JP4106750B2 - 制電性包装材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルム又はシート(本明細書中において、単に「熱可塑性樹脂フィルム」という。)からなり、包装袋、包装容器などとして静電気の発生及び帯留防止性に優れた特性を有する包装材料(本明細書中において、単に「制電性包装材料」という。)に関するものである。本発明の制電性包装材料は静電気を嫌う一般的包装用途のみならず、特定用途、例えば、磁気メディア、光メディア、光磁気メディア等の記録媒体や電子通信工業で用いられるパーツ類、受動素子、能動素子、それらの集積化されたIC、LSI、VLSIやLCD、プラズマディスプレー等の包装材料、更に、これら部品を実装し、組み立てて製品又は半製品とするまでの各運送、搬送、保管、組立工程において専用に用いられる包装容器、例えばキャリアテープ、トレイ、マガジン、バルクケースのような物品を包装するための包装容器及び更にそれらをまとめて包装する包装袋や容器に用いる制電性包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂フィルムは、耐熱性、寸法安定性、機械的強度等に優れるため、包装用フィルム、工業用フィルムとして、多量かつ広い範囲に使われている。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等は、耐熱性は劣るが、成形性の良さ、安価である等の理由で包装材料として一般的に用いられている。合成樹脂は一般的に誘電性であるため、合成樹脂からなる構造形成体の表面に静電気が発生しやすく、ほこり等が表面に付着しやすくなり、包装材料が他物品に吸引されたり、また内容物が吸引されて取り出せなくなる等のトラブル、更には放電が起こる等の危険もあり、改良の必要があった。更に、昨近の電子技術の進歩により包装材に一層のクリーン度が要求されるとともに、半導体素子の静電気による破壊などが問題となっている。
【0003】
一般的にはフィルム状の包装材料等の帯電防止剤として界面活性剤が用いられるが、界面活性剤では塵、ほこり等の付着を抑制するのに充分な表面抵抗(1010Ω/□以下)が得られないのみならず、帯電防止能が周囲の湿気や水分の影響を受け変化しやすい。特に、界面活性剤により低下したフィルムの表面の電気抵抗が、低湿度下では大幅に増大して所望の帯電防止能が得られなくなる欠点がある。このことは、工程中に洗浄等による高湿度雰囲気やキュアー等による低湿度雰囲気、そして最終的に乾燥した環境下におかれることが多い電子材料の包装材料として極めて不都合なことである。
【0004】
このような理由のもと、低湿度環境下で静電気障害のない包装材料としてのフィルムが求められつつあり、そのためには低湿度下で1010Ω/□以下の表面抵抗値を与える帯電防止剤の出現が望まれている。このような低表面抵抗値を与える素材として、カーボンブラックを混合した樹脂を用いることが多い。
【0005】
しかし、このものは透明性に劣り、内容物や下地層の目視検査や光センシングによる検査には適さない。透明で制電性のある材料としてはITOやSnO2の蒸着膜やそれらの粉末を混合した樹脂を用いることが考えられるが、包装材料として用いるには製造工程が複雑であるという欠点があった。
【0006】
同様の特性を示す材料として、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子が知られているが、いずれも、特定の有機溶媒には可溶であるが、水や水/アルコール混合溶媒系には不溶または分散不可であるため、芳香環にスルホン酸基を結合させる方法等が行われ、かつ単独では充分な膜特性が出ないため、水溶性または水分散性樹脂を混合する方法が行われてきた。しかしスルホン化したポリアニリンとの相溶性の良い樹脂を用いた場合は所定の表面抵抗値が出ず、反対に所定の表面抵抗値が出る場合は、表面が白濁してフィルム本来の透明性を損なうという問題が生じていた。
【0007】
一方、目視検査や光センサによる内容物や下地層の検査時に用いられる包装材料として、できるだけ広い波長範囲で透明であることが望まれている。更に、センサーの分光感度特性に適合することも必要とされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の制電性包装材料の有する問題点を解決し、熱可塑性樹脂フィルムの有する構造形成体の優れた点を保持し、低湿度下でも充分な制電性を有し、かつ内容物の視認性、センシング適合性に優れ、容易に入手することができる制電性包装材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の制電性包装材料は、厚みが0.8μm以下、24℃・14%RH雰囲気下で測定した表面抵抗が1×1010Ω/□以下であり、波長400〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.70OD/μm以下である有機高分子制電層を少なくとも一方の表面に有する積層熱可塑性樹脂フィルムからなることを特徴とする。
【0010】
上記の構成からなる本発明の制電性包装材料は、熱可塑性樹脂フィルムの有する構造形成体の優れた点を保持し、低湿度下でも充分な制電性を有し、かつ内容物の視認性、センシング適合性に優れ、容易に入手することができる制電性包装材料である。
【0011】
また、制電性包装材料が基材の少なくとも一方の表面に、有機高分子制電層を表面又は内面に配して積層熱可塑性樹脂フィルムを積層してなることを特徴とする。
【0012】
