JP4105414B2 - 電子線又はx線レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線又はX線レジスト組成物に関し、特に電子線又はX線で照射して得られるパターンプロファイルに優れ、高感度で解像力に優れ更に引き置き経時安定性(PCD、PED)に優れた電子線又はX線レジスト組成物に関する。
また、本発明は、マスク製造用電子線レジスト組成物に関し、特に電子線で照射して得られるパターンプロファイル、特にフッティング防止に優れ、高感度で解像力に優れ更に引き置き経時安定性(PCD、PED)に優れたマスク製造用電子線レジスト組成物に関する。
ここでPCD(Post Coating Delay)安定性とは、基板にレジスト組成物を塗布後、照射装置内あるいは装置外で放置した場合の塗膜安定性であり、またPED(Post Exposure Delay)安定性とは、照射後に加熱操作を行なうまでの間照射装置内あるいは装置外で放置した場合の塗膜安定性である。
【0002】
【従来の技術】
集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造に於いてはハーフミンクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる照射装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外光やエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArFなど)が検討されるまでなってきている。更に、電子線またはX線により更に微細なパターン形成が検討されるに至っている。
【0003】
特に電子線またはX線は次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置づけられ、高感度、高解像度かつ矩形なプロファイル形状を達成し得るポジ型及びネガ型レジスト組成物の開発が望まれている。
【0004】
これらリソグラフィー技術の加工精度は、焼き付け回路のネガの役割を果たすフォトマスクの寸法精度によって左右される。したがって、矩形の断面形状を有し、寸法精度の良いマスクパターンを得ることが、半導体集積回路製造の歩留まりを向上させる上で、重要な課題となっている。
さらに進んだ露光技術では、光の波長以下のパターン寸法を半導体基板に焼き付けるために、フォトマスクの一部に光の位相を反転させるシフタを設けた位相シフトマスクが必要となる。その結果、フォトマスクにおいても、クォーターミクロンレベルの微細加工が必要とされ、高解像度を実現できるマスク製作技術の開発が必須となってきている。
【0005】
フォトマスクを製造するリソグラフィー技術として、一般的に微細加工性に優れた電子ビーム描画装置により露光する技術が用いられている。しかし、現在市販されているマスク用電子線レジストは、高い精度と解像度を要求されるエキシマレーザー露光用マスクを高スループットで製造することができず、さらに有機溶媒を現像液としているため、環境汚染を考慮したプロセスに変更することが難しいという問題がある。
したがって、工業的に有利なアルカリ水溶液を現像液とする高解像度で高感度の電子線レジストが要望されている。
【0006】
これらを解決するレジスト材料として、酸触媒下で反応性の高い媒体と活性化学線の照射で酸を発生する酸発生剤を含む組成、米国特許第3779778号公報、特開昭59−45439号公報、特開平2−25850号公報等に記載の組成物等が知られている。
これらの従来例によれば、反応性の高い媒体としてアセタール基、t−ブトキシカルボニル基等の酸分解性基を含む化合物又は重合体が開示されている。酸発生剤としては、例えば、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、フェノール性水酸基を複数含む化合物とアルキルスルホン酸とのエステル、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル等が挙げられる。この種のレジストは、化学増幅系レジストと呼ばれる。
【0007】
更には、ポジ型電子線あるいはX線レジストの場合,大気中の塩基性汚染物質の影響あるいは照射装置内外で曝される影響(塗膜の乾燥)を受けやすく表面が難溶化し、ラインパターンの場合にはT−Top形状(表面がT字状の庇になる)になり、コンタクトホールパターンの場合には表面がキャッピング形状(コンタクトホール表面に庇形成)になるという問題があった。
また、ネガ型電子線あるいはX線レジストの場合,大気中の塩基性汚染物質の影響あるいは照射装置内外で曝される影響(塗膜の乾燥)を受けやすく表面が硬化不足で、ラインパターンの場合にはラウンドトップ形状(表面が丸くなる)になるという問題があった。
更に、照射装置内あるいは外の経時での安定性(PCD、PED)についても悪化し,パターン寸法が変動してしまうという問題も生じた。
【0008】
また、酸の失活に起因した異常なパターンプロファイルは、フォトマスクの石英基板に被膜形成された酸化クロム上に化学増幅系レジストを用いた場合に、被膜界面付近で観察されている。この場合、レジスト膜中の酸が、被膜と反応もしくは被膜中に拡散するために、ポジ型レジストの場合、レジストパターンが裾引き型の形状として現れている。また、ネガ型レジストの場合、レジストパターンがくい込み型の形状として現れている。
同様の現象は、シリコンウエハ基板上においても、酸化膜(SiO2)、アルミ膜、窒化膜(TiN、Si3N4)等の被膜上にレジストパターンを形成する場合に起こることがわかっている。このパターンプロファイル異常は、ポジ型レジストの場合、フッティングと呼ばれる。また、このパターンプロファイル異常は、ネガ型レジストの場合、くい込みとなって観察される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度、高解像力を有し、矩形状の優れたパターンプロファイルを与えることができしかもPCD、PED安定性に優れ、更に塗布性(面内均一性)に優れた電子線又はX線レジスト組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、フォトマスクの酸化クロムのような、酸触媒に対して反応性の高い被膜上で、レジストパターンの形状が低下する問題を解決して、高感度、高解像力を有し、矩形状の優れたパターンプロファイルを与えることができ、しかもPCD、PED安定性に優れ、更に塗布性(面内均一性)に優れたマスク製造用電子線レジスト組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、下記の電子線又はX線レジスト組成物又はマスク製造用電子線レジスト組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0011】
まず、ポジ型レジスト組成物について記載する。
【0012】
(1)(a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物、
(b)下記一般式(X)で表される部分構造を分子内に少なくとも一つ有する含窒素化合物
を含有することを特徴とするポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0013】
【化25】
【0014】
(2) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(Ia)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0015】
【化26】
【0016】
一般式(Ia)において、Raは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、−C(=O)−Ra又は−N=N−Raを表す。RaとRbとは互いに結合して環を形成してもよい。
【0017】
(3) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0018】
【化27】
【0019】
一般式(IIa)において、Rは炭素数1から20の一価の有機残基を表す。
【0020】
(4) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIb)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0021】
【化28】
【0022】
[一般式(IIb)においてR501〜R510は、同一または異なり、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。]
【0023】
(5)(c)カチオン重合性の機能を有する化合物を更に含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0024】
(6)(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
【0025】
(7)(a1')電子線の照射により酸を発生する化合物、
(b)下記一般式(X)で表される部分構造を分子内に少なくとも一つ有する含窒素化合物
を含有することを特徴とするマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0026】
【化29】
【0027】
(8) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(Ia)で表される化合物であることを特徴とする前記(7)記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0028】
【化30】
【0029】
一般式(Ia)において、Raは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、−C(=O)−Ra又は−N=N−Raを表す。RaとRbとは互いに結合して環を形成してもよい。
【0030】
(9) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする前記(7)記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0031】
【化31】
【0032】
一般式(IIa)において、Rは炭素数1から20の一価の有機残基を表す。
【0033】
(10) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIb)で表される化合物であることを特徴とする前記(7)記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0034】
【化32】
【0035】
[一般式(IIb)においてR501〜R510は、同一または異なり、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。]
【0036】
(11)(c)カチオン重合性の機能を有する化合物を更に含有することを特徴とする前記(7)〜(10)のいずれかに記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0037】
(12)(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする前記(7)〜(11)のいずれかに記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0038】
以下に好ましい態様を記載する。
(13) 前記(c')の化合物が、一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする前記(6)又は(12)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0039】
【化33】
【0040】
Ra'、Rb'、Rc';同一又は異なっても良く、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基又はアリール基を表し、またそれらの内の2つが結合して飽和又はオレフィン性不飽和の環を形成してもよい。
Rd';アルキル基又は置換アルキル基を表す。
【0041】
(14)(d)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する樹脂、又は(f)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物のうち少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0042】
(15)(a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(1)〜(6)及び(13)〜(14)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0043】
【化34】
【0044】
(式中、R1〜R37は、同一又は異なって、水素原子、直鎖状、分岐状あるいは 環状アルキル基、直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38基を表す。R38は、直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基又はアリール基を表す。また、R1〜R15、R16〜R27、R28〜R37のうち、2つ以上が結合して、単結合、炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上を含む環を形成していてもよい。
X-は、スルホン酸のアニオンである。)
【0045】
(16) X-が、
少なくとも1個のフッ素原子、
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシロキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルオキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルアミノ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアリール基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアラルキル基、及び
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアルコキシカルボニル基、
から選択された少なくとも1種を有するベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸のアニオンであることを特徴とする前記(15)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0046】
(17) (a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物が、前記(14)に記載の一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物のうち少なくとも1つを含有し、且つ
(d)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する樹脂、又は(e)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物のうち少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)及び(13)〜(16)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0047】
(18)(a1')電子線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする前記(7)〜(14)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0048】
【化35】
【0049】
(式中、R1〜R37は、同一又は異なって、水素原子、直鎖状、分岐状あるいは 環状アルキル基、直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38基を表す。R38は、直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基又はアリール基を表す。また、R1〜R15、R16〜R27、R28〜R37のうち、2つ以上が結合して、単結合、炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上を含む環を形成していてもよい。
X-は、スルホン酸のアニオンである。)
【0050】
(19) X-が、
少なくとも1個のフッ素原子、
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシロキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニル基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルオキシ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルアミノ基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアリール基、
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアラルキル基、及び
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアルコキシカルボニル基、
から選択された少なくとも1種を有するベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸のアニオンであることを特徴とする前記(18)に記載のポジ型レジスト組成物。
【0051】
(20) (a1')電子線の照射により酸を発生する化合物が、前記(17)に記載の一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物のうち少なくとも1つを含有し、且つ
(d)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する樹脂、又は(e)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物のうち少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする前記(7)〜(14)及び(18)〜(19)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0052】
(21) 溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを主に含むことを特徴とする前記(1)〜(20)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(22) (f)有機塩基性化合物を更に含有することを特徴とする前記(1)〜(21)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
(23) (g)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を更に含有することを特徴とする前記(1)〜(22)のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物。
【0053】
尚、本発明は、本発明のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物を塗設したマスクブランクスも包含する。
【0054】
次に、ネガ型レジスト組成物について、記載する。
【0055】
(24) (a2)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物、
(b)下記一般式(X)で示される部分構造を分子内に少なくとも1つ有する含窒素化合物
(h)アルカリ可溶性樹脂
(i)酸により架橋する架橋剤
を含有することを特徴とする電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0056】
【化36】
【0057】
(25) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(Ia)で表される化合物であることを特徴とする前記(24)記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0058】
【化37】
【0059】
一般式(Ia)において、Raは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、−C(=O)−Ra又は−N=N−Raを表す。RaとRbとは互いに結合して環を形成してもよい。
【0060】
(26) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする前記(24)記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0061】
【化38】
【0062】
一般式(IIa)において、Rは炭素数1から20の一価の有機残基を表す。
【0063】
(27) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIb)で表される化合物であることを特徴とする前記(24)記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0064】
【化39】
【0065】
[一般式(IIb)においてR501〜R510は、同一または異なり、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。]
【0066】
(28) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)で表わされる構造単位を含み、重量平均分子量が3,000を超え300,000以下であるアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする前記(24)〜(27)のいずれかに記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0067】
【化40】
【0068】
式(1)中、R1aは、水素原子又はメチル基を表す。
【0069】
(29) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、重量平均分子量が3,000を超え、300,000以下であって、下記条件(a1)および(b1)を満たすアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする前記(24)〜(27)のいずれかに記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
(a1)炭素数6以上20以下の芳香環及び該芳香環に直接あるいは連結基を介して結合したエチレン性不飽和基を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも一種有すること。
(b1)該芳香環のπ電子と芳香環上の置換基の非共有電子対の電子数の間に次の関係が成り立つこと。
【0070】
【数3】
【0071】
(ここで、Nπは、π電子総数を表し、Nloneは該置換基としての炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、または水酸基の非共有電子対の総電子数を表す。2つ以上のアルコキシ基または水酸基は隣り合う二つが互いに結合して5員環以上の環構造を形成してもよい。)
【0072】
(30) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、以下の一般式(3)〜(7)で表される繰り返し単位の少なくとも一つを構成成分として有することを特徴とする前記(29)記載の電子線またはX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0073】
【化41】
【0074】
【化42】
【0075】
