JP4098547B2 - 熱交換器用フィンおよび熱交換器用フィン製造装置 - Google Patents
熱交換器用フィンおよび熱交換器用フィン製造装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器の放熱用フィンに関し、とりわけ、帯状薄板によって屈曲部とルーバーが形成される平坦部とが交互に連続して波形形状に形成される熱交換器用フィンおよびこの熱交換器用フィンを形成する熱交換器用フィン製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン自動車に搭載されるラジエータおよび空調装置に用いられるヒータコア、コンデンサ、エバポレータ等の熱交換器は、それらに設けられたフィンを介して冷媒、冷却水、空気などとの間で効率良く熱交換するようになっている。
【0003】
図12は従来のフィン1を示し、コルゲートカッター(不図示)を用いて帯状薄板2を屈曲部1aと平坦部1bとが交互に連続される波形形状に形成し、各平坦部1bに帯状薄板2の長さ方向Yに沿って切り起こした複数のルーバー3を、帯状薄板2の幅方向Xに並設した熱交換器用フィンとして構成するようになっている。
【0004】
ところで、熱交換器用フィン1はルーバー3を切り起こした場合、図13に示すように屈曲部1aには切り込み内側端部3aより切り込み外側端部3bの歪み量が大きくなり、この歪み量が熱交換器用フィン1の長さ方向に蓄積されることにより、図14に示すように熱交換器用フィン1は屈曲部1aに頂部捻れが発生して、全体的に湾曲して丸まってしまう。
【0005】
このように熱交換器用フィン1が丸まると熱交換器への組付けが不可能となってしまうため、従来では図12に示したように各平坦部1bに形成される複数のルーバー3が、帯状薄板2の幅方向Xでその切り起こし方向が対称となるようにグループA、B分けし、グループAのルーバー3を手前側に開口し、グループBのルーバー3を向こう側に開口することにより、切り起こしによる歪み量を幅方向Xで均等化して熱交換器用フィン1の直状性を保つようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1つの平坦部1bでルーバー3の切り起こし方向、つまり開口方向が異なると、熱交換器用フィン1を通過する空気の流れは蛇行することになって抵抗が大きくなり、ひいては空気の通過量が低減して熱交換率が低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、ルーバーの切り起こし方向にかかわりなくフィン全体が湾曲するのを防止するようにした熱交換器用フィンおよび熱交換器用フィン製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、帯状薄板を屈曲部と平坦部とを交互に形成して連続する略波形形状とし、各平坦部に帯状薄板の長さ方向に沿って所定間隔ごとに切り起こした複数のルーバーを帯状薄板の幅方向に並設した熱交換器用フィンにおいて、前記屈曲部を挟んで対向する前記平坦部の一方に形成されるルーバーの切り起こし方向と、前記平坦部の他方に形成されるルーバーの切り起こし方向とが相互に逆方向に形成され、前記屈曲部を介して設けられるルーバーとルーバーは、幅方向について異なる位置に設けられ、前記屈曲部の隣接する前記平坦部近傍、且つ同一平坦部上で隣合うルーバーの境界部分に突設するエンボスを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の熱交換器用フィンにおいて、前記ルーバーは幅方向について略1/2異なることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明にあっては、請求項2に記載の熱交換器用フィンにおいて、前記屈曲部を外周側から内周側に向かって湾曲させて、幅方向に沿って延びる略U字形状に成形したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明にあっては、請求項3に記載の熱交換器用フィンにおいて、帯状薄板の長さ方向に沿った屈曲部の距離(L0)と屈曲部の撓み量(H0)との間に式(1)の関係が成立することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明にあっては、請求項1または、請求項2に記載の熱交換器用フィンにおいて、前記ルーバーを切り起こす際に、前記屈曲部に発生する歪み応力が強く作