JP4105221B2 - 中継伝送機器および中継伝送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有線網や無線網上で固定端末や移動端末が接続されるネットワークシステムにおいてデータを中継して伝送する中継伝送装置に関する。
複数の端末(送信端末と受信端末を含む)および中継機器が、互いに接続されているネットワークにおいて、送信端末から中継機器を経由して受信端末までデータを送信すると、「輻輳」が発生し、伝送誤り(データの損失)や、データを受信するまでの時間の遅延などが起こる。
データ送信時に、送信端末と受信端末との間を中継する中継機器は、接続された送信端末(または中継機器)から送信されたデータを、次の転送先(受信端末または中継機器)ごとに有するバッファに一旦保存してから、次の転送先に送信する。「輻輳」とは、例えば、バッファの容量を超えたデータが送信されて、バッファからデータがあふれて、データの損失や次の転送先に送信するまでの時間の遅延が発生することである。すなわち、「輻輳」とは、伝送パケットが1ヶ所に集中し混雑することで、データの損失やデータ伝送の遅延が生じることである。
アクセスポイントを必要としない、無線(例えば、無線LAN(Local Area Network)、UWB(Ultra Wide Band))で接続が可能な複数の端末(例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話機など)のみで構成されたアドホックネットワーク(一般に、マルチホップネットワーク、メッシュネットワークとも呼ばれる)の環境下と、有線のみで構成されたネットワーク、または、有線および無線とで構成されたネットワークの環境下を比較する。アドホックネットワークの環境下では、全ての端末と中継機器との間が無線で接続されていることにより、送信端末と中継機器との間、中継機器と中継機器との間、中継機器と受信端末との間における伝送が不安定になりやすく、「輻輳」によるデータの損失や時間遅延が起こりやすい。
このようなアドホックネットワークの環境下で、「輻輳」を引き起こす要因として、複数のバッファ間で2種類のパケット残量の偏りが発生することが挙げられる。
1つは、同一の中継機器内において、転送先ごとに用意された複数のバッファ間で生じるパケット残量の偏りであり、複数のトラフィック間でロスや遅延に偏りが発生してしまう原因となる。
もう1つは、同一の伝送経路上にある中継機器のバッファ間で生じるパケット残量の偏りであり、伝送経路上で輻輳する中継機器が発生する原因となる。
同一の中継機器内でのバッファ残量の偏りを低減し、トラフィック間での遅延やロスを抑制する方法として、非特許文献1では、無線LANや携帯電話網などの無線網と有線網とが相互に接続される網において、伝送路上での伝送誤り率の変動によるQoS(Quality of Service)の劣化を緩和するために、有線網と無線網を相互接続するゲートウェイにおいて無線リンクの伝送誤り率に応じて、映像配信、音声通話またはデータ通信などの各サービスにおける送信のプライオリティ(優先権)を変更するスケジューリング制御が行われている。
また、各中継機器間のバッファ残量の偏りを低減することで、中継機器で発生する輻輳を抑制する方法として、各中継機器が自律的に、自局や、近隣の中継機器の負荷状態に基づいて、無線ネットワークにおいて、ネットワークの混み具合に応じて、転送先ノード毎、あるいは宛先までの通信フロー毎にリソースを自律分散的に制御する方法が提案されている。
具体的には、特許文献1では、この課題に対して、自律分散的な無線通信ネットワークを構成する無線ブリッジが開示されている。当該無線ブリッジは、自局の負荷を検出する負荷検出部と、検出された負荷情報を他の無線ブリッジと交換してネットワーク上で転送負荷が集中しているノードを判定する高負荷ノード判定部と、受信したパケットの次の転送先ノードを判定する転送先判別部と、高負荷ノード判別部による判別結果に基づいて転送先ノード毎にリソースの割り振りを制御するリソース割当制御部とを備える。この構成により、無線ネットワークにおいて、ネットワークの混み具合に応じて、転送先ノード毎、あるいは宛先までの通信フロー毎にリソースを自律分散的に制御する。
しかし、各中継機器が自らのリソースを最大限に確保しようとする戦略(自分最適化)であるため、中継機器間でリソース割当の際に競合が発生する。
また、自律分散的に動作する複数のノードが、互いに協調してリソースの割り振りを制御する方法として、特許文献2、非特許文献2に示す方式が提案されている。
特許文献2では、パン・チルト・ズーム制御により撮影領域(複数のカメラで共有するリソース)の調整が可能な複数のカメラに対して、撮影時の歪が起こらないように自らのカメラの真下を撮影しようとする自分最適化制御に加え、複数のカメラにより、死角が発生しないように監視エリア全体を撮影するための全体最適化制御を各カメラに対して同時に実行する。システム全体として自らのカメラの真下の撮影と監視エリアの全体撮影という2つの目的を最大限達成できるように、監視エリアに対する複数カメラの撮影領域の割当について、最適制御を行う。なお、各カメラにおいて相反する制御である自分最適化制御と全体最適化制御とが両立するように各制御の比率は、カメラ設置時に、部屋の広さ、カメラの台数、カメラの性能を加味して試行錯誤的に事前に決定していた。
また、非特許文献2では、複数の交差点での車の渋滞を緩和する方法として、各交差点において信号待ちの車を減らすために、交差点での行き先ごとの車の交通量に応じて信号機の切り替えタイミングを調整する自分最適化制御と、隣接する交差点において車が停車することなく走行できるように信号機の切り替えるタイミングを調整する全体最適化制御とが行われている。
なお、各信号機において自分最適化制御と全体最適化制御が両立するように各制御の比率は、交差点の数や配置、交差点間の距離を加味して事前に決定していた。
また、複数のアクセスポイントを持つ無線マルチホップネットワークにおいて、端末がデータを送信するためのアクセスポイント(通信相手)を選択する方法として非特許文献3に示す方式が提案されている。
非特許文献3では、複数のアクセスポイントを相互に無線で接続したマルチホップ無線LANにおいて、各アクセスポイントに接続している端末の数、受信電界強度、伝送誤り率に基づいて、端末が自律的にアクセスポイントを選択する方法が提案されている。
特開2005−303828号公報 特許第3903062号 各務,「Assured Serviceのための無線スケジューリング手法」,電子情報通信学会技術研究報告.CQ2000−11,Vol.100,No.93(2000),pp.65−70 杉,「グラフ上の反応拡散方程式による交通信号網の自律分散型制御」,計測自動制御学会,Vol.39,No.1,2003年1月 大藪,「マルチホップ無線LANにおけるアクセスポイント選択手法の提案と評価」,電子情報通信学会技術研究報告,IN2005−207,pp.299−304
アドホックネットワークにおいて遅延やロスの原因となる複数バッファ間で発生する2種類のパケット残量の偏りを低減する方法については、特許文献1では、各中継機器において独立して行われる自分最適化制御である。このため、各中継機器が自らのリソースを最大限に確保しようとするため、中継機器間でリソース割当の競合が発生するという課題がある。
従来手法では、トラフィックの行き先を区別せずに、シングルバッファで予め定めたネットワークの運用ポリシーに基づき割り当てられた帯域になるように、バッファの送出量を制御していた。しかし、行き先の異なるトラフィックを同一のバッファで送出量を制御するため、トラフィック間の干渉により、トラフィックの遅延やゆらぎが発生しやすくなり、輻輳発生の原因となっていた。
また、帯域の有効利用のためにトラフィックの種別毎に、各トラフィックの流量に応じた帯域の貸し借りができるCBQ(Class-Based Queuing)が提案されている。しかし、CBQでは、自中継機器と近隣の中継機器の輻輳状態を同時に加味せず、中継機器内の複数のバッファ間の伝送帯域を制御していたため、トラフィックの遅延やゆらぎが発生しやすくなり、輻輳発生の原因となっていた。
このように、アドホックネットワークで発声する輻輳の原因として、行き先を区別しながら、自中継機器と近隣の中継機器の輻輳状態を加味して、自中継機器の伝送帯域の割り当てを行なわないため、トラフィック間の干渉や伝送路の物理帯域等のゆらぎにより中継機器間でのバッファのバラつきが発生し、輻輳が発生しやすくなると分析した。
このような輻輳の原因となるバラつきには、中継機器内の複数のバッファ間でのデータ残量のバラつきと、伝送経路上の中継機器間でのバッファ残量のバラつきに分類できると考えた。
このため、安定した高品質伝送を実現するためには、両方のバラつきを同時に抑制する必要がある。
以上の考察から、ネットワークシステム内の全中継機器の輻輳を抑制するために、行き先を区別しながら自中継機器の残留バッファ量と隣接の中継機器の残留バッファ量を加味して、上記の2種類のバラつきを抑制するように行き先毎の伝送帯域の割り当て比率を動的に決定する具体的な実現方法が必要である。
また、特許文献2、非特許文献2では、ネットワーク以外の分野(カメラ制御、信号機制御)において自分最適化制御だけではなく、全体最適化制御を取り入れることで、機器間でのリソース割当ての競合を解消する方法が提案されている。
自分最適化制御と全体最適化制御を分散システムへ適用する場合、自分最適化制御と全体最適化制御をどのように設計するかが課題となる。死角のないカメラ撮影制御と、ネットワーク制御への適用を比較した場合、対象とする課題が全く異なるため、解決アプローチが異なり、自分最適化制御、全体最適化制御も全く異なる。
ネットワークに類似する従来研究としては、交通渋滞解消のシステムがある。ネットワーク制御では、交通渋滞解消を目的とした信号機制御に比べて、伝送するパケットのロス、パケット再送や伝送路の物理的な伝送帯域が変化するため、交通渋滞解消のシステムに比べて、中継機器に残留するパケット量は様々に変化する。このため、交通渋滞解消のシステムをネットワークへ適用する場合、交通渋滞解消のシステムで実現されている、個々の車の停車時間(遅延)を小さくなるように信号機の切替えタイミングを制御する方法を、単純に車をパケットに置き換えて、個々のパケットの送信のタイミングを制御する方法として実現しても、輻輳を回避することは難しい。
これは、交通渋滞解消のシステムに比べて、伝送するパケットのロス、パケット再送や伝送路の物理的な伝送帯域が変化し、個々のパケットの残留時間が異なるため、パケットの残留時間で制御するのが難しいためである。
特許文献2、非特許文献2では、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を経験から設計時点で事前に固定的に決めている。このため、機器を取り巻く環境が動的に変化し続ける場合、機器間でのリソース割当ての競合解消において環境変化への追随性の面で課題がある。
このため、ネットワークのように、送信するフロー数や伝送誤り率の変化など、環境変化への追随性が高く求められる用途に対して、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を動的に決定するバランス制御の具体的な実現方法が必要とされている。
また、従来のネットワーク分野における各端末の通信相手の決定では、接続先の状態にのみ基づいて端末側で一方的に通信相手や、通信頻度を決定しており、端末自身が接続することによる通信相手側での影響を加味していない。このため、互いの負荷(例えば、バッファの込み具合)や性能(例えば、バッファの物理サイズや最大伝送速度)の差異が大きい相手を通信相手に選んだ場合には、急激な負荷の発生により通信が破綻するという課題がある。このため、端末間で互いの負荷や性能差を加味した通信相手、および通信頻度の具体的な決定方法が必要とされている。
さらに、カメラ制御、信号機制御における全体最適化制御では、協調相手(通信相手)の選択、および協調相手との通信頻度についても設計時点で事前に固定的に決めていたため、機器の増減や、機器の配置の変化など、システム構成の変化に対する適応性の面で課題がある。
このため、ネットワークのように、端末の増減や機器の配置の変化など、システム構成の変化に対する高い適応性を実現できる全体最適化制御のための協調相手(通信相手)、および協調相手との通信頻度の決定方法が必要とされている。
また、中継機器の性能が異なる場合についての自分最適化制御と全体最適化制御の制御方法の実現方法についても検討されていなかった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ネットワーク環境が変化した場合や、通信相手となる中継機器の性能が変化した場合であっても、アドホックネットワークで発生する輻輳を抑えることが可能となり、高品質伝送を実現することができる中継伝送機器を提供することを目的とする。
本発明に係る中継伝送機器は、複数の中継機器を経由して、送信端末から受信端末に、データを送信する中継伝送機器であって、データの送信先となる中継機器毎に用意され、前記データを一時的に保持する複数の送信バッファと、前記複数の中継機器の中から前記中継伝送機器と協調する中継機器である協調中継機器を決定する協調相手決定部と、前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器との間で、送信バッファに保持されているデータの残量を含む情報を交換する送信流量情報管理部と、前記複数の送信バッファの各々の残量が均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する自分最適化流量制御部と、前記複数の送信バッファの残量と前記協調中継機器が有する送信バッファの残量とが均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する全体最適化流量制御部と、前記自分最適化流量制御部により決定されるデータ量を重み付けするための自分最適化係数と、前記全体最適化流量制御部により決定されるデータ量を重み付けするための全体最適化係数とを、前記協調中継機器毎に記憶している最適化係数記憶部と、前記協調中継機器毎に、前記自分最適化流量制御部で決定されるデータ量を前記自分最適化係数に基づいて重み付けした値と前記全体最適化流量制御部で決定されるデータ量を前記全体最適化係数に基づいて重み付けした値とを合計し、合計値で示されるデータ量のデータを、前記協調中継機器に送信する送信バッファ管理部とを備えることを特徴とする。
この構成によると、自分最適化係数と全体最適化係数とに基づいて、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を変更することができる。このため、ネットワークのように送信するフロー数や伝送誤り率の変化など、環境変化への追随性が高く求められる用途に対して、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を変化させることができる。よって、ネットワーク環境が変化した場合や、通信相手となる中継機器の性能が変化した場合であっても、アドホックネットワークで発生する輻輳を抑えることが可能となり、高品質伝送を実現することができる。
好ましくは、前記中継伝送機器は、さらに、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器への伝送帯域割り当ての競合による輻輳に対する影響の度合いと前記協調中継機器への伝送帯域割り当ての競合による輻輳に対する影響の度合いとを比較し、前記中継伝送機器への影響の度合いが前記協調中継機器への影響の度合いよりも大きい場合には、前記自分最適化係数を大きくするとともに前記全体最適化係数を小さくし、前記協調中継機器への影響の度合いが前記中継伝送機器への影響の度合いよりも大きい場合には、前記全体最適化係数を大きくするとともに前記自分最適化係数を小さくするバランス調整部を備えることを特徴とする。
この構成によると、中継伝送機器への影響の度合いと協調中継機器への影響の度合いとに応じて自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を動的に変更することができる。このため、ネットワークのように送信するフロー数や伝送誤り率の変化など、環境変化への追随性が高く求められる用途に対して、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を動的に決定することができる。よって、ネットワーク環境が変化した場合や、通信相手となる中継機器の性能が変化した場合であっても、アドホックネットワークで発生する輻輳を抑えることが可能となり、高品質伝送を実現することができる。
好ましくは、前記バランス調整部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より大きい場合には、前記自分最適化係数を大きくするとともに前記全体最適化係数を小さくし、前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より小さい場合には、前記自分最適化係数を小さくするとともに前記全体最適化係数を大きくすることを特徴とする。
前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より大きい場合には、中継伝送機器の方がよりひどい輻輳状態にあると判断することができる。このため、自分最適化係数を大きくし、全体最適化係数を小さくすることにより、中継伝送機器の輻輳状態を優先的に解消することができる。一方、前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より小さい場合には、協調中継機器の方がひどい輻輳状態にあると判断することができる。このため、全体最適化係数を大きくし、自分最適化係数を小さくすることにより、協調伝送機器の輻輳状態を優先的に解消することができる。
さらに好ましくは、前記自分最適化流量制御部は、前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器に対応する送信バッファの残量と前記複数の送信バッファの残量の平均値とを比較し、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記複数の送信バッファの残量の平均値より大きい場合には、前記協調中継機器へ送信するデータの量を増加させ、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記複数の送信バッファの残量の平均値より小さい場合には、前記協調中継機器へ送信するデータの量を減少させることを特徴とする。
中継伝送機器内の各送信バッファのバッファ残量が同じ値となるようにデータの送信量が調整される。このため、各転送先に送信されるデータフローの品質(遅延やロス率)を均一に近づけることができる。
さらに好ましくは、前記全体最適化流量制御部は、すべての前記協調中継機器が有する送信バッファの残量の平均値を算出し、前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器に対応する送信バッファの残量と前記平均値とを比較し、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記平均値よりも大きい場合には、当該協調中継機器へ送信するデータの量を増加させ、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記平均値よりも小さい場合には、当該協調中継機器へ送信するデータの量を減少させることを特徴とする。
このように、中継伝送機器のバッファ残量と、協調相手となる協調中継機器の平均バッファ残量とが等しくなるようにデータ送信量を制御することにより、送信元から送信先までの経路上の一部の中継機器においてバッファの混雑発生の抑制が行われる。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合には、前記協調中継機器が含まれる、前記中継伝送機器から前記協調中継機器までのホップ数を増加させ、前記中継伝送機器から増加させた後のホップ数以内の距離にある中継機器を前記協調中継機器とすることを特徴とする。
中継伝送機器における送信バッファの残量が多い場合には、中継伝送機器において輻輳が発生しているため、ホップ数を増加させることにより、協調中継機器の範囲を広くすることができる。協調中継機器の範囲を広くすることにより、輻輳を解消しやすくすることができる。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、さらに、前記中継伝送機器から増加させた後のホップ数以内の距離にある中継機器のうち、当該中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも大きい前記中継機器を協調中継機器から除外することを特徴とする。
上記ホップ数以内の中継機器であっても、バッファ残量が多い中継機器との間では、輻輳を解消するのが困難である。このため、そのような中継機器は協調中継機器から除外する。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、送信バッファの残量が所定のしきい値よりも小さい中継機器を協調中継機器とし、前記所定のしきい値は、前記送信バッファの残量の所定時間内における中央値または最頻値であることを特徴とする。
バッファ残量の時間的な変動が大きい中継機器は協調中継機器として選択しない。これにより、バッファ残量の変動の大きい他の中継機器に合わせて伝送量を調整することで中継伝送機器自身の伝送量制御が大きく変動してしまい、伝送品質(ロス率、遅延時間、ジッター)が低下することを防ぐことができる。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、物理サイズが大きい送信バッファを有する中継機器を優先的に協調中継機器とすることを特徴とする。
バッファサイズの大きい中継機器を優先的に協調相手に選び伝送量を制御することにより、協調中継機器の送信バッファ内のバッファ残量をバッファサイズの大きい中継機器に対して、より多く引き継ぐことができるため、迅速にバッファの混雑を抑制することができる。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、AirTimeメトリックス、伝送誤り率、前方誤り訂正強度、再送回数、再送時間および収容端末数のうちの少なくとも1つ以上が前記中継伝送機器よりも高い中継機器を前記協調中継機器より除外することを特徴とする。
または、前記協調相手決定部は、受信電界強度が前記中継伝送機器よりも小さい中継機器を協調中継機器より除外することを特徴とする。
これにより、障害のあるネットワークを早期に切り離して、安定したネットワーク上での伝送を実現することができる。
さらに好ましくは、前記協調相手決定部は、前記中継伝送機器の最大伝送速度との最大伝送速度の差の絶対値が所定のしきい値以上の中継機器を前記協調中継機器より除外することを特徴とする。
