JP4102124B2 - ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は写真感度を高めた感光性ハロゲン化銀乳剤、およびこれを含む写真要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料の感光性を改善するために、種々の技法が用いられている。ハロゲン化銀の固有の感度を高めるためには、例えば、イオウ、金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤が用いられている。またシアニンおよび他のポリメチン色素類を用いた分光増感も、当該技術分野においては周知の技術である。
分光増感色素を最適量を超えて乳剤に添加すると、写真感度が著しく減少する現象が、色素減感として知られている。これを改善する方法として、強色増感剤による強色増感効果を利用する技術が知られている。これは、それ自体は分光増感効果を示さない、通常無色の有機化合物で、増感色素(あるいは励起された増感色素)に作用して、色素減感を抑制する効果を発揮する。
この様な化合物の例は、例えば以下の特許に示されている。米国特許第2,937,089号、同3,706,567号、同2,875,058号、同3,695,888号、同3,457,078号、同3,458,318号、3,615,632号、同5,192,654号、同5,306,612号、同2,419,975号、同5,459,052号、同4,971,890号、欧州特許第554856号。
またハロゲン化銀写真感光材料の分光感度を高めるために、増感色素と共に種々の電子供与性化合物も用いられている。これらの例は、米国特許第3,695,588号、3,809,561号、英国特許255084号、同1064193号に記載されている。
さらにこれらの電子供与性化合物を、増感色素に共有結合で連結した化合物も用いられている。これらの例は、米国特許第5,436,121号および同5,478,719号(モノメチン色素に結合した電子供与スチリル塩基を有する化合物)、米国特許第4,607,006号(フェノチアジンフェノキサジン、カルバゾール、ジベンゾフェノチアジン、フェロセン、トリス−2,2’−ビピリジル−ルテニウムから誘導される電子供与性基、もしくはハロゲン化銀吸着基に結合したトリアリールアミン骨格を有する化合物)に示されている。
しかし、以上の様な工夫によっても、未だ理想的に高い写真感度を実現するには至っていない。特に高感度化に伴って発生するカブリの問題や、ハロゲン化銀写真感光材料が高温、高湿下および自動車の排気ガス等の燃焼時に発生する有害ガスに晒される等、過酷な条件で保存されることにより発生する保存カブリの問題と両立して高感度化を達成しうる化合物は、未だ極めて少ないのが現状である。
【0003】
一方、最近になって、米国特許第5,747,235号、同5,747,236号、欧州特許第786692A1号、同893731A1号、同893732A1号、WO99/05570号、および米国化学会誌に記載の論文:"Two-Electron Sensitization: A New Concept for Silver Halide Photography", J. Am. Chem. Soc.,122, 11934-11943 (2000)に、「2電子増感剤」として、1電子酸化された後にフラグメント化(結合開裂)し、さらにもう1電子を放出できる化合物を用いた増感技術が報告されている。これらの化合物は、色素正孔(励起された増感色素から、ハロゲン化銀の伝導帯へ電子が注入された後、電子を1個失った増感色素分子)もしくはハロゲン化銀が励起されて生成する正孔によって酸化された後、フラグメント化の反応を経てはじめてもう1電子が放出され、これが高感度化を引き起こす点に特徴があると明細書に明記されている。
しかしながらこれらの化合物によっても、未だ感度/カブリ比が高く、かつ保存性に優れた感光材料を与えうる、理想的な高感度化技術は達成出来なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は写真用乳剤の写真感度を高めつつ、高感度化に伴い発生するカブリを抑え、高温、高湿下および自動車の排気ガス等の燃焼時に発生する有害ガスに晒される等過酷な条件で保存されても、カブリの上昇が少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記の構成1〜によって達成された。
<構成1> 下記一般式(1)、(2)または(3)で表される化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0006】
【化2】
Figure 0004102124
【0007】
一般式(1)においてZ1は窒素原子およびベンゼン環の2つの炭素原子と共に6員環を形成し得る原子団を表し、R1、R2、RN1はそれぞれ水素原子または置換基を表し、X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表し、L1カルボキシル基もしくはその塩を表す。一般式(2)においてED11は電子供与性基を表し、R11、R12、RN11、R13、R14はそれぞれ水素原子または置換基を表し、X11は置換基を表し、m11は0〜3の整数を表し、L11カルボキシル基もしくはその塩を表す。RN11、R13、R14、X11およびED11のいずれか2つの基は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(3)においてR22、R23、R21、RN21、Ra、Rbはそれぞれ水素原子または置換基を表し、L21カルボキシル基もしくはその塩、又は水素原子を表す。但しRN21がアリール基以外の基を表す時、RaおよびRbは互いに結合して芳香族環を形成する。一般式(1)、(2)及び(3)で表される前記化合物は、分子内に、2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を含む。
【0008】
<構成2>
構成1に記載の、一般式(1)、(2)または(3)で表される少なくとも1つの化合物で化学増感されたハロゲン化銀乳剤。
【0011】
<構成> 構成に記載の化合物を少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】
<構成> 構成に記載の化合物で化学増感された乳剤を少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の化合物について詳しく説明する。
本発明の化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴なって、さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)の電子を放出し得る化合物である。言いかえれば、さらに2電子以上(好ましくは3電子以上)酸化され得る化合物である。ここに結合開裂反応とは、一般式(1)、(2)または(3)において、それぞれL1、L11、L21と炭素原子との開裂反応を意味する。
さらに詳しく述べれば、本発明の化合物は1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、一般式(1)、(2)または(3)におけるC−L1、C−L11、C−L21の結合開裂反応を伴なって、さらに1電子を放出するが、さらにその後、自発的にプロトンの移動を伴なう互変異性化反応や、或いはまた炭素−炭素原子間の結合形成反応を引き起し、さらにそこから1電子以上(通常2電子以上)の電子を放出し得る構造的特徴を有している。したがって本発明の化合物は1電子酸化された後に、2つ以上(好ましくは3つ以上)の電子を放出する。
【0014】
既に従来技術の説明で述べたとおり、米国特許第5,747,235号、同5,747,236号、欧州特許第786692A1号、同893731A1号、同893732A1号、WO99/05570号、および、米国化学会誌に記載の論文:"Two-Electron Sensitization: A New Concept for Silver Halide Photography", J. Am. Chem. Soc.,122,11934-11943 (2000)には、「2電子増感剤」として、1電子酸化された後にフラグメント化(結合開裂)し、さらにもう1電子を放出できる化合物が記載されている。これは本発明の化合物と構造および機能が比較的似ている化合物であるが、しかしながら本発明の化合物は、1電子酸化後に放出される電子数が、先の「2電子増感剤」とは明確に異なっており、またこの点にこそ、本発明の化合物の最大の特徴がある。即ち本発明の化合物は1電子酸化後に放出される電子数が1つではなく、2つ以上(好ましくは3つ以上)であるがゆえに、特異的で、予期出来ない高い増感効果を発現することを、我々は新たに独自に見出した。
【0015】
以下、本発明の一般式(1)、(2)または(3)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(1)においてZ1は窒素原子およびベンゼン環の2つの炭素原子と共に6員環を形成し得る原子団を表す。Z1が形成する6員環は、一般式(1)のベンゼン環と縮合した非芳香族のヘテロ環であり、具体的には、縮合するベンゼン環も含めた環構造として、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロキナゾリン環であり、これらは置換基を有していてもよい。
【0016】
置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0017】
一般式(1)においてR1、R2は、水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、X1は置換基を表す。m1は、0〜3の整数を表す。R1、R2、およびX1が置換基を表す時、ここに置換基とは具体的に、例えばハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは2〜10)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員環、ヘテロ原子としてN、O、Sなど、置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜19、より好ましくは2〜11)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜19、より好ましくは7〜19)、カルバモイル基、オキサリル基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、{アルコキシ(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)もしくはアリールオキシ(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)}カルボニルオキシ基、アミノ基、{アルキル(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)、アリール(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)、またはヘテロ環}アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、{アルコキシ(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)もしくはアリールオキシ(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)}カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカプト基、{アルキル(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)、アリール(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)、またはヘテロ環}チオ基、{アルキル(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜10)またはアリール(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは6〜10)}スルホニル基、スルファモイル基、リン酸エステル構造を含む基、等が挙げられる。
これら置換基はさらに任意の置換基で置換されていてもよい。任意の置換基としてはZ1が置換基を有する時の置換基の例と同じものが挙げられる。
【0018】
一般式(1)においてRN1は水素原子または窒素原子に置換可能な置換基を表し、ここに置換基としては上記R1として表される置換基と同じものが挙げられる。RN1が置換基を表す時、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、これらはさらに置換基を有していてもよく、その置換基としてはZ1が置換基を有する時の置換基の例と同じものが挙げられる。
【0019】
一般式(1)においてL1は脱離基を表し、具体的にはカルボキシ基もしくはその塩を表す。
1がカルボキシ基の塩を表すとき、塩を形成するカウンターイオンとしては具体的に、アルカリ金属イオン(Li+、Na+、K+など)、アルカリ土類金属イオン(Mg2+、Ca2+など)、重金属イオン(Ag+、Cu2+など)、アンモニウムイオン(テトラメチルアンモニウムイオン、ジメチルベンジルアンモニウムイオン、トリエチルヒドロアンモニウムイオンなど)、ホスホニウムイオン(トリフェニルベンジルホスホニウムイオンなど)などが挙げられる。
【0020】
次に一般式(1)で表される化合物の好ましい範囲について説明する。
一般式(1)においてZ1は好ましくは窒素原子およびベンゼン環の2つの炭素原子と共にテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環を形成する原子団を表す。
一般式(1)においてR1およびR2は好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基、アルコキシ基がより好ましい。
一般式(1)においてRN1は水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましい。より好ましくは水素原子またはアルキル基である。
一般式(1)においてm1は好ましくは0〜2であり、より好ましくは0または1である。X1として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基などである。
【0021】
次に一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)においてED11は電子供与性基を表す。ここで電子供与性基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜10)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜10)、ヘテロ環チオ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜10)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜10)、ヘテロ環アミノ基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基(例えばインドリル基、ピロリル基、インダゾリル基)、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基(ピロリジニル基、ピペリジニル基、インドリニル基、ピペラジニル基、モルホリノ基など)、およびこれら電子供与性基で置換されたアリール基((好ましくは炭素数1〜10、例えばp-ヒドロキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、o,p-ジアルコキシフェニル基、4-ヒドロキシナフチル基)である。ヒドロキシ基がシリル基で保護されていてもよく、例えばトリメチルシリルオキシ基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基などが挙げられる。
【0022】
ここで活性メチン基とは、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
【0023】
ED11で表される電子供与性基として好ましくは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、電子過剰な芳香族ヘテロ環基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基であり、さらに好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基、窒素原子で置換する非芳香族含窒素ヘテロ環基、およびこれら電子供与性基で置換されたフェニル基(例えばp-ヒドロキシフェニル基、p-ジアルキルアミノフェニル基、o,p-ジアルコキシフェニル基など)である。
特に好ましくはヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、活性メチン基である。
【0024】
一般式(2)においてR11、R12、X11、RN11、L11、m11は、それぞれ一般式(1)におけるR1、R2、X1、RN1、L1、m11と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。
一般式(2)においてR13、R14は水素原子または炭素原子に置換可能な置換基を表し、ここで置換基としては一般式(1)におけるX1と同じものが例に挙げられ、その好ましい範囲もまた同じである。
一般式(2)においてRN11、R13、R14、X11およびED11のいずれか2つの基は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。ここでRN11およびX11とが結合して形成される環状構造とは、好ましくはベンゼン環と縮合した5員〜7員の非芳香族ヘテロ環であって、その具体例としては、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環、2,3−ジヒドロ−5,6−ベンゾ−1,4−チアジン環などが挙げられる。好ましくはテトラヒドロキノリン環、テトラヒドロキノキサリン環、インドリン環である。
【0025】
次に一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)においてR21は一般式(1)におけるR1と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。
一般式(3)においてL21は脱離基を表し、具体的にはカルボキシ基(もしくはその塩)、または水素原子を表す。
【0026】
21が水素原子を表す時、一般式(3)で表される化合物は、分子内に内在する塩基部位を有していることが好ましい。この塩基部位の作用により、一般式(3)で表される化合物が酸化された後、L21で表される水素原子が脱プロトン化されて、ここからさらに電子が放出されるのである。
ここに塩基とは、具体的に約1〜約10のpKaを示す酸の共役塩基である。例えば含窒素ヘテロ環類(ピリジン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、チアゾール類など)、アニリン類、トリアルキルアミン類、アミノ基、炭素酸類(活性メチレンアニオンなど)、チオ酢酸アニオン、カルボキシレート(−COO-)、サルフェート(−SO3 -)、またはアミンオキシド(>N+(O-)−)などが挙げられる。好ましくは約1〜約8のpKaを示す酸の共役塩基であり、カルボキシレート、サルフェート、またはアミンオキシドがより好ましく、カルボキシレートが特に好ましい。これらの塩基がアニオンを有する時、対カチオンを有していてもよく、その例としてはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、重金属イオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
これら塩基は、任意の位置で一般式(3)で表される化合物に連結される。L21が水素原子を表す時、該水素原子と塩基部位は8個以下の原子団で連結されていることが好ましい。さらには5個以上、8個以下の原子団で連結されていることがより好ましい。ここで連結原子団としてカウントされるのは、塩基部位の中心的原子(すなわちアニオンを有する原子または孤立電子対を有する原子)と該水素原子とを共有結合で連結する原子団であり、例えばカルボキシレートの場合には−C−O-の2原子がカウントされ、サルフェートの場合にはS−O-の2原子がカウントされる。またL21が置換する炭素原子も、その数に加えられる。
【0027】
一般式(3)においてL21は好ましくはカルボキシ基(もしくはその塩)である。
【0028】
一般式(3)においてRN21は一般式(1)におけるRN1と同義の基であり、その好ましい範囲もまた同じである。RN21はより好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基(特にフェニル基)である。
一般式(3)においてR22、R23、Ra、Rbはそれぞれ水素原子または置換基を表し、ここに置換基とは、一般式(1)におけるX1が置換基を表す時に挙げた置換基と同じものが挙げられ、その好ましい範囲もまた同じである。
但し、一般式(3)においてRN21がアリール基以外の基を表す時、RaおよびRbは互いに結合して芳香族環を形成する。ここに芳香族環とはアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)および芳香族ヘテロ環基(例えばピリジン環基、ピロール環基、キノリン環基、インドール環基など)であり、アリール基が好ましい。該芳香族環基は置換基を有していてもよく、その置換基としては一般式(1)におけるX1が置換基を表す時に挙げた置換基と同じものが挙げられ、その好ましい範囲もまた同じである。
一般式(3)においてRaおよびRbは、互いに結合して芳香族環(特にフェニル基)を形成する場合が好ましい。
【0029】
一般式(3)においてR22は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アミノ基などであり、ここにR22がヒドロキシ基を表す時、同時にR23が電子求引性基を表す場合も好ましい例の1つである。ここに電子求引性基とは、アシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味し、アシル基、アルコシキカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基が好ましい。なお、一般式(3)表記の構造に限定されず、その互変異性体も含む。
【0030】
本発明の化合物は分子内の何れかの位置に、ハロゲン化銀に対して吸着するもしくは吸着を促進する吸着性基を少なくとも1つ有しているか、あるいはまた分光増感色素の部分構造を有していることが好ましい。
【0031】
ハロゲン化銀に対する吸着性基としては、チオアミド基、メルカプト基、または窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基が挙げられる。またハロゲン化銀に対して比較的弱い吸着性を示す吸着性基としてスルフィド基(−S−)、カチオン性基、またはエチニル基が挙げられる。
【0032】
チオアミド吸着性基としては、
【化3】
Figure 0004102124
【0033】
で表される二価の基であり、環構造の一部であってもよいし、また好ましくは非環式チオアミド基であることができる。有用なチオアミド吸着性基は、例えば米国特許4,030,925号、同4,031,127号、同4,080,207号、同4,245,037号、同4,255,511号、同4,266,013号及び同4,276,364号、ならびにリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 第151巻、1976年11月、15162項、及び同第176巻、1978年12月、17626項に開示されているものから選ぶことができる。特に好ましいチオアミド基は式(A)で示されるものである。
【0034】
【化4】
Figure 0004102124
【0035】
〔式中、E及びE’の一方は−N(R62)−を表わし、他方は−O−、−S−または−N(R62’)−を表わす。R61は水素原子、脂肪族基、アリール基もしくはヘテロ環基を表わすか、またはEもしくはE’と互いに結合して5員もしくは6員ヘテロ環を形成する(すなわち、環形成チオアミド基となる)。R62及びR62’はそれぞれ水素原子、脂肪族基、アリール基もしくはヘテロ環基である。〕。
【0036】
式(A)で表わされるチオアミドとしては、チオ尿素、チオウレタン、ジチオカルバミン酸エステルである。またEまたはE’とR61とが互いに結合して環を形成する場合の例としては、メロシアニン色素の酸性核としてみられるものがあげられ、例えば4−チアゾリン−2−チオン、チアゾリジン−2−チオン、4−オキサゾリン−2−チオン、オキサゾリジン−2−チオン、2−ピラゾリン−5−チオン、4−イミダゾリン−2−チオン、2−チオヒダントイン、ローダニン、イソローダニン、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン、チオバルビツール酸、テトラゾリン−5−チオン、1,2,4−トリアゾリン−3−チオン、1,3,4−チアジアゾリン−2−チオン、1,3,4−オキサジアゾリン−2−チオン、ベンズイミダゾリン−2−チオン、ベンズオキサゾリン−2−チオン及びベンゾチアゾリン−2−チオンなどであり、これらはさらに置換されていてもよい。
