JP4117279B2 - 路線価評価プログラムおよび路線価評価システム - Google Patents
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Description
このような地価を評価する作業においては、様々な条件を勘案して地価の算定を行う必要がある。様々な条件とは、例えば、駅や学校といった公共施設および商店街等からの距離を示す交通接近条件、道路幅員や道路種別(国道・県道等)といった道路条件、上下水道・ガス等の供給処理施設の有無や公害・災害の発生危険度・発生程度といった環境条件、および、土地利用に関する公法上の規則や都市計画用途地域といった行政的条件などである。このように、様々な条件を勘案して地価の算定を行う必要があるため、土地評価の作業量は一般的に大きく、特に、固定資産税徴収のための土地評価においては、固定資産税徴収の対象となる全ての土地に対してそれぞれ地価を求める必要があるため、その作業量は極めて膨大となる。
特許文献1に記載された路線価の評価システムは、路線価算出の基となる各種データを含む、各路線に対応するベクトル路線価データを予め登録しておくとともに、自治体等により公表された、基準となる所定の路線の最新の路線価を、ベクトル路線価データと関連付けて入力および変更可能に設けられ、それら基準となる前記所定の路線の最新の路線価に基づいて、評価対象地の接する路線の路線価を自動算出する手段を有するものである。
地価は、理想的には、駅前等の基準地から離れるにしたがって滑らかに下落するなど、位置の変位に対して連続的に推移するべきであるが、例えば、ある地点だけ特別な要因がないのに地価が不連続に変動するような評価が行われている場合があり得る。これは、路線価を定めるための諸条件を評価に反映させるための手法が、評価を行う者によってバラツキがあるなど、必ずしも一貫しているとは限らないためである。そして、路線価を定めるための条件は、前述の通り非常に多種多様で複雑であるため、現実には、これら諸々の評価条件の適用方法や適用比率を一貫させることは極めて困難である。
特許文献1の路線価の評価システムは、予め登録された基準となる所定の路線の最新の路線価の相互間の関係が不適当であった場合でも、その不適当な基準路線価に基づいて、他の路線の路線価を算出するものであるから、算出された路線価も不適当となってしまうという課題がある。
これによれば、画地用途データ(例えば、いわゆる画地認定図データ)に基づいて、各路線に接する分割街区の用途を自動的に特定できる。そして、各分割街区の用途に基づいて、各分各街区が接する路線の路線価を算出できる。また、街区細線化機能、交点算出機能および街区分割機能により、街区を、各路線に対応する分割街区に、好適かつ自動的に分割できる。さらに、一つの分割街区が一つの路線に対応するよう、街区が分割されるため、路線価の算出処理を正確かつシンプルに実現することが可能となる。さらに、各路線データに含まれる各路線の接続状態や位置に基づいて路線価を算出できるため、交通接近条件等の条件を正確に反映して路線価を算出することができ、より正確な路線価を、標準地の地価を比準して算出することができる。
これによれば、折れ曲がった形状等の変則的な形状の街区の分割を、好適に行うことができる。
これによれば、用途状況類似地域境界等の地域境界においても街区を分割することにより、各分割街区に対応する用途が一つとなるため、路線価の算出処理を正確かつシンプルに実現することが可能となる。
これによれば、地図データおよび画地用途データを基にして、街区の抽出と分割、分割街区の用途の特定、路線データの生成、および、路線価の算出を自動的に行うことができる。また、交差点領域内における路線データが示す路線の形状を、整えることができるとともに、各路線データが示す路線と分割街区との対応関係が明確になるために路線価算出機能の処理を単純化することができる。
これによれば、相関式に基づいて、基準地からの距離に対して理想的に推移する路線価を算出することができる。
これによれば、各基準地毎に相関式を生成して、各相関式を適用する地区の境界を定義することで、各路線に対して最適な相関式を用いて路線価を算出することができる。
これによれば、各相関式を適用する地区の境における地価の急激な変動を抑えて、合理的な路線価を算出できる。
これによれば、同一の路線上の、道路の幅員の毎に別々の路線データが生成されるため、路線の変化に対応した正確な路線価を算出することができる。
これによれば、路線が長いために、交通接近条件を勘案すると同一の路線上で路線価を変化させる必要がある場合に、対応する路線データを所定距離毎に分割するため、より的確な路線価を算出することができる。
これによれば、用途状況類似地域境界等の地域境界においても路線を分割することにより、各用途に対応した的確な路線価を算出することができる。