用する部位に、波形形状の内周面から外周面に向かって突出する前記エンボスを設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明にあっては、請求項1または、請求項2に記載の熱交換器用フィン(10)において、前記ルーバーを切り起こす際に、前記屈曲部に発生する歪み応力が強く作用する部位に、波形形状の外周面から内周面に向かって凹設された前記エンボスを設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明にあっては、コルゲートカッターに放射状に突設した各歯部の頂部および底部によって、帯状薄板に所定間隔をもって屈曲部を連続して形成するとともに、前記歯部の側面に形成した複数の切り起こし刃によって前記帯状薄板の平坦部に帯状薄板の長さ方向に延び、かつ、帯状薄板の幅方向に並設される複数のルーバーを切り起こして波形形状の熱交換器用フィンを形成する熱交換器用フィン製造装置において、前記屈曲部を挟んで対向する前記平坦部の一方に形成されるルーバーの切り起こし方向と、前記平坦部の他方に形成されるルーバーの切り起こし方向とが相互に逆方向に形成され、前記頂部の隣接する前記切り起こし刃近傍、および前記底部の隣接する前記切り起こし刃近傍のそれぞれに、フィンの湾曲を矯正する歪み調整部を形成するための屈曲部形成手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、帯状薄板の幅方向の一端から1つめのルーバーまでの距離が異なることで、ルーバーを切り起こす際に屈曲部に発生する捻転モーメントが分散されるので、屈曲部に発生する歪み量を低減することができる。
【0016】
また、これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性を確保することができる。
【0017】
従って、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
また、屈曲部を挟んで対向する平坦部の一方に形成されるルーバーの切り起こし方向と、平坦部の他方に形成されるルーバーの切り起こし方向とが相互に逆方向に形成されることで、略波形形状に成形した際に、平坦部の一方に形成されるルーバーの開口方向と、平坦部の他方に形成されるルーバーの開口方向が一致するので、熱交換器用フィンを通過する空気の流れが蛇行せずに済むので、通風抵抗の増大を防ぎ、熱交換率を確保することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、帯状薄板の幅方向の一端から1つめのルーバーまでの距離がルーバーを配設する間隔の略1/2分異なることで、ルーバーを切り起こす際に屈曲部に発生する捻転モーメントが均等に分散されるので、屈曲部に発生する歪み量を小さくすることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1と請求項2の発明の効果に加えて、屈曲部の外周側から内周側に向かって突出された円弧状の歪み調整部によって、屈曲部の機械的強度が向上するので、ルーバーを切り起こす際に発生する捻転モーメントによって生じる屈曲部の歪み量を軽減することができる。
【0020】
これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性をさらに改善することができる。
【0021】
従って、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、屈曲部が十分な機械的強度を備えるために必要となる屈曲部の長さが明確になるため、歪み調整部を形成することによる製造コストの増大を防止することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1と請求項2の発明の効果に加えて、各ルーバーを切り起こす際に発生する歪み応力が強く作用する部位に凸状のエンボスが配設されることにより、歪み応力に対する屈曲部の機械的強度が改善され、歪み変形の発生を防止することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1と請求項2の発明の効果に加えて、各ルーバーを切り起こす際に発生する歪み応力が強く作用する部位に凹状のエンボスが配設されることにより、歪み応力に対する屈曲部の機械的強度が改善され、歪み変形の発生を防止することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、コルゲートカッターを回転して熱交換器用フィンを形成する際に、放射状に突設した歯部の頂部および底部に歪み調整部形成部が形成されているため、頂部および底部によって帯状薄板に屈曲部が形成されると同時に、その屈曲部にフィンの湾曲を矯正する歪み調整部が形成されるので、フィンの湾曲を矯正する工程をコルゲート成形工程と同一工程で達成することができ、熱交換器用フィンの生産性を向上することができる。
