JP4109438B2 - 表層材および壁紙とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボリューム感を有すると同時に、防汚性に優れた衣料、テーブルクロス、ランチョンマット、ヘッドレスト、内装材などの用途に好適であり、特には壁紙に好適な表層材に関するものであって、さらに詳しくは、エンボス加工性に優れ、深みのあるしぼを有し、透気性を有するとともに、表面が繊維調の風合でありながら防汚性に優れた壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建物、車両などの内装材に用いられる壁紙として、焼却時に有毒ガスやダイオキシンを発生する可能性ある塩化ビニル系樹脂が敬遠される傾向にある。また、塩化ビニル系樹脂による壁紙はフィルム調であるため、脱塩化ビニル系樹脂であり、繊維調の表面を有する様々な壁紙が提案されている。例えば、実開平4−74000号公報には、難燃紙と熱可塑性繊維よりなる不織布の間に発泡または非発泡ポリ塩化ビニル樹脂層を層着し、表面にしぼ模様を形成した壁紙が提案されている。特開平3−294586号公報には、不織布からなる表層と難燃紙からなる基材との間に非発泡性合成樹脂又は発泡性合成樹脂が形成され、表層が樹脂層の中に一部分を埋め込まれている壁紙が提案されている。特開平5−116255号公報には、非結晶ポリエステル繊維を含有する不織布に非結晶ポリエステル樹脂をラミネートした複合シートを表層材とした壁紙が提案されている。特開2000−154499号公報には、通気性シート基材(壁紙用原紙)の上部に、非有機溶剤系樹脂層を設け、さらにその上部に不織布層を設けた壁紙が提案されている。
【0003】
また、壁紙には、施工時の汚れや、使用者による手垢、食べ物などの付着汚れに対して、汚れが付き難く、かつ汚れを容易に拭き取ることができるという防汚性が求められている。一般には、表面にフィルム層を設けて防汚性を高めているが、風合いがフィルム調となるため、繊維調を維持しつつ、防汚性を高めた壁紙としては、例えば、実開平5−30199号公報には、シートの両面にフッ素系加工剤を付着させた疎水性繊維表面シートと裏打ち紙を接着剤で一体化させた壁紙が提案されている。実開平5−57000号公報には、表面に平均繊維径1〜5μmの合成繊維からなる目付5〜100g/m2のメルトブロー不織布が積層一体化されている壁紙が提案されている。特開2000−73269号公報には、エチレン―酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体としたメルトブローン不織布を表面層とする壁紙が提案されている。特開平11−217799号公報には、芯鞘型複合繊維のカードウェブを表面層とし、セルロース系繊維と熱可塑性繊維との混合ウェブを内部層とする不織布の裏面に壁紙用原紙を接着し、エンボスローラーを用いてエンボス模様を形成するとともに表面をフィルム化した壁紙が提案されている。さらに、特開2001−1698号公報には、熱可塑性繊維を含む湿式不織布を表面とし、中間層に水流絡合不織布とし、裏層に裏打ち紙として、糊剤で接着させた壁紙が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記壁紙には以下の問題点が挙げられる。例えば、実開平4−74000号公報、特開平3−294586号公報、特開平5−116255号公報、及び特開2000−154499号公報では、表面不織布層と裏打ち紙とが直接樹脂によって接着されているため、繊維調の表面を有する壁紙を得ることはできるが、エンボス処理を施して、深いしぼを設けるためには、嵩高な不織布で表面を形成させる必要があるので、繊維間隙が大きくなり過ぎ、汚れの成分が繊維間隙を通して不織布内部に入り込んでしまい、施工時に付着した糊剤や施工者の手垢、汚れ、あるいは使用者の手垢、食べ物、液状物などの付着汚れを取り除くことができない。また、逆に樹脂成分で嵩高を維持することも考えられるが、透気性が極端に減少し、結露などの問題が生じる。
【0005】
また、実開平5−30199号公報では、フッ素系加工剤を付着させているので、耐水性(耐湿摩擦性)には優れるものの、施工時に付着した糊剤や施工者の手垢、汚れ、あるいは使用者の手垢、食べ物などの付着汚れに対しては効果がなく、液状物に対しても水であればはじくことができるが、コーヒーや醤油などの液状食品、あるいは洗剤などには効果がない。実開平5−57000号公報や特開2000−73269号公報では、表面にメルトブロー不織布を用いているが、直接紡糸法であるため、繊維自体延伸されておらず、単繊維強力が極端に弱く、実用上の摩擦などに耐えることができないだけでなく、繊維の結晶性が低いため、熱処理すると収縮を引き起こしたり、フィルム化し易く加工温度が極端に制限されたり、エンボス加工性に劣る。特開平11−217799号公報では、芯鞘型複合繊維をエンボスして融解させて表面をフィルム化させているが、エンボス加工における温度や圧力の調整が難しく、温度や圧力が低いとほとんど繊維部分が残存してしまい防汚性に劣り、温度や圧力が高すぎると完全にフィルム化して繊維調の表面が得られない。さらに、うまく調整できたとしても、表層部が不織布のみで形成されているため、汚れの成分が繊維部分の内部に容易に入り込み、手垢、食べ物、液体などの付着汚れを取り除くことができない。特開2001−1698号公報では、前記構成とすることにより、印刷斑、表面強力、撥水性や汚れ防止性、エンボス性を改善しようとしているが、表面に湿式不織布を配置しただけでは、汚れ防止性が不十分であるため、フッ素系樹脂を含む撥水剤兼汚れ防止剤をコーティングする必要があり、現状のコーティング剤では汚れ防止を抑制するのには限界がある。さらに、水系や溶剤系の糊剤であると、熱エンボス処理による深いしぼの形成性に劣る。
したがって、エンボス加工時における温度や圧力などの加工領域が広く、品質が安定しており、深みのあるしぼを付与することができ意匠性に優れ、透気性を有して結露などを発生させることなく、表面の風合が繊維調でありながら防汚性にも優れた壁紙が得られていないのが実情である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層とを積層一体化することにより、防汚性とボリューム感を兼ね備えた表層材が得られることが判り、本発明に至った。すなわち、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層を形成することにより、エンボス加工時において、シビアな温度や圧力の管理を必要とせず、表面に繊維調の風合を維持しつつ防汚性に優れた壁紙表面を得るのに好適であり、安定した品質の壁紙を得るのに好適な表層材を得ることができる。さらに、嵩高層を一体化させることにより、透気性を損なうことなく、深みのあるしぼを付与することができ意匠性に優れた壁紙を得るのに好適な表層材を得ることができる。
【0007】
前記熱可塑性樹脂は、前記湿式不織布および前記嵩高不織布の繊維間隙に入り込んで接着していると、壁紙の貼り換え時に壁紙の表層部自体が剥離することを防止するとともに、防汚層において、表面の繊維調の風合を維持しつつ汚れの侵入を表面近傍で抑えることができ、汚れの払拭性も向上し、好ましい。