上記の構成からなる本発明の制電性包装材料は、熱可塑性樹脂フィルムの有する構造形成体の優れた点を保持し、低湿度下でも充分な制電性を有し、かつ内容物の視認性、形状保持性、センシング適合性に優れ、容易に入手することができる制電性包装材料であり、かつ充分な機械的強度を有している。
【0013】
この場合において、有機高分子制電層が、スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルとを必須成分とする重合体層とすることができる。
【0014】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長400〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.35OD/μm以下とすることができる。
【0015】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.35OD/μm以下とすることができる。
【0016】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.13OD/μm以下とすることができる。
【0017】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.07OD/μm以下とすることができる。
【0018】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長520〜1000nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.06OD/μm以下とすることができる。
【0019】
またこの場合において、有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長520〜1000nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.03OD/μm以下とすることができる。
【0020】
さらにまた、これらの場合において、有機高分子制電層の厚みを0.4μm以下とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の制電性包装材料の実施の形態を説明する。
【0022】
本発明においては、例えば厚みが0.8μm以下、24℃・14%RHの温湿度下という乾燥雰囲気下で測定した表面抵抗が1×1010Ω/□以下であり、波長400〜1100nmにおける厚みあたりの吸光度の最大値が0.70OD/μm以下である有機高分子制電層を少なくとも一方の表面に有する積層熱可塑性樹脂フィルムを制電性包装材料として包装袋及び包装容器を形成するか、または、積層熱可塑性樹脂フィルムを他の単層又は多層の基材と積層し、制電性包装材料としその内表面及び/又は外表面及び/又は層間に有機高分子制電層が来るようにすることにより達成される。更に、有機高分子制電層として、スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルを必須成分とする重合体を用いることが極めて有効である。
【0023】
本発明において、有機高分子制電層の厚みは0.8μm以下であるが、0.8μmを越えると制電性は極めて安定で良好となるが、透明性、コストの点では有利とは云えない。更に好ましくは厚みが0.5μm以下であり、その厚みが0.1μmであっても透明性、コスト、制電性の点で満足できるものであるが、0.05μm以下となると透明性には優れても制電性を充分発揮できるとはかぎらない。
【0024】
また、有機高分子制電層の表面抵抗値は24℃、14%RH雰囲気下で測定して1×1010Ω/□以下であることが特定の電子材料包装用途をカバーするうえで重要である。更に、この有機高分子制電層の厚みあたりの吸光度の測定波長400〜1100nmにおける最大値が0.70OD/μm以下であることが好ましい。目視観察をする場合の可視領域は400〜700nmであり、光センシングに用いられる発光ダイオード、半導体レーザー等の透過波長必要領域は400〜1000nm強のものが多い。従って、波長400〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値は0.70OD/μm以下、更には0.35OD/μm以下、特に好ましくは0.25OD/μm以下であることが検査精度向上に寄与する。また、測定波長495〜1100nmにおいて厚みあたりの吸光度の最大値は0.35OD/μm以下、更には0.13OD/μm以下、特に好ましくは0.07OD/μm以下であるのが好ましい。この波長領域は視感度が最も高い波長域を充分含み、更に、発光ダイオードとしては比較的使われるようになってきた緑色を含む実用的範囲でありこの範囲で上記の透明性を示すことはなお好ましい。そして、測定波長520〜1000nmにおいて厚みあたりの吸光度の最大値は0.06OD/μm以下、更には0.03OD/μm以下が最も好ましい。この波長域は、視感度はやや下がるものの未だ充分可視域にあり、更に最も安価で普及している赤色〜近赤外の発光ダイオード、半導体レーザーが使える領域であり、この波長での透明性が極めて優れるがゆえに検査精度の向上が多く見込まれ、汎用性がある。
【0025】
次に、本発明の制電性包装材料を構成する構成成分についての説明を行う。本発明における有機高分子制電層を形成するのに典型的なスルホン化ポリアニリンとしては、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸を主成分とするアニリン系共重合体スルホン化物が挙げられる。本発明の有機高分子制電層として特にアミノアニソールスルホン酸を主成分とするスルホン化ポリアニリンが好適である。さらに、本発明において、熱可塑性樹脂フィルム上に積層するのに、塗布性、延展性、塗布体の硬度の特性を向上させる点において、スルホン酸基含有共重合ポリエステル特に、5−スルホイソフタル酸単位を4〜10モル%合むスルホン酸基含有共重合ポリエステルを併用することはさらに好適である。