【0026】
また、コルゲートカッターを交換するだけで従来の製造装置に対応させることができるので、製造コストの増大を防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(参考例)
図1〜図8は本発明の熱交換器用フィンおよび熱交換器用フィンを形成する製造装置の参考例を示し、図1は熱交換器用フィンの一部を示す斜視図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図3は熱交換器用フィンの要部展開図、図4は図3中B部の拡大図、図5は屈曲部長さと撓み量、およびずれ量の説明図、図6は屈曲部と撓み量との関係を示した図、図7は熱交換器用フィンの成形工程を示す概略図、図8はコルゲートカッターを示す斜視図である。
【0029】
図1は、図7に示されるコルゲートカッター21、21aで成形され、ピッチ調整ロール22、22aを通過する前のフィン形状として示されている。
【0030】
図1に示されるように、参考例の熱交換器用フィン10は、アルミニウムを材質とする帯状薄板11を屈曲部12と平坦部13とを交互に形成して連続する波形形状に成形され、各平坦部13、13…に帯状薄板11の長さ方向Yに沿って切り起こした複数のルーバー14、14…および15、15…を帯状薄板11の幅方向Xに並設して形成される。
【0031】
さらに、屈曲部12は、波形形状の外周側12aから内周側12bに向かって突出するように湾曲され、幅方向に沿って延びる略U字形状に成形された歪み調整部12cとなっている。
【0032】
また、図2に示されるように、屈曲部12を挟んで対向する平坦部13、13の一方に形成されるルーバー14、14…の切り起こし方向と、他方に形成されるルーバー15、15…の切り起こし方向とが相互に逆方向に形成されている。
【0033】
図3には、図1に示される熱交換器用フィン10の展開図が示されており、さらに屈曲部12周辺を拡大したものが図4(a)に示されている。
【0034】
図4(a)に示されるように、参考例では、ルーバー14とルーバー15は、ルーバー幅Lが同一寸法で各切り起こし部14a、15aが1/2間隔だけずれているとともに、等間隔に配設されている。
【0035】
また、図4(b)には、従来から行われている屈曲部12周辺の拡大図が示されており、ルーバー14′とルーバー15′は、各切り起こし部14a′、15a′が一致するように等間隔に配設されている。
【0036】
図4(b)に示されるように、従来からの方法でルーバー14′、15′を切り起こした場合、ルーバー14′の切り起こし部14a′の延長線上にルーバー15′の切り起こし部15a′が形成されているので、同一直線状で逆向きに捻転モーメントが屈曲部12にかかるため、歪み応力が集中し、屈曲部12の機械的強度が足りずに歪み変形を起こしていた。
【0037】
そこで参考例では、この歪み変形を解消するため、帯状薄板11の幅方向Xの一端11aから1つめのルーバー14、15までの距離D1、D2が略1/2間隔分だけ異なるように設けられており、図4(a)に示されるように、ルーバー14とルーバー15は1/2間隔ずつずれて配設されている。
【0038】
これにより、ルーバー14を切り起こす際に発生する捻転モーメントと、ルーバー15を切り起こす際に発生する捻転モーメントとが等間隔に屈曲部12に発生するため、各捻転モーメントによる互いの影響が小さくなる。このことから、切り起こし部14a、15aに発生する歪み応力が分散されて、屈曲部12に歪み変形が発生することを防止している。
【0039】
さらに、屈曲部12は、波形形状の外周側12aから内周側12bに向かって突出するように湾曲され、幅方向に沿って延びる略U字形状に成形された歪み調整部12cとなっている。
【0040】
参考例では、歪み調整部12cは屈曲部12が長さL0に対して撓み量H0が、式(1)の関係を満足するように断面略U字形状に加工され、屈曲部12の機械的強度が改善されているので、捻転モーメントによる歪み変形の発生をより一層防止している。