【0037】
メルカプト吸着性基としては、脂肪族メルカプト基、アリールメルカプト基、またはヘテロ環メルカプト基(SH基が結合する炭素の隣りが窒素原子の場合は、互変異性体である環形成チオアミド基としてすでに述べた)があげられる。脂肪族メルカプト基としては、例えばメルカプトアルキル基(例えばメルカプトエチル基やメルカプトプロピル基など)、メルカプトアルケニル基(例えばメルカプトプロペニル基など)及びメルカプトアルキニル基(例えばメルカプトブチニル基など)があげられる。アリールメルカプト基としては、例えばメルカプトフェニル基やメルカプトナフチル基があげられる。ヘテロ環メルカプト基としては芳香族へテロ環メルカプト基または非芳香族へテロ環メルカプト基であって、その例としては、環形成チオアミド基で述べたものに加え、例えば4−メルカプトピリジン環基、5−メルカプトキノリン環基、6−メルカプトベンゾチアゾール環基、2,4−ジメルカプトピリミジン環基、2,4−ジメルカプトトリアジン環基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール環基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール環基、6−メルカプトプリン環基などがあげられる。
【0038】
ヘテロ環メルカプト基が解離して形成されるメソイオン化合物もまた吸着性基として挙げられる。ここで言うメソイオン化合物とは、共役した正電荷を有する5員もしくは6員の不飽和ヘテロ環に、スルフィド基(sulfido基、−S-(イオン))が置換したもので、ここに共役した正電荷を有する5員もしくは6員の不飽和ヘテロ環とは、例えばイミダゾリウム類、ピラゾリウム類、オキサゾリウム類、チアゾリウム類、トリアゾリウム類、テトラゾリウム類、チアジアゾリウム類、オキサジアゾリウム類、チアトリアゾリウム類、オキサトリアゾリウム類、ジチアニウム類、ピリダジニウム類、ピリミジニウム類、トリアジニウム類、テトラジニウム類、オキサチアニウム類、チアジニウム類、オキサジニウム類、オキサジアジニウム類、チアジアジニウム類等が挙げられる。好ましくは5員の不飽和ヘテロ環であり、中でも好ましくはチアジアゾリウム類、オキサジアゾリウム類、トリアゾリウム類であり、最も好ましくはトリアゾリウム類である。この場合メソイオン化合物としては、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート類が最も好ましい。
【0039】
吸着性基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、または配位結合で銀イオンに配位し得る、“−S−”基または“−Se−”基または“−Te−”基または“=N−”基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンズイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンズセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンズテルルアゾール基などが挙げられる。好ましくは前者である。
【0040】
吸着性基としてスルフィド基とは、−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられるが、好ましくはアルキル(またはアルキレン)−S−アルキル(またはアルキレン)、アリール(またはアリーレン)−S−アルキル(またはアルキレン)、アリール(またはアリーレン)−S−アリール(またはアリーレン)の部分構造を有する基である。さらにこれらのスルフィド基は、環状構造を形成していてもよく、また−S−S−基となっていてもよい。環状構造を形成する場合の具体例としてはチオラン環、ジチアン環、1,3−ジチオラン環または1,2−ジチオラン環、チアン環、テトラヒドロ−1,4−チアジン環(チオモルホリン環)などを含む基が挙げられる。スルフィド基として特に好ましくはアルキル(またはアルキレン)−S−アルキル(またはアルキレン)の部分構造を有する基である。
吸着性基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。但し、該カチオン性基が色素構造を形成する原子団(例えばシアニン発色団)の一部となることはない。
【0041】
ここにアンモニオ基とは、トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリールアンモニオ基、アルキルジアリールアンモニオ基などで、例えばベンジルジメチルアンモニオ基、トリヘキシルアンモニオ基、フェニルジエチルアンモニオ基などが挙げられる。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。好ましくはピリジニオ基およびイミダゾリオ基であり、特に好ましくはピリジニオ基である。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよいが、ピリジニオ基およびイミダゾリオ基の場合、置換基として好ましくはアルキル基、アリール基、アシルアミノ基、クロル原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などが挙げられ、ピリジニオ基の場合、置換基として特に好ましくはフェニル基である。
吸着性基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、水素原子は置換されていてもよい。
【0042】
上記の吸着性基は任意の置換基を有していてもよい。
なお吸着性基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
【0043】
本発明において吸着性基として好ましいものは、環形成チオアミド基(すなわちメルカプト置換含窒素ヘテロ環基で、例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、およびベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、および5−メルカプトテトラゾール基である。
【0044】
本発明の化合物のうち、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する化合物もまた特に好ましい化合物である。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。この様な化合物の例としては、以上述べてきたメルカプト基もしくはチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えば環形成チオアミド基、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基、ヘテロ環メルカプト基など)を分子内に2つ以上有する化合物であってもよいし、また吸着性基の中で、2つ以上のメルカプト基またはチオン基を部分構造として有する吸着性基(例えばジメルカプト置換含窒素テロ環基)を、1つ以上有していてもよい。
2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素テロ環基など)の例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−オキサゾール基、2,7−ジメルカプト−5−メチル−s−トリアゾロ(1,5−a)−ピリミジン、2,6,8−トリメルカプトプリン、6,8−ジメルカプトプリン、3,5,7−トリメルカプト−s−トリアゾロ(4,3−a)−s−トリアジン、4,6−ジメルカプトピラゾロ(3,4−d)−ピリミジン、2,5−ジメルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられ、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が特に好ましい。
【0045】
なお本発明においては、吸着性基として挙げた基(例えば環状チオアミド基や含窒素ヘテロ環基)は、アリール基(例えばフェニル基)と結合しているのが好ましいが、一般式(1)または一般式(2)のベンゼン環や一般式(3)のRaとRbが結合して形成するベンゼン環に吸着性基が直接結合しないことが好ましい。すなわち、吸着性基が結合したアリール基と上記ベンゼン環あるいはRN1、RN11またはRN21とが単結合または任意の二価有機基(例えば、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合、アルキレン、カルボニル、イミノ、スルホニル、もしくはこれらを組合わせてできる二価基、具体的には−NHCO−、−NHSO2−、−NHCONH−等)によって連結されるのが好ましい。
【0046】
分光増感色素の部分構造とは、分光増感色素の発色団を含む基であり、分光増感色素から任意の水素原子または置換基を除いた残基である。この分光増感色素残基が好ましく結合する位置は、上記吸着性基と同様である。好ましい分光増感色素は、典型的にカラー増感技法で用いられる分光増感色素であり、例えばシアニン色素類、複合シアニン色素類、メロシアニン色素類、複合メロシアニン色素類、同極のシアニン色素類、スチリル色素類、ヘミシアニン色素類を含む。代表的な分光増感色素は、リサーチディスクロージャー、アイテム36544、1994年9月に開示されている。前記リサーチディスクロージャー、もしくはF.M.HamerのThe Cyanine dyes and Related Compounds (Interscience Publishers, New york, 1964)に記載される手順によって当業者は、これらの色素を合成することができる。さらに特開平11−95355号(US特許6,054,260号)の明細書p7〜p14に記載された色素類が全てそのまま当てはまる。
【0047】
本発明の化合物は、これを用いたハロゲン化銀写真感光材料が露光されることを引き金に1電子酸化され、引き続く結合開裂を伴なって、さらに2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、その1電子目の酸化電位は、約1.4V以下が好ましく、さらには1.0V以下が好ましい。この酸化電位は好ましくは0Vより高く、より好ましくは0.3Vより高い。従って酸化電位は好ましくは約0〜約1.4V、より好ましくは約0.3〜約1.0Vの範囲である。
【0048】
ここに酸化電位はサイクリックボルタンメトリーの技法で測定でき、具体的には試料をアセトニトリル:水(0.1Mの過塩素酸リチウムを含む)=80%:20%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、ガラス状のカーボンディスクを動作電極に用い、プラチナ線を対電極に用い、そしてカロメル電極(SCE)を参照電極に用いて、25℃で、0.1V/秒の電位走査速度で測定したものである。サイクリックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対SCEをとる。
【0049】
本発明の化合物は1電子酸化され、引き続く結合開裂を伴なって、さらに2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、この後段の酸化電位については、特に制限はない。2電子目の酸化電位と3電子目以降の酸化電位が明確に区別できない点で、これらを実際に正確に測定し区別することは困難な場合が多いためである。
【0050】
本発明の化合物は1電子酸化され、引き続く結合開裂を伴なって、さらに2電子以上の電子が放出され、酸化されるが、好ましくは結合開裂の後、3電子以上の電子が放出され、酸化される化合物である。さらには結合開裂の後、3電子放出されるか、または5電子放出されて酸化される化合物が特に好ましい。
以下に本発明の具体的化合物例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
【化5】
Figure 0004102124
【0052】
【化6】
Figure 0004102124
【0053】
【化7】
Figure 0004102124
【0054】
【化8】
Figure 0004102124
【0055】
合成例
本発明の化合物は公知の方法によって容易に合成することが可能であるが、以下にその具体例を記載する。
例示化合物1の合成
例示化合物1は以下の合成スキーム1に従って合成した。
【0056】
【化9】
Figure 0004102124
【0057】
合成中間体A−2の合成
塩化メチレン300mL中、0℃にて化合物A−1(20g)、DMF50mL、オキシ塩化リン70gを加え、室温下、一昼夜撹拌した。水を加えて反応を停止させ、抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−2を12.6g(収率52%)で得た。
合成中間体A−3の合成
塩化メチレン200mL中、室温にて合成中間体A−2(12g)、塩化アセチル8.7g、ピリジン11.7gを加えて4時間撹拌した。水を加えて反応を停止させ、抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−3を12.8g(収率85%)で得た。
合成中間体A−4の合成
THF200mL中、−78℃にてメトキシメチルトリメチルシラン10.5gを加え、さらにsec−ブチルリチウム(1.0M、シクロヘキサン溶液)を118mL滴下し、−25℃まで昇温した。続いて合成中間体A−3(12g)を滴下し室温まで徐々に昇温した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、エーテルから抽出、濃縮の後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−4を9.9g(収率77%)で得た。
【0058】
合成中間体A−5の合成
トルエン50mL中、合成中間体A−4(9.0g)、タングステン酸ナトリウム2水和物を0.14g、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムスルフェート5.8g、さらに30%過酸化水素水7.0を加え、50℃にて5時間撹拌した。濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−5を7.7g得た。(収率80%)。
合成中間体A−6の合成
合成中間体A−5(7.0g)をメタノール150mLに溶解し、0.5mLの濃硫酸を加え、還流下、5時間反応させた。室温に冷却、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体A−6を3.8g(収率62%)で得た。
合成中間体A−7の合成
合成中間体A−6(3.5g)、γ―ブロモ酪酸ベンジルエステル5.3g、トリエチルアミン4.3gを酢酸エチル50mLに混合し、50℃にて6時間撹拌した。室温に冷却後、水を加えて抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体A−7を5.5g(収率85%)で得た。
【0059】
合成中間体A−8の合成
合成中間体A−7(5.2g)をイソプロピルアルコール50mLに溶解し、5%Pd/Cを1.0gを加え、常圧水素雰囲気下、一昼夜反応させた。窒素に置換後、セライトを用いて触媒を濾別、濾液を濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−8を3.0g(収率77%)で得た。
合成中間体A−10の合成
合成中間体A−8(2.8g)を塩化メチレン30mLに溶解、トリエチルアミン4.9g、メシルクロリド2.8g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1gを0℃で加え、30分間撹拌し、その後、合成中間体A−9を3.8gを徐々に加えた。室温下、8時間撹拌した後、水を加えて反応を停止後、抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して合成中間体A−10を2.8g(収率58%)で得た。
【0060】
例示化合物1の合成
合成中間体A−10(2.5g)をメタノール25mLに溶解、5Mの水酸化ナトリウム水溶液3.5mLを加え、50℃にて2時間撹拌した。室温に冷却後、塩酸水を加えて酸性にし濃縮、残渣を精製して例示化合物1を1.6g(収率65%)得た。
【0061】
例示化合物11の合成
例示化合物11は以下の合成スキーム2に従って合成した。
【0062】
【化10】
Figure 0004102124
【0063】
合成中間体B−2の合成
窒素雰囲気下、合成中間体B−1(35g)、PdCl2(PPh32を0.7g、トリフェニルホスフィン1.2g、ヨウ化銅6.7g、テトラブチルアンモニウムヨージド3.7g、2−メチル−3−ブチン−2−オール25.4gをトリエチルアミン500mLに溶解し、還流下、2時間反応させた。トリエチルアミンを留去し、酢酸エチルと水を加え抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体B−2を31g(収率88%)で得た。
合成中間体B−3の合成
合成中間体B−2(30g)をトルエン300mLに溶解し、水酸化ナトリウムを1g加え還流下、3時間撹拌した。冷却後、トルエンを留去、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体B−3を21g(収率85%)で得た。
合成中間体B−4の合成
THF200mL中、0℃にて合成中間体B−3(20g)、トリエチルアミン13.8g、さらにヨウ化メチル14.5gを加え2時間撹拌した。水を加えて反応を停止させ、エーテルより抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体B−4を19.3g(収率92%)で得た。
【0064】
合成中間体B−5の合成
合成中間体B−4(19g)をメタノール200mLに溶解し、3Mの塩酸を21mL加えて70℃にて2時間撹拌した。冷却後、濃縮、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、合成中間体B−5を13.3g(収率81%)で得た。
合成中間体B−6の合成
合成中間体B−5(13g)、ブロモ酢酸メチル11.2g、炭酸カリウム13.5gをDMF200mL中にて混合し、80℃にて3時間撹拌した。冷却後、塩酸水を加えて反応を中和し、酢酸エチルから抽出、濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、合成中間体B−6を12.2g(収率74%)で得た。
合成中間体B−7の合成
合成中間体B−6(12g)をイソプロピルアルコール150mLに溶解し、10%Pd/C1.2gを加え、常圧水素雰囲気下、一昼夜撹拌した。窒素に置換後、セライトを用いて触媒を濾別、濾液を濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィーを用いて精製して、合成中間体B−7を5.9g(収率66%)で得た。
例示化合物11の合成
合成中間体B−7(5.5g)、トリエチルアミン11.2g、メシルクロリド6.3g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.2gを塩化メチレン120mLに0℃にて溶解、1時間撹拌した。さらに合成中間体B−8(5.8g)をゆっくり添加、室温にて3時間撹拌した。水を加えて反応を停止、酢酸エチルから抽出、濃縮した。残渣をメタノール60mLに溶解、5Mの水酸化ナトリウム水溶液16mLを加えて50℃にて1時間撹拌した。冷却後、希塩酸を用いて酸性にし、溶媒を留去、残渣を精製して例示化合物11を5.1g(収率52%)で得た。
【0069】
一般式(1)〜(3)で表される本発明の化合物は、乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。一般式(1)〜(3)で表される本発明の化合物の添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
本発明の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
【0070】
一般式(1)〜(3)で表される本発明の化合物は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-2モル、より好ましくは1×10-8〜2×10-3モル、更に好ましくは1×10-7〜1×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
【0071】
写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regular)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に記述する。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging Science誌、第30巻(1986年)の247頁から254頁を参照することができる。
【0072】
本発明の感光材料は、平板状粒子(2つの対向する平行な主平面を有するハロゲン化銀粒子、以下「平板粒子」と言う)からなる感光性ハロゲン化銀乳剤を含有することが好ましい。以下に平板粒子について詳細に説明する。
本発明における平板粒子のアスペクト比は、2つの対向する平行な主平面の円相当直径(該主平面と同じ投影面積を有する円の直径)を主平面の距離(すなわち粒子の厚み)で割った値として定義される。
【0073】
平板粒子のアスペクト比は、5以上100以下が好ましい。本発明の効果を発現するためには、8以上60以下であることがより好ましく、10以上30以下であることが特に好ましい。平均アスペクト比が比が2未満では平板粒子のメリット(感度および画質の向上)を活かし切れず、100を超えると圧力耐性が悪化するため好ましくない。また、本発明における平板粒子は、平板粒子の占める割合が全投影面積の60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。50%未満では平板粒子のメリットを活かし切れないため好ましくない。
本発明における平均粒子厚みとは全平板粒子の粒子厚みの算術平均である。本発明の平板粒子の平均粒子厚みとしては0.01〜0.3μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.12μm、特に好ましくは0.01〜0.07μmである。平均粒子厚みが0.01μm未満では圧力耐性が悪化し、0.3μmを超えると本発明の効果が得られにくくなるため好ましくない。
本発明では上記の範囲の粒子厚みとアスペクト比を目的に応じて選んで良いが、粒子厚みが薄くアスペクト比の高い平板粒子を用いることが好ましい。
【0074】
本発明における平板粒子の直径(円相当径)は任意に選ぶことができるが、好ましくは0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。全平板粒子の円相当径の算術平均である平均円相当径が0.3μm未満では本発明の効果が得られにくく、20μmを超えると圧力耐性が悪化するので好ましくない。
粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4,434,226号に記載の方法の如く粒子の電子顕微鏡写真より求めることができる。アスペクト比の測定法の一例としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)と厚みを求める方法がある。この場合、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出することができる。
【0075】
本発明の平板粒子は単分散であることが好ましい。全ハロゲン化銀粒子の粒径分布の変動係数が35%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。35%を超えると粒子間の均質性の点で好ましくない。ここで粒径分布の変動係数とは、個々のハロゲン化銀粒子の球相当直径のばらつき(標準偏差)を平均球相当直径で割った値に100を乗じた値である。ハロゲン化銀粒子の粒子形態が揃い、かつ粒子サイズのバラツキが小さい粒子群からなるハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ分布はほとんど正規分布を示し、標準偏差を容易に求めることができる。
単分散平板粒子の調製については、特開昭63−11928号に記載がある。単分散六角形平板粒子については、特開昭63−151618号に記載がある。円形単分散平板粒子乳剤については、特開平1−131541号に記載がある。また、特開平2−838号には、全投影面積の95%以上が主平面に平行な二枚の双晶面を持つ平板粒子で占められており、かつ該平板粒子のサイズ分布が単分散である乳剤が開示されている。欧州特許第514,742A1号には、ポリアルキレンオキサイドブロックコポリマーを用いて調製された粒子サイズの変動係数が10%以下の平板粒子乳剤が開示されている。