【0008】
前記防汚層の見かけの厚みは、0.02mm以上、0.1mm以下の範囲であり、前記嵩高層の見かけの厚みは、0.15mm以上であり、嵩高層と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)は3以上であると、透気性を損なうことがなく結露を防止することができ、深みのあるしぼを付与することができ、好ましい。
【0009】
前記湿式不織布および前記嵩高不織布のうち少なくとも一方の不織布を構成する繊維は、鞘成分を低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複合繊維を含有すると、壁紙表面の毛羽立ちなど耐摩耗性が向上するだけでなく、表面の繊維露出部分が緻密化されて、防汚性に優れるものであったり、深みのあるしぼが固定化させることができたりし、好ましい。
【0010】
本発明の表層材は、目付が10g/m2以上、30g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.1mm以下からなる湿式不織布と、目付が30g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.25mm以上からなる嵩高不織布とを、熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94cN/cm2荷重での厚みが0.005mm以上、0.045mm以下の範囲からなる融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂で接着させることにより、製造することができる。
【0011】
本発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層部を有するものである。すなわち、湿式不織布を表面とし、湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層を形成することにより、表面に繊維調の風合を維持しつつ防汚性に優れた壁紙表面を得ることができる。また、防汚層が透気性を有するので、結露を抑制することができる。さらに、嵩高層が一体化されているので、深みのあるしぼを有し、意匠性に優れた壁紙を得ることができる。
【0012】
本発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層部と、裏打ち紙とが接着されてなる。
【0013】
前記壁紙にはエンボス模様が付与されていることが好ましい。
【0014】
前記エンボス模様を構成するエンボス部分と非エンボス部分のうち、非エンボス部分において、少なくとも一部は繊維形態を維持しており、不織布の表面近傍に熱可塑性樹脂が存在している、または一部の熱可塑性樹脂が表面に露出していると、表面の風合が繊維調を維持しつつ、防汚効果に特に優れ、好ましい。さらに、前記防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みは、0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であり、前記嵩高層における非エンボス部分の見かけの厚みは、0.1mm以上であり、非エンボス部分における嵩高層と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)が1.2以上であることが好ましい。
【0015】
前記壁紙は、湿式不織布と、嵩高不織布とが、熱可塑性樹脂により接着された表層材を準備し、前記嵩高不織布面に裏打ち材を接着剤により接合し、前記湿式不織布面がエンボスロールに当接するようにエンボス処理して、不織布表面にエンボス模様を形成させることにより、製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の表層材に用いられる湿式不織布としては、表面に繊維調を維持しながら、汚れが壁紙内部の奥深くに入り込まない目付、厚み、あるいは繊維間隙を形成するものが好ましい。湿式不織布は、他の乾式ウェブからなる不織布に比べ、厚みが小さく、緻密な繊維構造であり、繊維自体が主として横たわっているので、汚れが入り込み難い不織布構造である点で優れている。湿式不織布の2.94cN/cm2荷重における厚みは、0.1mm以下であることが好ましい。より好ましい厚みの下限は、0.03mm以上である。より好ましい厚みの上限は、0.09mm以下である。湿式不織布の厚みが小さすぎると、熱可塑性樹脂が湿式不織布の繊維間隙を貫通して完全に表面に露出してしまい、繊維調の風合が得られない恐れがある。湿式不織布の厚みが0.1mmを超えると、湿式不織布の繊維間隙の奥深くに汚れなどが入り込んでしまい、十分な防汚性が得られない恐れがある。
【0017】
前記湿式不織布の目付は、10g/m2以上、30g/m2以下の範囲であることが好ましい。より好ましい湿式不織布の目付の下限は、13g/m2以上であり、さらに好ましくは15g/m2以上である。より好ましい湿式不織布の目付の上限は、25g/m2以下であり、さらに好ましくは、20g/m2以下である。湿式不織布の目付が10g/m2未満であると、不織布自体の地合が不均一となるだけでなく、熱可塑性樹脂が湿式不織布の繊維間隙を貫通して完全に表面に露出してしまう恐れがある。湿式不織布の目付が30g/m2を超えると、繊維調の風合は有するものの、湿式不織布の繊維間隙の奥深くに汚れなどが入り込んでしまい、十分な防汚性が得られない恐れがある。
【0018】
湿式不織布を構成する繊維としては、塩化ビニル系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン系樹脂からなる繊維で構成することが好ましい。例えば、パルプ、マニラ麻、レーヨン、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維などを単独、あるいは混合、積層して用いられる。繊維形状も断面において円形、異形、中空などいずれであってもよい。
【0019】
エンボス加工性および深いしぼの形成性を考慮すると、熱可塑性合成繊維を含有することが好ましく、例えば、三井化学(株)製SWPなどのフィブリル化ポリエチレンなどに代表される低融解温度を有する単一繊維、あるいは鞘芯型、並列型、分割型などの複合繊維が挙げられる。なかでも、鞘成分を低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複合繊維を含有することが好ましい。例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル/ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンテレフタレート、エチレン―プロピレン共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどが挙げられ、特に芯成分にポリエチレンテレフタレートを用いると、繊維自体にコシがあり、エンボス性および深いしぼの形成性に優れ、表面の毛羽立ちを抑制し、耐摩耗性に優れ、好ましい。鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量としては、20mass%以上であることが好ましい。より好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の下限は、30mass%以上である。より好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の上限は、80mass%以下である。含有量が20mass%未満であると、表面の耐摩耗性に劣るだけでなく、壁紙作製時のエンボス加工において明瞭なしぼが形成され難い恐れがある。