一般式(3)〜(7)において、 R101は、水素原子あるいはメチル基を表す。Lは二価の連結基を表す。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rlはそれぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状、分岐状、あるいは、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、あるいは水素原子を表す。また、これらは互いに連結して炭素数24以下の5員以上の環を形成しても良い。l,m,n,p,q,r,s,t,u,v,w,xは0〜3までの整数を表し、l+m+n=2,3、 p+q+r=0,1,2,3、 s+t+u=0,1,2,3、 v+w+x=0,1,2,3を満たす。
【0076】
(31) (a2)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表わされる化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(24)〜(30)のいずれかに記載の電子線またはX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
【0077】
【化43】
【0078】
〔一般式(I)〜(III)において、R1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38で示せる基を表す。−S−R38中のR38は、アルキル基又はアリール基を表す。R1〜R38は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1〜R15の場合、その中から選択される二つ以上は互いに直接末端で結合しあい、あるいは酸素、イオウ及び窒素から選ばれる元素を介して結合しあって環構造を形成していてもよい。R16〜R27の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。R28〜R37の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。
X-はスルホン酸のアニオンである。〕
【0079】
(32) (a2')電子線の照射により酸を発生する化合物、
(b)下記一般式(X)で示される部分構造を分子内に少なくとも1つ有する含窒素化合物
(h)アルカリ可溶性樹脂
(i)酸により架橋する架橋剤
を含有することを特徴とするマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【化44】
【0080】
(33) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(Ia)で表される化合物であることを特徴とする前記(32)記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0081】
【化45】
【0082】
一般式(Ia)において、Raは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、−C(=O)−Ra又は−N=N−Raを表す。RaとRbとは互いに結合して環を形成してもよい。
【0083】
(34) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする前記(32)記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0084】
【化46】
【0085】
一般式(IIa)において、Rは炭素数1から20の一価の有機残基を表す。
【0086】
(35) 前記(b)の含窒素化合物が、下記一般式(IIb)で表される化合物であることを特徴とする前記(32)記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0087】
【化47】
【0088】
[一般式(IIb)においてR501〜R510は、同一または異なり、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。]
【0089】
(36) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)で表わされる構造単位を含み、重量平均分子量が3,000を超え300,000以下であるアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする前記(32)〜(35)のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0090】
【化48】
【0091】
式(1)中、R1aは、水素原子又はメチル基を表す。
【0092】
(37) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、重量平均分子量が3,000を超え、300,000以下であって、下記条件(a1)および(b1)を満たすアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする前記(32)〜(35)のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
(a1)炭素数6以上20以下の芳香環及び該芳香環に直接あるいは連結基を介して結合したエチレン性不飽和基を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも一種有すること。
(b1)該芳香環のπ電子と芳香環上の置換基の非共有電子対の電子数の間に次の関係が成り立つこと。
【0093】
【数4】
【0094】
(ここで、Nπは、π電子総数を表し、Nloneは該置換基としての炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、または水酸基の非共有電子対の総電子数を表す。2つ以上のアルコキシ基または水酸基は隣り合う二つが互いに結合して5員環以上の環構造を形成してもよい。)
【0095】
(38) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、以下の一般式(3)〜(7)で表される繰り返し単位の少なくとも一つを構成成分として有することを特徴とする前記(37)記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0096】
【化49】
【化50】
【0097】
一般式(3)〜(7)において、 R101は、水素原子あるいはメチル基を表す。Lは二価の連結基を表す。Ra、Rb、Rcはそれぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状、分岐状、あるいは、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基を表す。Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rlはそれぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状、分岐状、あるいは、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、あるいは水素原子を表す。また、これらは互いに連結して炭素数24以下の5員以上の環を形成しても良い。
l,m,n,p,q,r,s,t,u,v,w,xは0〜3までの整数を表し、l+m+n=2,3、 p+q+r=0,1,2,3、 s+t+u=0,1,2,3、 v+w+x=0,1,2,3を満たす。
【0098】
(39) (a2')電子線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表わされる化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(32)〜(38)のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0099】
【化51】
【0100】
〔一般式(I)〜(III)において、R1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、又は−S−R38で示せる基を表す。−S−R38中のR38は、アルキル基又はアリール基を表す。R1〜R38は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1〜R15の場合、その中から選択される二つ以上は互いに直接末端で結合しあい、あるいは酸素、イオウ及び窒素から選ばれる元素を介して結合しあって環構造を形成していてもよい。R16〜R27の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。R28〜R37の場合も、同じように環構造を形成していてもよい。
X-はスルホン酸のアニオンである。〕
【0101】
また、以下に本発明の好ましい態様を示す。
(40) 前記(i)酸により架橋する架橋剤が、分子内にベンゼン環原子団を3〜5個含み、分子量は1200以下であり、ヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基をそのベンゼン環原子団に2個以上有するフェノール誘導体であることを特徴とする前記(24)〜(39)のいずれかに記載のネガ型レジスト組成物。
【0102】
(41) (f)有機塩基性化合物を含むことを特徴とする前記(24)〜(40)のいずれかに記載のネガ型レジスト組成物。
【0103】
(42) (g)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含むことを特徴とする前記(24)〜(41)のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
【0104】
(43) 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が、1.0〜1.4であることを特徴とする前記(24)〜(42)のいずれかに記載のネガ型レジスト組成物。
【0105】
また、本発明は、本発明のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物を塗設したマスクブランクスも包含する。
【0106】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子線又はX線レジスト組成物、マスク製造用電子線レジスト組成物について説明する。
〔I〕(b)含窒素化合物
本発明で用いられる前記(b)の含窒素化合物は、下記一般式(X)で表される部分構造を分子内に少なくとも一つ有する含窒素化合物である。
【0107】
【化52】
【0108】
一般式(X)の部分構造を含む化合物として下記一般式(Ia)で表される化合物が好ましい。
【0109】
【化53】
【0110】
ここで、Raは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
Rbは、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、−C(=O)−Ra又は−N=N−Raを表す。RaとRbとは互いに結合して環を形成してもよい。
これらのアルキル基としては炭素数1〜10個のものが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましい。
【0111】
アリール基としては炭素数6〜20個のものが挙げられ、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
アルケニル基としては、炭素数1〜4個のものが挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。
【0112】
Raのアルキル基、アルケニル基またはアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基等が挙げられる。
RaとRbとが互いに結合して形成する環としては、後述の(C−4)〜(C−7)の構造のものが挙げられる。
【0113】
前記(b)の含窒素化合物は、下記一般式(IIa)で表される化合物であることが好ましい。
【0114】
【化54】
【0115】
一般式(IIa)において、Rは炭素数1から20の一価の有機残基を表す。
炭素数1から20の一価の有機残基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
【0116】
アルキル基としては炭素数1〜10個のものが挙げられるが、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましい。
シクロアルキル基としては炭素数3〜15個のものが挙げられるが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましい。
【0117】
アリール基としては炭素数6〜20個のものが挙げられるが、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
アラルキル基としては、炭素数7〜20個のものが挙げられるが、置換又は未置換のベンジル基、置換又は未置換のフェネチル基などの炭素数7〜15個のものが挙げられる。
【0118】
これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基等が挙げられる。
【0119】
また、前記(b)の含窒素化合物は、下記一般式(IIb)で表される化合物であることが好ましい。
【0120】
【化55】
【0121】
[一般式(IIb)においてR501〜R510は、同一または異なり、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。]
【0122】
前記一般式(IIb)におけるアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
【0123】
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基の様な炭素数1〜4個のものが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましい。
【0124】
本発明で用いられる前記(b)の含窒素化合物としては、以下に示す化合物(Ia−1)〜(Ia−12)、(b−1)〜(b−9)を具体例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0125】
【化56】
【0126】
【化57】
【0127】
【化58】
【0128】
本発明において、上記含窒素化合物(b)の添加量は、組成物中の固形分を基準として、通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜15重量%の範囲で使用される。
本発明の含窒素化合物(b)の添加量が、0.001重量%より少ないとラインエッジラフネスの改良に十分効果がない。また添加量が40重量%より多いとレジストのプロファイルが悪化して好ましくない。
【0129】
[II](c)カチオン重合性化合物
本発明においては、カチオン重合性化合物が好ましく用いられる。
本発明において、カチオン重合とは、生長鎖がカルボニウムイオンやオキソニウムイオンのように正イオンである付加重合のことをいう。本発明においては、このようなカチオン重合をし得るモノマーをカチオン重合性の機能を有する化合物という。ビニル化合物を例にあげると、ビニルモノマーのカチオン重合性はラジカル重合で用いられているQ−e値で議論できる。即ち、e値が約−0.3より小さくなるとカチオン重合性を示すことが知られている。
【0130】
さらには、カチオン重合性化合物の構造的特徴は、▲1▼π−供与体となりうるような炭素−炭素不飽和結合、▲2▼ある種の(たいていの場合飽和)複素環化合物に見られるようなn−供与体になりうるへテロ原子(酸素、硫黄、窒素、リン)の非共有電子対、▲3▼アルカンに見られるように、特殊な条件のもとでσ−供与体になりうるような炭素を含んだ単結合を有することである。
▲1▼としては、ビニル化合物以外に、ビニリデン化合物、ビニレン化合物などがある。▲2▼としては、ラクトン化合物、環状エーテル化合物以外に、オキサゾリン類、アジリジン類、環状シロキサンなどがある。例として、イソブテン、イソプレン、ブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン、スチレン、インデン、アセナフチレン、ベンゾフラン、p−メトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
なかでも、ビニル化合物が好ましく使用される。
【0131】
本発明のレジスト組成物中の、(c)の化合物の添加量としては、組成物全重量(固形分)に対して0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0132】
[II'](c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物から選択される少なくとも1種の化合物
本発明においては、(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物が好ましく用いられる。
【0133】
ビニル化合物としては後述するビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ブロモスチレン、3,4−ジクロロスチレン、2,5−ジクロロスチレン、p−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、2−イソプロペニルフラン、2−ビニルベンゾフラン、2−ビニルジベンゾフラン等のビニルフラン類、2−イソプロペニルチオフェン、2−ビニルフェノキサチン等のビニルチオフェン類、N−ビニルカルバゾール類、ビニルナフタリン、ビニルアントラセン、アセナフチレン等を用いることができる。
【0134】
シクロアルカン化合物としては、フェニルシクロプロパン、スピロ[2,4]ヘプタン、スピロ[2,5]オクタン、スピロ[3,4]オクタン、4−メチルスピロ[2,5]オクタン、スピロ[2,7]デカン等を用いることができる。
環状エーテル化合物としては、4−フェニル−1,3−ジオキサン等のジオキサン類、3,3−ビスクロロメチルオキセタン等のオキセタン類、トリオキサン、1,3−ジオキセパン等の化合物を用いることができる。更にアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジルエステル類、エピコートの商品名で市販されているビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の化合物を用いることができる。
【0135】
ラクトン化合物としては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン等の化合物を用いることができる。
【0136】
アルデヒド化合物としては、バレルアルデヒド、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、シクロヘキサンカルバルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等の脂肪族飽和アルデヒド化合物、メタアクロレイン、クロトンアルデヒド、2−メチル−2−ブテナール、2−ブチナール、サフラナール等の脂肪族不飽和アルデヒド化合物、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、シンナムアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物、トリブロモアセトアルデヒド、2,2,3−トリクロロブチルアルデヒド、クロロベンズアルデヒド等のハロゲン置換アルデヒド化合物、グリセルアルデヒド、アルドール、サリチルアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、ピペロナール等のヒドロキシ及びアルコキシ置換アルデヒド化合物、アミノベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド等のアミノ及びニトロ置換アルデヒド化合物、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物、フェニルグリオキサール、ベンゾイルアセトアルデヒド等のケトアルデヒド化合物及びこれらの誘導体を用いることができる。
【0137】
上記(c)カチオン重合性化合物と、(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物の関係は、以下のイ)〜ハ)のいずれかの関係にある。
【0138】
イ)(c)カチオン重合性化合物であって、(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物ではないもの
ロ)(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物であって、(c)カチオン重合性化合物ではないもの
ハ)(c)カチオン重合性化合物であり、かつ(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物でもあるもの
【0139】
したがって、本発明に好適な化合物としては、上記の3種類がありうるが、これらはいずれも本発明に同等な効果を有する。
但し、後述するように、ビニル化合物の効果が顕著である。
【0140】
該(c')化合物としては、本発明の効果が顕著になる点で、ビニル化合物が好ましく、より好ましくはビニルエーテル化合物であり、特に一般式[A]で表わされる化合物が好ましい。
一般式(A)において、Ra'、Rb'及びRc'がアリール基の場合、一般に4〜20個の炭素原子を有し、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルメルカプト基、アミノアシル基、カルボアルコキシ基、ニトロ基、スルホニル基、シアノ基又はハロゲン原子により置換されていてよい。
ここで、炭素数4〜20個のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【0141】
Ra'、Rb'及びRc'がアルキル基を表す場合には、炭素数1〜20の飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は脂環のアルキル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、エステル基、オキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はアリール基により置換されていてもよい。ここで、炭素数1〜20個の飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は脂環のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等を例示することができる。
【0142】
また、Ra'、Rb'及びRc'のいずれか2つが結合して形成する飽和又はオレフィン性不飽和の環、具体的には、シクロアルカン又はシクロアルケンとしては、通常3〜8、好ましくは5又は6個の環員を表す。
【0143】
本発明において、一般式(I)において、好ましいのは、Ra'、Rb'及びRc'のうちひとつがメチル基、もしくはエチル基で、残りが水素原子であるエノールエーテル基、更に好ましいのはRa、Rb及びRcがすべて水素である下記一般式[A−1]である。
【0144】
一般式[A−1] CH2 =CH−O−R(R:アルキル、置換アルキル)
ここでアルキル基は、炭素数1〜30個の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基である。
置換アルキル基は、炭素数1〜30個の直鎖状、分岐状あるいは環状の置換アルキル基である。
【0145】
上記において、炭素数1〜30個の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基としては、エチル基、直鎖状、分岐状あるいは環状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
上記において、アルキル基の更なる置換基として好ましいものは、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、アシロキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、イミド基、ヒドロキシメチル基、
