JP4103372B2 - 回路遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は電路に流れる電流を入切する回路遮断器に関し、特に電流の遮断性能の向上に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、例えば特開2001−195965号公報に示された従来の回路遮断器を示す縦断面図、図9は図8の回路遮断器が開路したときの要部拡大断面図、図10は図8の回路遮断器の消弧装置の単体図で(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【0003】
図において、1は、例えば銅等の良導体から形成された可動接触子、2は可動接触子1の一端に固着された可動接点、3は可動接触子1が回動したときに可動接点2と接離する固定接点、4は固定接点3が固着されると共に後述のベース12に固定された固定接触子、5は固定接触子4の他端に設けられ、電路の電線が接続される端子部である。
【0004】
6は、可動接点2と固定接点3が開離するときに発生した後述のアーク21を、可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向に引き伸ばして冷却しアーク21を消弧する消弧装置で、互いに空隙を介して積層配列され可動接点2が固定接点3から開離するときに発生したアーク21のアーク電流により磁束を導磁する、例えば鋼板などの磁性体で形成された複数の消弧板6aと、消弧板6aを両端で保持する絶縁体で形成された消弧側板6bにより構成されている。
7は可動接触子1を開閉させる機構部、8は機構部7を手動で操作するためのハンドル、9は回路遮断器に過電流が流れた場合に検出し機構部7をトリップさせる引外し装置、10は電路の電線が接続されるもう一方の端子部である。
【0005】
11はカバー、12はベースで、上記の構成部品を収納する筐体13を構成している。
14は機構部7と連動する例えば、樹脂成型品で形成されたクロスバーで、クロスバー14と可動接触子1はこれらを貫通する軸15により回動自在に保持されている。
21は可動接点2が固定接点3から開離するときに可動接点2と固定接点3間に発生するアークである。
【0006】
次に、以上のように構成された従来の回路遮断器の動作について説明する。
端子部5を電源に、端子部10を負荷に接続し、ハンドル8を操作すると、機構部7が動作して可動接触子1が回動し、可動接点2と固定接点3とが接触することにより電力が電源から負荷に供給される。
【0007】
回路遮断器に定格電流を超過して過電流が流れると、引外し装置9が過電流を検出し、機構部7を動作させ、軸15を支点に可動接触子1を矢印A方向に回動させることにより可動接点2と固定接点3が開離し、可動接点2と固定接点3の間にアーク21が発生するが、小電流領域のアーク21はエネルギーが小さく、消弧板6aに発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21は消弧装置6の消弧板6a部の方向へ引き伸ばされて冷却されることによりアーク21は比較的容易に消弧され、電流は遮断される。
【0008】
一方、回路遮断器の負荷側で短絡事故などが起こり、回路遮断器に短絡電流などの大電流が流れる(大電流領域)と、可動接点2と固定接点3の間の接触面における電磁反発力や、固定接触子4と可動接触子1との間の電磁反発力が非常に強くなり、可動接触子1は引外し装置9および機構部7による引外し動作を待たずに矢印A方向に回動し、可動接点2と固定接点3が開離するが、可動接点2と固定接点3間に発生した大電流によるアーク21は、消弧板6aに発生した磁束とアーク電流による強力な電磁力によって消弧装置6の消弧板6a部の方向へ引き伸ばされて冷却される。
【0009】
アーク21が冷却されると、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、電流のゼロクロス点でアーク21は消弧されて電流遮断が完了するが、この大電流遮断時に発生するアーク21のアークエネルギーによりカバー11、ベース12、消弧板6aなどの周囲の絶縁物が溶融し、ガス化されて回路遮断器内部の圧力を瞬間的に上昇させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回路遮断器は以上のように構成されており、回路遮断器は定格電流に近い小電流領域から短絡電流などの大電流領域に渡って、可動接点2と固定接点3間に発生したアークを速やかに消弧する遮断性能が必要であるが、その性能は消弧装置6の構造や消弧装置6の配置位置に大きく左右される。
【0011】
定格電流に近い小電流領域における電流の遮断動作においては、可動接点2と固定接点3間に発生したアーク21の径は小さく、消弧板6aに発生した磁束とアーク電流による電磁力も小さいため、発生したアーク21が消弧装置6の消弧板6a部の方向へ移動せずに接点近傍に留まることにより、アーク21が消弧される時間が長くなるがアーク21のエネルギーが小さく、可動接点2及び固定接点3の消耗などの悪影響は少ない。
【0012】