中継機器と中継伝送機器との間で最大伝送速度の格差が著しく大きい場合には、最大伝送速度が低い機器側において輻輳が発生しやすくなる。そのような中継機器を協調相手からはずすことにより、中継機器と中継伝送機器との間での最適化制御が破綻することを回避することができる。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合に、前記情報を交換する頻度を増大させることを特徴とする。
協調中継機器において負荷状態が高い場合は、なるべく早く負荷を低減させるために、高い頻度で協調のための情報を交換する。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きく、かつ前記協調中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも小さい場合に、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させることを特徴とする。
協調中継機器の負荷状態が低い場合には、中継伝送機器の負荷の低減効果の期待ができるため、協調のための情報交換の頻度を高くする。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合に、前記情報を交換する頻度を増大させ、前記第1のしきい値は、前記複数の送信バッファの残量の第1の時間内における中央値または最頻値であることを特徴とする。
中継伝送機器での負荷の変動幅が高い場合、急激な負荷変動に追随できるようにするために、高い頻度で協調のための情報を交換する。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きく、かつ前記協調中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも小さい場合に、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させ、前記第2のしきい値は、前記協調中継機器が有する送信バッファの第2の時間内における中央値または最頻値であることを特徴とする。
協調相手の負荷の変動幅が低い場合、中継伝送機器において安定した制御が期待できるため、協調のための情報交換の頻度を高くする。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの物理サイズが前記協調中継機器が有する送信バッファの物理サイズよりも大きい場合には、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させることを特徴とする。
中継機器に送られてくるデータ量が変動する場合、バッファの物理サイズが大きい中継機器よりも、バッファの物理サイズの小さい中継機器の方が、バッファ内でのデータ占有率の変動幅が大きくなる。このため、中継伝送機器内の複数の送信バッファの物理サイズが協調中継機器の送信バッファの物理サイズよりも小さい場合には、中継伝送機器内の複数の送信バッファ内のデータ占有率の変動が、協調中継機器のそれ対して相対的に大きくなるため、協調中継機器への情報の通信頻度を増やす。これにより、協調中継機器はバッファの物理サイズの小さい中継伝送機器に対して、バッファ内のバッファ残量の変動に対する追随性の高い伝送量制御が可能となる。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記中継伝送機器からのホップ数が大きい協調中継機器ほど、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を高くすることを特徴とする。
これにより、全体最適化のための情報交換を中継する中継機器が多くなっても(協調中継機器までの距離が遠くなっても)、中継時の処理負荷遅延の影響やパケットロス発生による影響など中継機器間の接続関係や状態の変化による影響を抑えることができる。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器の最大伝送速度が前記協調中継機器の最大伝送速度よりも小さい場合に、当該中継伝送機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させることを特徴とする。
中継伝送機器の最大伝送速度が協調中継機器の最大伝送速度よりも小さい場合には、中継伝送機器のバッファ残量が協調中継機器のバッファ残量よりも多くなりやすい。このため、協調中継機器との間の情報の通信頻度を増やす。これにより、協調中継機器はバッファの最大伝送速度の小さい中継伝送機器に対して、バッファ残量の変動に対する追随性の高い伝送量制御が可能となる。
さらに好ましくは、前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器と前記協調中継機器とが相互にデータの送信を行なう場合には、前記中継伝送機器の最大伝送速度と前記協調中継機器の最大伝送速度との差の絶対値が所定のしきい値よりも大きい場合に、当該中継伝送機器との間で前記情報を交換する頻度を減少させることを特徴とする。
中継伝送機器の最大伝送速度と協調中継機器の最大伝送速度の差が著しく大きい場合には、バッファ残量の均一化のための伝送量制御の影響が双方で大きく異なるため、最適化制御が破綻する可能性がある。このため最大伝送速度の差異が小さい協調中継機器との全体最適化制御を優先させるために、最大伝送速度の差が著しく大きい協調中継機器への情報の通信頻度を少なくする。
なお、本発明は、このような特徴的な手段を備える中継伝送機器として実現することができるだけでなく、中継伝送機器に含まれる特徴的な手段をステップとする中継伝送方法として実現したり、中継伝送方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
本発明の中継伝送機器によれば、各中継機器内での転送先毎に用意された複数バッファ間で生じるパケット残量の均一化(自分最適化)と中継伝送機器間での同一の伝送経路上にある中継機器のバッファ間で生じるパケット残量の均一化(全体最適化)の視点に立った中継伝送機器のバッファ制御により、中継機器内における複数バッファ間で発生する伝送帯域確保のための競合、および中継伝送機器間で発生する伝送帯域確保のための競合を解消する。これにより、アドホックネットワークで発生する輻輳を抑えることが可能となり、高品質伝送を実現することができる。
具体的には、中継機器でのバッファからパケットが溢れることによるパケットロスが少なくなり、各トラフィックのスループットが向上し、伝送遅延とジッターとを小さく抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1を用いて、本発明において対象としているネットワークの構成を説明する。
複数の端末(図1では、カメラノード)が、無線網で、中継機器と接続されている。無線アドホックネットワークにより、各中継機器間ではネットワークが構築され、有線網側の監視端末PCと相互接続されている。この監視端末PCと接続されている中継機器、つまり、無線網と有線網とを相互接続している中継機器をゲートウェイと呼ぶ。ゲートウェイは、複数あってもよいし、なくてもよい。また中継機器は予め決められた場所に設置された固定端末でも良いし、場所の変更が可能な移動端末でもよい。
中継機器は、データの送信に最適な転送経路を探し、決定する機能であるルーティング機能を備えており、無線アドホックネットワーク内での相互接続および無線アドホックネットワークと有線網との相互接続を実現している。
ここで、ルーティング機能とは、中継機器を経由して、データを送信端末から受信端末まで最適な経路を選択し、伝送する機能のことである。ルーティング機能は、IPパケットレベルで実現されていてもよいし、IEEE802.11sのように、データリンク層で実現されていてもよい。
図1では、端末は、カメラと監視端末PC(パーソナルコンピュータ)で構成されているが、固定された場所で利用されるテレビジョン受像機や、移動先で利用可能な携帯電話機、カーナビゲーションシステムなど、端末の種類や性能などは規定しない。
端末と中継機器、および中継機器間を接続する無線網は、無線LAN、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)、携帯電話網など、無線媒体の種類および性能は規定しない。同様に有線網についても、光ファイバ、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換電話網)、LANなど有線網の媒体の種類および性能は規定しない。
図1に示すネットワークでは、映像や音声だけではなく、テキスト、静止画、音楽、制
御データなど様々なメディア伝送への適用が可能であり、利用場所も限定されず、宅外だけではなく宅内での高品質なメディア伝送も対象としている。
また、本発明では、無線アドホックネットワークを中心に説明するが、構成するネットワークは有線ネットワークや有線と無線が混在するネットワークであっても、同様の課題を有する。本発明は、無線アドホックネットワークに限定せず、有線ネットワークや有線と無線が混在するネットワークでも同様の効果を有する。
また、本発明は、図1の各中継機器をLSI(Large Scale Integration)やDSP(Digital Signal Processor)等を構成する符号化処理や画像処理等の機能モジュールをとし、図1の伝送経路(無線網、有線網)を、各機能モジュールをつなぐ通信バスとして見立てることにより、LSIやDSPにおける各機能モジュール間での通信バスの伝送帯域の割当ての制御にも利用が可能である。
特にLSIやDSPを構成する複数の機能モジュールで処理されるタスクに対して、機能モジュール間で通信バスを介してタスクの処理に必要なデータの受け渡しに必要な経路を決定するルーティング機能が、LSIやDSPに備わっている想定では、無線アドホックネットワークにおいて各中継機器の送信バッファのデータ残量の偏りを抑制するのと同様に、ルーティング機能によって決定されたバス経路上にある機能モジュール間で、互いのタスクの処理量(稼働率やタスクの残量)の偏りを抑制するように通信バスの利用帯域の割当を調整できるという効果を有する。送信バッファのデータ残量とは、未処理のデータの量のことである。
図2は、端末の構成について説明するための図である。
端末(送受信の端末)は、表示部201、復号化部202、入力部203、符号化部204、無線品質管理部205、誤り訂正符号処理部208、輻輳状態管理部206および送受信部209から構成される。
表示部201は、復号処理されたデータを表示し、例えば、ディスプレイ等より構成される。
復号化部202は、映像や音声など復号処理が必要なデータを復号する処理部である。
入力部203は、映像/静止画/音声/音楽/テキスト/CG(Computer Graphics)/制御情報など様々なメディアのデータ入力を受け付ける処理部である。
符号化部204は、入力部203より入力された各種データを符号化する処理部である。
無線品質管理部205は、端末間または端末と中継機器との間の受信データの損失の割合に基づき伝送誤り率を算出する処理部である。
誤り訂正符号処理部208は、無線品質管理部205から得られる伝送誤り率に基づいて、伝送誤り訂正符号方式や強度を決定し、符号化部204で符号化された後のデータに対して伝送誤り訂正符号を付与する処理部である。
輻輳状態管理部206は、送信端末と受信端末との間で品質記録プロトコル(例えば、インターネットのRTP(Realtime Transport Protocol)/RTCP(RTP Control Protocol)のプロトコル)を用いて通信を行なうことにより、送受信端末間の伝送品質情報(ロス率、遅延時間、ジッターで表す。)を求める処理部である。
送受信部209は、データの送受信を行う処理部である。
図3と図4は、中継機器の構成について説明するための図である。
まず、図3を用いて、中継機器の構成の概要について述べる。図3では、複数の中継機器を経由して、中継機器に接続された送信側の端末から、中継機器に接続された受信側の端末まで送信する例を示している。その一例が、送信側S1またはS2から受信側G1またはG2までデータの送信であり、S1からG1(S2からG2)までを繋ぐ線が伝送経路を示している。
それぞれの中継機器には、パケットの転送先毎にバッファが用意されている。図3では、中継機器Aは、中継機器B、中継機器C、および中継機器Dと接続されている。中継機器Aは、その接続された転送先毎(中継機器B、中継機器C、および中継機器D)にパケットを分類して、各バッファ(中継機器Bに対応するバッファB、中継機器Cに対応するバッファC、中継機器Dに対応するバッファD)にバッファリングし、さらに各バッファは転送先毎に送信量の制御(例えば、バッファBは送信量X1、バッファCは送信量X2、バッファDは送信量X3)を行う。なお、物理的に必ずしも複数のバッファを用意する必要はなく、論理的に複数個のバッファに区別できる構成で実装してもよい。
また、図3(b)では、S1からG1を繋ぐ伝送経路における中継機器間のバッファ内のパケット残量を示している。図3(b)に示すバッファ内のパケット残量の線の太さは、それぞれの中継機器が有するバッファのパケットの残量に対応しており、太さにバラつきが見られる。これは、様々な方向から流入するトラフィックが合流し、トラフィックの干渉が発生することで、自らの中継機器内にある転送先毎に用意されたバッファや、同一経路上にある各中継機器のバッファ内のパケット残量(パケットの滞在時間)にバラつきが発生することを示している。
また、中継機器に対してバッファの許容量を越えてパケットが送られてくることで、パケットロスや遅延が発生する。
次に、図4を用いて中継機器の構成について述べる。
中継機器は、受信部301、受信バッファ管理部302、行き先振り分け処理部303、送信バッファ管理部304、無線品質管理部305、輻輳状態管理部306、ルーティング処理部307、送信流量管理部308および送信部309から構成される。
受信部301は、他の中継機器や端末から送信されてきたデータを受信する処理部である。
受信バッファ管理部302は、受信されたデータを一時的に蓄積する受信バッファが溢れそうになった際に、予め決められた規則(例えば、受信バッファの容量の2/3に達した段階で、ランダムに伝送パケットを廃棄)でパケット廃棄を行う処理部である。
行き先振り分け処理部303は、伝送する経路の振り分け指示を行い、対象となる送信先の送信キュー(先に入力したデータが先に出力されるという特徴を持つデータ)に行き先の振り分けを行う処理部である。
送信バッファ管理部304は、転送先毎に送信キューを用意し、後述する送信流量管理部308で決定される転送先の送信キュー毎に割り当てられた送信量に基づき、伝送パケットを送信する処理部である。
無線品質管理部305は、品質測定のプロトコルによる伝送誤り率の収集や、無線メトリックス(伝送品質を表す尺度、詳細は後述)により伝送誤り率を求める処理部である。
輻輳状態管理部306は、無線メトリックスに基づき、輻輳している中継機器の発見や、伝送誤り率や品質測定のプロトコルにより輻輳による損失(ロス率、遅延時間、ジッター)を求める処理部である。
ルーティング処理部307は、受信部301が受信したルーティングプロトコルからデータの転送先や経路に関するルーティングテーブルの生成や無線メトリックスを抽出する処理部である。
送信流量管理部308は、送信先毎の受信バッファ量、伝送誤り率、輻輳による損失(ロス率、遅延時間、ジッター)、経路毎のバッファ残量に基づき送信先毎の送信量や送信タイミングなどを決定する処理部である。
送信部309は、データを送信する処理部である。
中継機器の受信部301や送信部309において、送信端末の誤り訂正符号処理部208からの指示に基づき、中継機器間で伝送するデータに付与する前方誤り訂正符号の有無、方式選定、強度選定の少なくともいずれかを行う。
なお、中継機器の構成はIPパケットレベルで処理される形態(IPルーター)であっ
てもよいし、データリンク層のパケットレベル(フレーム)で処理される形態(ブリッジ)であってもよい。
(ネットワークでの輻輳の説明)
輻輳の原因を低減することにより、無線アドホックネットワークにおける高品質伝送について説明する。本発明では、ネットワーク全体に残留するパケットを最小化することで、輻輳原因の低減を実現する。
背景技術でも説明したように、輻輳とは、例えば、バッファの容量を超えたデータが送信されて、バッファからデータが溢れて、データの損失や次の転送先に送信するまでの時間の遅延が発生することである。中継機器のバッファが溢れる原因として、送信端末や他の中継機器から中継機器に送信するデータ量がネットワークの伝送容量より大きいことで、容量を超えた分が、中継機器で廃棄され、画像や音声の伝送品質劣化(パケットロスによる画質や音質の劣化、遅延による表示の遅れ)としてあらわれる。
このような輻輳を低減させるために、中継機器では、送信先の中継機器が有するバッファのデータ量に比例するように、送信量を調整して、同じ伝送経路上にある中継機器において、バッファの残量のバラつきを抑制する(具体的な方法については、詳述する。)。これによって、ネットワーク全体に残留するパケットの最小化を実現する。
(ネットワークでの輻輳状態の解決方法)
自分最適化と全体最適化を同時に実現する方法として、街の複数の交差点に設置された信号機が、それぞれ自分最適化制御と全体最適化制御を同時に行なうことで、車の渋滞を緩和する方法がある(非特許文献2)。自分最適化制御と全体最適化制御を説明するために図5を用いて、非特許文献2の車の渋滞を緩和する方法を説明する。
まず、車の渋滞の抑制制御について述べる。図5では、東西方向と南北方向に伸びる道路が交差する交差点と、そこを走る車の流れを現す図である。図5では、南北方向の道路に面する信号機502、信号機504、信号機506、信号機508が赤信号であり、東西方向に面する信号機501、信号機503、信号機505、信号機507が青信号である状態が示されている。このような複数の交差点での車の渋滞を緩和する方法を非特許文献2は開示している。以下、内容を具体的に説明する。
車の渋滞を緩和するために、ある1つの交差点に注目して信号機の切り替えのタイミング制御を行う場合には、交差点においてできるだけ信号待ちをしている車の台数が少なくなるように信号機の切り替えタイミングを制御する必要がある。このため、東西方向からやってくる車と南北方向からやってくる車のそれぞれの台数と比例するような、東西方向の信号が青となる時間の長さと南北方向の信号が青になる時間の長さの調整を信号機の切り替えタイミングで制御することが望ましい。このような信号機の切り替えタイミングの制御動作は、各交差点に配置された信号機が独立して行う、車の渋滞緩和のための自分最適化制御である。
一方、車の渋滞を緩和するために、ある1台の車に注目して信号機の切り替えタイミングの制御を行う場合には、車の移動経路上に存在する複数の信号機が車の移動方向と速度に合わせて青の状態に切り替わることで、できるだけ車が停車しないように信号機の切り替えタイミングを制御することが望ましい。このような信号機の切り替えタイミングの制御動作は、車が移動する経路上にある複数の信号機が協調して車の流れに合わせて行う車の渋滞緩和のための全体最適化制御である。
このような各交差点が独立して渋滞を緩和するための自分最適化制御と、車の移動経路上にある信号が連携して渋滞を緩和する全体最適化制御とを、各交差点の信号機が同時に行うことで、道路全体に滞在する車の渋滞(流量)を緩和することが可能となる。
さらに、各信号機の切り替えタイミングの制御は、全体集中型の制御ではなく、各信号機に対して自分最適化制御と全体最適化制御を規定し、各信号機が隣の信号機の切り替えのタイミングに応じて自身の切り替えタイミングを自律協調的に調整する分散型の制御を用いることで実現することが可能である。これは、全体集中型の制御と比べて、少ない情報(ここでは、隣の信号機の切り換えタイミング)で、全体の制御が可能であることを示し、車の流量変化に対する追随性や、信号機数や道路に関する拡張性、信号機の耐故障性を高めている。
ただし、信号機の切り替えタイミング制御では、各信号機の自分最適化制御と全体最適化制御の比率については渋滞緩和の対象となる交差点の数や配置、交差点間の距離等を加味して一定の値が用いられている。
次に、自分最適化制御と全体最適化制御とを利用した車の渋滞制御の方法をネットワークの輻輳制御へ適用する方法と、さらに、本発明の特徴の一つである自分最適化制御と全体最適化制御の比率の調整について述べる。
まず、車の渋滞制御とネットワークの輻輳制御との関係について、図3と図5を用いて説明する。図3における複数の中継機器(中継機器A、中継機器B、中継機器C、中継機器D等)は、図5における交差点の信号機に相当し、ネットワークを流れるデータ(パケット)は、道路を走る車に相当する。
各中継機器には、次の中継器に転送するデータ(パケット)を次の送信タイミングまで待機させておく送信バッファがあり、送信バッファ内で一時的に留まっているデータ(パケット)は、交差点で信号待ちの車に相当する。
車の渋滞制御では、信号機が車の移動経路上において全体最適化制御することにより、各交差点で信号待ちをしている車を少なくすることで道路全体での渋滞を抑制したように、ネットワークの輻輳制御では、各中継機器の送信バッファ内に残留しているデータ量(以下、バッファ残量と呼ぶ)が少なくなるように、データ(パケット)の転送先に応じて、例えば、1ホップ隣の中継機器と協調してパケットの伝送量を調整する自分最適化制御を全体最適化制御と定義する。
中継機器における自分最適化制御としては、中継機器自身に伝送されるパケットの送信バッファ内での残量に応じて、転送先毎の送信バッファの残量(送信バッファ内でのパケットの滞在時間)が均一になるように、各送信バッファ内のパケットの伝送量を制御する方法を定式化する。
これにより、各転送先に対して同じ遅延時間でパケットを転送することが可能となるため、送信量の多い伝送経路において転送にかかる遅延が増加するのを抑制する効果が得られる。
中継機器における全体最適化制御としては、送信先までの経路上にある中継機器間で送信バッファ内のデータ残量(送信バッファ内でのパケットの滞在時間)が均一になるように伝送量を調整する方法を定式化する。
これにより、各通信フローの伝送経路上での輻輳箇所が解消され、輻輳箇所で発生するパケットの再送等による遅延を低減する効果が得られる。また、各中継機器の送信バッファ残量のほぼ同じ値で増減するため、輻輳原因の低減を実現できる。このため、伝送経路上の送信バッファ容量を最大限に利用したデータ伝送が可能となり、データのロス率を低減する効果が得られる。
これらの自分最適化制御と全体最適化制御により、各送信バッファのデータ残量を均一にすることで、パケットが極端に送信バッファ内で長時間残留してしまう中継機器が発生するのを防ぐことができる。これにより、送信バッファ内でのパケットの長時間滞在による遅延時間の増加や、パケット毎に送信タイミングが大きく異なることで生じるジッター、バッファ溢れによるパケットロスを防ぐことができる。すなわち、データの質を低減(データの損失または遅延)させることなく、データを伝送することを可能とする。