【0026】
ここで、アミノアニソールスルホン酸類の具体例として、2−アミノアニソール−3−スルホン酸、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、2−アミノアニソール−5−スルホン酸、2−アミノアニソール−6−スルホン酸、3−アミノアニソール−2−スルホン酸、3−アミノアニソール−4−スルホン酸、3−アミノアニソール−5−スルホン酸、3−アミノアニソール−6−スルホン酸、4−アミノアニソール−2−スルホン酸、4−アミノアニソール−3−スルホン酸等を挙げることができる。アニソールのメトキシ基がエトキシ基、iso−プロポキシ基等のアルコシキ基に置換された化合物を用いることも可能である。
【0027】
しかし、2−アミノアニソール−3−スルホン酸、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、2−アミノアニソール−5−スルホン酸、2−アミノアニソール−6−スルホン酸、3−アミノアニソール−2−スルホン酸、3−アミノアニソール−4−スルホン酸、3−アミノアニソール−6−スルホン酸が好ましく用いられる。アミノアニソールスルホン酸を主成分とするスルホン化ポリアニリンが本発明を構成する有機高分子制電層の1成分に用いられる。
【0028】
本発明において用いるスルホン化ポリアニリンは、スルホン酸基が芳香環に対して70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%含有する重合体である。また、スルホン酸基を含む芳香環と含まない芳香環が混在したり、交互に並んだりしても、本発明の目的には問題はない。
【0029】
上記スルホン化ポリアニリンのスルホン酸基含有率が70%未満であると該共重合体の水、アルコールまたはそれらの混合溶媒系等への溶解性又は分散性が不充分になり、結果として基体への塗布性及び延展性が悪くなり、得られる塗布膜の制電性が著しく低下する傾向になる。本発明に用いられるスルホン化ポリアニリンの数平均分子量は通常300〜500000程度であり、1000以上であるのが前記溶媒への溶解性及び塗布膜の強度の点で好ましい。
【0030】
有機高分子制電層を形成するためのスルホン化ポリアニリンの使用割合は溶媒100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜2重量部である。該スルホン化ポリアニリンの使用割合が0.01重量部未満では、溶液の長期保存性が悪くなり、熱可塑性樹脂フィルム表面のコート層にピンホールが発生しやすくなりコート面の制電性が著しく劣る。また、使用割合が10重量部を越えるとスルホン化ポリアニリンの水又は水/有機溶媒系への溶解性、分散性及びコート層形成時の塗布性が悪くなる傾向があり、好ましくない。
【0031】
前記溶媒は、ポリエステルフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを溶解又は膨潤させないならば、いかなる有機溶媒も使用可能であるが、水又は水/アルコール等の有機溶媒との混合溶媒を用いる方が、使用環境面で好ましいのみならず、熱可塑性樹脂フィルムへの塗布性及び制電性が向上する場合もある。使用するのに好ましい有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類などが好ましく用いられる。これらは、水と任意の割合で混合して用いられる。この例として、具体的には、水/メタノール、水/エタノール、水/プロパノール、水/イソプロパノール、水/メチルプロピレングリコール、水/エチルプロピレングリコールなどを挙げることができる。用いられる割合は水/有機溶媒=1/10〜10/1が好ましい。
【0032】
本発明で用いるスルホン酸基含有共重合ポリエステルとは、スルホン酸基およびそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合した共重合ポリエステルを意味し、ジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分の一部にスルホン酸基及びそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合したポリエステルが典型的なものであるが、中でも、スルホン酸基及びそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有した芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分に対して4〜10モル%の割合で用いて調整した共重合ポリエステルが、本発明を構成する有機高分子制電層の表面硬度が高いという点では好ましい。このようなジカルボン酸の例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好適である。
【0033】
他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などが挙げられる。本発明を構成する有機高分子制電層の表面硬度の向上の点から、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましい。
【0034】