【0020】
また、表面の触感、あるいは印刷材料の選択性を考慮すると、パルプやマニラ麻などのセルロース系繊維を含有することが好ましい。例えば、前記繊維を混合する場合、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の割合は20:80〜80:20であることが好ましい。また、前記繊維を積層の場合、例えば、表面にセルロース系繊維のみの層を設け、裏面に熱可塑性合成繊維のみの層を設ける、あるいは表面に熱可塑性合成繊維のみの層を設け、裏面にセルロース系繊維のみの層を設けてもよく、積層体全体で、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の割合は20:80〜80:20であるとよい。
【0021】
前記湿式不織布は、できるだけ緻密な繊維構造であることが好ましく、パルプなど繊維長が短いものや、繊維繊度が3dtex以下の繊維を用いることが好ましい。繊維繊度が3dtexを超えると、繊維の集合形態が疎となり、汚れなどの侵入を抑制することが困難となる恐れがある。
【0022】
前記湿式不織布は、円網式、短網式、長網式など公知の抄紙機を用いて抄紙し、乾燥するとよい。また、必要に応じて、シリンダードライヤーなどの熱処理機を用いて、熱可塑性合成繊維を熱融解させてもよい。
【0023】
次に、本発明の表層材に用いられる嵩高不織布としては、前記湿式不織布及び後述する熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層の見かけ厚みよりも厚みの大きい嵩高層を形成させることができる不織布で構成される。具体的には、嵩高不織布の2.94cN/cm2荷重における厚みは、0.25mm以上であることが好ましい。より好ましい厚みの下限は0.3mm以上である。より好ましい厚みの上限は1.6mm以下である。嵩高不織布の厚みが小さすぎると、不織布に十分な嵩が得られず、エンボス模様を付与したときに深いしぼが形成し難い傾向にある。
【0024】
嵩高不織布の目付は、30g/m2以上、80g/m2以下の範囲であることが好ましい。より好ましい嵩高不織布の目付の下限は、35g/m2以上であり、さらに好ましくは、40g/m2以上である。より好ましい嵩高不織布の目付の上限は、70g/m2以下であり、さらに好ましくは、65g/m2以下である。嵩高不織布の目付が30g/m2未満であると、不織布に十分な嵩が得られず、エンボス模様を付与したときに深いしぼが形成し難い傾向にある。嵩高不織布の目付が80g/m2を超えると、コスト高となるからである。
【0025】
前記嵩高不織布を構成する繊維としては、塩化ビニル系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン系樹脂からなる繊維で構成することが好ましい。例えば、パルプ、マニラ麻、レーヨン、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維などを単独、あるいは混合、積層して用いられる。繊維形状も断面において円形、異形、中空などいずれであってもよい。
【0026】
エンボス性および深いしぼの形成性、あるいは後述する裏打ち紙との接着性を考慮すると、熱可塑性合成繊維であることが好ましく、例えば、低融解温度を有する単一繊維、あるいは鞘芯型、並列型、分割型などの複合繊維が挙げられる。なかでも、鞘成分を低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複合繊維を含有することが好ましい。例えば、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル/ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンテレフタレート、エチレン―プロピレン共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどが挙げられ、特に芯成分にポリエチレンテレフタレートを用いると、繊維自体にコシがあり、エンボス性および深いしぼの形成性に優れ、好ましい。鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量としては、20mass%以上であることが好ましい。より好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の下限は、30mass%以上である。より好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の上限は、80mass%以下である。含有量が20mass%未満であると、エンボス加工において明瞭なしぼが形成され難いだけでなく、後述する熱可塑性樹脂との層間接着性に劣る恐れがある。例えば、前記繊維を混合する場合、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の割合は20:80〜80:20であることが好ましい。また、前記繊維を積層する場合、積層体全体で、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の割合は20:80〜80:20であるとよい。
【0027】
前記嵩高不織布の繊維ウェブ形態としては、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェブ、短繊維からなるエアレイウェブなどの乾式繊維ウェブが挙げられる。次いで、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、水流交絡などを1または2以上組み合せて繊維同士を結合させる。特に、ニードルパンチや水流交絡などの三次元交絡処理を用いれば、繊維同士が厚み方向にも配列することとなり、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂による積層一体化処理やエンボス模様付与処理など厚み方向に圧力が加わっても嵩高性を維持することができ、好ましい。
【0028】
次に、本発明の表層材に用いられる熱可塑性樹脂としては、薄膜形成性を有し、前記湿式不織布及び嵩高不織布とを接着する作用を有することが好ましい。さらに、各々の不織布の内部に入り込み、特に湿式不織布の表面近傍または表面の一部に露出するまで入り込むことが可能である熱可塑性樹脂を選択することが好ましい。