受信バッファ管理部302は、隣接の中継機器から受信した自中継機器向けの伝送パケットを、行き先に関係なく、蓄えるための受信バッファ310を管理する処理部であり、受信バッファ310内のパケット残量の取得や、受信バッファ310から行き先振り分け処理部303へ送るパケットの送信量の調整を行う。この受信バッファ310は、主に送信側の通信速度と受信側の通信速度のギャップを埋めるために用いられる。受信バッファ管理部302で蓄積された伝送パケットは、蓄積された順に、行き先振り分け処理部303に引き渡され、伝送パケットの行き先毎に分類され、送信バッファ管理部304に引き渡される。
送信バッファ管理部304は、伝送パケットの行き先ごとに用意され伝送パケットを一時的に保持する送信バッファ311を、管理する処理部であり、各送信バッファ311内のパケット残量の取得や、送信バッファ311から送信部309に送られるパケットの送信量の調整を行う。
また、行き先振り分け処理部303より引き渡されたパケットは、行き先振り分け処理部303での分類された結果に基づき、送信バッファ管理部304の対応する送信バッファ311へ蓄積される。送信バッファ管理部304は、各送信バッファ311の伝送量を調整することにより、中継先の異なるパケット毎に送信量の調整ができる。
送信バッファ管理部304は、物理的には1つのバッファで構成され、論理的に行き先毎に区別できるように伝送パケットを仮想的なバッファで記録してもよい。
なお、以下の説明では、特に断りがない場合には送信バッファ311に残っているデータの残量に基づいて中継機器の伝送量を制御する方法を例に説明を行う。
(送信流量制御のための構成)
図6は、自分最適化制御と全体最適化制御により、パケットの転送量の調整を行う各中継機器の送信流量管理部308の詳細な構成を説明するための図である。
送信流量管理部308は、バッファ残量取得部1601、バッファ残量通信部1602、自分最適化流量制御部1603、全体最適化流量制御部1604、バランス調整部1605、協調相手決定部1606、送信流量情報管理部1607および最適化係数記憶部1608から構成される。
バッファ残量取得部1601は、送信バッファ管理部304により記録されている、送信バッファのバッファ残量の取得を行う。
バッファ残量通信部1602は、バッファ残量取得部1601で取得されたバッファ残量に関する情報を1ホップ隣の中継機器と互いに通信し、1ホップ隣の中継機器のバッファ残量に関する情報を保持する。
自分最適化流量制御部1603は、バッファ残量取得部1601で取得された各送信バッファのバッファ残量の値に基づいて、自律的に各送信バッファの送信量を制御する、すなわち、送信量に関する自分最適な状態に近づくように各送信バッファの調整量を決定する。
全体最適化流量制御部1604は、送信端末から受信端末までの経路上にある中継機器間でバッファ残量が均一になるように、バッファ残量通信部1602により取得された経路上において1ホップ隣の中継機器のバッファ残量に対して、バッファ残量取得部1601により取得された自身のバッファ残量の値が均一な値に近づくように送信量を制御する。すなわち、送信量に関する全体最適な状態に近くづくように中継機器の調整量を決定する。
バランス調整部1605は、無線品質管理部305により求められた伝送誤り率や、輻輳状態管理部306により求められた損失(ロス率、遅延時間、ジッター)に基づいて、送信量に関する自分最適化と送信量に関する全体最適化との送信量制御のバランスを調整する。
協調相手決定部1606は、自らの中継機器と協調する他の中継機器を決定する。
送信流量情報管理部1607は、協調相手決定部1606で決定した他の中継機器と、他の中継機器が有するバッファに保持されているデータの量を含む情報を交換する。
最適化係数記憶部1608は、複数の中継機器間の通信方式、および複数の中継機器間の伝送距離に基づいて決定される伝搬状況から予め決めた自分最適化係数の初期値と、全体最適化係数の初期値とを記憶している。
ここで、自分最適に近づく状態とは、各中継機器内での転送先ごとに用意された複数バッファ間で生じるパケット残量を均一化することを示す。
また、全体最適に近づく状態とは、中継伝送機器間での同一の伝送経路上にある中継機器のバッファ間で生じるパケット残量を均一化することを示す。
送信部309(図4を参照)は、送信流量管理部308で決定される転送先の送信キュー毎に割り当てられた送信量に基づき、送信バッファ管理部304から送出される伝送パケットを他の中継機器に送信する。
送信バッファ管理部304は、自分最適化流量制御部1603により与えられる自分最適な状態に近づくための調整量と全体最適化流量制御部1604より与えられる全体最適な状態に近くための調整量とを加算した調整量に基づいて、中継機器の伝送量を変更することにより、2つの最適化を同時に満たす状態により近づくように中継機器の伝送量の値を調整する。
なお、中継機器の伝送量の調整量は、自分最適化流量制御部1603により与えられる調整量と全体最適化流量制御部1604より与えられる調整量とを加算した値以外であってもよい。つまり、送信バッファ管理部304は、自分最適化流量制御部1603により与えられる調整量と全体最適化流量制御部1604より与えられる調整量を平均した値を用いた制御や、2つの調整量の値を比較し、調整量の幅が大きい方の値のみを採用して(小さい方を無視する)制御を行っても良い。
自分最適化流量制御部1603、および全体最適化流量制御部1604が決定する具体的な伝送量の調整量としては、後述するIP層での伝送量制御に関与するスケジューリング処理の調整量やパケット廃棄処理の調整量、MAC層で伝送量制御に関与するパケットの送信間隔を調整量が挙げられる。
なお、中継機器間は、有線網で接続してもよいし、上述のように無線網で接続してもよい。
最適化係数記憶部1608に記憶される自分最適化係数と全体最適化係数の初期値は、一般に、前記複数の中継機器間の通信方式、および前記複数の中継機器間の接続構成(中継機器間の接続関係とその数、物理的な距離)に基づいて決定される伝送状況(例えば、シミュレーションで求められるロス率や遅延などの伝送品質特性)から決定される。
また、自分最適化係数と全体最適化係数は、システムを取り巻く動的な環境変化(撮影対象、ユーザ数、電波伝播)を加味する場合には、システム設計・実装段階において想定される環境変化による影響を計算機上でシミュレーションし、所定の条件を満足する係数の初期値を試行錯誤的に決定する。
(伝送量制御するための動作フロー)
図7には、中継機器の送信流量管理部308による送信流量の一連の制御動作のフローチャートを示す。
図7を用いて、送信流量管理部308による送信流量の一連の制御動作の概要について説明した後、各動作の詳細な内容について説明する。
バランス調整部1605および協調相手決定部1606は、無線品質管理部305において算出された伝送誤り率を取得する(S2601)。
次に、協調相手決定部1606は、近隣の中継機器の中から協調して伝送量を調整する協調相手として決定する(S2602)。なお、協調相手の決定には、S2601で取得した伝送誤りの大きさを加味して決定しても良い。詳細については後述する。
次に、バッファ残量通信部1602は、協調相手として選ばれた他の中継機器とお互いのバッファのバッファ残量を通知し、送信流量情報管理部1607に協調相手となる中継機器のバッファ残量に関する情報を記録する(S2603)。
次に、バランス調整部1605は、輻輳状態管理部306で求められた損失(ロス率、遅延時間、ジッター)を取得する(S2604)。
次に、バランス調整部1605は、S2601で取得した伝送誤り率、またはS2604で求められた損失に基づいて自分最適化と全体最適化の制御の比率を決定(バランス制御)し、最適化係数記憶部1608に記憶されている自分最適化係数と全体最適化係数の値を変更する(S2605)。
次に、自分最適化流量制御部1603は、最適化係数記憶部1608に記録されている自分最適化係数の値に基づいて送信量の調整を行う(S2606)。
また、自分最適化流量制御部1603と同時に平行して全体最適化流量制御部1604は、最適化係数記憶部1608に記録されている全体最適化係数の値に基づいて自分最適化制御、および全体最適化制御による送信量の調整を行う(S2607)。
送信バッファ管理部304は、自分最適化流量制御部1603が、自分最適化制御により調整した送信量と、全体最適化流量制御部1604が、全体最適化制御により調整した送信量とに基づいて、実際に送信するデータの量を決定する(S2608)。
送信流量管理部308は、S2601からS2608までの処理を繰り返すことにより、中継機器の伝送量を調整する。
以下、図7の各ステップでの処理内容を、詳細に説明する。
(伝送路上の無線品質の測定(S2601))
無線品質管理部305において算出された伝送誤り率を、バランス調整部1605および協調相手決定部1606は取得する。よって、まず、無線品質管理部305における伝送誤り率の算出を説明する。
図8を用いて、無線品質管理部305が、ルーティング情報からデータ損失率を得る具体的方法について説明する。中継機器のルーティング処理部307(図4を参照)で記録される情報について具体的に説明する。
本発明では、ルーティング情報は、前述の経路確立の際にルーティングプロトコルで交換される情報(送信先IPアドレス、送信元IPアドレス、シーケンス番号、生存時間、ホップ数など)だけではなく、伝送品質に関わる情報を含む。ルーティング情報は、例えば、現在、標準化が進められているIEEE802.11sにおいては、次のような規定がなされている(例えば、非特許文献:阪田史郎,「アドホックネットワークと無線LANメッシュネットワーク」,電子情報通信学会論文誌B,Vol.J89−B,No.6,pp.811−823)。無線LANメッシュネットワークの品質に影響する基本的な特性は、無線品質、干渉と無線資源の利用率である。これらすべての状況を反映し、実装が容易な無線メトリックスとしてAirtimeが提案されている。IEEE802.11sにおいては、Airtimeメトリックス(Ca)は(数1)のように定義されている。
Figure 0004105221
(数1)のOca、Op、Btは、図8(a)の表に示すチャンネルアクセスに必要なオーバーヘッド、プロトコルオーバーヘッド、フレームエラー率の取得に利用するテストパケットのフレーム長を示す。rは伝送速度、eptはフレームエラー率を示す。Ca、Oca、Op、Btが既知である場合、伝送誤り率(フレームエラー率)eptを算出することが可能である。
各中継機器の無線品質管理部305が、無線メトリックスを事前に計算(上述した(数1)の計算)しておき、送信対象の中継機器が受信対象の中継機器に対してデータ送信する場合にルーティングを設定する必要がある。ルーティングを設定する際に、全端末に対して、ルーティングを確立するための問合せパケットを同報送信する。パケットを中継した中継機器は、問合せパケットに記述されている無線メトリックスの値と自らの無線メトリックスの値を合算し、問合せパケットの無線メトリックスを記述する領域に上書きする。
受信対象の中継機器が、様々な経路を経て受信した複数の問合せパケットを受信し、無線メトリックスが一番小さい応答パケットの伝送経路を辿って、送信対象の中継機器に応答パケットを返信することで、ルーティングを確立する。
これらの情報は、中継機器間でルーティングを構築する際に、中継機器間でフレームエラー率(伝送パケットのエラー率)の取得に利用するCRC(Cyclic redundancy Checking)などの誤り巡回符号を付与したテストパケットを交換することで計測する。観測用に送信したテストパケットの情報量と、誤り巡回符号を用いることで、テストパケットに対して、ビット単位で誤り位置や数を検出し、誤り検出した情報量との比率から伝送誤り率(フレームエラー率)を決定する。具体的には、伝送誤り率は以下の式で定義される。
伝送誤り率=全テストパケットのうち誤ったビット量
/全テストパケットのビット量
同様に、送受信端末と中継機器間についても、テストパケットを交換することで、伝送誤り率(フレームエラー率)などを取得することが可能である。
図8には、IEEE802.11a、IEEE802.11bを対象とした場合の各パラメータの具体的な数値例を示す。図8で示した方法では、複数のルーティング候補が得られる可能性があるが、前述したIEEE802.11sでも採用されている無線メトリックスを用いることで、品質の高いルートを選択することが可能となる。
このようにして決定および取得した伝送誤り率(フレームエラー率)を、バランス調整部1605および協調相手決定部1606は取得する。
(協調相手(通信相手)の選択(S2602))
次に、協調相手決定部1606の動作について説明する。
ルーティング処理部307(図4を参照)により、自中継機器の次の転送先の中継機器が決定されると、協調相手決定部1606は、ルーティング処理部307より経路情報を取得し、次の転送先の中継機器や、自中継機器への転送元の中継機器を協調先相手として選択する。なお、ルーティング処理の方法としては、アドホックネットワークで用いられているAODV(Ad hoc On−Demand Distance Vector)、OLSR(Optimized Link State Routing)といったルーティングプロトコルが挙げられる。
図9は協調相手(範囲)の選択条件を説明するための図である。
各中継機器の協調相手決定部1606は、ルーティング処理部307により決定され転送先の中継機器や、自中継機器への転送元の中継機器を協調先相手として選択する以外にも、さらに図9に示す選択条件を用いて協調相手(範囲)を選択することができる。
(他の中継機器の状態に基づく協調相手の選択)
協調先相手として決まった候補の中から、Airtimeメトリックス(Ca)や伝送誤り率、前方誤り訂正強度、再送回数、再送時間、収容端末数の少なくとも1つ以上が、自中継機器のそれより高い、または、受信電界強度が低い伝送路を共有する隣接の中継機器は、バッファ残量を均一にさせる制御対象の中継機器として選ばない。これにより、障害のあるネットワークを早期に切り離して、安定したネットワーク上での伝送を実現することができる。
この機能を備えることで、予め各中継機器に対して協調相手を決めておかなくても、周囲の端末や他の中継機器の構成、または中継機器間での伝送の状況に応じて、各中継機器が安定した伝送を実現できる協調相手を自動的に決定できる。このため、固定端末と有線から構成されるネットワークシステムだけでなく、ネットワーク構成や伝送路の状況を予測して、事前に安定した伝送を実現できる協調相手の決定が困難な携帯端末や車といった移動端末、無線で構成されるネットワークシステムへも展開できる。
(バッファ残量に基づく協調相手の選択)
自らのバッファ内のバッファ残量(負荷)が所定の閾値よりも多く、バッファが混雑または輻輳している場合には、協調相手の範囲を転送元、または転送先となる1ホップ隣の中継機器から2ホップ以上離れた中継機器まで協調相手の範囲を広げても良い。
これにより、ネットワーク内の一部の中継機器で発生した輻輳の大きさに応じて、その輻輳の抑制に協調して対処する中継機器の台数を調整することが可能となり、より早期に輻輳の抑制を行うことができる。
例えば、自らのバッファ残量がバッファのサイズに対して50%以下である場合には1ホップ隣の中継機器を協調相手とし、バッファ残量が50%以上、80%以下の場合には2ホップ隣の中継機器までを協調相手とし、バッファ残量が80%以上である場合には3ホップ隣までを協調相手に選択する。
2ホップ以上離れた中継機器と協調のための情報を通信する方法としては、例えば、ユニキャスト通信により直接相手に協調のための情報を送信する方法や、パケットの中継回数を決定するTTL(Time To Live)の値を協調の範囲に相当するホップ数として、近隣の中継機器に協調のための情報をブロードキャスト通信する方法等により実現できる。
また、上記のように自身のバッファ残量の値に応じて決定される範囲に存在する中継機器であっても、バッファ残量が多く自中継機器のバッファ残量の引き受ける空きの余裕がバッファにない中継機器(例えばバッファ残量が80%以上の中継機器)を協調相手から除外する。
また、協調相手として選択できる他の中継機器の台数に制限がある場合には、自身のバッファ残量の値に応じて決定される範囲に存在する中継機器において特にバッファ残量が少ない中継機器から優先的に、自中継機器のバッファ残量の引き受ける空きの余裕が充分にある協調相手として選択する。
一方、協調相手に選ばれた側の中継機器は、バッファが輻輳状態にある中継機器か送られてきた協調のための情報を受け取ると、その中継機器を自身の協調相手に加えて全体最適化を行う。
また、協調相手に選ばれた側の中継機器は、自分自身の送信バッファのバッファ残量が混雑している場合(例えばバッファサイズの80%以上を混雑状態と定義する)や輻輳が発生している場合には、協調のための情報を送ってきた中継機器を協調相手に加えなくても良い。また、協調のための情報を送ってきた中継機器に対して自身のバッファ残量を通知しても良いし、通知しなくても良い。
(バッファ残量の変動に基づく協調相手の選択)
また、協調相手の選択において、送信バッファ内の閾値よりもバッファ残量の変動が大きい中継機器は協調相手から外しても良い。これにより、閾値よりもバッファ残量の変動の大きい他の中継機器に合わせて伝送量を調整することで中継機器自身の伝送量制御が大きく変動してしまい、伝送品質(ロス率、遅延時間、ジッター)が低下することを防ぐことができる。
なお、他の中継機器のバッファ残量の変動の測定の方法としては、他の中継機器から送られてきた協調のための情報(バッファ残量)の内容と時刻を記録しておき、その履歴から所定の時間内での中央値(メジアン)や最頻値(モード)を求めることによりバッファ残量の変動を測定することができる。中央値や最頻値を閾値とし、他の中継機器のバッファ残量が閾値よりも大きければ、バッファ残量の変動が大きい中継機器とし、閾値より小さければ、バッファ残量の変動が小さい中継機器とする。
(バッファの物理サイズに基づく協調相手の選択)
また、協調相手となる中継機器の候補の性能(バッファの物理サイズ)に差がある場合、性能の高い(バッファの物理サイズの大きい)中継機器を優先的に協調相手に選んでも良い。例えば、各中継機器によってバッファの物理サイズが異なる場合、バッファサイズが大きい中継機器ほど、より多くのパケットをためることが可能である。このため、バッファサイズの大きい中継機器を優先的に協調相手に選び伝送量を制御することにより、自身の送信バッファ内のバッファ残量をバッファサイズの大きい中継機器に対して、より多く引き継ぐことができるため、迅速にバッファの混雑を抑制することができる。
なお、他の中継機器のバッファサイズを収集し、収集してきた結果から中央値(メジアン)や最頻値(モード)を求めることによりバッファの大小を決定する。中央値や最頻値を閾値とし、収集してきた結果が閾値よりも大きければ、バッファが大きい中継機器とし、閾値より小さければ、バッファが小さい中継機器とする。
また、各中継機器間で物理的なバッファ残量の格差が著しく大きい場合には、バッファ残量の小さい中継機器側で輻輳が発生しやすくなるため、格差が大きい中継機器同士は協調対象として選ばなくてもよい。これにより、格差の大きい中継機器間での最適化制御が破綻することを回避することができる。
(最大伝送速度の違いに基づく協調相手の決定)
また、各中継機器間で最大伝送速度の格差が著しく大きい場合(例えば、自中継機器の最大伝送速度との最大伝送速度の差の絶対値が所定のしきい値以上の場合)には、最大伝送速度が低い中継機器側において輻輳が発生しやすくなるため、格差が大きい中継機器同士は協調対象として選ばなくてもよい。これにより、中継機器間での最適化制御が破綻することを回避することができる。
なお、他の中継機器のバッファ残量や最大伝送速度の情報を定期的に収集し、収集してきた結果から自中継機器のバッファ残量や最大伝送速度との差を求めることによりバッファ残量や最大伝送速度の大小を決定する。自中継機器のバッファ残量や最大伝送速度との差が最も大きい中継機器は上記の理由から協調対象として選ばない。
(協調相手と互いにバッファ残量を通知(S2603))
以下、自中継機器と協調相手となる中継機器とが、互いに通知するバッファ残量の例、さらに、情報通知の頻度(情報通知の時間間隔と同義)について、説明する。
まず、バッファ残量の例について、説明する。
送信流量情報管理部1607で記録される情報について、図10を用いて説明する。
図10(a)はバッファ残量通信部1602で通信されるデータの内容を説明するための図である。バッファ残量通信部1602より通信されるデータには送信元を識別するための送信元アドレス、送信バッファの状態が送信された送信時刻、協調のための情報として各送信バッファ間の平均バッファ残量の値が含まれており、バッファ残量通信部1602は、この情報を定期的に協調相手となる中継機器に対してブロードキャストやユニキャストにより通知する。
図10(b)はバッファ残量通信部1602において保持される、協調相手となる他の中継機器の送信バッファの状態に関する情報を説明するための図である。
バッファ残量通信部1602は、近隣の中継機器より送信バッファの状態に関する情報を受け取ると、図10(b)のリストのうち送られてきたデータに含まれる送信元アドレスに対応するデータが既に存在する場合には、送信時刻と協調のための情報として近隣の中継機器内の複数のバッファの平均送信バッファ情報の内容を更新する。
送られてきたデータに含まれる送信元アドレスに対応するデータが存在しない場合には新たに送信元アドレスを登録し送信時刻と送信バッファ情報の内容を記録する。
※中継機器毎に性能が異なる場合
図11は中継機器自身の性能に関する情報を他の中継機器に通知するために、バッファ残量通信部1602で通信されるデータの内容を説明するための図である。
各中継機器は、協調相手の決定/変更された時や、一定の時間間隔で、図11(a)に示すように、図10(a)を用いて説明した情報に加え、中継機器の性能を示すための性能情報が付与されて他の中継機器に通知する。
近隣の中継機器に通知される性能情報としては、中継機器内のバッファの物理サイズや最大伝送速度、およびバッファの物理サイズと最大伝送速度から求められるパケットの最大滞在時間等が挙げられる。
また、図11(b)は、中継機器間で性能が異なる場合において、バッファ残量通信部1602において保持される近隣の他の中継機器の送信バッファの状態に関する情報を説明するための図である。
バッファ残量通信部1602は、図10(b)を用いて説明した情報に加えて、さらに協調相手となる中継機器の性能を現す情報をさらに記録する。なお、図11(b)の例では性能情報としてバッファの物理サイズのみが記録されているが、各中継機器の性能情報としてバッファの物理サイズと最大伝送速度が記録されていても良い。
(バッファ残量の定義)
上記の説明では中継機器間で交換される「バッファ残量」の定義として、バッファ内に残っているパケット(データ)の残量を利用する場合を例に説明を行ったが、これ以外にもバッファ内に保持されているパケット(データ)の量に基づいて求められる情報を「バッファ残量」として定義し、これを協調相手となる中継機器間で交換しても良い。
