JP4105402B2 - 感熱性平版印刷版及び平版印刷版用基板の製造方法 - Google Patents

感熱性平版印刷版及び平版印刷版用基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱性平版印刷版、特に加熱により画像形成を行う感熱性平版印刷版に関する。具体的にはより低エネルギーあるいは短時間のレーザー照射により画像形成が可能な感熱性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱性平版印刷版はその感熱層中に近赤外のレーザー光を吸収し熱に変換する光熱変換材料を含有し、レーザー照射部分が加熱されることによってアルカリに対する溶解性を高めたり、あるいは熱硬化させて画像を形成し、現像処理することによって非画像部部分を溶解除去することにより印刷画像を得るものである。
このような系において感度とはレーザー照射エネルギーの絶対値だけではなく1)いかに光エネルギーを効率よく熱に変換するか、2)またその熱によりいかに効率よく感熱層の温度を上げるかという二つの点も重要な因子となる。
前者については光熱変換材料の開発や反射層や層構成の観点からの検討が種々なされている。
後者は金属支持体の場合、感熱層で発生した熱が拡散しやすく温度上昇につながらないことが問題であり、熱拡散を抑制する観点から、以下に示す断熱層や低熱伝導率の支持体といった技術が検討されている。
【0003】
特開平11−65105号公報では陽極酸化皮膜上に皮膜量として0.001〜10mg/m2以下のポリビニルホスホン酸からなる断熱層が提案されている。
また特開平10−39496号公報では支持体の熱伝導度を規定し、より低い伝導性のポリエチレンテレフタレートや更に伝導性の低い発泡ポリエチレンテレフタレートなどを使う方法が提案されている。ポリエチレンテレフタレートを支持体として用いた感熱性平版印刷版は既に市販されている。
さらにアルミニウム支持体上に断熱性支持体層としてポリエチレンテレフタレートを貼り合わせた複合支持体も提案されやはり市販されている。しかしながらこのような有機素材を用いる場合、従来のアルミニウム支持体を使ったPS版と同様の刷り易さを得ることは非常に困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、主に金属支持体への熱拡散を抑制する断熱層や断熱材料の支持体といった技術は多く提案されてきたが、必要なレーザーエネルギーが小さくて済み、書き込み時間の短縮を求める市場の要請に未だ十分に応えていないのが、現状である。
従って、本発明の目的は、上記従来における問題を解決することであり、すなわち、アルミニウム支持体への熱の拡散が抑制でき、より低エネルギーのレーザー照射によって画像形成が可能であり、傷つきにくさ及び耐刷性を向上させた感熱性平版印刷版及び平版印刷版用基板の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記に鑑みて如何に画像形成層内部での熱の拡散を抑制するかについて鋭意検討した結果、支持体上に設けた感熱層(画像形成層ともいう)の下層に位置する親水性層(中間層)中に独立した空孔を含有せしめることにより、熱の拡散を抑制し低いレーザー照射エネルギーで画像を形成できることを見出し、更にこの中間層の硬度を支持体金属の硬度より高くすることにより、従来の陽極酸化皮膜同様の傷つきにくさ(耐キズ性)及び耐刷性を得ることが出来ることを見いだし、本発明を完成した。すなわち本発明は以下の通りである。
【0006】
(1)アルミニウム支持体上に、独立した気孔を含み且つアルミニウムより硬度が高い親水性層と、光を熱に変換しその熱で現像液に対する溶解性を変化させる感熱層とを、順に有することを特徴とする感熱性平版印刷版。
(2)前記親水性層が中空粒子を含有し、その中空粒子が独立した気孔を形成することを特徴とする前記(1)に記載の感熱性平版印刷版。
(3)前記感熱層上に保護層を設けたことを特徴とする前記(1)〜(2)に記載の感熱性平版印刷版。
(4)前記独立した気孔を含む親水性層がアルミの酸化物及び又は水和物を主として含有することを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の感熱性平版印刷版。
(5)アルミニウム支持体上に、中空粒子をバインダーと共に塗布し、次いで、前記アルミニウム支持体の表面の溶解を伴う処理を施すことにより、前記中空粒子間に反応生成物を堆積させ、充填することにより粒子を支持体表面に固定した親水性層を設けることを特徴とする平版印刷版用基板の製造方法。
【0007】
本発明の感熱性平版印刷版において用いられる粒子は粒子自身が有機素材よりも更に断熱性の効果が期待できる気相(空気)を内包する中空粒子であることが特徴であり、更にこの中空粒子を含む親水性層(中間層)の硬度を支持体金属の硬度より高くすることを最大の特徴とする。
本発明の感熱性平版印刷版は支持体上に設けた親水性層(中間層)、内部に空隙を有しかつポリマーが高度に架橋された中空状のポリマー微粒子等を含有させることにより、熱の拡散を抑制し、光熱変換により発生した熱が効率的に画像形成に利用される。これにより必要なレーザーエネルギーが小さくて済み、書き込み時間の短縮が可能となる。同時に低出力の安価なレーザーが使えるようになりシステムのコストを低減でき、さらに従来の陽極酸化皮膜同様の傷つきにくさ(耐キズ性)及び耐刷性の優れた平版印刷版を得ることが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を構成する要素について詳述する。