これによれば、地域境界によって道路を挟んで異なる地域属性を、2つの路線データのそれぞれに対応させて記憶させることができる。
これによれば、道路を挟んで異なる用途を、2つの路線データのそれぞれに対応させて記憶させることができる。
これによれば、理想的な標準地の位置を求めることができる。
これによれば、各基準地毎に相関式を生成して、各相関式を適用する地区の境界を定義することで、各路線に対して最適な相関式を用いて路線価を算出することができるとともに、各相関式を適用する地区の境における地価の急激な変動を抑えて、合理的な路線価を算出できる。
これによれば、地価データが示す標準地の地価が、相関式によって求められる、理想的に推移する地価と相違している場合に、その相違を検出することができる。
路線価方式において、まず、土地の利用状況、環境、形状等が通常であると認められる土地を選定して、それを「標準地」として定義し、その標準地の地価を予め定めておく。これにより、その標準地が接する路線の路線価がまず求められる。そして、その標準地と土地の用途等が同質と認められるまとまりのある地域(状況類似地域)の路線価を、標準地が接する路線の路線価を基準として算定する。
本実施の形態においては、本路線価評価システムを固定資産税徴収のための路線価評価に使用する場合を例にとって説明を行う。
コンピュータPCの制御部2は、CPUやメモリ等を含む電子回路から成り、ソフトウェアプログラムを実行して様々な機能を実現可能に設けられる。また、コンピュータPCは、制御部2に対してユーザーが情報を入力可能なキーボードやマウスやデジタイザやタブレット等の入力装置4と、制御部2により作成された画像データを表示するディスプレイ等の表示装置6とを備える。
なお、記憶手段8は、コンピュータPCのメモリやハードディスクに限定されるものではなく、情報を読み書き可能なあらゆる記憶手段を採用することができる。例えば、光ディスク等の補助記憶装置をコンピュータPCの光ディスク装置等で読み書きすることによって実現してもよいし、コンピュータPCとネットワークを介して接続された他のコンピュータの記憶装置にアクセスすることで実現することもできる。また、記憶手段8は必ずしも一つの記憶装置に限定されず、複数の記憶装置の組み合わせによって実現してもよい。
本願特許請求の範囲でいうところの地図データとしての地番図データaは、本路線価評価システムにより路線価を評価する市町村等の地域(評価対象地域)の地番図を表現したデジタルデータである(一般に数値地番図とも呼ばれる)。地番図データaは、税金徴収等のための固定資産の評価を行うために、自治体等によって作成される。地番図データaには、道路や筆の位置および形状を表す地図画像データと、地図画像データに含まれる各道路や各筆に対応付けられた属性データとを含む。
図2に、地番図データaの構成の概念を示す説明図を示す。図2に示すように、地番図データaの前記地図画像データは、道路12や筆14,14・・の位置および形状を表す。また、前記属性データには、対応する土地が道路か宅地かを示す土地種類データや、対応する土地の地番を表す地番データ(図2中には各筆中に数値で記載している)や、固定資産税の課税対象か否かを示す課税フラグデータや、対応する道路が私道であるか公道であるかを示す道路種別データ等が含まれる。
本願特許請求の範囲でいうところの道路ポリゴン生成機能および街区ポリゴン生成機能に該当する道路・街区ポリゴン生成機能P1は、図1に示すように、記憶手段8に記憶された地番図データaから、道路に囲まれた街区部分の像を抽出した街区ポリゴンデータcを生成し、街区ポリゴンデータcを記憶手段8に記憶させる。
図3における黒の部分は、図2に示した地番図データaから得られる街区ポリゴンデータcを示している。
道路・街区ポリゴン生成機能P1は、地番図データaの前記属性データの前記土地種類データ等を参照して、宅地(道路以外の部分)である各筆14,14・・を抽出し、前記地図画像データで表された対応する各筆14,14・・の位置および形状から、宅地である各筆14,14・・の像を抽出する。そして、それら各筆14,14・・の像の和集合を求めることで、図3に示すような街区ポリゴンデータcを生成する。
これは、後述する道路ポリゴンデータbの細線化の際に、図32に示すように、交差点部分において道路ポリゴンデータbが隅切り22に沿って細線化されて、細線化後の交差点位置の路線24aが曲がって形成されてしまうのを防ぐためである。すなわち、あらかじめ図5に示すように隅切り22をなくしておけば、後述する道路ポリゴンデータbを細線化した際に、細線化後の交差点位置の路線26aの形状が隅切り22の影響を受けて曲がってしまうことがない。また、隅切り22をなくすことにより、後述する交差点領域の検出も確実に行いやすく、都合がよい。
図4のようにコーナー部に隅切り22が形成された街区ポリゴンデータcxの各頂点部分をA,B,C,Dと呼ぶ。まず、各隣り合う2辺ABとBC、BCとCD、CDとEA、および、EAとABのそれぞれの長さの比を求め、辺の長さの割合が所定の閾値より小さい辺を検出することで、隅切り22に形成された辺BCを認識する。
