JP4098839B2 - インドシアニン化合物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インドシアニン誘導体に関する。本発明の化合物は、アミノ基、スルフヒドリル基、及び/又はカルボニル基等を有する化合物を高感度に検出するための蛍光標識用試薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】
標識試薬は、目的化合物に特定の性質を与えてそれを検出できるようにする試薬である。標識試薬を用いた代表的な標識法として、例えば、蛍光標識法、放射性同位元素を導入する方法、及び酵素を用いる方法を挙げることができる。放射性同位元素を用いる方法は高感度な測定を可能にするが、非密封の放射性同位元素を使用するために作業者が被曝する危険性がある。また、放射性同位元素を使用する設備が限られており、放射性廃棄物の処理や放射性物質の管理上の問題がある他、測定機器や施設管理にも甚大な投資が必要である。酵素を用いる方法としてはエライザ(ELISA) 法が知られているが、従来の比色法では充分な感度が得られないため、蛍光標識試薬を併用したより高感度の測定が試みられている。
【0003】
以上のような理由から、蛍光標識試薬を用いた標識方法が微量分析のための標識法の主流になっている。蛍光標識試薬は、被標識化合物中の特定の官能基に蛍光体を結合させ、付加された蛍光特性を利用して被標識化合物を検出するための試薬である。従来、種々の蛍光標識試薬が提案されており、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた検出では、検出感度が数フェムトモル程度(サンプルのインジェクション量)程度まで高められている。しかしながら、タンパクや核酸などの微量な生体高分子の検出のためには未だ感度が十分であるとはいえず、また、蛍光顕微鏡等を用いた画像処理により一分子計測が可能になっていることからも、さらに高感度の蛍光標識試薬が求められている。
【0004】
タンパクなどの生体高分子の標識に用いる蛍光標識試薬には、高い蛍光強度を有することのほかに、特定の官能基に選択的に結合すること、結合後に被標識生体高分子の性質を変化させないことなどの諸性質が要求される。また、分子内に複数の結合部位を有する標識試薬は架橋形成によって被標識化合物の構造や性質を変化させてしまう可能性があるので、標識試薬は分子内に一個のみの標識基を有するものでなければならない。例えば、特開平2-191674号公報にはインドシアニン型の高蛍光性化合物が開示されているが、化合物が複数個の反応性基を有しており、標識に際して架橋反応が進行する可能性がある。特開平5-40097 号公報に開示された蛍光標識用色素も同様に架橋反応を起こす可能性がある。また、その化合物自体では各種官能基と反応できないため、あらかじめ試薬の活性化が必要となるので操作が煩雑であるという問題もある。
【0005】
以上の要求に加えて、標識試薬には高い水溶性も要求される。インドシアニン化合物の一種であるインドシアニングリーンは赤外線照射によって特異な吸収を示して蛍光を発する物質であり、肝機能検査(インドシアニングリーン負荷試験)などに用いられている。従来、インドシアニングリーンの蛍光を利用してタンパクを蛍光標識する試みがなされており、インドシアニングリーンの母核を修飾したり、反応活性基を導入した誘導体が種々提案されている。しかしながら、反応活性基を導入した反応性インドシアニングリーン誘導体は水に対して極めて難溶であり、標識試薬として用いる場合には、化合物をジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に溶解する必要がある。このため、反応系にタンパク水溶液が添加されると、試薬が沈殿したり標識されたタンパクが析出するという問題が生じていた。
【0006】
例えば、特願平6-222059号公報に開示された化合物は水溶性に劣り、化合物を有機溶媒に溶解して用いる必要がある。特開平2-191674号公報に開示された化合物は芳香環に直接スルホン酸基を導入することによって水溶性を改善した化合物ではあるが、この化合物といえどもタンパクの標識を純粋な水系で行うには十分な水溶性を有するものではない。
【0007】
一方、インドシアニングリーン誘導体を用いてタンパクを標識する場合、タンパク自体の有する生理活性を阻害しないように標識する必要がある。従来報告されたインドシアニングリーン誘導体は、標識後のタンパクとインドシアニングリーン標識との間の距離がいずれも短いものであり、標識後のタンパクの生理活性の一部が損なわれている可能性がある。例えば、パトニー(Patoney) らによって開発されたインドシアニングリーン誘導体は、ベンゼン環に直接イソチオシアノ基が導入されており、標識とタンパクとの間の距離が極めて短いものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の問題点を軽減ないし解消した蛍光標識試薬を提供することにある。より具体的にいうと、高い蛍光量子効果を有する蛍光標識を簡便かつ官能基特異的に被標識化合物に導入することができ、また、被標識化合物の性質を変化させることのない蛍光標識試薬を提供することが本発明の課題である。