図1は、本発明の平版印刷版用基板5(支持体1上に、親水性層3を有する構成を基板という)とそれを用いた感熱性平版印刷版の一例の層構成を示す断面図であり、本発明の平版印刷版用基板5はアルミニウム支持体1の表面に内部に空隙を有する中空状の微粒子2を含むアルミニウムの水和物又は酸化物が充填された親水性層3を有する。
平版印刷版用基板5上に示される層は平版印刷版用基板5上に形成された感熱層(画像形成層)4である。
【0009】
[親水性層(断熱層)]
本発明の最大の特徴である親水性層(断熱層ともいう)について説明する。
この層の目的は入射光が変換されることで発生した熱の金属支持体への拡散を抑制し、感熱層(画像形成層)の到達温度を高めることにある。と同時に印刷時には画像を保持する層として、また非画像部として傷を付きにくくするために適度な硬さを有する必要がある。また従来のPS版と同様の刷り易さを実現する必要がある。
本発明における硬度についての意味合いを明らかにする。従来公知のPS版表面は高い硬度を有するアルミナからなる陽極酸化皮膜が付与されている。高い硬度を有するこの皮膜は印刷機上におけるインク付けローラあるいはブランケットによる摩耗に対して高い耐久性を有する。
また非画像部における傷つきにくさ(耐キズ性)の向上にも寄与する。非画像部の汚れを機上で取り除くためにヒッキーピッカーと呼ばれる装置が用いられるが、この非画像部強度が低いとアルミニウム地肌が露出し親水性が不足してしまう。
アルミニウム支持体よりも硬度が低いと力を加えた場合、印刷時に画像特に網部がつぶれてしまい、調子再現性が変わってしまう。また積載した際に積載の下部の印刷版は同じ問題が発生することになる。
【0010】
そこで少なくとも本発明に置いては親水性層の硬度が金属支持体よりも高く、望ましくはダイナミック硬度で30以上が望ましい。更に望ましくは現状のPS版と同じダイナミック硬度で40以上を有していることが望ましい。
本発明例における硬度は下記の方法で測定及び規定される。
島津製作所製DUH-201(ダイナミック硬度計)を用いた。差動トランスを用いて圧子の試料への侵入量(押し込み深さ:D、μm)を測定し、試料にどれだけ深く侵入したかを測定してその侵入量Dから下記式を用いて得られるダイナミック硬さ(DH)を指標として用いている。
DH=α(P/D2)
ここでPは試験荷重(mN)であり、αは圧子形状による定数(ビッカース圧子を用いた場合3.8584)である。
この指標で示される硬さは圧子を押し込んでいく過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さであり試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料特性を示すものと考えられる。
【0011】
本発明で測定すべき対象となる親水性層(断熱層)および後述の感熱層(画像形成層)の厚みは約1ミクロン程度であり、負荷速度0.2〜0.4mN/sec、最大荷重(試験荷重)10mNで実際に測定を行ったところ、10mNで押し込み深さはちょうど1μm程度になった。
試験荷重をさらに増加すると押し込み深さが急激に増加する。この現象は断熱層が破壊しアルミ素地へ圧子が侵入していることを意味しており、皮膜の硬度が測定できていない。
【0012】
このように高い硬度を有する皮膜を設ける方法として硬膜化可能なバインダーを塗布することによっても出来るが、従来より広く金属表面の改質に用いられている化成処理を用いることもできる。スパッタ、CVDなどのような気相反応法を用いる硬質化の方法もあるが本発明の様に気孔を含有させた厚い皮膜を作るには適していない。
一方この親水性層は独立した気孔を有することで高い断熱性を付与される。独立していない気孔である表面を有する場合にも断熱性は付与可能であるが、実際に印刷する場合には孔径の大きな気孔はインキあるいは有機成分を孔内に取り込んでしまい汚れの原因となる可能性が高くなる。
独立した気孔を親水性層内に設ける方法としては発泡性素材を添加して加熱発泡させる方法なども用いることが出来る。
【0013】
(中空微粒子)
本発明の親水性層の独立した気孔を保持させる特徴的構成要素である中空粒子について説明する。中空粒子としては以下のものが使用できるが、勿論これらに限るものではない。
無機質の中空粒子としては、シラスバルーンと呼ばれるシリカ系無機微粒子が九州工業試験所で開発されている。これはシラスなどのガラス質火山砕屑物を焼成発泡させたもので主成分はアルミノ珪酸塩ガラスからなり、数十μmの中空粒子が得られているがさらに袖山らの研究により平均粒径が10μm以下の中空粒子も製造可能となっている。このような粒子はセメントの軽量骨材や塗料のフィラー、軽量耐火建材として用いられており、シラックスウ、三機化工建機、昭和鉱業、清新産業などから市販されている。
この粒子単独では剪断力に対して弱いため使えないが本発明で示すような硬質の反応生成物で粒子間を充填することで使用可能となる。しかしながら塗膜中に含有させるにはサイズが大きすぎること、ガラス質であり親水的であるために画像層内へ添加した場合に着肉を低下させる恐れのあること、せん断力に対して弱く壊れやすいことなどの点で樹脂層への添加剤としては望ましくない。