しかし、短絡電流のような大電流の遮断動作においては、消弧板6aに発生した磁束とアーク電流による強力な電磁力が発生するものの、アーク径が大きいため、アーク21と消弧板6aが近接していると、消弧板6aの端部(図9の左側)にアークが停滞してしまい消弧板6aの端子部5側(図9の右側)へアーク21が伸長され難く、アーク電流を小さく絞る限流作用が十分得られず、遮断不能になったり、アーク21の熱により可動接点2、固定接点3及びその近傍にある樹脂成型品などが溶融するという問題があった。
【0013】
さらにまた、電路に流れる電流がゼロクロス点のない直流電流の場合においては、アークが持続して遮断不能となるという問題点があり、小電流領域における電流の遮断、大電流の遮断、直流電流の遮断の全てを満足させる遮断動作ができないという問題があった。
【0014】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、小電流領域における電流の遮断、大電流の遮断、及び直流電流の遮断において遮断性能を満足させることができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る回路遮断器は、筐体と、この筐体に固定された固定接触子と、この固定接触子に接離して負荷電流を入切する可動接触子と、この可動接触子が上記固定接触子から開離するときに発生したアークを消弧する消弧装置とを備えた回路遮断器において、上記消弧装置は、上記固定接触子に流れる電流に基いて上記固定接触子の周囲に発生する磁束が所定の磁束量以上のときに吸引されて上記消弧装置を上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に移動させる磁性板を備えたものである。
【0017】
また、消弧装置を可動接触子と固定接触子の開閉位置側に付勢する弾性部材を備えたものである。
【0018】
また、固定接触子に巻装されこの固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導いて磁性板を吸引する導磁環を備えたものである。
【0019】
また、筐体と、この筐体に固定された固定接触子と、この固定接触子に接離して負荷電流を入切する可動接触子と、この可動接触子が上記固定接触子から開離するときに発生したアークを消弧する消弧装置と、上記固定接触子に電気的に接続されると共に上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置近傍から上記消弧装置近傍に延設されて上記アークを上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に移行させるアークランナとを備えた回路遮断器において、上記アークランナは、一方端が上記固定接触子に回動自在に保持され、他方端は上記アークランナを可動接触子と固定接触子の開閉位置側に付勢する押圧部材に抗して上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかるように回動するものであって、上記固定接触子に流れる電流に基いて上記固定接触子の周囲に発生する磁束が所定の磁束量以上のときに上記アークランナの他方端が上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に回動するものである。
【0020】
また、固定接触子に巻装されこの固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導いてアークランナを吸引する導磁環を備えたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における回路遮断器を示す縦断面図、図2は図1の回路遮断器が開路したときの要部拡大断面図、図3は図1の回路遮断器の消弧装置の単体図で(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【0022】
図において、1は、例えば銅等の良導体から形成された可動接触子、2は可動接触子1の一端に固着された可動接点、3は可動接触子1が回動することにより可動接点2と接離する固定接点、4は固定接点3が固着されると共に後述のベース12に固定される固定接触子、5は固定接触子4の他端に設けられ、電路の電線が接続される端子部である。
【0023】
7は可動接触子1を開閉させる機構部、8は機構部7を手動で操作するためのハンドル、9は回路遮断器に過電流が流れた場合に検出し機構部7をトリップさせる引外し装置、10は電路の電線が接続されるもう一方の端子部である。
【0024】
11は、例えば樹脂成型品で形成されたカバー、12は、例えば樹脂成型品で形成されたベースで、上記した回路遮断器の構成部品を収納する筐体13を構成している。
14は機構部7と連動する例えば、樹脂成型品で形成されたクロスバーで、クロスバー14と可動接触子1はこれらを貫通する軸15により回動自在に保持されている。
16は、弾性部材である板ばねで、例えばステンレス板から形成されており、一方端が固定部材16aによりベース12に固定され、他方端で後述の消弧装置60を可動接点2と固定接点3の開閉位置側(図2の左側方向)に付勢している。
21は可動接点2が固定接点3から開離するときに可動接点2と固定接点3間に発生するアークである。
【0025】