【0076】
平板粒子は、その主表面が(100)と(111)のものが知られており、本発明の技術は両方に適用できる。前者については、臭化銀に関して米国特許第4,063,951号および特開平5−281640号に記載があり、塩化銀に関して欧州特許第534,395A1号および米国特許第5,264,337号に記載がある。後者の平板粒子は、上記の双晶面を一枚以上有する種々の形状を有する粒子であり、塩化銀に関しては、米国特許第4,399,215号、同第4,983,508号、同第5,183,732号、特開平3−137632号および同3−116113号に記載がある。
【0077】
平板粒子の形成方法としては種々の方法を用いることができるが、例えば米国特許第5,494,789号に記載の粒子形成法を用いることができる。
高アスペクト比の平板粒子を形成するには、小サイズの双晶核を生成させることが重要である。そのために低温、高pBr、低PH、低ゼラチン量で短時間のうちに核形成を行うことが好ましく、ゼラチンの種類としては低分子量のものやメチオニン含有量の少ないもの、フタル化を施したものなどが好ましい。
核形成後は物理熟成により平板粒子核(平行多重双晶核)のみ成長させ、他の正常晶の核、一重双晶の核、非平行多重双晶核を消失させて、選択的に平行多重双晶の核を残す。その後、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を添加し粒子成長を行って平板粒子からなる乳剤が調製される。
あらかじめ別に調製した、あるいは別の反応容器で同時に調製したハロゲン化銀微粒子を添加することで銀とハライドを供給し粒子を成長させることも好ましい。
【0078】
本発明における平板粒子は転位線を有していても良い。転位線とは結晶のすべり面上で、すでにすべった領域とまだすべらない領域の境界にある線状の格子欠陥のことである。
本発明における平板粒子が転位線を有する場合、その位置は例えば粒子の頂点部、フリンジ部あるいは粒子の主平面上に転位線が形成されていてもよい。ここでフリンジ部とは平板粒子の外周のことを指し、詳しくは平板粒子の辺から中心にかけての沃化銀の分布において、辺側から見て初めてある点の沃化銀含有率が粒子全体の平均沃化銀含有率を超えた点、もしくは下回った点の外側を指す。
【0079】
本発明における平板粒子が転位線を有する場合、その転位線の密度は任意であり、1粒子当たり10本以上、30本以上、50本以上などを選ぶことができる。本発明に用いられる平板粒子は、転位線を粒子内に有してもよい。
ハロゲン化銀粒子中に転位をコントロールして導入する技術に関しては、特開昭63−220238号に記載がある。転位線を導入した平板粒子は転位線のない平板粒子と比較して、感度、相反則等の写真特性の向上、保存性の改善、潜像安定性の向上、圧力カブリの減少などの効果が得られることが示されている。この公報記載の発明によれば、転位は主に平板粒子のエッジ部に導入される。また、中心部に転位が導入された平板状粒子については、米国特許第5,238,796号に記載がある。
【0080】
ハロゲン化銀粒子中の転位線は、例えば、J.F.Hamilton, Photo.Sci.Eng., 11, 57(1967)や、T.Shiozawa, J.Soc.Photo.Sci.Japan, 35, 213(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接法により観察することができる。すなわち、乳剤から転位が発生するほどの圧力をかけないように注意して取り出したハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行なう。この時、粒子の厚みが厚いほど、電子線が通過しにくくなるので、高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対し200kv以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真により、主平面に対し垂直な面から見た場合の各粒子についての転位線の位置と本数を求めることができる。
【0081】
本発明における平板粒子としては臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、沃塩化銀、塩化銀、塩沃臭化銀等を用いることができるが、臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀を用いることが好ましい。
また、塩化銀を50モル%以上含有するアスペクト比2以上の塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀もしくは塩化銀を用いることも迅速処理適性の点で好ましい。塩化銀含有率の上限に特に制限はないが、99.6モル%以下が好ましい。
沃化物、あるいは塩化物を含む相を有する場合、これらの相は粒子内に均一に分布させても良いし、局在させても良い。その他の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀が別粒子として、あるいはハロゲン化銀粒子の一部分として含まれていても良い。
【0082】
本発明における平板粒子の好ましい沃化銀含有率の範囲は0.1〜20モル%であり、より好ましくは0.1〜15モル%、特に好ましくは0.2〜10モル%である。0.1モル%未満では色素吸着の強化、固有感度の上昇などの効果が得にくく、20モル%を超えると一般に現像速度が遅れるため好ましくない。
塩化銀を50モル%以上含有するアスペクト比2以上の平板粒子の場合は、沃化銀を含んでも良いが、沃化銀含有率は好ましくは6モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。
本発明における平板粒子の好ましい粒子間沃化銀含有率分布の変動係数は30%以下であり、より好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。30%を超えると粒子間の均質性の点で好ましくない。個々の平板粒子の沃化銀含有率はX線マイクロアナライザーを用いて、1個1個の粒子の組成を分析することにより測定できる。ここで沃化銀含有率分布の変動係数とは個々の粒子の沃化銀含有率の標準偏差を平均沃化銀含有率で割った値である。
【0083】
本発明における平板粒子はホスト平板粒子表面上に少なくとも1種の銀塩エピタキシーを形成したエピタキシャルハロゲン化銀粒子であっても良い。
本発明においては銀塩エピタキシーをホスト平板粒子の表面の選択された部位に形成しても良く、ホスト平板粒子のコーナーやエッジ(平板粒子を上から見た時、粒子の側面および各辺の辺上の部位)に限定しても良い。
銀塩エピタキシーを形成する場合、粒子内および粒子間で均質にホスト平板粒子の表面の選択された部位に銀塩エピタキシーを形成することが好ましい。具体的な銀塩エピタキシーのサイトダイレクトの方法には米国特許4,435,501号に記載の銀塩エピタキシー形成前にホスト粒子に分光増感色素(例えばシアニン色素)やアミノアザインデン類(例えばアデニン)を吸着させる方法あるいはホスト粒子に沃化銀を含有させる方法などがありこれらの方法を用いても良い。また、銀塩エピタキシー形成前に沃化物イオンを添加しホスト粒子に沈積させてもよい。これらのサイトダイレクト方法は場合に応じて選んで良く、また複数組み合わせて用いても良い。
【0084】
銀塩エピタキシーを形成する場合、銀塩エピタキシーがホスト平板粒子表面積に対して占有する割合は1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜40%、特に好ましくは3〜30%である。
銀塩エピタキシーを形成する場合、銀塩エピタキシーの銀量はハロゲン化銀平板粒子の総銀量に対して0.3〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜25モル%、特に好ましくは0.5〜15モル%である。
銀塩エピタキシーの組成は場合に応じて選ぶことができ、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオンのいずれかを含むハロゲン化銀であってもよいが、少なくとも塩化物イオンを含むハロゲン化銀であることが好ましい。塩化銀はホスト平板粒子である臭化銀、沃臭化銀と同じ面心立方格子構造を形成するのでエピタキシー形成は容易である。しかしながら、2種のハロゲン化銀により形成される格子間隔に差があり、この差により写真感度増加に寄与するエピタキシー接合が形成される。
ハロゲン化銀エピタキシーに含まれる塩化銀含有率はホスト平板粒子に含まれる塩化銀含有率よりも少なくとも10モル%高いことが好ましく、15モル%以上高いことがより好ましく、20モル%以上高いことが特に好ましい。両者の差が10モル%未満では効果が得られにくく好ましくない。
【0085】
ハロゲン化銀エピタキシーにハロゲン化物イオンを導入する際、その導入量を増やすために、エピタキシーの組成に応じた順序でハロゲン化物イオンを導入することが好ましい。例えば、内部に塩化銀が多く含まれ、中間部に臭化銀が多く含まれ、外部に沃化銀が多く含まれるエピタキシーを形成する場合には、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオンの順にこれらのハロゲン化物を添加して、添加されたハロゲン化物イオンを含むハロゲン化銀の溶解度を他のハロゲン化銀の溶解度より低下させて、そのハロゲン化銀を沈殿させ、該ハロゲン化銀に富んだ層を形成する。ハロゲン化銀以外の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀が銀塩エピタキシーに含まれていても良い。
【0086】
銀塩エピタキシーを形成する方法はハロゲン化物イオンを添加する方法、硝酸銀水溶液とハロゲン化物水溶液をダブルジェット法で添加する方法、ハロゲン化銀微粒子を添加する方法などがあり、これらの方法は場合に応じて選んで良く、また複数組み合わせて用いても良い。銀塩エピタキシーを形成する時の系の温度、pH、pAg、ゼラチンなど保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類および濃度などは広範に選択し得る。
【0087】
エピタキシャルハロゲン化銀粒子の場合、ホスト平板粒子の形態保持あるいは銀塩エピタキシーの粒子エッジ/コーナー部へのサイトダイレクトの為に、ホスト平板粒子の外側領域(最後に沈殿する部分であり、粒子のエッジ/コーナー部を形成する)は中央領域の沃化銀含有率より少なくとも1モル%高い沃化銀含有率であることが好ましい。その時の外側領域の沃化銀含有率は1〜20モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜15モル%である。1モル%未満では上記の効果が得られにくく、20モル%超えると現像速度が遅れるので好ましくない。この場合、ホスト平板粒子の総銀量に対する沃化銀を含有する外側領域の総銀量の割合は10〜30%であることが好ましく、10〜25%であることがより好ましい。10%未満または30%を超えると上記の効果が得られにくく好ましくない。また、その時の中央領域の沃化銀含有率は0〜10モル%が好ましく、より好ましくは1〜8モル%、特に好ましくは1〜6モル%である。10モル%を超えると現像速度が遅れるため好ましくない。
本発明に用いられる平板粒子は、ハロゲン化銀面心立方結晶格子構造に有用であることが知られている通常のドーパントはいずれも用いることができる。通常のドーパントには、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Tlなどがある。これらのドーパントはホスト乳剤および/または粒子表面上にエピタキシャル配置された銀塩中に存在させることができる。
【0088】
本発明における上記乳剤およびこれと併用する他の写真乳剤について以下に述べる。
本発明で用いられるその他の乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。本発明におけるハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子でも球相当直径が約3μmに至る大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、同4,628,021号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する)No.17029(1978年)、同No.17643(1978年)22〜23頁、同No.18716(1979年)648頁、同No.307105(1989年)863〜865頁、特開昭62−253159号、同64−13546号、特開平2−236546号、同3−110555号およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides, Chemie et Phisque Photographique, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulusion, Focal Press, 1964)等に記載されている方法を用いて調製したハロゲン化銀乳剤の中から選ぶことができる。
【0089】
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度などの少なくとも1つの特性が異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。また、本発明に好ましく用いられる塩化銀含有率50モル%以上かつアスペクト比2以上の平板粒子からなる乳剤とそれとは異なる乳剤とをそれぞれ別層中で使用する、あるいは同一層中で混合して使用することもできる。
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈降法を用いても良く、沈降法が最も好ましく用いられる。
【0090】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウムなどの重金属を含有させても良い。これらの化合物は、単独で用いても良いしまた2種以上組み合わせて用いてもよい。添加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化銀1モルあたり10-9〜10-3モル程度である。また含有させる時には、粒子は均一に入れてもよいし、また粒子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開平2−236542号、同1−116637号等に記載の乳剤が好ましく用いられる。
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオ尿素化合物や特公昭47−11386号記載の有機チオエーテル誘導体または特開昭53−144319号に記載されている含硫黄化合物等を用いることができる。
【0091】
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides, Chemie et Phisque Photographique, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulusion, Focal Press, 1964)等の記載を参照すれば良い。すなわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましく用いられる。
【0092】
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロールドダブルジェット法も用いることができる。
また、粒子成長を速めるために、添加する銀塩およびハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を上昇させてもよい(特開昭55−142329号、同55−158124号、米国特許第3,650,757号等)。更に反応液の撹拌方法は、公知のいずれの撹拌方法でもよい。
またハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度、pHは目的に応じてどのように選定してもよい。好ましいpH範囲は2.2〜7.0、より好ましくは2.5〜6.0である。
【0093】
感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感(本発明に規定する「1電子酸化されて1電子酸化体となった後に、初めて結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物」による化学増感を除く)されたハロゲン化銀乳剤である。本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法などのカルコゲン増感法、金、白金、パラジウムなどを用いる貴金属増感法および還元増感法などを単独または組合せて用いることができる(特開平3−110555号)。これら通常の化学増感を行う際に、本発明に関わる化合物(特に、一般式(1)または(2)で表わされる化合物)を存在させ、本発明の増感を行うのも好ましい態様である。この場合の本発明に関わる化合物の添加時期は、通常の化学増感中、化学増感直前、化学増感終了直後のいずれでもよい。これらの化学増感を含窒素ヘテロ環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62−253159号)。また後掲するかぶり防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号、特開昭62−40446号記載の方法を用いることができる。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀の塗設量は、銀換算0.01〜10g/m2の範囲が好ましく、6g/m2以下が特に好ましい。
【0094】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に緑感性、赤感性等の感色性を持たせるためには、感光性ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180550号、同64−13546号、特開平5−45828号、同5−45834号などに記載の増感色素が挙げられる。これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感や分光増感の波長調節の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでもよい(例えば米国特許第3,615,641号、特開昭63−23145号等に記載のものなど)。
これらの増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時もしくはその前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。またこれらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの有機溶媒の溶液、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。添加量は一般にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2モル程度である。
【0095】
更に、本発明は分光増感色素で光吸収率を向上させる技術と併用することが好ましい。例えば、分子間力を利用することで増感色素をハロゲン化銀粒子表面へ単層飽和吸着(すなわち1層吸着)より多く吸着させたり、2つ以上の別々に共役しておらず共有結合で連結された発色団を有する、いわゆる連結色素を吸着させることである。その中でも、以下に示した特許に記載されている技術と併用することが好ましい。
特開平10-239789号、特開平11-133531号、特開2000-267216号、特開2000-275772号、特開2001-75222号、特開2001-75247号、特開2001-75221号、特開2001-75226号、特開2001-75223号、特開2001-255615号、特開2002-23294号、特開平10-171058号、特開平10-186559号、特開平10-197980号、特開2000-81678号、特開2001-5132号、特開2001-166413号、特開2002-49113号、特開昭64-91134号、特開平10-110107号、特開平10-171058号、特開平10-226758号、特開平10-307358号、特開平10-307359号、特開平10-310715号、特開2000-231174号、特開2000-231172号、特開2000-231173号、特開2001-356442号、欧州特許第985965A号、欧州特許第985964A号、欧州特許第985966A号、欧州特許第985967A号、欧州特許第1085372A号、欧州特許第1085373A号、欧州特許第1172688A号、欧州特許第1199595A号、欧州特許第887700A1号。
特に以下に示した特許に記載されている技術と併用することが好ましい。
特開平10-239789号、特開2001-75222号、特開平10-171058号。
【0096】
本発明に使用できる写真用添加剤はRDに記載されており、以下に関連する記載箇所を示した。
Figure 0004102124
【0097】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することも好ましい。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は特に好ましく用いられる。
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜30質量%を構成することができる。
好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。
【0098】
メルカプト基またはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。これらの化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾールの銀塩、s−アルキルチオグリコール酸(ここでアルキル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグリコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカルボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオキサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,301,678号に記載の3−(3−カルボキシエチル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩などのチオン化合物の銀塩を含む。さらに、イミノ基を含む化合物も使用することができる。これらの化合物の好ましい例としては、ベンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えばメチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾールの銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,220,709号に記載のような1,2,4−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを含む。例えば、米国特許第4,761,361号および同4,775,613号に記載のような種々の銀アセチリド化合物をも使用することもできる。また、有機銀塩は2種以上を併用してもよい。
【0099】
本発明では、上記の有機化合物を適当な反応媒体中で硝酸銀と混合することにより該化合物の銀塩(以下有機銀塩という)を形成する。硝酸銀の一部を他の銀イオン供給体(例えば塩化銀、酢酸銀)に置き換えることもできる。
これら反応試薬の添加方法は任意である。あらかじめ該化合物を反応容器に入れておき、これに硝酸銀を添加してもよいし、あるいは逆に硝酸銀を反応容器に入れておき、これに該化合物を添加してもよい。また、該化合物の一部を反応容器に入れておき、硝酸銀の一部を添加した後、残りの該化合物と硝酸銀を順次添加することもできる。更に硝酸銀と有機化合物を同時に反応容器に添加することもできる。反応中は攪拌を行なうのが好ましい。
上記の有機化合物は銀1モルに対して0.8〜100モルの比率で硝酸銀と混合するのが通常であるが、化合物の種類によってはこの範囲外で用いることもできる。反応中の銀イオン濃度を制御するように硝酸銀もしくは化合物の添加速度を加減してもよい。
【0100】
上記の有機銀塩は、いずれの層に添加しても良く、一つの層に添加しても複数の層に添加しても良い。また、ハロゲン化銀乳剤層を有する側に設けられる親水性コロイド層で保護層、中間層、支持体と乳剤層の間のいわゆる下塗り層などの感光性ハロゲン化銀乳剤を含有しない層に添加することも保存性改良の点で好ましい。
