JP4104357B2 - オゾンの濃縮方法および濃縮装置 - Google Patents

オゾンの濃縮方法および濃縮装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オゾンを吸着貯蔵し、この貯蔵オゾンを脱着して放出することにより、オゾンの濃縮を行うオゾン濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オゾンを用いて、難分解性物質の分解を行う方法は知られている。しかし、オゾンが分解力を発揮するためには、オゾンを一定濃度以上にする必要がある。オゾンが低い濃度では、反応しにくいためである。
オゾンの濃度を高める方法として、オゾン発生器そのものから高濃度のオゾンを発生させる方法がある。
この他の方法としては、冷却したシリカゲルの貯蔵装置にオゾンを吸着貯蔵し、シリカゲルを加熱・減圧してオゾンをシリカゲルより脱離させる方法が取られている。このような方法としては、特開平11−3355102号公報に示される技術や、特開2000−72408号公報に示されるものがある。
また、シリカゲルへのオゾンの吸着量を増やすために、シリカゲルに含まれる水分を出来るだけ少なくする方法が取られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、オゾン発生器そのものから高濃度のオゾンを発生させる方法においては、オゾン濃度の上昇に伴い、必要となるエネルギーが膨大になるとともに、オゾンの収率が低下する。
また、冷却したシリカゲルの貯蔵装置にオゾンを吸着貯蔵し、シリカゲルを加熱・減圧して脱離させる方法においては、オゾンの濃縮に冷却・加熱のサイクルもしくは、加圧・減圧のサイクルが必要となり、余分なエネルギーを必要とするものであり、装置が大掛かりになる。
さらに、貯蔵媒体となるシリカゲルの温度変化が大きく、濃縮作業は温度による影響を大きく受け、時間がかかるとともに制御が複雑となる。
シリカゲルは保温タンク内に保持されるものであり、シリカゲルの冷却および加熱は、主に放射熱を利用するものであり、効率的に冷却および加熱することが困難である。
そこで、本発明は、オゾンの濃縮を少ないエネルギーでおこない、オゾン濃縮におけるエネルギー効率を改善するとともに、シリカゲルに与える温度変化を少なくし、オゾン濃縮制御を容易にすることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明は次のような手段を用いる。
まず、オゾンを濃縮する際には、オゾンをオゾン貯蔵装置に一旦貯蔵し、オゾン貯蔵装置よりオゾンを放出させることにより行うものである。
オゾンを一旦シリカゲルに吸着させた後に、シリカゲルより脱離させて、オゾン濃度を上昇させる方法をとるものである。
【0005】
オゾンの貯蔵過程において、貯蔵媒体であるシリカゲルを冷却することにより、オゾンを効率的に貯蔵することが可能となる。
本発明のシリカゲルの冷却方法としては、吸着物の脱離による温度低下を利用する。
オゾンを吸着する前に、シリカゲルに冷却用物質を吸着させておく。そして、オゾン導入と同時もしくは直前に、冷却用物質をシリカゲルより脱離させる。冷却用物質がシリカゲルより脱離することで、シリカゲルが冷却されるものである。
これにより、シリカゲル全体をむらなく、効率的に冷却することができるものであり、冷却にかかる時間を短くできる。
【0006】
シリカゲルより脱離してシリカゲルの温度を低下させる冷却用物質としては、水を利用するものである。水は、反応性が低く、環境に対する影響も少なく、取扱いが容易である。特に、排水処理にオゾンを利用する場合にオゾンの分解を阻害しないものである。
オゾンを吸着させる前に、予めシリカゲルに一定量の水分子を吸着させ、オゾンを吸着させる前に、シリカゲルより水を脱離させることにより、シリカゲルを効率的に冷却することが出来るものである。
【0007】
シリカゲルの加熱方法としては、吸着による温度上昇を利用する。