また、本発明の課題は、上記の特徴を有し、かつ水溶性に優れた蛍光標識試薬を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力し、インドシアニングリーンの誘導体を種々合成することにより、近赤外線ないし遠赤外線の励起光により蛍光を発し、高い水溶性を有するインドシアニングリーン誘導体を製造することに成功した。また、本発明者らは、上記のインドシアニングリーン誘導体が抗体などの生体高分子の標識に有用であることを証明した。さらに、分子内対イオン(ツビッターイオン)を形成可能な上記化合物にヨウ化ナトリウムなどを作用させると、分子のカチオン部分には塩のアニオンが付加しアニオン部分には塩のカチオンが付加して分子内対イオンの形成が阻害される結果、分子全体のイオン性が保たれ水溶性が顕著に増大した化合物が得られることを見い出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0010】
すなわち本発明は、下記の式:
【化3】
Figure 0004098839
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、遊離若しくは解離したスルホン酸基、又はアルコキシ基を示し、R3はアルキル基、遊離若しくは解離したスルホン酸アルキル基、又はアミノアルキル基若しくはアンモニオアルキル基を示し、n は 1〜3 の整数を示し、X - は必要に応じてアニオン種を示し、Z は以下の式:
【化4】
Figure 0004098839
からなる群から選ばれる基であり、M + はアルカリ金属イオンであり、W 及びY はそれぞれ独立に炭素数が1 〜10のアルキレン基を示すか、あるいはW 及びY は酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子を含む炭素数が1 〜10のアルキレン基を示す)で示される化合物を提供するものである。
【0011】
本発明の好ましい態様によれば、A1及びA2がともにナフタレン環であり、R1及びR2がともに水素原子であり、R3が解離した炭素数 2〜5 の直鎖スルホン酸アルキル基であり、n が3 であり、Y が炭素数 2〜5 の直鎖アルキレン基であり、Z がスクシンイミドオキシ基又はアルカリ金属スルホスクシンイミドオキシ基である上記化合物;及び、X - がヨウ素イオンであり、R3がナトリウムイオンと塩を形成した炭素数 2〜5 の直鎖スルホン酸アルキル基である上記化合物が提供される。
【0012】
また、本発明の別の態様によれば、上記化合物からなる蛍光標識用試薬;アミノ基、水酸基、カルボニル基、及びスルフヒドリル基からなる群から選ばれる1個以上の官能基を含む化合物の蛍光標識に用いる上記試薬;官能基を含む該化合物が生体高分子である上記試薬;並びに、生体高分子がタンパク、糖タンパク、脂質、リン脂質、多糖類、及び核酸からなる群から選ばれる上記試薬が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記一般式中、A1及びA2はそれぞれ独立にベンゼン環又はナフタレン環を示し、好ましくはナフタレン環を用いることができる。A1及び/又はA2がナフタレン環を示す場合、A1及び/又はA2が縮合するピロール環に対する該ナフタレン環の縮合位置は特に限定されることはない。また、A1及び/又はA2がナフタレン環を示す場合、R1及びR2はナフタレン環を構成する2個のフェニル環のうちのいずれかの環の任意の位置に置換することができる。A1及び/又はA2がフェニル環を示す場合、R1及びR2はフェニル環の任意の位置に置換していてもよい。
【0014】
R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、遊離若しくは解離したスルホン酸基、又はアルコキシ基を示す。アルキル基としては、炭素数 1〜6 程度、好ましくは炭素数1 〜4 の直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を用いることができる。例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基などを好適に使用できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピロリル基などを挙げることができる。解離したスルホン酸基には対イオンとしてアルカリ金属イオンなど、例えば、ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンなどが存在していてもよい。アルコキシ基としては、炭素数 1〜6 程度、好ましくは炭素数 1〜4 の直鎖又は分枝鎖の低級アルコキシ基を用いることができ、より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基などを用いることが可能である。
【0015】
R3はアルキル基、遊離若しくは解離したスルホン酸アルキル基、又はアミノ若しくはアンモニオアルキル基を示す。アルキル基としては炭素数 1〜6 程度、好ましくは炭素数1 〜4 の直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を用いることができる。スルホン酸アルキル基のスルホン酸、又はアミノ若しくはアンモニオアルキル基のアミノ基若しくはアンモニオ基はアルキル基の任意の位置に置換することができるが、アルキル基の末端に置換したものを用いるのが好適である。アミノ基若しくはアンモニオ基は、1個又は2個(アンモニオ基の場合には1ないし3個)の同一若しくは異なる低級アルキル基(好ましくは炭素数 1〜6 程度のアルキル基)を有していてもよい。