−O−R51、
−C(=O)−R52、
−O−C(=O)−R53、
−C(=O)−O−R54、
−S−R55、
−C(=S)−R56、
−O−C(=S)−R57、
−C(=S)−O−R58、
等の置換基が挙げられる。ここで、R51〜R58は、各々独立に、直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、イミド基、−(CH2CH2−O)n−R59(ここでnは1〜20の整数を表し、R59は水素原子又はアルキル基を表す)、置換基を有していてもよい、アリール基又はアラルキル基(ここで、置換基としては、直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができる)を表す。
【0146】
一般式(A)で表わされる化合物としては、以下に示すものが好ましい態様として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
【化59】
【0148】
【化60】
【0149】
【化61】
【0150】
上記一般式〔A−1〕で示される化合物の合成法としては、例えばStephen. C. Lapin, Polymers Paint Colour Journal, 179(4237), 321(1988) に記載されている方法、即ち、アルコール類もしくはフェノール類とアセチレンとの反応、又はアルコール類もしくはフェノール類とハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができる。また、カルボン酸化合物とハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応によっても合成することができる。
【0151】
本発明のレジスト組成物中の、(c')の化合物(好ましくは上記一般式(A)で表される化合物)の添加量としては、組成物全重量(固形分)に対して0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0152】
〔III〕本発明のレジスト組成物で使用される電子線(又はX線)の照射により酸を発生する化合物
本発明において使用される電子線(又はX線)の照射により酸を発生する化合物は以下の通りに分類される。
▲1▼ ポジ型電子線又はX線レジスト組成物においては、(a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物。
▲2▼ マスク製造用ポジ型レジスト組成物においては、(a1')電子線の照射により酸を発生する化合物。
▲3▼ 電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物においては、(a2)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物。
▲4▼ マスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物においては、(a2')電子線の照射により酸を発生する化合物。
以下に、各々について、記載する。
【0153】
〔III−A〕(a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物(以下、「成分(a1)」ともいう)
以下に、成分(a1)について、記載するが、前記(a1')電子線の照射により酸を発生する化合物(以下、「成分(a1')ともいう」)については、以下に記載する(a1)成分における電子線の照射により酸を発生する化合物を挙げることができる。
【0154】
成分(a1)としては、電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物であれば、いずれのものでも用いることができるが、一般式(I)〜(III)で表される化合物が好ましい。
〔III−A−1〕 一般式(I)〜(III)で表される化合物
一般式(I)〜(III)において、R1〜R38の直鎖状、分岐状アルキル基としては、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。環状アルキル基としては、置換基を有してもよい、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個のものが挙げられる。
R1〜R37の直鎖状、分岐状アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが挙げられる。
環状アルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
R1 〜R37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R38のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基のような置換基を有してもよい炭素数6〜14個のものが挙げられる。
これらの置換基として好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
【0155】
また、R1〜R15、R16〜R27、R28〜R37のうち、2つ以上が結合して形成する、単結合、炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上を含む環としては、例えば、フラン環、ジヒドロフラン環、ピラン環、トリヒドロピラン環、チオフェン環、ピロール環等を挙げることができる。
【0156】
一般式(I)〜(III)において、X-はスルホン酸のアニオンである。
更に、X-は好ましくは、下記基から選択される少なくとも1種を有するベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸のアニオンである。
少なくとも1個のフッ素原子
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基
少なくとも1個のフッ素原子で置換された直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシル基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアシロキシ基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニル基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルオキシ基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたスルホニルアミノ基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアリール基
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアラルキル基及び
少なくとも1個のフッ素原子で置換されたアルコキシカルボニル基
【0157】
上記直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ヘプタフロロイソプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロシクロヘキシル基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が好ましい。
【0158】
上記直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメトキシ基、ペンタフロロエトキシ基、ヘプタフロロイソプロピルオキシ基、パーフロロブトキシ基、パーフロロオクチルオキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルコキシ基が好ましい。
【0159】
上記アシル基としては、炭素数が2〜12であって、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセチル基、フロロアセチル基、ペンタフロロプロピオニル基、ペンタフロロベンゾイル基等を挙げることができる。
【0160】
上記アシロキシ基としては、炭素数が2〜12であって、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセトキシ基、フロロアセトキシ基、ペンタフロロプロピオニルオキシ基、ペンタフロロベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
【0161】
上記スルホニル基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニル基、ペンタフロロエタンスルホニル基、パーフロロブタンスルホニル基、パーフロロオクタンスルホニル基、ペンタフロロベンゼンスルホニル基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。
【0162】
上記スルホニルオキシ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルオキシ、パーフロロブタンスルホニルオキシ基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
【0163】
上記スルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルアミノ基、パーフロロブタンスルホニルアミノ基、パーフロロオクタンスルホニルアミノ基、ペンタフロロベンゼンスルホニルアミノ基等を挙げることができる。
【0164】
上記アリール基としては、炭素数が6〜14であって、1〜9個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニル基、4−トリフロロメチルフェニル基、ヘプタフロロナフチル基、ノナフロロアントラニル基、4−フロロフェニル基、2,4−ジフロロフェニル基等を挙げることができる。
【0165】
上記アラルキル基としては、炭素数が7〜10であって、1〜15個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニルメチル基、ペンタフロロフェニルエチル基、パーフロロベンジル基、パーフロロフェネチル基等を挙げることができる。
【0166】
上記アルコキシカルボニル基としては、炭素数が2〜13であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメトキシカルボニル基、ペンタフロロエトキシカルボニル基、ペンタフロロフェノキシカルボニル基、パーフロロブトキシカルボニル基、パーフロロオクチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0167】
最も好ましいX-としてはフッ素置換ベンゼンスルホン酸アニオンであり、中 でもペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオンが特に好ましい。
【0168】
また、上記含フッ素置換基を有するベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、さらに直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基(これらの炭素数範囲は前記のものと同様)、ハロゲン(フッ素を除く)、水酸基、ニトロ基等で置換されてもよい。
【0169】
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0170】
【化62】
【0171】
【化63】
【0172】
【化64】
【0173】
【化65】
【0174】
【化66】
【0175】
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0176】
【化67】
【0177】
【化68】
【0178】
一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0179】
【化69】
【0180】
【化70】
【0181】
【化71】
【0182】
【化72】
【0183】
一般式(I)〜(III)で表される化合物は、1種あるいは2種以上を併用して用いてもよい。
【0184】
一般式(I)、(II)の化合物は、例えばアリールマグネシウムブロミド等のアリールグリニャール試薬と、置換又は無置換のフェニルスルホキシドとを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する方法、置換あるいは無置換のフェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物とをメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミニウム等の酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法、又はジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅等の触媒を用いて縮合、塩交換する方法等によって合成することができる。
式(III)の化合物は過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させることに より合成することができる。
また、塩交換に用いるスルホン酸あるいはスルホン酸塩は、市販のスルホン酸クロリドを加水分解する方法、芳香族化合物とクロロスルホン酸とを反応する方法、芳香族化合物とスルファミン酸とを反応する方法等によって得ることができる。
【0185】
以下具体的に、一般式(I)〜(III)の具体的化合物の合成方法を以下に示 す。
(ぺンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の合成)
ペンタフロロペンセンスルホニルクロリド25gを氷冷下メタノール100m1に溶解させ、これに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液100gをゆっくり加えた。室温で3時間撹伴するとペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液が得られた。この溶液をスルホニウム塩、ヨードニウム塩との塩交換に用いた。
【0186】
(トリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成:具体例(I−1)の合成)
ジフェニルスルホキシド509をベンゼン800m1に溶解させ、これに塩化アルミニウム200gを加え、24時間還流した。反応液を水2Lにゆっくりと注ぎ、これに濃塩酸400m1を加えて70℃で10分加熱した。この水溶液を酢酸エチル500m1で洗浄し、ろ過した後にヨウ化アンモニウム200gを水400m1に溶解したものを加えた。
析出した粉体をろ取、水洗した後酢酸エチルで洗浄、乾燥するとトリフェニルスルホニウムヨージドが70g得られた。
トリフェニルスルホニウムヨージド30.5gをメタノール1000m1に溶解させ、この溶液に酸化銀19.1gを加え、室温で4時間撹伴した。溶液をろ過し、これに過剰量の上記で合成したペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液を加えた。反応液を濃縮し、これをジクロロメタン500m1に溶解し、この溶液を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、及び水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮するとトリフェニルスルホニウムペンタフロロベンセンスルホネートが得られた。
【0187】
(トリアリールスルホニウムペンタフロロベンセンスルホネートの合成:具体例(I−9)と(II−1)との混合物の合成)
トリアリールスルホニウムクロリド50g(Fluka製、トリフェニルスルホニ ウムクロリド50%水溶液)を水500m1に溶解させこれに過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液を加えると油状物質が析出してきた。上澄みをデカントで除き、得られた油状物質を水洗、乾燥するとトリアリールスルホニウムペンタフロロべンセンスルホネート(具体例(I−9)、(II−1)を主成分とする)が得られた。
【0188】
(ジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンセンスルホネートの合成:具体例(III−1)の合成)
t−アミルベンゼン60g、ヨウ素酸カリウム39.5g、無水酢酸81g、ジクロロメタン170m1を混合し、これに氷冷下濃硫酸66.8gをゆっくり滴下した。氷冷下2時間撹伴した後、室温で10時間撹伴した。反応液に氷冷下、水500m1を加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を炭酸水素ナトリウム、水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウム硫酸塩が得られた。この硫酸塩を、過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液に加えた。この溶液に水500m1を加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、及び水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンセンスルホネートが得られた。
その他の化合物についても同様の方法を用いることで合成できる。
【0189】
〔III−A−2〕 成分(a1)として使用することができる他の酸発生剤
本発明においては、成分(a1)として以下に記載の、電子線又はX線の照射により分解して酸を発生する化合物を使用することもできる。
また、本発明においては、成分(a1)として、上記一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物とともに、以下のような電子線又はX線の照射により分解して酸を発生する化合物を併用してもよい。
本発明における上記一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物と併用しうる酸発生剤の使用量は、モル比(一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
【0190】
成分(a1)の総含量は、本発明のポジ型電子線又はX線レジスト組成物全組成物の固形分に対し、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%である。
【0191】
また、成分(a1')の総含量は、本発明のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物全組成物の固形分に対し、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%である。
【0192】
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている電子線又はX線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0193】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特願平3-140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056 号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307 (1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049 号、同第410,201号、特開平2-150,848号、特開平2-296,514号等に記載 のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693 号、同3,902,114号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827 号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のス ルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979) 等に記載のセレ ノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公 昭46-4605 号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特 開昭61-169835 号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007 (1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2-161445号等に記 載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.PolymerSci.,25,753(1987)、E.Reichmanisetal,J.PholymerSci.,PolymerChem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、 B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、 D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.Collins etal,J.Chem.SoC.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、 J.W.Walker etalJ.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343 号、 米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022 号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、 欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、 同4,431,774号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特願平3-140109号等に 記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544号等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0194】
また、これらの電子線又はX線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse etal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas etal,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、.Yamada etal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972) 、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、獨国特許第3914407号、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63- 146038号、特開昭63-163452 号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0195】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許 第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0196】
上記併用可能な電子線又は電子線又はX線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0197】
【化73】
【0198】
