JP4112773B2 - 飲料ディスペンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、飲料ディスペンサに関し、更に詳細には、飲料供給管内を流通する飲料を、貯溜タンク内に貯溜した冷却用水により冷却して注出コックから注出するよう構成した飲料ディスペンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡飲料をレバー操作で注出する装置、例えばビールサーバーでは、本体に配設されたビール注出コックは操作用レバーを備え、駆動装置により該レバーを一方向へ倒してビールをジョッキに所定量注出した後、該レバーを反対方向へ倒してビールの細かい泡を前記ジョッキ中のビールに後注ぎする機能を備えたものがある。このような構成のビールサーバーは、その本体の内部に、ビール供給管を介してビール注出コックに供給されるビールを冷却するための蓄氷式(アイスバンク式)の冷却装置が配設されている。
【0003】
この冷却装置の構成を簡単に説明すれば、本体内に配設された貯溜タンクの内部に、冷凍機構に接続されてコイル状に巻回した蒸発器が配設され、該蒸発器に冷凍機構から冷媒を循環供給して冷却することで、貯溜タンクに貯溜されている冷却用水の一部を、該蒸発器の表面に氷結するよう構成される。また貯溜タンクには、前記ビール供給管のコイル状に巻回した冷却コイル部が、冷却用水に浸漬された状態で配設され、該冷却コイル部の一端が機外のビール供給源に接続されると共に、他端が前記ビール注出コックに接続される。すなわち、ビール供給源から供給されるビールが、冷却コイル部内を流通する間に、氷により冷却された冷却用水との間で熱交換されて冷却され、この冷却されたビールがビール注出コックから注出されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したビールサーバーでは、顧客の求めに応じてビール注出コックからビールおよび泡の注出を行なった後は、該注出コックからビール供給源に至る経路にはビールが充満された状態となる。この場合において、ビール注出コックは外部に露出しているため、該コック内に充満しているビールは冷却用水との熱交換がなされないため温度上昇する。そこで、ビール注出コックと本体との取付部周辺まで前記冷却用水を誘導して、該冷却用水でビール注出コックを冷却している。しかし、ビール注出コックと冷却用水との接触面積は小さく、該注出コックの効率的な冷却がなされないために、コック内に充満しているビールは充分に冷却されず、特にビール注出間隔が長くなった場合は、再開後の最初に注出するビールが最適な温度で注出されない問題があった。
【0005】
そこで、注出間隔がある程度あいたときには、最初に注出される所要量のビールを廃棄することにより、常に最適温度まで冷えたビールを提供するようにしている。しかしながら、この場合は注出間隔が長くなる毎にビールを廃棄しなければならず、無駄に廃棄されるビールが多くなって、ランニングコストが嵩む難点が指摘される。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、従来の技術に係る飲料ディスペンサに内在している前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、注出コックを効率的に冷却し、常に飲用に適した温度まで冷却された飲料を注出し得る飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る飲料ディスペンサは、
ディスペンサ本体に配設された注出コックと、該本体の内部に配設されて冷却用水が貯溜される貯溜タンクと、前記貯溜タンクに貯溜した冷却用水をタンク内で攪拌して循環させる攪拌手段と、前記冷却用水に浸漬するよう貯溜タンク内に配設され、前記注出コックに接続される飲料供給管とから構成され、前記飲料供給管内を流通する際に前記冷却用水で冷却された飲料を前記注出コックから注出するようにした飲料ディスペンサにおいて、
前記本体の前面に取付けられると共に、雌ネジを形成したナットが配設されたホルダと、
前記ホルダおよび貯溜タンクの内壁面の間に水密的に配設され、該貯溜タンクの内壁面に形成した通孔を介して当該タンク内に連通する空間を画成する連結部材と、
前記注出コックに配設されて前記飲料供給管と注出コックとを連通接続し、軸部の外周に螺設した雄ネジの前端部を前記ナットの雌ネジに螺合することで前記空間内に軸部を挿入した状態で前記ホルダに取付けられると共に、軸部の後端部が前記貯溜タンクの内壁面より内側まで突出するよう構成された取付部材と、