シリカゲルに加熱用物質を吸着させ、シリカゲルの温度を上昇させて、オゾンの脱離を促進するものである。
すなわち、オゾンを吸着したシリカゲルに加熱用物質を供給し、加熱用物質のシリカゲルへの吸着により、シリカゲルに熱量を供給する。
これにより、オゾンがシリカゲルより脱離する際のシリカゲルの温度低下が解消され、オゾンの脱離が効率的に行われるものである。
【0008】
そして、加熱用物質として、前述の冷却用物質と同様に水を用いるものである。加熱用物質と冷却用物質とを同一の物質とすることにより、オゾンの吸着および脱離を容易に繰り返すことができる。
シリカゲルに加熱用物質を吸着させてシリカゲルの温度を上昇させ、シリカゲルに吸着した加熱用物質を脱離させることによりシリカゲルを冷却することができるものである。
【0009】
図1(a)はオゾンの吸着過程を示す模式図、図1(b)はオゾンの脱離過程を示す模式図である。
図1(a)に示すごとく、オゾンの吸着過程において水を脱離させることにより、オゾン吸着によるシリカゲルの温度上昇を抑制するものである。オゾンがシリカゲルに吸着する際には、吸着によるエネルギーがシリカゲルに熱として伝達される。水がシリカゲルより脱離する際には、シリカゲルより熱を奪って脱離する。このため、オゾン吸着によるシリカゲルの温度上昇を、水の脱離により抑制するものである。
そして、図1(b)に示すごとく、オゾンの脱離過程において水を吸着させることにより、オゾン脱離によるシリカゲルの温度降下を抑制するものである。
【0010】
オゾンを吸着したシリカゲルに加熱用物質である水を供給する方法としては、オゾンのパージに使用する酸素ガスに一定量の水を混合するものである。
これにより、オゾンをシリカゲルから脱離させるガスを供給するとともに、シリカゲルの温度を上昇させ、効率的にオゾンの脱離を行うことができる。
【0011】
そして、オゾンをシリカゲルへ吸着させる際には、オゾンの脱離に用いた水をシリカゲルより脱離させる。これにより、シリカゲルの温度調節を行い、効率的なオゾン吸着を行うものである。
【0012】
図2は吸着質分子の吸着モデルを示す図である。
等温条件下における、シリカゲルへのオゾンの吸着および脱着速度を決定する要素として、多孔性吸着剤への吸着が考えられる。
吸着過程は、図2に示すように、3つの過程に分けて考えることができる。過程(a)は流体境膜と呼ばれる粒子表面に付着した薄い流体の層を通しての分子拡散と考えられる。
過程(b)は拡散が主体であり、細孔内の気相での拡散(細孔拡散)と細孔の壁に吸着された分子が吸着状態のままで、壁の表面を拡散する表面拡散とがある。
過程(c)は細孔内の吸着サイトへの吸着である。吸着速度は、これら3つの吸着過程における各拡散速度によって支配される。
すなわち、シリカゲルにオゾンが供給された場合には、オゾンはシリカゲルの流体膜を通って、吸着剤粒子の細孔内へと拡散する。そして、細孔内において吸着するものである。
【0013】
図3はオゾンの移動モデルを示す図である。
上述の移動速度を模式図により表すと、図3のようにはる。
すなわち、単位時間あたりのオゾン移動量はシリカゲル外部のオゾン濃度とシリカゲルに貯蔵されたオゾンに起因する吸着点近傍のオゾン濃度差に比例する。
すなわち、オゾンが吸着された状態で、シリカゲルを取り囲むオゾン濃度が小さくなれば、オゾンはシリカゲルより脱離することとなる。
【0014】
オゾンをシリカゲルに供給して吸着させた後に、酸素ガスを供給することにより、シリカゲル周囲のオゾン濃度が低下する。これにより、シリカゲル外とシリカゲル内のオゾン濃度差を増大させて、シリカゲル内に吸着したオゾンを脱離させるものである。そして、酸素ガスに水分を含ませることにより、オゾンの脱離を効率的に行うものである。
【0015】
オゾンの吸着および脱着は、オゾンの臨界温度近傍において行うものである。
図4は脱離および吸着を行う場合の温度変化を示す図である。
図4に示すごとく、本発明において、オゾンのシリカゲルへの吸着および脱離を、オゾンの臨界温度付近で行うものである。