【0029】
熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94cN/cm2荷重での厚みは、0.005mm以上、0.045mm以下の範囲であることが好ましい。より好ましい厚みの下限は0.007mm以上である。より好ましい厚みの上限は0.03mm以下である。前記熱可塑性樹脂単独の固化状態とは、樹脂の吐出量などを調整して熱可塑性樹脂の単位面積あたりの質量や薄膜の厚みを決定するために、予め熱可塑性樹脂単独で押し出し、固化したときの厚みを測定し、溶融状態での厚みを管理するために用いられるものである。熱可塑性樹脂の厚みが0.005mm未満であると、後述するエンボス処理時に多孔化が進みすぎて、表層材内部への汚れの侵入を阻止することができない恐れがあり、熱可塑性樹脂の厚みが0.045mmを超えると、透気性が損なわれ、結露を発生する恐れがある。
【0030】
熱可塑性樹脂を素材としては、塩化ビニル系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン系樹脂で構成することが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの重合体あるいは他のオレフィン成分との共重合体などのポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。後述するエンボス処理による微多孔形成性からポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に、しぼ形成性及び風合の柔軟さから低密度ポリエチレン樹脂を用いることがより好ましい。
【0031】
次に、本発明の表層材において、前記湿式不織布を表面とし、湿式不織布と前記熱可塑性樹脂とが一体化されて防汚層を形成する。図1に、本発明の表層材の断面の一例を示す。防汚層5は、熱可塑性樹脂3が湿式不織布2の内部に入り込み、湿式不織布2の表面近傍、または表面の一部に露出するまで入り込んでいると、表面の風合が繊維調でありながら汚れの侵入を最大限に防止することができ、好ましい。
【0032】
前記防汚層の見かけの厚みは、0.02mm以上、0.1mm以下であることが好ましい。より好ましい見掛けの厚みの下限は、0.03mm以上である。より好ましい見かけの厚みの上限は、0.08mm以下である。ここでいう見かけの厚みとは、不織布の断面を電子顕微鏡で150〜500倍に拡大し、熱可塑性樹脂と嵩高不織布とを境界とし、表面から境界までの長さをいう。本発明においては、嵩高不織布内部にも熱可塑性樹脂が入り込むことがあるが、この場合熱可塑性樹脂の入り込んだ部分でも防汚作用を有していることから防汚層とみなす。防汚層の見かけの厚みが0.02mm未満であると、エンボス加工により明瞭なしぼが形成され難い恐れがあるだけでなく、表面の耐摩耗性にも劣る。見かけの厚みが0.1mmを超えると、透気性が損なわれ、結露を発生する恐れがある。
【0033】
そして、図1に示すように、前記防汚層5の裏面に防汚層5の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布4で構成された嵩高層6が積層一体化されて表層材1を構成する。嵩高層6の見かけの厚みとしては、0.15mm以上であることが好ましい。より好ましい見かけの厚みの下限は、0.2mm以上である。より好ましい見かけ厚みの上限は、1mmである。見かけ厚みが0.15mm未満であると、エンボス加工時において明瞭なしぼが形成し難い恐れがある。また、前記嵩高層6の見かけの厚みは、防汚層5の見かけの厚みとの比(嵩高層/防汚層)が3以上であるが好ましい。より好ましい厚み比の下限は、5以上である。ここでいう嵩高層6の見かけの厚みとは、前記防汚層5との境界からの厚みを指し、防汚層5の熱可塑性樹脂3が嵩高不織布4の内部に入り込んでいる場合は、熱可塑性樹脂3の境界までを防汚層5とみなす。見かけ厚み比が3未満であると、表層材自体に十分な嵩を有しないため、エンボス模様を付与したときに深いしぼが形成し難い傾向にある。
【0034】
また、前記表層材において、熱可塑性樹脂は防汚効果を有すると同時に、表層材自体の透気性を損なう恐れがあるので、「J.TAPPI 紙パルプ試験方法No.5 B 王研式透気度試験機(加圧式)による方法」に準ずる透気度が1000秒以下となるように調整することが好ましい。より好ましい透気度は500秒以下である。透気度が1000秒を超えると、後述するエンボス処理によって微多孔化されても、結露などを抑制するのに十分な透気度が得られない恐れがあるからである。
【0035】
次いで、前記表層材は、以下のように製造することができる。例えば、前記湿式不織布及び前記嵩高不織布を前述した方法により準備し、一方で熱可塑性樹脂を溶融して薄膜を形成しながら、貼り合わせる方法、あるいは予め湿式不織布、熱可塑性樹脂薄膜、及び嵩高不織布を準備し、各々を積層し、熱などの手段により貼り合わせる方法などが挙げられる。なかでも、前記湿式不織布及び前記嵩高不織布を準備し、一方で熱可塑性樹脂を溶融し、Tダイで押出して、溶融状態の薄膜を形成しながら、各々の不織布を巻き出し、ロール間で押さえて貼り合わせる方法(押出ラミネート法)を用いると、湿式不織布及び嵩高不織布を効率よく接着することができるとともに、繊維間隙に熱可塑性樹脂が入り込ませ、防汚作用を有する防汚層、及び深みのあるしぼを付与する作用を有する嵩高層を得ることができ、好ましい。
【0036】
具体的には、目付が10g/m2以上、30g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.1mm以下からなる湿式不織布を準備し、目付が30g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.25mm以上からなる嵩高不織布を準備する。次いで、公知のTダイを用い、樹脂の粘度、吐出量などを調整して、熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94cN/cm2荷重での厚みが0.005mm以上、0.045mm以下の範囲となるように溶融、押出しする。そして、溶融状態を保持した薄膜状熱可塑性樹脂の両側から各々の不織布を巻き出して、一対のロール間で加圧しながら接着させることにより、製造することができる。
【0037】