また、中継機器間で通知される上記以外の協調のための情報、および性能情報の内容を図12に示す。
バッファ内に保持されているパケット(データ)の残量ではなく、バッファ空き容量(または、物理的な全バッファ量に対する割合であるバッファ空き率)で表現しても、同じ効果が得られる。また、空き容量を用いた場合には、中継機器間でバッファの物理サイズが異なる場合であっても、同様の方法でそれぞれの中継ノードがさらにバッファに保持できるデータ量を加味した伝送量の制御を行うことができる。
さらに、近隣中継機器間で交換されるパケット廃棄率に基づいて、各中継機器のバッファで保持されているパケット残量(または、物理的な全バッファ量に占める割合であるバッファ占有率)を推定してもよい。
一般に、中継機器のバッファの占有率に応じて、バッファの廃棄率を適応的に廃棄するアルゴリズムが実装されている場合がある。例えば、受信バッファの容量の1/3に達した段階で、1/2の確率で、受信バッファの容量の1/2に達した段階で、2/3の確率でランダムに伝送パケットを廃棄する場合が挙げられる。近隣中継機器間で交換されるパケット廃棄率に基づいて、各中継機器のバッファで保持されているパケット残量を推定することができる。
しかし、各中継機器の性能が異なり、特に、各中継機器のバッファサイズが物理的に大きく異なっている場合、相対的なバッファ残量やパケット廃棄率の値での制御では実質的なバッファの許容量が異なるため、近隣中継機器間の最適化制御が破綻する可能性がある。
そのため、予め近隣中継機器間で物理的なバッファの大きさを交換し、収集してきた結果から自中継機器のバッファサイズとの差を求めることによりバッファサイズの大小を決定する。自中継機器と他の中継機器とのバッファサイズ差に関する中央値または最頻値を求め、このいずれかの値よりも大きければバッファサイズが物理的に大きく異なっていると判断する。また、予め近隣中継機器間で物理的なバッファの大きさを交換した各中継機器で物理的なバッファの大きさに基づき、近隣中継機器から受信したバッファ残量(またはバッファ空き容量)や、パケット廃棄率の情報を補正することで、各中継機器の性能が異なる場合の課題を解決することができる。
(バッファ残量の時間平均値の利用)
また、バッファ内に残留するデータ量の時間平均値を求めた値を「バッファ残量」と定義し、これを中継ノード間で交換しても良い。これによりバッファ内のデータ残量が大きく変動する場合や頻繁に変動する場合においても、データ残量の所定の時間内での平均値を用いることで、伝送量の調整に対するデータ量の変動による影響を低減することができる。
また、パケットがバッファ内に残留する平均滞在時間と、平均滞在時間を計算するのに各パケットの遅延時間を集計対象とした期間に関する情報を中継機器間で交換することで、各中継機器の性能が異なり、特に、各中継機器のバッファサイズが物理的に異なっている場合でも、絶対的な値であるため、バッファ残量の計算に直接、用いることが可能である。
また、中継機器ごとに最大伝送速度が異なる場合には、パケットの平均滞在時間とバッファ残量の関係が比例関係とならない。このため、各中継機器のバッファの物理サイズと最大伝送速度よりバッファ内でのパケットの最大滞在時間を求め、相対的な値である最大滞在時間に対する平均滞在時間率をバッファ残量の計算に直接用いても良い。
(残量の評価関数の利用)
また、バッファ内に存在するデータ量に対し例えばデータ量の定数倍を求める1次関数や、二乗した値を求める2次関数など、所定の評価関数によって算出される値を「バッファ残量」として定義し、これを中継ノード間で交換してもよい。
このように評価関数を設計することによって、バッファ内に存在するデータの残量に応じて、伝送量の調整幅を変化させる制御が可能となる。
※中継機器間で性能(バッファサイズ)が異なる場合
また、中継機器間で性能が異なる場合には、中継機器間で全体最適化制御のために利用するバッファ残量の値を、目的に応じて互いの性能情報を基に、絶対量から相対量、または相対量から絶対量に変換して用いても良い。
性能情報とは、各中継機器の物理的な性能に関する情報であり、具体的には送信バッファの物理サイズや、データの送信における最大伝送量が上げられる。
バッファ残量の絶対量とは、バッファ内のパケットや、空容量、パケット平均滞在時間など他の中継機器と同じ基準値(Byte、μsec)を用いて表現される量である。
また、バッファ残量の相対量とは、バッファ内のデータ占有率や、バッファ空率、パケットがバッファ内に滞在できる時間に対して実際にパケットに滞在していた時間率など、各中継機器の性能を基準に表現される量である。
絶対量と相対量の関係は(数2)に示す式によって表わされる。
Figure 0004105221
(数2)のqabsoluteはバッファ残量の絶対量、qrelativeはバッファ残量の相対量、Buffer_sizeはバッファの物理サイズである。(数2)を用いることより、バッファの物理的なサイズが分かっている場合には、絶対量(または相対量)で表現されたバッファ残量の値を相対量(または絶対量)に変換することができる。
また、絶対量と相対量を目的に応じて使い分ける例としては、例えば、UDP(User Datagram Protocol)を用いた映像伝送や音声伝送などリアルタイム性が求められる場合には、絶対量で表現されたバッファ残量を用いて伝送量を調整することにより、各中継機器内に滞在する物理的なバッファ残量が等しくなるように各中継機器の伝送量を調整する。
これにより、各中継機器でのパケットの滞在時間が等しくなり、リアルタイム伝送における伝送遅延をより少なくすることができる。
また、TCPを用いたファイル転送など、リアルタイム性よりもデータのロスが少ない伝送が求められる場合には、相対量で表現されたバッファ残量を用いて伝送量の調整することにより、各中継機器のバッファ内のデータの占有率が等しくなるように伝送量を調整する。これにより、各中継機器のバッファの物理サイズに応じて、最大限にデータをバッファに保持する中継が行われるため、伝送経路上でのパケット廃棄によるロスの少ない伝送を行うことができる。
なお、絶対量、相対量のいずれの表現であるかを区別できるように送信パケットに記述し、通信開始時に中継機器間で相互に通知を行う。
また、協調相手に通知する協調のための情報としては、伝送量の調整に用いる送信バッファの状態以外に、協調相手の選択や自分最適化と全体最適化の比率制御に用いるAirtimeメトリックスや伝送誤り、前方誤り訂正強度、再送回数/時間、収容端末数、受信電界強度の情報を定期的、またはこれらの値に変更があったときに協調相手に通知する。
(協調のための情報通知の頻度調整)
次に、情報通知の頻度(情報通知の時間間隔)について、説明する。
図13は情報通知の頻度の調整する条件を説明するための図である。
自中継機器の輻輳状態や負荷の変動幅、協調相手までの距離、協調相手の負荷状態や負荷の変動幅、協調相手とのバッファの物理サイズの違いや最大伝送速度の違いに応じて、協調のための情報(例えば、バッファ残量)の交換頻度を制御する。
(バッファ残量に基づく頻度調整)
自中継機器の負荷状態が高い場合は、なるべく早く負荷を低減させるために、高い頻度で協調のための情報を交換する。逆に、低負荷の場合は、通信や中継機器での処理のオーバーヘッドとなるため、低い頻度で交換する。
また、協調相手の負荷状態も加味して頻度調整を行う場合には、協調相手の負荷状態が高い場合には、自中継機器の負荷の低減効果の期待が薄いため、協調のための情報交換の頻度を低くする。一方、協調相手の負荷状態が低い場合には、自中継機器の負荷の低減効果の期待ができるため、協調のための情報交換の頻度を高くする。
バッファ残量が所定のしきい値よりも大きい場合に高負荷であると判断し、所定のしきい値以下の場合に低負荷であると判断すればよい。なお、自中継機器および協調相手のそれぞれについてしきい値を設けてもよい。
(バッファ残量の変動量に基づく頻度調整)
自中継機器の負荷の変動幅が高い場合、急激な負荷変動に追随できるようにするために、高い頻度で協調のための情報を交換する。逆に、負荷の変動幅が小さい場合、高い追随性は通信や中継機器での処理のオーバーヘッドとなるため、低い頻度で協調のための情報を交換する。
また、協調相手の負荷の変動幅も加味して頻度調整を行う場合には、協調相手の負荷の変動幅が高い場合、自らの制御が安定しなくなるため、協調のための情報交換の頻度を低くする。一方、協調相手の負荷の変動幅が低い場合、自らの安定した制御が期待できるため、協調のための情報交換の頻度を高くする。
負荷の変動幅の一例としては、バッファ残量の変動が挙げられる。なお、バッファ残量の測定は、バッファ残量の内容と時刻を記録しておき、その履歴から所定の時間内での中央値(メジアン)や最頻値(モード)を求めることによりバッファ残量の変動を測定することができる。中央値や最頻値を閾値とし、バッファ残量が閾値よりも大きければ、バッファ残量の変動が大きい中継機器とし、閾値より小さければ、バッファ残量の変動が小さい中継機器とする。
(通信距離に基づく頻度調整)
協調相手までの距離が遠ければ遠いほど(協調相手までのホップ数が大きければ大きいほど)、協調のための情報交換の頻度を高く、近ければ近いほど、協調のための情報交換の頻度を低くする。これにより、全体最適化のための情報交換を中継する中継機器が多くなっても(協調相手までの距離が遠くなっても)、中継時の処理負荷遅延の影響やパケットロス発生による影響など中継機器間の接続関係や状態の変化による影響を抑えることができる。
※中継機器間での性能の違いに応じた情報交換の頻度調整
(バッファの物理サイズの違いに基づく頻度調整)
また、協調のための情報交換の頻度は、協調相手との性能(バッファの物理サイズ)の違いに応じて変更しても良い。
例えば、中継機器に送られてくるデータ量が変動する場合、バッファの物理サイズが大きい中継機器よりも、バッファの物理サイズの小さい中継機器の方が、バッファ内でのデータ占有率の変動幅が大きくなる。
このため、自身のバッファの物理サイズが協調相手のバッファの物理サイズよりも小さい場合には、自身のバッファ内のデータ占有率の変動が協調相手に対して相対的に大きくなるため、協調相手への情報の通信頻度を増やす。これにより、協調相手はバッファの物理サイズの小さい中継機器に対して、バッファ内のバッファ残量の変動に対する追随性の高い伝送量制御が可能となる。
一方、自身のバッファの物理サイズが協調相手のバッファの物理サイズよりも大きい場合には自身のバッファ内のデータ占有率の変動が協調相手に対して相対的に小さくなるため、協調相手への情報の通信頻度を少なくする。これにより、協調相手への情報の通知にかかる通信量を減らす効果がある。
(最大伝送速度の差に基づく頻度調整(伝送経路上の相手))
また、任意のデータフローの伝送経路上において、各中継機器の送信電力の違いや、中継機器間の距離の違い等より中継機器毎に最大伝送速度が異なる場合、自身のバッファの最大伝送速度が、データフローの伝送経路上にある協調相手の最大伝送速度よりも小さい場合には、自身のバッファ残量が協調相手のバッファ残量よりも多くなりやすいため、協調相手への情報の通信頻度を増やす。これにより、協調相手はバッファの最大伝送速度の小さい中継機器に対して、バッファ内のバッファ残量の変動に対する追随性の高い伝送量制御が可能となる。
一方、自身のバッファの最大伝送速度がデータフローの伝送経路上にある協調相手の最大伝送速度よりも大きい場合には、自身のバッファ残量が協調相手のバッファ残量よりも多くなりにいくいため、協調相手への情報の通信頻度を少なくする。これにより、協調相手への情報の通知にかかる通信量を減らす効果がある。
(最大伝送速度の差に基づく頻度調整(協調相手と双方向で通信))
また、自中継機器と協調相手との間で双方向に通信が行われる際に、互いの送信電力の違い等により自中継機器の最大伝送速度と協調相手の最大伝送速度の差が著しく大きい場合には、バッファ残量の均一化のための伝送量制御の影響が双方で大きく異なるため、最適化制御が破綻する可能性がある。このため最大伝送速度の差異が小さい協調相手との全体最適化制御を優先させるために、最大伝送速度の差が著しく大きい協調相手への情報の通信頻度を少なくする。最大伝送速度の差が著しく大きいか否かは、最大伝送速度の差の絶対値が所定のしきい値よりも大きいか否かで判断することができる。
上記では、自中継機器の輻輳状態や負荷の変動幅、協調相手までの距離、協調相手の負荷状態や負荷の変動幅、協調相手とのバッファの物理サイズの違いや最大伝送速度の違いに応じて、個別の情報に基づいて、協調のための情報交換の頻度を決定していたが、これらを適応的に選択し、組合せて協調のための情報交換の頻度を決定してもよい。
(自分最適化制御(S2606)と全体最適化制御(S2607))
次に、各中継機器での伝送量制御のために行われる自分最適化制御と全体最適化制御の内容、およびその定式化について説明を行う。なお、輻輳状態の測定(S2604)と自分最適化制御と全体最適化制御のバランス制御(S2605)については、自分最適化制御と全体最適化制御について説明した後に行う。
図14および図15は各中継機器における伝送流量制御のための自分最適化制御と全体最適化制御の定式化について説明するための図である。
図14は、複数の中継機器によるアドホックネットワークの構成を示している。
S1、S2はデータの送信元、G1、G2はデータの宛先である。各中継機器は図14の噴き出し絵で示したように中継するパケットの転送先毎に複数の送信バッファが用意されている。図14の噴き出しの絵では、中継機器A内には複数の送信バッファqn,1、qn,2が用意されており、それぞれ送信バッファ内のデータ残量をハッチングで示している。
また、図15は、中継機器n内にある複数の送信バッファとデータを転送する1ホップ隣の他の中継機器との関係を説明するための図である。
図15では、中継機器nがデータを転送する1ホップ隣の中継機器としてMn台の中継機器が存在しており、中継機器毎に、専用の送信バッファが用意されている。
中継機器nに対して、他の端末や中継機器からパケットが送られてくると、中継機器nは送信バッファ管理部304によりパケットのMACヘッダ等の内容を参照することで、次の転送先となる中継機器を特定し、特定された中継機器に対応する送信バッファにパケットを振り分ける。
このようなパケットを異なる送信バッファに振り分ける処理と各送信バッファの伝送量を調整は送信バッファ管理部304により行われ、中継機器nはパケットの転送先毎に区別して送信流量を調整することが可能となる。
中継機器を区別する番号をn、中継機器n内の送信バッファを区別する番号をiとした場合、中継機器nのi番目の送信バッファの伝送量をxn,iとすると、各中継機器は自分最適化流量制御部1603と全体最適化流量制御部1604により、各送信バッファの伝送量xn,iを調整することで、各データフローの遅延時間、ロス率、ジッターの抑制を行う。
(自分最適化制御の定式化)
各中継機器の自分最適化制御としては、自分最適化流量制御部1603によりn番の中継機器の各送信バッファのバッファ残量(qn,iと定義する。)に基づいて、転送先毎への伝送量xn,iが調整される。自分最適化流量制御部1603による自分最適化制御の定式化については、具体的には以下のように定式化できる。
(数3)は中継機器nの送信バッファの状態を評価する評価関数である。
Figure 0004105221
(数3)の
Figure 0004105221
は、n番の中継機器の各送信バッファのバッファ残量の集合であり、(数6)は
Figure 0004105221
の定義を示す式である。

Figure 0004105221
(数3)、(数6)において、nは中継機器を区別するための番号である。また、i、jは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。Mnは中継機器nからデータを転送する1ホップ隣の中継機器の台数である。
(数3)の関数Fは、中継機器n内のi番目の送信バッファのバッファ残量が、データを転送する1ホップ隣の中継機器に対応づけられているMn個の送信バッファのバッファ残量の平均値と等しい時に最小値となり、中継機器n内のi番目の送信バッファのバッファ残量と、中継機器内においてデータを転送する1ホップ隣の中継機器に対応づけられているMn個の送信バッファのバッファ残量の平均値との差が大きくなるにつれて値が単調に増加する関数である。
(数7)に、自分最適化流量制御部1603により調整されるデータ伝送量xn,iの制御式を示す。
Figure 0004105221
(数7)において、nは中継機器を区別するための番号である。また、i、jは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。Mnは中継機器nがデータを転送する1ホップ隣に存在する他の中継機器の台数である。αは係数である。
(数7)は、(数3)の関数をデータ伝送量xn,iで偏微分した導関数を右辺に持つ制御式であり、自分最適化流量制御部1603は関数Fの値が最小値に近づくようにデータ伝送量xn,iの値を算出する式である。
また、(数7)の右辺において∂qn,i/∂xn,iは伝送量xn,iの調整量に対するバッファ残量の変化量の関係を表す項であり、一般的に伝送量xn,iを増やすとバッファの残量は減少するため、∂qn,i/∂xn,iの値は(数8)に示すように負の値となる。
Figure 0004105221
(数7)、(数8)より、中継機器n内のi番目の送信バッファの伝送量を、バッファ残量qn,iが同一中継機器内に存在する送信バッファの平均バッファ残量よりも大きい場合には大きくし、バッファ残量qn,iが、協調相手となる他の中継機器の平均バッファ残量の平均値よりも小さい場合には小さくなるように制御を行う。
(数7)に基づく伝送量の制御は、自分最適化流量制御部1603により行われ、中継機器n内の各送信バッファのバッファ残量qn,iが同じ値となるようにデータ伝送量xn,iが調整されるため、各転送先に送信されるデータフローの品質(遅延やロス率)を均一に近づけることができる。
(全体最適化制御の定式化)
中継機器間での全体最適化制御としては、全体最適化流量制御部1604により、送信元から送信先までの経路上の中継機器間でバッファの残量qn,iが均一になるようにパケットの伝送量の調整が行われる。全体最適化流量制御部1604における全体最適化制御は(数9)のように定式化できる。
(数9)は、中継機器nと協調相手となる中継機器との送信バッファのバッファ残量の差異を評価する評価関数である。
Figure 0004105221
(数9)において、nは中継機器を区別するための番号である。
また、i、jは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。
next(n)は、中継機器nの協調相手となる中継機器を識別する番号の集合である。
nは中継機器nの協調相手の数である。
(数10)は、中継機器nの協調相手となる中継機器が保持する複数の送信バッファのバッファ残量の統計値の集合を表す式である。
Figure 0004105221
(数11)は、(数10)におけるバッファ残量の統計値の値を求める式であり、(数11)では各送信バッファの残量の平均値が与えられる。
Figure 0004105221
(数9)、(数11)においてnは中継機器を区別するための番号である。
また、i、kは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。
(数11)のQnは、中期機器nの各送信バッファの平均バッファ残量である。
(数10)の
Figure 0004105221
は、中継機器nの協調相手となる中継機器毎の平均バッファ残量Qkの集合である。Mnは中継機器nがデータを転送する1ホップ隣に存在する他の中継機器の台数である。(数9)の関数Gは、中継機器n内のi番目の送信バッファのバッファ残量が、協調相手となるNn個の中継機器の平均バッファ残量Qkの平均値と等しい時に最小値(0)となり、中継機器n内のi番目の送信バッファのバッファ残量と、協調相手となるNn個の中継機器の平均バッファ残量Qkの機器間での平均値との差が大きくなるにつれて値が単調に増加する関数である。
Figure 0004105221
(数13)においてnは中継機器を区別するための番号である。
また、i、kは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。
next(n)は、n番の中継機器の協調相手となる中継機器を識別する番号の集合である。
nは中継機器nの協調相手となる中継機器の数である。
βは係数である。
(数13)は、(数9)の関数をデータ伝送量xn,iで偏微分した導関数を右辺に持つ制御式であり、全体最適化流量制御部1604は関数Gの値が最小値に近づくようにデータ伝送量xn,iの値を算出する式である。
また、(数13)の右辺において∂qn,i/∂xn,iは自分最適化制御で説明した(数8)と同じである。
このため、(数13)より、中継機器n内のi番目の送信バッファの伝送量を、バッファ残量qn,iが協調相手となる他の中継機器の平均バッファ残量の平均値よりも大きい場合には大きくし、バッファ残量qn,iが、協調相手となる他の中継機器の平均バッファ残量の平均値よりも小さい場合には小さくするように制御を行う。
(数13)に基づく伝送量の制御は、全体最適化流量制御部1604により行われ、バッファ残量qn,iが協調相手となる中継機器の平均バッファ残量Qkと等しい値に近づくように調整される。その結果、送信元から送信先までの経路上の一部の中継機器においてバッファの混雑発生の抑制が行われる。
なお、(数13)に基づく伝送量の制御は、複数の送信バッファを持たない中継機器間でのバッファ残量の均一化にも用いることができる。
一般的な中継機器では、送信バッファとしてシングルのFIFOキュー(First In First Out)のみを備える構成がとられる。
複数のバッファを持つ中継機器では、各バッファのバッファ残量の平均値を協調相手となる他の中継機器に対して通知するが、シングルのFIFOキューのみを持つ中継機器間では、FIFOキューの残量の値を協調相手となる中継機器に通知する。
また、送信バッファが1つしかない場合であっても、前述した協調相手(範囲)の決定方法、および通信頻度の調整方法を利用して協調相手(範囲)と通信頻度を決定できる。
(自分最適化制御の動作フロー)
図16は、各中継機器における自分最適化制御の手順を説明するフローチャートである。
自分最適化流量制御部1603は、バッファ残量取得部1601より各送信バッファの残量を取得する(S1701)。
次に自分最適化流量制御部1603は、(数5)に基づいて各送信バッファの伝送量の調整量を算出する(S1702)。
次に自分最適化流量制御部1603は、各送信バッファのデータ伝送量xn,iの値を変更する(S1703)。
自分最適化流量制御部1603は、S1701からS1703までの処理を繰り返すことにより、各送信バッファの込み具合の違いに応じて、各送信バッファの伝送量の調整を自律的に行う。
(全体最適化制御の動作フロー)