シリカゲルを用いて、オゾンの臨界温度より低い温度においてオゾンの吸着を行い、臨界温度より高い温度においてオゾンの脱離を行うものである。
オゾンのシリカゲルへの吸着特性を利用することにより、臨界温度(−12.1℃)以下でオゾンを安定して貯蔵することが出来るものである。
【0016】
オゾンは、シリカゲルの細孔において毛管凝縮され、高い圧力により凝縮した状態と同等となる。これにより、細孔内のオゾンが、オゾンの臨界圧力である55気圧以上の圧力により凝縮されたと同等になるものである。そして、臨界圧力下において臨界温度以下とすることにより、オゾンを液化凝縮することが出来るものである。
オゾンを吸着する場合には、臨界温度以下において行うことにより、シリカゲル細孔の毛管凝縮効果でオゾンに臨界圧力以上の圧力がかかったのと同等の状態で液化凝縮を発生させることができるものである。
そして、オゾンを脱離させる場合には、臨界温度より高くすることにより、オゾンが気化して、オゾンがシリカゲルより放出されるものである。
【0017】
オゾンはシリカゲル細孔の毛管凝縮効果により、細孔内において高圧力を受けたと同等の状態になる。このため、臨界温度より低い温度に保つことにより、オゾンを液化して効率的に貯蔵でき、臨界温度より高い温度に保つことにより、オゾンを気化させて効率的に放出させることができる。
すなわち、シリカゲルの温度を臨界温度近傍において、臨界温度を境に高い温度とすることによりオゾンの脱離を行い、低い温度とすることによりオゾンの吸着を行うものである。
そして、オゾンのシリカゲル内およびシリカゲル外への拡散は、シリカゲル内とシリカゲル外の気相におけるオゾン濃度の調節により制御するものである。
【0018】
オゾンの臨界温度付近において、オゾンの吸着および脱離の制御を行うことにより、シリカゲルの温度変化を少なくすることを見出したものである。
さらに、オゾンの臨界温度である−12℃付近において、オゾンの吸着および脱離を行い、吸着および脱離に必要となるエネルギーを小さくできることを見出したものである。
これにより、シリカゲルの温度調節を容易にし、オゾンの濃縮を効率的に制御することができる。
【0019】
請求項1に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンの吸着および脱離をオゾンの臨界温度付近であって、吸着時には臨界温度より低い温度において、脱離時には吸着媒体に水分を吸着させて、吸着媒体の温度を上昇させ臨界温度より高い温度において行う。
【0020】
請求項2に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、水分を吸着させたシリカゲルにオゾンを供給し、オゾン導入と同時もしくは直前に水分を脱離させて、該脱離による温度低下によりシリカゲルを冷却する。
【0021】
請求項3に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンを吸着したシリカゲルに水分を含んだ酸素を供給し、該シリカゲルに水分を吸着させてシリカゲルの温度を上昇させることでオゾンを脱離させる。
【0022】
請求項4に記載のごとく、酸素供給装置と、オゾン発生装置と、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクとにより構成され、オゾン貯蔵タンクにオゾンと酸素を交互に供給可能に構成したオゾン濃縮装置において、オゾン貯蔵タンクをオゾン臨界温度付近に保冷する保冷装置と、酸素とともに水分をオゾン貯蔵タンク内に供給する装置とにより構成され、オゾン貯蔵タンク内の吸着媒体に水分を吸着させることによる温度上昇もしくは脱離させることによる温度低下を利用して吸着媒体の温度制御を行うオゾンの濃縮装置を構成するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図5はオゾン濃縮装置の構成を示す模式図である。