【0014】
またこのような中空粒子はシリカ系に限らず酸化チタンでも同様の中空粒子が得られることが報告されている。特開平10−236818号公報に記載されている珪素化合物及びアルミニウム化合物溶液を急速混合し副生成した塩を除去後水熱合成して得られる1−10nmの非常に微細な中空粒子も存在する。また0.05−0.1μm程度の酸化亜鉛の中空状粒子も特開平7−328421号公報で報告されている。
【0015】
有機質の中空粒子については材料技術Vol.11,No.3,1993に詳細な記載がある。本発明においてはその製法を限定するものではないが一般的な製法としてエマルジョン重合、乳化重合、ガス発泡タイプの懸濁重合などが知られており、大日本インキ、三井東圧、日本ゼオン、JSRなどより製品を入手することができる。塗工紙用有機顔料、樹脂の軽量化、白濁化剤などの用途で用いられている。
【0016】
本発明の感熱性平版印刷版において、用いられるポリマー粒子は粒子自身がもっとも断熱性の効果が期待できる気相(空気)を内包する中空微粒子であることを特徴とする。
本発明の感熱性平版印刷版において、露光時にはレーザー照射により部分的に加熱されるが、その際この中空粒子が溶解してしまっては断熱への寄与は得られない。従って、本発明に用いる中空粒子は耐溶剤性、耐熱性に優れるものが望ましい。無機粒子の場合はシリカあるいは酸化チタンはいずれもその材質として上記の要求を容易に満足できる。これに対して有機ポリマー樹脂製の粒子の場合、この要求を満たすには粒子のシェル(膜)の架橋度が高いことが望ましく、具体的にシェルの架橋度を規定することはできないが耐熱性を指標とし、熱分解温度が300℃以上であれば上記の要求をほぼ満たすと考えられる。
【0017】
中空でない粒子(ポリスチレンラテックス、シリコーン樹脂、マイクロゲルなど)もアルミニウム金属に比べれば熱伝導率が低く熱拡散抑制の点で若干の効果は示すものの内部に気相に含む中空粒子の効果は非常に顕著であり、中空であることが本発明を特徴づけるものである。
【0018】
本発明の感熱性平版印刷版の親水性層に用いられる中空微粒子の外径に対する内径の比率は50〜99%の範囲が好ましい。
50%未満では空隙として十分な断熱効果をあげることができない、また、99%以上であると粒子自体の強度が維持しがたく破壊して空隙を維持できなくなり、不適である。
また、本発明の感熱性平版印刷版の親水性層に用いられる中空微粒子の粒径は0.01〜50μmの範囲であり、好ましくは0.1〜5μmである。より好ましくは0.1〜1μmである。
特にポリマー微粒子を使用した場合は非画像部の親水性を損なうことも予想される。その場合には表面の修飾によりポリマー表面に親水性を付与することがより好ましい。
【0019】
上記の中空粒子はアルミニウム支持体上に、バインダーと共に塗布し、前記アルミニウム支持体の表面の溶解を伴う処理を施すことにより、中空粒子間に反応生成物を堆積させ充填することにより粒子を支持体表面に固定した親水性層を設ける。
適切なバインダーとしては親水性を付与する目的も含め高分子量化したポリビニルアルールなどの親水性樹脂を用いることができる。
【0020】
(親水性層の形成▲1▼:中空微粒子を含む層の形成〕
前記内部に空隙を有する中空状の微粒子を独立気孔として含む層をアルミニウム板又はアルミニウム合金板支持体の表面に設ける方法について述べる。
中空状の粒子を水又は溶媒に分散させてスピンコート、バーコート等の手法を用いて塗布乾燥させる。支持体表面に接着させる目的でバインダーとなる水溶性樹脂例えばPVA(ポリビニルアルコール)を加えても良いがその量は塗布液中の濃度として0.5%以下にするのが望ましい。濃度が高くなると基板表面が樹脂で被覆されてしまうため後述するアルミニウム表面の反応生成物生成速度の低下を招く。
【0021】
(親水性層の形成▲2▼:中空微粒子を含む層にアルミニウムと処理液との反応生成物による中空微粒子間の充填及び固定方法〕
次に前記親水性層▲1▼にアルミニウムの水和物及び酸化物を生成させ、充填し、親水性層の硬度を向上させる方法について述べる。
アルミニウムの表面に水和物及び酸化物を設ける方法は種々考えられるが従来公知の化成皮膜を設ける方法を用いることができる。水和酸化物皮膜を設ける方法としてはベーマイト処理があげられる。アルミニウムが高温の水と反応して擬ベーマイト質の水和酸化皮膜を生成する反応を用いたものであり、90℃から100℃の脱イオン水のpHを7−12に調整し、アルミニウムを浸漬することによって生成することができる。耐食性を向上させるためには後処理として加圧蒸気処理を行う。
この他にもリチウム塩−ケイ酸塩処理、Lime−Coating、LiNO3を含むアルカリ浴による処理、耐食性の高い処理として提案されているMg2+、HCO3 2-、SO4 2-等からなる浴で処理される「海水ベーマイト」処理なども利用することができる。
【0022】
また酸化物皮膜を設ける方法としてはアルカリクロム酸塩系の処理として、NaCO3、NaCrO2浴を用いたMBV法や水ガラスを浴に加えたEW法などが適用可能である。
上記のような化成処理皮膜は生成時に体積膨張を伴うが、予め塗布した粒子の間隙を通して反応が進行するために、粒子は表面から除去されることなく、粒子の間隙から皮膜が成長していることを観察できた。