このとき、湿式不織布の厚みと熱可塑性樹脂の厚みの関係、あるいは熱可塑性樹脂の溶融状態と加圧条件によって熱可塑性樹脂の各々の不織布内部への入り込み量が決定され、例えば、湿式不織布の厚みに対して熱可塑性樹脂の厚みの方が大きくなると、熱可塑性樹脂が不織布表面全体に露出する恐れがあるので、湿式不織布の厚みの方が大きくなるように設定することが好ましい。特に、熱可塑性樹脂が湿式不織布の表面近傍または表面の一部に露出するまで入り込むように処理することが好ましい。ここでいう表面近傍とは、元の湿式不織布の厚みに対して、表面から約50%の厚み部分位置まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることを指す。より好ましくは、表面から約30%の厚み部分位置まで熱可塑性樹脂を入り込ませることである。また、ここでいう表面の一部に露出とは、湿式不織布表面において、繊維形態を維持している部分を除いた薄膜状の部分のことを指す。熱可塑性樹脂の入り込みの量が少ないと、湿式不織布表面から熱可塑性樹脂までの厚み方向の距離が大きくなり、湿式不織布の繊維間隙に汚れ等が侵入して、拭き取っても汚れが残存する恐れがある。熱可塑性樹脂の表面への露出度合いが多いと、繊維調の風合が得難くなる恐れがある。前記露出度合いを以下のようにして定義したとき、露出繊維本数は15本/mm2以上、250本/mm2以下であることが好ましい。ここでいう露出繊維本数とは、図2に示すとおり、表層材1の表面を電子顕微鏡で150〜500倍に拡大して撮影し、1mm2当たりに占める繊維間隙7を形成する交点8a、交点8b、交点8c、交点8dとしたとき、間隙を構成する交点から隣り合う交点までの繊維をそれぞれ1本とみなし、露出繊維a(7a)、露出繊維b(7b)、露出繊維c(7c)、露出繊維d(7d)として露出繊維本数を測定する。露出繊維本数が前記範囲を満たすと、熱可塑性樹脂の露出度合いが適正であるとみなす。なお、繊維同士が束状に接着したものも1本の繊維とみなす。また、ここでいう繊維間隙とは、少なくとも繊維形態を有する繊維1本により形成された空隙のことを指す。
【0038】
前記熱可塑性樹脂の各々の不織布内部への入り込み量の目安として、各々の不織布、及び固化状態の熱可塑性樹脂のそれぞれ単独の2.94cN/cm2荷重における厚みの合計と、表層材の2.94cN/cm2荷重における厚みとの比(ラミネート圧縮比)が、0.8以下となるように調整するとよい。
【0039】
次に、本発明の壁紙について説明する。本発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層部を有するものである。具体的には、前記表層材により表層部を形成した壁紙である。
【0040】
そして、前記壁紙は、図3に示すとおり、通常、前記表層材1の裏面に難燃紙などの裏打ち紙13と接着されて構成される。前記裏打ち紙としては、例えば、ビニル壁紙、紙壁紙、織物壁紙、あるいは不織布壁紙など裏打ち紙として通常用いられている紙を使用することができる。
【0041】
前記表層材1と裏打ち紙13との接着は、ビニル壁紙、紙壁紙、織物壁紙、あるいは不織布壁紙など裏打ち紙の接着剤12として通常用いられている、例えばエチレン−酢酸ビニル系樹脂などの接着剤を使用することができる。
【0042】
そして、前記壁紙の表面には、エンボスロールにより、エンボス部分10と非エンボス部分11とで形成されたエンボス模様が付与される。エンボスによる模様の形態や深さなどは特に限定されないが、本発明の壁紙の特徴を最も発揮するには、できるだけ深いしぼを有するものであることが、壁紙としての立体感や意匠性、繊維調の風合を得る点で好ましい。エンボス模様におけるしぼの深さは、0.05mm以上であることが好ましい。
【0043】
また、前記エンボス処理によって、本発明の壁紙表面において、エンボス部分は押圧されてしぼの凹部を形成し、非エンボス部分はしぼの凸部を形成する。非エンボス部分は、少なくとも一部が繊維形態を維持しており、不織布の表面近傍に熱可塑性樹脂が存在した構造を有するか、または一部の熱可塑性樹脂が表面に露出した構造を有しており、特に、非エンボス部分は直接、人が触れる部位であり、また人や物の接触により汚れが付着しやすい部位であるため、上記構造を得ることが重要である。非エンボス部分における繊維の露出度合いは、図4に示すように前記表層材の露出繊維9の本数から、エンボスによる熱圧着作用、熱可塑性樹脂の入り込み作用によってさらに露出度合いが減少するため、1mm2当たりに占める露出繊維本数は、4本以上であることが好ましい。より好ましい露出繊維本数は、10本以上である。露出繊維本数が4本未満であると、繊維調の風合が失われフィルム調となるからである。
【0044】
一方、前記エンボス処理により、壁紙の厚み方向においても前記表層材から厚みがさらに減少するため、防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みが0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であることが好ましい。より好ましい防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みの下限は、0.02mm以上である。より好ましい防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みの上限は、0.08mm以下である。また、嵩高層における非エンボス部分の見かけ厚みは、0.1mm以上であることが好ましい。さらに、非エンボス部分における嵩高層と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)は、1.2以上とすることが好ましい。好ましい見かけの厚み比の下限は、1.5以上である。非エンボス部分における防汚層の見かけの厚み、嵩高層の見かけの厚み、および見かけの厚み比が前記範囲外であると、前記表層材と同様の問題を生じる恐れがある。なお、防汚層と嵩高層との合計見かけの厚みが0.6mmを超えると、壁紙自体の嵩が大きくなり過ぎる恐れがあるので、0.6mmの範囲内で調整するとよい。
【0045】
本発明の壁紙の透気度は、300秒以下であることが好ましい。より好ましい透気度の上限は、200秒以下である。より好ましい透気度の下限は、20秒以上である。前記表層材の透気度に比べ、前記エンボス処理後の透気度が低くなる傾向にある。これは、後述するエンボス処理によって熱可塑性樹脂が微多孔化されて透気性、透湿性が向上するからである。透気度が300秒を超えると、汚れや液体などが壁紙の内部に侵入することを防止できるが、空気の透過性に劣り、結露などを抑制することができない。透気度があまりに小さすぎると、汚れや液体などが壁紙の内部に侵入し、防汚性に劣る恐れがある。なお、透気度が小さくなり過ぎると、透気性、透湿性は向上するが、汚れの侵入を防止することが困難となる恐れがあるので、適宜エンボス条件を調整するとよい。
【0046】
次に、本発明の壁紙の製造方法について説明する。まず、前記表層材と、裏打ち紙を準備し、接着剤を用いてラミネート処理して壁紙用基材を作製する。このとき接着剤は、乾式でも湿式でもいずれであってもよく、乾式であれば、熱処理により接着させて冷却固化することができ、湿式であれば、ディッピング法、グラビアコーティング法、ドット法などにより接着剤を塗布して乾燥させて接着することができる。
【0047】
次いで、壁紙用基材表面に、水性インキ、アクリル系インキなどのインキを、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロータリースクリーン印刷、オフセット印刷、転写印刷、活版印刷など一般的な印刷方法を用いて、印刷が施される。また、必要に応じて、油性、シリコーン系、フッ素系の撥水剤を塗布することができる。