【0016】
例えば、R3として-(CH2)k -SO3- (k は3 〜5 の整数を示す)で示される基などが好適である。R3が解離したスルホン酸アルキル基である場合には、スルホン酸イオンの対イオンとしてアルカリ金属イオン、例えば、ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンなどが存在していてもよい。R3がアンモニオアルキル基である場合、対イオンとしてハロゲンイオン、過塩素酸イオンなどの陰イオン、好ましくはハロゲンイオンが存在していてもよい。
【0017】
X - は必要に応じて存在していてもよいアニオン種、例えばハロゲンイオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、またはチオシアン酸イオンを示す。X - で示されるアニオン種は、母核内の窒素原子上の陽電荷を打ち消して化合物を全体として中性に維持するために作用する。例えば、R1, R2, 及びR3のうちのいずれか一つに解離したスルホン酸部分が存在すると、その解離したスルホン酸の陰電荷と母核内の窒素原子上の陽電荷が打ち消しあうので、X - は存在しなくてもよい。一方、例えば、R1及びR2のうちのいずれか一方が解離したスルホン酸基であり、R3がアンモニオアルキル基である場合には、これらの基の電荷が釣り合うので、母核内の窒素原子上の陽電荷を打ち消すためにX - が必要になることがある。X - としては、好ましくは、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどを用いることができる。これらのうち、ヨウ素イオンが特に望ましい。n は1 〜3 の整数を示すが、n が3 であることが好ましい。
【0018】
Y は、炭素数1〜10の直鎖若しくは分枝鎖のアルキレン基、好ましくは炭素数 2〜5 の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基を好適に用いることができる。特に好ましくは、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基を用いることができる。また、Y は、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる1以上の原子を含む炭素数 1〜10の直鎖若しくは分枝鎖のアルキレン基を示す。
【0019】
具体的には、-Y-CO-で示される基として、例えば、-CH2-CO-; -(CH2)2-CO-; -(CH2)3-CO-; -(CH2)4-CO-; -(CH2)5-CO-; -CH2-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(CH2)2-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(CH2)3-CO-NH-(CH2)5-CO-; -(CH2)4-CO-NH-(CH2)5-CO-; -CH2-CO-NH-(CH2)5-CO-NH-(CH2)2-CO-; -(CH2)4-CO-(N,N'-piperadinyl)-(CH2)2-CO (N,N'-piperadinylは、ピペラジンの1-位に-(CH2)4-CO- 基が置換されており、4-位に-(CH2)2-Z 基が置換されていることを示す。以下、同様である。); または-CH2-CO-NH-(CH2)5-CO-(N,N'-piperadinyl)-(CH2)2-CO-などを利用することができる。
【0020】
Z で示される基において、W としては上記 Y-CO の例示中のY に相当する基を好適に用いることができる。また、N-スルホスクシンイミジルオキシ基のスルホン酸基の対イオンの M+ と X- の対イオンの M+ とは、同一でも異なっていてもよいが、両者がナトリウムイオンであることが好ましい。さらに、R1及び/又はR2が解離したスルホン酸基を示し、及び/又はR3が解離したスルホン酸アルキル基を示す場合には、該スルホン酸の対イオンは X- の対イオンの M+ 及び/又はN-スルホサクシイミジルオキシ基のスルホン酸基の対イオンの M+ と同一でも異なっていてもよいが、いずれもナトリウムイオンであることが好ましい。
【0021】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、例えばR3が解離したスルホン酸アルキル基の場合には、そのスルホン酸基の陰電荷と窒素原子上の陽電荷(式中 N+ で表す)とが打ち消し合い、いわゆる分子内塩(ツビッター・イオン型化合物)が形成される。このような分子内塩型の化合物では、分子全体のイオン性が低下して化合物の水溶性が損なわれることがある。一方、このような化合物において、スルホン酸基の陰電荷に対してアルカリ金属イオンが対イオンとして存在し、かつ、窒素原子上の陽電荷に対して対イオンとしてX - で表されるアニオン種が存在すると、スルホン酸基の陰電荷と窒素原子上の陽電荷とによる分子内塩の生成が阻害されるので水溶性が顕著に増大することがある。従って、X - がヨウ素イオンなどのアニオンであり、かつ、R3がナトリウムイオンと塩を形成したスルホン酸アルキル基である化合物は、本発明の好ましい態様である。