上記の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり0.01〜10モル、好ましくは0.05〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.02〜20g/m2、好ましくは0.1〜12g/m2、特に好ましくは6g/m2以上である。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して保護され、在庫貯蔵中における感度の変動に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号および同2,694,716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号および同2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号および同2,597,915号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号および同4,442,202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号および同4,137,079号、同第4,138,365号および同4,459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号に記載のリン化合物などがある。
【0101】
本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−119624号、同50−120328号、同51−121332号、同54−58022号、同56−70543号、同56−99335号、同59−90842号、同61−129642号、同62−129845号、特開平6−208191号、同7−5621号、同7−2781号、同8−15809号、米国特許第5,340,712号、同第5,369,000号、同第5,464,737号に開示されているような化合物が挙げられる。
本発明のカブリ防止剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0102】
本発明における感光材料は高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,939号、同第4,152,160号などに記載の化合物が挙げられる。
本発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。本発明の安息香酸類の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、感光性ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6〜2モルが好ましく、1×10-3〜0.5モルがさらに好ましい。
【0103】
本発明では現像を抑制あるいは促進させて現像を制御する、分光増感効率を向上させる、現像前後の保存性を向上させるなどの目的のために、メルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、ヘテロ芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。このヘテロ芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換ヘテロ芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−ベンゾチアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に感光性ハロゲン化銀1モル当たり0.001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、感光性ハロゲン化銀1モル当たり0.01〜0.3モルの量である。
【0104】
本発明の感光材料は、ハロゲン化銀溶剤を使用することも好ましい。例えば、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオシアン酸塩、特公昭47−11386記載のチオエーテル化合物、特開平8−179458号記載のウラシル、ヒダントインの如き5ないし6員環のイミド基を有する化合物、特開昭53−144319記載の炭素−硫黄の2重結合を有する化合物、アナリティカ・ケミカ・アクタ(Analytica Chimica Acta),248巻,604〜614頁(1991年)記載のトリメチルトリアゾリウムチオレート等のメソイオンチオレート化合物が好ましく用いられる。また、特開平8−69097号記載のハロゲン化銀を定着して安定化しうる化合物もハロゲン化銀溶剤として使用しうる。
感材中に含有するハロゲン化銀溶剤の量は、0.01〜100mmol/m2であり、好ましくは0.1〜50mmol/m2、より好ましくは10〜50mmol/m2である。感光材料の感光性ハロゲン化銀の塗布銀量に対しては、モル比で1/20〜20倍で、好ましくは1/10〜10倍、より好ましくは1/3〜3倍である。ハロゲン化銀溶剤は、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルプロピルグリコール等の溶媒或いはアルカリまたは酸性水溶液に添加してもよいし、固体微粒子分散させて塗布液に添加してもよい。ハロゲン化銀溶剤は、単独で使用してもよいし、複数のハロゲン化銀溶剤を併用することも好ましい。
【0105】
本発明における感光材料中の構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前述のRDおよび特開昭64−13546号71〜75頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(例えば、(株)クラレ製の末端アルキル変性ポバールMP103,MP203等)、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組合せが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良く、組合せて用いる事も好ましい。
【0106】
本発明におけるバインダーとしては、ポリマーラテックスを用いることも好ましい。ここでポリマーラテックスとは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平,稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。
【0107】
分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はない。ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂などがある。
ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。また、ポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。
【0108】
ポリマーの分子量は数平均分子量Mnで0.5〜100万、好ましくは1〜50万程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは感光層の力学強度不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
【0109】
本発明に用いられるポリマーラテックスのポリマーは25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下、より好ましくは1質量%以下のものが好ましい。平衡含水率の下限には特に制限はないが、好ましくは0.01質量%であり、より好ましくは0.03質量%である。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14,高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。具体的には、25℃60%RHにおける平衡含水率は、25℃60%RHの雰囲気で調湿平衡に達したポリマーの質量W1と25℃での絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて次式のように表すことができる。
「25℃60%RHにおける平衡含水率」={(W1−W0)/W0}×100(質量%)
【0110】
このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーがポリマーラテックスとして利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA-4635、46583、4601(以上ダイセル化学工業(株))、Nipol Lx811,814,821,820,857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650,611,675,850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size,WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10,20,30,40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K,3307B,4700H,7132C,DS206(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416,433,410,438C,2507,(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351,G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502,L513(以上旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120,SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独でポリマーラテックスとして用いてもよいし、必要に応じて2種以上をブレンドして用いても良い。
【0111】
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は50:50〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は50〜99質量%であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、市販品であるLACSTAR 3307B,7132C,DS206、Nipol Lx416,Lx433等が挙げられる。
本発明において、バインダーの塗布量は1〜20g/m2、好ましくは2〜15g/m2、更に好ましくは3〜12g/m2が適当である。この中でゼラチンは50〜100%、好ましくは70〜100%の割合で用いることができる。
【0112】
本発明の感光材料は色素形成カプラーを含有する。
本発明に好ましく使用されるカプラーとしては、活性メチレン、5−ピラゾロン、ピラゾロアゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾールと総称される化合物である。これらのカプラーはRDNo.38957(1996年9月) ,616 〜624頁,“X.Dye image formers and modifiers ”に引用されている化合物を好ましく使用することができる。
これらのカプラーはいわゆる2当量カプラーと4当量カプラーとに分けることができる。
【0113】
2当量カプラーのアニオン性離脱基として作用する基としては、ハロゲン原子(例えばクロル原子、ブロム原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、4−シアノフェノキシ、4−アルコキシカルボニルフェニル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、トリルチオ)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル)、ヘテロ環カルバモイル基(例えばピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル)、ヘテロ環スルファモイル基(例えばピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルカルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ)、アリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイルオキシ、トルイルオキシ、アニシルオキシ)、含窒素ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル)等が挙げられる。
【0114】
また、4当量カプラーのカチオン性離脱基として作用する基としては、水素原子、ホルミル基、カルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基としては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、スルホニル基等が挙げられる。
上記RDNo.38957に記載の化合物以外にも、以下に記載のカプラーを好ましく用いることができる。
【0115】
活性メチレン系カプラーとしては、EP502,424Aの式(I)、(II)で表わされるカプラー;EP513,496Aの式(1)、(2)で表わされるカプラー;欧州特許第568,037A号のクレーム1の式(I)で表わされるカプラー;米国特許第5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表わされるカプラー;特開平4−274425号の段落番号0008の一般式(I)で表わされるカプラー;欧州特許第498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー;欧州特許第447,969A1号の4頁の式(Y)で表わされるカプラー;米国特許第4,476,219号カラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表わされるカプラーを用いることができる。
5−ピラゾロン系カプラーとしては、特開昭57−35858号および特開昭51−20826号に記載の化合物が好ましい。
【0116】
ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、米国特許第4,540,654号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましく、光堅牢性の点で、これらのうちピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましい。
また、特開昭61−65245号に記載されているような分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2、3または6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−65245号に記載されている分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されるアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラー、特開昭62−209457号もしくは同63−307453号に記載されている6位にアルコキシ基やアリールオキシ基を持つピラゾロトリアゾールカプラー、および特開平2−201443号に記載される分子内にカルボンアミド基を持つピラゾロトリアゾールカプラーも好ましく用いることができる。
【0117】
フェノール系カプラーの好ましい例としては、米国特許第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号等に記載の2−アルキルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,772,162号、同第3,758,308号、同第4,126,396号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、***特許公開第3,329,729号、特開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,451,559号、同第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェノール系等を挙げることができる。
ナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特許第2,474,293号、同第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−ナフトール系および米国特許第4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール系等を挙げることができる。
【0118】
ピロロトリアゾール系カプラーの好ましい例としては、欧州特許第488,248A1号、同第491,197A1号、同第545,300号に記載のカプラーが挙げられる。
その他、縮環フェノール、イミダゾール、ピロール、3−ヒドロキシピリジン、活性メチン、5,5−縮環ヘテロ環、5,6−縮環ヘテロ環といった構造を有するカプラーが使用できる。
縮環フェノール系カプラーとしては、米国特許第4,327,173号、同第4,564,586号、同第4,904,575号等に記載のカプラーが使用できる。
【0119】
イミダゾール系カプラーとしては、米国特許第4,818,672号、同第5,051,347号等に記載のカプラーが使用できる。
ピロール系カプラーとしては、特開平4−188137号、同4−190347号等に記載のカプラーが使用できる。
3−ヒドロキシピリジン系カプラーとしては、特開平1−315736号等に記載のカプラーが使用できる。
活性メチン系カプラーとしては、米国特許第5,104,783号、同第5,162,196号等に記載のカプラーが使用できる。
【0120】
5,5−縮環ヘテロ環系カプラーとしては、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール系カプラー等が使用できる。
5,6−縮環ヘテロ環系カプラーとしては、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカプラー等が使用できる。
【0121】
本発明には前述のカプラー以外に、***特許第3,819,051A号、同第3,823,049号、米国特許第4,840,883号、同第5,024,930号、同第5,051,347号、同第4,481,268号、欧州特許第304,856A2号、同第329,036号、同第354,549A2号、同第374,781A2号、同第379,110A2号、同第386,930A1号、特開昭63−141055号、同64−32260号、同64−32261号、特開平2−297547号、同2−44340号、同2−110555号、同3−7938号、同3−160440号、同3−172839号、同4−172447号、同4−179949号、同4−182645号、同4−184437号、同4−188138号、同4−188139号、同4−194847号、同4−204532号、同4−204731号、同4−204732号等に記載されているカプラーも使用できる。
これらのカプラーは各色0.05〜10mmol/m2、好ましくは0.1〜5mmol/m2を用いることができる。
【0122】
また、下記のような機能性カプラーを含有しても良い。
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,873B号、独国特許第3,234,533号に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーとしては、欧州特許第456,257A1号5頁に記載の式(CI),(CII),(CIII),(CIV)で表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該欧州特許に記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁),EX−1(249頁),EX−7(251頁)、米国特許第4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8),CC−13(カラム10)、米国特許第4,837,136号の(2)(カラム8)、国際特許第92/11575号のクレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0123】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。
現像抑制剤放出化合物:欧州特許第378,236A1号11頁に記載の式(I)〜(IV)で表わされる化合物(特にT−101(30頁),T−104(31頁),T−113(36頁),T−131(45頁),T−144(51頁),T−158(58頁)),欧州特許第436,938A2号7頁に記載の式(I)で表わされる化合物(特にD−49(51頁))、欧州特許第568,037A号の式(I)で表わされる化合物(特に(23)(11頁))、欧州特許第440,195A2号5〜6頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁のI−(1))。
【0124】
漂白促進剤放出化合物:欧州特許第310,125A2号5頁の式(I),(I′)で表わされる化合物(特に61頁の(60),(61))および特開平6−59411号請求項1の式(I)で表わされる化合物(特に(7)(7頁))。
【0125】
リガンド放出化合物:米国特許第4,555,478号のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化合物(特にカラム12の21〜41行目化合物)。
【0126】
ロイコ色素放出化合物:米国特許第4,749,641号のカラム3〜8の化合物1〜6。
蛍光色素放出化合物:米国特許第4,774,181号のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11)。
【0127】
現像促進剤またはカブラセ剤放出化合物:米国特許第4,656,123号カラム3の式(1),(2),(3)で表わされる化合物(特にカラム25の(I−22))および欧州特許第450,637A2号75頁36〜38行目のExZK−2。
離脱して初めて色素となる基を放出する化合物:米国特許第4,857,447号のクレーム1の式(I)で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1〜Y−19)。
【0128】
カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272号のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144頁)。
油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:米国特許第4,199,363号に記載のラテックス。
現像主薬酸化体スカベンジャー:米国特許第4,978,606号カラム2の54〜62行の式(I)で表わされる化合物(特にI−(1),(2),(6),(12)(カラム4〜5))、米国特許第4,923,787号カラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3)。
ステイン防止剤:欧州特許第298,321A号4頁30〜33行の式(I)〜(III),特にI−47,72,III−1,27(24〜48頁)。
褪色防止剤:欧州特許第298,321A号のA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69〜118頁),米国特許第5,122,444号カラム25〜38のII−1〜III−23,特にIII−10、EP471,347A8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2、米国特許第5,139,931号カラム32〜40のA−1〜48,特にA−39,42。
【0129】
発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材:欧州特許第41,132A号5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46。
ホルマリンスカベンジャー:欧州特許第477,932A号24〜29頁のSCV−1〜28,特にSCV−8。
硬膜剤:特開平1−214845号17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号カラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号のクレーム1に記載の化合物。
現像抑制剤プレカーサー;特開昭62−168139号のP−24,37,39(6〜7頁)、米国特許第5,019,492号のクレーム1に記載の化合物,特にカラム7の28,29.