後述のアルミニウム支持体の処理に用いられる陽極酸化処理についてはこの水和物、酸化物を設けた後に行っても良い。その条件は既述のものと何ら変わることは無く実施可能である。また水和物や酸化物と電解液との組み合わせによっては表面形状を滑らかにする効果も期待できる。
【0023】
〔感熱層〕
次に本発明の感熱性平版印刷版の感熱層(画像形成層)について述べる。
本発明により特に顕著な効果が得られるのは熱により画像形成される組成物である。感熱層は従来公知の組成物を適宜用いることができる。例えば特開平9−222737号公報、特開平9−90610号公報、特開平9−87245号公報、特開平9−43845号公報、特開平7−306528号公報等が挙げられる。
【0024】
代表的な具体例としてポジ型の感熱性組成物としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂を用いることができる。例えば、特開平7−285275号公報において、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物質(光熱変換剤)と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等を添加した画像形成材料が提案されている。これらの画像形成材料では、画像部ではオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像を形成する。
【0025】
またUS5632204に開示されているような赤外線を吸収しアブレーションするような金属薄膜を画像形成層として用いることも可能である。このような系の場合には基本的には液体の現像処理が不要なシステムとなる。このように独立した現像処理を必要としない無処理刷版用画像形成層としては特開平11−95421、特開平11−84658、特開平11−30867、特開平11−65106、特開平10−282672、特開平10−221842等の各号公報に記載の画像形成層を設けてもかまわない。
【0026】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの平版印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。
【0027】
このような機上現像に適した平版印刷版用原版は、感光層(感熱層)が露光またはデジタル信号に基づいた走査露光により画像が形成でき、露光部または非露光部のいずれかが湿し水やインキ溶剤に可溶となり、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
本発明の感熱性平版印刷版の印刷機上で現像可能な感熱層としては、疎水性ポリマー粒子、該疎水性ポリマー粒子のポリマーと反応可能な基を有する親水性樹脂および光熱変換物質を含有する組成物により形成した感熱層が好ましい。
例えば、日本特許2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷版用原版が開示されている。この公報には、該平版印刷版用原版において、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像できることが記載されている。
また、特開平9-127683号公報およびWO99−10186号公報にも熱可塑性微粒子を熱による合体後、機上現像により印刷版を作製することが記載されている。
【0028】
(疎水性ポリマー粒子)
ここで疎水性ポリマー粒子とは熱により少なくとも部分的に融着するポリマー粒子であり、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、分散重合法、溶剤蒸発法、懸濁重合法、コアセルベーション法、界面重合法、スプレードライ法等の公知の合成法で調整できるポリマー粒子が適用できる。構造的にはマイクロカプセル、コアシェル構造、多孔質構造、異形粒子等も適用できる。
特に、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、溶剤蒸発法等で調整され、水中で分散された粒子が、感材作製のしやすさ、熱融着性、機上現像性などの点で好ましい。
【0029】
疎水性ポリマーとしては粒子化可能な公知の熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーが使用できる。ポリマーの分子量は3000〜100万のものが好ましい。
本発明に好適な熱可塑性微粒子ポリマーとしては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報およびEP931647号公報などに記載の熱可塑性微粒子ポリマーを好適なものとして挙げることができる。具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーのホモポリマーまたはコポリマーあるいはそれらの混合物を挙げることができる。
【0030】
また、本発明の中空粒子を含有する親水性層の上に下記の組成物よりなる非感熱性の画像形成層を設け印刷版としてもかまわない。