式中、R201 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3をし めす。Yは塩素原子又は臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0199】
【化74】
【0200】
【化75】
【0201】
【化76】
【0202】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0203】
【化77】
【0204】
(2)下記の一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0205】
【化78】
【0206】
R203 、R204 、R205 は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0207】
Z-は対アニオンを示し、例えばCF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸 アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0208】
またR203 、R204 、R205 のうちの2つはそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0209】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0210】
【化79】
【0211】
【化80】
【0212】
【化81】
【0213】
一般式(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えばJ.W.Knapczyk etal,J.Am.Chem.Soc.,91,145(1969)、A.L.Maycok etal, J.Org.Chem.,35,2532,(1970)、E.Goethas etal ,Bull.Soc.Chem.Belg.,73,546,(1964) 、H.M.Leicester、J.Ame.Chem.Soc.,51,3587(1929)、J.V.Crivello etal,J.Polym.Chem.Ed.,18,2677(1980)、米国特許第2,807,648 号及び同4,247,473号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0214】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0215】
【化82】
【0216】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206 は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0217】
【化83】
【0218】
【化84】
【0219】
【化85】
【0220】
【化86】
【0221】
【化87】
【0222】
本発明においては、(d)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する樹脂(以下、「成分(d)」ともいう)、又は(e)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物(以下、「成分(e)」ともいう)のうち少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。
【0223】
〔III−B〕(a2)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物(以下、「成分(a2)」、又は「酸発生剤」ともいう)
以下に、成分(a2)について、記載するが、前記(a2')電子線の照射により酸を発生する化合物(以下、「成分(a2')ともいう」)については、以下に記載する(a2)成分における電子線の照射により酸を発生する化合物を挙げることができる。
【0224】
本発明のネガ型レジスト組成物においては、アルカリ可溶性樹脂とともに酸発生剤を用いる。アルカリ可溶性樹脂とともに用いられる酸発生剤は、放射線の照射により酸を発生する化合物であればいずれの化合物でも用いることができる。
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
【0225】
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0226】
本発明においては、有機酸を発生するオニウム塩化合物が好ましく、特に好ましくは前記一般式(I)〜一般式(III)で示されるオニウム塩化合物である。
一般式(I)〜一般式(III)中のR1〜R37は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、または、−S−R38で示すことができる基である。
R1〜R37が表すアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。直鎖状又は分岐状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など、例えば炭素数1〜4個のアルキル基を挙げることができる。環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など炭素数3〜8個のアルキル基を挙げることができる。
R1〜R37が表すアルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状アルコキシ基でもよい。直鎖状又は分岐状アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のもの例えばメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、オクチルオキシ基などを挙げることができる。環状アルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0227】
R1〜R37が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
R1〜R37が表す−S−R38中のR38は、アルキル基、又はアリール基である。R38が表すアルキル基の範囲としては、例えばR1〜R37が表すアルキル基として既に列挙したアルキル基中のいずれをも挙げることができる。
R38が表すアリール基は、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基など、炭素数6〜14個のアリール基を挙げることができる。
R1〜R38が表すアルキル基以下、アリール基までは、いずれも基の一部に更に置換基を結合して炭素数を増やしていてもよく、置換基を有していなくてもよい。更に結合していてもよい置換基としては、好ましくは、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数6〜10個のアリール基、炭素数2〜6個のアルケニル基を挙げることができ、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等も挙げることができる。その他、ハロゲン原子でもよい。たとえば、フッ素原子、塩素原子、沃素原子を挙げることができる。
【0228】
一般式(I)中のR1〜R15で示す基は、そのうちの2つ以上が結合し、環を形成していてもよい。環は、R1〜R15で示す基の末端が直接結合して形成してもよい。炭素、酸素、イオウ、及び窒素から選択される1種又は2種以上の元素を介して間接的に結びあい、環を形成していてもよい。
R1〜R15のうちの2つ以上が結合して形成する環構造としては、フラン環、ジヒドロフラン環、ピラン環、トリヒドロピラン環、チオフェン環、ピロール環などに見られる環構造と同一の構造を挙げることができる。一般式(II)中のR16〜R27についても同様のことを言うことができる。2つ以上が直接又は間接に結合し、環を形成していてもよい。一般式(III)中のR28〜R37についても同様である。
【0229】
一般式(I)〜(III)はX-を有する。一般式(I)〜(III)が有するX-は、スルホン酸のアニオンである。アニオンを形成している酸は、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸の中から選択される酸である。酸には1以上のフッ素原子が置換しているとより好ましい。又はその酸は、そのフッ素原子とともにあるいはフッ素原子に代え、アルキル基、アルコキシル基、アシル基、アシロキシル基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、からなる群から選択された少なくとも1種の有機基を有し、しかも、その有機基は少なくとも1個のフッ素原子を更に置換していることが好ましい。また、上記のアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、フッ素以外のハロゲン原子、水酸基、ニトロ基等で置換されていてもよい。
【0230】
X-のアニオンを形成するベンゼンスルホン酸などに結合するアルキル基は、例えば炭素数1〜12のアルキル基である。アルキル基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。具体的にはトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、ヘプタフロロプロピル基、ヘプタフロロイソプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロシクロヘキシル基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアルコキシ基は、炭素数が1〜12のアルコキシ基である。アルコキシ基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは25個以下のフッ素原子が置換している。具体的にはトリフロロメトキシ基、ペンタフロロエトキシ基、ヘプタフロロイソプロピルオキシ基、パーフロロブトキシ基、パーフロロオクチルオキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。なかでも、全てフッ素で置換された炭素数1〜4のパーフロロアルコキシ基が好ましい。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシル基は、炭素数2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセチル基、フロロアセチル基、ペンタフロロプロピオニル基、ペンタフロロベンゾイル基等を挙げることができる。
【0231】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するアシロキシ基は、炭素数が2〜12、1〜23個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロアセトキシ基、フロロアセトキシ基、ペンタフロロプロピオニルオキシ基、ペンタフロロベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合するスルホニル基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニル基、ペンタフロロエタンスルホニル基、パーフロロブタンスルホニル基、パーフロロオクタンスルホニル基、ペンタフロロベンゼンスルホニル基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。
【0232】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルオキシ基としては、炭素数が1〜12、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルオキシ、パーフロロブタンスルホニルオキシ基、4−トリフロロメチルベンゼンスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記スルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12であって、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメタンスルホニルアミノ基、パーフロロブタンスルホニルアミノ基、パーフロロオクタンスルホニルアミノ基、ペンタフロロベンゼンスルホニルアミノ基等を挙げることができる。
【0233】
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アリール基としては、炭素数が6〜14、1〜9個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニル基、4−トリフロロメチルフェニル基、ヘプタフロロナフチル基、ノナフロロアントラニル基、4−フロロフェニル基、2,4−ジフロロフェニル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アラルキル基としては、炭素数が7〜10、1〜15個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはペンタフロロフェニルメチル基、ペンタフロロフェニルエチル基、パーフロロベンジル基、パーフロロフェネチル基等を挙げることができる。
アルキル基とともにあるいは単独で上記のベンゼンスルホン酸などに結合する上記アルコキシカルボニル基としては、炭素数が2〜13、1〜25個のフッ素原子で置換されているものが好ましい。具体的にはトリフロロメトキシカルボニル基、ペンタフロロエトキシカルボニル基、ペンタフロロフェノキシカルボニル基、パーフロロブトキシカルボニル基、パーフロロオクチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0234】
このようなアニオンの中で、最も好ましいX-はフッ素置換ベンゼンスルホン酸アニオンであり、中でもペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオンが特に好ましい。
また、上記含フッ素置換基を有するアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はアントラセンスルホン酸は、さらに直鎖状、分岐状あるいは環状アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基(これらの炭素数範囲は前記のものと同様)、ハロゲン(フッ素を除く)、水酸基、ニトロ基等で置換されてもよい。
【0235】
以下に、これらの一般式(I)〜(III)で表される化合物及びその他の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0236】
【化88】
【0237】
【化89】
【0238】
【化90】
【0239】
一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0240】
【化91】
【0241】
【化92】
【0242】
一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0243】
【化93】
【0244】
【化94】
【0245】
【化95】
【0246】
式(I)〜(III)で表される化合物以外の化合物の具体例を以下に示す。
【0247】
【化96】
【0248】
【化97】
【0249】
【化98】
【0250】
【化99】
【0251】
【化100】
【0252】
【化101】
【0253】
一般式(I)、一般式(II)の化合物は、次のような方法で合成できる。例えば、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬とフェニルスルホキシドとを反応させ、得られたトリアリールスルホニウムハライドを対応するスルホン酸と塩交換する。別の方法もある。例えば、フェニルスルホキシドと対応する芳香族化合物をメタンスルホン酸/五酸化二リンあるいは塩化アルミなどの酸触媒を用いて縮合、塩交換する方法がある。また、ジアリールヨードニウム塩とジアリールスルフィドを酢酸銅などの触媒を用いて縮合、塩交換する方法などによって合成できる。上記のいずれの方法でも、フェニルスルホキシドは、置換基をベンゼン環に置換させていてもよく、そのような置換基がなくてもよい。
一般式(III)の化合物は過ヨウ素酸塩を用いて芳香族化合物を反応させることにより合成可能である。
本発明で使用する酸発生剤の含有量は、全ネガ型レジスト組成物の固形分に対し、0.1〜20重量%が適当であり、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%である。
【0254】
〔III−B−2〕(他の光酸発生剤)
本発明においては、上記一般式(I)〜一般式(III)で表わされる化合物以外に、あるいはこれらと共に、放射線の照射により分解して酸を発生する他の化合物を用いることができる。
一般式(I)〜一般式(III)で表わされる化合物とともに放射線の照射により分解して酸を発生する他の化合物を用いる場合には、放射線の照射により分解して酸を発生する他の化合物の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
【0255】
〔IV〕(d)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する樹脂
本発明のポジ型レジスト組成物において用いられる成分(d)としては、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOA0、−O−B0基であり、更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0 は、A0 又は−CO−O−A0基を示す(R0、R01〜R06、及びArは後述のものと同義)。
【0256】
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0257】
次に、これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH、好ましくは−R0−COOHもしくは−Ar−OH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0258】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ (ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂である。
【0259】
本発明に用いられる成分(d)は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0260】
本発明に使用される成分(d)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0261】
【化102】
【0262】
【化103】
【0263】
【化104】
【0264】
【化105】
【0265】
【化106】
【0266】
【化107】
【0267】
【化108】
【0268】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。B/(B+S)>0.7ではPEB後の膜収縮、基板への密着不良やスカムの原因となり好ましくない。一方、B/(B+S)<0.01では、パターン側壁に顕著に定在波が残ることがあるので好ましくない。
【0269】
成分(d)の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜200,000の範囲であることが好ましい。2,000未満では未照射部の現像により膜減りが大きく、200,000を越えるとアルカリ可溶性樹脂自体のアルカリに対する溶解速度が遅くなり感度が低下してしまう。より好ましくは、5,000〜100,000の範囲であり、更に好ましくは8,000〜50,000の範囲である。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.6であり、分散度が小さいほど、耐熱性、画像形成性(パターンプロファイル等)が良好となる。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
また、成分(d)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0270】
〔V〕(e)低分子酸分解性溶解阻止化合物(「(e)成分」)
本発明において、(e)成分を用いてもよい。(e)成分は、酸により分解し得る基を有し、アルカリ現像液に対する溶解性が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物である。
本発明の組成物に配合される好ましい(e)成分は、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも8個経由する化合物である。
より好ましい(e)成分は、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも10個、好ましくは少なくとも11個、更に好ましくは少なくとも12個経由する化合物、又は酸分解性基を少なくとも3個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個、更に好ましくは少なくとも11個経由する化合物である。又、上記結合原子の好ましい上限は50個、更に好ましくは30個である。
(e)成分である酸分解性溶解阻止化合物が、酸分解性基を3個以上、好ましくは4個以上有する場合、また酸分解性基を2個有するものにおいても、該酸分解性基が互いにある一定の距離以上離れている場合、アルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止性が著しく向上する。
なお、酸分解性基間の距離は、酸分解性基を除く、経由結合原子数で示される。例えば、以下の化合物(1),(2)の場合、酸分解性基間の距離は、各々結合原子4個であり、化合物(3)では結合原子12個である。
【0271】
【化109】
【0272】
また、(e)成分である酸分解性溶解阻止化合物は、1つのベンゼン環上に複数個の酸分解性基を有していてもよいが、好ましくは、1つのベンゼン環上に1個の酸分解性基を有する骨格から構成される化合物である。更に、本発明の酸分解性溶解阻止化合物の分子量は3,000以下であり、好ましくは300〜3,000、更に好ましくは500〜2,500である。
【0273】
本発明の好ましい実施態様においては、酸により分解し得る基、即ち−COO−A0 、−O−B0基を含む基としては、−R0−COO−A0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していてもよい2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していてもよい2価以上の芳香族基を示す。
【0274】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0275】
好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0276】
(e)成分としては、好ましくは、特開平1−289946号、特開平1−289947号、特開平2−2560号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−191351号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200253号、特開平3−200254号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平3−279959号、特開平4−1650号、特開平4−1651号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平3−33229号、特願平3−230790号、特願平3−320438号、特願平4−25157号、特願平4−52732号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号等の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物のフエノール性OH基の一部もしくは全部を上に示した基、−R0−COO−A0もしくはB0基で結合し、保護した化合物 が含まれる。