次に隅切り22に形成された辺BCに隣り合う辺AB,DCを延長することで、該当するコーナー部の頂点となる交点Mの位置を求める。
そして、三角形BCMの部分を街区ポリゴンデータcxに取り込むことで、隅切り22が形成されたコーナー部の頂点を形成する。
図5は、図3の街区ポリゴンデータcの各隅切り22,22・・をなくして頂点を形成した後の、新たな街区ポリゴンデータcを示す図である。
このように、本願において、街区ポリゴンデータおよび道路ポリゴンデータの抽出は、それぞれを直接地図データから抽出することに限らず、地図データから直接抽出した道路ポリゴンデータを反転することで街区ポリゴンデータを抽出することや、街区ポリゴンデータを反転することで道路ポリゴンデータを抽出することを含む。
路線データ生成機能P2は、まず、道路ポリゴンデータbから交差点領域を除外することで道路を各路線に分割して、各路線に対応する路線データdを生成し、生成した路線データdを記憶手段8に記憶させる(路線データ記憶機能)。
路線データ生成機能P2は、図7に示すように、道路ポリゴンデータbが表す道路の幅方向に隣接する頂点(すなわち交差点のコーナー部。言い換えれば、複数の路線の外郭同士が接する箇所)を探索することで、交差点部分を検出する。そして、交差点の各コーナー部を結ぶ分割線に囲まれて形成される交差点領域24を表すデータを作成し、記憶手段に記憶する。
路線データ生成機能P2は、この交差点領域24の探索を、道路ポリゴンデータbの全域にわたって実行して、図8に示すように、交差点領域24,24・・によって道路ポリゴンデータbが表す道路を各路線26,26・・に分割する。
図9は、図8における道路ポリゴンデータbの路線26,26・・を細線化するとともにベクトル化して得られた路線データdが表す路線30,30・・の概念を示す説明図である。
図11に示すように、道路ポリゴンデータを細線化して、細線化した道路を単にその交点Hで分割して各路線31a〜31dを得る処理を採用したとする。
この処理方法において、図11に示すように、道路ポリゴンデータbに、各路線27a〜27dが互い違いに交差するような交差点部分が存在した場合には、細線化後の路線31a〜31dが交差点部分で折れ曲がったり、34に示すように重なり合ったりしてしまうことがある。
ここで、一般的に、交差点の角地36aでは路線31bおよび31cの路線価に基づき、角地36bでは路線31aおよび31dの路線価に基づいて、それぞれ地価を求めるべきである。しかしながら、図11に示すように路線31a〜31dが交差点領域にまで進入し、なおかつ折れ曲がったり重なり合ったりしていると、土地の地価算出の基となる路線を認識したり、地価算出の基となる複数の路線の勘案割合を認識したりする処理を、コンピュータに実現させるプログラムのアルゴリズムが、非常に複雑になってしまう。
これによれば、交差点内における路線の曲がりや重なりを排除することができ、土地36a,36bの地価算出の基となる路線を特定したり、地価算出の基となる複数の路線の勘案割合を算出する処理のアルゴリズムを、シンプルに構成することが可能となる。
これは、路線価は路線の幅員によっても変わるため、路線の幅員が変化する箇所において路線データdを分割することで、路線価ごとに路線データdを用意するためである。
まず、道路ポリゴンデータbの各交差点部分において分割された長さLの路線26の両端の幅員d1,d2を測定する(図13参照)。そして、d1とd2の値の間に前記所定の閾値のいずれかが存在する場合、路線26の中点における幅員d3を計測する。そして、d3と、d1およびd2のどちらとの間で前記閾値を跨ぐかを判定する。図13においては、路線26の右端の幅員d1と中点の幅員d3との間で閾値を跨ぐため、次に、図14に示すように、路線26の右端と中点との間箇所において幅員d4を計測する。そして、幅員d4と、d1およびd3とを比較し、同様の処理を繰り返すことによって、図15に示すように、幅員の変化する箇所を求める。
そして、図15に示すように、路線データ生成機能P2は、探索した、幅員が所定の閾値を跨ぐ位置において、元の路線30を分割した路線30a,30bに対応した路線データd,dをそれぞれ生成する。
これは、路線が長いために、交通接近条件を勘案すると、同一の路線上で路線価を変化させる必要がある場合に、対応する路線データdを所定距離(例えば30m)毎に分割することにより、より的確な路線価を得るためである。
一本の路線であっても、用途状況類似地域境界を跨ぐ場合には路線価が変わるため、用途状況類似地域境界で路線データdを分割して生成することで、各路線データd毎に独立した路線価を算出できる。
なお、図16に示すように用途状況類似地域境界38が交差点領域24内を通過する場合があるが、交差点内路線を分割する必要はない。