図17は、各中継機器での全体最適化制御の手順を説明するフローチャートである。
全体最適化流量制御部1604は、バッファ残量取得部1601より各送信バッファの残量を取得する(S1801)。
次に全体最適化流量制御部1604は、バッファ残量通信部1602を介して伝送経路上において1ホップ隣の中継機器の送信バッファの残量に関する情報を取得する(S1802)。
なお、ここでは1ホップ隣の中継機器より各送信バッファの残量に関する具体的な情報として、各送信バッファ残量の平均値を取得したものとする。
また、バッファ残量通信部1602による近隣中継機器との通信は、全体最適化流量制御部1604の動作とは独立した一定の時間間隔で行われており、全体最適化流量制御部1604はバッファ残量通信部1602に保持されている隣接中継機器のバッファ残量に関する最新の値を取得して用いているものとする。
次に全体最適化流量制御部1604は、(数13)に基づいて各送信バッファの伝送量の調整量を算出する(S1803)。
次に全体最適化流量制御部1604は、送信バッファ管理部304に対して各送信バッファのデータ伝送量xn,iの調整量を伝え、データ伝送量xn,iを変更する(S1804)。
全体最適化流量制御部1604は、S1801からS1804までの処理を繰り返すことにより、伝送経路上の中継機器間で互いの送信バッファの残量が均一な値に近づくように、協調して各送信バッファの伝送量を調整する。
(伝送量全体最適化制御の定式化)
(数14)に自分最適化流量制御部1603による(数7)の制御式と、全体最適化流量制御部1604による(数13)の制御式を1つの式にまとめた制御式に示す。
Figure 0004105221
(数14)において右辺の第1項は自分最適化流量制御部1603による自分最適化制御によって調整される伝送量を決める項である。また、右辺の第2項は全体最適化流量制御部1604による全体最適化制御によって調整される伝送量を決める項である。
(数14)の第1項の係数αと第2項にある係数βの大きさは、伝送量制御において自分最適化制御と全体最適化制御の比率を表す値であり、この値を変えることにより自分最適化と全体最適化のバランス制御を調整することができる。
なお、送信バッファを複数持たない中継機器では、αの値を0とした全体最適化制御だけの式として中継機器間でのバッファ残量を均一化するための伝送量制御式として用いることができる。
(自分最適化制御と全体最適化制御のバランス制御(S2605))
図6に示されるように、各中継機器は、自分最適化流量制御部1603および全体最適化流量制御部1604からなる送信流量制御部と、バランス調整部1605とを含む。
送信流量制御部は、最適化係数記憶部1608に予め記憶された自分最適化係数と全体最適化係数の初期値に基づいて動作を開始し、中継機器の動作中は、送信端末から受信端末に送信するデータ量を決定する。つまり、自分最適化係数に基づき、自分最適化流量制御部1603が制御され、全体最適化係数に基づき、全体最適化流量制御部1604が制御される。
バランス調整部1605は、中継機器が有するバッファの残量が、他の中継機器が有するバッファの残量より大きい場合には、自分最適化制御の比率が大きくなるように自分最適化係数を大きくし、中継機器が有する送信バッファの残量が、他の中継機器が有する送信バッファの残量より小さい場合には、全体最適化制御の比率が大きくなるように全体最適化係数を大きくする。
送信流量制御部は、バランス調整部1605が自分最適化係数を大きくまたは、全体最適化係数を大きくするように変更した場合には、変更した自分最適化係数および全体最適化係数に基づいて、受信端末に送信するデータ量を決定する。
図18は、中継機器において係数α、βを調整する方法について説明するためのフローチャートである。
従来手法(例えば、特許文献2参照。)では、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を経験から固定的に決めていたため、機器を取り巻く環境が動的に変化し続ける場合、機器間でのリソース割当ての競合解消において環境変化への追随性の面で課題があった。このため、ネットワークのように送信するフロー数や伝送誤り率の変化など、環境変化への追随性が高く求められる用途に対して、自分最適化制御と全体最適化制御の各制御の比率を動的に決定する具体的な実現方法(中継機器におけるα、βの係数の調整方法)が必要である。
中継機器における係数α、βの調整方法の基本的な考え方としては、次の(1)、(2)である。
(1)自中継機器と協調相手となる中継機器間との間で、リソース(伝送帯域)割当ての競合により生じる影響の度合いを比較するために、各中継機器での輻輳に起因する損失(ロス率、遅延時間、ジッター)を通知しあう。
(2)各中継機器は、自身の輻輳に起因する損失(ロス率、遅延時間、ジッター)が発生している場合には自分最適化制御による伝送量制御の比率を大きくし、伝送経路上の他の中継機器での輻輳に起因する損失(ロス率、遅延時間、ジッター)が発生している場合には全体最適化制御による伝送量制御の比率を大きくする。
(係数α、βの変更のための動作フロー)
各中継機器は輻輳状態管理部306により伝送経路上での損失(ロス率、遅延時間、ジッター)の測定を行う(S1901)。
伝送経路上で1ホップとなりの隣接中継機器で輻輳が発生しているかどうかを判定し(S1902)、隣接中継機器で輻輳が発生している場合には(S1902でYES)、S1903に移る。隣接中継機器で輻輳が発生していない場合には(S1902でNO)、S1904に移る(S1902)。
隣接中継機器で輻輳が発生している場合には(S1902でYES)、隣接中継機器での輻輳状態を抑えるために自分最適化制御よりも全体最適化制御の比率を大きくするために自分最適化制御の程度を決定する係数αの値を減少させ、反対に全体最適化制御の程度を決定する係数βの値を増加させる(S1903)。
隣接中継機器で輻輳が発生していない場合(S1902でNO)、自身の送信バッファで輻輳が発生しているかどうかを判定する(S1904)。輻輳が発生している場合には(S1904でYES)、S1905に移り、輻輳が発生していない場合には(S1904でNO)、S1901に戻る(S1904)。
中継機器自身で輻輳が発生している場合には(S1904でYES)、隣接中継機器との全体最適化制御よりも自身の送信バッファでの輻輳を抑えることを優先させるために自分最適化制御の程度を決定する係数αの値を増加させ、反対に全体最適化制御の程度を決定する係数βの値を減少させる(S1905)。各中継機器はS1901からS1905までの処理を繰り返すことにより、輻輳の発生位置に応じて自動的に自分最適化制御と全体最適化制御のバランス調整を行う。
なお、図18では自身の送信バッファで発生した輻輳よりも、隣接中継機器で発生した輻輳を抑えることを優先させる場合を例に説明を行ったが、S1902とS1904の順序を入れ替えることにより隣接中継機器で発生した輻輳よりも自身の送信バッファで発生した輻輳を抑えることを優先させて係数α、βの値の調整を行ってもよい。
図19は、隣接中継機器と自中継機器のバッファ残量の差分から、α、βの制御量を決定する方法について説明するための図である。
経路上にある中継機器で、近隣中継機器と自中継機器とで輻輳状態に偏りがあるかを、中継機器が中継処理に利用するバッファ残量を用いて調べる。隣接する中継機器より、各中継機器のバッファ量を収集し、自らの中継機器のバッファ残量を比較することで、自中継機器の方がひどい輻輳状態にあるのか、近隣の中継機器の方がひどい輻輳状態にあるのかを判断する。図の例では、隣接中継機器と自中継機器のバッファ残量の差分(自中継機器のバッファ残量から隣接中継機器のバッファ残量を引いた値)がプラス“+”の場合は、自中継機器のαを高く、近隣中継機器のβを低く設定する。逆に、マイナス“−”の場合は、自中継機器のαを低く、近隣中継機器のβを高く設定する。これにより、αとβの値を動的に決定することで、自分最適化制御と全体最適化制御のバランスが取れるため、自中継機器の輻輳を抑えながら、同じ経路上の近隣の中継機器と自中継機器との間での輻輳の偏りを無くすことが可能となる。なお、近隣の中継機器は転送先毎に、自中継機器と協調して最適化制御を行う必要があるため、行き先の中継機器の数Mnだけ、全体最適化制御を行う必要がある。さらに、プラス“+”やマイナス“−”の大きさに応じて、αやβの値を決定してもよい。
また、α、βの調整は、他の中継機器とのリソース(伝送帯域)割当ての競合によって自中継機器側で発生する影響の度合いに基づいて(数15)、(数16)、(数17)のように定義される。
Figure 0004105221
(数15)は自中継機器と協調相手となる中継機器間との間で、リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる影響の度合いを比較する関数である。
(数15)において、Cselfはリソース(伝送帯域)割当ての競合による自中継機器側での影響の度合いを示す値である。Ckは、リソース(伝送帯域)割当ての競合による協調相手側での影響の程度を示す値である。
next(n)は、中継機器nの協調相手となる中継機器を識別する番号の集合である。
nは中継機器nの協調相手の数である。
(数15)の関数Iは、リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる自身への影響の度合いと協調相手への影響の度合いの平均値が等しい場合に最小値をとり、リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる自身への影響の度合いと、協調相手となる中継機器への影響の度合いの平均値との差異が大きくなるにつれて値が大きくなる関数である。
Figure 0004105221
(数16)は、(数15)の関数Iをα、またはβで偏微分した導関数を右辺に持つ制御式であり、自中継機器と協調相手とのリソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる影響の度合いが等しい状態に近づくようにα、βの値を調整する式である。
γは、α、βの調整速度を決定する係数である。
(数16)をより詳細に説明するために、(数16)を展開した式を(数17)に示す。
Figure 0004105221
(数17)より、リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる自身への影響の度合いが、協調相手への影響の度合いの平均値よりも大きい場合は、αが増加し、またβが減少するため、自中継機器での輻輳状態が緩和するように自分最適化制御の比率が大きくなる。
リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる自身への影響の度合いが協調相手への影響の度合いの平均値よりも小さい場合は、αが減少し、またβが増加するため、リソース(伝送帯域)割当ての競合によって生じる協調相手での影響の度合いが緩和するように全体最適化制御の比率が大きくなる。
なお、α、βの調整にかかる(数15)、(数16)、(数17)では、リソース(伝送帯域)割当ての競合による自中継機器側での影響度合いCselfと協調相手側での影響の度合いCkの値として、輻輳に起因する損失(ロス率、遅延時間、ジッター)の値を用いる以外にも、リソース(伝送帯域)割当ての競合による影響の度合いを測る値として、自中継機器と協調相手のAirTimeメトリックスや、伝送誤り、前方誤り訂正強度、再送回数/時間、収容端末数、受信電界強度、バッファ残量、バッファ残量の変動量を用いてα、βの値を決定しても良い。
図20は、伝送誤りを加味したα、βの制御量を決定する方法について説明するための図である。
伝送誤りを加味するために、中継機器の無線品質管理部305において、行き先の中継機器と自中継機器間の伝送誤り率の計測を行う(S1906)。各行き先の中継機器と自中継機器の間の伝送誤り率が閾値以内であるかを判断し(S1907)、伝送誤り率が閾値以上であれば(S1907でNO)、α、βのパラメータ調整は行わない。これにより、送信端末が早期に、伝送路の異常を検出することが可能となり、早期に送信端末が別の経路を選択することが可能となり、伝送誤りによる品質劣化からの回復を早くできる効果が期待できる。逆に、伝送誤り率が閾値より小さければ(S1907でYES)、図19で示したように、行き先の中継機器のバッファ残量を取得し(S1908)、隣接中継機器と自中継機器のバッファ残量の差分から増減決定する(S1909)。以上の処理を全ての行き先1〜Mnまで実施する(S1910)。伝送誤り率の閾値の決め方としては、自中継機器へ入力のネットワークインターフェースと出力のネットワークインターフェースのそれぞれで観測される平均的な伝送誤り率の差分値に基づく方法や、経験的に伝送誤り率の閾値を決めてもよい。
また、βの増減量として、伝送誤りが多発している際には、送信量を増大させるためにβの値を、伝送誤りが発生していない場合に比べて大きくさせる。これにより、伝送誤りにより生じる輻輳の抑制が期待できる。
さらに、伝送誤り率だけではなく、転送先毎に設定されている前方誤り訂正の強度や、再送回数に基づいて、伝送路の品質を推定し、α、βのパラメータ調整を行うか判断してもよい。例えば、前方誤り訂正の強度が高く、または、再送回数が高い伝送路は伝送品質が低いと判断する。
以上、α、βを調整することで、各中継機器の自分最適化制御と全体最適化制御のバランスをとる方法について記したが、αやβの比率により、特定の経路だけを優先的に伝送することも可能である。具体的には、α、βの比率の決定は、特定の伝送ストリームが優先されるように、利用者が優先度を高くしたいカメラを明示的に示して割り振る方法でもよいし、撮影しているカメラで、画像処理やセンサーを用いて被写体の存在を自動的に判断し、被写体が存在すれば、自動的に高い優先度を割り振る方法であってもよい。
(実施例)
図21は、(数14)((数7)および(数13))に基づく自分最適化と全体最適化のための伝送量制御の具体的な例と、その想定条件を説明するための図である。
実施例1では、(数14)((数7)および(数13))に基づくスケジューリングにより、各送信バッファからの送信量を調整することで、自身の中継機器内の各送信バッファ間でのデータ残量の偏りの抑制(自分最適化)、および中継機器間で送信バッファのデータ残量の偏りの抑制(全体最適化)を行う方法について説明する。
実施例1における自分最適化では、自身の送信バッファの状態として各送信バッファ内のデータ残量を用いてスケジューリング(送信量)の調整を行う。
また全体最適化では、協調相手として中継機器自身のデータの転送元、および転送先となる中継機器を選択し、自身の送信バッファの状態として各送信バッファのデータ残量を用い、また協調相手の送信バッファの状態として協調相手の送信バッファの平均データ残量を用いてスケジューリング(送信量)の調整を行う。
実施例2では、(数14)((数7)および(数13))に基づく送信バッファのパケット廃棄により、各送信バッファからの送信量を調整することで、自身の中継機器内の各送信バッファ間でのデータ残量の偏りの抑制(自分最適化)、および中継機器間で送信バッファのデータ残量の偏りの抑制(全体最適化)を行う方法について説明する。
実施例2における自分最適化では、自身の送信バッファの状態として各送信バッファ内のデータ残量を用いてパケット廃棄の調整を行う。
また全体最適化では、協調相手として中継機器自身のデータの転送元、および転送先となる中継機器を選択し、自身の送信バッファの状態として各送信バッファ内のデータ残量を用い、また協調相手の送信バッファの状態として協調相手の送信バッファの平均データ残量を用いてパケット廃棄(送信量)の調整を行う。
実施例3では、(数14)((数7)および(数13))に基づくMAC層でのアクセス制御により各送信バッファの送信量を調整することで、中継機器間で送信バッファのデータ残量の偏りの抑制(全体最適化)を行う方法について説明する。
実施例3における全体最適化では、協調相手として直接通信が可能な1ホップ隣の中継機器を選択し、自身の送信バッファの状態として全ての送信バッファのデータ残量の合計値を用い、また協調相手の送信バッファの状態として協調相手毎の全ての送信バッファのデータ残量を用いてMAC層でのアクセス制御(送信量)の調整を行う。
なお、実施例3の自分最適化では、実施例1のスケジューリング、または実施例2のパケット廃棄を用いる。
実施例4では、複数の送信バッファ毎に独立してMAC層のアクセス制御が行える構成を用いることにより、(数14)((数7)および(数13))に基づくMAC層でのアクセス制御により各送信バッファの送信量を調整することで、自身の中継機器内の各送信バッファ間でのデータ残量の偏りの抑制(自分最適化)、および中継機器間で送信バッファのデータ残量の偏りの抑制(全体最適化)を行う方法について説明する。
実施例4における自分最適化では、自身の送信バッファの状態として各送信バッファ内のデータ残量を用いてMAC層でのアクセス制御(送信量)の調整を行う。
また全体最適化では、協調相手として直接通信が可能な1ホップ隣の中継機器を選択し、自身の送信バッファの状態として各送信バッファ内のデータ残量を用い、また協調相手の送信バッファの状態として協調相手の送信バッファの平均データ残量を用いてMAC層でのアクセス制御(送信量)の調整を行う。
実施例5では、現在標準化が進められている無線LANによりメッシュネットワークを構築するための技術の標準化規格であるIEEE802.11sで利用される輻輳制御要求(CCR:Congestion Control Request)メッセージを利用することにより、協調相手の送信バッファの状態を推定し、直接送信バッファの残量を協調相手と相互に通知しなくても、(数14)((数7)および(数13))に基づく送信量の調整により、自身の中継機器内の各送信バッファ間でのデータ残量の偏りの抑制(自分最適化)、および中継機器間で送信バッファのデータ残量の偏りの抑制(全体最適化)を行う方法について説明する。
さらに実施例5では、輻輳制御要求メッセージより協調相手の送信量を推定し、(数14)((数7)および(数13))に基づく送信量の調整において、中継機器間で送信バッファの状態を比較する代わりに、中継機器間での送信量の比較による送信量を調整する方法について説明する。
(実施例1:スケジューリングによる伝送量制御)
図22は送信バッファのスケジューリングによる送信量の調整方法を説明するための図である。
送信バッファのスケジューリングによる送信量の調整方法としては、重み付きラウンドロビン等の手法を用いることにより、各送信バッファから送信されるデータの送信量を調整できる。
重み付きラウンドロビン(WRR:Weighted Round Robin)は、各送信バッファに対して与えられた重みwn,iの大きさに応じて送信バッファからの伝送量xn,iを調整する手法である。
図22では中継機器nから送信されるデータの送信量がxnであった場合、各送信バッファから送信されるデータの送信量は、送信量の値xnを各送信バッファに与えられた重みwn,iの大きさに比例させて分配した値が、各送信バッファの送信量となる。
このため、スケジューリングによる伝送量xn,iの制御は、(数7)、(数13)の制御式に基づいて各送信バッファに与えられる重みの値wn,iを調整することにより実現する。
まず、(数7)に基づく自分最適化流量制御部1603の制御式について説明する。
Figure 0004105221
(数18)は、(数7)の制御式において制御対象を各送信バッファの重みwn,iに置き換えたものである。さらに、(数18)の関数Fを送信バッファに与えられた重みwn,iで偏微分した制御式を(数19)に示す。
Figure 0004105221
(数19)の右辺∂qn,j/∂wn,jの値は、重みの値の変化量に対するバッファ残量の変化量の関係を表す調整項である。
中継機器nでのデータ送信における送信量をxn,iとすると、単位時間ΔTあたりi番
目の送信バッファのバッファ残量の変化量qn,iは、(数20)に示す関係式で表される。
Figure 0004105221
(数20)において、xn,i,inは中継機器nに送られてくるデータの送信量、xn,i,outは中継機器nから送り出されるデータの送信量である。
送信バッファの重みwn,iの変更により中継機器nへ送られてくるデータの送信量への影響がないものと想定すると、wn,iの変化量に対するxn,i,inの変化量は0となる((数21))。
Figure 0004105221
また、送信バッファの重みwn,iの変更による中継機器nから送信されるデータの送信量xn,i,outの変化量の関係は(数22)で与えられる。
Figure 0004105221
n,outは、中継機器nの全送信バッファから送信されるデータの送信量である。
(数22)におけるWnは、中継機器n内の各送信バッファに与えられた重みwn,iの総和である((数23))。
Figure 0004105221
(数22)の右辺をさらに具体的に示すため、右辺をwn,iで偏微分した制御式を(数24)に示す。但し、welseはi番目以外の送信バッファに割り当てられた重みの総和である。
Figure 0004105221
但し(数24)の定数wn,i,elseは中継機器n内のwn,i以外の重みを足し合わせた値であり、(数25)で定義される。
Figure 0004105221
(数24)より、送信バッファに与えられている重みの調整に対するデータの送信量の増減幅の関係は、wn,iの値が他の送信バッファの重みの総和wn,i,elseに比べて小さいときは、wn,i,elseの二乗分の1程度のほぼ一定の関係をとるのに対し、wn,iがwn,i,elseが比べて大きい場合には、送信バッファに与えられた重みwn,iの大きさの二乗に反比例して伝送量の増減幅が調整される。
即ち、送信バッファに与えられている重みの値が大きい場合には、重みを調整することによることによる送信量の調整への影響が、おおよそ重みの二乗に反比例して小さくなることを示している。
(数19)、(数24)より、自分最適化流量制御部1603によるスケジューリング(重み)の制御式は(数26)により定義される。
Figure 0004105221
(数26)のαw,jは係数であり、(数27)にその定義を示す。
Figure 0004105221
(数26)より、WRRで用いる各送信バッファの重みwn,iの値は、中継機器内の全送信バッファの平均バッファ残量に対し、制御対象となるバッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には重みwn,iの値を大きくし、逆に中継機器内の全送信バッファの平均バッファ残量に対し、制御対象となるバッファiのデータ残量qn,iが小さい場合にはwn,iの値を小さくするように制御される。
(数26)に基づくwn,iの制御は自分最適化流量制御部1603により行われ、(数26)により各送信バッファの重みが調整されることにより、各中継機器は各送信バッファのデータ残量qn,iを同じ値に近づけ、各中継経路の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるように各送信バッファ間のスケジューリングが可能となる。