【0277】
更に好ましくは、特開平1−289946号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平4−1650号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平4−25157号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物を用いたものが挙げられる。
【0278】
より具体的には、一般式[I]〜[XVI]で表される化合物が挙げられる。
【0279】
【化110】
【0280】
【化111】
【0281】
【化112】
【0282】
【化113】
【0283】
ここで、
R101 、R102 、R108 、R130 :同一でも異なっていてもよく、水素原子、−R0−COO−C(R01)(R02)(R03)又は−CO−O−C(R01)(R0 2)(R03)、但し、R0、R01、R02及びR03の定義は前記と同じである。
【0284】
R100 :−CO−,−COO−,−NHCONH−,−NHCOO−,−O−、−S−,−SO−,−SO2−,−SO3−,もしくは
【0285】
【化114】
【0286】
ここで、G=2〜6 但し、G=2の時はR150 、R151 のうち少なくとも一方はアルキル基、
R150 、R151 :同一でも異なっていてもよく、水素原子,アルキル基,アルコキシ基、−OH,−COOH,−CN,ハロゲン原子,−R152 −COOR153 もしくは−R154 −OH、
R152 、R154 :アルキレン基、
R153 :水素原子,アルキル基,アリール基,もしくはアラルキル基、
R99、R103 〜R107 、R109 、R111 〜R118 、R121 〜R123 、R128 〜R129 、R131 〜R134 、R138 〜R141 及びR143 :同一でも異なってもよく、水素原子,水酸基,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,アシロキシ基,アリール基,アリールオキシ基,アラルキル基,アラルキルオキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,カルボキシル基,シアノ基,もしくは−N(R155)(R156)( ここで、R155 、R156 :H,アルキル基,もしくはアリール基)
R110 :単結合,アルキレン基,もしくは
【0287】
【化115】
【0288】
R157 、R159 :同一でも異なってもよく、単結合,アルキレン基,−O−,−S−,−CO−,もしくはカルボキシル基、
R158 :水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,アシロキシ基,
アリール基,ニトロ基,水酸基,シアノ基,もしくはカルボキシル基、但し、水酸基が酸分解性基(例えば、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシ−1−エチル基、1−t−ブトキシ−1−エチル基)で置き換ってもよい。
【0289】
R119 、R120 :同一でも異なってもよく、メチレン基,低級アルキル置換メチレン基,ハロメチレン基,もしくはハロアルキル基、但し本願において低級アルキル基とは炭素数1〜4のアルキル基を指す、
R124 〜R127 :同一でも異なってもよく、水素原子もしくはアルキル基、
R135 〜R137 :同一でも異なってもよく、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,もしくはアシロキシ基、
R142 :水素原子,−R0−COO−C(R01)(R02)(R03)又は−CO −O−C(R01)(R02)(R03)、もしくは
【0290】
【化116】
【0291】
R144 、R145 :同一でも異なってもよく、水素原子,低級アルキル基,低級ハロアルキル基,もしくはアリール基、
R146 〜R149 :同一でも異なっていてもよく、水素原子,水酸基,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,カルボニル基,アルキル基,アルコキシ基,アルコキシカルボニル基,アラルキル基,アラルキルオキシ基,アシル基,アシロキシ基,アルケニル基,アルケニルオキシ基,アリール基、アリールオキシ基,もしくはアリールオキシカルボニル基、但し、各4個の同一記号の置換基は同一の基でなくてもよい、
Y:−CO−,もしくは−SO2−、
Z,B:単結合,もしくは−O−、
A:メチレン基,低級アルキル置換メチレン基,ハロメチレン基,もしくはハロアルキル基、
E:単結合,もしくはオキシメチレン基、
a〜z,a1〜y1:複数の時、()内の基は同一又は異なっていてもよい、
a〜q、s,t,v,g1〜i1,k1〜m1,o1,q1,s1,u1:0もしくは1〜5の整数、
r,u,w,x,y,z,a1〜f1,p1,r1,t1,v1〜x1:0もしくは1〜4の整数、
j1,n1,z1,a2,b2,c2,d2:0もしくは1〜3の整数、
z1,a2,c2,d2のうち少なくとも1つは1以上、
y1:3〜8の整数、
(a+b),(e+f+g),(k+l+m),(q+r+s),(w+x+y),(c1+d1),(g1+h1+i1+j1),(o1+p1),
(s1+t1)≧2、
(j1+n1)≦3、
(r+u),(w+z),(x+a1),(y+b1),(c1+e1),(d1+f1),(p1+r1),(t1+v1),(x1+w1)≦4 、但し一般式[V]の場合は(w+z),(x+a1)≦5、
(a+c),(b+d),(e+h),(f+i),(g+j),(k+n),(l+o),(m+p),(q+t),(s+v),(g1+k1),
(h1+l1),(i1+m1),(o1+q1),(s1+u1)≦5、
を表す。
【0292】
【化117】
【0293】
【化118】
【0294】
【化119】
【0295】
【化120】
【0296】
好ましい化合物骨格の具体例を以下に示す。
【0297】
【化121】
【0298】
【化122】
【0299】
【化123】
【0300】
【化124】
【0301】
【化125】
【0302】
【化126】
【0303】
【化127】
【0304】
【化128】
【0305】
【化129】
【0306】
【化130】
【0307】
【化131】
【0308】
【化132】
【0309】
【化133】
【0310】
化合物(1)〜(44)中のRは、水素原子、
【0311】
【化134】
【0312】
を表す。但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくてもよい。
【0313】
〔VI〕本発明のポジ型レジスト組成物には、その他の成分として、(h')水に不溶で、アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、「(h')成分」あるいは「(h')アルカリ可溶性樹脂」ともいう)を使用することができる。
本発明のポジ型レジスト組成物において、(h')成分として、水に不溶でアルカリ水溶液に可溶な樹脂を用いることができる。(h')成分を用いる場合、上記(h')成分である酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂を配合する必要は必ずしもない。勿論、(h')成分との併用を排除するものではない。
【0314】
本発明に用いられる(h')アルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に好ましい(h')アルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0315】
所定のモノマーとしては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3−キシレノール等のキシレノール類、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフエノール、2,3,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシフェノール類、2−メチル−4−イソプロピルフェノール等のビスアルキルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、ナフトール等のヒドロキシ芳香化合物を単独もしくは2種類以上混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0316】
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒド及びこれらのアセタール体、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を使用することができるが、これらの中で、ホルムアルデヒドを使用するのが好ましい。
これらのアルデヒド類は、単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いられる。酸性触媒としては塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。
【0317】
こうして得られたノボラック樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では未照射部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。特に好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
また、ノボラック樹脂以外の前記ポリヒドロキシスチレン、及びその誘導体、共重合体の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明に於けるこれらの(h')アルカリ可溶性樹脂は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0318】
ここで、本発明のポジ型レジスト組成物の構成例を以下に例示する。しかし、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0319】
1)上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c)及び上記成分(d)を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
2)上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c)、上記成分(e)及び前記成分(h')を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
3)上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c)、上記成分(d)及び上記成分(e)を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
【0320】
4)上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c)及び上記成分(d)を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
5)上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c)、上記成分(e)及び前記成分(h')を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
6)上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c)、上記成分(d)及び上記成分(e)を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0321】
1)' 上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c')及び上記成分(d)を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
2)' 上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c')、上記成分(e)及び前記成分(h)を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
3)' 上記成分(a1)、上記成分(b)、上記成分(c')、上記成分(d)及び上記成分(e)を含むポジ型電子線又はX線用レジスト組成物。
【0322】
4)' 上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c')及び上記成分(d)を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
5)' 上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c')、上記成分(e)及び前記成分(h')を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
6)' 上記成分(a1')、上記成分(b)、上記成分(c')、上記成分(d)及び上記成分(e)を含むマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
【0323】
(c)カチオン重合性化合物と(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物は併用しうる。
上記構成例の中で、(c)の一部を(c')に置き換えることができ、また(c')の一部を(c)に置き換えることができる。
【0324】
上記各構成例において、1)、4)の成分(d)、2)と5)の成分(h')及び3)と6)の成分(d)の組成物中の使用量は、各々全組成物の固形分に対して40〜99重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%である。
【0325】
前記成分(e)の組成物中の使用量は、上記各構成例いずれでも、全組成物の固形分に対し3〜45重量%が好ましく、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
【0326】
〔VII〕(h)アルカリ可溶性樹脂
本発明のネガ型レジスト組成物におけるアルカリ可溶性樹脂は、水には不溶であり、アルカリ水溶液には可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂ともいう)である。
アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して20Å/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは200Å/秒以上のものである(Åはオングストローム)。
(1)本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の好ましい態様の1つは、上記一般式(1)で表わされる構造単位を含有する樹脂である。
一般式(1)で表わされる構造単位以外に、他の繰返し構造単位を含んでいてもよい。
【0327】
本発明に用いられる一般式(1)で表わされる構造単位を含有するアルカリ可溶性樹脂は、下記モノマー(8)、必要により他のモノマーをラジカル重合、リビングアニオン重合法等により目的のアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
【0328】
【化135】
【0329】
上記の内、分子内に水酸基を有するモノマーを使用する場合は、あらかじめ水酸基を保護しておき重合後に保護基を外す方法が好ましい。また、酸分解性の基で保護する場合も、ポリマー合成終了後に保護基を導入する方法が一般的である。
本発明において、前記一般式(1)で表される繰り返し構造単位の樹脂中の含有量としては、本発明の効果が発現できうる量であればいずれでもよいが、具体的には全繰り返し単位に対して好ましくは30〜100モル%であり、より好ましくは50〜90モル%である。
【0330】
(2)本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の他の好ましい態様の1つは、下記条件(a1)および(b1)を満たす。
(a1)炭素数6以上20以下の芳香環及び該芳香環に直接あるいは連結基を介して結合したエチレン性不飽和基を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも一種有すること。
(b1)該芳香環のπ電子と芳香環上の置換基の非共有電子対の電子数の間に式(I)の関係が成り立つこと。
【0331】
ここで、Nπは、π電子総数を表し、Nloneは該置換基としての炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状、あるいは環状のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、または水酸基の非共有電子対の総電子数を表す。2つ以上のアルコキシ基または水酸基は隣り合う二つが互いに結合して5員環以上の環構造を形成してもよい。
【0332】
特に、式(I)中のNπ+(1/2)Nloneは、10〜40の範囲であることが二次電子を発生しやすい構造であるため好ましい。好ましい芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ビフェニル等を挙げることができ、好ましい芳香環上の置換基としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピル基等を挙げることができる。
また、π電子総数Nπが10以上となる芳香環(例えばナフタレン環、アントラセン環またはフェナントレン環、ビフェニルのような芳香環)であれば、この芳香環上の置換基は非共有電子対を有さない基(Nlone=0となる基)であっても良く、例えば、水素、飽和アルキル基などを挙げることができる。
【0333】
より具体的には、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、一般式(3)〜(7)で表される繰り返し単位を構成成分として有することが好ましい。
【0334】
一般式(3)〜(7)において、 R101は、水素原子あるいはメチル基を表す。Lは二価の連結基を表す。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rlはそれぞれ独立に、炭素数1から12の直鎖状、分岐状、あるいは、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、あるいは水素原子を表す。また、これらは互いに連結して炭素数24以下の5員以上の環を形成しても良い。l,m,n,p,q,r,s,t,u,v,w,xは0〜3までの整数を表し、l+m+n=2,3、 p+q+r=0,1,2,3、 s+t+u=0,1,2,3、 v+w+x=0,1,2,3を満たす。
【0335】
Ra、Rb、Rcの例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、クミル基などが挙げられる。また、互いに連結して、メチル置換ジオキソール環、エチル置換ジオキソール環、フェニル置換ジオキソール環、ジメチル置換ジオキソール環、ジオキサン環を形成するものも例として挙げられる。
【0336】
Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rlの例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ベンジル基、フェニル基、クミル基などが挙げられる。Rd〜Rf、Rg〜Ri又はRj〜Rlは、ジオキソール環、メチル置換ジオキソール環、エチル置換ジソキソール環、フェニル置換ジオキソール環、ジメチル置換ジオキソール環、ジオキサン環を形成するものも例として挙げられる。
【0337】
Lの例としては、単結合、−CH2−、−COO−、−COOCH2−、−OCH2CH2O−、−OCH2−、−CONH−などが挙げられる。
【0338】
Yの表す各芳香環における、主鎖に結合する結合手、あるいは置換基に結合する結合手の位置は芳香環上のいずれでも良い。
【0339】
これらは(9)〜(12)のモノマーの重合、必要により他のモノマーの共重合によって得ることができる。
【0340】
【化136】
【0341】
【化137】
上記において、R1a、R101、Ra〜Rl、l、m、n、p、q、r、s、t、u、v、w、xは、前記と同義である。
上記の内、分子内に水酸基を有するモノマーを使用する場合は、あらかじめ水酸基を保護しておき重合後に保護基を外す方法が好ましい。また、酸分解性の基で保護する場合も、ポリマー合成終了後に保護基を導入する方法が一般的である。
【0342】
これらの構造の好ましい具体例を以下に挙げるがこれらに限定されるものではない。
【0343】
【化138】
【0344】
【化139】
【0345】
【化140】
【0346】
【化141】
【0347】
【化142】
【0348】
【化143】
【0349】
【化144】
【0350】
【化145】
【0351】
【化146】
【0352】
【化147】
【0353】
【化148】
【0354】
【化149】
【0355】
【化150】
【0356】
【化151】
【0357】
【化152】
【0358】
【化153】
【0359】
【化154】
【0360】
【化155】
【0361】
本発明における、アルカリ可溶性樹脂は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の公知の方法によって合成できる。対応するモノマーを組み合わせてラジカル重合を行うのが最も簡便であるが、モノマーによってはカチオン重合、アニオン重合を利用した場合に、より好適に合成できる。また、重合開始種によってモノマーが重合以外の反応を起こす場合には、適当な保護基を導入したモノマーを重合し、重合後に脱保護することによって望む重合体を得ることができる。また、アルコキシを有する重合体については、対応する水酸基を有する重合体の水酸基をエーテル化反応を行うことによっても望む重合体を得ることができる。重合法については、実験化学講座28高分子合成、新実験化学講座19高分子化学[I]等に記載されている。
【0362】
また、本発明のアルカリ可溶性樹脂(1)及び(2)は、分子量が3、000を超え、300,000以下である。好ましくは、重量平均分子量が3,000を越え、100,000以下である。より好ましくは、重量平均分子量が3,000を越え、50,000以下である。
【0363】
上記の合成方法により合成できるアルカリ可溶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜1.5であることが好ましく、これにより、特にレジストを高感度化することができる。なお、このような分子量分布のアルカリ可溶性樹脂は、上記合成方法において、リビングアニオン重合を利用することによって合成することができる。
【0364】
(3)上記(1)、(2)以外の本発明において用いることができる他のアルカリ可溶性樹脂。
本発明において用いることができる他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0365】
特に好ましい他のアルカリ可溶性樹脂は、ノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。該ノボラック樹脂は、下記の所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0366】
所定のモノマーとしては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3−キシレノール等のキシレノール類、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフエノール、2,3,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシフェノール類、2−メチル−4−イソプロピルフェノール等のビスアルキルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、ナフトール等のヒドロキシ芳香化合物を単独もしくは2種類以上混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0367】