通常の路線30a,30bの端部30x,30x間に所定の間隔をあけるのは、後述する路線表示機能P7において、表示する各通常の路線30a,30b間に所定の間隔を持たせることで、表示された路線30a,30bを見やすくするためである。
次に、各街区を分割街区に分割して、各分割街区が一つの路線データに対応するように処理を行う街区分割機能P3(図1参照)について説明する。
街区分割機能P3は、街区細線化機能P4と交点算出機能P5とを含む。
街区分割機能P3は、まず街区細線化機能P4を実行して、図19に示すように、街区ポリゴンデータcで表された各街区ca,ca・・に細線化処理を施して、細線cb,cb・・を表す細線データを生成する。この細線化処理の技法としては、例えば既知のHilditchの細線化処理等を採用することができる。
続いて、街区分割機能P3は、交点算出機能P5を実行する。交点算出機能P5は、図20に示すように、前記細線データが表す細線cbと、細線cbの端部ccが向かう路線30の中点42を中心としその路線30の両端点44a,44bを通る円46との、交点48を算出する。
街区分割機能P3は、図21に示すように、前記路線30の両端点44a,44bと前記交点48とを結ぶ第一分割線50a,50b、および、各交点48間を結ぶ前記細線cbによって、街区ポリゴンデータcを複数の分割街区58,58・・に分割する。
第二分割線60は、端点同士で接合する前記路線30の端点から、その路線に接する分割街区58の細線cbの最寄の屈曲点62に向かって引かれる。もし路線30の端点の近傍に屈曲点がない場合には、端点を通る、細線cbの垂線を第二分割線60とする。
本願特許請求の範囲でいうところの画地用途データとしての画地認定図データfは、評価対象地域の各画地の用途を表現したデジタルデータである(一般に数値画地認定図とも呼ばれる)。画地認定図データfは、税金徴収等のための固定資産の評価を行うために、自治体等によって作成される。画地認定図データfには、各画地の位置および形状を表す地図画像データと、地図画像データに含まれる各画地に対応付けられた属性データとを含む。この属性データには、対応する画地の用途を示す用途データが含まれる。用途データが表す、土地の用途の種別としては、商業地区、住宅地区、工業地区、および特殊地区といったものがある。
さらに、例えば商業地区を繁華街、高度商業地区、郊外商業地区、などの小分類に分類して、より詳細に用途を定義できるように構成すればなお好適である。同様に、住宅地区を高級住宅地区や住宅団地地区等に、また工業地区を中小工場地区や大工場地区等に、また特殊地区を観光地区や村落地区等に、それぞれ細かく分類可能に構成してもよい。
用途特定機能P6は、街区分割機能P3により分割された各分割街区の土地の用途をそれぞれ特定して、その用途を、その分割街区に対応する路線データdの属性として記憶手段8に記憶させる機能である。
用途特定機能P6は、各分割街区58a,58b・・内において、共通する用途に供された土地の面積をそれぞれ合計して、最も大きい面積を占める土地の用途を、その分割街区58a,58b・・の用途として特定する。例えば、図23においては、各分割街区58a,58b,58d(図22参照)内で最も大きい面積を占める用途は「住宅」である(図23参照)から、用途特定機能P6は、分割街区58a,58b,58dの用途地区は「住宅地区」と決定する。また、分割街区58c(図22参照)内では、最も大きい面積を占める用途は「商店」である(図23参照)から、用途特定機能P6は、分割街区58cの用途地区は「商業地区」と決定する。このようにして、図23における各分割街区58a,58b・・の用途をそれぞれ特定した概念図を、図24に示す。
路線表示機能P7は、路線データdが表す各路線30,30・・を、表示装置6に表示させる機能である。路線データdが表す各路線30,30・・を表示させる表示形態の例を、図25に示す。
ここで、路線表示機能P7は、路線図を表示させる際、前記交差点内路線や前記ダミー路線は表示させない。これにより、各路線を、図25に示すように、各通常の路線30,30・・間に一定の隙間を開けて表示させることができる。各路線30,30・・の間に隙間が形成されて表示されると、ユーザーは路線30,30・・の境目を認識しやすく、路線図が見やすくなるという効果がある。
従来は、路線の間に隙間をあけて表示する際に、路線の端部を若干短縮するなどの例外的な処理を行う必要があったが、本実施の形態に係る路線価評価システムによれば、もともと通常の路線30,30・・の間には必ず交差点内路線やダミー路線が存在するため、これら交差点内路線やダミー路線を非表示とするだけの簡単な処理により、路線30,30・・間に隙間を設けて表示をさせることができる。