【0022】
なお、上記の一般式、並びに下記の好ましい態様の化合物及び実施例中のスキームの化合物では、便宜上、母核内の一の窒素原子上に陽電荷を固定して記載したが、共役二重結合を介して陽電荷が母核内の他の窒素原子に移動可能であることは当業者に容易に理解されよう。従って、このような共役に基づく異性体はすべて本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
【0023】
本発明の化合物は、2,3,3-トリメチルインドレニン、2,3,3-トリメチルベンゾインドレニン又はそれらの誘導体を原料として合成することができる。これらの原料はフィッシャーの合成法(E. Fischer and O. Hess: Berichte, 17, 559, 1883 など)に従って合成するか、又は市販品を入手することができる。例えば、原料化合物の窒素原子上にアルキル基を導入した後、オルトぎ酸トリエチルなどを反応させてシアニン色素骨格を形成し、その後にZ で示される標識基を導入することにより製造可能である。
【0024】
X - がヨウ素イオンなどのアニオンであり、かつ、R3がナトリウムイオンと塩を形成したスルホン酸アルキル基である化合物などの分子内塩を形成しない化合物を製造するためには、まず、解離したスルホン酸アルキル基の陰電荷と母核内の窒素原子上の陽電荷とが打ち消しあって分子内塩を形成した化合物(X - の存在しない化合物)を製造した後、この化合物を例えばジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に高濃度で溶解し、その溶液にヨウ化ナトリウムなどの塩を添加すればよい。もっとも、本発明の化合物の製造方法はこれらの方法に限定されることはない。
【0025】
本発明の化合物の代表例として化合物(A) 〜(P) を以下に示す。
【化5】
Figure 0004098839
【0026】
【化6】
Figure 0004098839
【0027】
【化7】
Figure 0004098839
【0028】
【化8】
Figure 0004098839
【0029】
【化9】
Figure 0004098839
【0030】
本発明の化合物は、例えば、反応性のアミノ基、水酸基、チオール基、カルボニル基、スルフヒドリル基などを有する動植物由来の生体高分子の標識に用いることができる。生体高分子としては、例えば、タンパク、糖タンパクなどの複合タンパク、脂質、リン脂質などの複合脂質、多糖類、核酸などを挙げることができる。例えば、ガンなどに特異性の高い抗体や酵素などは本発明の化合物の好適な標識対象である。また、本発明の化合物は、反応性のアミノ基、水酸基、チオール基、カルボニル基、スルフヒドリル基などを有する低分子化合物と容易に反応するので、例えば、ビオチン−アビジンなどの増幅系に用いられる増幅系物質を標識することも可能である。
【0031】
例えば、Z としてN-サクシイミジルオキシ基およびN-スルホサクシイミジルオキシ基を用いる場合、これらの基はZ が結合するカルボニル基とともに反応性の活性エステルを形成しており、例えば、被標識化合物に含まれるアミノ基と反応してアミド結合を形成する。また、Z としてN-マレイミドアルキル基を用いる場合には、例えば、被標識化合物に含まれるチオール基(HS-R)が反応してチオエーテルが形成される。さらに、Z が-NH-NH2 である場合には、被標識化合物に含まれる還元糖末端のアルデヒド基(OHC-R) が反応して-Y-CO-NH-NH-CO-Rが形成される。従って、本発明の化合物を適宜選択して用いることにより、官能基特異的に被標識化合物を標識することが可能である。もっとも、本発明の化合物の用途は上記に例示したものに限定されることはない。
【0032】
本発明の化合物は、モル吸光係数及び蛍光量子収率の高いインドシアニン化合物に活性部位を導入した化合物であり、被標識化合物にインドシアニンの分光学的性質を付加させることができる。本発明の化合物により標識された被標識化合物は、励起波長500 〜800nm 、蛍光波長550 〜850nm の蛍光特性を備えているので、高出力の半導体レーザーやHe・Neレーザーを励起光源として用いることにより極めて高感度な検出が可能になる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。また、この実施例を参照した当業者には、出発原料、試薬、反応条件などに適宜の修飾・改変を加えることにより、本発明の範囲に包含される所望の化合物が同様に容易に製造することが容易に理解されよう。なお、実施例中の化合物番号はスキーム中の化合物番号に対応しており、化合物(A) などは前記の好ましい化合物として示された化合物の番号に対応している。
【0034】
例1:化合物(A) 及び(B) の製造
【化10】
Figure 0004098839
【0035】