スルホン酸基含有共重合ポリエステルを製造するためのグリコール成分としては、エチレングリコールが主として用いられ、この他に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが用いることができ、中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどを共重合成分として用いると、スルホン化ポリアニリンとの相溶性が向上するという点で好ましい。
【0035】
この他、共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有するジカルボン酸成分、グリコール成分を含んでも良い。さらに、得られる本発明を構成する有機高分子制電層を熱可塑性樹脂フィルムに塗布して得られる塗膜の表面硬度を向上させるために、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多カルボキシ基含有モノマーを5モル%以下の割合で上記ポリエステルの共重合成分として用いることも可能である。5モル%を越える場合には、得られるスルホン酸基含有共重合ポリエステルが熱的に不安定となり、ゲル化しやすく、本発明を構成する有機高分子制電層の成分として好ましくない。
【0036】
前記スルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、上記ジカルボン酸成分、上記グリコール成分、および必要に応じて、上記カルボキシル基含有モノマーを用いて、常法により、エステル交換反応、重縮合反応などを行うことにより得られる。得られたスルホン酸基含有共重合ポリエステルは、例えば、n−ブチルセロソルブのような溶媒とともに加熱撹拌され、さらに撹拌しながら徐々に水を加えることにより、水溶液又は水分散液とされて用いることができる。
【0037】
前記スルホン酸基含有共重合ポリエステルの含有割合は、得られる有機高分子制電層の制電性および機械的特性から、スルホン化ポリアニリン100重量部に対して50〜2000重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜1500重量部、最も好ましくは200〜1000重量部である。
【0038】
本発明を構成する有機高分子制電層は、有機高分子制電層を形成する重合体を溶媒に溶解又は分散させて、所望の熱可塑性樹脂フィルムの表面に塗布して得ることができる。ここで用いることができる溶媒は、熱可塑性樹脂フィルムを溶解又は膨潤させないならば、いかなる有機溶媒も使用可能である。水、又は水と有機溶媒との混合溶媒を用いることにより、使用環境面で好ましいだけでなく、本発明を構成する有機高分子制電層の制電性が向上する場合もある。
【0039】
上記有機溶媒しては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類などが好ましく用いられる。これらの有機溶媒は、水と任意の割合で混合して用いることができる。
【0040】
混合溶媒の例としては、水/メタノール、水/エタノール、水/プロパノール、水/イソプロパノール、水/メチルプロピレングリコール、水/エチルプロピレングリコールなどが挙げられる。その混合割合は、水/有機溶媒=1/10〜10/1が好ましい。
【0041】
溶媒の使用割合は特に制限されないが、通常、有機高分子制電層を形成する重合体の合計量100重量部に対して、1000〜2000重量部である。溶媒の使用量が極端に多い場合は、有機高分子制電層の造膜性が悪くなる恐れがある。この場合、有機高分子制電層にピンホールが発生しやすくなり、制電性が著しく低下、すなわち帯電防止性が低下する恐れがある。一方、溶媒の使用量が極端に少ない場合は、このスルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルとの上記溶媒への溶解性または分散性が不十分となり、得られる有機高分子制電層の表面が平坦になりにくくなる恐れがある。
【0042】
本発明を構成する有機高分子制電層を熱可塑性樹脂フィルム上に積層するには、上記成分のみでも、造膜性及び延展性が優れており、得られる有機高分子制電層の表面硬度も良好であるが、上記溶媒に可溶な界面活性剤及び/又は他の高分子化合物をさらに併用することにより、濡れ性の悪い熱可塑性樹脂フィルムヘの塗布性も向上することができる。
【0043】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤及びフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキル4級アンモニウム、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤が用いられる。
【0044】
本発明において用いられる界面活性剤を用いる場合、その量は、有機高分子制電層を形成する重合体の合計量100重量部に対して、通常、0.001〜1000重量部である。
【0045】
上記界面活性剤が1000重量部を越えると形成した有機高分子制電層の反対面に有機高分子制電層中の界面活性剤が裏移りして、2次加工工程等で問題を生ずるような可能性がある。
【0046】