標準地入力機能P8は、評価対象地域内の各標準地の位置および地価を表す標準地データgを、ユーザーに入力可能とするための機能である。標準地入力機能P8は、表示装置6(図1)に、図25に示したような所定の入力画面を表示させて、標準地データgを、入力装置4を介してユーザーに入力させる。図25のように表示装置6に表示された地図上で、標準地(標準宅地)(1)〜(9)の位置をユーザーが指定すると、標準地入力機能P8は、図示しない所定の標準地価入力ダイアログを表示させて、その標準地の地価をユーザーに入力させる。
条件データ入力機能P9は、評価対象地域内の各路線の前記交通接近条件、道路条件、環境条件、および/または行政的条件等を示す条件データを、ユーザーに入力可能とするための機能である。条件データ入力機能P9は、表示装置6(図1)に所定の入力画面を表示させて、路線価に影響を与える各種条件を、入力装置4を介してユーザーに入力させる。
また、道路条件の例としては、舗装状況や歩道の有無等が挙げられる。
また、環境条件としては、上下水道・ガス等の供給処理施設の有無や公害・災害の発生危険度・発生程度等が挙げられる。
また、行政的条件としては、都市計画用途地域等が挙げられる。
条件データ入力機能P9は、これら入力された情報を、各路線データdの属性データとして記憶手段8に記憶させたり、路線データdとは別の条件データとして記憶手段8に記憶させたりする。
路線価算出機能P10は、標準地データg、路線データd、条件データ等を参照し、各路線の路線価を表す路線価データを算出する機能である。
続いて、路線価算出機能P10は、各標準地の地価を参照して、基準地等の地価のピーク地からの距離に対する、各標準地の地価の推移状態を解析する。図26に、この推移状態を示すグラフ52を示す。そして、路線価算出機能P10は、ピーク地からの距離に対する標準地の地価の推移状態(グラフ52)を近似する近似式を生成し、記憶手段8に記憶させる。この近似式は、ピーク地からの距離と、路線価との相関関係を示す相関式hである。この近似式(相関式h)の生成は、既知の近似法等により行うことができる。図26に、路線価算出機能P10により生成された相関式hのグラフ54を示す。
実用的には、ピーク地を基点として22.5°ずつずれた16方向に対して地価の推移の近似式(相関式h)を生成すれば、十分に精度のある路線価の評価処理を行うことができる。
図28は、旧A市64と旧B町66と旧C村68とが合併してできた新T市70の地図である。この場合、旧A市64、旧B町66、および旧C村68のそれぞれの旧基準地64a,66a,68aが、新T市70内において複数の地価のピーク地を形成している。また、旧A市64内だけを見ても、基準地64a以外に、郊外にも駅の存在等による地価のピーク地64b,64c,64dがある。図29(a)は、図28における基準地64aを基点として、図28のa−a’方向の地価分布を示したグラフであり、図29(b)は、同じくb−b’方向の地価分布を示したグラフである。
そこで、路線価算出機能P10は、まず、各標準地データgを参照して、地価のピーク地を探索する処理を行う。続いて、図30(a),(b)に示すように、各ピーク地ごとに地価分布の相関式h1〜h3,h11〜h13を生成する。
各相関式h1〜h3,h11〜h13が表す地価分布には、図30(a),(b)に示すように、隣り合うピーク地の相関式の地価分布と交わる点72a,72b,72c,72dが存在する。その点72a,72b,72c,72dに対応する位置74a,74b,74c,74dを、各相関式h1〜h3,h11〜h13を適用する地区の境として記憶する。前述の通り、一つのピーク地に対して、相関式hは複数方向(16方向)に生成されるから、解析境界決定機能P11は、16方向の相関式hのそれぞれに対して、隣り合うピーク地の相関式hの分布との交点を求めて、その位置を各相関式hを適用する地区の境として定義することを繰り返す。解析境界決定機能P11は、全方向の相関式hに対してこの境を求めて、それらを繋ぎ合わせることにより、図28に示すように、各相関式を適用する地区の境界線74を定義する。そして、境界線74によって区分された、各相関式hを適用する「解析地区」を、各ピーク地64a,64b,64c,64d毎に定義することができる。
路線価算出機能P10は、こうして求めた解析地区の境界を表す解析境界データiを、記憶手段8に記憶させる。
もともと人手によって算出されたものである標準地の地価の推移は、本願「発明が解決しようとする課題」でも述べたとおり、評価を行う人や、条件の採用の仕方のバラツキによって、一貫した理想的な推移状態とは異なる場合がある。図26においては、何箇所かで標準地の地価を表すグラフ52が不連続的に推移している。
標準地価格評価機能P12は、標準地データgが表す標準地の地価と、前記相関式hから算出された、標準地に対応する路線価とを比較する。すなわち、図26でいうと、標準地データgが表す地価を表すグラフ52と、相関式hより求められる地価(路線価)を表すグラフ54とを比較する。そして、それらの間に、予め定められた所定の許容値を超える大きな乖離があった場合には、表示装置6等を介してユーザーに警告を促す表示を行う。