【0041】
H0>L0/10 ・・・ (1)
なお、式(1)の関係は、図5(b)に示されるように、長さY方向に延びる屈曲部12の長さL0と、熱交換器用フィン10を外周側12aから内周側12bに向かって円弧状に突出させた際の屈曲部12の撓み量H0の関係を示している。
【0042】
また、図6には撓み率とずれ量の関係が示され、撓み率は撓み量H0と屈曲部12の長さL0との比で、ずれ量は図5(a)に示されるように、波形形状に成形された熱交換器用フィン10の平坦部13、13の一端側11aで計測したずれである。
【0043】
図6に示されるように、撓み率が0.1を越えたところから屈曲部12の機械的強度が改善され、ずれ量が低減される。このことから式(1)の関係を導き出すことができる。
【0044】
なお、コルゲートカッター21、21aで成形後、コルゲートフィン10のフィンピッチを調整すると、加工の程度により異なるが、歪み調整部12cは平坦な面や凹形状が逆向きになることもある。
【0045】
つぎに、熱交換器用フィン10の製造装置20について説明する。熱交換器用フィン10は、図7に示される製造工程を経て形成される。
【0046】
ロール24から繰り出される帯状薄板11は、この厚さ方向の両側に配置される1対のコルゲートカッター21、21a間に通されて、屈曲部12、12…の形成と平坦部13、13…へのルーバー14、14…および15、15…の形成とが同時に行われ、波形形状に成形される。
【0047】
次に、波形形状に成形された帯状薄板11は、装置内を送られながらピッチ調整ロール22、22aの抵抗によって長さ方向に縮められて、隣接する屈曲部12、12…間のピッチを整えられる。
【0048】
そして、ピッチが整えられた帯状薄板11は、切断刃23で所定長さに切断されて、組み込もうとする熱交換器の寸法に合わせた一定長さの熱交換器用フィン10に加工されるようになっている。
【0049】
ここで、コルゲートカッター21、21aは一方が雄型、他方が雌型として互いに噛み合う構造となっており、図8に一方のコルゲートカッター21aを模した図例にとって示す。
【0050】
このコルゲートカッター21a(および21)は、複数の歯部30、30…が放射状に突設される形を成し、放射状に突設した各歯部30、30…の頂部31および底部31aによって、図1に示したように帯状薄板11に所定間隔をもって屈曲部12と歪み調整部12cを連続して形成するとともに、各歯部30、30…の側面32に形成した複数の切り起こし刃33、33…および33a、33a…によって各平坦部13、13…にルーバー14、14…および15、15…を切り起こすようになっている。
【0051】
このとき、切り起こし刃33、33…および33a、33a…の形成方向は、頂部31(または底部31a)を境として両側に位置する側面32、32で、コルゲートカッター21aの厚さT方向に対して互いに逆方向に形成される。
【0052】
また、コルゲートカッター21aと、これと対を成すコルゲートカッター21とは対応する形状に形成され、これら両コルゲートカッター21、21aのうち一方の頂部31が他方の底部31aに噛合し、かつ、一方の切り起こし刃33、33aが他方の切り起こし刃33、33aに咬み合ってルーバー14、15を切り起こし成形できるようになっている。
【0053】
加えて、コルゲートカッター21、21aの端面30aから1つめの各切り起こし刃33、33a間での距離が、ルーバー14、15を配設する間隔の1/2分異なっている。
【0054】
さらに、歯部30の頂部31には、コルゲートカッター21、21aの厚さ方向Tに延びる円弧状の凹溝35が形成されている。そして、この凹溝35と咬合するように、歯部30の底部31aには、突部36がコルゲートカッター21、21aの厚さ方向Tに延びている。
【0055】
凹溝35と凸部36で熱交換器用フィン10に歪み調整部12cを設けることができる。
【0056】
以上のことから、帯状薄板の幅方向の一端から1つめのルーバーまでの距離がルーバーを配設する間隔の略1/2分異なり、その他のルーバーも1/2分異なるので、ルーバーを切り起こす際に屈曲部に発生する捻転モーメントが均等に分散されるので、屈曲部に発生する歪み量を小さくすることができる。
【0057】
これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性を確保することができる。したがって、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