例えばアクリル樹脂又はウレタン樹脂とジアゾ樹脂とからなるネガ型感光性平版印刷版用の画像形成層としては特開平10−20506、特開平6−5984、特開平8−254825、特開平7−281425、特開平7−295212、特開平5−197137等の各号公報が挙げられる。またクレゾールノボラック樹脂又はフェノール樹脂とジアゾ化合物からなるポジ型感光性平版印刷版用の画像形成層としては特開平7−120039、120040、120041、特開平11−65109、特開平11−84674、特開平10−282645、特開平8−146596等が挙げられる。またフォトポリマータイプのネガ型光重合性画像形成層としては特開平8−320551、特開平10−237118、特開平10−161317、特開平10−282679、特開平11−65109、特開平10−282682、特開平10−161317等の各号公報が挙げられる。
上記のような感熱層が画像部になる場合には支持体表面が非画像部になることが望ましく、その場合には中空粒子含有層を形成するバインダーは水溶性バインダーあるいは親水性バインダーであることが望ましい。
【0031】
〔保護層〕
本発明の感熱性平版印刷版においては、必要に応じて感熱層の上に保護層を設けてもよい。保護層成分としては、ポリビニルアルコールや通常の感光性画像形成材料に用いられるマット材料等が挙げられる。
また、本発明の中空粒子含有下塗り層の上に下記の組成物よりなる非感熱性の画像形成層を設けて印刷版としてもかまわない。
例えば、アクリル樹脂又はウレタン樹脂とジアゾ樹脂とからなるネガ型感光性平版印刷版用の画像形成層としては特開平10−20506号公報、特開平6−5984号公報、特開平8−254825号公報、特開平7−281425号公報、特開平7−295212号公報、特開平5−197137号公報等が挙げられる。またクレゾールノボラック樹脂又はフェノール樹脂とジアゾ化合物からなるポジ型感光性平版印刷版用の画像形成層としては特開平7−120039号公報、特開平7−120040号公報、特開平7−120041号公報、特開平11−65109号公報、特開平11−84674号公報、特開平10−282645号公報、特開平8−146596号公報等が挙げられる。またフォトポリマータイプのネガ型光重合性画像形成層としては特開平8−320551号公報、特開平10−237118号公報、特開平10−161317号公報、特開平10−282679号公報、特開平11−65109号公報、特開平10−282682号公報、特開平10−161317号公報等が挙げられる。
【0032】
〔支持体〕
次に本発明の平版印刷版用基板の支持体について述べる。
本発明の感熱性平版印刷版の上記感熱層(画像形成層)を塗布すべき基板の支持体は、寸度的に安定であり、これ迄印刷版の支持体として広く使用されているアルミニウムを用いる。アルミニウムは機械的粗面化、電気化学的粗面化、陽極酸化などにより表面に所望の形状を形成することにより、画像の密着性や非画像部の汚れ性を制御することが可能である点で非常に優れた支持体である。また反応性の高いその表面を利用して種々の化成処理を行うことも可能である。
【0033】
アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウムを用いた基板は画像形成装置や印刷機にセットする際にそれらの円筒面上に忠実にフィットするたわみ性を有し、且つ取扱時に折れや曲げが入りにくい程度の剛性を有している。また寸法安定性がよく、比較的安価である。
このアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0034】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、特開昭56−28893に開示されているような種々の方法により行うことが可能であるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0035】
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、親水性層(中間層)を設ける化成処理を行うが、それに先立って陽極酸化処理を行っても構わない。所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
【0036】
前述した方法により親水性層(中間層)を形成した後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるかまたは電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0037】
また、支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ましい。
【0038】
上記のような親水性層(中空粒子含有層)、感熱層(画像形成層)および支持体の各要素を組み合わせることにより作製された本発明の感熱性平版印刷版は、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施されたり、あるいは、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーまたは半導体レーザーにより画像露光される。金属薄膜のような無処理印刷版型感熱層の場合には露光後なんの処理もせずに印刷に供する事ができる。