これにより、ユーザーは、標準地の地価で、理想的な推移とはなっていないところを把握することができ、それが減価原因が存在する等のなんらかの合理的な理由に起因しているのか、人手による地価算出方法のバラツキ等によって、妥当でない地価が標準地の地価とされているのかを検証することができる。
状況類似地域定義機能・標準地選定機能P14は、用途特定機能P6により共通の用途として特定された、連続する複数の分割街区58,58・・によって構成される状況類似地域を定義する(状況類似地域定義機能)。
図31は、図25に示した評価対象地域を、複数の状況類似地域に分割した状態を示す説明図である。図31中で、1点破線にて囲まれた地域(共通のハッチングで示された各地域)は、用途特定機能により同一の用途として特定された用途状況類似地域を示している。
なお、状況類似地域定義機能は、用途特定機能P6により特定された用途の境界線のみでなく、例えば、自治体により定められた前記用途状況類似地域境界や、地形や、河川や、行政境界等、その他の境界線によっても、状況類似地域をさらに区分して定義するよう構成すれば、なお好適である。
次いで、状況類似地域定義機能・標準地選定機能P14は、求めた前記中心点と、標準地データgで表されるこの状況類似地域の標準地との間の距離を求める。そして、その距離が所定の閾値よりも長い(遠い)場合には、表示装置6等を通じてユーザーに警告を発する。
なお、この所定の閾値は、本実施の形態においては、前記状況類地地域が収まる最小の円の、半径の1/2の長さとする(図31参照)。
一般的に、土地評価法において、隣接する状況類似地域のそれぞれの任意の路線の路線価の間には、20%以上の相違があってはならないものとされている。ここで、標準地が、それが属する状況類似地域の端の方にあると、その標準地が寄っている端とは反対側の端に接する状況類似地域との距離が長くなるために、その反対側の状況類似地域内の路線価との価格の乖離が大きくなり、20%未満の価格差に収まらない可能性が高くなるという不都合が生じる。
したがって、状況類似地域の路線価算定の基準となる標準地の位置は、なるべくその状況類似地域の中心部に近い方が良いのである。
標準地選定機能が標準地の候補地とする画地の選定の条件としては、以下の条件を採用する。
条件1、その状況類似地域の用途にふさわしい間口及び奥行を持つ画地であること。
条件2、画地認定図データfにより定められたその画地の用途が、その状況類似地域の用途と等しいこと。
条件3、その画地の前記中心点からの距離が、前記所定の閾値よりも短いこと。
標準地選定機能は、これら条件を満たす画地を検索して選定し、標準地の候補として、ユーザーに対して表示装置6等を通じて表示する。これにより、ユーザーは、現在の標準地の変更等の検討をすることができる。
この場合、評価者は、1を満たさない画地に対しては、間口や奥行を整形した画地を仮定して評価を行い、2を満たさない画地に対しては、画地の用途がその状況類似の用途と等しいものと仮定して評価を行えばよい。
路線価評価機能P13は、前記特定の点Gに共通に結ばれた複数の交差点内路線32,32・・を表す各前記交差点内路線データに関連付けて記憶された、各交差点内路線の路線価データを、互いに比較することで、交差点内路の線価データが表す路線価の妥当性を評価する。すなわち、同一の交差点内の各交差点内路線データの間に、予め定められた所定の許容値を超える大きな路線価の乖離がある場合、表示装置6等を介してユーザーに警告を促す表示を行う。
これにより、ユーザーは、標準地の地価が急激に変わっている等、なんらかの原因により、地価の推移が滑らかになっていないことを認知でき、路線価算出機能P10により算出された路線価を再検証することができる。
P 路線価評価プログラム
P1 道路・街区ポリゴン生成機能(道路ポリゴン生成機能、街区ポリゴン生成機能)
P2 路線データ生成機能
P3 街区分割機能
P4 街区細線化機能
P5 交点算出機能
P6 用途特定機能
P7 路線表示機能
P8 標準地入力機能
P9 条件データ入力機能
P10 路線価算出機能
P11 解析境界決定機能
P12 標準地価格評価機能
P13 路線価評価機能
P14 状況類似地域定義機能・標準地選定機能
G 交差点領域の重心点(特定の点)
a 地番図データ(地図データ)
b 道路ポリゴンデータ
c 街区ポリゴンデータ
ca 街区
cb 細線
cc 細線の端部
d 路線データ
e 分割街区データ
f 画地認定図データ(画地用途データ)
g 標準地データ
h 相関式
i 解析境界データ
2 制御部
4 入力装置
6 表示装置
8 記憶手段
12 道路
14 筆
22 隅切り
24 交差点領域
26 路線
28 コーナー部
29 仮のコーナー部