オゾン濃縮装置は、酸素ガスボンベ1、オゾン発生器2、保冷装置3、シリカゲルタンク4、オゾン分解器5により構成されている。そして、これらが配管により接続されている。
オゾン発生器2とシリカゲルタンク4とを接続する配管経路には、切換バルブ6、オゾン濃度計7、流量計8、切換弁10が設けられている。そして、シリカゲルタンク4とオゾン分解器5との間には、切換弁11・12、オゾン濃度計16、流量計17が設けられている。
シリカゲルタンク4は保冷装置3内に配設され、保冷装置3により一定温度に調節されているものである。
【0024】
オゾンの濃縮過程について説明する。
まず、オゾンの貯蔵を行い、貯蔵媒体よりオゾンを放出させることによりオゾンの濃縮を行うものである。
オゾンの貯蔵は、シリカゲルタンク4にオゾンを供給することにより行う。
酸素ガスボンベ1より酸素ガスをオゾン発生器2に供給し、オゾン発生器において酸素ガスよりオゾンを生成する。そして、生成したオゾンを、切換弁10を介して、シリカゲルタンク4に下部より内部に導入する。そして、シリカゲルタンク4内に充填たれたシリカゲルにオゾンが吸着させる。なお、オゾンをシリカゲルに吸着させる場合には、シリカゲルタンク4は保冷装置3によりオゾンの臨界温度より低い温度に保たれている。
【0025】
オゾンの放出は、オゾンを貯蔵しているシリカゲルタンク4に酸素ガスを供給することにより行うものである。
切換弁6により酸素ガスボンベ1より、切換弁10・11を介して、シリカゲルタンク4の上部に酸素ガスを供給する。酸素ガスを供給することにより、オゾンガスがシリカゲルより放出され、切換弁12を介してオゾン濃度計16、流量計17を介して放出される。保冷装置3によりシリカゲルタンク4の表面はオゾンの臨界温度より低い温度に接しているが、オゾンガスの継続供給、酸素ガスの供給および水の吸着により、シリカゲルは臨界温度より高い温度に移行する。
【0026】
オゾンが吸着したシリカゲルに上部より酸素ガスを供給することにより、オゾンがシリカゲルタンク4の上部より下部へと下がる。オゾンの分子量は酸素の分子量より大きく、保冷装置3の外部より供給される酸素ガスは放出されたオゾンより温度が高い。さらに、シリカゲルが充填されたシリカゲルタンク4内において対流が発生しにくい。このため、酸素ガスはシリカゲルタンク4の上部より、酸素供給量に応じて上部より充填される。このため、シリカゲルタンク4の下部には濃度の高いオゾンガスが充満し、シリカゲルタンク4より排出されることとなる。
【0027】
そして、上記構成において、オゾンをシリカゲルタンク4より排出させる場合には、酸素ガスに水分を含ませるものである。
酸素ガスをシリカゲルタンク4に供給する場合には、酸素ガスボンベ1とシリカゲルタンク4とを接続する配管経路に水分供給装置を配設し、酸素ガスに一定の水分を混合するものである。
もしくは、酸素ガスボンベ1に予め、適度の水分を含んだ酸素ガスを充填し、酸素ガスをオゾン発生器2に供給する場合には、酸素ガスを、水分除去装置等を介してオゾン発生器2に供給することも可能である。
【0028】
[実験]
図5に示すオゾン濃縮装置を用いて、シリカゲルにオゾンを吸着させた後に脱離させ、オゾンの濃縮を行った。
オゾン貯蔵装置において、酸素ガスボンベ1よりオゾン発生器2にオゾンを供給し、保冷装置3内のシリカゲルタンク4にオゾンを貯蔵した。
そして、酸素をシリカゲルタンク4内に供給し、シリカゲルに貯蔵したオゾンを脱離させ、オゾン分解器5に供給した。オゾンの濃度は、オゾン分解器5の上流側において測定した。
オゾンの供給圧力は1〜1.1気圧であった。シリカゲルは約−17℃に冷却した。オゾン濃度100g/m3であった。シリカゲルは直径6cm、充填長30cmとした。
オゾンを60分間供給し、この後に酸素ガスをシリカゲルに供給した。
【0029】
[結果]
図6はシリカゲルの時間に対する温度を示す図である。
はじめに、オゾンを供給開始直後にはシリカゲルの温度低下が見られ、この後に温度が上昇し、−15℃より高くなった。