前記取付部材の軸部の後端部に螺合されて前記貯溜タンクの内壁面より内側に突出する袋ナットとを備えることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る飲料ディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。この実施例では、飲料ディスペンサとしてビールサーバーを例示して説明するが、これに限定されるものでなく、ジュースやその他の飲料等を注出するディスペンサでもよいことは勿論である。
【0009】
図1は、好適な実施例に係るビールサーバーの要部を示し、図2は、ビールサーバーの全体を一部切欠いて側面から示すものであって、該ビールサーバー10は、サーバー本体(ディスペンサ本体)12における前面に、金属製のビール注出コック(注出コック)14が配設され、該コック14には、後述するビール供給管38の導管部38bが連通接続されている。ビール注出コック14は、ビール(飲料)や泡の流路を開閉する各種弁機構(図示せず)を内蔵したコック本体16と、該コック本体16から上方に延出して前後方向への傾倒操作によりビールと泡の注出を切換える操作用レバー18とから基本的に構成される。またコック本体16は、斜め下方へ平行に延出するビール注出ノズル20および泡注出ノズル22を備え、図2では、コック本体16から斜め下方へ延出する後側(本体側)のノズルがビール注出ノズル20であり、前側のノズルが泡注出ノズル22である。
【0010】
図2に示す如く、前記サーバー本体12の前面には、前記ビール注出コック14の上方に臨む位置に駆動装置24が配設され、該駆動装置24により前記操作用レバー18を前後に傾倒操作することで、ビール注出コック14の下方に配設した容器受台装置26に載置された図示しないジョッキ(容器)にビールおよび泡を注出するよう構成されている。この容器受台装置26は、サーバー本体12に配設されたカバー体28の前面側に傾動可能に枢支された載置部材30を備え、該載置部材30は、ビールおよび泡の注出に際してはカバー体28に内蔵された傾動装置(図示せず)により、その下端が前側上方に向けて所定角度で傾くまで傾動されるよう構成される。なお載置部材30には、上下に離間して上部受台32と下部受台34とが配設され、各受台32,34にサイズの異なるジョッキを選択して載置し得るようになっている。
【0011】
前記サーバー本体12の前面には、図2に示す如く、容器受台装置26の下方位置に、前記各受台32,34や載置部材30から滴下するビールや泡等を受容するドレンパン36が配設され、該ドレンパン36に集められたビールや泡等は、図示しないドレンパイプを介して機外に排出される。
【0012】
前記サーバー本体12の内部には、前記ビール供給管(飲料供給管)38を介してビール注出コック14に供給されるビールを冷却するための蓄氷式の冷却装置40が配設されている。すなわち、サーバー本体12の内部に、所定量の冷却用水42が貯溜される貯溜タンク44が配設されており、該貯溜タンク44の内部には、コイル状に巻回された蒸発器46が配設される。この蒸発器46は、図示しない冷凍機構に接続され、該冷凍機構から循環供給される冷媒によって冷却され、この蒸発器46が冷却されることで冷却用水42の一部を該蒸発器46の表面に氷結させるよう構成してある。
【0013】
前記貯溜タンク44の内部には、前記ビール供給管38におけるコイル状に巻回された冷却コイル部38aが、蒸発器46の内側に同心的に配設されている。この冷却コイル部38aの一端は、図示しないビール供給源に接続されると共に、他端から導出する導管部38bが前記ビール注出コック14に後述する取付部材54を介して連通接続される。また貯溜タンク44には、該タンク44の上部に設けられたモータ48と、前記冷却用水42に浸漬して該モータ48により回転駆動される攪拌羽根50とからなる攪拌手段52が配設され、該攪拌手段52によって冷却用水42をタンク内で攪拌して循環させるよう構成してある。
【0014】