【0058】
屈曲部の外周側から内周側に向かって突出された円弧状の歪み調整部によって、屈曲部の機械的強度が向上するので、ルーバーを切り起こす際に発生する捻転モーメントによって生じる屈曲部の歪み量を軽減することができる。
【0059】
これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性をさらに改善することができる。したがって、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
【0060】
屈曲部が十分な機械的強度を備えるために必要となる屈曲部の長さが明確になるため、歪み調整部を形成することによる製造コストの増大を防止することができる。
【0061】
コルゲートカッターを回転して熱交換器用フィンを形成する際に、放射状に突設した歯部の頂部および底部に歪み調整部形成部が形成されているため、頂部および底部によって帯状薄板に屈曲部が形成されると同時に、その屈曲部にフィンの湾曲を矯正する歪み調整部が形成されるので、フィンの湾曲を防止する工程をコルゲート成形工程と同一工程で達成することができ、熱交換器用フィンの生産性を向上することができる。
【0062】
また、コルゲートカッターを交換するだけで従来の製造装置に対応させることができるので、製造コストの増大を防止することができる。
【0063】
なお、参考例では、屈曲部12の外周側12aから内周側12bに向かって円弧状に突設され、断面が略U字形状を備えた歪み調整部が設けられているが、断面が略M字形状、略台形形状など、屈曲部12の機械的強度を向上させる断面形状を設けることで同様の効果を得ることができる。
【0064】
(一実施形態)
図9、図10は本発明の熱交換器用フィンおよび熱交換器用フィンを形成するコルゲートカッターの一実施形態を示し、図9は熱交換器用フィンの一部を示す斜視図、図10はコルゲートカッターを示す斜視図である。
【0065】
図7に示されるように、一実施形態の熱交換器用フィン10は、参考例と同様に、アルミニウムを材質とする帯状薄板11を屈曲部12と平坦部13とを交互に形成して連続する波形形状として構成し、対向する各平坦部13、13…に帯状薄板11の長さ方向Yに沿って切り起こした複数のルーバー14、14…および15、15…を帯状薄板11の幅方向Xに並設して形成される。
【0066】
また、参考例と同様に、ルーバー14とルーバー15は1/2ピッチずつずれて配設されている。
【0067】
本実施形態と参考例との相違点は、参考例では、屈曲部12に断面略U字形状の円弧状の歪み調整部を具備していたが、本実施形態では、平面状の屈曲部12に内面側12bから外面側12aに向かって突設されたエンボス101が複数具備されている点である。
【0068】
エンボス101は、各ルーバー14、15を切り起こす際に発生する捻転モーメントが屈曲部12に強く作用する部位に配設されている。これにより、歪み応力に対する屈曲部12の機械的強度を向上し、歪み変形の発生を防止している。
【0069】
次に、熱交換機用フィン10の製造装置20について説明する。本実施形態の熱交換器用フィン10は、参考例と同様に、図7に示される製造工程を経て形成される。
【0070】
本実施形態と参考例との相違点は、参考例の製造装置では、図8に示されるようなコルゲートカッター21′、21a′を使用して熱交換機用フィンを成形していたが、本実施形態では、図10に模した図として示されるようなコルゲートカッター21′、21a′を使用して熱交換機用フィン10を成形している点である。
【0071】
参考例と同様に、コルゲートカッター21′、21a′は一方が雄型、他方が雌型として互いに噛み合う構造となっている。
【0072】
このコルゲートカッター21a、21は、複数の歯部30、30…が放射状に突設され、この放射状に突設した各歯部30、30…の頂部31および底部31aによって、図9に示されるように、帯状薄板11に所定間隔をもって屈曲部12を連続して形成するとともに、各歯部30、30…の側面32に形成した複数の切り起こし刃33、33…および33a、33a…によって各平坦部13、13…にルーバー14、14…および15、15…を切り起こすようになっている。
【0073】
このとき、切り起こし刃33、33…および33a、33a…の形成方向は、頂部31(または底部31a)を境として両側に位置する側面32、32で、コルゲートカッター21aの厚さT方向に対して互いに逆方向に形成される。