本発明の制電性包装材料の有機高分子制電層に含有させることができる高分子化合物としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂、水酸基又はカルボン酸基を含んだ水溶性又は水分散性共重合ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどのアクリル酸エステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリクロロメチルスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルフェノールなどのスチレン樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類、ノボラック、レゾールなどのフェノール樹脂などを用いることができる。中でも上記スルホン化ポリアニリンとの相溶性の点から、および、ポリエステルなどからなる熱可塑性樹脂フィルムとの接着性の点から、水酸基又はカルボン酸基を含んだ水溶性又は水分散性共重合ポリエステル及びポリビニルアルコール類が好ましい。また、いかなる高分子化合物を用いる場合にも、低軟化点のものを選ぶことにより有機高分子制電層に熱接着性を付与することができる。
【0047】
上記高分子化合物の量は、好ましくは、スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルとの合計量100重量部に対して、0〜1000重量部、さらに好ましくは、0〜500重量部である。高分子化合物の量が1000重量部を超えて用いる場合には、スルホン化ポリアニリンの導電性が現れず、有機高分子制電層の帯電防止機能が発揮されない。
【0048】
本発明の制電性包装材料の有機高分子制電層には、上記に示した他に、種々の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、TiO2、SiO2、カオリン、CaCO3、Al23、BaSO4、ZnO、タルク、マイカ、複合粒子などの無機粒子;ポリスチレン、ポリアクリレート又はそれらの架橋体で構成される有機粒子などが挙げられる。制電性のさらなる向上を目的として、SnO2(酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)の粉末、それらを被覆した無機粒子(TiO2、BaSO4など)、カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維などのカーボン系導電性フィラーなどを添加することも可能である。上記添加剤の含有量は、スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルとの合計量100重量部に対して、4000重量部以下の割合であることが好ましい。4000重量部を越える場合には、有機高分子制電層の粘度アップにより塗布ムラの原因となるおそれがある。
【0049】
熱可塑性樹脂フィルムの表面に有機高分子制電層を積層する方法としては、スプレーコート法、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、ナイフコータ法、ディップコート法、スピンコート法などがあるが、本発明の構成成分である有機高分子制電層を形成するのに適したコート法は特に制限はない。フィルムヘの塗布を製膜工程内で同時に行うインラインコード法と製膜ロール製造後独立して行うオフラインコート法があり、また、印刷技術を用いて積層することもできるが、用途に応じて好ましい方法を選ぶことが可能で、特に制限はない。本発明で用いるスルホン化ポリアニリンは250℃以上の高温では不安定であるが、200℃で約3分間も熱安定性が良好であるので、共存する高分子化合物及び添加剤の種類にもよるが、通常短時間の200℃加熱ならば制電性に悪影響を与えない。むしろ、制電性の向上の点では、200℃付近で30秒以内加熱することが好ましい。本発明に用いられる有機高分子制電層は、下記に示されるフィルム、シート用原料とともに共押出積層することもできる。
【0050】
本発明に使われる熱可塑性樹脂フィルム又はシートに用いられる材料としては、単独重合ポリエステル、共重合ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリパラフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリスチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素系樹脂、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート等の単一又は混合物があげられる。これらの材料をシート、フィルム化する方法には特に制限はなく、溶融押出成形、流延法、射出成形法等により作られ、必要に応じてステンター法、ロール延伸法、ブロー延伸法、圧延法等により一軸又は二軸に配向を与えることができる。また、非相溶性の原料の場合はこの工程で空洞含有物とすることができる。更に配向条件によっては熱収縮性を付与することもできる。熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては規定はないが、5〜1000μm、好ましくは25〜750μm程度である。なお、熱可塑性樹脂フィルム中には滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、難燃剤、UV吸収剤等、乾燥剤、添加剤を含んでも良い。
【0051】
本発明に用いられる積層熱可塑性樹脂フィルムをさらに基材に積層して用いる場合は、基材としてアルミニウム箔、紙、銅箔、金箔、無機薄膜、さらに他の無延伸、1軸延伸又は2軸延伸フィルム、シート等を用いることができる。また、有機高分子制電層は熱可塑性樹脂フィルムの内面に位置して基材に面してもよく、また逆に、基材側と反対に位置して熱可塑性樹脂フィルムの表面に配してもよい。ここで、熱可塑性樹脂フィルムを1、有機高分子制電層を2、基材を3としたとき、次のような組み合わせが典型的なものとして例示される。