60は、可動接点2が固定接点3から開離するときに発生した後述のアーク21を可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向に引き伸ばして冷却しアーク21を消弧する消弧装置で、互いに空隙を介して積層配列され可動接点2が固定接点3から開離するときに発生したアークのアーク電流により磁束を導磁する、例えば鋼板などの磁性体で形成された複数の消弧板61と、消弧板61を両端で保持する絶縁体で形成された消弧側板62、及び可動接点2が固定接点3から開離するときに発生したアーク21の圧力を受圧する絶縁体で形成された受圧板63により構成されている。
64は消弧装置60に嵌挿される共に両端がカバー11またはベース12に保持されて消弧装置60を回動自在に支持する支持軸である。
【0026】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態1における回路遮断器の動作について説明する。
端子部5を電源に、端子部10を負荷に接続し、ハンドル8を操作すると、機構部7が動作して可動接触子1が回動し、可動接点2と固定接点3とが接触することにより電力が電源から負荷に供給される。
【0027】
回路遮断器に定格電流を超過して過電流が流れると、引外し装置9が過電流を検出し、機構部7を動作させ、軸15を支点に可動接触子1を矢印B方向に回動させることにより可動接点2と固定接点3が開離し、可動接点2と固定接点3の間にアーク21が発生するが、小電流領域のアーク21はエネルギーが小さく、消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21は消弧装置60の消弧板61部へ引き伸ばされて冷却されることによりアーク21は比較的容易に消弧され、電流は遮断される。
【0028】
なお、このとき、可動接点2と固定接点3の開閉位置に対する消弧装置60の関係位置は消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21が消弧装置60の消弧板61部へ引き伸ばされて十分冷却される位置に近接させて配置されている。
【0029】
回路遮断器の負荷側で短絡事故などが起こり、回路遮断器に短絡電流などの大電流が流れると、可動接点2と固定接点3の間の接触面における電磁反発力や、固定接触子4と可動接触子1との間の電磁反発力が非常に強くなり、可動接触子1は引外し装置9および機構部7による引外し動作を待たずに矢印B方向に回動し、可動接点2が固定接点3から開離する。
【0030】
可動接点2が固定接点3から開離することにより、可動接点2と固定接点3間にアーク21が発生し、このアーク21によるアークエネルギーにより、カバー11、ベース12、クロスバー14などの周囲の樹脂成型品が溶融し、ガス化させて回路遮断器内部の圧力を瞬間的に上昇させる。
消弧装置60を構成する受圧板63はこの圧力を受け、消弧装置60は板ばね16の付勢力に抗して支持軸64を支点として矢印C方向(図2に示す)に回動する。
なお、この時、消弧装置60は回路遮断器内部に発生した圧力に比例して回動するものであり、アーク21を引き伸ばして消弧させるに必要な角度まで回動できるように構成されている。
【0031】
この結果、消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21が消弧装置60の消弧板61部へ引き伸ばす作用と、消弧装置60の消弧板61が可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向へ移動してアーク21を引き伸ばす作用が加わってアーク21を引き伸ばすので、消弧板61の端部61aにアーク21が停滞することなく、十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、電流のゼロクロス点でアーク21は消弧されて電流遮断が完了する。
【0032】
上記の消弧作用は、遮断が困難な直流電流の遮断においても同様であり、消弧装置60の消弧板61が可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向へ移動することにより、アーク21が引き伸ばされて十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、アーク21を消弧することができるものである。
【0033】
なお、上記の実施例では、固定接触子4に固定接点3を固着すると共に可動接触子1に可動接点2を固着して、固定接点3と可動接点2との間で通電電流を入切するようにしたが、例えば、小容量(通電電流が小さい)の回路遮断器では直接、可動接触子1と固定接触子4で通電電流を入切しても良い。
【0034】
また、消弧装置60を付勢する弾性部材に板ばね16を用いたが、圧縮ばね、ひねりばねなどを用いても良い。
さらにまた、消弧装置60は板ばね16の付勢力に抗して、支持軸64を支点として回動させて消弧板61をアーク21から遠ざかるようにしたが、消弧装置60を図2の右方向へスライドさせて消弧板61をアーク21から遠ざかるようにしても良い。
【0035】