前記ビール注出コック14におけるコック本体16の後端部(サーバー本体を指向する側)には、該注出コック14をサーバー本体12に取付けるための取付部材54が、金属製のユニオンナット56を介して配設されている。この取付部材54のユニオンナット56から後方に延出する軸部54aの外周(外面)には雄ネジ54bが螺設され、該雄ネジ54bと、サーバー本体12に配設した後述するナット60の雌ネジ60aとを螺合させることで、ビール注出コック14は取付部材54を介して該本体12に取付けられる。取付部材54の本体内に臨む後端部には、前記ビール供給管38における導管部38bが袋ナット68を介して連通状態で接続され、該導管部38bを介して供給されるビールは、取付部材54に形成した中心通孔を介してビール注出コック14内に供給されるよう構成される。なお、取付部材54と導管部38bとは、パッキン70を介して水密的に接続されている。また取付部材54の材質は、熱伝導の良好な金属(例えば銅やアルミニウム等)が採用され、該取付部材54を介してビール注出コック14の冷却を効率的に行ない得るようになっている。
【0015】
前記サーバー本体12の前面には、図1に示す如く、ビール注出コック14の取付け位置に通孔12aが形成され、該通孔12aに一端部を嵌挿した状態で筒状のホルダ58が、該本体12の前面側に取付けられている。このホルダ58の中心部に通孔58aが形成されており、前記取付部材54の軸部54aが、該通孔58aに前側から挿通されて本体12内に挿入されるようになっている。ホルダ58の後面(本体内側)にナット60が配設され、該ナット60の雌ネジ60aと取付部材54の雄ネジ54bとが螺合されて、ビール注出コック14がホルダ58の前方に延出した状態で取付けられる。なお、ホルダ58の通孔58aに対して取付部材54の軸部54aは、Oリング62を介して水密的に挿通されている。
【0016】
前記ホルダ58には、筒状に形成された連結部材64の一端部がOリング66を介して水密的に嵌挿されると共に、該連結部材64の他端部は、前記貯溜タンク44の前面に水密的に配設され、両部材58,64の内部に空間Sを画成している。また、貯溜タンク44における連結部材64の内側に臨む部分(空間Sと対応する位置)に通孔44aが形成されており、タンク内の冷却用水42が通孔44aを介して前記空間S内に導入されて貯溜されるよう構成してある。そして、前記取付部材54の軸部54aは、前記ナット60から後方に延出する部分が、貯溜タンク44の通孔44aを介して該タンク内に所定長さで延出すると共に、空間Sおよび貯溜タンク44内の冷却用水42に浸漬されるようになっている。
【0017】
なお、前記取付部材54とビール供給管38とを連通接続する前記袋ナット68は、図1に示す如く、前記貯溜タンク44の内壁面より内側に突出するよう位置し、該内壁面に沿って上向きに流れる冷却用水42の抵抗となって、該冷却用水42が前記空間S内に入り込み易くなるように構成してある。
【0018】
【実施例の作用】
次に、実施例に係るビールサーバーの作用につき説明する。前記冷却装置40の運転が開始されると、冷凍機構から供給される冷媒を介して前記蒸発器46が経時的に冷却される。この蒸発器46が冷却されると冷却用水42の一部が冷却されて蒸発器46の表面から氷結するに至る。この氷結した氷は、該蒸発器46の表面で成長して上下方向で相互に連結することにより全体が所謂筒状に形成される。また冷却用水42は、前記貯溜タンク44に配設された前記攪拌手段52における攪拌羽根50の回転によって攪拌され、該冷却用水42の全体が蒸発器46に形成された氷塊により経時的に冷却される。
【0019】
前記載置部材30の上下何れかの受台32,34に、対応するサイズのジョッキを載置した後、図示しない操作盤を操作すると、載置部材30が傾動してジョッキが傾斜姿勢となる。次いで、前記駆動装置24が作動し、前記操作用レバー18が前後動されて、前記ビール注出コック14からビールと泡とがジョッキに注出される。ビール供給源からビールをビール注出コック14に供給するビール供給管38の冷却コイル部38aは、図2に示す如く、前記氷塊により冷却されている冷却用水42に浸漬しているから、該冷却コイル部38aを流通するビールが冷却され、ビール注出コック14から注出されるビールは飲用に適した温度となる。
【0020】
前記ビール注出コック14をサーバー本体12に取付けるための取付部材54は、図1に示す如く、前記空間Sおよび貯溜タンク44に貯溜されている冷却用水42に所定長さに亘って浸漬しており、該取付部材54を介してビール注出コック14が冷却用水42により冷却される。また、前記攪拌手段52で攪拌されて貯溜タンク44の内壁面に沿って上向きに流れる冷却用水42は、前記取付部材54にビール供給管38の導管部38bを接続するための袋ナット68に当たって前記空間S内に入り込み易くなっており、該空間S内の冷却用水42も常に循環して低い温度に保持されている。しかも、取付部材54の冷却用水42に浸漬される軸部54a(浸漬部分)には、ネジ形状である雄ネジ54bが形成されているから、冷却用水42との接触面積は大きく、該冷却用水42によるビール注出コック14の効率的な冷却が達成される。すなわち、ビールの注出間隔が長くなった場合においても、ビール注出コック14内に充満しているビールを冷却することができ、該注出コック14からは常に冷たいビールを注出し得る。