化合物1 (2,3,3-トリメチルインドレニン) 5.0 g (31.4 ミリモル) をアセトニトリル100 mlに溶解し、ヨードエタン 5.9 g (37.8ミリモル) を加えて一夜加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にエーテルを加えて化合物2の灰赤色結晶を濾取した(9.1 g, 92%)。別途、化合物1 (5.0 g, 31.4 ミリモル) をジメチルホルムアミド(DMF)100mlに溶かし、6-ブロモヘキサン酸エチル 20.0 g (89.6 ミリモル) を加えて窒素雰囲気下に80℃で一夜加熱した。反応液を減圧下濃縮し、得られたオイルをエーテル 50 mlで洗浄した。次いで、得られたオイルをメタノール100 mlに溶解し、水酸化ナトリウム 11.5 g (287.5ミリモル) を水に溶解して加え、室温で5時間攪拌して加水分解した。メタノールを減圧下に留去した後、 1N 塩酸で中和した。クロロホルムで洗浄して非水溶性のオイルを除いた後、減圧下で濃縮乾固した。エタノールに溶解して濾過することにより無機塩を除き、得られた濾液を減圧下に濃縮乾固し、さらに減圧下で乾燥して化合物3の淡赤色粉末を得た(3.2 g, 37.3%)。
【0036】
化合物2 (3.2g, 10.2ミリモル) と化合物3 (2.8 g, 10.2 ミリモル) をピリジン 60 mlに溶解して110 ℃に加熱した後、オルトギ酸トリエチル 2.5 ml (15.0 ミリモル) を徐々に滴下して1時間加熱した。反応液を減圧下濃縮し、クロロホルムに溶解して水洗した。クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減圧下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合物4の緑赤色金属光沢結晶を得た(1.6 g, 33%)。
【0037】
化合物4 (20 mg, 0.042ミリモル) とN-ヒドロキシこはく酸イミド(NHS) 6.4 mg (0.056 ミリモル) を無水DMF 100 μl に溶解して 0℃に保ち、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 180 mg (0.874 ミリモル) を無水DMF 50μl に溶解して加え、0 ℃で一夜反応させた。反応液に塩化水素ガスを吹込み、エーテルを加えて、目的物である化合物(A) を得た(18.0 mg, 70.1%)。化合物(A) をpH 7.4のPBS (NaCl: 8.0g, KCl: 0.2g, Na2HPO4: 11.5g, KH2PO4: 0.2g/水 1000 ml) に溶かした溶液の吸収スペクトルを図1に示す。
【0038】
化合物4 (300 mg, 0.64ミリモル) をDMF 20 ml に溶かし、ピペラジノエチルマレイミド二塩酸塩一水和物(PEM) 242 mg (0.81ミリモル) 及びトリエチルアミン 120μl (0.88 ミリモル) を加えて 0℃に冷却した。この溶液に DCC 680 mg (3.30 ミリモル) を加えて 0℃で一夜反応させた。反応液を濾過し、濾液を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製し、化合物(B) の緑赤色金属光沢結晶を得た (350 mg, 78.6%)。
【0039】
例2:化合物(C) の製造
【化11】
Figure 0004098839
【0040】
化合物1 (2.0 g, 6.3ミリモル) をDMF 100 mlに溶かし、6-ブロモヘキサン酸エチル 8.4 g (37.6ミリモル) を加えて窒素雰囲気下に80℃で一夜加熱した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製し、化合物5の赤褐色オイルを得た (3.4g, 40%)。化合物2 (2.0 g, 6.3ミリモル) と化合物5 (2.4 g, 6.3ミリモル) をピリジン 10 mlに溶解して110 ℃に加熱した後、オルトぎ酸トリエチル 1.6 ml (10.0 ミリモル) を徐々に滴下し、1 時間加熱した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解して水洗した。クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減圧下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合物6の緑赤色結晶を得た (960 mg, 26.1%)。
【0041】
化合物6 (200 mg, 0.35ミリモル) をアセトニトリル 10 mlに溶解し、ヒドラジン一水和物 10 ml (205.7 ミリモル) を加えて室温で一夜攪拌した。1N塩酸で反応液を弱酸性とし、減圧下で濃縮した後、残渣をセファデックスLH20/メタノールで精製して化合物(C) を得た (130 mg, 72.3%)。
【0042】
例3:化合物(H) の製造
【化12】
Figure 0004098839
【0043】
化合物2 (3.2 g, 10.2 ミリモル) と化合物3 (2.8 g, 10.2 ミリモル) をピリジン 60 mlに溶解し、110 ℃に加熱した後、1,3,3-トリメトキシプロペン 2.0g (15.1 ミリモル) を加え、1 時間加熱した。反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をクロロホルムに溶解して水洗した。クロロホルム溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減圧下で濃縮乾固し、得られた残渣を減圧乾燥して化合物7の緑色金属光沢結晶を得た(1.2 g, 23.8%)。例1と同様にして化合物7 (200 mg, 0.40ミリモル) とNHS 60 mg(0.52ミリモル) とを反応させ、反応物を単離精製して化合物(H) を得た(1.2 g, 23.8%)。