防腐剤、防黴剤:米国特許第4,923,790号カラム3〜15のI−1〜III−43,特にII−1,9,10,18,III−25。
安定剤、かぶり防止剤:米国特許第4,923,793号カラム6〜16のI−1〜(14),特にI−1,60,(2),(13)、米国特許第4,952,483号カラム25〜32の化合物1〜65,特に36。
化学増感剤:トリフェニルホスフィンセレニド,特開平5−40324号の化合物50。
【0130】
染料:特開平3−156450号15〜18頁のa−1〜b−20,特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜23,特にV−1、欧州特許第445,627A号33〜55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−11,F−II−8、EP457,153A17〜28頁のIII−1〜36,特にIII−1,3、国際特許第88/04794号8〜26頁のDye−1〜124の微結晶分散体、欧州特許第319,999A号6〜11頁の化合物1〜22,特に化合物1、欧州特許第519,306A号の式(1)〜(3)で表わされる化合物D−1〜87(3〜28頁)、米国特許第4,268,622号の式(I)で表わされる化合物1〜22(カラム3〜10)、米国特許第4,923,788号の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0131】
UV吸収剤:特開昭46−3335号の式(1)で表わされる化合物(18b)〜(18r),101〜427(6〜9頁)、欧州特許第520,938A号の式(I)で表わされる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)および式(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14頁)、欧州特許第521,823A号の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9)。
【0132】
このような機能性カプラーや添加剤は、先に述べた発色に寄与するカプラーの0.05〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル用いることが好ましい。
【0133】
カプラー、発色現像主薬などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特公平3−62256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。またこれら色素供与性カプラー、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
高沸点有機溶媒の量は用いられる疎水性添加剤1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して1mL以下、更には0.5mL以下、特に0.3mL以下が適当である。
【0134】
特公昭51−39853号、特開昭51−59943号に記載されている重合物による分散法や特開昭62−30242号等に記載されている微粒子分散物にして添加する方法も使用できる。
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157636号37〜38頁、前記のRDに記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。また、特開平7−56267号、同7−228589号、***公開特許第1,932,299A号記載のリン酸エステル型界面活性剤も使用することができる。
【0135】
本発明の感光材料は、種々のカブリ防止剤または写真安定剤を使用することができる。その例としては、RDNo.17643(1978年)24〜25頁に記載のアゾールやアザインデン類、特開昭59−168442号記載の窒素を含むカルボン酸類およびリン酸類、あるいは特開昭59−111636号記載のメルカプト化合物およびその金属塩、特開昭62−87957号に記載されているアセチレン化合物類などが用いられる。
本発明の感光材料は、耐拡散性の還元剤または発色現像主薬を使用する場合には、耐拡散性還元剤または発色現像主薬と現像可能なハロゲン化銀との間の電子移動を促進するために、必要に応じて電子伝達剤および/または電子伝達剤プレカーサーを組合せて用いることができる。電子伝達剤またはそのプレカーサーはその移動性が耐拡散性の還元剤(電子供与体)より大きいことが望ましい。特に有用な電子伝達剤は1−フェニル−3−ピラゾリドン類またはアミノフェノール類である。
【0136】
本発明の感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、前述のカプラー、現像主薬およびDIR化合物、混色防止剤、染料等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、独国特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、各ハロゲン乳剤層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、62−206543号に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置することもできる。
【0137】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また特公昭55−34932号に記載されているように、支持体から最も遠い側から、青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0138】
また特公昭49−15495号に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号に記載されているように、同一感光性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
色再現性を改良するために、米国特許第4,663,271号、同第4,705,744号、同第4,707,436号、特開昭62−160448号、同63−89850号の明細書に記載の、BL、GL、RLなどの主感光性層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光性層に隣接もしくは近接して配置することも好ましい。
上記の通り、それぞれの感光材料の目的に応じて種々の層構成・配列を選択することができる。
本発明の乳剤は、いずれの乳剤層に用いることもできるが、特に高感度乳剤層に用いるのが好ましい。
【0139】
本発明においては、ハロゲン化銀乳剤と色素形成カプラー並びに発色現像主薬および/またはその前駆体は同一層に含まれていても良いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。例えば発色現像主薬を含む層とハロゲン化銀乳剤を含む層とを別層にすると感材の生保存性の向上が図れる。
各層の分光感度およびカプラーの色相の関係は任意であるが、赤色感光性層にシアンカプラー、緑色感光性層にマゼンタカプラー、青色感光性層にイエローカプラーを用いると、従来のカラーペーパー等に直接投影露光できる。
感光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間および最上層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性層を設けても良く、支持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設けることができる。
【0140】
具体的には、上記特許記載のような層構成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り層、特開平1−167838号、特開昭61−20943号記載のような固体顔料を有する中間層、特開平1−120553号、同5−34884号、同2−64634号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同5,139,919号、特開平2−235044号記載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−249245号記載のような還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた層などを設けることができる。
黄色フィルター層、アンチハレーション層に用いる事の出来る染料としては、現像時に消色あるいは除去され、処理後の濃度に寄与しないものが好ましい。
黄色フィルター層、アンチハレーション層の染料が現像時に消色あるいは除去されるとは、処理後に残存する染料の量が塗布時の1/3以下、好ましくは1/10以下となることであり、現像時に染料の成分が感光材料から処理材料に転写しても良いし現像時に反応して無色の化合物に変わっても良い。
具体的には、欧州特許第549,489A号記載の染料や、特開平7−152129号のExF2〜6の染料が挙げられる。特開平8−101487号に記載されているような固体分散した染料を用いることもできる。
また、媒染剤とバインダーに染料を媒染させておくこともできる。この場合媒染剤と染料は写真分野で公知のものを用いることができ、米国特許第4,500,626号第58〜59欄や、特開昭61−88256号32〜41頁、特開昭62−244043号、同62−244036号等に記載の媒染剤を挙げることができる。
【0141】
また、還元剤と反応して拡散性色素を放出する化合物と還元剤を用い、現像時のアルカリで可働性色素を放出させ、処理材料に転写除去させることもできる。具体的には、米国特許第4,559,290号、同4,783,396号、欧州特許第220,746A2号、公開技報87−6119号に記載されている。
消色するロイコ染料などを用いることもでき、具体的には特開平1−150132号に有機酸金属塩の顕色剤によりあらかじめ発色させておいたロイコ染料を含むハロゲン化銀感光材料が開示されている。ロイコ染料と顕色剤錯体は熱あるいはアルカリ剤と反応して消色する。
ロイコ染料は、公知のものが利用でき、森賀、吉田「染料と薬品」9,84頁(化成品工業協会)、「新版染料便覧」242頁(丸善,1970),R. Garner「Reports on the Progress of Appl. Chem 」56,199頁(1971)、「染料と薬品」19,230頁(化成品工業協会、1974)、「色材」62,288頁(1989)、「染色工業」32,208等に記載がある。
顕色剤としては、酸性白土系顕色剤、フェノールホルムアルデヒドレジンの他、有機酸の金属塩が好ましく用いられる。有機酸の金属塩としてはサリチル酸類の金属塩、フェノール−サリチル酸−ホルムアルデヒドレジンの金属塩、ロダン塩、キサントゲン酸塩の金属塩等が有用であり、金属としては特に亜鉛が好ましい。上記の顕色剤のうち、油溶性のサリチル酸亜鉛塩については、米国特許第3,864,146号、同4,046,941号各明細書および特公昭52−1327号公報等に記載されたものを用いることができる。
【0142】
本発明の感光材料の塗布層は硬膜剤で硬膜されていることが好ましい。
硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号などに記載の化合物)が挙げられる。
これらの硬膜剤は、親水性バインダー1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
【0143】
感光材料には、種々のカブリ防止剤または写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記RD、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13564号(7)〜(9)頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174747号、同62−239148号、特開平1−150135号、同2−110557号、同2−178650号、RDNo.17643(1978年)24〜25頁などに記載の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、銀1モルあたり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、さらに1×10-5〜1×10-2モルが好ましく用いられる。
【0144】
感光材料には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は公知技術第5号(1991年3月22日、アズテック有限会社発行)136〜138頁、特開昭62−173463号、同62−183457号等に記載されている。
感光材料には、スベリ性防止、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。感光材料のぬれ性と帯電防止を両立する目的で親水性基を有するフッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。
【0145】
感光材料には滑り性がある事が好ましい。滑り剤含有層は感光性層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃60%RH)。この評価においては相手材として感光性層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。
使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。ハロゲン化銀の圧力カブリや減感を防止するために、シリコンオイルや塩化パラフィンは好ましく用いられる。
【0146】
また本発明においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸およびカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。
帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107Ω・cm以下、より好ましくは105Ω・cm以下である粒子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb、P、B、In、S、Si、Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。感材への含有量としては5〜500mg/m2が好ましく、特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物またはその複合酸化物とバインダーの量の比は1:300〜100:1が好ましく、より好ましくは1:100〜100:5である。感光材料の支持体の裏面には、特開平8−292514号に記載された耐水性のポリマーを塗布することも好ましい。
感光材料または後述する処理材料の構成(バック層を含む)には、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のヒビ割れ防止、圧力増減感防止等の膜物性改良の目的で種々のポリマーラテックスを含有させることができる。具体的には、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号等に記載のポリマーラテックスのいずれも使用できる。特に、ガラス転移点の低い(40℃以下)ポリマーラテックスを媒染層に用いると媒染層のヒビ割れを防止することができ、またガラス転移点が高いポリマーラテックスをバック層に用いるとカール防止効果が得られる。
【0147】
本発明の感光材料にはマット剤を用いることもできる。マット剤の添加位置としては乳剤面、バック面のどちらでもよいが、支持体上の乳剤面の最外層またはバック面の最外層に添加するのが好ましい。マット剤は処理液可溶性でも不溶性でもよく、両者を併用することもできる。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1〜5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭い方が好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。また、マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく、例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
具体的には、特開昭61−88256号29頁に記載されている。その他、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記RDに記載の化合物が使用できる。
これらのマット剤は、必要に応じて前記バインダーの項に記載の各種バインダーで分散して、分散物として使用することができる。特に各種のゼラチン、例えば、酸処理ゼラチン分散物は安定な塗布液を調製しやすく、このとき、pH、イオン強度、バインダー濃度を必要に応じて最適化する事が好ましい。
【0148】
本発明において感光材料の支持体としては、透明かつ処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)223〜240頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)等が挙げられる。
この他に、特開昭62−253159号29〜31頁、特開平1−161236号14〜17頁、特開昭63−316848号、特開平2−22651号、同3−56955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。これらの支持体は、光学的特性、物理的特性を改良するために、熱処理(結晶化度や配向制御)、一軸および二軸延伸(配向制御)、各種ポリマーのブレンド、表面処理等を行うことができる。
特に耐熱性やカール特性の要求が厳しい場合、感光材料の支持体として特開平6−41281号、同6−43581号、同6−51426号、同6−51437号、同6−51442号に記載の支持体が好ましく用いることができる。
【0149】
また、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体である支持体も好ましく用いることができる。支持体の厚みは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは40〜120μmである。
【0150】
次に本発明に好ましく用いられるポリエステル支持体について記すが、上記以外の感材、処理、カートリッジおよび実施例なども含め詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−および2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノール等が挙げられる。この重合体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン−2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約0.5〜20万である。本発明で用い得るポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0151】
次にポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、0.1〜1500時間、さらに好ましくは0.5〜200時間である。支持体の熱処理は、ロール状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb25等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。また端部にローレットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。またライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
支持体と感材構成層を接着させるためには、支持体を表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0152】
次に下塗層について述べる。下塗層は、単層でもよく2層以上であってもよい。下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびこれらの変性ポリマーが挙げられる。支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げることができる。SiO2、TiO2、無機物微粒子またはポリメチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤として含有させてもよい。
また、支持体として例えば、特開平4−124645号、同5−40321号、同6−35092号、同6−317875号記載の磁気記録層を有する支持体を用い、撮影情報などを記録することが好ましい。
【0153】
磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
磁性体粒子は、γFe23などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe23、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co被着γFe23などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積ではSBETで20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0×105A/mであり、特に好ましくは4.0×104〜2.5×105A/mである。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032号に記載された如くその表面にシランカップリング剤またはチタンカップリング剤で処理されてもよい。また特開平4−259911号、同5−81652号に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
磁性体粒子に用いられるバインダーは、特開平4−219569号に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリまたは生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体、糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用することができる。上記の樹脂のTgは−40〜300℃、質量平均分子量は0.2〜100万である。
具体的にはビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。
【0154】
バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3モルとトリメチロールプロパン1モルの反応生成物)およびこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどが挙げられ、例えば特開平6−59357号に記載されている。
前述の磁性体を上記バインダー中に分散する方法は、特開平6−35092号に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283号記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の厚みは0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μm、より好ましくは0.3〜3μmである。磁性体粒子とバインダーの質量比は好ましくは0.5:100〜60:100からなり、より好ましくは1:100〜30:100である。磁性体粒子の塗布量は0.005〜3g/m2、好ましくは0.01〜2g/m2、さらに好ましくは0.02〜0.5g/m2である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。
【0155】
磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布または印刷によって全面またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436号等に記載の塗布液が好ましい。
【0156】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を併せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤またはチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)しても良い。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感材については、米国特許第5,336,589号、同5,250,404号、同5,229,259号、同5,215,874号、欧州特許第466,130号に記載されている。
【0157】
次に、感光材料を装填することのできるフィルムパトローネについて記す。