30,30a,30b,30c,30d 路線データが表す路線
30x 路線データが表す路線の端部
32 交差点内路線データが表す交差点内路線
33 ダミー路線データが表すダミー路線
38 用途状況類似地域境界(地域境界)
42 路線の中点
44a,44b 路線の端点
46 路線の中点を中心とし路線の両端点を通る円
48 細線化された街区と、路線の中点を中心とし路線の両端点を通る円との交点
50a,50b 第一分割線
52 標準地の地価の推移状態を表すグラフ
54 相関式により得られる地価の推移状態を表すグラフ
58,58a,58b,58c,58d 分割街区
60 第二分割線
62 屈曲点
64a ピーク地(基準地)
64b,64c,64d,66a,68a ピーク地
72a,72b,72c,72d 隣り合うピーク地の相関式が表す地価が一致する点
74,74a,74b,74c,74d 解析境
Claims (16)
- コンピュータに読み取り可能に設けられ、
前記コンピュータの制御部が、前記コンピュータの記憶手段に記憶されたデータであって路線価の評価対象地域の道路や筆の位置および形状を表す地図画像データと、地図画像データに含まれる道路や各筆に対応付けられた土地種類データおよび対応する土地の地番を表す地番データを含む属性データとを含む地図データから、複数の路線に囲まれた街区の像を抽出して街区ポリゴンデータを生成して前記記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶された街区ポリゴンデータを細線化処理して細線データを生成し、前記細線データが表す細線と、該細線の端部が向かう路線の中点を中心とし該路線の両端点を通る円との、交点を算出し、前記路線の前記両端点と前記交点とを結ぶ第一分割線、および、各交点間を結ぶ前記細線によって、前記街区ポリゴンデータを各路線に接する複数の分割街区に分割し、一つの前記分割街区が、端点同士で接合する複数の路線に接する場合には、該端点と前記細線上の所定点とを結ぶ第二分割線により、該分割街区をさらに複数の分割街区に分割することで、全ての分割街区が一つの路線に接するよう前記街区ポリゴンデータを各路線に接する複数の分割街区に分割し、前記第一分割線、前記細線および前記第二分割線を街区の分割状態として表す分割街区データとして前記記憶手段に記憶する街区分割機能と、
前記制御部が、前記記憶手段に記憶された前記評価対象地域内の各画地の用途を示す用途データと、共通する用途に供された土地の面積および家屋の戸数とを含む画地用途データを参照し、前記記憶手段に記憶された分割街区データにおける前記分割街区内において、共通する用途に供された、土地の面積または家屋の戸数を、それぞれ合計して、最も大きい面積を占める土地または最も多い戸数を占める家屋の用途を、該分割街区の用途として特定して記憶手段に記憶する用途特定機能と、
前記制御部が、前記記憶手段に記憶された前記評価対象地域内の標準地の位置および地価を表す属性データを含む標準地データを参照し、標準地に対する各路線の距離に基づいて、各路線に対応する標準的な路線価を算出し、前記記憶手段に記憶された前記評価対象地域内の各路線に対応し互いの接続状態および位置を表す属性データを含む路線データを参照し、各路線データが表す路線の接続状態および位置、ならびに、前記記憶手段に記憶された該路線が接する前記分割街区の用途に基づいて、この標準的な路線価に対して加減を行って各路線の路線価を表す路線価データを算出し、該路線価データを、対応する路線データに関連付けて記憶手段に記憶する路線価算出機能とを、コンピュータに実現させることを特徴とする路線価評価プログラム。 - 前記細線上の所定点は、該細線の屈曲点であることを特徴とする請求項1記載の路線価評価プログラム。
- 前記街区分割機能は、
前記制御部が、前記記憶手段に記憶された所定の地域境界の位置を表す地域境界データを参照し、該地域境界データが表す地域境界が、前記分割街区を分断している場合には、該分割街区を該地域境界に沿ってさらに複数の分割街区に分割することを特徴とする請求項1または2記載の路線価評価プログラム。 - 前記制御部が、前記記憶手段に記憶された前記地図データの前記属性データを参照して宅地である各筆を抽出し、前記地図画像データで表された対応する各筆の位置および形状から宅地である各筆の像を抽出し、抽出した各筆の像の和集合を求めることで前記街区ポリゴンデータを生成する街区ポリゴン生成機能と、
前記制御部が、前記記憶手段に記憶された前記地図データから道路部分の像を抽出して道路ポリゴンデータを生成する道路ポリゴン生成機能と、
前記制御部が、前記道路ポリゴンデータが表す複数の路線の外郭同士が接する箇所を探索して交差点部分を検出し、検出した交差点の各コーナー部を結ぶ分割線に囲まれて形成される交差点領域を表すデータを作成し、該交差点領域を表すデータを前記記憶手段に記憶し、前記道路ポリゴンデータから前記交差点領域を除外することで道路を各路線に分割して細線化処理することで、該各路線に対応する前記路線データを自動生成する路線データ生成機能とを、コンピュータに実現させることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線価算出機能は、