【0052】
1/2、2/1/2、2/1/3、2/1/2/3、1/2/3、2/1/3/1/2、2/1/2/3/1/2、2/1/2/3/2/1/2
【0053】
本発明において、積層熱可塑性樹脂フィルムと基材との積層方法は特に限定はなく、適当な方法を選択して利用できる。例えば、共押出積層法、インラインコート法、オフラインコート法、エクストルージョンラミネート法、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウエットラミネート法等を適宜利用し、必要に応じ、アンカーコート、プライマーコート、コロナ処理、火炎処理、UV照射処理等を併用することができる。更に、積層後にも先述の適当な方法にて積層体に様々な配向を与えることができる。また、積層する工程はいかなる段階でも良く、有機高分子制電層を設ける前であっても後であっても良い。
【0054】
本発明の、包装袋、包装容器などとして適した制電性包装材料は、包装材料として使用するために任意の層の間に意匠用、表示用、検査用の印刷層を有してもよい。また、有機高分子制電層が印刷層を兼ねても良い。包装袋を作るためには常套手段によりシールすることが行われる。シール方法としてはバーシール法、回転ロールシール法、インパルスシール法、溶媒シール法、溶断シール法、熱溶融シール法、超音波シール法、高周波シール法等があり、任意の方法を選択することが可能である。得られる包装袋の形態としては、ピロー包装袋、三方シール袋、四方シール袋等目的に応じて任意の形態を選択することができる。また、包装容器を作るための方法としては制限はなく、代表的なものとして熱成形法、例えばブロー成形法、ドレープ成形法、真空成形法があり、また、折り曲げ加工を利用することもできる。得られる包装容器の形態としては、トレイ、マガジン、バルクケース、キャリアテープ、ボトル、カップ、カートン状物、箱、ブリスターパッケージ等がある。また、それら容器を封止する蓋材、シート材も本発明の技術により製造できるものがある。例えば、キャリアテープ用剥離シート、カバーテープやトレイ、カップの蓋などがあげられる。
【0055】
本発明の制電性包装材料は上記のように製袋時、封止時に熱による軟化又は溶媒による膨潤を利用してシールするのが通常である。この処理に適するように有機高分子制電層中のスルホン酸基含有共重合ポリエステルの組成を決めておくこともできる。例えば、脂肪族モノマーを用いてガラス転移点や融点を下げたり、イソフタル酸やネオペンチルグリコールの共重合比を変えて結晶性を低下させる等することにより熱接着性を向上させることができ、同時に溶媒による膨潤も起こり易くなる。また、溶媒の溶解度パラメターと共重合ポリエステルの同パラメターとを膨潤するのに適当な関係になるようモノマーの種類及び共重合比を決めることができる。また、有機高分子制電層にシール能が不足している場合は、あらかじめシールする部分のみ有機高分子制電層の上に専用のシーラントや接着又は粘着用材料を設けることもできる。また、有機高分子制電層の下にシーラントの役割をする層を設け、あらかじめシールする部分のみ有機高分子制電層を開口しておくこともできる。更に、シール処理により有機高分子制電層が破壊されるようにしておき、その下にシーラント層を一面にわたって設けておくこともできる。これらのシーラント層は請求の範囲に示した熱可塑性樹脂フィルムの原料と同じ高分子化合物であってもよい。
【0056】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を例示して本発明の具体化方法を詳細に説明する。各例に共通して用いた評価方法は次のとおりである。
【0057】
1−1 拭き取り法による有機高分子制電層の厚み測定
操作は25℃、50%RHの恒温恒湿室内で行う。有機高分子制電層を設けたフィルム又はテストピースを3日間放置後、除電器にて10秒除電し、10-5gまで計れる電子天秤にて重量測定をする。その後、酢酸エチル、アセトン、メタノール等の溶媒をベンコット(旭化成工業社製)につけ、有機高分子制電層を拭き取り3日間放置する。再び除電器にて10秒除電し同様に電子天秤にて秤量し、拭き取り前後の重量減少量(g)を100倍し、1m2あたりの有機高分子制電層の重量(g/m2)を算出する。おおよそ、有機高分子制電層の密度は約1.00とし、有機高分子制電層の厚みを下式により求める。(ここで用いられるフィルム又はテストピースとはPETフィルムやシリカプレート等である。)
【0058】
有機高分子制電層の厚み(μm)=1.00×{1m2あたりの有機高分子制電層の重量(g/m2)} ・・・・・(式1)
【0059】
1−2 厚みあたりの吸光度法による有機高分子制電層の厚み測定
同一組成の有機高分子制電層を幾つか厚みを変えて透明なフィルム又はテストピース上に設け、分光光度計にて有機高分子制電層を特性吸収帯に於る厚みあたりの吸光度を求める。それらの試料を拭き取り法による有機高分子制電層の厚み測定を行い、拭き取り法による有機高分子制電層の厚み〜厚みあたりの吸光度のプロットを行い、直線部分を外挿した計量線を作成し、有機高分子制電層厚みが未知の試料に関し、特性吸収の厚みあたりの吸光度によりその厚みを予想する。この方法は拭き取り法が適さないサンプルに補助的に用いられる。なお、厚みあたりの吸光度測定時のチャートに干渉によるベースライン振動が表れた場合は、平均をとるようなスムージングを行う。
【0060】
2.表面抵抗の測定
タケダ理研社製表面抵抗測定器で印加電圧500V、24℃・14%RH雰囲気の条件下で測定した。
【0061】
3.厚み当たりの厚みあたりの吸光度の測定
