JP4103748B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
再生時期の判断については、フィルタの目詰まりにより圧力損失が増大することから、フィルタの前後差圧(上流側と下流側との圧力差)を検出することで、PM堆積量(PM捕集量)を推定し、これが基準値以上となると、再生時期と判断している。
このため、再生中に、運転状態が変化し、再生が続行できなくなるような運転状態に飛び込んで、再生を中断した場合、部分再生状態となるが、周辺部のPMが燃え残るため、PMの偏在を生じてしまう。PMが偏在して堆積し始めると、PM堆積量に対してフィルタ前後差圧が低く現れるようになる。従って、フィルタ前後差圧とPM堆積量との関係が、完全再生後と、部分再生後(再生中断後)とで、変化してしまう。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、部分再生後(再生中断後)におけるPM堆積量の推定精度を高めて、再生時期の判断の適正化を図ることができるようすることを目的とする。
更に、前記補正係数は、再生中断時のPM残量の他、現在の車速に応じて設定する構成とする。
また、現在の車速に応じてもフィルタ前後差圧を補正することにより、車速が高いほど、再生が容易であることから、再生時期をより早めるなどして、偏在状態をより早期に解消することができる。
図1は本発明の一実施形態を示す車両用ディーゼルエンジンのシステム図である。
ディーゼルエンジン1の各気筒の燃焼室2には、吸気系のエアクリーナ3から、可変ノズル型過給機4の吸気コンプレッサ5、インタークーラ6、吸気絞り弁7、及び、吸気マニホールド8を経て、空気が吸入される。燃料供給系は、コモンレール(図示せず)からこれに蓄圧された高圧燃料を導いて各気筒の燃焼室2内に任意のタイミングで燃料噴射可能な燃料噴射弁9を備えて構成され、各気筒の圧縮行程にて燃料噴射(メイン噴射)がなされ、圧縮着火により燃焼する。燃焼後の排気は、排気系の排気マニホールド10、可変ノズル型過給機4の排気タービン11を経て排出される。
DPF12は、図2の斜視図に示すように、多孔質セラミックからなり、円柱状の外形を有するハニカム構造体であり、図示しない円筒状のケーシング内に保持マットを介して収納される。
ここで、エンジンからの排気は、排気流入側セル空間22Aに流入し、多孔質のセル壁21(その気孔)を介してのみ、排気流出側セル空間22Bに流出するので、セル壁21にて排気中のPMを確実に捕集することができる。
次に、ECU13による具体的な制御内容を図4及び図5のフローチャートにより説明する。
S1では、完全再生後(前回の再生は完全再生)か、部分再生後(再生中断後;前回の再生は部分再生)かを判定する。
完全再生後の場合は、S2へ進む。部分再生後(再生中断後)の場合については、後述する。
S3では、エンジン回転数と負荷(アクセル開度)とからマップを参照するなどして排気流量Veを推定する。
S4では、所定のマップを参照し、DPF前後差圧ΔP=αと、排気流量Veとから、DPF12のPM堆積量を推定し、これをPMαとする。
S5では、推定されたPM堆積量(PMα)と、再生時期判断用の基準値(PMγ)と比較して、PM堆積量(PMα)≧PMγか否かを判定する。
図5は再生制御のフローチャートであり、図4のS6(又はS19)に引き続いて実行される。
S22では、DPF12の再生のため、DPF12の温度(DPF12に流入する排気温度)を上昇させる再生処理を行って、DPF12に捕集されているPMを燃焼除去する。具体的には、例えば燃料噴射弁9の燃料噴射時期(メイン噴射時期)の遅角、燃料噴射弁9による膨張行程もしくは排気行程での追加的な燃料噴射であるポスト噴射、吸気絞り弁7の開度減少、又は、可変ノズル型過給機4による過給圧の低下などを用いて、排気温度を上昇させることで、DPF12内の温度をPMの燃焼可能な温度まで上昇させて、DPF12に捕集されているPMを燃焼除去する。この場合、目標再生処理温度として目標DPF入口側排気温度を設定し、これに基づいて、DPF入口側排気温度センサ18により実際の温度を検出しつつ、燃料噴射時期(メイン噴射時期)、ポスト噴射量あるいはポスト噴射時期、吸気絞り弁開度、又は過給圧を制御する。
S24では、所定の完全再生条件を満たしているか否かを判定するため、例えば所定の再生時間が経過したか否かを判定する。
所定の再生時間が経過した場合は、完全再生と判断し、S25で完全再生である旨を記憶した後、S27へ進んで再生処理を終了する。ここでは、S22で再生処理用の値に変更したパラメータを全て元の値(運転状態の応じた通常値)に戻す。
ところで、DPF12の再生を開始すると、DPF12の温度は再生可能な温度まで上昇する。しかし、DPF12の温度は排気ガスによって昇温させているため、排気流量分布により均一にはならず、中心部に比べ、周辺部の温度が若干低い値となってしまう。従って、再生中のPMの燃焼除去は中心部から始まり、徐々に周辺部に波及していく。
これに対し、再生を中断して、部分再生となると、温度分布の関係から、図6(B)に示すように、DPF12の周辺部に多くPMが残り(再生残し分)、その後、PMは中心部が少なく、周辺部が多い偏在状態で、湾曲状に堆積していき、PMの偏在を生じてしまう。
このため、偏在有りの場合に、偏在無しの場合と同様に、DPF前後差圧からPM堆積量を推定すると、誤差が生じる。
そこで、本発明では、部分再生後(再生中断後)に再生時期の判断をする場合は、再生中断時のPM残量を推定し、これに応じて補正係数を設定し、DPF前後差圧の検出値に補正係数を乗じることにより、PM堆積量の推定に用いるDPF前後差圧を補正して、推定誤差の発生を防止する。
従来は、完全再生後であると、部分再生後であるとを問わず、DPF前後差圧がγとなったときに、PM堆積量が再生時期判断用のPMγに達したと判定するので、部分再生後は、実際のDPF前後差圧ΔP=αのとき、実際のPM堆積量がPMγより多いにもかかわらず、完全再生後の特性に基づいてPM堆積量をPMαと推定して、PMγより少ないと誤判定してしまう。