前記制御部が、前記標準地データに基づいて、標準地のうちの地価のピーク地からの距離と、路線価との相関関係を示す相関式を生成し、該相関式に基づいて、前記路線価を算出することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線価算出機能は、
前記制御部が、前記ピーク地を複数もつ地域の路線価を評価する際に、前記相関式をピーク地毎に生成し、
前記路線価算出機能が各相関式を適用する地区の境界を定義する解析境界決定機能を、コンピュータに実現させることを特徴とする請求項5記載の路線価評価プログラム。 - 前記解析境界決定機能は、
前記制御部が、隣り合う前記ピーク地の間における、各該ピーク地に対応する各前記相関式が表す地価が交わる箇所を、該各相関式を適用する地区の境界と定義することを特徴とする請求項6記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線データ生成機能は、
前記制御部が、前記道路ポリゴンデータの表す道路の幅員が所定の閾値を跨いで変化する箇所がある場合には、該箇所において路線を分割し、該分割された各路線に対応した前記路線データを生成することを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線データ生成機能は、
前記制御部が、一つの路線の長さが所定の閾値を超えている場合には、該路線を、該所定の閾値を超えない長さの複数の路線に分割し、該分割された各路線に対応した前記路線データを生成することを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線データ生成機能は、
前記制御部が、所定の地域境界の位置を表す地域境界データを参照し、該地域境界データが表す地域境界が、前記路線データが表す路線を横切る場合には、該地域境界が横切る箇所において、該路線を更に分割し、該分割された各路線に対応した路線データを生成することを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線データ生成機能は、
前記制御部が、前記記憶手段に記憶された所定の地域境界の位置を表す地域境界データを参照し、該地域境界データが表す地域境界が、前記道路部分の一部を縦断している場合には、該道路部分の一部に対応した前記路線データを、該地域境界を挟む位置に2つ生成することを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記路線データ生成機能は、
前記制御部が、路線の両側に接する各前記分割街区の、前記用途特定機能で特定された用途が、それぞれ異なる場合には、該路線に対応した路線データを、各該分割街区に対応させて、並列に2つ生成することを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - 前記用途特定機能により共通の用途として特定された、連続する複数の前記分割街区によって構成される状況類似地域を定義する、状況類似地域定義機能と、
前記状況類似地域の中心点近傍から、標準地の候補地を選定する標準地選定機能とを、コンピュータに実現させることを特徴とする請求項1〜12のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。 - コンピュータに読み取り可能に設けられ、
前記コンピュータの制御部が、前記コンピュータの記憶手段に記憶された、路線価の評価対象地域内の標準地の位置および地価を表す属性データを含む標準地データに基づいて、標準地のうちの地価のピーク地からの距離と、路線価との相関関係を示す相関式を、各ピーク地毎に生成し、該相関式に基づいて路線価を算出する路線価算出機能と、
前記制御部が、隣り合う前記ピーク地の間における、各ピーク地に対応する各前記相関式が表す地価が交わる箇所を、各相関式を適用する地区の境界と定義する解析境界決定機能とを、コンピュータに実現させることを特徴とする路線価評価プログラム。 - 前記制御部が、標準地データが表す標準地の地価と、前記相関式から算出された、該標準地に対応する路線価とを比較する標準地価格評価機能を、コンピュータに実現させることを特徴とする請求項5〜14のうちのいずれか一項記載の路線価評価プログラム。
- 請求項1〜15うちのいずれか一項記載の路線価評価プログラムが、単数または複数のコンピュータに読み取られて実現されることを特徴とする路線価評価システム。
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