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒド及びこれらのアセタール体、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を使用することができるが、これらの中で、ホルムアルデヒドを使用するのが好ましい。
これらのアルデヒド類は、単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いられる。酸性触媒としては塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。
【0368】
こうして得られたノボラック樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では露光部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。特に好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
また、ノボラック樹脂以外の前記ポリヒドロキシスチレン、及びその誘導体、共重合体の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは2000〜30000、より好ましくは2000〜20000である。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0369】
こうして得られたアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では露光部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。さらに好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
感度が特に優れている点で特に好ましいアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、2,000〜9,000の範囲であり、より好ましくは2,500〜9,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜9,000の範囲である。
また、アルカリ可溶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜1.5となる(単分散ポリマー)ほうが現像残さが少なくなり好ましい。感度が特に優れている点で特に好ましいアルカリ可溶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜1.4であり、より好ましくは1.0〜1.3であり、さらに好ましくは1.0〜1.2である。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
すべてのアルカリ可溶性樹脂の使用量は、レジスト組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として、通常30〜90重量%、好ましくは50〜80重量%である。
【0370】
〔VIII〕 (i)酸により架橋する架橋剤
本発明のネガ型レジスト組成物では、アルカリ可溶性樹脂、酸発生剤とともに、酸により架橋する化合物(以下、適宜、酸架橋剤又は単に架橋剤と称する)を使用する。
(3)−1 架橋剤は、フェノール誘導体を使用することができる。
好ましくは、分子量が1200以下、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、さらにヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0371】
【化156】
【0372】
【化157】
【0373】
【化158】
【0374】
【化159】
【0375】
【化160】
【0376】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)
ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、欧州特許EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。
ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0377】
(3)−2 上記フェノール誘導体以外にも、下記の(i)、(ii)の化合物が架橋剤として使用できる。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(ii) エポキシ化合物
これらの架橋剤については以下に詳細に説明する。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と記載する)第0,133,216号、***特許第3,634,671号、同第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合物等に開示されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
更に好ましい例としては、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が挙げられ、中でもN−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
【0378】
(ii) エポキシ化合物としては、一つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号公報、英国特許第1,539,192号公報に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0379】
本発明においては、上記のフェノール誘導体が好ましい。
上記のフェノール誘導体に加え、例えば上述のような他の架橋剤(i)、(ii)を併用することもできる。
上記のフェノール誘導体に加えて併用しうる他の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
【0380】
架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量が3重量%未満であると残膜率が低下し、また、70重量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0381】
〔IX〕(f)有機塩基性化合物
本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
なかでも下記(A)〜(E)で示される構造を含む含窒素塩基性化合物が好ましい。
【0382】
【化161】
【0383】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253 、R254 、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0384】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0385】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0386】
これらの(f)有機塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。(f)有機塩基性化合物のポジ型レジスト組成物中における使用量は、本発明の(a1)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物又は(a1')電子線の照射により酸を発生する化合物に対し、通常、0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%である。
0.01モル%未満ではその添加の効果が得られない。一方、10モル%を超えると感度の低下や非照射部の現像性が悪化する傾向がある。
【0387】
また、(f)有機塩基性化合物のネガ型レジスト組成物中における使用量は、酸発生剤と有機塩基性化合物のネガ型レジスト組成物中の使用割合で示すことができ、酸発生剤と有機塩基性化合物の組成物中の使用割合は、(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)=2.5〜300であることが好ましい。
該モル比が2.5未満では低感度となり、解像力が低下する場合があり、また、300を越えると露光後加熱処理までの経時でレジストパターンの太りが大きくなり、解像力も低下する場合がある。
(酸発生剤)/(有機塩基性化合物)(モル比)は、好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。これら含窒素塩基性化合物の添加は、レジスト膜の引き置き経時安定性(PCD安定性及びPED安定性)を改善する効果がある。
ここで、PCD(Post Coating Delay)安定性とは、基板にレジスト組成物を塗布後、照射装置内あるいは装置外に放置した場合の塗膜安定性であり、また、PED(Post Exposure Delay)安定性とは、照射後に加熱操作を行うまでの間、照射装置内あるいは装置外に放置した場合の塗膜安定性である。
【0388】
〔X〕(g)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のレジスト組成物に使用できる界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好適に用いられ、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することができる。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号、同61-226746号、同61-226745号、同62-170950号、同63-34540号、特開平7-230165号、同8-62834号、同9-54432号、同9-5988号、米国特許5405720号、同5360692号、同5529881号、同5296330号、同5436098号、同5576143号、同5294511号、同5824451号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。本発明には、(g)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を使用することができる。
【0389】
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の界面活性剤を併用することもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、アクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0390】
これらの(g)界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の全組成物の固形分に対し、通常、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上を組み合わせて添加することもできる。これらの界面活性剤の添加により、レジスト膜の面内均一性が増し、解像力が向上する効果がある。
【0391】
〔XI〕本発明に使用されるその他の成分
本発明のレジスト組成物には必要に応じて、更に染料、顔料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させるフェノール性OH基を2個以上有する化合物等を含有させることができる。
【0392】
〔XI〕−1 染料
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0393】
〔XI〕−2 フェノール性OH基を2個以上有する化合物等
本発明で使用できるフェノール性OH基を2個以上有する化合物は、好ましくは分子量1000以下のフェノール化合物である。また、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有することが必要であるが、これが10を越えると、現像ラチチュードの改良効果が失われる。また、フェノ−ル性水酸基と芳香環との比が0.5未満では膜厚依存性が大きく、また、現像ラチチュードが狭くなる傾向がある。この比が1.4を越えると該組成物の安定性が劣化し、高解像力及び良好な膜厚依存性を得るのが困難となって好ましくない。
【0394】
このフェノール化合物の好ましい添加量は、アルカリ可溶性樹脂に対して2〜50重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%である。50重量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0395】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938、特開平2−28531、米国特許第4916210、欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、当業者に於て容易に合成することが出来る。
フェノール化合物の具体例を以下に示すが、本発明で使用できる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0396】
レゾルシン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3′,4′,5′−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、アセトン−ピロガロール縮合樹脂、フロログルコシド、2,4,2′,4′−ビフェニルテトロール、4,4′−チオビス(1,3−ジヒドロキシ)ベンゼン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォキシド、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2,2−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,2−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)ブタン、パラ〔α,α,α′,α′−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)〕−キシレン等を挙げることができる。
【0397】
本発明のレジスト組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用することができる。
本発明において、塗布溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく、これにより、面内均一性に優れるようになる。
【0398】
半導体の更なる進歩を追求していくと本質的なレジストの高解像力等の性能に加え、感度、塗布性、最小塗布必要量、基板との密着性、耐熱性、組成物の保存安定性等の種々の観点より高性能の組成物が要求されている。
最近では、出来上がりのチップの取れる絶対量を増やすため大口径のWaferを使用してデバイスを作成する傾向にある。
しかしながら、大口径に塗布すると、塗布性、特に面内の膜厚均一性の低下が懸念されるため、大口径のWaferに対しての膜厚面内均一性の向上が要求されている。
この均一性を確認することができる手法としてWafer内の多数点で膜厚測定を行い、各々の測定値の標準偏差をとり、その3倍の値で均一性を確認することができる。この値が小さい程面内均一性が高いと言える。値としては、標準偏差の3倍の値が100以下が好ましく、50以下がより好ましい。
【0399】
更に、リソグラフィー用マスク製造においては、CDリニアリティーが最重要視され、ブランクス内の膜厚面内均一性の向上が要求されている。
この均一性を確認することができる手法としてマスクブランクス内の多数点で膜厚測定を行い、各々の測定値の標準偏差をとり、その3倍の値で均一性を確認することができる。この値が小さい程面内均一性が高いと言える。値としては、標準偏差の3倍の値が100以下が好ましく、50以下がより好ましい。
【0400】
本発明のレジスト組成物は、溶剤に溶かした後濾過することができる。そのために使用されるフィルターは、レジスト分野で使用されるものの中から選択され、具体的にはフィルターの材質が、ポリエチレン、ナイロン又はポリスルフォンを含有するものが使用される。
より具体的には、ミリポア社製のマイクロガード、マイクロガードPlus、マイクロガードミニケム−D、マイクロガードミニケム−D PR、ミリポアオブチマイザーDEV/DEV−C、ミリポア オブチマイザー16/14、ポール社製のウルチボアN66、ポジダイン、ナイロンファルコン等が挙げられる。
また、フィルターの孔径については下記の方法により確認したものを使用できる。つまり超純水中にPSL標準粒子(ポリスチレンラテックスビーズ 粒子径0.100μm)を分散させて、チューブポンプにてフィルター1次側に連続的に定流量で流し、チャレンジ濃度をパーティクルカウンターにより測定し、90%以上捕捉できたものを孔径0.1μmフィルターとして使用できる。
【0401】
本発明の電子線又はX線レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して照射し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0402】
本発明のマスクブランクスは、マスク製造用電子線レジスト組成物を塗設されている。具体的には、本発明のマスク製造用電子線レジスト組成物を光リソグラフィー用マスク製造用基板(例:ガラス/酸化クロム被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布し、必要により乾燥し、塗設される。
ここで、乾燥膜厚としては、好ましくは0.1μm〜1.0μmであり、より好ましくは0.2μm〜0.8μmである。本発明のマスクブランクスは、所定のマスクを通して電子線描画装置を用いて照射し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0403】
本発明のレジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
これらの現像液の中で好ましくは第四アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、コリンである。
【0404】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0405】
(1)ポジ型レジスト組成物
〔合成例1:ポリ(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)共重合体の合成〕
常法に基づいて脱水、蒸留精製したp−tert−ブトキシスチレンモノマー35.25g(0.2モル)及びスチレンモノマー5.21g(0.05モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した。窒素気流及び攪拌下、80℃にてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033gを2.5時間置きに3回添加し、最後に更に5時間攪拌を続けることにより、重合反応を行った。反応液をヘキサン1200mlに投入し、白色の樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、テトラヒドロフラン150mlに溶解した。
これに4N塩酸を添加し、6時間加熱還流することにより加水分解させた後、5Lの超純水に再沈し、この樹脂を濾別し、水洗・乾燥させた。更にテトラヒドロフラン200mlに溶解し、5Lの超純水中に激しく攪拌しながら滴下、再沈を行った。この再沈操作を3回繰り返した。得られた樹脂を真空乾燥器中で120℃、12時間乾燥し、ポリ(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)共重合体を得た。
【0406】
〔合成例2:樹脂例(c−21)の合成〕
p−アセトキシスチレン32.4g(0.2モル)及びメタクリル酸t−ブチル7.01g(0.07モル)を酢酸ブチル120mlに溶解し、窒素気流及び攪拌下、80℃にてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033gを2.5時間置きに3回添加し、最後に更に5時間攪拌を続けることにより、重合反応を行った。反応液をヘキサン1200mlに投入し、白色の樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、メタノール200mlに溶解した。
これに水酸化ナトリウム7.7g(0.19モル)/水50mlの水溶液を添加し、1時間加熱還流することにより加水分解させた。その後、水200mlを加えて希釈し、塩酸にて中和し白色の樹脂を析出させた。この樹脂を濾別し、水洗・乾燥させた。更にテトラヒドロフラン200mlに溶解し、5Lの超純水中に激しく攪拌しながら滴下、再沈を行った。この再沈操作を3回繰り返した。得られた樹脂を真空乾燥器中で120℃、12時間乾燥し、ポリ(p−ヒドロキシスチレン/メタクリル酸t−ブチル)共重合体を得た。
【0407】
〔合成3:樹脂例(c−3)の合成〕
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製VP−8000)10gをピリジン50mlに溶解させ、これに室温で撹伴下、二炭酸ジ−t−ブチル3.63gを滴下した。
室温で3時間撹伴した後、イオン交換水1L/濃塩酸20gの溶液に滴下した。析出した粉体をろ過、水洗、乾燥すると、樹脂例(c−3)が得られた。
【0408】
〔合成4:樹脂例(c−33)の合成〕
p−シクロヘキシルフェノール83.1g(0.5モル)を300m1のトル エンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル150g、水酸化ナトリウム25g、テトラブチルアンモニウムブロミド5g、トリエチルアミン60gを加えて120℃で5時間反応させた。反応液を水洗し、過剰のクロエチルビニルエーテルとトルエンを留去し、得られたオイルを減圧蒸留にて精製すると4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエーテルが得られた。
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製VP−8000)20g,4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエ−テル6.5gをTHF80mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。反応液を蒸留水5Lに激しく撹拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥すると樹脂例(c−33)が得られた。
【0409】
樹脂例(c−4)、(c−28)、(c−30)も対応する幹ポリマーとビニルエーテルを用いて、同様の方法により合成した。
【0410】
ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製VP−8000)の代わりに、ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製VP−5000)を用いて同様の操作をし、(c−3)'、(c−33)’、(c−4)’、(c−28)’、(c−30)’を得た。
また、開始剤の量を制御して分子量を6割程度としたポリマー(ポリ(P−ヒドロキシスチレン/スチレン)共重合体(2)、(c−21)’を得た。
【0411】
(溶解阻止剤化合物の合成例−1:化合物例16の合成)