この結果、各中継機器は各送信バッファのバッファ残量qn,iは同じ値となるように、伝送量が制御され、各転送先の伝送品質(遅延やロス率)が均一な値に近づけられる。
次に、(数13)に基づく全体最適化流量制御部1604の制御式について説明する。
(数13)の制御式において制御対象を各送信バッファの重みwn,iに置き換えたものを(数28)に示す。
Figure 0004105221
(数28)より、さらに具体的な制御式を求めるために関数Gを送信バッファに与えられた重みwn,iで偏微分した制御式を(数29)に示す。
Figure 0004105221
nは中継機器nの協調相手となる中継機器の台数である。
(数29)の右辺の∂qn,i/∂wn,iの部分については、自分最適化流量制御部1603の制御式で求めた(数24)と同様の式である。
(数29)、(数24)より、全体最適化流量制御部1604によるスケジューリング(重み)の制御式は(数30)として定式化される。
Figure 0004105221
nは中継機器nの協調相手となる中継機器の台数である。
(数30)のβw,jは係数であり、(数31)にその定義を示す。
Figure 0004105221
(数30)より、WRRで用いる各送信バッファの重みwn,iの値は、協調相手となる各中継機器の平均バッファ残量の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には重みwn,iの値を大きくし、逆にqn,iが小さい場合にはwn,iの値を小さくするように制御される。
(数30)に基づくwn,iの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数30)により各送信バッファの重みが調整されることにより、自身の送信バッファの残量qn,iと協調相手となる中継機器と平均バッファ残量Qnの値とを均一化させれ、伝送経路上でのバッファ残量の偏りが抑制されるように送信バッファ間のスケジューリングが可能となる。
なお、実施例1ではスケジューリングによる自分最適化の方法として(数7)に基づいて各送信バッファに割り当てられた重みwn,iを制御する(数26)と、全体最適化の方法として(数13)に基づく各送信バッファに割り当てられた重みwn,iを制御する(数30)を例に説明したが、これ以外の制御式であっても各中継機器間でのバッファ残量、および送信バッファ間でのバッファ残量を均一にするように各送信バッファの重みを制御する式であっても良い。
また、スケジューリングによる伝送量制御の方法としてWRRで用いられる重みの値の制御を例に説明を行ったがWRR以外にも送信バッファに割当てられた重みに応じて送信量を調整するWFQ(Weighted Fair Queuing)等のスケジューリング方式に用いても良い。
また、(数22)に示す重みの調整幅に対するバッファ残量の変化量の関係が、重みの大きさに関わらず一定とみなせる場合には、(数22)を定数とした式を用いても良い。
(実施例2:パケット廃棄による伝送量制御)
図23は、送信バッファでのパケット廃棄について説明するための図である。
中継機器内の各バッファのバッファ残量を調整する方法としては、データの伝送量を制御するだけではなく、RED(Random Early Detecition)等のパケット廃棄の手法を用いることにより実現ができる。
REDは、送信バッファ内のバッファ残量(時間平均)に応じて廃棄率yを調整することにより、送信バッファ内のパケットを事前にランダムに選択し、選択されたパケットを廃棄し、輻輳が発生するのを回避する技術である。
図23は、送信バッファ内のバッファ残量(時間平均)とREDにより廃棄されるパケットの割合(パケット廃棄率)の関係を示すグラフである。
図23の横軸は中継機器内のバッファ残量(時間平均)の値を表し、縦軸は送信バッファのパケット廃棄率の値を示している。
REDでは、送信バッファの物理サイズに対して、バッファ残量の上限値(Max Threshold)と下限値(Min Threshold)を決めておき、図23のグラフに示すように平均バッファ残量が下限値(Min Threshold)を超えると一定の割合(傾きa)でパケット廃棄率yを増加させ、平均バッファ残量が上限値(Max Threshold)を超えた場合には、廃棄率yを1.0とするパケット廃棄率yの変更が行われる。
平均バッファ残量の値が下限値(Min Threshold)と上限値(Max Threshold)との間に時のパケット廃棄率の値は、(数32)に示す式によって求められる。
Figure 0004105221
(数32)において、yはパケット廃棄率、qは一定の時間における時間平均バッファ残量、aは傾き(時間平均バッファ残量の値に対するパケット廃棄率の増加量)、bは切片(Mini Thresholdを決定する値)である。
(数32)の傾きaと切片bの値を調整することにより、送信バッファ内のパケット廃棄の程度を変更することが可能であり、これを複数の送信バッファ毎に調整することで中継機器内の各送信バッファ間のデータ残量(バッファ残量)の均一化、または中継機器の送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の均一化を行うことができる。
このため、(数7)、(数13)の制御式に基づいて各送信バッファの廃棄率yを決定する傾きaと切片bの値を調整することにより送信バッファのパケット廃棄率の制御を行う。
まずは、(数7)に基づく自分最適化流量制御部1603の制御式について説明する。
Figure 0004105221
Figure 0004105221
(数33)、(数34)は、(数7)の制御式において制御対象を廃棄率yを決定する傾きan,iに置き換えたものである。また、(数34)は、(数7)の制御式において制御対象を廃棄率yn,iを決定する切片bn,iに置き換えたものである。
さらに、(数33)の関数Fを送信バッファに与えられた重みan,iで偏微分した制御式を(数35)に示す。
Figure 0004105221
また、(数34)の関数Fを送信バッファに与えられた重みbn,iで偏微分した制御式を(数36)に示す。
Figure 0004105221
廃棄率yn,iでパケット廃棄が行われた後のバッファ残量は(数37)に示す値となる。
Figure 0004105221
このため、qn,iの値を傾きan,i、および切片bn,iで偏微分した値はそれぞれ(数38)、(数39)に示す値となる。
Figure 0004105221
Figure 0004105221
(数36)と(数38)より、自分最適化流量制御部1603によるIP層での廃棄率yn,iを決定する傾きan,iの制御式は(数40)により定義される。
Figure 0004105221
(数37)と(数39)より、自分最適化流量制御部1603によるIP層での廃棄率yn,iを決定する傾きbn,iの制御式は(数41)により定義される。
Figure 0004105221
(数40)より、yn,iを決定する傾きan,iの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には傾きan,iの値を大きくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合には傾きan,iの値を小さくするように制御される。
また、(数41)より、yn,iを決定する切片bn,iの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量の平均値に対し、制御対象となるバッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には切片bn,iの値を大きくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合には切片bn,iの値を小さくするように制御される。
(数40)に基づく傾きan,iの値および(数41)に基づく切片bn,iの値の制御は自分最適化流量制御部1603により行われ、(数40)、(数41)により傾きan,iと切片bn,iの値の調整することで、各中継機器は各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)qn,iを同じ値に近づけ、各中継経路毎の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるように各送信バッファでのパケット廃棄が可能となる。
この結果、各中継機器は各送信バッファのバッファ残量qn,iは同じ値となるように、伝送量が制御され、転送先毎の伝送品質(遅延やロス率)が均一な値に近づけられる。
次に、(数13)に基づく全体最適化流量制御部1604の制御式について説明する。
(数13)の制御式において制御対象をパケット廃棄率yn,iを決定する傾きan,iに置き換えたものを(数42)に示す。
Figure 0004105221
また、(数13)の制御式において制御対象をパケット廃棄率yn,iを決定する傾きbn,iに置き換えたものを(数43)に示す。
Figure 0004105221
(数42)より、さらに具体的な制御式を求めるために関数Gをパケット廃棄率yn,iを決定する傾きan,iで偏微分した制御式を(数44)に示す。
Figure 0004105221
(数43)より、さらに具体的な制御式を求めるために関数Gをパケット廃棄率yn,iを決定する傾きbn,iで偏微分した制御式を(数45)に示す。
Figure 0004105221
(数44)より、パケット廃棄率yn,iを決定する傾きan,iの値は、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には傾きan,iの値を大きくし、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合には傾きan,iの値を小さくする。
(数45)より、パケット廃棄率yn,iを決定する切片bn,iの値は、協調相手となる各中継機器の平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合には切片bn,iの値を大きくし、協調相手となる各中継機器の平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合には切片bn,iの値を小さくする。
(数44)、(数45)に基づくパケット廃棄率yn,iを決定する傾きan,iと切片bn,iの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数44)、(数45)により傾きan,iと切片bn,iの値の値を調整することで、自身の送信バッファの残量qn,iと協調相手となる中継機器と平均データ残量Qnの値とが均一化させることで、伝送経路上での送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の偏りを抑制するように各送信バッファのパケット廃棄が可能となる。
なお、実施例2ではパケット廃棄による自分最適化の方法として(数7)に基づいて各送信バッファのパケット廃棄率yn,iを制御する(数40)、(数41)を、また全体最適化の方法として(数13)に基づいて各送信バッファのパケット廃棄率yn,iを制御する(数44)、(数45)を例に説明したが、これ以外のパケット廃棄率を制御式であっても、各中継機器間でのバッファ残量、および送信バッファ間でのバッファ残量を均一にするように各送信バッファの重みを制御する式であっても良い。
(実施例3:MAC層でのアクセス制御による伝送量制御)
実施例3では、(数13)に基づいてMAC層でのアクセス制御を調整することにより、中継機器間での送信量を調整し、中継機器間でのバッファ残量の偏りを抑制する全体最適化の方法について説明する。
なお、実施例3では、中継機器内の各送信バッファに対して共通のアクセス制御が行われる構成を想定しており、各送信バッファに対して個別に送信を調整することができない。このため、実施例3の自分最適化については、実施例1のスケジューリングや実施例2のパケット廃棄を併用することにより、自分最適化と全体最適化を同時に行う。
以下、MAC層でのアクセス制御による全体最適化について説明する。
図24は、MAC層でのアクセス制御方式として無線LAN等で利用されているCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)による中継機器のデータ送信のタイミングと送信量との関係を説明するための図である。
図24(a)は中継機器nから送信されるデータの伝送量の値を求めるための式である。中継機器nから送信されるデータの送信量は送信データのデータサイズを、送信データの送信をしてから次の送信データを送るまでに必要となる送信時間で割ることで求められる。
図24(b)は、CSMA/CAにおけるデータ(パケット)の送信タイミングを説明するための図である。図24(b)を用いてCSMA/CAによって中継機器nが中継機器mに対してデータを送信している場合を例に、送信データを送信してから次の送信データを送るまでに必要な送信時間の求め方について説明する。
中継機器nから他の中継機器mに対して送信データが正しく送られると、送信データの送信が完了してからSIFS(Short Interframe Space)時間の後、中継機器mは正しくデータが送信されたことを伝えるACKデータを中継機器nに送信する。中継機器nは、中継機器mより送られてきたACKデータを受け取ると、さらにDIFS(DCF Interframe Space)時間とBO(Back Off)時間待機した後、再びデータの送信を行う。このため中継機器nの送信量は、(数46)により求めることができる。
Figure 0004105221
(数46)において、DATA_Sizeは送信データのサイズ、ACK_SizeはACKデータのサイズ、SIFS、DIFS、BOはデータの送信を待機する時間、rはデータの伝送速度であり、(Data_Size / r)は送信データの送信にかかる時間、(ACK_Size / r)はACKデータの送信にかかる時間である。
図24(b)のDIFS時間とBO時間の違いは、DIFSは次の送信まで与えられた一定の時間待機するのに対し、BOは、次の送信まで、図24(c)に示すように、アクセス制御における最小の時間単位となるSlotTimeに0からCW(Contention Window)までの範囲の一様分布から生成されたランダムな整数をかけて求められる時間の待機を行う。このようにBOでは待機時間にランダム性を与えることにより、他の中継機器と同時にデータを送信するのを回避する効果を与えている。また、BOでの待機時間の期待値は、図24(c)に示すようにCWの大きさに比例して変化するため、CWの値を変えることによってBO時間(の期待値)を調整することができる。
MAC層でのデータ伝送量を制御では、(数7)、(数13)に基づいてDIFS時間、およびCW(Contention Window)の調整を行う。
まず、全体最適化流量制御部1604での(数13)に基づくCWの制御式について説明する。
(数47)に(数13)の制御式において制御対象を中継機器nのCWnに代えた式を示す。
Figure 0004105221
なお、中継機器間での協調したMAC層でのデータ伝送量制御では、(数48)に示すように各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量)を用いて制御を行う。
Figure 0004105221
(数47)のnext(n)は、中継機器nの協調相手となる中継機器の番号の集合であり、(数49)は中継機器nと協調相手となる中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量)の集合を表す式である。
Figure 0004105221
さらに具体的な全体最適化流量制御部1604での制御式を求めるために、関数Gを中継機器nのCWで偏微分した制御式を(数50)に示す。
Figure 0004105221
(数50)の右辺の∂qn/∂CWnの値は、CWの変化量に対する中継機器nの送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量)qnの変化量の関係を表す調整項である。
nは中継機器nの協調相手となる中継機器の台数である。
中継機器nでのデータ送信における送信量をxnとすると、単位時間ΔTあたりの中継機器nのCWの調整量に対する送信バッファのデータ残量の変化量qnは、(数51)に示す関係式で表される。
Figure 0004105221
(数51)において、xn,inは中継機器nに送られてくるデータの送信量、xn,outは中継機器nから送り出されるデータの送信量である。
中継機器nのCWnの変更による中継機器nへ送られてくるデータの送信量への影響がないものと想定すると、CWn変化量に対するxn,inの変化量は0となる((数52))。
Figure 0004105221
また、中継機器nのCWnの変更に対する中継機器nから送信されるデータの送信量xn,outの変化量の関係は、図24(b)を用いて説明した(数46)を用いて(数53)で与えられる。
Figure 0004105221
ここで、図24(c)と(数54)に示す式によりBO時間は、CWを含む形で置き換えられる。
Figure 0004105221
(数53)は、CWで偏微分することにより(数55)が求められる。
Figure 0004105221
(数55)のTCWは定数でありその内容を(数56)に示す。
Figure 0004105221
(数55)より、中継機器nのCWnの大きさの調整量に対する、送信バッファからのデータの送信量の増減幅との関係は、CWnの値が他のTCWに比べて小さい時は、TCWの二乗分の1程度の、ほぼ一定の関係をとるのに対し、CWnがTCWが比べて大きい場合には、送信バッファに与えられた重みCWnの大きさの二乗に反比例して伝送量の増減幅が調整される。
即ち、中継機器nのCWnの値が大きい場合には、CWnを調整することによることによる送信量の調整への影響が、おおよそCWnの二乗に反比例して小さくなることを示している。
(数50)、(数55)より中継機器nの1ホップ隣の中継機器との全体最適化制御によるCWの制御式は(数57)として定式化される。
Figure 0004105221
但しβCWは係数であり、その定義を(数58)に示す。
Figure 0004105221
(数57)より、中継機器nのCWnの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはCWnの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値より小さい場合にはCWnの値を大きくするように制御される。
(数57)に基づくCWの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数57)により、協調相手となる中継機器と互いの送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量)qnの値を均一化させることで、伝送経路上での送信バッファのデータ残量(総バッファ残量)の偏りを抑制するようにCWの値が制御される。
なお、CSMA/CAでは、中継機器が送信データを送信したことにより他の中継機器の送信データとの衝突が発生した場合や、送信先の中継機器の送信バッファで輻輳が発生している場合、正しく送信データが送信できなかった場合には、一定の時間待機した後に送信データの再送が行われる。この時CSMA/CAでは、データを再送した時に他の中継機器の送信データと衝突する確率を下げるためにCWの値をバックオフ・アルゴリズムと呼ばれる規則に基づいてCWの値が変更される。
バックオフ・アルゴリズムによるCWの変更では、CWminを初期値として上限となるCWmaxの値まで再送が行われるたびにCWの値を2倍に増やす処理が行われる。
このため、バックオフ・アルゴリズムによるCWの制御が行われている中継機器において、(数13)に基づくMAC層でのデータ伝送量の制御を行うためには、(数57)の代わりにCWの初期値となるCWminやその上限とを決めるCWmaxの値を調整することが望ましい。
(数59)にCWminの制御式を、(数60)にCWmaxの制御式を示す。
Figure 0004105221
Figure 0004105221
(数59)より、中継機器nのCWminの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはCWminの値を小さくし、逆に中継機器内の送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値より小さい場合にはCWminの値を大きくするように制御される。
また、(数60)より、中継機器nのCWmaxの値は、中継機器内の送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはCWmaxの値を小さくし、逆に中継機器内の送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値より小さい場合にはCWmaxの値を大きくするように制御される。
(数59)に基づくCWminの制御、および(数60)に基づくCWmaxの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数59)、(数60)により各送信バッファのCWmin、CWmaxの値を調整することで、中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)と協調相手となる中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)とを均一化し、各中継経路毎の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
また、CWの代わりにDIFSの値を調整した場合の式は、CWをDIFSに置き換えて同様に定式化される。(数61)にDIFSの制御式を示す。
Figure 0004105221
(数61)におけるβDIFSは係数であり、その内容を(数62)に示す。
Figure 0004105221
(数61)におけるTDIFSは定数であり、その内容を(数63)に示す。
Figure 0004105221
(数61)より、中継機器nのDIFSの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはDIFSの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量の合計値(自身の総バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファのデータ残量の合計値(協調相手の総バッファ残量)の平均値より小さい場合にはDIFSの値を大きくするように制御される。