以上のように本発明の実施の形態1による回路遮断器によれば、大電流が流れたときに、消弧装置60を可動接点2(可動接点2を有しない場合は可動接触子1)と固定接点3(固定接点3を有しない場合は固定接触子4)の開閉位置から遠ざかる方向へ移動するように構成させたことにより、消弧装置60の消弧板61の端部61aにアーク21が停滞することなく、消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21が引き伸ばされて十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、アーク21が高速で消弧されるので、回路遮断器の遮断性能を向上させることができる。
【0036】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2における回路遮断器を示す縦断面図、図5は図4の回路遮断器が開路したときの要部拡大図である。
図において、17は固定接触子4に巻装され固定接触子4に流れる電流に基いて発生する磁束を導く、例えば鋼板などの磁性体により形成された導磁環、65は導磁環17の近傍に配設されると共に消弧装置60に固着された磁性板で、例えば、鋼板などの磁性体により形成されている。
1〜5、7〜16、21、60〜62及び64は、上述した実施の形態1に示したものと同様であり、同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態2における回路遮断器の動作について説明する。
小電流領域である回路遮断器に定格電流を超過して過電流が流れた場合の動作については上述した実施の形態1と同様である。
また、可動接点2と固定接点3の開閉位置と、消弧装置60の関係位置についても上述した実施の形態1と同様である。
【0038】
回路遮断器の負荷側で短絡事故などが起こり、回路遮断器に短絡電流などの大電流が流れると、可動接点2と固定接点3の間の接触面における電磁反発力や、固定接触子4と可動接触子1との間の電磁反発力が非常に強くなり、可動接触子1は引外し装置9および機構部7による引外し動作を待たずに矢印D方向に回動し、可動接点2が固定接点3から開離する。
【0039】
可動接点2が固定接点3から開離し始めると同時、またはそれよりも早い時期に、固定接触子4を流れる電流に基いて右ねじの法則により固定接触子4の周囲に磁束が発生する。この磁束は導磁環17に集中して通り導磁環17が磁化されることにより磁性板65が吸引され、消弧装置60は板ばね16の付勢力に抗して支持軸64を支点として矢印E方向に回動する。
なお、この時、消弧装置60は固定接触子4の周囲に発生した磁束の量に比例して回動するものであり、アーク21を引き伸ばして消弧させるに必要な角度まで回動できるように構成されている。
【0040】
この結果、消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21が消弧装置60の消弧板61部へ引き伸ばす作用と、消弧装置60の消弧板61が可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向へ移動してアーク21を引き伸ばす作用が加わってアーク21を引き伸ばすので、消弧板61の端部61aにアーク21が停滞することなく、十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、電流のゼロクロス点でアーク21は消弧されて電流遮断が完了する。
【0041】
上記の消弧作用は、遮断が困難な直流電流の遮断においても同様であり、消弧装置60の消弧板61が可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向へ移動することにより、アーク21が引き伸ばされて十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、アーク21を消弧することができるものである。
【0042】
なお、上記の実施例では、固定接触子4に巻装された導磁環17と、消弧装置60に固着された磁性板65を用いて、固定接触子4を流れる電流に基いて固定接触子4の周囲に磁束が発生する磁束を導磁環17に集中させて導磁環17を磁化されることにより、大電流通電時に磁性板65を導磁環17に吸引させるようにしたが、導磁環17を配設しないで、固定接触子4の周囲に発生する磁束で直接、磁性板65が吸引されるようにしても良い。
【0043】
以上のように本発明の実施の形態2による回路遮断器によれば、大電流が流れたときに、消弧装置60が可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向へ移動するように構成させたことにより、消弧装置60の消弧板61の端部61aにアーク21が停滞することなく、消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21が引き伸ばされて十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、アーク21が高速で消弧されるので、回路遮断器の遮断性能を向上させることができる。
【0044】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3における回路遮断器を示す縦断面図、図7は図6の回路遮断器が開路したときの要部拡大図である。