【0048】
そして、壁紙用基材にエンボス処理が施される。エンボスロールは、通常壁紙のエンボス処理に用いられるものが使用される。例えば、エンボス率は、ロール全面積に対して20〜60%のエンボス面積で付与されていることが好ましい。エンボスの高さは、0.1〜0.6mmであることが好ましい。エンボス処理における温度は、表層材を構成する繊維のうち、熱可塑性合成繊維の少なくとも一部が融解する温度以上で処理することが好ましい。熱可塑性合成繊維が融解する温度未満であると、壁紙表面における防汚層の形成が困難となる恐れがあるだけでなく、深いしぼの形成が困難となる恐れがある。例えば、熱可塑性合成繊維として、鞘成分を低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複合繊維を用いた場合、鞘成分の融解温度以上、芯成分の融解温度未満の温度でエンボス処理することが好ましい。特に、芯成分の融解温度より20℃低い温度以上、芯成分の融解温度未満の温度で処理すると、鞘成分は完全に融解されて緻密な表面が得られ、芯成分も変形されてエンボス模様が鮮明に形成され、好ましい。
【0049】
一方、熱可塑性樹脂は、前記エンボス処理により、エンボス模様を形成するとともに、微多孔化されて、適度な透気性を有するが汚れの侵入を防止可能な透気性熱可塑性樹脂が得られる。微多孔化される理由については、定かではないが、熱可塑性樹脂が軟化したり、再融解されたときに、不織布を構成する繊維が突き刺さったり、食い込んだりするなどによって微多孔化されるものと推定される。エンボス処理温度が熱可塑性樹脂が融解する温度より5℃低い温度未満であると、熱可塑性樹脂の微多孔形成性に劣るだけでなく、エンボス模様が鮮明に形成されないからである。
【0050】
したがって、前記エンボス処理温度は、不織布を構成する熱可塑性合成繊維が融解する温度以上と、かつ熱可塑性樹脂が融解する温度より5℃低い温度以上を同時に満たすことが好ましい。特に、芯成分の融解温度より20℃低い温度以上、芯成分の融解温度未満の温度で処理すると、表面が緻密であり、しぼが鮮明に形成されるだけでなく、熱可塑性樹脂に微孔が多数得ることができるので、繊維調の風合、防汚性及び透気性という相反する特性を同時に満たすことができ、好ましい。また、しぼの鮮明性や加工性等からエンボス処理における圧力は、70N/cm以上、500N/cm以下であることが好ましい。
【0051】
そして、必要に応じて、エンボス処理の施された壁紙用基材に油性、シリコーン系、フッ素系などの撥水剤を塗布し、必要に応じてキュアリング処理を施して、壁紙を得る。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、不織布の厚み、露出繊維本数、透気度、払拭性試験は、以下のとおり測定した。
【0053】
[厚み]
(1)2.94cN/cm2荷重での厚み
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2 あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
【0054】
(2)見かけの厚み
試料を3枚準備し、電子顕微鏡(日立サイエンスシステムズ製、S−3500N)に装着し、200倍に拡大して3箇所撮影し、各々厚みを測定し、その平均値を見かけ厚みとした。
【0055】
[露出繊維本数]
試料表面を電子顕微鏡で、湿式不織布および表層材の場合200倍に、壁紙の非エンボス部分の場合30倍に拡大して3箇所撮影し、1mm2当たりに占める繊維間隙を形成している露出繊維の交点から隣り合う交点までの繊維を1本として露出繊維本数を測定し、その平均値を露出繊維本数とした。
【0056】
[透気度]
J.TAPPI 紙パルプ試験方法 No.5 B 王研式透気度試験機(加圧式)による方法に準じて測定した。
【0057】
[払拭性試験]
(1)施工時の汚れ(自然付着)
澱粉系の施工糊(ヤヨイ化学工業(株)製、ユーアマイルド)100g中に部屋の中にある設備に付着している埃5gと、水性サインペン(ぺんてる(株)製)のインキを微量採取し、ヘラに付けて糊と混ぜ合わせて汚れた施工糊を作製し、前記汚れ施工糊を壁紙表面に約4cm×約15cm大きさで約0.5g付着させた。
【0058】
(2)施工時の汚れ(擦り付け付着)
部屋の中にある設備に付着している埃を軍手にしみ込ませて汚れた軍手を作製し、これを壁紙表面に約4cm×約15cm大きさで手で擦り付け付着させた。
【0059】
(3)コーヒーの汚れ
日本ビニル工業会・ビニル建装部会制定の「汚れ防止商品性能表示規定」(業界規定)に基づき、ネスカフェゴールドブレンド(ネスレ(株)製)を用い、水100gに対してコーヒー4gの濃度のものを常温で調製した。次いで、45℃前後に傾斜した試験台にA4サイズの試験片を貼付し、その上からビーカーに入れたコーヒーを汚染範囲が約10cm巾になるように振りかけて、付着させた。
【0060】
(4)醤油の汚れ
日本ビニル工業会・ビニル建装部会制定の「汚れ防止商品性能表示規定」(業界規定)に基づき、キッコーマン(株)の濃い口醤油を用い、前記コーヒーの汚れと同様の方法で振りかけて、付着させた。
【0061】
(5)汚れ付着壁紙の払拭性試験
試験片に各種汚れを付着させた後、24時間放置し、その後、白綿布に水を含ませて丁寧に拭き取り、試験終了の1時間後にJIS−L−0805に準ずる汚染用グレースケールを用いて汚れを拭き取った部分と、汚れが付着していない部分(原片)と比較して判定した。判定表示は、下記のように5級(良好)〜1級(不可)の5段階としグレードが2段階にまたがる場合は3〜4級のように表示した。
1級:汚れが汚染用グレースケールの1号またはその程度を越えるもの(汚れが濃く残る)
2級:汚れが汚染用グレースケールの2号程度のもの(かなり汚れが残る)
3級:汚れが汚染用グレースケールの3号程度のもの(やや汚れが残る)
4級:汚れが汚染用グレースケールの4号程度のもの(殆ど汚れが残らない)
5級:汚れが汚染用グレースケールの5号程度のもの(汚れが残らない)
【0062】
[実施例1]
(1)湿式不織布の準備
パルプ(NBKP)を50mass%と、繊度2.2dtex、繊維長10mmの鞘成分が共重合ポリエステル、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル系鞘芯型複合繊維(東洋紡績(株)製、EE7)を50mass%を準備し、湿式抄紙して目付20g/m2の湿式不織布を得た。
【0063】
(2)嵩高不織布の準備
繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)を60mass%と、繊度2.2dtex、繊維長51mmの鞘成分が共重合ポリエステル、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル系鞘芯型複合繊維(東洋紡績(株)製、EE7)を40mass%を準備した。なお、ポリエステル系鞘芯型複合繊維の融点(JIS−L−7122(DSC法)による)は、芯成分の約253℃しか確認できなかった。一方、鞘成分における融解温度は約110℃であった。
