、異偏波が信号断となっており、XPIC回路27には、自偏波そのものが入力している場合があるので、異偏波が同期外れのままのときは、XPIC回路27は、リセット状態にする。)。
【0041】
また図3のCのように自偏波が同期直後にXPIC回路27をリセット状態にするのは、次の理由による。
【0042】
自偏波が異偏波に漏れ込んでいる状態で、異偏波が信号断となったとすると、自偏波の復調回路のXPIC回路27には、自偏波の成分のみが入力される。このとき、XPIC回路27で複製される信号は、自偏波そのものである。先に記載したように、このような場合、XPIC回路27は間欠リセットとすることにより、リセットの間に引き込むようにしている。
【0043】
自偏波が同期直後にXPIC回路27をオート状態に変化させても、自偏波は同期状態を保つが、XPIC回路27がオート状態であるため、XPIC回路27のタップ係数制御回路30が動作し、XPICのタップ係数(自偏波そのもの)が大きくなってしまう。そのため、XPIC回路27をオート状態からリセット状態に変化させた瞬間に、自偏波の成分に影響を及ぼし、自偏波が再び外れてしまう場合がある。そこで、XPIC回路27のタップ係数が大きくなる前に、XPIC回路27をリセット状態にする必要がある。
【0044】
BとCの動作は相反するものであるので、どちらの場合にも対応できるようにするために、自偏波が同期直後のXPIC回路27の状態としては、BとCを交互に繰り返すようにする。
【0045】
▲2▼自偏波のみが非同期の場合
【0046】
XPIC回路27は図5のような間欠リセットをかける。XPIC回路27をAUTO状態にせず、間欠リセットをかけるのは、XPIC参照信号とタップ係数制御回路30で生成されたXPICのタップ係数が発散して、自偏波が同期しにくくなることを防ぐためである。間欠リセットのリセットパルス幅(T2)は、タップ係数を初期化するためにリセットを行うので、短いパルスでも問題ない。
【0047】
▲3▼異偏波のみが非同期の場合
【0048】
XPIC回路27は、図6のようにリセット状態とする。これは、先に説明したように、異偏波が同期外れのときは、自偏波が異偏波に漏れ込んでいる状態で、異偏波が信号断になっており、XPIC回路27には、自偏波そのものが入力している場合があるので、XPIC回路27は、リセット状態にする。
【0049】
なお、本実施形態の回路は準同期検波と呼ばれる復調方式を用いる場合の構成であるが、本発明はDEMの復調方式によらないので、同期DEMでも実現可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、自偏波から異偏波、及び異偏波から自偏波へ漏れ込みが大きくても同期することが可能になる。
【0051】
即ち、自偏波同期後、暫くの間は、XPIC回路をオート状態にすることによって、自偏波の同期を保持しつつ異偏波が同期するのを待ち、オート状態の間に異偏波が同期すれば、自偏波の同期が再び外れることはなくなる。その結果として、XPIC回路を自偏波同期後、即リセットする場合に比べて、お互いの偏波の漏れ込みが大きくても同期することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す交差偏波間干渉補償器を用いたデジタルマイクロ波通信装置における復調回路のブロック図である。
【図2】本実施形態におけるXPICリセット信号生成回路の制御フローを示す図である。
【図3】自偏波及び異偏波が共に非同期の場合におけるXPIC回路のリセット方法を示すタイムチャートである。
【図4】自偏波が同期した直後のXPIC回路の動作フローを示す図である。
【図5】自偏波のみが非同期の場合におけるXPIC回路のリセット方法を示すタイムチャートである。
【図6】異偏波のみが非同期の場合におけるXPIC回路のリセット方法を示すタイムチャートである。
【図7】従来の交差偏波間干渉補償器を用いたデジタルマイクロ波通信装置における復調回路の一例を示すブロック図である。
【図8】従来例(図7)におけるXPIC回路の制御フローを示す図である。
【図9】XPICの引き込み特性を示す図である。
【符号の説明】
1 V偏波の自偏波IF信号入力端子
2 H偏波の自偏波IF信号入力端子
3 H偏波の異偏波IF信号入力端子
4 V偏波の異偏波IF信号入力端子
5−8 乗算器
9,10 一次キャリア発振器
11−14 低域ろ波器
15−18 A/D変換器
19 復調器
20 無限位相器(EPS:Endless Phase Shifter)
21 数値演算制御発振器(NCO:Numerical Controlled Oscillator)
22 キャリア同期制御器
23 復調器
24 無限位相器(EPS:Endless Phase Shifter)
25 数値演算制御発振器(NCO:Numerical Controlled Oscillator)
26 キャリア同期制御器
27 XPIC回路
28 無限位相器(EPS:Endless Phase Shifter)
29 トランスバーサルフィルタ
30 タップ係数制御回路
31 XPIC回路