図において、17は固定接触子4に巻装され、例えば鋼板などの磁性体により形成された導磁環、18は、例えば鋼板などの磁性体により形成され、一方端18aが固定接触子4にランナ軸19により回動自在に保持され、他方端18bは可動接点2と固定接点3の開閉位置側に付勢する押圧部材であるひねりばね20に抗して可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかるように回動するアークランナである。
1〜15及び21は、上述した従来の技術に示したものと同様であり、同一符号を付し説明を省略する。
【0045】
次に、以上のように構成された本発明の実施の形態3における回路遮断器の動作について説明する。
回路遮断器に定格電流を超過して過電流が流れると、引外し装置9が過電流を検出し、機構部7を動作させ、軸15を支点に可動接触子1を矢印F方向に回動させることにより可動接点2と固定接点3が開離し、可動接点2と固定接点3の間にアーク21が発生するが、小電流領域のアーク21はエネルギーが小さく、アークランナ18の上面を移行しながら消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21は引き伸ばされて冷却されることによりアーク21は比較的容易に消弧され、電流は遮断される。
【0046】
回路遮断器の負荷側で短絡事故などが起こり、回路遮断器に短絡電流などの大電流が流れると、可動接点2と固定接点3の間の接触面における電磁反発力や、固定接触子4と可動接触子1との間の電磁反発力が非常に強くなり、可動接触子1は引外し装置9および機構部7による引外し動作を待たずに矢印F方向に回動し、可動接点2が固定接点3から開離する。
【0047】
可動接点2が固定接点3から開離し始めると同時またはそれよりも早い時期に、固定接触子4を流れる電流に基づいて右ねじの法則により固定接触子4の周囲に磁束が発生する。この磁束は導磁環17に集中して通り導磁環17が磁化されることによりアークランナ18が吸引され、アークランナ18はひねりばね20の付勢力に抗してランナ軸19を支点として矢印G方向に回動する。
【0048】
アーク21は消弧板6aに発生した磁束とアーク電流による電磁力によりアーク21は引き伸ばされながらアークランナ18の上面を移行する。アークランナ18の他方端18bが矢印G方向に回動することにより、アーク21は更に矢印H方向へ移行し引き伸ばされて冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、電流のゼロクロス点でアーク21は消弧されて電流遮断が完了する。
【0049】
以上のように本発明の実施の形態3による回路遮断器によれば、大電流が流れたときに、アーク21は消弧板61に発生した磁束とアーク電流による電磁力により引き伸ばされながらアークランナ18の上面を通って消弧装置6の消弧板6a方向へ速やかに移行すると共に、アークランナ18の他方端18bが回動することにより、アーク21は更に可動接点2と固定接点3の開閉位置から遠ざかる方向に移行するので、アーク21は引き伸ばされて十分冷却され、アーク抵抗が上昇し、アーク電流を小さく絞る限流作用が生じ、アーク21が高速で消弧されるので、回路遮断器の遮断性能を向上させることができる。
【0050】
なお、上記の実施例では、固定接触子4に巻装された導磁環17を用いて、固定接触子4を流れる電流に基いて固定接触子4の周囲に磁束が発生する磁束を導磁環17に集中させて導磁環17を磁化されることにより、大電流通電時にアークランナ18を回動させるようにしたが、導磁環17を配設しないで、固定接触子4の周囲に発生する磁束で直接、アークランナ18を回動させるようにしても良い。
【0051】
なお、実施の形態1から実施の形態3において、実施例の構成を夫々、単独での説明を行ったが、これらを組合わせて実施することも可能であり、組合わせて実施することにより、回路遮断器の遮断性能を更に向上させることができるものである。
【発明の効果】
【0052】
以上のように、本発明の回路遮断器によれば、消弧装置に固着された磁性板が固定接触子に流れる電流に基いて固定接触子の周囲に発生する磁束により吸引され、消弧装置を可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置から遠ざかるように移動するようにしたので、小電流領域における電流の遮断だけでなく、大電流領域における電流の遮断においても、アークが十分引き伸ばされて冷却され、アークが高速で消弧されるので、回路遮断器の遮断性能を満足させることができる。
【0054】
また、消弧装置を可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置側に付勢する弾性部材を備えたので、消弧装置は固定接触子に流れる電流に基いて固定接触子の周囲に発生する磁束による吸引力の大きさに比例して移動し、回路遮断器の遮断性能を確保する。
【0055】
また、固定接触子に巻装した導磁環を備えて、固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導くようにしたので消弧装置に固着された磁性板が確実に吸引され、アークを可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置から遠ざかる方向に確実に移行させることができる。