(数61)に基づくDIFSの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数61)により各送信バッファのDIFSを調整することにより、協調相手となる中継機器と互いの送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量qn)を均一化させることで、伝送経路上での送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の偏りを抑制するようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
なお、実施例3ではMAC層での伝送量制御の方法として(数13)に基づく、CSMA/CAの調整パラメータとしてCWを制御する(数57)と、CWminを制御する(数59)と、CWmaxを制御する(数60)と、DIFSを制御する(数61)を例に説明したが、これ以外の制御式であっても各中継機器間での送信バッファのデータ残量の合計値(層バッファ残量)を均一にするように各送信バッファの伝送量を制御する式であっても良い。
例えば、中継機器から送信されるデータの送信量を求めるために図24に示す送信タイミングを想定し(数46)の式に基づいてスループットを算出したが、中継機器間でのRTS(送信要求)とCTS(受信準備完了)の通知を考慮した送信タイミングを想定して求められる送信量の式を用いるなど、想定条件に応じて他の式を用いても良い。
また、(数51)に示す制御対象となるCW(CWmin、CWmax)やDIFSの調整幅に対する送信バッファのデータ残量の変化量が、CW(CWmin、CWmax)の大きさに関わらず一定とみなせる場合には(数51)を定数として調整を行っても良い。
(実施例4:各送信バッファに個別のアクセス制御ができる場合の伝送量制御)
各送信バッファにCSMA/CAによるアクセス制御を独立して行える場合について、(数7)と(数13)に基づくMAC層でのアクセス制御による自分最適化と全体最適化の方法について説明する。
各バッファに独立してMAC層でのアクセス制御を制御する方法としては、IEEE802.11eにおい規格化されているEDCA(Enhanced Distributed Channel Access)により実現できる。
図25は、EDCAにおけるアクセス制御を説明するための図である。
図25(a)に示すようにEDCAでは、データの優先度に応じてQoS(Quality of Service:通信品質)制御を行うために、4つの送信バッファ(アクセスカテゴリー)が用意されており、送信バッファ毎に独立してCSMA/CAによるアクセス制御を行うことができる。
EDCAでは、図25(b)に示すように各送信バッファにACKデータの受信後の待機時間としてDIFS時間の変わりとなるAIFS(Arbitration IFS)時間と、BO時間を決定するCWmin、CWmax、およびバッファが排他的に送信権を取得できる時間を決めるTXOP(Transmission Opportunity:排他的なチャンネル利用)が用意されている。
このため、各バッファのAIFS時間、CWmin、CWmax、およびTXOPを調整することにより、各バッファから送信される送信データの送信量を個別に変更することが可能となる。
自分最適化流量制御部1603による(数7)に基づくCWmin、CWmaxの制御式について説明する。
(数7)の制御式において制御対象を中継機器nのCWmin、CWmaxに代えた制御式を示す。
(数64)は、自分最適化流量制御部1603によるCWminの制御式である。
Figure 0004105221
(数65)は、自分最適化流量制御部1603によるCWmaxの制御式である。
Figure 0004105221
(数66)に、(数64)、(数65)における係数βCWの内容を定義した式を示す。
Figure 0004105221
(数67)に、(数64)、(数65)における定数TCWの内容を定義した式を示す。
Figure 0004105221
(数64)より、中継機器nのCWminの値は、中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合にはCWminの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合にはCWminの値を大きくするように制御される。
また、(数65)より、中継機器nのCWmaxの値は、中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合にはCWmaxの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合にはCWmaxの値を大きくするように制御される。
(数64)、(数65)に基づくCWmin、またはCWmaxの制御は自分最適化流量制御部1603により行われ、(数64)、(数65)により各送信バッファのCWmin、またはCWmaxの値を調整することで、各中継機器は各バッファのデータ残量(バッファ残量)qn,iを同じ値に近づけ、各中継経路の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
(数64)、(数65)の導出については、全体最適化流量制御部1604におけるMAC層での制御式(数59)、(数60)と同様であるため説明を省略する。
(数64)、(数65)と(数59)、(数60)の違いは、(数59)、(数60)は、1ホップとなりの中継機器と互いの送信バッファのデータ残量の合計値(総バッファ残量)qnを比較することによりMAC層での伝送量の制御を行う制御式であるのに対し、(数64)、(数65)は、同一の中継機器内にある複数の送信バッファ間でのデータ残量(バッファ残量)qn,iの比較によって各バッファの送信量を調整する制御式であることである。
また、AIFSの値を調整した場合の自律型の制御式は、CWmin、CWmaxの制御式と同様に(数68)に示す式で定義される。
(数68)は、自分最適化流量制御部1603によるAIFS時間の制御式である。
Figure 0004105221
(数68)におけるTAIFSは定数であり、その定義を(数69)に示す。
Figure 0004105221
(数68)のαAIFSは係数であり、その定義を(数70)に示す。
Figure 0004105221
(数68)より、中継機器nのAIFSの値は、中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合にはAIFSの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合にはAIFSの値を大きくするように制御される。
(数68)に基づくAIFSの制御は自分最適化流量制御部1603により行われ、(数68)により各送信バッファのAIFSの値を調整することで、各中継機器は各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)qn,iを同じ値に近づけ、中継経路毎の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
次に、(数7)に基づく自律型のTXOPの制御式について説明する。
図26は、EDCAにおける排他的に送信権(TXOP)を獲得した場合のデータの送信タイミングを説明するための図である。
中継機器に対してTXOP時間が与えられた場合、中継機器はTXOP時間の間、AIFS時間およびBO時間を待つことなく連続してデータを送信することができる。
このためTXOP時間が与えられている場合の中継機器から送信される送信データの送信量は、図26に示した送信データの送信タイミングより(数71)として求められる。
Figure 0004105221
(数71)において右辺の分子はTXOP時間内に送信されたデータのサイズであり、右辺の分母はデータの送信にかかった時間の総和である。
(数7)の制御式において制御対象を中継機器nのTXOPに代えた制御式を(数72)に示す。
Figure 0004105221
(数72)のαTXOPは係数であり、その定義を(数73)に示す。
Figure 0004105221
(数72)より、中継機器nのTXOPの値は、中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが大きい場合にはTXOPの値を大きくし、逆に中継機器内の各送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)に対し、制御対象となる送信バッファiのデータ残量qn,iが小さい場合にはTXOPの値を小さくするように制御される。
(数72)に基づくTXOPの制御は自分最適化流量制御部1603により行われ、(数72)により各送信バッファのTXOPの値を調整することで、各中継機器は各送信バッファのデータ残量qn,iを同じ値に近づけ、各中継経路の伝送品質(遅延やロス率)が均一となるようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
※EDCAの機能を備えた中継機器での全体最適化制御
また、EDCAの機能を備えた中期機器間で協調相手となる中継機器との全体最適化制御させる場合には、(数64)、(数65)、(数68)、(数72)の各制御式において送信バッファ残量の比較相手を同じ中継機器内の他の送信バッファのデータ残量(バッファ残量)から、協調相手となる他の中継機器内の送信バッファの平均データ残量(平均データ残量)に置き換えることにより、伝送経路上での送信バッファのデータ残量の偏りを抑制するように、各送信バッファに対して全体最適化のためのMAC層でアクセス制御が実現できる。
(数74)に、全体最適化流量制御部1604によるCWminの制御式を示す。
Figure 0004105221
(数75)に、全体最適化流量制御部1604によるCWmaxの制御式を示す。
Figure 0004105221
(数74)、(数75)におけるβCWは係数であり、その定義を(数76)に示す。
Figure 0004105221
(数74)より、中継機器nのCWminの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはCWminの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値より小さい場合にはCWminの値を大きくするように制御される。
(数75)より、中継機器nのCWmaxの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはCWmaxの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値より小さい場合にはCWmaxの値を大きくするように制御される。
(数74)、(数75)に基づくCWmin、CWmaxの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数74)、(数75)によりCWmin、CWmaxの値を調整することにより、各送信バッファの各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)と協調相手となる中継機器の平均データ残量(平均バッファ残量)qnを均一化させることで、伝送経路上でのバッファ残量の偏りを抑制するようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
(数77)に、全体最適化流量制御部1604によるAIFS時間の制御式を示す。
Figure 0004105221
(数68)、(数77)のβAIFSは係数であり、その定義を(数78)に示す。
Figure 0004105221
(数77)より、中継機器nのAIFSの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはAIFSの値を小さくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値より小さい場合にはAIFSの値を大きくするように制御される。
(数77)に基づくAIFSの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数77)により各送信バッファのAIFSの値が調整されることにより、各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)と協調相手となる全ての中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)qnとを均一化させることで、伝送経路上での送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の偏りを抑制するようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
(数79)に、全体最適化流量制御部1604によるTXOPの制御式を示す。
Figure 0004105221
(数79)のβTXOPは係数であり、その定義を(数80)に示す。
Figure 0004105221
(数79)より、中継機器nのTXOPの値は、中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値よりも大きい場合にはTXOPの値を大きくし、逆に中継機器内の各送信バッファのデータ残量(バッファ残量)が、協調相手となる各中継機器の平均データ残量(平均バッファ残量)の平均値より小さい場合にはTXOPの値を小さくするように制御される。
(数79)に基づくTXOPの制御は全体最適化流量制御部1604により行われ、(数77)により各送信バッファのTXOPを調整することにより、各送信バッファの送信バッファのデータ残量(バッファ残量)と協調相手となる全ての中継機器の送信バッファの平均データ残量(平均バッファ残量)qnを均一化することで、伝送経路上でのバッファ残量の偏りを抑制するようにMAC層でのアクセス制御が可能となる。
なお、実施例4ではEDCAを利用した伝送量制御の方法として(数7)に基づく、CSMA/CAの調整パラメータとしてCWminを制御する(数64)、(数74)と、CWmaxを制御する(数65)、(数75)と、AIFSを制御する(数68)、(数77)と、TXOP時間を制御する(数72)、(数79)を例に説明したが、これ以外の制御式であっても各中継機器間での各送信バッファのデータ残量、およびバッファ間での送信バッファ残量を均一にする制御式を用いても良い。
例えば、中継機器から送信されるデータの送信量を求めるために図25(b)に示す送信タイミングを想定し(数67)の式に基づいてスループットを算出したが、中継機器間でのRTS(送信要求)とCTS(受信準備完了)の通知を考慮した送信タイミングを想定した送信量を用いるなど、想定条件に応じて他の式を用いても良い。
また、実施例3と同様に(数51)に相当する各制御対象となるCWminやCWmax、AIFS,TXOPに対する送信バッファのデータ残量(バッファ残量)の変化量が、ほぼ一定とみなせる場合には、(数51)を定数として調整を行っても良い。
(実施例5:輻輳制御要求メッセージを利用した協調相手の推定)
実施例5では、IEEE802.11sで用いられる輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージを用いることで、近隣の中継機器と互いに送信バッファのパケット残量の通知を行うことなく本発明の伝送量制御を実現する方法について説明する。
図27は、標準規格IEEE802.11sにおける輻輳制御機能の動作を説明するための図である。
現在、IEEE802.11sにおいて、無線LANのアクセスポイント間で、無線によるデータ中継を可能とするための技術の標準化活動がおこなわれており、IEEE802.11sにおいては、各中継機器が自身の輻輳状態を監視し、輻輳が発生した場合には、自中継機器へデータを送信している上流側の中継機器に輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージを通知し、上流側の中継機器の送信量を制限することで輻輳を回避する機能が用意されている。
図27(a)は、IEEE802.11sにおける輻輳制御機能を説明するための中継機器の構成を示す図である。図27(a)では3台の中継機器A、中継機器B、中継機器Cが順番に1列に配置されており、中継機器A(上流)から中継機器B(下流)へ、中継機器B(下流)から中継機器Cへとデータを中継している様子を示している。
図27(b)は、図27(a)の中継機器Aと中継機器Bによる輻輳制御のための動作を説明するタイムチャートである。図27(b)のタイムチャートを用いて各中継機器の動作について説明する。
各中継機器は、各自における輻輳の発生状況の監視を行う(S2701)。
輻輳の発生状況を監視する方法としては、中継機器に送られてくるデータの伝送量と中継機器から送信するデータの伝送量の差分を監視する方法、または送信バッファ内のパケット残量の値を監視する方法が用いられる。いずれの場合においても監視している値の大きさに基づいて輻輳の発生を判定する。
以下、輻輳の発生状況を監視した結果、中継機器Bにおいて輻輳が検出された場合を例に説明を行う。中継機器Bにおいて輻輳が発生する原因として、中継機器Bから送信されるデータの送信量xBよりも、中継機器Bへの送信されるデータの送信量xAの方が大きい状況にあることが挙げられる。このため、中継機器Bは、上流側にある中継機器Aの送信量xAを中継機器Bの送信量xBよりも小さくなるように、自身の送信量xBを測定し(S2702)、上流側の中継機器Aに対して、送信量xBを中継機器Aの送信量xAの目標値(上限値)として伝送量を変更するように輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージを通知する(S2703)。
輻輳制御要求メッセージを受け取った中継機器Aは、自身の送信量xAが、送られてきた送信量xB以下となるように伝送量を調整する(S2704)。
IEEE802.11sの輻輳制御機能による伝送量制御と、本発明の伝送量制御の違いは、本発明の伝送量制御では、中継機器間での送信バッファの混み具合を考慮して、双方の送信バッファのパケット残量に偏りが発生しないように伝送量を制御するのに対し、IEEE802.11sの輻輳制御機能による伝送量制御では、輻輳を検出した中継機器が一方的に上流側の中継機器の伝送量の上限を変更する方式であり、上流側の中継機器の送信量の上限を変えることによる他の中継機器でバッファ残量(輻輳)の変化を考慮していないことである。
図28は、輻輳制御要求メッセージが送信される確率を説明するための図である。
中継機器の輻輳を送信バッファのパケット残量を基に判定する場合、図28(a)に示すように、送信バッファに対してupper_thresholdとlower_thresholdの2種類の閾値が与えられており、パケットの残量がupper_thresholdよりも大きい場合には輻輳制御要求パケットが上流側の中継機器に送信される。パケット残量がlower_threshold以下の場合には、輻輳制御要求パケットは送信されない。また、パケット残量の値がupper_threshold以下、lower_threshold以上の場合には、図28(b)に示す式で算出される確率に基づいて輻輳制御要求パケットが通知される。
例えばlower_thresholdの値を50、upper_thresholdの値を80とした場合、パケット残量が60の場合には輻輳制御要求パケットの送信確率Prは1/3となり、パケット残量が70の場合には輻輳制御要求パケットの送信確率Prは2/3となる。
このようにパケット残量の値がupper_threshold以下、lower_threshold以上の場合には、パケット残量の値に比例して輻輳制御要求パケットの送信確率Prが変化する。
このため、輻輳制御要求パケットの送信確率を他の中継機器側で観測し、輻輳制御要求パケットの送信頻度とパケット残量の関係を示す図28(c)の式を用いることにより、送信バッファのパケット残量を直接通知しなくても送信先の中継機器のパケット残量を推定し、これを伝送量制御に用いることができる。
輻輳制御要求パケットの送信頻度からのパケット残量の推定については、バッファ残量通信部1602において行う。バッファ残量通信部1602は、他の中継機器から送られてくる協調のための情報の代わりに、所定の時間内で受け取った輻輳制御要求メッセージの数や割合から送信確率を求め、図28(c)式を用いてバッファ残量を推定する。
なお、中継機器のパケット残量をより詳細に特定するために、upper_thresholdとlower_thresholdの値を変更してもよい。例えばupper_thresholdをバッファの大きさの上限値に設定し、lower_thresholdを0とすることで、パケット残量が0%の状態から100%の状態までを推定することができる。
また中継機器ごとにupper_thresholdとlower_thresholdが異なる場合には、図11で説明した性能情報として、upper_thresholdとlower_thresholdを他の中継機器に通知することによりパケットの残量を推定することが可能である。
輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージより、協調相手の送信バッファの状態が推定できる場合、実施例1から実施例5のいずれかと同じ方法により、自分最適化と全体最適化のための伝送量制御が可能である。
輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージの送信確率が、送信バッファのパケット残量によって変化しない場合には、協調相手との送信バッファのパケット残量の差異に基づいて伝送量を調整する(数13)の変わりに、協調相手の伝送量と自身の伝送量の差異に基づいて伝送量を調整する(数81)、(数83)の制御式を用いることにより、輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージによって得られる伝送量の情報だけで、各中継機器の伝送量が均一化され伝送経路上での輻輳の発生を抑制することができる。
Figure 0004105221
(数81)において、nは中継機器を区別するための番号である。
また、i、jは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。
next(n)は、中継機器nの協調相手となる中継機器を識別する番号の集合である。
nは中継機器nの協調相手の数である。また、(数81)のXは、輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージから取得された協調相手となる中継機器の送信量xの集合である、Xの定義を(数82)に示す。
Figure 0004105221
また、(数81)の関数Jは、中継機器n内のi番目の送信バッファの伝送量xiが、協調相手となるNn個の中継機器の送信量xkの平均値と等しい時に最小値(0)となり、中継機器n内のi番目の送信バッファの送信量xiと、協調相手となるNn個の中継機器の送信量xkの平均値との差が大きくなるにつれて値が単調に増加する関数である。