本発明で使用されるパトローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよい。好ましいプラスチック材料はポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどである。更にパトローネは、各種の帯電防止剤を含有してもよくカーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、カチオンおよびベタイン系界面活性剤またはポリマー等を好ましく用いることができる。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1−312537号、同1−312538号に記載されている。特に25℃25%RHでの抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラスチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作される。パトローネのサイズは現在の135サイズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の135サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。パトローネのケースの容積は、30cm3以下好ましくは25cm3以下とすることが好ましい。パトローネおよびパトローネケースに使用されるプラスチックの質量は5〜15gが好ましい。
更にスプールを回転してフィルムを送り出すパトローネでもよい。またフィルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸をフィルム送り出し方向に回転させることによってフィルム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらは米国特許第4,834,306号、同5,226,613号に開示されている。
【0158】
以上に述べた本発明の感光材料は特公平2−32615号、実公平3−39784号に記載されているレンズ付フィルムユニットにも好ましく用いることができる。
レンズ付きフィルムユニットとは、撮影レンズおよびシャッターをあらかじめ備えた包装ユニット本体に、未露光のカラー感光材料を、シート状またはロール状に、直接または容器に入れて収納し、光密接合した方法ユニットであって更に外装してなるものをいう。
さらに包装ケース本体には、ファインダー、感光材料のコマ送り機構、撮影済みカラー感光材料の収納および取り出し機構などを備え、ファインダーにはパララックス修正支持を、また撮影機構には、例えば、実開平1−93723号、同1−57738号、同1−57740号、特開平1−93723および同1−152437号に記載の補助照明機構を設けることができる。
【0159】
本発明における包装ユニット本体は、感光材料が収納されているので、包装ユニット内の湿度は25℃において相対湿度40〜70%、好ましくは50〜65%になるように調湿することが望ましい。外装用材料には、不透湿性材料または例えば、ASTM試験法D−570で0.1%以下の非吸水性材料を用い、特にアルミニウム箔ラミネート・シートまたはアルミニウム箔を用いることが好ましい。
包装ユニット本体内に設けられる撮影済み感光材料の収納容器は、外装ユニット用カートリッジ、常用のパトローネ、例えば、特開昭54−111822号、同63−194255号、米国特許第4,832,275号、同4,834,306号に記載される容器が用いられる。
用いられる感光材料のフィルムとしては110サイズ、135サイズ、そのハーフサイズや126サイズが挙げられる。
本発明における包装ユニットの構成に用いるプラスチック材料は、炭素−炭素の二重結合をもつオレフィンの不可重合、小員環化合物の開環重合、2種以上の多官能化合物間の重縮合(縮合重合)、重付加およびフェノール誘導体、尿素誘導体、メラミン誘導体とアルデヒドをもつ化合物との付加縮合などの方法を用いて製造することができる。
【0160】
本発明の感光材料は、前述のRDNo.17643の28〜29頁、同No.18716の651左欄〜右欄、および同No.307105の880〜881頁に記載された通常の方法によって現像処理することができる。本発明に使用されるカラーネガフィルム用の現像処理としてはイーストマンコダック社のC−41処理および富士写真フイルム(株)のCN−16処理をあげることができる。本発明に使用されるカラー反転フィルム用の現像処理については、アズテック有限会社発行の公知技術第6号(1991年4月1日)第1頁5行〜第10頁5行および第15頁8行〜第24頁2行に詳細に記載されており、その内容はいずれも好ましく適用することができる。上記の内容を含む好ましい現像処理として、イーストマンコダック社のE−6処理および富士写真フイルム(株)のCR−56処理をあげることができる。
本発明の感光材料は、アクチベーター処理、現像主薬/塩基を含む処理液で現像することで画像を形成することも可能である。アクチベーター処理とは、発色現像主薬を感光材料の中に内蔵させておき、発色現像主薬を含まない処理液で現像処理を行う処理方法をさしている。この場合の処理液は通常の現像処理液成分に含まれている発色現像主薬を含まないことが特徴で、その他の成分(例えばアルカリ、補助現像主薬など)を含んでいても良い。アクチベーター処理については欧州特許第545,491A1号、同第565,165A1号などの公知文献に例示されている。
【0161】
本発明の感光材料は、画像露光後、熱現像することで画像形成することも好ましい。
感光材料の加熱処理は当該技術分野では公知であり、熱現像感光材料とそのプロセスについては、例えば、写真工学の基礎(1970年、コロナ社発行)の553頁〜555頁、1978年4月発行映像情報40頁、Nabletts Handbook ofPhotography and Reprography 7th Ed.(Vna Nostrand and Reinhold Company)32〜33頁、米国特許第3,152,904号、同第3,301,678号、同第3,392,020号、同第3,457,075号、英国特許第1,131,108号、同第1,167,777号およびRDNo.17029(1978年)9〜15頁に記載されている。
熱現像工程の加熱温度は、約50〜250℃であるが、特に60〜180℃が有用である。
現像工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
本発明の感光材料の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75247号、同59−177547号、同59−181353号、同60−18951号、実開昭62−25944号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。
【0162】
次に、本発明において、熱現像処理の場合に用いられる処理素材および処理方法について詳細に説明する。
本発明の感光材料には銀現像および色素形成反応を促進する目的で塩基または塩基プレカーサーを用いることができる。塩基プレカーサーとしては、熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転移またはベックマン転移によりアミン類を放出する化合物などがある。その具体例は、米国特許第4,514,493号、同4,657,848号および公知技術第5号(1991年3月22日、アズテック有限会社発行)55頁〜86頁等に記載されている。また、欧州特許第210,660号、米国特許第4,740,445号に記載されているような、水に難溶な塩基性金属化合物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)の組合せで塩基を発生させる方法でも良い。塩基はたは塩基プレカーサーの使用量は0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2である。
塩基を供給するために、塩基または塩基プレカーサーを含有する処理層を有する処理部材を用いることができる。処理部材にはこの他に加熱現像時に空気を遮断したり、感材からの素材の揮散を防止したり、塩基以外の処理用の素材を感光材料に供給したり、現像後に不要になる感光材料中の素材(YF染料、AH染料等)あるいは現像時に生成する不要成分を除去したりする機能を持たせても良い。処理部材の支持体とバインダーには、感光材料と同様のものを用いることが出来る。処理部材には、前述の染料の除去その他の目的で、媒染剤を添加しても良い。媒染剤は写真分野で公知のものを用いることができ、米国特許第4,50,626号第58〜59欄や、特開昭61−88256号32〜41頁、特開昭62−244043号、同62−244036号等に記載の媒染剤を挙げることができる。また、米国特許第4,463,079号記載の色素受容性の高分子化合物を用いても良い。また後述の熱溶剤を含有させてもよい。
【0163】
処理部材を用いて熱現像するのに際し、現像促進あるいは、処理用素材の転写促進、不要物の拡散促進の目的で少量の水を用いることも好ましい。具体的には、米国特許第4,704,245号、同4,470,445号、特開昭61−238056号等に記載されている。水には無機のアルカリ金属塩や有機の塩基、低沸点溶媒、界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯形成化合物、防黴剤、防菌剤を含ませてもよい。水としては一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウォーター等を用いることができる。また本発明の感光材料および処理部材を用いる熱現像装置においては水を使い切りで使用しても良いし、循環し繰り返し使用してもよい。後者の場合、材料から溶出した成分を含む水を使用することになる。また特開昭63−144354号、同63−144355号、同62−38460号、特開平3−210555号等に記載の装置や水を用いても良い。水は感光材料、処理部材またはその両者に付与する方法を用いることができる。その使用量は感光材料および処理部材の(バック層を除く)全塗布膜を最大膨潤させるに要する量の1/10〜1倍に相当する量であることが好ましい。この水を付与する方法としては、例えば特開昭62−253159号5頁、特開昭63−85544号等に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイクロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め感光材料もくしは処理部材またはその両者に内蔵させて用いることもできる。付与する水の温度は前記特開昭63−85544号等に記載のように30〜60℃程度が好ましい。
【0164】
少量の水の存在下に熱現像を行う場合、欧州特許第210660号、米国特許第4,740,445号に記載されているように、水に難溶な塩基性金属化合物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)の組合せで塩基を発生させる方法を採用するのが効果的である。この場合、水に難溶な塩基性金属化合物は感光材料に、錯形成化合物は処理部材に添加するのが、感材の保存安定性の点で望ましい。
【0165】
感光材料と処理部材を感光層と処理層が向かい合う形で重ね合わせる方法は特開昭62−253159号、同61−147244号27頁記載の方法が適用できる。加熱温度としては70〜100℃が好ましく、加熱時間としては5〜60秒が好ましい。
本発明の感光材料およびまたは処理シートは加熱現像のための加熱手段としての導電性の発熱体層を有する形態であっても良い。この発熱の発熱要素には、特開昭61−145544号等に記載のものを利用できる。
【0166】
本発明の感光材料には、熱現像を促進する目的で熱溶剤を添加することができる。
ここで熱溶剤とは、周囲温度において固体であるが、使用される熱処理温度またはそれ以下の温度において他の成分と一緒になつて混合融点を示し、熱現像時に液状化し熱現像や色素の熱転写を促進する作用を有する有機材料である。熱溶剤には、現像薬の溶媒となりうる化合物、高誘電率の物質で銀塩の物理現像を促進することが知られている化合物、バインダーと相溶しバインダーを膨潤させる作用のある化合物などが有用である。
【0167】
本発明で用いることのできる熱溶剤は、例えば米国特許第3,347,675号、同3,667,959号、同3,438,776号、同3,666,477号、RDNo. 17,643号、特開昭51−19525号、同53−24829号、同53−60223号、同58−118640号、同58−198038号、同59−229556号、同59−68730号、同59−84236号、同60−191251号、同60−232547号、同60−14241号、同61−52643号、同62−78554号、同62−42153号、同62−44737号、同63−53548号、同63−161446号、特開平1−224751号、同2−863号、同2−120739号、同2−123354号等の各公報に記載された化合物が挙げられる。具体的には、尿素誘導体(フェニルメチル尿素等)、アミド誘導体(例えばアセトアミド、ステアリルアミド、p−トルアミド、p−プロパノイルオキシエトキシベンズアミド等)、スルホンアミド誘導体(例えば、p−トルエンスルホンアミド等)、多価アルコール類(例えば高分子のポリエチレングリコール等)などから、微結晶分散に好ましい水溶性の低い素材を選択して用いることができる。本発明で用いる熱溶剤の水溶性は、微結晶分散物の分散安定性を高めるために、1g/立方メートル以下であることが好ましく、10-3g/立方メートル以下であることが更に好ましい。本発明に用いられる熱溶剤の使用量としては、バインダーの塗布量の1〜200質量%が適当であり、5〜50質量%が好ましい。添加する層は目的に応じ、感光層、非感光性層のいずれでも良い。
本発明に使用することができる熱溶剤の具体例を示すが、本発明は、これらの具体例によって限定されるものではない。
【0168】
【化12】
Figure 0004102124
【0169】
【化13】
Figure 0004102124
【0170】
本発明においては、現像によって生じた現像銀や未現像のハロゲン化銀を除去することなく画像情報を取り込むこともできるが、除去後に画像を取り込むこともできる。後者の場合には、現像と同時あるいは現像後にこれらを除去する手段を適用することができる。
現像と同時に感光部材中の現像銀を除去したり、ハロゲン化銀を錯化ないし可溶化せしめるには、処理部材に漂白剤として作用する銀の酸化剤や再ハロゲン化剤、あるいは定着剤として作用するハロゲン化銀溶剤を含有させておき、熱現像時にこれらの反応を生じさせることができる。また、画像形成の現像終了後に銀の酸化剤、再ハロゲン化剤あるいはハロゲン化銀溶剤を含有させた第二の部材を感光材料と貼り合わせて現像銀の除去あるいはハロゲン化銀の錯化ないし可溶化を生じさせることもできる。本発明においては、撮影とそれに続く画像形成現像の後で画像情報を読み取る障害とならない程度にこれらの処理を施すことが好ましい。特に未現像のハロゲン化銀はゼラチン膜中では高いヘイズを生じ、画像のバックグラウンドの濃度を上昇させるため、上記のような錯化剤を用いてヘイズを減少させたり、可溶化させて膜中から全量あるいはその一部を除去することが好ましい。また、ハロゲン化銀自身のヘイズを減少させる目的で高アスペクト比の平板状粒子を用いたり、塩化銀含有率の高い平板状粒子を用いたりすることも好ましい。
【0171】
本発明の処理部材において使用できる漂白剤としては、常用されている銀漂白剤を任意に使用できる。このような漂白剤は米国特許第1,315,464号および同1,946,640号およびPhotographic Chemistry, vol.2, chapter30, Foundation Press, London, England に記載されている。これらの漂白剤は写真銀像を効果的に酸化しそして可溶化する。有用な銀漂白剤の例には、アルカリ金属重クロム酸塩、アルカリ金属フェリシアン化物がある。好ましい漂白剤は水に可溶な物であり、そしてニンヒドリン、インダンジオン、ヘキサケトシキロヘキサン、2,4−ジニトロ安息香酸、ベンゾキノン、ベンゼンスルホン酸、2,5−ジニトロ安息香酸を包含する。また、金属有機錯体、たとえばシキロヘキシルジアルキルアミノ4酢酸の第2鉄塩およびエチレンジアミン4酢酸の第2鉄塩、クエン酸の第2鉄塩がある。定着剤としては、前記の感光部材を現像する処理部材(第一の処理部材)に含ませることの出来るハロゲン化銀溶剤をする事が出来る。第二の処理部材に用いうるバインダー、支持体、その他の添加剤に関しても、第一の処理部材と同じ物を用いることが出来る。漂白剤の塗布量は、張り合わせられる感光部材の含有銀量に応じて変えられるべきであるが、感光部材の単位面積当たりの感光性ハロゲン化銀の塗布銀量の0.01〜10モル/感光部材の範囲で使用される。好ましくは0.1〜3モル/感光部材の塗布銀モルであり、さらに好ましくは0.1〜2モル/感光部材の塗布銀モルである。
【0172】
本発明では、熱現像によって感光材料上に形成された画像を光電的に読み取り、デジタル信号に変換することも好ましい。画像読み取り装置としては、一般に知られている画像入力デバイスを用いることが出来る。画像入力デバイスの詳細は安藤隆男ら著「デジタル画像入力の基礎」コロナ社(1998年)58頁〜98頁に記述されている。
画像入力デバイスは膨大な画像情報を効率よく取り込む必要があり、微少なポイントセンサーの配置において、リニアセンサーとエリアセンサーに大別される。前者はポイントセンサーを線上に多数配列したものであり、面状に形成された画像を取り込むためには、感材側かセンサー側かいずれかを走査させる必要がある。このため、読み取りにやや時間がかかるがセンサーを安価に作れるメリットがある。エリアセンサーの場合、基本的に感材やセンサーを走査せずに読み取ることが出来るので、読み取りが速いが大きなセンサーを使う必要があるため、コストは割高になる。これらのセンサーはその目的に応じて使い分けることができ、どちらも好ましく使用できる。
【0173】
センサーの種類としては、撮像管やイメージ管などの電子管式と、CCD形やMOS形などの固体撮像系があるが、コストや取り扱いの簡便さから固体撮像系、特にCCD形が好ましい。
これらの画像入力デバイスを搭載している装置として、市販されているデジタルスチルカメラ、ドラムスキャナー、フラットベッドスキャナー、フィルムスキャナー等を用いることが出来るが、高画質な画像を簡便に読み取るためには、フィルムスキャナーを用いるのが好ましい。
市販の代表的なフィルムスキャナーとしては、リニアCCDを用いたニコン・フィルムスキャナーLS−1000、アグファ・デュオスキャンHiD、イマコン・フレックスタイトフォト等があり、更にエリアCCDを用いたコダック・RFS3570等が好ましく使用できる。
また、富士写真フイルムのディジタルプリントシステム・フロンティアに搭載されているエリアCCDを用いた画像入力装置も好ましく使用できる。更に、小沢良夫ら著・富士写真フイルム研究報告第45号、35〜41頁に記述されているフロンティアF350の画像入力装置は、リニアCCDセンサーを用いながら高速高画質読み取りを実現したもので、本発明の感材の読み取りに特に適したものである。
【0174】
本発明の画像形成方法に好ましく用いることができる画像処理方法としては、例えば以下のようなものがある。
特開平6−139323号には、カラーネガに被写体像を作り、この像をスキャナー等で対応画像データに変換した後、復調された色情報から被写体と同一色を出力する、ネガフィルムから被写体の色を忠実に再現できる画像処理システムおよび画像処理方法が述べられており、これを用いても良い。
また、デジタル化された画像の粒状あるいはノイズを抑制し、且つ、シャープネスを強調する画像処理方法としては、特開平10−243238号に記載の、シャープネス強調画像データ、平滑化画像データ及びエッジ検出データをもとにエッジとノイズに重み付け及び細分化処理等を行う方法、または特開平10−243239号に記載の、シャープネス強調画像データと平滑化画像データをもとにエッジ成分をもとめ、重み付け、細分化処理等を行う画像処理方法を用いても良い。
また、撮影材料の保管条件、現像条件等の違いによる、最終プリントにおける色再現性の変動をデジタルカラープリントシステムにおいて補正するためには、特開平10−255037号に記載の、撮影材料の未露光部に4段もしくは4色以上のパッチを露光し、現像後、パッチ濃度を測定し、補正に必要なルックアップテーブル及び色変換マトリクスを求め、ルックアップテーブル変換やマトリクス演算を用いて写真画像の色補正を行う方法を用いることができる。
【0175】
画像データの色再現域を変換する方法としては、例えば特開平10−229502号に記載されている、各成分の数値が揃った時に視覚的に中性色と認められる色になる色信号で表された画像データに対して、色信号を有彩色成分と無彩色成分とに分解し、それぞれを個別に処理する方法を用いることができる。
また、カメラで撮影された画像における、カメラレンズに起因する収差や周辺光量の低下等の画質劣化を除去する画像処理方法としては、特開平11−69277号に記載の、フィルムに予め画像劣化の補正データを作成するための、格子状の補正パターンを記録しておき、撮影後に画像と補正パターンをフィルムスキャナー等で読み取り、カメラのレンズに基づく劣化要因を補正するデータを作成し、その画像劣化補正データを用いて、デジタル画像データを補正する画像処理方法および装置を用いても良い。
【0176】
また、肌色と青空は、シャープネスを強調し過ぎると、粒状(ノイズ)が強調されて不快な印象を与えるため、肌色と青空に対するシャープネス強調の程度を抑制することが望ましいが、その方法としては、例えば特開平11−103393号に記載されている、アンシャープマスキング(USM)を用いたシャープネス強調処理において、USM係数を(B−A)(R−A)の関数とする方法を用いても良い。
また、肌色、草緑色、青空色は色再現上重要色と呼ばれ、選択的な色再現処理が要求される。このうち明度再現に関しては、肌色は明るく、青空は濃く仕上げるのが視覚的に好ましいと云われている。重要色を視覚的に好ましい明るさに再現する方法としては、例えば特開平11−177835号に、画素毎の色信号を、(R−G)や(R−B)のように、対応する色相が黄赤の時に小さな値を取り、シアンブルーの時に大きな値を取るような係数を用いて変換する方法が記載されており、これを採用しても良い。
また、色信号を圧縮する方法として、例えば特開平11−113023号に記載されている、画素毎の色信号を明度成分と色度成分とに分離し、色度成分に対して、予め用意された複数の色相テンプレートの中から数値パターンが最も適合するテンプレートを選択することにより、色相情報を符号化する方法を用いても良い。
また、彩度アップ、またはシャープネスアップ等の処理の際に、色めくら、ハイライトのとび、高濃度部のつぶれ等の不具合や、定義域外のデータの発生を抑え、自然な強調処理を行うには、特開平11−177832号に記載の、カラー画像データの各色濃度データを特性曲線を用いて露光濃度データとし、これに色強調を含む画像処理をし、更に特性曲線で濃度データとする、画像処理方法および装置を用いることができる。
【0177】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−A1〜A3、A5〜A9、A11〜A15、A17〜A19を調製した。
(Em−A1)
フタル化率97%のフタル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.7g,KBr31.7gを含む水溶液42.2Lを35℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,316.7gを含む水溶液1583mLとKBr,221.5g、分子量15000の低分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1583mLをダブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr52.8gを加えて、AgNO3,398.2gを含む水溶液2485mLとKBr,291.1gを含む水溶液2581mLをダブルジェット法で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr,47.8gを添加した。その後、40℃に昇温し、充分熟成した。熟成終了後、フタル化率97%のフタル化した分子量100000のゼラチン923gとKBr,79.2gを添加し、AgNO3,5103gを含む水溶液15947mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.4倍になるように流量加速して12分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH,5.7、pAg,8.8,乳剤1kg当たりの銀換算の質量131.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し、種乳剤とした。
【0178】
フタル化率97%のフタル化ゼラチン46g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、AgNO3,144.5gを含む水溶液,410mLとKIを7mol%含むKBrとKIの混合水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時,銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−80mVに調整した後、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに,AgNO3,66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保った。
【0179】
水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。化合物11および12を添加した後、60℃に昇温した。増感色素11および12を添加した後に、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム,N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および化合物14を添加した。ここで、最適に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハロゲン化銀1molあたり10-1から10-8molの添加量範囲から選択したことを意味する。