【0021】
なお、冷却効率を高めるための雄ネジ54bは、ビール注出コック14をサーバー本体12に取付けるためにも用いられるから、取付けにのみ用いる固定手段等を省略することができ、部品点数を低減し得る利点がある。しかも、ビール供給管38からのビールは、取付部材54を介してビール注出コック14に供給されるから、取付部位における構成を簡略化し、省スペースでの取付けができる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る飲料ディスペンサによれば、注出コックのディスペンサ本体への取付部材を冷却用水に浸漬すると共に、その浸漬部分の外面をネジ形状に形成したので、取付部材と冷却用水との接触面積が増大し、注出コックの冷却効率が向上する。すなわち、外気に晒される注出コックに充満している飲料の温度上昇を抑制することができ、該注出コックからは、常に飲用に適した温度まで冷却された飲料を注出し得る。また、攪拌手段で攪拌されて貯溜タンクの内壁面に沿って上向きに流れる冷却用水は、前記取付部材に設けた袋ナットに当たって空間内に入り込み易くなっており、取付部材我身視される空間内の冷却用水も常に循環して低い温度に保持できる。更に、取付部材を熱伝導の良好な金属を材質として形成すれば、注出コックの更に効率的な冷却が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施例に係るビールサーバーに配設されるビール注出コックの配設部位を示す要部縦断側面図である。
【図2】 実施例に係るビールサーバーの全体を一部切欠いて示す側面図である。
【符号の説明】
12 サーバー本体(ディスペンサ本体)
14 ビール注出コック(注出コック)
38 ビール供給管(飲料供給管)
42 冷却用水
44 貯溜タンク
44a 通孔
46 蒸発器
54 取付部材
54a 軸部
54b 雄ネジ
58 ホルダ
60 ナット
60a 雌ネジ
64 連結部材
68 袋ナット
S 空間
Claims (3)
- ディスペンサ本体(12)に配設された注出コック(14)と、該本体(12)の内部に配設されて冷却用水(42)が貯溜される貯溜タンク(44)と、前記貯溜タンク(44)に貯溜した冷却用水(42)をタンク内で攪拌して循環させる攪拌手段(52)と、前記冷却用水(42)に浸漬するよう貯溜タンク(44)内に配設され、前記注出コック(14)に接続される飲料供給管(38)とから構成され、前記飲料供給管(38)内を流通する際に前記冷却用水(42)で冷却された飲料を前記注出コック(14)から注出するようにした飲料ディスペンサにおいて、
前記本体(12)の前面に取付けられると共に、雌ネジ(60a)を形成したナット(60)が配設されたホルダ(58)と、
前記ホルダ(58)および貯溜タンク(44)の内壁面の間に水密的に配設され、該貯溜タンク(44)の内壁面に形成した通孔(44a)を介して当該タンク(44)内に連通する空間(S)を画成する連結部材(64)と、
前記注出コック(14)に配設されて前記飲料供給管(38)と注出コック(14)とを連通接続し、軸部(54a)の外周に螺設した雄ネジ(54b)の前端部を前記ナット(60)の雌ネジ(60a)に螺合することで前記空間(S)内に軸部(54a)を挿入した状態で前記ホルダ(58)に取付けられると共に、軸部 (54a) の後端部が前記貯溜タンク (44) の内壁面より内側まで突出するよう構成された取付部材(54)と、
前記取付部材(54)の軸部(54a)の後端部に螺合されて前記貯溜タンク(44)の内壁面より内側に突出する袋ナット(68)とを備える
ことを特徴とする飲料ディスペンサ。 - 前記冷却用水(42)に浸漬するよう貯溜タンク(44)内に蒸発器(46)が配設され、該蒸発器(46)に氷結した氷塊で前記冷却用水(42)を冷却するよう構成した請求項1記載の飲料ディスペンサ。
- 前記取付部材(54)は、熱伝導の良好な金属を材質とする請求項1または2記載の飲料ディスペンサ。
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