スペクトロフォトメーターU−2001(日立製作所社製可視紫外二光束分光光度計)を用い、測定波長範囲300〜1100nmで測定する。試料としては有機高分子制電層を設けたフィルム又はテストピース試料光束側に有機高分子制電層を設けてないものを参照光束側にそれぞれ10枚以下の枚数重ねて測定をし、ベースライン補正をしてチャートをとる。チャートで400〜1100nmの波長範囲で厚みあたりの吸光度が最低の点をゼロ点として各波長での厚みあたりの吸光度(OD)を測定し、試料の重ねた枚数で割り、1枚あたりの厚みあたりの吸光度を求める。なお、チャートの干渉の影響があるときは平均をとるようなスムージングを行う。一方、同一試料群から取った試料を用い、拭き取り法により有機高分子制電層の厚みを求めるか又は厚みあたりの吸光度測定したサンプルピースの厚みあたりの吸光度法による有機高分子制電層の厚み測定を行う。
【0062】
厚みあたりの吸光度(OD/μm)=1枚あたりの厚みあたりの吸光度(OD)/有機高分子制電層の厚み(μm) ・・・・・(式2)
により計算される。
【0063】
(実施例1)
(a)スルホン酸基含有ポリエステル及び水分散液の調整
まずスルホン酸基含有ポリエステルを次の方法により合成し、次いで、その分散液を調整した。ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート46モル%、ジメチルイソフタレート47モル%及び5−スルホイソフタル酸ナトリウム7モル%を使用し、グリコール成分としてエチレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコール50モル%を用いて、常法によりエステル交換反応及び重縮合反応を行った。得られたスルホン酸基含有ポリエステルのガラス転移点は69℃であった。このスルホン酸基含有ポリエステル300部とn−ブチルセロソルブ150部とを加熱撹拌して、粘ちょうな溶液とし、さらに撹拌しつつ水550部を徐々に加えて、固形分30重量%の均一な淡白色の水分散液を得た。
【0064】
(b)スルホン化ポリアニリン溶液の調整
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100モルを23℃で4モル−リットルのアンモニア水溶液に撹拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100モルの水溶液を滴下した。滴下終了後23℃で10時間さらに撹拌した後、反応生成物を濾別洗浄、乾燥し、粉末状の共重合体を13gを得た。この共重合体の体積固有抵抗値は12.3Ωcmであった。上記重合体3重量部を0.3モル/リットルの硫酸水溶液100重量部に室温で撹拌溶解し導電性組成物を調整した。この時のスルホン化ポリアニリンのスルホン酸基の含有量は100%であった。
【0065】
(c)有機高分子制電層形成用塗布液の調整
スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有ポリエステルの固形分比が30/70、さらに、界面活性剤エマルゲン810(花王社製)をスルホン化ポリアニリンとの比が8/100になるように混合し、更に水とイソプロパノールの等量混合液中に加え、総固形分濃度1重量%の塗布液を調整した。
【0066】
(d)有機高分子制電層積層熱可塑性樹脂フィルムの形成
共押出二軸配向ポリエステルフィルムであるメリネックス850(ICI社製)のベース面側一面に(c)で調整した塗布液をバーコート法にて塗布し、70℃で熱風乾燥した。次いで、反対側のシール層上に後にシールする部分を除いて(c)で調整した塗布液をバーコート法にて塗布し、70℃で熱風乾燥した。
【0067】
(e)特性評価
(d)で得られた積層熱可塑性樹脂フィルムの有機高分子制電層の厚み、表面抵抗、厚みあたりの吸光度を測定した。結果を表1に示す。また、明るい白色光のともる部屋の中で、(d)で得られたフィルムを透かしてカラーコード表示の金属皮膜抵抗器や数値表示の積層セラミックコンデンサを見ることでそれぞれの定数を確認することができた。この結果を表1に示す。
【0068】
(f)包装袋、包装容器の作成
(d)で得られた積層熱可塑性樹脂フィルムをシール層を内側にしてヒートシール法にて三方シールした。袋として何ら問題のないものとなった。
【0069】
(実施例2)
実施例1の(c)の有機高分子制電層形成用塗布液の調整においてスルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有ポリエステルの固形分比を10/90にした以外は実施例1と同様の方法を用いた例である。得られた結果を表1に示す。
【0070】
(実施例3)
実施例1の(c)の有機高分子制電層形成用塗布液の調整においてスルホン化ポリアニリンのかわりにプロトン酸をドープにしたポリアニリンを用いた以外は実施例1と同様の方法を用いた例である。得られた結果を表1に示す。
【0071】
(比較例1)
実施例1の(c)の有機高分子制電層形成用塗布液の調整においてスルホン化ポリアニリンのかわりにドデシルベンゼンスルホン酸塩を用いた以外は実施例1と同様の方法を用いた例である。得られた結果を表1に示す。
【0072】
(実施例4)
実施例1の(c)で得た塗布液をポリエチレンフィルム(LIX−2、厚さ40μm、東洋紡績社製)の表面にバーコート法によって後にシールする部分を残して塗布し、70℃で熱風乾燥した。次いで、これとは別に、2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡ポリエステルフィルム、厚さ25μm、東洋紡績社製)表面に実施例1の(c)で得た塗布液をバーコート法により塗布し70℃で熱風乾燥した。当該ポリエチレンフィルムの塗布面と反対面と、当該2軸延伸ポリエステルフィルムの塗布面と反対面とを、ドライラミネート法により、接着剤(主剤:AD590、硬化剤:RT86、東洋モートン社製)を介してラミネートして、制電性積層体を得た。このものは実施例1の(f)の方法で製袋することができた。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(実施例5)