【0180】
【化14】
Figure 0004102124
【0181】
【化15】
Figure 0004102124
【0182】
【化16】
Figure 0004102124
【0183】
【化17】
Figure 0004102124
【0184】
【化18】
Figure 0004102124
【0185】
【化19】
Figure 0004102124
【0186】
【化20】
Figure 0004102124
【0187】
得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、粒子周辺部には一粒子当たり10本以上の転位線が観察された。
(得られたハロゲン化銀乳剤Em−A1〜A3、A5〜A9、A11〜A15、A17〜A19の特性は実施例3の(表5)に示した。)
【0188】
(Em−A2、A3、A5〜A7)
化学増感時、化合物11および12を添加する前(添加パターンAとする)に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表1)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A2、A3、A5〜A7を得た。
【0189】
(Em−A8、A9、A11〜A13)
化学増感終了後、化合物13および14を添加する前(添加パターンBとする)に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表1)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A8、A9、A11〜A13を得た。
【0190】
(Em−A14、A15、A17〜A19
化合物13および14を添加後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで降温した後(添加パターンCとする)に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表1)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A14、A15、A17〜A19を得た。
【0191】
【表1−1】
Figure 0004102124
【0192】
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に下記表Aに示すような塗布条件で、前記の乳剤A1〜A3、A5〜A9、A11〜A15、A17〜A19の塗布を行い、試料101〜103、105〜109、111〜115、117〜119を作成した。
【0193】
【表1−2】
Figure 0004102124
【0194】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。
【0195】
富士写真フイルム(株)製ネガプロセサーFP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理した。
(処理方法)
Figure 0004102124
【0196】
次に、処理液の組成を記す。
Figure 0004102124
【0197】
(漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g)
エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0
臭化アンモニウム 100.0
硝酸アンモニウム 10.0
漂白促進剤 0.005モル
(CH3)2N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH3)2・2HCl
アンモニア水(27%) 15.0mL
水を加えて 1.0L
pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3
【0198】
Figure 0004102124
【0199】
(水洗液) タンク液、補充液共通
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0200】
(安定液) タンク液、補充液共通(単位 g)
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03
ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル
(平均重合度10) 0.2
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05
1,2,4−トリアゾール 1.3
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−
イルメチル)ピペラジン 0.75
水を加えて 1.0L
pH 8.5
【0201】
写真性能の結果を、下記の表2に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試料101を基準:100とした)。
【0202】
【表2】
Figure 0004102124
【0203】
表2から、本発明の化合物は比較化合物に対し、少ない使用量にもかかわらずA、B、Cいずれの添加パターンにおいても感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0204】
(実施例2)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−Q1からQ13を調製した。
(Em−Q1)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g、KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g、KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g、NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg、8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温した。増感色素15、16および17を添加した後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
【0205】
【化21】
Figure 0004102124
【0206】
【化22】
Figure 0004102124
【0207】
【化23】
Figure 0004102124
【0208】
(Em−Q2〜Q13
化合物13および14を添加後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで降温した後(実施例1同様、添加パターンCとする)に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表3)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−Q1)と同様にして乳剤Em−Q2〜Q13を得た。(得られたハロゲン化銀乳剤Em−Q1〜Q13の特性は実施例3の(表5)に示した。)。
【0209】
【表3】
Figure 0004102124
【0210】
実施例1と同様な方法で前期の乳剤Q1〜Q13の塗布を行い、試料201〜213を作成した。
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオフ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。
写真性能の結果を、下記の表4に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試料201を基準:100とした)。
【0211】
【表4】
Figure 0004102124
【0212】
表4から、緑感性ハロゲン化銀写真乳剤においても本発明の化合物は比較化合物に対し、少ない使用量にもかかわらず感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0213】
(実施例3)
(Em−A1)(高感度青感性層用乳剤) 実施例1で調製した。
(Em−B)(低感度青感性層用乳剤)
低分子量ゼラチン0.96g、KBr,0.9gを含む水溶液1192mLを40℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO3,1.49gを含む水溶液37.5mLとKBrを1.5g含む水溶液37.5mLをダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。KBrを1.2g添加した後、75℃に昇温し熟成した。充分熟成した後、アミノ基をトリメリット酸で化学修飾した分子量100000のトリメリット化ゼラチン,30gを添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ尿素6mgを添加した。AgNO3,29gを含む水溶液116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。AgNO3,110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して30分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して0mVに保った。AgNO3,24.1gを含む水溶液96.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エチルチオスルホン酸ナトリウム,26mgを添加した後、55℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−90mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,57gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が+20mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−A1とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0214】
(Em−C)(低感度青感性層用乳剤)
1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン1.02g、KBr0.97gを含む水溶液1192mLを35℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO3,4.47gを含む水溶液,42mLとKBr,3.16g含む水溶液,42mLをダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。KBrを2.6g添加した後、66℃に昇温し、充分熟成した。熟成終了後、Em−Bの調製で使用した分子量100000のトリメリット化ゼラチン41.2gとNaCl,18.5gを添加した。pHを7.2に調整した後、ジメチルアミンボラン,8mgを添加した。AgNO3,26gを含む水溶液203mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.8倍になるように添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。
AgNO3,110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1Nのチオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した後、AgNO3,24.1gを含む水溶液153.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KBr水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,57gを含む水溶液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−A1とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0215】
(Em−D)(低感度青感性層乳剤)
Em−Cの調製において核形成時のAgNO3添加量を2.0倍に変更した。そして,最終のAgNO3,57gを含む水溶液404mLの添加終了時の電位が+90mVになるようにKBr水溶液で調整するように変更した。それ以外はEm−Cとほぼ同様にして調製した。
【0216】
(Em−E)(480〜550nmに分光感度ピークを有するマゼンタ発色層)(赤感性層に重層効果を与える層)
分子量15000の低分子量ゼラチン,0.71g、KBr,0.92g,Em−A1の調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく攪拌した。AgNO3,0.45gを含む水溶液と1.5mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で17秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。56℃に昇温し熟成した。充分熟成した後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン20gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.9gを添加した。AgNO3,28.8gを含む水溶液288mLとKBr水溶液をダブルジェット法で53分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr,2.5gを添加した後、AgNO3,87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.2倍になるように流量加速して63分間に渡り添加した。この時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が10.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−70mVに保った。
二酸化チオ尿素,1mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で25分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、pHを7.3に調整した。KBrを添加して銀電位を−70mVに調整した後、上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,66.4gを含む水溶液609mLを10分間に渡り添加した。添加初期の6分間はKBr水溶液で銀電位を−70mVに保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg,8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、56℃に昇温した。上述したAgI微粒子乳剤を銀1molに対して0.0004mol添加した後、増感色素13および14を添加した。チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
【0217】
【化24】
Figure 0004102124
【0218】
【化25】
Figure 0004102124
【0219】
(Em−F)(中感度緑感性層用乳剤)
Em−Eの調製において核形成時のAgNO3添加量を3.1倍に変更した以外はEm−Eとほぼ同様にして調製した。但しEm−Eの増感色素を増感色素15、16および17に変更した。
【0220】
【化26】
Figure 0004102124
【0221】
【化27】
Figure 0004102124
【0222】
【化28】
Figure 0004102124
【0223】
(Em−G)(低感度緑感性層用乳剤)
分子量15000の低分子量ゼラチン0.70g,KBr,0.9g,KI,0.175g,Em−A1の調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを33℃に保ち,pHを1.8に調製し激しく攪拌した。AgNO3,1.8gを含む水溶液と3.2mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。69℃に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン27.8gを添加した。pHを6.3に調製した後、KBr,2.9gを添加した。AgNO3,27.58gを含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェット法で37分間に渡り添加した。この時、分子量15000の低分子量ゼラチン水溶液とAgNO3水溶液とKI水溶液を特開平10−43570号に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr,2.6gを添加した後、AgNO3,87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量加速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が7.9mol%になるように同時に流量加速し、かつ銀電位を−70mVに保った。
二酸化チオ尿素,1mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位を−60mVにした。Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,66.4gを含む水溶液321mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はKBr水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0224】
(Em−H)(低感度緑感性層用乳剤)
イオン交換した分子量100000のゼラチン17.8g,KBr,6.2g,KI,0.46gを含む水溶液を45℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,11.85gを含む水溶液とKBrを3.8g含む水溶液をダブルジェット法で47秒間に渡り添加した。63℃に昇温後、イオン交換した分子量100000のゼラチン24.1gを添加し、熟成した。充分熟成した後、AgNO3,133.4gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.6倍になるように20分間に渡って添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+40mVに保った。また添加開始10分後にK2IrCl6を0.1mg添加した。NaClを7g添加した後、AgNO3を45.6g含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で12分間に渡って添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。また添加開始から6分間に渡って黄血塩を29mg含む水溶液100mLを添加した。KBrを14.4g添加した後、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.3g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,42.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間に渡り添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0225】
(Em−I)(低感度緑感性層用乳剤)
Em−Hの調製において核形成時の温度を38℃に変更した以外はほぼ同様にして調製した。
【0226】
(Em−J1)(高感度赤感性層用乳剤)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g,KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g,KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g,NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。
二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg,8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温した。増感色素18、19、20、21および22を添加した後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
【0227】
【化29】
Figure 0004102124
【0228】
【化30】
Figure 0004102124
【0229】
【化31】
Figure 0004102124
【0230】
【化32】
Figure 0004102124
【0231】
(Em−K)(中感度赤感性層用乳剤)
分子量15000の低分子量ゼラチン4.9g、KBr,5.3gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,8.75gを含む水溶液27mLとKBr,6.45gを含む水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法で添加した。77℃に昇温した後、AgNO3,6.9gを含む水溶液21mLを2.5分間に渡り添加した。NH4NO3,26g、1N,NaOH,56mLを順次、添加した後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製した。AgNO3,141gを含む水溶液438mLとKBrを102.6g含む水溶液458mLをダブルジェット法で最終流量が初期流量の4倍になるように添加した。55℃に降温した後、AgNO3,7.1gを含む水溶液240mLとKIを6.46g含む水溶液をダブルジェット法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加した後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,4mgとK2IrCl6,0.05mg添加した。AgNO3,57.2gを含む水溶液177mLとKBr,40.2gを含む水溶液,223mLを8分間に渡ってダブルジェット法で添加した。Em−J1とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0232】
(Em−L)(中感度赤感性層用乳剤)
Em−Kの調製において核形成時の温度を42℃に変更した以外は、ほぼ同様にして調製した。
【0233】
(Em−M、N、O)(低感度赤感性層用乳剤)
Em−HまたはEm−Iとほぼ同様にして調製した。但し化学増感はEm−J1とほぼ同様の方法で行った。
【0234】
(Em−P1)(高感度緑感性層用乳剤)
Em−J1に対して、増感色素を15、16および17に変更して化学増感を最適に行ってEm−P1を得た。
このようにして得られたハロゲン化銀乳剤Em−A1〜Q13の特性を(表5)に示す。
【0235】
【表5】
Figure 0004102124
【0236】
また、本発明の乳化物の調製処方の概略を以下に示す。
10%のゼラチン溶液に、カプラーを酢酸エチルに溶解した溶液、高沸点有機溶媒、および界面活性剤を添加し、混合したホモジナイザー(日本精機)を用いて乳化し、乳化物を得る。
【0237】
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成した。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2質量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのPENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−27、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cmのステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0238】
2)下塗層の塗設
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼラチン0.1g/m2、ソウジウムα−スルホ ジ−2−エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチル酸0.04g /m2、p−クロロフェノール0.2g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH20.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリン重縮合物0.02g/m2の下塗液を塗布して(10mL/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となっている)。
【0239】
3)バック層の塗設
下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
3−1)帯電防止層の塗設
平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH2 0.02g/m2、ポリ(重合度10)オキシエチレン−p−ノニルフェノール 0.005g/m2及びレゾルシンと塗布した。
3−2)磁気記録層の塗設