【0074】
また、コルゲートカッター21a′と、これと対を成すコルゲートカッター21′とは略同様の形状に形成され、これら両コルゲートカッター21′、21a′のうち一方の頂部31が他方の底部31aに噛合し、かつ、一方の切り起こし刃33、33aが他方の切り起こし刃33、33aに咬み合ってルーバー14、15を切り起こし成形できるようになっている。
【0075】
加えて、コルゲートカッター21′、21a′の端面30aから1つめの各切り起こし刃33、33a間での距離が、ルーバーを配設する間隔の1/2分異なっている。
【0076】
また、図10に示されるように、コルゲートカッター21′、21a′の頂部31に凸部101と、底部31aに凹部102とが具備されている。
【0077】
これにより、波形形状成形工程で両カッター21′、21a′の一方の凸部101と他方の凹部102との間に帯状薄板11が挟圧されることにより、屈曲部12の成形と同時にエンボス101が成形されるようになっている。
【0078】
なお、本実施形態における熱交換器用フィンの製造装置の別態様として、コルゲートカッター21′、21a′の代わりにプレス型40を使用しても良い。
【0079】
以上のことから、帯状薄板の幅方向の一端から1つめのルーバーまでの距離がルーバーを配設する間隔の略1/2分異なることで、ルーバーを切り起こす際に屈曲部に発生する捻転モーメントが均等に分散されるので、屈曲部に発生する歪み量を小さくすることができる。
【0080】
これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性を確保することができる。したがって、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
【0081】
各ルーバーを切り起こす際に発生する歪み応力が強く作用する部位に凸状のエンボスが配設されることにより、歪み応力に対する屈曲部の機械的強度が改善され、歪み変形の発生を防止することができる。
【0082】
これにより、熱交換器用フィンがその長さ方向に湾曲するのを矯正して直状性をさらに改善することができる。したがって、組付け機に余分な工夫を施すことなく熱交換器に簡単かつ精度良い組付けを行って量産化が可能となる。
【0083】
コルゲートカッターを回転して熱交換器用フィンを形成する際に、放射状に突設した歯部の頂部および底部に歪み調整部が形成されているため、頂部および底部によって帯状薄板に屈曲部が形成されると同時に、その屈曲部にフィンの湾曲を矯正する歪み調整部が形成されるので、フィンの湾曲を防止する工程をコルゲート成形工程と同一工程で達成することができ、熱交換器用フィンの生産性を向上することができる。
【0084】
また、コルゲートカッターを交換するだけで従来の製造装置に対応させることができるので、製造コストの増大を防止することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、屈曲部12の内周側12bから外周側12aに向かって突出するようにエンボス101が設けられているが、屈曲部12の外周側12aから内周側12bに向かって突出するようにエンボスを設けても同様の効果を得ることができる。
【0086】
プレス型を用いて熱交換器用フィンを形成する際に、放射状に突設した歯部の頂部および底部に歪み調整部形成部が形成されているため、頂部および底部によって帯状薄板に屈曲部が形成されると同時に、その屈曲部にフィンの湾曲を矯正する歪み調整部が形成されるので、フィンの湾曲を防止する工程をプレス成形工程と同一工程で達成することができ、熱交換器用フィンの生産性を向上することができる。
【0087】
また、プレス型を交換するだけで従来の製造装置に対応させることができるので、製造コストの増大を防止することができる。
【0088】
なお、本発明を一実施形態に例をとって説明したが、本実施形態に限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種実施形態を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例における熱交換器用フィンの一部を示す斜視図。
【図2】 図1中A−A線に沿った拡大断面図。
【図3】 本発明の参考例における熱交換器用フィンの要部展開図。
【図4】 図3中B部の拡大図。
【図5】 (a)は、ずれ量の定義を示す概要図、(b)は、屈曲部長さと撓み量の定義を示す要部断面図。