【0064】
前記2繊維を混綿し、セミランダムカード機を用いて繊維ウェブとした後、繊維ウェブを経緯の線径がそれぞれ0.132mm、90メッシュの平織りネット上に載置し、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルから表側を水圧2MPa、4MPa、7MPaで水流を噴射し、裏側を7MPaで水流を2回噴射し、構成繊維を交絡させた後、135℃で乾燥すると同時にポリエステル系鞘芯型複合繊維を融解して、目付50g/m2の水流交絡不織布(嵩高不織布)を得た。
【0065】
(3)表層材の作製(押出ラミネート処理)
前記湿式不織布及び前記嵩高不織布を準備し、一方で融点が約110℃の低密度ポリエチレン樹脂を120℃に溶融してTダイのスリットから厚みが0.015mmとなるように溶融状態の低密度ポリエチレン薄膜を押出し、各々の不織布を巻き出して、駆動ロール間で加圧して積層一体化させて表層材を作製した。
【0066】
(4)壁紙の作製
裏打ち紙として目付110g/m2の難燃紙を準備し、難燃紙の上にコーターを用いてエチレン−酢酸ビニル系接着剤を塗布量が25g/m2で塗布した後、前記表層材の嵩高不織布面(裏面)と難燃紙を貼り合わせ、熱風ドラム乾燥機を用いて、約150℃の温度の乾燥し、壁紙用基材を得た。次いで、湿式不織布面を表面として、印刷処理及びシリコーン系撥水剤を約10g/m2塗布して撥水処理を施した後、エンボス率50%の砂目模様を付与したエンボスロール/フラットロールを用いて、ロール温度250℃、線圧260N/cmの条件でエンボスロールが湿式不織布面に当接するようにして、エンボス処理を施した。さらに、シリコーン系撥水剤を約10g/m2塗布して撥水処理を施して壁紙を得た。
【0067】
[実施例2]
湿式不織布の構成繊維を、目付10g/m2の実施例1のパルプ50mass%とポリエステル系鞘芯型複合繊維50mass%の混抄と、目付10g/m2の実施例1のポリエステル系複合繊維100mass%とを抄き合わせて抄紙した以外は、実施例1と同様の方法で表層材及び壁紙を得た。
【0068】
[実施例3]
湿式不織布の構成繊維を、ポリエステル系複合繊維の代わりに、鞘成分が融点約128℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点約162℃のポリプロピレンからなる繊度2.2dtex、繊維長6mmの鞘芯型熱融解性複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(H))とした以外は、実施例1と同様の方法で表層材及び壁紙を得た。
【0069】
[実施例4]
嵩高不織布の構成繊維を、繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)を80mass%と、繊度2.2dtex、繊維長51mmの鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなる鞘芯型複合繊維(大和紡績(株)製、NBF(SH))を20mass%を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層材及び壁紙を得た。なお、前記鞘芯型複合繊維の融点は、芯成分が約253℃、鞘成分が約128℃であった。
【0070】
[実施例5]
低密度ポリエチレン樹脂の厚みが0.04mmとなるようにTダイから低密度ポリエチレン薄膜を押出した以外は、実施例1と同様の方法で表層材及び壁紙を得た。
【0071】
[比較例1]
表面側を実施例1のポリエステル系鞘芯型複合繊維100mass%からなる目付40g/m2のセミランダムカードウェブとし、裏面側を実施例1のレーヨン繊維80mass%と、実施例1のポリエステル系鞘芯型複合繊維20mass%とを混綿した目付40g/m2のセミランダムカードウェブとして、両ウェブを積層し、実施例1と同様の条件で水流交絡処理及び熱処理を施して、表層材とした以外は、実施例1と同様の方法で壁紙を得た。
実施例1〜5、および比較例1の表層材および壁紙の性能を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004109438
【0073】
実施例1〜4の壁紙は、露出繊維本数も多く、繊維調を維持しており、湿式不織布と熱可塑性樹脂が一体化された防汚層を有するので、汚れの入り込みが少なく汚れ付着防止性に優れていた。また、いずれの汚れに対して4級以上の優れた払拭性を有するものであった。さらに、嵩高層を有しているので、紙壁紙のようなペーパーライクな風合ではなくボリューム感があり、鮮明なしぼを有するものであった。また、実施例5の壁紙は、熱可塑性樹脂の厚みが大きいため、露出繊維本数が少なく、若干フィルム調であり、若干透気性に劣るものの実用レベルであった。汚れ付着防止性および払拭性には優れていた。一方、比較例1の壁紙は、表層材が不織布のみからなるので、繊維調の風合であり、鮮明なしぼを有するものであったが、各種汚れが繊維間隙を通して内部にまで入り込み、実施例に比べて汚れの付着量が格段に多くなった。さらに、払拭しても汚れを十分に拭き取ることができなかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の表層材は、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層とを積層一体化することにより、エンボス加工時において、シビアな温度や圧力の管理を必要とせず、表面に繊維調の風合を維持しつつ防汚性に優れた、特に壁紙表面を得ることができ、安定した品質の壁紙を得るのに好適である。さらに、透気性を損なうことなく、深みのあるしぼを付与することができ意匠性に優れた壁紙を得るのに好適な表層材を得ることができる。
【0075】
特に、前記熱可塑性樹脂を前記湿式不織布および前記嵩高不織布の繊維間隙に入り込んで接着させることにより、壁紙の貼り換え時に壁紙の表層部自体が剥離することを防止するとともに、防汚層において、表面の繊維調の風合を維持しつつ汚れの侵入を表面近傍で抑えることができ、汚れの払拭性も向上させることができる。
【0076】
本発明の壁紙は、前記表層材を表層部として用いることにより、表面に繊維調の風合を維持しつつ防汚性に優れた壁紙表面を得ることができ、防汚層が透気性を有するので、結露を抑制することができ、嵩高層を一体化されているので、深みのあるしぼを有し、意匠性に優れた壁紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表層材における断面の一例を示す。
【図2】本発明の表層材における表面の一例を示す。
【図3】本発明の壁紙における断面の一例を示す。
【図4】本発明の壁紙における表面の一例を示す。
【符号の説明】
1.表層材
2.湿式不織布
3.熱可塑性樹脂
4.嵩高不織布
5.防汚層
6.嵩高層
7.繊維間隙
8.交点
9.露出繊維
10.エンボス部分
11.非エンボス部分