【0044】
例4:化合物(J) の製造
【化13】
Figure 0004098839
【0045】
化合物8 (4.0 g, 19.1 ミリモル) をDMF 60 ml に溶解し、6-ブロモヘキサン酸エチル 13.0 g (58.3 ミリモル) を加え、窒素雰囲気下に80℃で一夜加熱した。反応液を減圧下で濃縮し、残渣のオイルをエーテル 50 mlで洗浄した。次いで、得られたオイルをメタノール 100 ml に溶解し、水酸化ナトリウム 7.0 g (175 ミリモル) を水に溶解して加え、室温で5 時間攪拌して加水分解した。メタノールを減圧下留去した後 1N 塩酸で中和した。クロロホルムで洗浄して非水溶性のオイルを除いた後、減圧下濃縮乾固した。残渣をエタノールに溶解して濾過することにより無機塩を除き、その濾液を減圧下濃縮乾固して減圧乾燥し化合物9の淡青色粉末を得た(4.2 g, 67.9%)。
【0046】
化合物8 (7.0 g, 19.1 ミリモル) をアセトニトリル 100 ml に溶解し、ヨードエタン 4.5 g (28.9ミリモル) を加え、一夜加熱還流した。反応液を減圧下に濃縮し、残渣にエーテルを加えて化合物10の灰青色結晶を得た(7.4 g, 84.8%)。グルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩 6.0 g (24.2ミリモル) を無水酢酸 100 ml に溶解し、撹袢下に化合物10 (7.4 g, 20.3 ミリモル) を加えた。混合液を100 ℃に加熱して1時間反応させた後、反応液を減圧下に濃縮し、残渣にエーテルを加えて緑色結晶を得た。
【0047】
上記の緑色結晶をピリジン 60 mlに溶解し、化合物9 (5.6 g, 17.3 ミリモル) を加えて、60℃で5 時間反応させた。反応液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:メタノール/クロロホルム) に付して分離精製した。溶離液を減圧下で濃縮乾固し、得られた固体を減圧乾燥して化合物12の緑色結晶を得た(3.8 g, 35.2%)。化合物12 (20 mg, 0.032ミリモル) とNHS 4.9 mg (0.043 ミリモル) を無水DMF 100 mlに溶解して 0℃に保ち、DCC 140 mg (0.68ミリモル) を無水DMF 50 ml に溶解して加え、一夜反応させた。反応液に塩化水素ガスを吹込み、エーテルを加えて目的とする化合物(J) を得た(10.5 mg, 43.2%)。
【0048】
例5:化合物(K) 及び(L) の製造
【化14】
Figure 0004098839
【0049】
化合物8 (5 g, 23.9 mmol) /DMF 100 mlに 6- ブロモヘキサン酸エチルエステル (6.32 ml, 35.5 mmol) を加えて 80 ℃で 16 時間加熱した。反応液を減圧下に濃縮し、残渣にエーテル 200 ml を加えて結晶化した後、得られた結晶を濾過してエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して化合物8´を得た。化合物8´に1 M 水酸化ナトリウム水溶液/メタノール=1/1混合溶液 30 mlを加えて室温で2時間攪拌した。メタノールを減圧留去し、水溶液を 4 M塩酸水溶液で中和したのち、クロロホルムで3回洗浄した。水溶液を減圧下に濃縮し、化合物9の赤色固体を得た。収量 5.75 g ( 収率 74.4 %)。
【0050】
化合物13 (5.0 g, 14.5 mmol) とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩 (4.23 g, 14.5 mmol)を無水酢酸 20 mlと酢酸 300 ml の混合溶液に懸濁し、還流温度で5時間加熱した。赤色溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルと水の混合溶液 200 ml を加えて懸濁させ、黒赤色固体を濾取した。水で洗浄した後、減圧下に乾燥し、化合物14の黒赤色粉末を得た。収量 5.20 g ( 収率 66.1 %)。
【0051】
化合物14 (300 mg, 0.553 mmol) と化合物9 (179 mg, 0.553 mmol) をピリジン 5 ml に溶解し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残渣を水 10 mlに溶解して溶液の pH を3に合わせた後、セファデックス LH20 カラム( 溶媒:メタノール) で精製して、化合物15の黒緑色固体を得た。収量 105 mg ( 収率 25.9 %)。
【0052】