3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆処理されたコバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89Am2/kg、Fe+2/Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ酸化珪素で酸化鉄の2質量%で処理されている)0.06g/m2をジアセチルセルロース1.2g/m2(酸化鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施した)、硬化剤としてC25C(CH2OCONH−C63(CH3)NCO)30.3g/m2を、溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いてバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で処理被覆された研磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層のDBの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2Am2/kg、保磁力7.3×104A/m、角形比は65%であった。
【0240】
3−3)滑り層の調製
ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/m2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物は、キシレン/プ ロピレンモノメチルエーテル(1/1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、アセトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆された酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であった。
【0241】
4)感光層の塗設
次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料301を作成した。また乳剤A1をA2〜A3、A5〜A9、A11〜A15、A17〜A19に置き換えた試料をそれぞれ試料302〜303、305〜309、311〜315、317〜319とする。
(感光層の組成)
各層に使用する素材の主なものは下記のように分類されている;
ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤
ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤
ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤
(具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付けられ、後ろに化学式が挙げられている)
各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
【0242】
第1層(第1ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.155
0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2) 銀 0.01
ゼラチン 0.87
ExC−1 0.002
ExC−3 0.002
Cpd−2 0.001
HBS−1 0.004
HBS−2 0.002
【0243】
第2層(第2ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.066
ゼラチン 0.407
ExM−1 0.050
ExF−1 2.0×10-3
HBS−1 0.074
固体分散染料 ExF−2 0.015
固体分散染料 ExF−3 0.020
【0244】
第3層(中間層)
0.07μmのAgBrI(2) 0.020
ExC−2 0.022
HBS−1 0.068
Cpd−1 0.075
ポリエチルアクリレートラテックス 0.085
ゼラチン 0.294
【0245】
第4層(低感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤M 銀 0.065
沃臭化銀乳剤N 銀 0.100
沃臭化銀乳剤O 銀 0.158
ExC−1 0.109
ExC−3 0.044
ExC−4 0.072
ExC−5 0.011
ExC−6 0.003
ExC−8 0.052
Cpd−2 0.025
Cpd−4 0.025
HBS−1 0.17
ゼラチン 0.80
【0246】
第5層(中感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤K 銀 0.21
沃臭化銀乳剤L 銀 0.62
ExC−1 0.14
ExC−2 0.026
ExC−3 0.020
ExC−4 0.12
ExC−5 0.016
ExC−6 0.007
ExC−8 0.007
Cpd−2 0.036
Cpd−4 0.028
HBS−1 0.16
ゼラチン 1.18
【0247】
第6層(高感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤J1 銀 1.67
ExC−1 0.18
ExC−3 0.07
ExC−6 0.047
Cpd−2 0.046
Cpd−4 0.077
HBS−1 0.25
HBS−2 0.12
ゼラチン 2.12
【0248】
第7層(中間層)
Cpd−1 0.089
固体分散染料ExF−4 0.030
HBS−1 0.050
ポリエチルアクリレートラテックス 0.83
ゼラチン 0.84
【0249】
第8層(重層効果ドナー層(赤感層へ重層効果を与える層))
沃臭化銀乳剤E 銀 0.560
Cpd−4 0.030
ExM−2 0.096
ExM−3 0.028
ExY−1 0.031
ExG−1 0.006
HBS−1 0.085
HBS−3 0.003
ゼラチン 0.58
【0250】
第9層(低感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤G 銀 0.39
沃臭化銀乳剤H 銀 0.28
沃臭化銀乳剤I 銀 0.35
ExM−2 0.36
ExM−3 0.045
ExC−9 0.008
ExG−1 0.005
HBS−1 0.28
HBS−3 0.01
HBS−4 0.27
ゼラチン 1.39
【0251】
第10層(中感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤F 銀 0.20
沃臭化銀乳剤G 銀 0.25
ExC−6 0.005
ExC−9 0.004
ExC−8 0.005
ExM−2 0.031
ExM−3 0.029
ExY−1 0.006
ExM−4 0.028
ExG−1 0.005
HBS−1 0.064
HBS−3 2.1×10-3
ゼラチン 0.44
【0252】
第11層(高感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤P1 銀 1.200
ExC−6 0.003
ExC−9 0.002
ExC−8 0.007
ExM−1 0.016
ExM−3 0.036
ExM−4 0.020
ExM−5 0.004
ExY−5 0.008
ExM−2 0.013
Cpd−4 0.007
HBS−1 0.18
ポリエチルアクリレートラテックス 0.099
ゼラチン 1.11
【0253】
第12層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 銀 0.047
Cpd−1 0.16
染料ExF−5 0.010
固体分散染料ExF−6 0.010
HBS−1 0.082
ゼラチン 1.057
【0254】
第13層(低感度青感乳剤層)
沃臭化銀乳剤B 銀 0.18
沃臭化銀乳剤C 銀 0.20
沃臭化銀乳剤D 銀 0.07
ExC−1 0.041
ExC−7 0.012
ExY−1 0.035
ExY−2 0.71
ExY−3 0.10
ExY−4 0.005
Cpd−2 0.10
Cpd−3 4.0×10-3
HBS−1 0.24
ゼラチン 1.41
【0255】
第14層(高感度青感乳剤層)
実施例1の乳剤A1 銀 0.75
ExC−1 0.013
ExY−2 0.31
ExY−3 0.05
ExY−6 0.062
Cpd−2 0.075
Cpd−3 1.0×10-3
HBS−1 0.10
ゼラチン 0.91
【0256】
第15層(第1保護層)
0.07μmのAgBrI(2) 銀 0.30
UV−1 0.21
UV−2 0.10
UV−3 0.18
UV−4 0.025
UV−5 0.07
F−18 0.009
F−19 0.005
HBS−1 0.12
HBS−4 5.0×10-2
ゼラチン 2.3
【0257】
第16層(第2保護層)
H−1 0.40
B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2
B−2(直径1.7μm) 0.15
B−3 0.05
S−1 0.20
ゼラチン 0.75
【0258】
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、B−4ないしB−6、F−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン化銀1モル当たり8.5×10-3グラム、第11層に7.9×10-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水溶液で添加し、試料を作製した。更に帯電防止性を良くするためにW−1、W−6、W−7、W−8を少なくとも1種含有しており、塗布性を良くするためW−2、W−5を少なくとも1種含有している。
【0259】
有機固体分散染料の分散物の調製
下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水21.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gとを700mLのポットミルに入れ、染料ExF−2を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
【0260】
同様にして、ExF−4の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.45μmであった。ExF−3は欧州特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0261】
ExF−6の固体分散物を以下の方法で分散した。
水を18%含むExF−6のウェットケーキ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラリーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕した。
上記各層の形成に用いた化合物は、以下に示すとおりである。
【0262】
【化33】
Figure 0004102124
【0263】
【化34】
Figure 0004102124
【0264】
【化35】
Figure 0004102124
【0265】
【化36】
Figure 0004102124
【0266】
【化37】
Figure 0004102124
【0267】
【化38】
Figure 0004102124
【0268】
【化39】
Figure 0004102124
【0269】
【化40】
Figure 0004102124
【0270】
【化41】
Figure 0004102124
【0271】
【化42】
Figure 0004102124
【0272】
【化43】
Figure 0004102124
【0273】
【化44】
Figure 0004102124
【0274】
【化45】
Figure 0004102124
【0275】
【化46】
Figure 0004102124
【0276】
試料の評価法は以下の通り。富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行った。このFP−360Bは発明協会公開技法94−4992号に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0277】
処理工程及び処理液組成を以下に示す。
(処理工程)
工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量
発色現像 3分5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L
漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L
定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5L
定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L
水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L
安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3L
安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L
乾 燥 1分30秒 60.0 ℃
*補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)
安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
上記処理機の開口面積は発色現像液で100cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約100cm2であった。
【0278】
以下に処理液の組成を示す。
Figure 0004102124
【0279】
Figure 0004102124
【0280】
(定着(1)タンク液)
上記漂白タンク液と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液
(pH6.8)
【0281】
Figure 0004102124
【0282】
(水洗水)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0283】
(安定液) タンク液、補充液共通 (単位g)
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03
ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2
(平均重合度10)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05
1,2,4−トリアゾール 1.3
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−
イルメチル)ピペラジン 0.75
水を加えて 1.0L
pH 8.5
【0284】
試料301〜303、305〜309、311〜315、317〜319に対して前記処理を施した。また、試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。処理済の試料を青色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。得られた結果を(表6)に示す。得られた結果を(表6)に示す。(試料301を基準:100とした)
【表6】
Figure 0004102124
【0285】
表6から、フルカラーハロゲン化銀写真材料においても本発明の化合物は比較化合物に対し、少ない添加量にもかかわらずA、B、Cいずれの添加パターンにおいても感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわかる。
以上の結果から、本発明の化合物を使用することにより高感度かつ低かぶり、および生保存後の減感が少なく、被り増加が少ないハロゲン化銀写真感光材料が得られることが分かる。
【0286】
(実施例4)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−R1〜R3、R5〜R7を調製した。
【0287】
(Em-R1)
特開2001−228572の実施例1に記載の乳剤1−Gに対し、以下の変更を行い、乳剤Em-R1を調製した。
▲1▼増感色素を増感色素11と増感色素23に変更する。
▲3▼化学増感において塩化金酸の代わりに化合物15を、チオ硫酸ナトリウムの代わりに1,3-ジメチル-1,3-ジカルボキシメチルチオ尿素を用いる。
【0288】
【化47】
Figure 0004102124
【0289】
【化48】
Figure 0004102124
【0290】
乳剤Em-R1は特開2001−228572の実施例1に記載の乳剤1−Gと同様、平均円相当径は1.28μm、平均粒子厚みは0.088μm、平均アスペクト比14.5の平板粒子であった。また、全投影面積の50%以上が円相当径1.0μm以上、粒子厚み0.10μm以下であり、粒子フリンジ部に1粒子当たり30本以上の転位線を含む粒子で占められていた。
【0291】
(Em−R2、R3、R5〜R7
化合物MER−1とMER−2を添加後、化学増感された乳剤の温度を40℃まで降温した後に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表7)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−R1)と同様にして乳剤Em−R2、R3、R5〜R7を得た。
【0292】
【化49】
Figure 0004102124
【0293】
実施例1と同様な方法で前記の乳剤Em−R1〜R3、R5〜R7の塗布を行い、試料401〜403、405〜407を作成した。
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。
写真性能の結果を、下記の表7に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した。(試料401を基準:100とした)
【表7】
Figure 0004102124
【0294】
表7から、反応容器外部に設けた混合機で調製したハロゲン化銀微粒子を添加することにより粒子成長させ製造したハロゲン化銀写真乳剤においても本発明の化合物は比較化合物に対し、少ない使用量にもかかわらず感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0295】
(実施例5)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−S1〜S4、S7〜S10を調製した。
(Em−S1)
特開2001−159799の実施例1に記載の乳剤bに対し、以下の変更を行い、乳剤Em−S1を調製した。
(1) 増感色素を増感色素11に変更する。
(2) 化学増感において塩化金酸の代わりに化合物15を、チオ硫酸ナトリウムの代わりに1,3,3-トリメチル-1-カルボキシメチルチオ尿素を用いる。
乳剤Em−S1は特開2001−159799の実施例1に記載の乳剤bと同様、平均円相当径4.1μm、円相当系の変動係数21%、平均厚み0.090μm、平均アスペクト比46の平板粒子であった。また、全投影面積の70%以上が円相当径4.1μm以上、粒子厚み0.090μm以下の粒子で占められていた。
【0296】
(Em−S2〜S4、S7)
化学増感終了後、乳剤の温度を40℃まで降温した後に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表8)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−S1)と同様にして乳剤Em−S2〜S4、S7を得た。
(Em−S8〜S10
増感色素添加前に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表8)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−S1)と同様にして乳剤Em−S8〜S10を得た。
実施例1と同様な方法で前記の乳剤Em−S1〜S4、S7〜S10の塗布を行い、試料501〜504、507〜510を作成した。
【0297】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。
【0298】
写真性能の結果を、下記の表8に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試料501を基準:100とした)。
【0299】
【表8】
Figure 0004102124
【0300】
表8から、反応容器外部に設けた混合機で調製したヨウ化銀微粒子を添加することによりヨウ化物イオンを供給して製造したハロゲン化銀写真乳剤においても本発明の化合物は添加位置にかかわらず、比較化合物に対し感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りであることがわかる。
【0301】
(実施例6)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−T1からT8を調製した。
(Em−T1)
特開2001−235821の実施例1に記載のホスト乳剤eを同特許実施例1記載のエピタキシャル沈着方法(3)によりエピタキシャル沈着、調製した乳剤に対し、以下の変更を行い乳剤Em-T1を調製した。
(1)エピタキシャル沈着において使用する増感色素を増感色素11と23に変更する。
乳剤Em−T1は特開2001−235821の実施例1に記載の乳剤eと同様のホスト粒子、すなわち、平均円相当径は4.2μm、円相当径の変動係数19%、平均粒子厚み0.062μm、平均アスペクト比68の平板粒子であった。また、全投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が1.4以下である六角形平板粒子で占められていた。
エピタキシャル沈着した乳剤の平均ヨウ化銀含有率は4.5mol%、平均塩化銀含有率は1.2mol%であった。
【0302】
(Em−T2〜T8
化学増感終了後、乳剤の温度を40℃まで降温した後に本発明の化合物あるいは比較例化合物を乳剤中の銀量に対して(表9)の如き含有量になるように添加した以外は、(Em−T1)と同様にして乳剤Em−T2〜T8を得た。
実施例1と同様な方法で前記の乳剤Em−T1〜T8の塗布を行い、試料601〜608を作成した。
【0303】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、実施例1と同様な現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。また、各試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。
写真性能の結果を、下記の表9に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の対数の相対値で表示した。(試料601を基準:100とした)
【表9】
Figure 0004102124
【0304】
表9から、エピタキシャル接合を有する平板粒子からなる乳剤においても本発明の化合物は比較化合物に対し、感度上昇効果が大きく、かつ未露光部の濃度(被り)が低いことがわかる。また、50℃80%RHの条件下で3日間経時した試料についても本発明の化合物は比較化合物に対し、生保存後の感度低下が小さく、かつ低被りでであることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)、(2)または(3)で表される化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
    Figure 0004102124
    一般式(1)においてZ1は窒素原子およびベンゼン環の2つの炭素原子と共に6員環を形成し得る原子団を表し、R1、R2、RN1はそれぞれ水素原子または置換基を表し、X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表し、L1カルボキシル基もしくはその塩を表す。一般式(2)においてED11は電子供与性基を表し、R11、R12、RN11、R13、R14はそれぞれ水素原子または置換基を表し、X11は置換基を表し、m11は0〜3の整数を表し、L11カルボキシル基もしくはその塩を表す。RN11、R13、R14、X11およびED11のいずれか2つの基は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。一般式(3)においてR22、R23、R21、RN21、Ra、Rbはそれぞれ水素原子または置換基を表し、L21カルボキシル基もしくはその塩、又は水素原子を表す。但しRN21がアリール基以外の基を表す時、RaおよびRbは互いに結合して芳香族環を形成する。一般式(1)、(2)及び(3)で表される前記化合物は、分子内に、2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を含む。
  2. 請求項1に記載の、一般式(1)、(2)または(3)で表される少なくとも1つの化合物で化学増感されたハロゲン化銀乳剤。
  3. 請求項に記載の化合物を少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 請求項に記載の化合物で化学増感された乳剤を少なくとも1つ含むことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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