32 無限位相器(EPS:Endless Phase Shifter)
33 トランスバーサルフィルタ
34 タップ係数制御回路
35、36 加算器
37、38 XPIC RESET生成回路
39、40 判定回路
41、42 復調回路出力端子
43、44 OR回路
Claims (10)
- 自偏波及び異偏波が非同期状態の時に、交差偏波間干渉補償回路(XPIC回路)を第1間欠リセット状態とし、該第1間欠リセット状態において自偏波が同期状態に変化したとき前記XPIC回路をリセット状態とし、該リセット状態において自偏波が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を第2間欠リセット状態とし、該第2間欠リセット状態において自偏波が同期状態に変化したとき、該変化時点から所定時間前記XPIC回路をオート状態とし、該所定時間内に異偏波が同期状態に変化したときには、前記XPIC回路をオート状態に保持し、前記所定時間内に異偏波が同期状態とならないときは、前記XPIC回路を再度リセット状態に切り換えることを特徴とする交差偏波間干渉補償器回路リセット方法。
- 前記XPIC回路がリセット状態において、自偏波が同期状態を保持しているときには、異偏波が同期状態となるまで前記XPIC回路のリセット状態を保持することを特徴とする請求項1に記載の交差偏波間干渉補償器回路リセット方法。
- 前記XPIC回路が再度リセット状態に切り換えられた状態において、自偏波が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を前記第1間欠リセット状態とすることを特徴とする請求項1または2に記載の交差偏波間干渉補償器回路リセット方法。
- 異偏波のみが同期状態の時には、自偏波が同期状態となるまで前記XPIC回路を第3間欠リセット状態とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の交差偏波間干渉補償器回路リセット方法。
- 前記第1及び第2間欠リセット状態におけるリセット時間は、復調器による同期引き込み時間より長く設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の交差偏波間干渉補償器回路リセット方法。
- それぞれが、送信されてきた自偏波信号から自偏波ベースバンド信号を復調する復調器と、送信されてきた異偏波信号から異偏波の複製信号を生成する交差偏波間干渉補償回路(XPIC回路)と、前記自偏波ベースバンド信号から前記異偏波の複製信号を減算して交差偏波干渉を除去する加算器と、該加算器の出力から自偏波の同期非同期を判定する判定回路と、自偏波側の前記判定回路及び異偏波側の前記判定回路からの同期非同期判定結果を入力して、前記XPIC回路をオート状態またはリセット状態に切り換え制御するXPICリセット信号生成回路とを備えた交差偏波間干渉除去装置において、
前記XPICリセット信号生成回路は、前記自偏波側及び異偏波側の判定結果が何れも同期外れ時には前記XPIC回路を第1間欠リセット状態に制御し、該第1間欠リセット状態において自偏波側の判定結果が同期状態に変化したとき前記XPIC回路をリセット状態に制御し、該リセット状態において自偏波側の判定結果が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を第2間欠リセット状態に制御し、該第2間欠リセット状態において自偏波側の判定結果が同期状態に変化したとき、該変化時点から所定時間前記XPIC回路をオート状態に制御し、該所定時間内に異偏波側の判定結果が同期状態に変化したときには、前記XPIC回路をオート状態に保持し、前記所定時間内に異偏波側の判定結果が同期状態とならないときは、前記XPIC回路を再度リセット状態に切り換え制御することを特徴とする交差偏波間干渉除去装置。 - 前記XPICリセット信号生成回路は、自偏波側の判定結果が同期状態に保持されているときには、異偏波側の判定結果が同期状態となるまで前記XPIC回路のリセット状態を保持することを特徴とする請求項6に記載の交差偏波間干渉除去装置。
- 前記XPICリセット信号生成回路は、前記XPIC回路を再度リセット状態に切り換え制御した状態において、自偏波側の判定結果が再び非同期状態に変化したときは、前記XPIC回路を前記第1間欠リセット状態に制御することを特徴とする請求項6または7に記載の交差偏波間干渉除去装置。
- 前記XPICリセット信号生成回路は、異偏波側の判定結果のみが同期状態の時には、自偏波側の判定結果が同期状態となるまで前記XPIC回路を第3間欠リセット状態に制御することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の交差偏波間干渉除去装置。
- 前記第1及び第2間欠リセット状態におけるリセット時間は、前記復調器による同期引き込み時間より長く設定されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の交差偏波間干渉除去装置。
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