【図6】 屈曲部の撓み量とずれ量との関係を示した図。
【図7】 本発明の参考例における熱交換器用フィンの成形工程を示す概略図。
【図8】 本発明の参考例におけるコルゲートカッターを示す斜視図。
【図9】 本発明の一実施形態における熱交換器用フィンの一部を示す斜視図。
【図10】 本発明の一実施形態におけるコルゲートカッターを示す斜視図。
【図11】 従来の熱交換器用フィンの一部を示す斜視図。
【図12】 従来の熱交換器用フィンの要部拡大斜視図。
【図13】 従来の熱交換器用フィンの湾曲状態を示す斜視図。
【符号の説明】
10 熱交換器用フィン
11 帯状薄板
12 屈曲部
13 平坦部
14、15 ルーバー
14a、15a 切り起こし部
14a′、15a′ 切り起こし部
21、21a コルゲートカッター
30 歯部
31 頂部
31a 底部
33、33a 切り起こし刃
101、102 エンボス(歪み調整部)
Claims (7)
- 帯状薄板(11)を屈曲部(12)と平坦部(13)とを交互に形成して連続する略波形形状とし、各平坦部(13)に帯状薄板(11)の長さ方向(Y)に沿って所定間隔(P)ごとに切り起こした複数のルーバー(14、15)を帯状薄板(11)の幅方向(X)に並設した熱交換器用フィン(10)において、
前記屈曲部(12)を挟んで対向する前記平坦部(13)の一方に形成されるルーバー(14)の切り起こし方向と、前記平坦部(13)の他方に形成されるルーバー(15)の切り起こし方向とが相互に逆方向に形成され、
前記屈曲部(12)を介して設けられるルーバー(14)とルーバー(15)は、幅方向(X)について異なる位置に設けられ、
前記屈曲部(12)の隣接する前記平坦部(13)近傍、且つ同一平坦部(13)上で隣合うルーバー(14、14)の境界部分に突設するエンボス(100)を設けたことを特徴とする熱交換器用フィン。 - 請求項1に記載の熱交換器用フィン(10)において、
前記ルーバー(14、15)は幅方向(X)について略1/2異なることを特徴とする熱交換器用フィン。 - 請求項2に記載の熱交換器用フィン(10)において、
前記屈曲部(12)を外周側から内周側に向かって湾曲させて、幅方向に沿って延びる略U字形状に成形したことを特徴とする熱交換器用フィン。 - 請求項3に記載の熱交換器用フィン(10)において、
略U字形状の形成部は、帯状薄板(11)の長さ方向(Y)に沿った屈曲部(12)の距離(L0)と屈曲部(12)の撓み量(H0)との間に式(1)の関係が成立することを特徴とする熱交換器用フィン。
H0>L0/10 ・・・ (1) - 請求項1または、請求項2に記載の熱交換器用フィン(10)において、
前記ルーバー(14、15)を切り起こす際に、前記屈曲部(12)に発生する歪み応力が強く作用する部位に、波形形状の屈曲部内周面から外周面に向かって突出する前記エンボスを設けたことを特徴とする熱交換器用フィン。 - 請求項1または、請求項2に記載の熱交換器用フィン(10)において、 前記ルーバー(14、15)を切り起こす際に、前記屈曲部(12)に発生する歪み応力が強く作用する部位に、波形形状の屈曲部外周面から内周面に向かって突設する前記エンボスを設けたことを特徴とする熱交換器用フィン。
- コルゲートカッター(21、21a)に放射状に突設した各歯部(30)の頂部(31)および底部(31a)によって、帯状薄板(11)に所定間隔をもって屈曲部(12)を連続して形成するとともに、前記歯部(30)の側面に形成した複数の切り起こし刃(33、33a)によって前記帯状薄板(11)の平坦部(13)に帯状薄板(11)の長さ方向(Y)に延び、かつ、帯状薄板(11)の幅方向(X)に並設される複数のルーバー(14、15)を切り起こして波形形状の熱交換器用フィン(10)を形成する熱交換器用フィン製造装置(20)において、
前記屈曲部(12)を挟んで対向する前記平坦部(13)の一方に形成されるルーバー(14)の切り起こし方向と、前記平坦部(13)の他方に形成されるルーバー(15)の切り起こし方向とが相互に逆方向に形成され、
前記頂部(31)の隣接する前記切り起こし刃(33,33a)近傍、および前記底部(31a)の隣接する前記切り起こし刃(33,33a)近傍のそれぞれに、フィンの湾曲を矯正する歪み調整部(100)を形成するための屈曲部形成手段(101、102)を設けたことを特徴とする熱交換器用フィン製造装置。
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