実施例1の(c)の有機高分子制電層形成用塗布液の調整においてスルホン化ポリアニリンのかわりにプロトン酸をドープしたポリアニリンを用い、実施例4と同様の方法で多層構造体を作り包装体とした例である。得られた結果を表1に示す。
【0074】
(実施例6)
実施例1の(d)の有機高分子制電層積層熱可塑性樹脂フィルムの作成のところでイソフタル酸を酸成分の10モル%共重合した厚さ0.7mmの無定形共重合PETシートを用い、実施例1の(f)の包装袋、包装容器作成のところで、熱成形法である圧空成形法を用い、フランジ部付のトレイとその蓋を作った。このものはフランジ部を強くヒートシールすることで密封され実用に耐える容器となった。得られた結果を表1に示す。
【0075】
(実施例7)
実施例1の(c)の有機高分子制電層形成用塗布液の調整においてスルホン化ポリアニリンのかわりにプロトン酸をドープしたポリアニリンを用い、更に実施例4と同様にシートを作成し、容器を成形した例である。得られた結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004106750
【0077】
【発明の効果】
本発明の制電性包装材料によれば、低湿度下においても制電性に優れるため、湿気を嫌う物品を包装したり、乾燥、寒冷地での包装用として用いることができ、更に乾燥工程や乾燥保管を必要とする電子部品等の半製品の搬送用、包装用として好適である。加えて、その有機高分子制電層の電気抵抗率の低さゆえ有機高分子制電層の厚みを減じても充分な制電性が得られる。一方、本発明の有機高分子制電層は可視領域から近赤外領域のうち比較的低波長のところにのみ光吸収を有する。他方、昨今の、特に、シリコンを原料とする光源やセンサーはその固体電子物性上同波長の長波長域に励起発光域があるものが大半である。本発明の有機高分子制電層は同波長域での透明材料として用いるに好適であり、本来有する余裕ある制電性を利用しての薄膜化により更に透明度を向上することができる。

Claims (10)

  1. 厚みが0.8μm以下、24℃・14%RH雰囲気下で測定した表面抵抗が1×1010Ω/□以下であり、波長400〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.70OD/μm以下である有機高分子制電層を少なくとも一方の表面に有する積層熱可塑性樹脂フィルムからなることを特徴とする制電性包装材料。
  2. 基材の少なくとも一方の表面に、有機高分子制電層を表面又は内面に配して積層熱可塑性樹脂フィルムを積層してなることを特徴とする請求項1記載の制電性包装材料。
  3. 有機高分子制電層が、スルホン化ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルとを必須成分とする重合体層からなることを特徴とする請求項1又は2記載の制電性包装材料。
  4. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長400〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.35OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  5. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.35OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  6. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.13OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  7. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長495〜1100nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.07OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  8. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長520〜1000nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.06OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  9. 有機高分子制電層の厚みが0.8μm以下、波長520〜1000nmの範囲における厚みあたりの吸光度の最大値が0.03OD/μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の制電性包装材料。
  10. 有機高分子制電層の厚みが0.4μm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の制電性包装材料。
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