化合物15 (106 mg, 0.145 mmol)/50 v/v % THF水溶液 3 ml に N- ヒドロキシ無水こはく酸スルホン酸ナトリウム (65.2 mg, 0.287 mmol)と N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(129 mg, 0.596 mmol)を加えて4℃で一晩反応させた後に濾過し、濾液を 20 ℃以下で減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル 10 mlを加え、生じた結晶を更にエーテルで3回洗浄し、化合物(K) の黒緑色固体を得た(110 mg, 80.7%) 。MS (FAB) m/e =906 (M- ) ;蛍光スペクトル :λex=768 nm,λem=807 nm (H2O)
【0053】
上記の化合物(K) 100 mg (0.11 mmol)をメタノール 2 ml に溶かし、ヨウ化ナトリウム 1 g (6.7 mmol) のメタノール 5 ml 溶液を加えた。メタノールを1/2 に減圧濃縮し 4℃で一夜冷却させた後、析出結晶を濾取した。得られた緑色結晶を減圧デシケーターで乾燥して化合物(L) 85 mg を得た( 収率 72%) 。ヨウ化ナトリウムの塩形成前(分子内対イオン型) の化合物(K) 及び塩形成後の化合物(L) の水溶性および赤外線吸収スペクトルデータ(IR)を測定した。また、ヨウ素含量をシェーニガー法より求めた。
【0054】
ヨウ化ナトリウムを塩として取り込んだ化合物(L) と原料として用いた対イオン型の化合物(K) とでは赤外吸収スペクトルが変化しており、分子内対イオン型化合物において観測された 2360 及び 1740 cm-1の吸収が化合物(L) では消失していた(図5参照: a) 化合物(L):塩形成後、 b) は化合物(K):分子内対イオン型、すなわち塩形成前のものを示す) 。これらの結果から、分子内対イオンを形成している場合とヨウ化ナトリウムの塩を形成した場合とでは、結晶構造が変化していることが明らかである。
【0055】
例6:化合物(Q) 及び(R) の合成
例5の方法に準じてインドシアニングリーン-N- ブタン酸スルホコハク酸イミドエステルを製造した。この化合物 150 mg(0.17 mmol)をメタノール 3 ml に溶かし、ヨウ化ナトリウム 1.5 g (10 mmol)のメタノール 8 ml 溶液を加えた。メタノールを1/2 に減圧濃縮し 4℃で一夜冷却させた後、析出結晶を濾取した。得られた緑色結晶を減圧デシケーターで乾燥して化合物(Q) 117 mgを得た(66%) 。ヨウ化ナトリウムの塩形成前後での水溶性データおよび赤外線吸収スペクトルデータ(IR)を測定した。また、ヨウ素含量をシェーニガー法より求めた。
【0056】
同様に、インドシアニングリーン-N- ヘキサン酸スルホコハク酸イミドエステル 100 mg(0.11 mmol)をメタノール 2 ml に溶かし、過塩素酸ナトリウム 0.3 g (2.5 mmol) のメタノール 20 ml 溶液を加えた。メタノールを1/4 に減圧濃縮し 4℃で一夜冷却させた後、析出結晶を濾取した。得られた緑色結晶を減圧デシケーターで乾燥して化合物(R) 23 mg を得た( 収率 21%) 。過塩素酸ナトリウムの塩形成前後での水溶性データおよび IR を測定した。
【0057】
【表1】
Figure 0004098839
【0058】
例7:化合物(I) の合成
【化15】
Figure 0004098839
【0059】
化合物16 (5.0 g, 15.1 mmol) とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩 (4.40 g, 15.1 mmol)を無水酢酸 20 mlと酢酸 300 ml の混合溶液に懸濁し、還流温度で5時間加熱した。赤色溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルと水の混合溶液 200 ml を加えて懸濁させ、黒赤色固体を濾取した。水で洗浄した後、減圧下に乾燥し、化合物17の黒赤色粉末を得た。収量 5.33 g ( 収率 65.2 %)。
【0060】
化合物17 (167 mg, 0.308 mmol) と上記例6で得た化合物9 (100 mg, 0.309 mmol) をピリジン 3 ml に溶解し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、得られた残渣を水 10 mlに溶解して溶液の pH を3に合わせた後、セファデックス LH20 カラム( 溶媒:メタノール) で精製して、化合物18の黒緑色固体を得た。収量 51 mg( 収率 23.1 %)。
【0061】
化合物18(30 mg, 41.8μmol)/ 50 v/v % THF 水溶液 1 ml に N- ヒドロキシ無水こはく酸スルホン酸ナトリウム (16.8 mg, 77.4 μmol)と N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.8 mg, 0.125 mmol) を加えて4℃で一晩反応させた後に濾過し、濾液を 20 ℃以下で減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル 10 mlを加え、生じた結晶を更にエーテルで3回洗浄し、化合物19の黒緑色固体を得た。収量 34 mg( 収率 88.8 %)。MS (FAB) m/e = 892(M- ) ;蛍光スペクトル :λex=771 nm,λem=822 nm ( 水)