オゾンの供給を停止し、16時間放置後酸素を供給すると、温度が一端上昇した後に、徐々に低下した。
【0030】
図6に示されるように、オゾン供給開始により、オゾンの吸着にかかわらず、シリカゲルの温度低下が見られたのは、シリカゲルに吸着していた水の脱離(気化熱)によるものと思われる。そして、その後の温度上昇は、供給ガスであるオゾンガスの温度ならびに吸着によるものと考えられる。
酸素の供給によりシリカゲルの温度が、オゾンの脱着にかかわらず一端上昇したのは、酸素ガスに含まれる水分がシリカゲルに吸着した為と思われる。
シリカゲルに含まれる水分により、オゾン吸着の際にシリカゲル温度を低下させ、吸着効率を向上できるものである。
そして、酸素に含まれる水分によりオゾン脱離時におけるシリカゲルの温度を上昇させ、脱離効率を向上できるものである。
【0031】
このことを利用し、オゾンの吸着および脱離を効率的に行なうことができる。さらに、オゾン貯蔵装置の温度をオゾンの臨界温度付近に設定することにより、温度下降により臨界温度より低い温度として吸着し易くできる。そして、温度上昇により臨界温度を越えオゾンを放出しやすくできる。
すなわち、オゾンの貯蔵および放出を少ないエネルギーで行うことができ、オゾンの濃縮に必要となるエネルギーを少なくできる。また、シリカゲルの温度変化を小さくし、オゾン濃縮の制御を容易にできるものである。
【0032】
オゾン吸着時におけるシリカゲルの冷却方法として、予め水を吸着させたシリカゲルに、オゾンを導入することにより行うことが出来るものである。
オゾンがシリカゲルに吸着されるとともに、水がシリカゲルより脱離する。水が脱離する際の気化熱により、オゾンの吸着による温度上昇を抑制する。
すなわち、水を吸着させたシリカゲルにオゾンを導入することにより、シリカゲルに吸着した水を排除し、オゾンの吸着による温度上昇を抑制するものである。
これにより、効率的なシリカゲルの冷却およびオゾンの貯蔵を行うことができる。
【0033】
シリカゲルに予め吸着させるものとしては、水以外にもオゾンの吸着によりシリカゲルより脱離し、シリカゲルの温度を下げるものであり、オゾンおよび酸素と反応し難いものであれば良く、特に限定されるものではない。なお、シリカゲルよりの脱離は、おもにシリカゲル内とシリカゲル外の濃度差によるものであり、シリカゲルと特殊な結合を行うもの以外であれば利用可能である。
【0034】
オゾン脱離時におけるシリカゲルの温度調節方法として、オゾンが吸着したシリカゲルに、水蒸気を含む酸素を導入するものである。
オゾンが脱離すると同時に水がシリカゲルに吸着する。水が吸着する際の吸着熱により、オゾンの脱離による温度下降を抑制する。
すなわち、水蒸気を含む酸素をオゾン脱離用のガスとして用いることにより、シリカゲルの温度下降を抑制し、温度を安定化して効率的にオゾンの脱離を行なうことができる。
【0035】
次に、オゾン吸着時および脱離時における温度設定について説明する。
オゾンの臨界温度である−12℃付近において、オゾンの吸着および脱離を行う。オゾンはシリカゲルの細孔において毛管凝縮され、高い圧力により凝縮したのと同等の状態となる。これにより、オゾンは−12℃より、低い温度で液化しやすく、高い温度で気化しやすい。すなわち、−12℃より低い温度で吸着を行い、−12℃より高い温度で脱離を行うことにより、効率的な吸着および脱離を行うことができるものである。
そして、保冷装置における温度変動や、温度測定の誤差などを考慮して、安定したオゾンの吸着および脱離操作を行うべく、一定の温度幅を設定するものである。
本実施例においては、約±5℃の幅をもたせ、オゾンの吸着および脱離を行ったものである。この温度幅は、保冷装置の性能や供給するガスの温度等の要因により調節されるものであり、オゾン吸着時にはシリカゲルの温度がオゾンの臨界温度より低く、オゾン脱離時シリカゲルの温度がオゾンの臨界温度より高い状態であればよい。
【0036】