【0039】
感熱層(画像形成層)が現像を必要とする場合は、感熱記録後またはレーザー照射後に水現像される。本発明の感熱性平版印刷版の現像液および補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0040】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液および補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤があげられる。更に現像液および補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
【0041】
上記現像液および補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感熱性平版印刷版を使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。
また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0042】
本発明の画像形成材料を感熱性平版印刷版として使用する場合について説明する。画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷機に版を装着し印刷を行う、あるいは、感熱記録後またはレーザー照射後ただちに印刷機に版を装着し印刷を行っても良いが、ともに感熱記録後またはレーザー照射後に加熱処理を行うことが好ましい。
【0043】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、勿論本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔基板の作製〕
(アルミニウム支持体:S−1)
厚み0.24mmのアルミニウム板(材質1050)の表面をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いて砂目立てした後、よく水で洗浄した。10重量%水酸化ナトリウム溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後流水で水洗後、20重量%HNO3水溶液で中和洗浄し、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で200C/dm2の陽極時電気量で電解粗面化を行った。その表面粗さを測定したところ0.55μm(Ra表示)であった。引き続いて30重量%H2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、20重量%H2SO4水溶液中で電流密度14A/dm2、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当になるよう陽極酸化し水洗して基板Aを作製した。この支持体の表面粗さはRa=0.52μmであった。
【0044】
(アルミニウム支持体:S−2)
アルミニウム支持体S−1と同じ条件で電解粗面化まで行った後、引き続いて30重量%H2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットして基板S−2を作成した。
【0045】
〔中空粒子含有親水性層の作成方法〕
中空粒子としてはシラスバルーン及びJSR社製ポリマー微粒子SX866を用いた。シラスバルーンは平均粒径が約10μmで外壁の厚みが0.5〜1μm中空率は60〜70%である。ポリマー微粒子SX866は架橋スチレン−アクリルポリマーからなり、白色の微粉末で一次粒子系が0.3μm、内径が0.2μmのサイズを有しその空隙率は20%である。
これらの各中空微粒子を下記の処方の液中に分散させ中空粒子含有親水性層塗布液L−1およびL−2を調製した。
比較例用としては中空微粒子の変わりにダウケミカル社製ポリスチレンラテックス(平均系0.23μm)の非中空粒子を同じ割合で添加して親水性層塗布液L−0を調製した。
【0046】
<1.PVA−Type>
(中空粒子含有親水性層塗布液、L−1)
中空微粒子 1.0g
(シラスバルーン)
PVA(ポリビニルアルコール) 0.2g
メチルエチルケトン 10g
水 90g
【0047】
(中空粒子含有親水性層塗布液、L−2)
中空微粒子 1.0g
(JSR製中空微粒子、SX866)
PVA(ポリビニルアルコール) 0.2g
メチルエチルケトン 10g
水 90g
【0048】
<2.Alumina-SolGel-Type>
下記方法にてアルミナゾルゲル塗布液、SGLを調製した。
下記に示す処方の溶液を2時間攪拌混合したのち、200gのメタノールを加えて6倍に希釈してSGL液とした。
【0049】
(アルミナゾルゲル塗布液、SGL)
アルミニウムイソプロポキシ 20g
トルエン 40g
アセチルアセトン 10g
【0050】
上記処方の液をSG−0、このSGL液20gに0.5gの中空微粒子を加えたものをSG−1とした。それぞれの液を支持体上に塗布し、150℃、10分間乾燥してアルミナゾルゲルを主とする親水性層(中空粒子含有層)を作成した。
【0051】
<3.水和アルミナ-Type及びReversion-Film-Type>
(水和物及び酸化物層による親水性層の形成)