【0056】
また、一方端が上記固定接触子に回動自在に保持され、他方端が可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置側に付勢する押圧部材に抗して可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置から遠ざかるように回動するアークランナを備えたので、固定接触子に流れる電流に基いて固定接触子の周囲に発生する磁束が所定の磁束量以上のときに回動してアークを可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)から遠ざかる方向に移行させて、アークを十分引き伸ばして冷却するので、アークが高速で消弧され、小電流領域における電流の遮断だけでなく、大電流領域における電流の遮断においても、回路遮断器の遮断性能を満足させることができる。
【0057】
また、固定接触子に巻装した導磁環を備えて、固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導くようにしたのでアークランナが確実に吸引され、アークを可動接点(可動接触子)と固定接点(固定接触子)の開閉位置から遠ざかる方向に確実に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における回路遮断器を示す縦断面図である。
【図2】 図1の回路遮断器が開路したときの要部拡大断面図である。
【図3】 図1の回路遮断器の消弧装置の単体図で(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図4】 本発明の実施の形態2における回路遮断器を示す縦断面図である。
【図5】 図4の回路遮断器が開路したときの要部拡大図である。
【図6】 本発明の実施の形態3における回路遮断器を示す縦断面図である。
【図7】 図6の回路遮断器が開路したときの要部拡大図である。
【図8】 従来の回路遮断器を示す縦断面図である。
【図9】 図8の回路遮断器が開路したときの要部拡大断面図である。
【図10】 図8の回路遮断器の消弧装置の単体図で(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【符号の説明】
1 可動接触子、2 可動接点、3 固定接点、4 固定接触子、
6,60 消弧装置、6a,61 消弧板、6b,62 消弧側板、13 筐体、
16 弾性部材(板ばね)、17 導磁環、18 アークランナ、
18a 一方端、18b 他方端、20 押圧部材(ひねりばね)、
21 アーク、63 受圧板、65 磁性板。
Claims (5)
- 筐体と、
この筐体に固定された固定接触子と、
この固定接触子に接離して負荷電流を入切する可動接触子と、
この可動接触子が上記固定接触子から開離するときに発生したアークを消弧する消弧装置とを備えた回路遮断器において、
上記消弧装置は、上記固定接触子に流れる電流に基いて上記固定接触子の周囲に発生する磁束が所定の磁束量以上のときに吸引されて上記消弧装置を上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に移動させる磁性板を備えたことを特徴とする回路遮断器。 - 消弧装置を可動接触子と固定接触子の開閉位置側に付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
- 固定接触子に巻装されこの固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導いて磁性板を吸引する導磁環を備えたことを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
- 筐体と、
この筐体に固定された固定接触子と、
この固定接触子に接離して負荷電流を入切する可動接触子と、
この可動接触子が上記固定接触子から開離するときに発生したアークを消弧する消弧装置と、
上記固定接触子に電気的に接続されると共に上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置近傍から上記消弧装置近傍に延設されて上記アークを上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に移行させるアークランナとを備えた回路遮断器において、
上記アークランナは、一方端が上記固定接触子に回動自在に保持され、他方端は上記アークランナを可動接触子と固定接触子の開閉位置側に付勢する押圧部材に抗して上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかるように回動するものであって、上記固定接触子に流れる電流に基いて上記固定接触子の周囲に発生する磁束が所定の磁束量以上のときに上記アークランナの他方端が上記可動接触子と上記固定接触子の開閉位置から遠ざかる方向に回動することを特徴とする回路遮断器。 - 固定接触子に巻装されこの固定接触子に流れる電流に基いて発生する磁束を導いてアークランナを吸引する導磁環を備えたことを特徴とする請求項4記載の回路遮断器。
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