【0062】
上記の化合物19を、例6の方法に従ってヨウ化ナトリウムのメタノール溶液で処理して化合物(I) を得た。化合物19の赤外線吸収スペクトルと化合物(I) の赤外線吸収スペクトルを比較したところ、化合物19において観測された 2360 及び 1740 cm-1の吸収が化合物(I) においては観測されなかった。
【0063】
例8:化合物(A) を用いたタンパクの標識及び蛍光検出
牛血清アルブミン(BSA) 3.0 mgをpH 8.5の 0.1 M炭酸緩衝液 5.0 ml に溶かし、50ミリモルの化合物(A) の DMSO 溶液 5 ml を加え、37℃で1時間放置した。HPLC(ゲルカラム、蛍光検出:励起波長 550nm、検出波長 569nm)を用いてこの溶液を測定したところ、化合物(A) のピーク以外に標識BSA のピークが認められた。図2は化合物(A) をpH 7.4のPBS に溶かした溶液の蛍光スペクトルを示し、図3は化合物(A) を用いて標識されたBSA をpH 7.4の PBSに溶かした溶液の蛍光スペクトルを示す。さらに、BSA の量を変えて標識して同様の測定を行ったところ、図4に示すように蛍光強度とBSA 量との間に良好な比例関係が認められ、BSA にして約 0.1フェムトモルの検出限界であることが分かった。このときのシグナル/ノイズ比は3 であった。
【0064】
例9:本発明の化合物による抗体の標識
化合物(L) 1 mgを水 0.94 mlに溶解して 1 mM 溶液とした。ヒト IgG 1 mg を pH 8.5 の50 mM 炭酸ナトリウムバッファー 1 ml に溶解し、この溶液に化合物(L) を含む上記の溶液 0.2 ml を加えて 30 ℃で1時間反応させた。反応液をセファデックス G-25 カラムに付して標識化されたヒトIgG を分離した。分離用のバッファーとしては 50 mMリン酸バッファー(pH 7.4)を用いた。未反応の化合物(L) はセファデックス・ゲルの上端に残り、標識化IgG との分離は良好であった。得られた標識化IgG を凍結乾燥して-20 ℃で冷凍保存した。この標識化IgG 1 mgをとり100 mlの50 mM リン酸バッファー(pH 7.4)に溶解して蛍光スペクトルを測定した結果を図6に示す。
【0065】
【発明の効果】
本発明の化合物は、高い蛍光量子収率を有するので高蛍光性であり、水溶性が高いという特徴を有している。また、本発明の化合物は官能基選択的に被標識化合物を標識できるという特徴がある。さらに、分子内に標識基を1個のみ有するので、被標識化合物を架橋せず、標識後にも被標識化合物の特性をそのまま維持できるという特徴がある。従って、本発明の化合物を用いると、タンパクなどの生体高分子の立体構造や生理活性を保持したまま蛍光標識することができ、標的分子にインドシアニンの分光学的性質を付加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物(A) をpH 7.4のPBS (NaCl: 8.0g, KCl: 0.2g, Na2HPO4: 11.5g, KH2PO4: 0.2g/水 1000 ml) に溶かした溶液の吸収スペクトルを示す図である。
【図2】 本発明の化合物(A) をpH 7.4のPBS に溶かした溶液の蛍光スペクトルを示す図である。
【図3】 本発明の化合物(A) を用いて標識されたBSA をpH 7.4の PBSに溶かした溶液の蛍光スペクトルを示す図である。
【図4】 本発明の化合物(A) を用いて標識した標識化BSA の蛍光強度と反応に供したBSA 量との間の相関関係を示す図である。
【図5】 ヨウ化ナトリウムを塩として取り込んだ化合物(L) と分子内対イオン型の化合物(K) の赤外線吸収スペクトルを示す図である。図中、 a) は化合物(L) の赤外線吸収スペクトルを示し、b)は化合物(K) の赤外線吸収スペクトルを示す。
【図6】 本発明の化合物(L) を用いて標識されたヒト IgGの蛍光スペクトルを示す図である。

Claims (5)

  1. 下記の式:
    Figure 0004098839
    (式中、A1及びA2はともにベンゼン環を示すか、又はともにナフタレン環を示し、R1及びR2はともに水素原子を示し、R3はアルキル基(ただしA1及びA2がともにナフタレン環である場合を除く)、又は遊離若しくは解離したスルホン酸アルキル基を示し、n は1 〜3 の整数を示し、X - はアニオン種を示し、Z は以下の式:
    Figure 0004098839
    からなる群から選ばれる基であり、M + はアルカリ金属イオンであり、Yは炭素数が2〜5のアルキレン基を示す)で示される化合物。
  2. X - がハロゲンイオンであり、R3がナトリウムイオンと塩を形成した炭素数 2〜5 の直鎖スルホン酸アルキル基である請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物からなる蛍光標識用試薬。
  4. 生体高分子の蛍光標識に用いる請求項3に記載の試薬。
  5. 生体高分子がタンパク、糖タンパク、脂質、リン脂質、多糖類、及び核酸からなる群から選ばれる請求項4に記載の試薬。
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