12.接着剤
13.裏打ち紙
14.壁紙

Claims (10)

  1. 湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層とが積層一体化してなる表層材であり、
    前記湿式不織布は、目付が10 g/m 2 以上、30 g/m 2 以下の範囲であり、2.94 cN/cm 2 荷重における厚みが0.03 mm 以上、0.1 mm 以下の範囲であり、
    前記嵩高不織布は、目付が30 g/m 2 以上、80 g/m 2 以下の範囲であり、2.94 cN/cm 2 荷重における厚みが0.25 mm 以上、1.6 mm 以下の範囲であり、
    各々の不織布間に、熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94 cN/cm 2 荷重での厚みが0.005 mm 以上、0.045 mm 以下の範囲となるようにTダイで融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂を溶融、押出して、各々の不織布及び固化状態の熱可塑性樹脂のそれぞれ単独の2.94 cN/cm 2 荷重における厚みの合計と、前記表層材の2.94 cN/cm 2 荷重における厚みとの比(ラミネート圧縮比)を0.8以下となるように加圧しながら、接着しており、
    前記防汚層は、熱可塑性樹脂が湿式不織布の内部に入り込み、湿式不織布の表面近傍、または表面の一部に露出するまで入り込んでおり、
    前記表層材表面において下記の方法で測定される露出繊維本数が15本/mm2以上、250本/mm2以下である表層材。
    [露出繊維本数]表層材表面を電子顕微鏡で、200倍に拡大して3箇所撮影し、1mm2当たりに占める繊維間隙を形成する各交点に対し、間隙を構成する交点から隣り合う交点までの繊維をそれぞれ1本の露出繊維として本数を測定し、その平均値を前記表層材の露出繊維本数とする。
  2. 防汚層の見かけの厚みが0.02mm以上、0.1mm以下の範囲であり、嵩高層の見かけの厚みが0.15mm以上であり、嵩高層と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)が3以上である請求項1に記載の表層材。
  3. 湿式不織布および嵩高不織布のうち少なくとも一方の不織布を構成する繊維が、鞘成分を低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複合繊維を含有する請求項1または2に記載の表層材。
  4. 前記鞘芯型熱融解性複合繊維の繊度が3dtex以下である請求項3に記載の表層材。
  5. 目付が10g/m2以上、30g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.1mm以下からなる湿式不織布と、
    目付が30g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.25mm以上からなる嵩高不織布を準備し、
    各々の不織布間に、熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94cN/cm2荷重での厚みが0.005mm以上、0.045mm以下の範囲となるようにTダイで融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂を溶融、押出して、加圧しながら接着させ、前記加圧を各々の不織布、及び固化状態の熱可塑性樹脂のそれぞれ単独の2.94 cN/cm 2 荷重における厚みの合計と、表層材の2.94 cN/cm 2 荷重における厚みとの比(ラミネート圧縮比)を0.8以下となるように調整していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表層材の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の表層材を表層部とし、エンボス模様が付与されている壁紙であり、
    前記表層部における前記防汚層は、熱可塑性樹脂が湿式不織布の内部に入り込み、非エンボス部分において湿式不織布の表面近傍、または表面の一部に露出するまで入り込んでおり、前記表層部表面において下記の方法で測定される露出繊維本数が4本/mm2以上であり、前記表層材の露出繊維本数よりも少ないことを特徴とする壁紙。
    [露出繊維本数]表層部表面を電子顕微鏡で、壁紙の非エンボス部分を30倍に拡大して3箇所撮影し、1mm2当たりに占める繊維間隙を形成する各交点に対し、間隙を構成する交点から隣り合う交点までの繊維をそれぞれ1本として露出繊維を測定し、その平均値を前記壁紙の露出繊維本数とする。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の表層材を表層部とし、裏打ち紙が接着されており、さらにエンボス模様が付与されている壁紙であり、前記表層部における前記防汚層は、熱可塑性樹脂が湿式不織布の内部に入り込み、非エンボス部分において湿式不織布の表面近傍、または表面の一部に露出するまで入り込んでおり、前記表層部表面において下記のように定義、測定される露出繊維本数が4本/mm2以上であり、前記表層材の露出繊維本数よりも少ないことを特徴とする壁紙。
    [露出繊維本数]表層部表面を電子顕微鏡で、壁紙の非エンボス部分を30倍に拡大して3箇所撮影し、1mm2当たりに占める繊維間隙を形成する各交点に対し、間隙を構成する交点から隣り合う交点までの繊維をそれぞれ1本として露出繊維を測定し、その平均値を前記壁紙の露出繊維本数とする。
  8. 防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みが0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であり、嵩高層における非エンボス部分の見かけの厚みが0.1mm以上であり、非エンボス部分における嵩高層と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)が1.2以上である請求項6または7に記載の壁紙。
  9. エンボス部分における前記熱可塑性樹脂が微多孔化している請求項6〜8のいずれかに記載の壁紙。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の表層材を準備し、前記表層材の嵩高不織布面に裏打ち材を接着剤により接合し、前記表層材の湿式不織布面が、高さ0.1〜0.6mmのエンボスがエンボスロールの全面積に対し20%〜60%のエンボス面積をもつエンボスロールに当接するようにし、前記熱可塑性樹脂が融解する温度より5℃低い温度以上の温度、かつ70 N/cm 以上、500 N/cm 以下の圧力でエンボス処理することで、不織布表面にエンボス模様を形成させる請求項6〜9のいずれかに記載の壁紙の製造方法。
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