1−[α−メチル−α−(4' −ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α' ,α' −ビス(4" −ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン42.4g(0.10モル)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに溶解し、これに炭酸カリウム49.5g(0.35モル)、及びブロモ酢酸クミルエステル84.8g(0.33モル)を添加した。その後、120℃にて7時間撹拌した。反応混合物をイオン交換水2lに投入し、酢酸にて中和した後、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル抽出液を濃縮、精製し、化合物例16(Rは全て−CH2 COOC(CH3 )2 C6 H5 基)70gを得た。
【0412】
(溶解阻止剤化合物の合成例−2:化合物41の合成)
1,3,3,5−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン44gをN,N−ジメチルアセトアミド250mlに溶解させ、これに炭酸カリウム70.7g、次いでブロモ酢酸t−ブチル90.3gを加え120℃にて7時間撹拌した。反応混合物をイオン交換水2lに投入し、得られた粘稠物を水洗した。これをカラムクロマトグラフィーにて精製すると化合物例41(Rはすべて−CH2 COOC4 H9 (t))が87g得られた。
【0413】
(溶解阻止剤化合物の合成例−3:化合物例43の合成)
α,α,α’,α’,α”,α”,−ヘキサキス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリエチルベンゼン20gをジエチルエーテル400mlに溶解させた。この溶液に窒素雰囲気下で3,4−ジヒドロ−2H−ピラン42.4g、触媒量の塩酸を加え、24時間還流した。反応終了後少量の水酸化ナトリウムを加えた後ろ過した。ろ液を濃縮し、これをカラムクロマトグラフィーにて精製すると化合物例43(RはすべてTHP基)が55.3g得られた。
【0414】
(溶解阻止剤化合物の合成例−4:化合物例43−2の合成)
α,α,α’,α’,α”,α”,−ヘキサキス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリエチルベンゼン20g、N,N−ジメチルアセトアミド200mlに溶解させ、これに炭酸カリウム28.2g、次いでブロモ酢酸ブチル36.0gを加え120℃にて7時間攪拌した。反応生成物をイオン交換水2リットルに投入し、得られた粘稠物を水洗した。これをカラムクロマトグラフィーにて精製すると前記化合物例43−2(Rは、全て−CH2COOC4H9(t))が37g得られた。
【0415】
〔一般式(A)で表される化合物の合成例〕
(合成例−1)前記A−22(ベンゾイルオキシエチルビニルエーテル)の合成安息香酸244g(2mol)を3000mlのトルエンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル320gを加え、更に水酸化ナトリウム88g、テトラブチルアンモニウムブロミド25g、トリエチルアミン100gを加えて、120℃にて5時間加熱攪拌した。
反応液を水洗し、減圧留去にて過剰の2−クロロエチルビニルエーテルとトルエンを除去した。得られたオイル分から、減圧留去により目的物であるベンゾイルオキシエチルビニルエーテルを300g得た。
(合成例−2〜8)前記A−23〜A−29の合成
上記A−22の合成と同様にして、前記A−23〜A−29を合成した。
【0416】
実施例(1)−1〔実施例、比較例〕
(1)レジストの塗設
下記表1に示した成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.2gに溶解させ、これを0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターによりろ過してレジスト溶液を調製した。尚、実施例21の組成物は、溶剤として乳酸エチルを8.2g用いた。
各試料溶液をスピンコーターを利用して、シリコンウエハー上に塗布し、120℃、90秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.5μmのレジスト膜を得た。
【0417】
(2)レジストパターンの作成
このレジスト膜に電子線描画装置(加圧電圧50KV)を用いて照射を行った。
照射後にそれぞれ真空吸着型ホットプレートで(110℃で60秒)加熱を行い、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。得られたコンタクトホールパターン及びラインアンドスペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
【0418】
(3)感度及び解像力の評価
コンタクトホールパターンでの限界解像力(ホールの最小直径)を解像力とし、更にその限界解像力を解像できる最小照射量を感度とした。
また、ラインアンドスペースパターンで0.2μmを1:1で設計寸法に解像する照射量を感度とし、該照射量での解像できる最小サイズを解像度とした。
【0419】
(4)PCDの評価
上記(1)の方法により得られたレジスト膜を電子線描画装置内で高真空下120分間放置したのち、(2)の方法によりレジストパターンを形成した。
(3)の方法により求めた感度(この場合はレジスト膜形成後高真空下120分間放置はなく、直ちに照射)と同一の照射量で解像できる最小のコンタクトホールサイズ(直径)あるいはラインアンドスペースを求める。このサイズと(3)で得られた限界解像力が近い値を示すもの程PCD安定性が良好である。
【0420】
(5)PEDの評価
レジストパターンを形成する際に、照射後、電子線描画装置内で高真空下120分間放置する工程を加える以外は(2)と同様の方法で行った。(3)の方法により求めた感度(この場合は、照射後の高真空下120分間放置する工程はなく、直ちに加熱する)と同一の照射量で解像できる最小のコンタクトホールサイズ(直径)あるいはラインアンドスペースを求める。このサイズと(3)で得られた限界解像力が近い値を示すもの程PED安定性が良好である。
【0421】
【表1】
【0422】
【表2】
【0423】
【表3】
【0424】
【表4】
【0425】
酸発生剤PAG−1は、下記の通りである。
【0426】
【化162】
【0427】
使用したバインダー樹脂の組成、物性等は以下の通りである。
(c−3):p−ヒトロキシスチレン/p−t−ブトキシカルボキシスチレン共重合体(モル比:80/20)、重量平均分子量(Mw)13000、分子量分布(Mw/Mn)1.4
(c−3)’:Mw8000
【0428】
(c−4):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−エトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:70/30)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.3
(c−4)’:Mw7000
【0429】
(c−21):p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体 (モル比:70/30)、Mw16000、分子量分布(Mw/Mn)2.0
(c−21)’:Mw9500
【0430】
(c−22):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−t−ブトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.1
(c−22)’:Mw7000
【0431】
(c−28):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェネチルオキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−28)’:Mw7000
【0432】
(c−30):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェノキシエトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw13000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−30)’:Mw8000
【0433】
(c−33):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−p−シクロヘキシルフェノキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw13000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−33)’:Mw8000
【0434】
(PHS−1):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製、商品名VP−8000)
(PHS−2):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製、商品名VP−5000)
(PHS−3):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(東邦化学(株)製、商品名H−80A)
(PHS−4):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(東邦化学(株)製、商品名H−60A)
【0435】
(PHS/St:合成例1で合成したもの):p−ヒドロキシスチレン/スチレン(モル比:80/20)、Mw26000、分子量分布(Mw/Mn)1.9
(PHS/St2):Mw15600
【0436】
有機塩基性化合物については、以下の通りである。
B−1:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
B−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
B−3:4−ジメチルアミノピリジン
B−4:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
B−5:N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素
【0437】
界面活性剤については、以下の通りである。
W−1:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−2:メガファックF176(大日本インキ(株)製)
W−3:メガファックR08(大日本インキ(株)製)
W−4:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−5:サーフロンS−382(旭硝子(株)製)
【0438】
【表5】
【0439】
【表6】
【0440】
【表7】
【0441】
【表8】
【0442】
表5〜8の結果から、本発明のポジ型レジスト組成物は、高感度、高解像力で、矩形なパターンプロファイルを与え、更にPCD、PED安定性が極めて優れていることが判る。
これらの効果は、(c)カチオン重合性化合物または(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物と有機塩基性化合物を添加することにより得られるものである。更に、酸発生剤として一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物や、一般式(A−1)で表される化合物を用いることにより、なお一層優れた性能を示す。
【0443】
実施例1、8、9、18、19、20、31、38、39、48、49、及び50において、有機塩基性化合物をB−1からそれぞれ、B−2、B−3、B−4、B−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例1、8、9、18、19、20、31、38、39、48、49、及び50において、界面活性剤をW−1からそれぞれW−2、W−3、W−4、W−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
【0444】
実施例1、8、10、12、17、18、19、及び20において、PHS−2をPHS−4に変更して同様に実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例31、38、40、42、47、48、49、50、51、58、60、62、67、68、69、及び70において、PHS−1をPHS−3に変更して同様に実施したところ、同等の性能が得られた。
【0445】
実施例1、8、9、18、19、20、31、38、39、48、49、及び50において、溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=80/20(重量比)に変更して同様に実施したところ、同様な効果が得られた。
【0446】
また、上記表1に記載の成分を上記溶剤に溶解し、その上記実施例1〜21の組成物液を0.1μmのポリエチレン製フィルターで濾過してレジスト溶液を調製した。これらの各レジスト溶液について、下記のように面内均一性を評価した。
【0447】
(面内均一性)
各レジスト溶液を8inchシリコンウエハ上に塗布し、上記のようなレジスト層の塗設同様の処理を行い、面内均一性測定用のレジスト塗布膜を得た。これを大日本スクリーン社製LambdaAにて、塗布膜厚をウエハ直径方向に沿って十字になるように均等に36箇所測定した。各々の測定値の標準偏差をとり、その3倍が50に満たないものを○、50以上のものを×として評価した。その結果、レジスト塗布溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いたもの(実施例1〜20)は面内均一性が○であった。それに対して、レジスト塗布溶剤として乳酸エチル(EL)を用いたもの(実施例21)は面内均一性が×であった。従って、本発明において、レジスト塗布溶剤としてPGMEAを用いることが好ましいことが判る。
【0448】
(6)等倍X線照射によるパターニング
上記実施例20と比較例1と2の各レジスト組成物を夫々用い、上記(1)と同様の方法で膜厚0.40μmのレジスト膜を得た。次いで、等倍X線照射装置(ギャップ値;20nm)を用いた以外は上記(2)と同様にしてパターニングを行い、上記(3)と同様の方法でレジスト性能(感度、解像力、及びパターン形状)を評価した。評価結果を表9に示す。
【0449】
表9
レジスト組成物 感度(mJ/cm2) 解像力(μm) パターン形状
実施例20 75 0.10 矩形
比較例1 185 0.18 テーパー形状、膜べり
比較例2 240 0.17 テーパー形状
【0450】
上記表9より明らかなように、本発明のレジスト組成物がX線照射においても極めて優れた性能を示すことが判る。
【0451】
実施例(1)−2〔実施例、比較例〕
(1)レジストの塗設
下記表10〜13に示した成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.2gに溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過してレジスト溶液を調製した。尚、実施例121の組成物は、溶剤として乳酸エチルを8.2g用いた。
各試料溶液をスピンコーターを利用して、酸化クロム付ガラス基板(6025基板)上に塗布し、100℃、10分間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.5μmのレジスト膜を得た。
【0452】
(2)レジストパターンの作成
このレジスト膜に電子線描画装置(加圧電圧50KV)を用いて照射を行った。
照射後にそれぞれ真空吸着型ホットプレートで(100℃で600秒)加熱を行い、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。
得られたコンタクトホールパターン及びラインアンドスペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
【0453】
(3)感度及び解像力の評価
コンタクトホールパターンでの限界解像力(ホールの最小直径)を解像力とし、更にその限界解像力を解像できる最小照射量を感度とした。
また、ラインアンドスペースパターンで0.2μmを1:1で設計寸法に解像する照射量を感度とし、該照射量での解像できる最小サイズを解像度とした。
【0454】
(4)PCDの評価
上記(1)の方法により得られたレジスト膜を電子線描画装置内で高真空下120分間放置したのち、(2)の方法によりレジストパターンを形成した。
(3)の方法により求めた感度(この場合はレジスト膜形成後高真空下120分間放置はなく、直ちに照射)と同一の照射量で解像できる最小のコンタクトホールサイズ(直径)あるいはラインアンドスペースを求める。このサイズと(3)で得られた限界解像力が近い値を示すもの程PCD安定性が良好である。
【0455】
(5)PEDの評価
レジストパターンを形成する際に、照射後、電子線描画装置内で高真空下120分間放置する工程を加える以外は(2)と同様の方法で行った。(3)の方法により求めた感度(この場合は、照射後の高真空下120分間放置する工程はなく、直ちに加熱する)と同一の照射量で解像できる最小のコンタクトホールサイズ(直径)あるいはラインアンドスペースを求める。このサイズと(3)で得られた限界解像力が近い値を示すもの程PED安定性が良好である。
【0456】
【表9】
【0457】
【表10】
【0458】
【表11】
【0459】
【表12】
【0460】
酸発生剤PAG−1は、下記の通りである。
【0461】
【化163】
【0462】
使用したバインダー樹脂の組成、物性等は以下の通りである。
(c−3):p−ヒトロキシスチレン/p−t−ブトキシカルボキシスチレン共重合体(モル比:80/20)、重量平均分子量(Mw)13000、分子量分布(Mw/Mn)1.4
(c−3)’:Mw8000
【0463】
(c−4):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−エトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:70/30)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.3
(c−4)’:Mw7000
【0464】
(c−21):p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体 (モル比:70/30)、Mw16000、分子量分布(Mw/Mn)2.0
(c−21)’:Mw9500
【0465】
(c−22):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−t−ブトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.1
(c−22)’:Mw7000
【0466】
(c−28):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェネチルオキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw12000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−28)’:Mw7000
【0467】
(c−30):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェノキシエトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw13000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−30)’:Mw8000
【0468】
(c−33):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−p−シクロヘキシルフェノキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、Mw13000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(c−33)’:Mw8000
【0469】
(PHS−1):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製、商品名VP−8000)
(PHS−2):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製、商品名VP−5000)
(PHS−3):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(東邦化学(株)製、商品名H−80A)
(PHS−4):ポリ(P−ヒドロキシスチレン)(東邦化学(株)製、商品名H−60A)
【0470】
(PHS/St:合成例1で合成したもの):p−ヒドロキシスチレン/スチレン(モル比:80/20)、Mw26000、分子量分布(Mw/Mn)1.9
(PHS/St2):Mw15600
【0471】
有機塩基性化合物については、以下の通りである。
B−1:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
B−2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
B−3:4−ジメチルアミノピリジン
B−4:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
B−5:N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素
【0472】
界面活性剤については、以下の通りである。
W−1:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−2:メガファックF176(大日本インキ(株)製)
W−3:メガファックR08(大日本インキ(株)製)
W−4:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−5:サーフロンS−382(旭硝子(株)製)
【0473】
【表13】
【0474】
【表14】
【0475】
【表15】
【0476】
【表16】
【0477】
表14〜17の結果から、本発明のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物は、高感度、高解像力で、矩形なパターンプロファイルを与え、更にPCD、PED安定性が極めて優れていることが判る。
これらの効果は、(c)カチオン重合性化合物または(c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物と有機塩基性化合物を添加することにより得られるものである。更に、酸発生剤として一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物や、一般式(A−1)で表される化合物を用いることにより、なお一層優れた性能を示す。
【0478】
実施例101、108、109、118、119、120、131、138、139、148、149、及び150において、有機塩基性化合物をB−1からそれぞれ、B−2、B−3、B−4、B−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例101、108、109、118、119、120、131、138、139、148、149、及び150において、界面活性剤をW−1からそれぞれW−2、W−3、W−4、W−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
【0479】
実施例101、108、110、112、117、118、119、及び120において、PHS−2をPHS−4に変更して同様に実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例131、138、140、147、148、149、150、151、158、160、162、167、168、169、及び170において、PHS−1をPHS−3に変更して同様に実施したところ、同等の性能が得られた。
【0480】
実施例101、108、109、118、119、120、131、138、139、148、149、及び150において、溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=80/20(重量比)に変更して同様に実施したところ、同様な効果が得られた。
【0481】