また、上述の構成においては、水分を含む保冷状態のシリカゲルにオゾンを供給することにより水の脱離によりシリカゲルの温度が下がったものであり、オゾンの供給によりシリカゲルの温度を下げたものである。
そして、オゾン脱離時には、保冷状態のシリカゲルに水蒸気を含む酸素ガスを供給することにより、シリカゲルの温度を上昇させたものである。
このため、特別な加熱および冷却装置を用いることなく、ガスの供給によりシリカゲルの温度を調節し、オゾンの効率的な吸着および脱離を行うことが出来るものである。
【0037】
図7はオゾン発生器出口とオゾン分解器直前におけるオゾン濃度を示す図である。
図7に示すごとく、オゾン発生器出口におけるオゾン濃度(供給濃度)とオゾン分解器直前におけるオゾン濃度(放出濃度)との関係について説明する。
まず、オゾン発生器により発生したオゾンがシリカゲルタンクに供給される。供給時間は、0から120分までである。この後には、オゾン発生器が停止し、酸素ガスが供給されている。
オゾン分解器直前におけるオゾン濃度は、40分付近において、上昇をはじめ、120分付近において、オゾン供給濃度に近づくものである。
この後に、オゾンの供給が停止し、酸素ガスが供給される。すると、オゾン分解器直前におけるオゾン濃度は急激に上昇し、120分付近から150分付近の間においてオゾン発生器より供給されたオゾン濃度を大きく上回るものである。このように、オゾンをシリカゲルに吸着貯蔵した後に、オゾンを酸素ガスによりシリカゲルより放出させることにより、シリカゲルに供給したオゾン濃度より高いオゾン濃度を得ることができるものである。
【0038】
そして、オゾンを酸素ガスによりシリカゲルより放出させるとともに、水分をシリカゲルに吸着させることにより、シリカゲルの温度を上昇させ、さらにオゾンの脱離を促進させ、効率的にオゾン濃度を高めることができるものである。
図8はシリカゲルタンク表面温度の変化を示す図である。
シリカゲルタンクは、オゾンを吸着状態で約−20℃に保たれている。そして、図8に示すごとく、120分付近においてシリカゲルタンク内に水分を含む酸素が供給されると、シリカゲルタンクの表面温度は急激に上昇した後に急速に低下する。
水分を含む酸素を供給することにより、水分がシリカゲルに吸着し、シリカゲルの温度を上昇させる。そして、シリカゲルの温度がオゾンの臨界温度を超えると、オゾンはシリカゲルより急速に脱離する。オゾンが急激に脱離することによりシリカゲルの温度が急速に下がり、再び−20℃付近に保たれるものである。すなわち、シリカゲルタンク内において吸着および脱離による温度調節が行われ、シリカゲルタンク外より積極的に加熱および冷却を繰り返す必要がないものである。
なお、図8に示す結果は、1リットル容量のシリカゲルタンク表面の温度を測定したものである。
【0039】
【発明の効果】
請求項1に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンの吸着および脱離をオゾンの臨界温度付近であって、吸着時には臨界温度より低い温度において、脱離時には吸着媒体に水分を吸着させて、吸着媒体の温度を上昇させ臨界温度より高い温度において行うことにより、オゾンを効率的に吸着貯蔵することが可能であり、容易に脱離させることが可能となる。そして、オゾンの吸着および脱離に必要となるエネルギーを少なくでき、効率的なオゾン濃縮を行うことが可能となる。
【0040】
請求項2に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、水分を吸着させたシリカゲルにオゾンを供給し、オゾン導入と同時もしくは直前に水分を脱離させて、該脱離による温度低下によりシリカゲルを冷却するので、オゾンガスの供給によりシリカゲルを冷却し、効率的なオゾンの吸着を行うことができる。シリカゲルへのオゾンガスの供給により、シリカゲル自体を冷却するので、冷却効率が高く、オゾンの吸着を迅速に行うことができる。
【0041】