Figure 0004105221
(数83)においてnは中継機器を区別するための番号である。
また、i、kは中継機器内の送信バッファを区別するための番号である。
next(n)は、n番の中継機器の協調相手となる中継機器を識別する番号の集合である。Nnは中継機器nの協調相手となる中継機器の数である。βは係数である。
(数83)は、(数81)の関数をデータ伝送量xn,iで偏微分した導関数を右辺に持つ制御式であり、全体最適化流量制御部1604は関数Jの値が最小値に近づくようにデータ伝送量xn,iの値を算出する式である。
(数83)より、中継機器n内のi番目の送信バッファの伝送量を、自身の伝送量xiが協調相手となる他の中継機器の伝送量xkの平均値よりも大きい場合には小さく、自身の送信量xiが、協調相手となる他の中継機器の送信量xkの平均値よりも小さい場合には大きくするように制御を行う。
(数83)に基づく伝送量の制御は、全体最適化流量制御部1604により行われ、協調相手となる中継機器の送信量xkと等しい値に近づくように調整される。その結果、送信元から送信先までの経路上の一部の中継機器において送信量xの偏りが抑制されるため、輻輳の発生を抑制できる。
なお、IEEE802.11sにおける輻輳に基づくメッセージの送信として、ユニキャスト通信に用いられる輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージの代わりに、ブロードキャスト通信に用いられるNeighborhood Congestion Annuncementメッセージを用いて輻輳が発生している中継機器のバッファ残量の推定や、伝送量の値を取得しても良い。
以上説明したように、標準規格IEEE802.11sにおいて利用される輻輳制御要求(Congestion Control Request)メッセージを用いることにより、既存の標準規格で利用されるメッセージだけを用いて、伝送経路上でのバッファ残量の偏りを抑制する伝送量制御を実現することができる。
なお、実施例1から5では、協調相手が持つ複数のバッファのバッファ残量を平均値や合計値として通知する場合を想定して説明を行ったが、バッファ残量通信部1602において各バッファ残量や伝送量を個別に通知し、全体最適化流量制御部1604において各データフローの伝送経路に関係するバッファのバッファ残量をだけを選択して用いるようにしても良い。これによりトラフィックの流れる経路に関係する送信バッファのパケット残量だけ用いて伝送量xn,iの調整が行えるため、より精度の高い伝送量xn,iの制御ができる。
また、実施例では自分最適化制御の定式化として(数7)を基に説明を行ったが、(数7)に示す式以外を基にして各バッファの込み具合に応じて各バッファの伝送量を決定する式であっても良い。
例えば、中継機器内の各バッファの送信量xn,i,outの値を、中継機器nの総伝送量に対して各バッファのデータ残量の値に比例させて割り当てるために、(数84)に示す評価関数を用いても良い。
Figure 0004105221
(数84)の関数Hは、バッファのデータ伝送量が、中継機器から送信される総伝送量に対して各バッファの残量の値に比例した値である場合に最小値をとり、中継機器から送信される総伝送量に対して各バッファの残量の値に比例した値とバッファのデータ伝送量の差異が大きくなるにつれて値が大きくなる評価関数である。
(数7)に対して(数3)の評価関数Fの代わりに(数84)の評価関数を用いて伝送量の制御式を求めると、(数85)の制御式が求められる。
Figure 0004105221
(数85)において、nは中継機器を区別するための番号である。
また、i、jは中継機器内のバッファを区別するための番号である。
nは中継機器nがデータを転送する1ホップ隣の中継機器の台数である。
αは係数である。
(数85)より、各バッファからの伝送量が中継機器の全伝送量をバッファの残量に比例して分配した値よりも大きい場合には、伝送量を小さくし、各バッファの送信量が中継機器の全送信量をバッファの残量に比例して分配した値よりも小さい場合には、伝送量を大きくするように制御される。
また、上記説明では全体最適化制御の定式化として(数13)を用いて説明を行ったが、全体最適化制御の定式化としては、(数13)に示す式以外であっても伝送経路上における各中継機器の送信バッファの込み具合が均一化するように伝送量を決定する式であれば良い。
例えば、本発明の実施例では伝送経路上において1ホップとなりの中継機器の送信バッファの状態として各送信バッファのデータ残量の平均値の比較を行ったが、これ以外にもバッファ残量の所定の時間内における最大値や最小値、分散(標準偏差)等の値を比較する制御式であってもよい。
このような所定の時間内におけるバッファ残量の最大値を比較する場合には、バッファ内のデータ残量が最も多くなる最悪な条件を考慮して伝送量の調整が行えるのに対し、最小値を比較する場合には、バッファの空を最大限に利用できると想定した場合の伝送量の調整を行うことができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、各通信フローの伝送経路上での輻輳箇所が解消され、輻輳箇所で発生するパケットの再送等による遅延を低減する効果が得られる。
また、各中継機器のデータ残量のほぼ同じ値で増減するため、伝送経路上のバッファ容量を最大限に利用したデータ伝送が可能となり、データのロス率を低減する効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、有線網や無線網上で固定端末や移動端末が接続されるネットワークシステムを用いた映像、音声伝送での高品質伝送を実現し、宅内のモニタリングやタウンモニタリング、ITSなどへの利用が可能である。
また、映像や音声だけではなく、テキスト、静止画、音楽など様々なメディア伝送への適用が可能であり、宅外だけではなく、宅内での高品質なメディア伝送も可能となる。また、UDPやTCPを用いたリアルタイムなメディア伝送だけでなくWebやデータのダウンロード伝送のようなノンリアルな伝送においても高品質な伝送が可能となる。
図1は、本発明で対象となるネットワークの構成について説明するための図である。 図2は、端末の構成について説明するための図である。 図3は、中継機器の構成について説明するための図である。 図4は、中継機器の構成について説明するための図である。 図5は、ネットワーク全体に残留するパケットを最小化させる方法について説明するための図である。 図6は、中継機器の送信流量管理部308の構成を詳細に説明するための図である。 図7は、送信流量の制御のための一連の動作を説明するフローチャートである。 図8は、ルーティング情報からデータ損失率を得る具体的方法について説明するための図である。 図9は、協調相手(範囲)の選択条件を説明するための図である。 図10は、バッファ残量通信部が通信するデータについて説明するための図である。 図11は、バッファ残量通信部が通信するデータについて説明するための図である。 図12は、中継機器間で通知される協調のための情報の内容を説明するための図である。 図13は、通知頻度の決定条件を説明するための図である。 図14は、各動作(自分最適化制御と全体最適化制御)の定式化について説明するための図である。 図15は、各動作(自分最適化制御と全体最適化制御)の定式化について説明するための図である。 図16は、各中継機器での自分最適化制御の手順を説明するフローチャートである。 図17は、各中継機器での全体最適化制御の手順を説明するフローチャートである。 図18は、中継機器において係数α、βを調整する方法について説明するためのフローチャートである。 図19は、隣接中継機器と自中継機器のバッファ残量の差分から、α、βの制御量を決定する方法について説明するための図である。 図20は、伝送誤りを加味したα、βの制御量を決定する方法について説明するフローチャートである。 図21は、実施例における想定条件を説明するための図である。 図22は、送信バッファのスケジューリングによる送信量の調整方法を説明するための図である。 図23は、送信バッファでのパケット廃棄について説明するための図である。 図24は、中継機器から送信されるデータのスループットの算出を説明するための図である。 図25は、EDCAにおけるアクセス制御を説明するための図である。 図26は、排他的に送信権(TXOP)を獲得した場合のデータの送信タイミングを説明するための図である。 図27は、標準規格IEEE802.11sにおける輻輳制御機能の動作を説明するための図である。 図28は、輻輳制御要求メッセージが送信される確率を説明するための図である。
符号の説明
201 表示部
202 復号化部
203 入力部
204 符号化部
205 無線品質管理部
206 輻輳状態管理部
208 誤り訂正符号処理部
209 送受信部
301 受信部
302 受信バッファ管理部
303 行き先振り分け処理部
304 送信バッファ管理部
305 無線品質管理部
306 輻輳状態管理部
307 ルーティング処理部
308 送信流量管理部
309 送信部
310 受信バッファ
311 送信バッファ
501〜508 信号機
1601 バッファ残量取得部
1602 バッファ残量通信部
1603 自分最適化流量制御部
1604 全体最適化流量制御部
1605 バランス調整部
1606 協調相手決定部
1607 送信流量情報管理部
1608 最適化係数記憶部

Claims (22)

  1. 複数の中継機器を経由して、送信端末から受信端末に、データを送信する中継伝送機器であって、
    データの送信先となる中継機器毎に用意され、前記データを一時的に保持する複数の送信バッファと、
    前記複数の中継機器の中から前記中継伝送機器と協調する中継機器である協調中継機器を決定する協調相手決定部と、
    前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器との間で、送信バッファに保持されているデータの残量を含む情報を交換する送信流量情報管理部と、
    前記複数の送信バッファの各々の残量が均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する自分最適化流量制御部と、
    前記複数の送信バッファの残量と前記協調中継機器が有する送信バッファの残量とが均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する全体最適化流量制御部と、
    前記自分最適化流量制御部により決定されるデータ量を重み付けするための自分最適化係数と、前記全体最適化流量制御部により決定されるデータ量を重み付けするための全体最適化係数とを、前記協調中継機器毎に記憶している最適化係数記憶部と、
    前記協調中継機器毎に、前記自分最適化流量制御部で決定されるデータ量を前記自分最適化係数に基づいて重み付けした値と前記全体最適化流量制御部で決定されるデータ量を前記全体最適化係数に基づいて重み付けした値とを合計し、合計値で示されるデータ量のデータを、前記協調中継機器に送信する送信バッファ管理部とを備える
    ことを特徴とする中継伝送機器。
  2. 前記中継伝送機器は、さらに、
    前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器への伝送帯域割り当ての競合による輻輳に対する影響の度合いと前記協調中継機器への伝送帯域割り当ての競合による輻輳に対する影響の度合いとを比較し、前記中継伝送機器への影響の度合いが前記協調中継機器への影響の度合いよりも大きい場合には、前記自分最適化係数を大きくするとともに前記全体最適化係数を小さくし、前記協調中継機器への影響の度合いが前記中継伝送機器への影響の度合いよりも大きい場合には、前記全体最適化係数を大きくするとともに前記自分最適化係数を小さくするバランス調整部を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  3. 前記バランス調整部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より大きい場合には、前記自分最適化係数を大きくするとともに前記全体最適化係数を小さくし、前記中継伝送機器が有する前記複数の送信バッファの残量が前記協調中継機器が有する送信バッファの残量より小さい場合には、前記自分最適化係数を小さくするとともに前記全体最適化係数を大きくする
    ことを特徴とする請求項2に記載の中継伝送機器。
  4. 前記自分最適化流量制御部は、前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器に対応する送信バッファの残量と前記複数の送信バッファの残量の平均値とを比較し、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記複数の送信バッファの残量の平均値より大きい場合には、前記協調中継機器へ送信するデータの量を増加させ、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記複数の送信バッファの残量の平均値より小さい場合には、前記協調中継機器へ送信するデータの量を減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  5. 前記全体最適化流量制御部は、すべての前記協調中継機器が有する送信バッファの残量の平均値を算出し、前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器に対応する送信バッファの残量と前記平均値とを比較し、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記平均値よりも大きい場合には、当該協調中継機器へ送信するデータの量を増加させ、前記協調中継機器に対応する送信バッファの残量が前記平均値よりも小さい場合には、当該協調中継機器へ送信するデータの量を減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  6. 前記協調相手決定部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合には、前記協調中継機器が含まれる、前記中継伝送機器から前記協調中継機器までのホップ数を増加させ、前記中継伝送機器から増加させた後のホップ数以内の距離にある中継機器を前記協調中継機器とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  7. 前記協調相手決定部は、さらに、前記中継伝送機器から増加させた後のホップ数以内の距離にある中継機器のうち、当該中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも大きい前記中継機器を協調中継機器から除外する
    ことを特徴とする請求項6に記載の中継伝送機器。
  8. 前記協調相手決定部は、送信バッファの残量が所定のしきい値よりも小さい中継機器を協調中継機器とし、
    前記所定のしきい値は、前記送信バッファの残量の所定時間内における中央値または最頻値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  9. 前記協調相手決定部は、物理サイズが大きい送信バッファを有する中継機器を優先的に協調中継機器とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  10. 前記協調相手決定部は、AirTimeメトリックス、伝送誤り率、前方誤り訂正強度、再送回数、再送時間および収容端末数のうちの少なくとも1つ以上が前記中継伝送機器よりも高い中継機器を前記協調中継機器より除外する
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  11. 前記協調相手決定部は、受信電界強度が前記中継伝送機器よりも小さい中継機器を協調中継機器より除外する
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  12. 前記協調相手決定部は、前記中継伝送機器の最大伝送速度との最大伝送速度の差の絶対値が所定のしきい値以上の中継機器を前記協調中継機器より除外する
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  13. 前記送信流量情報管理部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合に、前記情報を交換する頻度を増大させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  14. 前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きく、かつ前記協調中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも小さい場合に、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させる
    ことを特徴とする請求項13に記載の中継伝送機器。
  15. 前記送信流量情報管理部は、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きい場合に、前記情報を交換する頻度を増大させ、
    前記第1のしきい値は、前記複数の送信バッファの残量の第1の時間内における中央値または最頻値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  16. 前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの残量が第1のしきい値よりも大きく、かつ前記協調中継機器が有する送信バッファの残量が第2のしきい値よりも小さい場合に、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させ、
    前記第2のしきい値は、前記協調中継機器が有する送信バッファの第2の時間内における中央値または最頻値である
    ことを特徴とする請求項15に記載の中継伝送機器。
  17. 前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記複数の送信バッファの物理サイズが前記協調中継機器が有する送信バッファの物理サイズよりも大きい場合には、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  18. 前記送信流量情報管理部は、前記中継伝送機器からのホップ数が大きい協調中継機器ほど、当該協調中継機器との間で前記情報を交換する頻度を高くする
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  19. 前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器の最大伝送速度が前記協調中継機器の最大伝送速度よりも小さい場合に、当該中継伝送機器との間で前記情報を交換する頻度を増大させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  20. 前記送信流量情報管理部は、前記協調中継機器毎に、前記中継伝送機器と前記協調中継機器とが相互にデータの送信を行なう場合には、前記中継伝送機器の最大伝送速度と前記協調中継機器の最大伝送速度との差の絶対値が所定のしきい値よりも大きい場合に、当該中継伝送機器との間で前記情報を交換する頻度を減少させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の中継伝送機器。
  21. 複数の中継機器を経由して、送信端末から受信端末に、データを送信する中継伝送機器における中継伝送方法であって、
    前記中継伝送機器は、データの送信先となる中継機器毎に用意され、前記データを一時的に保持する複数の送信バッファを備え、
    前記中継伝送方法は、
    前記複数の中継機器の中から前記中継伝送機器と協調する中継機器である協調中継機器を決定する協調相手決定ステップと、
    前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器との間で、送信バッファに保持されているデータの残量を含む情報を交換する送信流量情報管理ステップと、
    前記複数の送信バッファの各々の残量が均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する自分最適化流量制御ステップと、
    前記複数の送信バッファの残量と前記協調中継機器が有する送信バッファの残量とが均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する全体最適化流量制御ステップと、
    前記協調中継機器毎に、前記自分最適化流量制御ステップにおいて決定されるデータ量を前記自分最適化係数に基づいて重み付けした値と前記全体最適化流量制御ステップにおいて決定されるデータ量を前記全体最適化係数に基づいて重み付けした値とを合計し、合計値で示されるデータ量のデータを、前記協調中継機器に送信する送信バッファ管理ステップとを含む
    ことを特徴とする中継伝送方法。
  22. 複数の中継機器を経由して、送信端末から受信端末に、データを送信するコンピュータ実行可能なプログラムであって、
    前記コンピュータは、データの送信先となる中継機器毎に用意され、前記データを一時的に保持する複数の送信バッファを備え、
    前記プログラムは、
    前記複数の中継機器の中から前記中継伝送機器と協調する中継機器である協調中継機器を決定する協調相手決定ステップと、
    前記協調中継機器毎に、当該協調中継機器との間で、送信バッファに保持されているデータの残量を含む情報を交換する送信流量情報管理ステップと、
    前記複数の送信バッファの各々の残量が均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する自分最適化流量制御ステップと、
    前記複数の送信バッファの残量と前記協調中継機器が有する送信バッファの残量とが均一になるように、前記中継伝送機器から前記協調中継機器へ送信するデータの量を、前記協調中継機器毎に決定する全体最適化流量制御ステップと、
    前記協調中継機器毎に、前記自分最適化流量制御ステップにおいて決定されるデータ量を前記自分最適化係数に基づいて重み付けした値と前記全体最適化流量制御ステップにおいて決定されるデータ量を前記全体最適化係数に基づいて重み付けした値とを合計し、合計値で示されるデータ量のデータを、前記協調中継機器に送信する送信バッファ管理ステップとをコンピュータに実行させる
    ためのプログラム。
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