下記の処方にて中空粒子下塗り液を作成し支持体S−1に塗布した。
【0052】
(中空粒子下塗り液)
中空微粒子 1.0g
(シラスバルーンまたはJSR製中空微粒子、SX866)
PVA(ポリビニルアルコール) 1.0g
メチルエチルケトン 10g
水 90g
【0053】
LiNO3水溶液(2g/リットル)をアンモニア水でpH11.2になるように調整し、上記中空粒子層を設けた支持体を45℃、60秒浸漬した後水洗し水和物層を形成した。
支持体S−2を用いた場合には、上記処理後100℃に熱した純水中に10分間浸漬し、水和物層の結晶化を更に進め親水性層を変性させることにより、Reversion-Film層(酸化物層)とした。
【0054】
〔感熱層(画像形成層)の作成〕
<微粒子状ポリマーの合成>
(微粒子状ポリマーの合成(1))
グリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレート13.0g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液(濃度9.8×10-3mol/リットル)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol/リットル)10ml添加する。この際硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3mol/リットル)を加え、pH1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0055】
(微粒子状ポリマーの合成(2))
微粒子状ポリマーの合成(1)のグリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレート13.0gをアリルメタクリレート7.5g、スチレン7.5gに変更した以外は全く同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0056】
(微粒子状ポリマーの合成(3))(比較例用、反応基を持たない)
微粒子状ポリマーの合成(1)のグリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレート13.0gをスチレン15gに変更した以外は全く同様にして重合させた。このようにして得られた液の固形分濃度は9.0%であり、平均粒径は0.3μmであった。
【0057】
(感熱層の塗布)
上記のように作製した支持体上に設けた親水性層1(PVA−Type)、2(Silica-SolGel-Type)、3(水和アルミナ-Type及びReversion-Film-Type)上に、合成例(1)〜(3)の熱融着性の微粒子状ポリマーを含有する下記A、Bの2種類の感熱層(画像形成層)組成よりなる塗布液を作成し、感熱層の塗布を行った。
【0058】
(感熱層塗布液A)
水 100g
合成した微粒子状ポリマー(1)、(2)、(3) 5g
(固形分換算で)
ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
(重量平均分子量25000)
赤外線吸収染料(I−32、下記化合物) 0.3g
【0059】
【化1】
Figure 0004105402
【0060】
上記の感熱層塗布液をバー塗布した後、オーブンで80度120秒の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m2であった。
【0061】
(感熱層塗布液B)
カブリン酸 0.03g
特定の共重合体(下記参照) 0.75g
(フェノール系水酸基を有する樹脂、スルホンアミド基を有するモノマー、活性イミノ基を有するモノマーのうち少なくとも一つを共重合成分として10モル%以上含む共重合体)
m,p−クレゾールノボラック 0.25 g
シアニン染料A 0.017g
p−トルエンスルホン酸 0.003g
テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g
ビクトリアピュアブルー 0.017g
(BOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料)
フッ素系界面活性剤 0.05 g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
γ−ブチルラクトン 10 g
メチルエチルケトン 10 g
1−メトキシ−2−プロパノール 1 g
【0062】
(上記共重合体の作成方法の例)
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9)。
【0063】
次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.021モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。
反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
【0064】
上記の感熱層塗布液Bをバー塗布した後、オーブンで100度60秒の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m2であった。