請求項3に記載のごとく、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンを吸着したシリカゲルに水分を含んだ酸素を供給し、該シリカゲルに水分を吸着させてシリカゲルの温度を上昇させることでオゾンを脱離させるので、オゾンガスの供給によりシリカゲルを加熱し、効率的なオゾンの脱離を行うことができる。シリカゲルへの酸素ガスおよび水分の供給により、シリカゲル自体を加熱するので、加熱効率が高く、オゾンの脱離を迅速に行うことができる。
【0042】
請求項4に記載のごとく、酸素供給装置と、オゾン発生装置と、オゾン脱着に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクとにより構成され、オゾン貯蔵タンクにオゾンと酸素を交互に供給可能に構成したオゾン濃縮装置において、オゾン貯蔵タンクをオゾン臨界温度付近に保冷する保冷装置と、酸素とともに水分をオゾン貯蔵タンク内に供給する装置とにより構成され、オゾン貯蔵タンク内の吸着媒体に水分を吸着させることによる温度上昇もしくは脱離させることによる温度低下を利用して吸着媒体の温度制御を行うオゾンの濃縮装置を構成するので、オゾン貯蔵タンク内部より、温度制御を行うことが可能であり、温度制御を迅速に行うことができる。さらに、オゾン供給前にオゾン貯蔵タンク内の貯蔵媒体に水分を吸着させておき、オゾンを効率的に吸着させ、水分を含む酸素供給により、効率的にオゾンの貯蔵および脱を容易に行うことができ、オゾン濃縮にかかるエネルギーの効率を向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾンの吸着および脱離過程を示す模式図。
【図2】吸着質分子の吸着モデルを示す図。
【図3】オゾンの移動モデルを示す図。
【図4】脱離および吸着を行う場合の温度変化を示す図。
【図5】オゾン濃縮装置の構成を示す模式図。
【図6】シリカゲルの時間に対する温度を示す図。
【図7】オゾン発生器出口とオゾン分解器直前におけるオゾン濃度を示す図。
【図8】シリカゲルタンク表面温度の変化を示す図。
【符号の説明】
1 酸素ガスボンベ
2 オゾン発生器
3 保冷装置
4 シリカゲルタンク

Claims (4)

  1. オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンの吸着および脱離をオゾンの臨界温度付近であって、吸着時には臨界温度より低い温度において、脱離時には吸着媒体に水分を吸着させて、吸着媒体の温度を上昇させ臨界温度より高い温度において行うことを特徴とするオゾンの濃縮方法。
  2. オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、水分を吸着させたシリカゲルにオゾンを供給し、オゾン導入と同時もしくは直前に水分を脱離させて、該脱離による温度低下によりシリカゲルを冷却することを特徴とするオゾンの濃縮方法。
  3. オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクを用いて、オゾンを吸着媒体に吸着させて、該吸着媒体よりオゾンを脱離させることにより、オゾンを濃縮するオゾン濃縮方法において、オゾンを吸着したシリカゲルに水分を含んだ酸素を供給し、該シリカゲルに水分を吸着させてシリカゲルの温度を上昇させることでオゾンを脱離させることを特徴とするオゾンの濃縮方法。
  4. 酸素供給装置と、オゾン発生装置と、オゾン脱離に伴う加熱又は/及び減圧を行わないオゾン貯蔵タンクとにより構成され、オゾン貯蔵タンクにオゾンと酸素を交互に供給可能に構成したオゾン濃縮装置において、オゾン貯蔵タンクをオゾン臨界温度付近に保冷する保冷装置と、酸素とともに水分をオゾン貯蔵タンク内に供給する装置とにより構成され、オゾン貯蔵タンク内の吸着媒体に水分を吸着させることによる温度上昇もしくは脱離させることによる温度低下を利用して吸着媒体の温度制御を行うことを特徴とするオゾンの濃縮装置。
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