ここで、補正係数Kは、再生中断時のPM残量に応じて、PM残量が多いほど大きく、設定する。再生中断時のPM残量が多いほど、偏在の程度が大きいと考えられ、またPM残量が多いほど、なるべく早期に再生する必要があるからである。
同じ理由から、補正係数Kの設定に際しては、PM残量と車速の重み付けを車速に応じて変化させ、車速が高いほど、車速の重み付けを大きくし、逆にPM残量の重み付けを小さくするのが望ましい。
K=Kp×Wpmx +Kv×Wvsp
Kpは、再生中断時のPM残量に応じて設定される補正係数で、図9に示されるように、PM残量が多いほど大きくする(1≦Kp≦Kmax ;Kmax は例えば2)
Kvは、現在の車速に応じて設定される補正係数で、図10に示されるように、車速が高いほど大きくする(1≦Kv≦Kmax ;Kmax は例えば2)。
また、Wvsp は、図11に示されるように、車速が高いほど大きくする(0≦Wvsp ≦1)。Wpmx は、Wpmx =1−Wvsp であるので、同じく図11に示されるように、車速が高いほど小さくなる(0≦Wpmx ≦1)。
図12は再生中断時PM残量推定のフローチャートであり、所定時間(Δt)毎に実行される。
S101では、再生中(図5のS22の実行中)か否かを判定し、再生中の場合は、S102へ進む。
S103では、エンジン回転数と負荷(アクセル開度)とからマップを参照するなどして排気流量Veを推定する。
S105では、再生速度Sに本ルーチンの実行時間隔Δtを乗じて、PM処理量ΔPMd=S×Δtを算出する。
S101での判定で、再生中でない場合は、S107へ進む。
S107では、再生中断時(図5でS23からS26へ進んだ場合)か否かを判定し、再生中断時は、S108へ進む。
図4は、そのS1→S7〜S19に、部分再生後(再生中断後)の再生時期判断について示している。
S1での判定で、部分再生後(再生中断後;前回の再生が部分再生)の場合は、S7へ進む。
S8では、図9のテーブル(T1)を参照し、再生中断時のPM残量PMxから、これに対応する補正係数Kpを求める。
S9では、車速センサ16の信号より、現在の車速VSPを検出する。
S11では、図11のテーブル(T3)を参照し、現在の車速VSPから、これについての重み付け定数Wvsp 求める。
S12では、Wpmx =1−Wvsp として、PM残量についての重み付け定数Wpmx を求める。
K=Kp×Wpmx +Kv×Wvsp
S14では、差圧センサ17の信号を読込んで、DPF12の前後差圧ΔPを検出し、これをαとする。
β=α×K
S16では、エンジン回転数と負荷(アクセル開度)とからマップを参照するなどして排気流量Veを推定する。
S18では、推定されたPM堆積量(PMβ)と、再生時期判断用の基準値(PMγ)と比較して、PM堆積量(PMβ)≧PMγか否かを判定する。
PM堆積量<PMγの場合は、再生時期ではないと判断して、S9へ戻るが、PM堆積量≧PMγの場合は、再生時期(要再生)と判断して、S19から再生制御(図5)へ進む。
また、本実施形態によれば、補正係数の設定に際し、PM残量と車速との重み付けを車速に応じて変化させ、また特に、車速が高いほど、車速の重み付けを大きくすることにより、PM堆積量が少ない場合でも運転状態から再生可能であれば再生時期を早めるような制御に変わり、偏在状態をより早期に解消することができる。
4 可変ノズル型過給機
7 吸気絞り弁
9 燃料噴射弁
12 DPF
13 ECU
14 回転数センサ
15 負荷センサ
16 車速センサ
17 差圧センサ
18、19 排気温度センサ
Claims (6)
- 排気通路に排気中のPMを捕集するフィルタを備える一方、前記フィルタの前後差圧を検出する前後差圧検出手段と、検出された前後差圧に基づいてPM堆積量を推定するPM堆積量推定手段と、推定されたPM堆積量に基づいて再生時期を判断する再生時期判断手段と、再生時期と判断されたときに前記フィルタの温度を上昇させる再生処理を行って前記フィルタに捕集されているPMを燃焼除去する再生処理手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、
前回の再生中に再生を中断した後の再生時期の判断のため、
前回の再生中の運転履歴に基づいて再生中断時のPM残量を推定するPM残量推定手段と、
再生中断時のPM残量と、現在の車速とに応じて、フィルタ前後差圧に対する補正係数を設定する補正係数設定手段と、
前記検出された前後差圧に補正係数を乗じることにより、前記PM堆積量推定手段にて用いる前後差圧を補正する前後差圧補正手段と、
を設けたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記補正係数設定手段は、PM残量が多いほど、補正係数を大きくすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記補正係数設定手段は、車速が高いほど、補正係数を大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記補正係数設定手段は、補正係数の設定に際し、PM残量と車速との重み付けを車速に応じて変化させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記補正係数設定手段は、車速が高いほど、車速の重み付けを大きくすることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記PM残量算出手段は、再生中に、前記フィルタの温度と排気流量とから求められる再生速度と、再生時間とから、累積PM処理量を算出し、再生開始時のPM堆積量から累積PM処理量を減算して、PM残量を算出するものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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