【0065】
〔実施例1〜8、比較例1〜9〕
上記で得られた支持体(S−1、S−2)上に、中空粒子層、中空粒子含有アルミナゾルゲル層および水和物または酸化物層を設けた親水性層(1、2、3)を有する基体上に画像形成層(感熱層)A、Bを表1に示すように組み合わせて実施例及び比較例に該当する感熱性平版印刷版を作製した。
【0066】
〔平版印刷版の性能評価〕
表1に示す内容で作製した感熱性平版印刷版について、下記の基準により性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0067】
(感度)
水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VFSにて、外面ドラム回転数、及び出力を変えることで版面エネルギーを50,100、150mJ/cm2と変えて、解像度2400dpiの条件で露光した後、感熱層が[A]の場合には水で現像し、感熱層が[B]の場合にはアルカリ現像液DP-4で現像処理後、印刷機ハイデルSOR‐Mのシリンダーに取付け、湿し水を供給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し5000枚印刷を行った。そして5000枚目の印刷物上で0.2%網点の再現の程度を目視評価し、50mJ/cm2で画像が出来ているものを◎、100mJ/cm2で出来ているものを○、150mJ/cm2で出来てるものを×と評価した。
【0068】
(汚れ性)
印刷機ハイデルSOR‐Mのシリンダーに取付け、湿し水を供給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し5000枚印刷を行った。その際の非画像部の汚れを目視評価した。
(耐刷性)
ハイデルベルク社製のハイデルKOR-D機で上質紙に印刷した。5000枚印刷毎にクリーナー液(富士写真フイルム(株)製:「プレートクリーナーCL2」)で版面を拭きながら印刷した。
ここで、最終印刷枚数は、感熱性平版印刷版の感熱層が膜減りを起こし部分的にインキがつかなくなる、いわゆる版飛びを起こすまでの枚数として評価した。いずれの感熱層の場合も比較例6の版材の耐刷枚数を100%として相対指数で耐刷性を評価した。
【0069】
(傷つきにくさ)
HEIDON製引っ掻き試験器にて荷重10,20,30,40,50,60gをくわえたサファイヤ針をもちいて非画像部(気孔を含む第2層)に直線上のキズをつけた。この印刷版を印刷機ハイデルSOR‐Mのシリンダーに取付け、湿し水を供給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し5000枚印刷を行い、汚れとなったキズの荷重をもって傷つきにくさの指標とした。即ち数字が大きい方が傷つきにくさに優れるプレートを示すことになる。
【0070】
【表1】
Figure 0004105402
【0071】
(表1の註)
印刷性能(汚れ、傷つきにくさ)の評価
感度の評価基準は上記参照
◎ :極めて良好
○ :良好
△ :やや不良
× :極めて不良
【0072】
表1より明らかなように、本発明に係る各実施例の感熱性平版印刷版はいずれも感度が高く、5000枚目の印刷物非画像部には汚れがなく、耐刷性および傷つきにくさも満足すべき結果を得た。一方、各比較例の感熱性平版印刷版は上記評価のいずれかにおいて十分でなく満足すべき結果が得られなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の感熱性平版印刷版は、熱の拡散を抑制し、光熱変換により発生した熱が効率的に画像形成に利用される。これにより必要なレーザーエネルギーが小さくて済み、書き込み時間の短縮が可能となる。同時に低出力の安価なレーザーが使えるようになりシステムのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱性平版印刷版の一例の層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム支持体
2 中空微粒子(独立した気孔)
3 アルミニウム支持体より高い硬度を有する親水性層
4 感熱層(画像形成層)
5 平版印刷版用基板

Claims (5)

  1. アルミニウム支持体上に、独立した気孔を含み、且つアルミニウムより硬度が高い親水性層と、光を熱に変換しその熱で現像液に対する溶解性を変化させる感熱層とを、順に有することを特徴とする感熱性平版印刷版。
  2. 前記親水性層が中空粒子を含有し、その中空粒子が独立した気孔を形成することを特徴とする請求項1に記載の感熱性平版印刷版。
  3. 前記感熱層上に保護層を設けたことを特徴とする請求項1〜2に記載の感熱性平版印刷版。
  4. 前記独立した気孔を含む親水性層がアルミの酸化物及び又は水和物を主として含有することを特徴とする請求項1〜3に記載の感熱性平版印刷版。
  5. アルミニウム支持体上に、中空粒子をバインダーと共に塗布し、次いで、前記アルミニウム支持体の表面の溶解を伴う処理を施すことにより、前記中空粒子間に反応生成物を堆積させ、充填することにより粒子を支持体表面に固定した親水性層を設けることを特徴とする平版印刷版用基板の製造方法。
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