また、上記表10に記載の成分を上記溶剤に溶解し、その上記実施例101〜121の組成物液を0.1μmのポリエチレン製フィルターで濾過してレジスト溶液を調製した。これらの各レジスト溶液について、下記のように面内均一性を評価した。
【0482】
(面内均一性)
各レジスト溶液を酸化クロム付ガラス基板(6025基板)上に塗布し、上記のようなレジスト層の塗設同様の処理を行い、面内均一性測定用のレジスト塗布膜を得た。これを大日本スクリーン社製LambdaAにて、塗布膜厚をウエハ直径方向に沿って十字になるように均等に36箇所測定した。各々の測定値の標準偏差をとり、その3倍が50に満たないものを○、50以上のものを×として評価した。その結果、レジスト塗布溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いたもの(実施例101〜120)は面内均一性が○であった。それに対して、レジスト塗布溶剤として乳酸エチル(EL)を用いたもの(実施例121)は面内均一性が×であった。
従って、本発明において、レジスト塗布溶剤としてPGMEAを用いることが好ましいことが判る。
【0483】
(2)ネガ型レジスト組成物
〔構成素材の合成例〕
(1−1)アルカリ可溶性樹脂
1)3−t−ブトキシスチレン17.6gを乾燥THF27gに加えた後、窒素気流下70℃に加熱した。反応温度が安定したところで、和光純薬(株)製アゾ系ラジカル開始剤V−601を前記モノマーの2モル%加え、反応を開始させた。3時間反応させた後、再びV−601を2モル%加え、さらに3時間反応させた。反応混合物をTHFで希釈し、大量のメタノール中に投入し、析出させた。得られたポリマーを常法により塩酸酸性溶液下で分解し、ヘキサン中に析出させ、さらに再沈殿精製を二度繰り返し、減圧下乾燥して(P−1)を得た。THF溶媒GPC測定により、分子量(Mw:ポリスチレン換算)、分子量分散度(Mw/Mn)を求めた。
2)モノマーを変更した以外は、ほぼ同様にして(P−2)〜(P−4)を得た。
【0484】
3)3−t−ブトキシスチレン17.6gを−78℃の脱気乾燥THF中、s−ブチルリチウムを開始剤としてリビングアニオン重合した。3時間の反応の後、脱気したメタノールで反応を終了した。さらに、大量のメタノール中に投入し、析出した粉体をろ過して集め、さら再沈殿精製を2度繰り返し、減圧乾燥して樹脂を得た。常法により塩酸酸性下、t−ブトキシ基を分解して、(P−1’)を得た。
【0485】
4)3,4−ジメトキシスチレン16.4g(0.1mol)、4−t−ブトキシスチレン158.7g(0.9mol)を乾燥THFに溶解し、窒素気流下70℃に加熱し、和光純薬製アゾ系ラジカル開始剤V−601を前記モノマー総モル数の2%加えた。8時間反応させた後、反応液をTHFで希釈し、ヘキサン中で沈殿させ、精製してポリマーを取り出した。常法により酸で分解して(P−5)を得た。GPC測定により、重量平均分子量(Mw)、分子量分散度(Mw/Mn)を決定した。
上記と同様の方法、及び、保護したモノマー(例:4−ベンジルオキシスチレン)を用いてBF3・EtO2によるカチオン重合とを使い分けて(P−5')〜(P−42)を合成した。
3,4−ジメトキシスチレン1.64g(0.01mol)、4−t−ブトキシスチレン15.9g(0.09mol)を乾燥THFに溶解し、封管中−78℃で1mmolのs−ブチルリチウムを用い、ガラスシールを破って反応を開始させた。大量のヘキサン中に沈殿させ粉体を集めて精製した。定法により酸で処理して(P−5''')を得た。
【0486】
(2)酸発生剤
1)ペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の合成
ペンタフロロベンゼンスルホニルクロリド25gを氷冷下メタノール100mlに溶解させ、これに25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液100gをゆっくり加えた。室温で3時間攪拌するとペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液が得られた。この溶液をスルホニウム塩、ヨードニウム塩との塩交換に用いた。
【0487】
2)トリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成
ジフェニルスルホキシド50gをベンゼン800mlに溶解させ、これに塩化アルミニウム200gを加え、24時間還流した。反応液を氷2Lにゆっくりと注ぎ、これに濃塩酸400mlを加えて70℃で10分加熱した。この水溶液を酢酸エチル500mlで洗浄し、ろ過した後にヨウ化アンモニウム200gを水400mlに溶解したものを加えた。析出した粉体をろ取、水洗した後酢酸エチルで洗浄、乾燥するとトリフェニルスルホニウムヨージドが70g得られた。
トリフェニルスルホニウムヨージド30.5gをメタノール1000mlに溶解させ、この溶液に酸化銀19.1gを加え、室温で4時間攪拌した。溶液をろ過し、これに過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液を加えた。反応液を濃縮し、これをジクロロメタン500mlに溶解し、この溶液を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮するとトリフェニルスルホニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(I−1)が得られた。
【0488】
3)ジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネートの合成
t−アミルベンゼン60g、ヨウ素酸カリウム39.5g、無水酢酸81g、ジクロロメタン170mlを混合し、これに氷冷下濃硫酸66.8gをゆっくり滴下した。氷冷下2時間攪拌した後、室温で10時間攪拌した。反応液に氷冷下、水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を炭酸水素ナトリウム、水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウム硫酸塩が得られた。この硫酸塩を、過剰量のペンタフロロベンゼンスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩の溶液に加えた。この溶液に水500mlを加え、これをジクロロメタンで抽出、有機相を5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、および水で洗浄した後濃縮するとジ(4−t−アミルフェニル)ヨードニウムペンタフロロベンゼンスルホネート(III−1)が得られた。
その他の化合物についても上記と同様の方法を用いて合成できる。
【0489】
(3) 架橋剤
架橋剤〔HM−1〕の合成
1−〔α−メチル−α-(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン20g(本州化学工業(株)製Trisp−PA)を10%水酸化カリウム水溶液に加え、撹拌、溶解した。次にこの溶液を撹伴しながら、37%ホルマリン水溶液60mlを室温下で1時間かけて徐々に加えた。さらに室温下で6時間撹伴した後、希硫酸水溶液に投人した。析出物をろ過し、十分水洗した後、メタノール30mlより再結晶することにより、下記構造のヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1]の白色粉末20gを得た。純度は92%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0490】
【化164】
【0491】
架橋剤〔MM−1〕の合成
上記合成例で得られたヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1〕20gを1リットルのメタノールに加え、加熱撹拌し、溶解した。次に、この溶液に濃硫酸1mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム2gをを加えた。この混合物を十分濃縮した後、酢酸エチル300mlを加えた。この溶液を水洗した後、濃縮乾固させることにより、下記構造のメトキシメチル基を有するフェノール誘導体〔MM−1〕の白色固体22gを得た。純度は90%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0492】
【化165】
【0493】
さらに、同様にして以下に示すフェノール誘導体を合成した。
【0494】
【化166】
【0495】
【化167】
【0496】
【化168】
【0497】
実施例(2)−1〔実施例、比較例〕
(1)レジストの塗設
下記表18〜21に示した成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.2gに溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過してレジスト溶液を調製した。尚、実施例(1’)の組成物は、溶剤として乳酸エチルを8.2g用いた。
各試料溶液をスピンコーターを利用して、シリコンウエハー上に塗布し、120℃、90秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.5μmのレジスト膜を得た。
【0498】
【表17】
【0499】
【表18】
【0500】
【表19】
【0501】
【表20】
【0502】
上記表18〜21に示した各成分の詳細を以下に示す。
<樹脂>
【0503】
【化169】
【0504】
【化170】
【0505】
【化171】
【0506】
【化172】
【0507】
【化173】
【0508】
【化174】
【0509】
【化175】
【0510】
【化176】
【0511】
【化177】
【0512】
【化178】
【0513】
【化179】
【0514】
【化180】
【0515】
【0516】
【化181】
【0517】
【化182】
【0518】
(溶剤)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(有機塩基性化合物)
B−1: 2,4,5−トリフェニルイミダゾール
B−2: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
B−3: 4−ジメチルアミノピリジン
B−4: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
B−5: N-シクロヘキシル−N'-モルホリノエチルチオウレア
(界面活性剤)
W−1: トロイゾル S−366(トロイケミカル社製)
W−2: メガファック F−176(大日本インキ化学工業社製)
W−3: メガファック R08(大日本インキ化学工業社製)
W−4: ポリシロキサンポリマー KP−341(信越化学工業社製)
W−5: サーフロン S−382(旭硝子社製)
【0519】
(2)レジストパターンの作成
このレジスト膜に電子線描画装置(加速電圧50KeV)を用いて照射を行った。照射後にそれぞれ110℃の真空吸着型ホットプレートで60秒間加熱を行い、2.38重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
(3)感度は、0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の最小照射量を感度とし、その照射量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。0.20μmライン(ライン:スペース=1:1)が解像しないものついては限界の解像力を解像力とし、その時の照射量を感度とした。
【0520】
PCD、PED安定性の評価は次のように行った。
上記(1)の方法で塗設されたレジスト膜を電子線描画装置内で120分放置した後、(2)の方法によりレジストパターンを形成した。(3)の方法により求めた最小照射量(この場合は、レジスト膜形成後、直ちに照射)と同一の照射量で解像できる最小のパターンサイズを求め、このサイズと(3)で得られた限界解像力との差が3%以内であるものをPCD安定性合格とした。
また、レジストパターンを形成する際に、照射後、電子線描画装置内で120分放置する工程を加える以外は(2)と同様の方法で実施した。(3)の方法により求めた最小照射量(この場合は、レジスト膜形成後、直ちに照射)と同一の照射量で解像できる最小のパターンサイズを求め、このサイズと(3)で得られた限界解像力との差が3%以内であるものをPED安定性合格とした。
そして、PCD安定性及びPED安定性ともに合格のレジストを◎、
PCD安定性及びPED安定性の一方のみが合格のレジストを○、
PCD安定性及びPED安定性ともに不合格のレジストを×、と評価した。
表18〜21のレジストの性能評価結果を、それぞれ、表22〜25に示した。
【0521】
【表21】
【0522】
【表22】
【0523】
【表23】
【0524】
【表24】
【0525】
〔評価結果の説明〕
表22〜25の結果は、本発明に係る含窒素化合物、アルカリ可溶性樹脂、架橋剤と酸発生剤を用いたレジスト組成物が、本発明以外の組成物〔比較例201〜203〕よりも高感度、高解像力で且つ矩形なプロファイルを示し、PCD、PED安定性も向上し、優れた性能を有することを示している。
また、実施例205、209、225、228、258、262、278、281において、単分散のアルカリ可溶性樹脂を用いると、更に感度が著しく向上することが判る。
【0526】
尚、実施例201及び254において、有機塩基性化合物をB−1から、それぞれ、B−2、B−3、B−4、B−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例201及び254において界面活性剤をW−1から、それぞれW−2、W−3、W−4、W−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
さらに、実施例201及び254において、溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルに変更し、同様に実施したところ、同様の結果が得られた。
【0527】
実施例201及び254において、含窒素化合物を(Ia−12)から、それぞれ、(Ia−1)〜(Ia−11)に変更して評価したところ、同様の結果が観察された。
【0528】
[実施例4]
実施例201及び254の各レジスト溶液を8インチシリコンウエハ上に、上記と同様に塗布、処理を行い、面内均一性測定用のレジスト塗布膜を得た。これを大日本スクリーン社製 Lambda A にて、塗布膜厚をウエハ直径方向にそって十字になるように均等に36カ所測定した。 測定値の標準偏差をとり、その3倍が50に満たないものを○、50以上のものを×として評価した。
結果は、すべて、○であった。一方、実施例1’では×であった。
【0529】
[実施例5]<等倍X線露光によるパターニング>
上記実施例201、比較例201と202の各レジスト組成物を夫々用い、上記実施例201におけるのと同様の方法で膜厚0.40μmのレジスト膜を得た。次いで、等倍X線露光装置(ギャップ値;20nm)を用いた以外は上記実施例201と同様にしてパターニングを行い、上記実施例201と同様の方法でレジスト性能(感度、解像力、及びパターン形状)を評価した。評価結果を表26に示す。
【0530】
表26
レジスト組成物 感度(mJ/cm2) 解像力(μm) パターン形状
実施例201 90 0.09 矩形
比較例201 180 0.20 テーパー形状
比較例202 210 0.18 テーパー形状
【0531】
上記表26より明らかなように、本発明のレジスト組成物がX線露光においても極めて優れた性能を示すことが判る。
【0532】
実施例(2)−2〔実施例、比較例〕
(1)レジストの塗設
下記表27〜30に示した成分をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.2gに溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過してレジスト溶液を調製した。尚、実施例(401’)の組成物は、溶剤として乳酸エチルを8.2g用いた。
各試料溶液をスピンコーターを利用して、酸化クロム付ガラス基板(6025基板)上に塗布し、100℃、10分間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚0.5μmのレジスト膜を得た。
【0533】
【表25】
【0534】
【表26】
【0535】
【表27】
【0536】
【表28】
【0537】
上記表27〜30に示した各成分は、前記実施例(2)−1におけるものと同様である。
【0538】
(2)レジストパターンの作成
このレジスト膜を前記実施例(2)−1と同様の方法でレジストパターンを作成し、得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡により観察した。
感度、解像力、PCD安定性及びPED安定性を前記実施例(2)−1と同様な方法により評価した。
表27〜30のレジストの性能評価結果を、それぞれ、表31〜34に示した。
【0539】
【表29】
【0540】
【表30】
【0541】
【表31】
【0542】
【表32】
【0543】
〔評価結果の説明〕
表31〜34の結果は、本発明に係る含窒素化合物、アルカリ可溶性樹脂、架橋剤と酸発生剤を用いたレジスト組成物が、本発明以外の組成物〔比較例401〜403〕よりも高感度、高解像力で且つ矩形なプロファイルを示し、PCD、PED安定性も向上し、優れた性能を有することを示している。
また、実施例405、409、425、428、458、462、478、481において、単分散のアルカリ可溶性樹脂を用いると、更に感度が著しく向上することが判る。
【0544】
尚、実施例401及び454において、有機塩基性化合物をB−1から、それぞれ、B−2、B−3、B−4、B−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
また、実施例401及び454において界面活性剤をW−1から、それぞれW−2、W−3、W−4、W−5に変更して実施したところ、同等の性能が得られた。
さらに、実施例401及び454において、溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルに変更し、同様に実施したところ、同様の結果が得られた。
【0545】
実施例401及び454において、含窒素化合物を(Ia−12)から、それぞれ、(Ia−1)〜(Ia−11)に変更して評価したところ、同様の結果が観察された。
【0546】
[実施例4]
実施例401及び454の各レジスト溶液を酸化クロム付ガラス基板(6025基板)上に、上記と同様に塗布、処理を行い、面内均一性測定用のレジスト塗布膜を得た。これを大日本スクリーン社製 Lambda A にて、塗布膜厚をウエハ直径方向にそって十字になるように均等に36カ所測定した。 測定値の標準偏差をとり、その3倍が50に満たないものを○、50以上のものを×として評価した。
結果は、すべて、○であった。一方、実施例401’では×であった。
【0547】
【発明の効果】
本発明の電子線又はX線レジスト組成物により、高感度、高解像力であり、矩形状の優れたパターンプロファイルを与えることができ、しかもPCD、PEDの安定性及び塗布性が優れた電子線又はX線レジスト組成物を提供することができる。
また、本発明のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物により、フォトマスクの酸化クロムのような、酸触媒に対して反応性の高い被膜上で、レジストパターンの形状が低下する問題を解決して、高感度、高解像力を有し、矩形状の優れたパターンプロファイルを与えることができ、しかもPCD、PED安定性に優れ、更に塗布性(面内均一性)に優れたマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物を提供することができる。
Claims (31)
- (c)カチオン重合性の機能を有する化合物を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
- (c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型電子線又はX線レジスト組成物。
- (c)カチオン重合性の機能を有する化合物を更に含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
- (c')ビニル化合物、シクロアルカン化合物、環状エーテル化合物、ラクトン化合物、アルデヒド化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のマスク製造用ポジ型電子線レジスト組成物。
- 請求項7〜12のいずれかに記載のポジ型レジスト組成物を塗設したマスクブランクス。
- 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、重量平均分子量が3,000を超え、300,000以下であって、下記条件(a1)および(b1)を満たすアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の電子線用及び/又はX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
(a1)炭素数6以上20以下の芳香環及び該芳香環に直接あるいは連結基を介して結合したエチレン性不飽和基を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも一種有すること。
(b1)該芳香環のπ電子と芳香環上の置換基の非共有電子対の電子数の間に次の関係が成り立つこと。
- 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、以下の一般式(3)〜(7)で表される繰り返し単位の少なくとも一つを構成成分として有することを特徴とする請求項19記載の電子線またはX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
- (a2)電子線又はX線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表わされる化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の電子線またはX線用化学増幅系ネガ型レジスト組成物。
X-はスルホン酸のアニオンである。〕 - 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、重量平均分子量が3,000を超え、300,000以下であって、下記条件(a1)および(b1)を満たすアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする請求項22〜25のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
(a1)炭素数6以上20以下の芳香環及び該芳香環に直接あるいは連結基を介して結合したエチレン性不飽和基を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を少なくとも一種有すること。
(b1)該芳香環のπ電子と芳香環上の置換基の非共有電子対の電子数の間に次の関係が成り立つこと。
- 前記(h)のアルカリ可溶性樹脂が、以下の一般式(3)〜(7)で表される繰り返し単位の少なくとも一つを構成成分として有することを特徴とする請求項27記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
- (a2')電子線の照射により酸を発生する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表わされる化合物のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項22〜28のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物。
X-はスルホン酸のアニオンである。〕 - 請求項22〜29のいずれかに記載のマスク製造用電子線ネガ型レジスト組成物を塗設したマスクブランクス。
- 請求項13又は30に記載のマスクブランクスに電子線又はX線を照射し、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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