JP4097749B2 - 接触酸化用触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、炭化水素の接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行って含酸素有機化合物を製造するときの触媒として好適に用いることができる接触酸化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、接触気相酸化反応(部分酸化反応)用の触媒としては、耐熱性の無機担体に触媒活性成分を担持してなる担持型触媒が工業的に一般に用いられている。該担体としては、熱的および化学的に安定で反応を阻害せず、かつ触媒活性成分とも反応しない材質が好ましく、反応生成熱を系外に放出することによって反応場の温度を一定に保つことができるように、熱伝導性により優れた材質がさらに好ましい。
【0003】
これら条件を満たす材質としては、高純度の炭化珪素の自焼結体が好適であり、該自焼結体は、従来より実用触媒の担体として種々利用されている。例えば、特開昭62−78号公報には、上記自焼結体に触媒活性成分を担持してなる触媒を用いてベンゼンから無水マレイン酸を製造する方法が開示されており、特開昭61−28456号公報には、1,2,4,5−テトラメチルベンゼンから無水ピロメリット酸を合成するための触媒として、上記自焼結体に触媒活性成分を担持してなる触媒が開示されており、特開昭64−63563号公報には、トルエンからベンゾニトリルを合成するための触媒の担体として上記自焼結体が好ましいことが開示されている。
【0004】
ところが、炭化珪素は焼結温度が非常に高いため、焼成して自焼結体である成形体を得るためには、例えば電気等のエネルギを多量に使用しなければならない。しかも、炭化珪素の焼成は、窒素ガス等の不活性ガスを用いた非酸化雰囲気下で行わなければならない。従って、炭化珪素の自焼結体は、電気代等の各種費用が嵩むため、高価なものとなっている。
【0005】
ところで、ステアタイト等の鉱物は焼結温度が比較的低く、かつ酸化雰囲気下での焼成が可能である。従って、該鉱物の自焼結体は、安価に製造することができる。しかしながら、該鉱物の自焼結体は、化学的な安定性および熱伝導性が炭化珪素の自焼結体よりも劣っている。
【0006】
そこで、炭化珪素を用いた安価な担体として、特開平9−85096号公報には、炭化珪素と、無機結合成分として二酸化珪素およびムライトとを用いてなる担体の製造方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
炭化珪素と、無機結合成分として二酸化珪素およびムライトとを用いてなる担体は、炭化珪素が備える優れた熱伝導性を備えており、かつ、所望の形状の成形体を得ることができる。しかしながら、該担体は、経時的な性能の変化が大きい。それゆえ、該担体を用いてなる上記従来の接触酸化用触媒は、触媒活性を経時的に安定して発揮することができないという問題点を有している。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、安価であり、経時劣化を招来せず、触媒活性を経時的に安定して発揮することができる接触酸化用触媒を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、接触酸化用触媒について鋭意検討した。その結果、炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる接触酸化用触媒が、安価であり、経時劣化を招来せず、触媒活性を経時的に安定して発揮することができると共に、優れた初期性能を示すことを見い出した。また、該接触酸化用触媒を用いて、例えば、炭化水素の接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行うことにより、目的物である含酸素有機化合物の収率並びに選択率が向上することを確認して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、請求項1記載の発明の接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明の接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の接触酸化用触媒において、上記無機結合成分が、二酸化珪素およびムライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物であることを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の発明の接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の接触酸化用触媒において、上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計量100重量部に対して、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を0.1重量部〜2重量部の範囲内で含んでいることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の発明の接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1、2または3記載の接触酸化用触媒において、上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計を100重量%として、炭化珪素を70重量%〜95重量%の範囲内、無機結合成分としての二酸化珪素を20重量%〜3重量%の範囲内、無機結合成分としてのムライトを10重量%〜2重量%の範囲内で含んでいることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明の接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4記載の接触酸化用触媒において、上記担体におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%以下であり、かつ、該担体の気孔率が16%〜35%の範囲内であり、比表面積が0.02m2 /g以上、0.3m2 /g以下であることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、安価であり、経時劣化を招来せず、触媒活性を経時的に安定して発揮することができると共に、優れた初期性能を示す接触酸化用触媒を提供することができる。そして、該接触酸化用触媒を用いて、例えば、炭化水素の接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行うことにより、目的物である含酸素有機化合物の収率並びに選択率を向上させることができる。上記の接触酸化用触媒を構成する担体は、従来用いられている炭化珪素の自焼結体と比較して、その製造コストが極めて低い。従って、上記の担体を用いることにより、接触酸化用触媒を安価に製造することができるので、経済効果が大きく、産業上極めて有効である。
【0016】
また、請求項6記載の発明の、ベンゼンから無水マレイン酸を製造するための接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の接触酸化用触媒において、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウム並びにモリブデン酸化物としての三酸化モリブデンを含むと共に、五酸化リンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることを特徴としている。
【0017】
請求項7記載の発明の、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造するための接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の接触酸化用触媒において、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、リンと、モリブデンおよび/またはタングステンと、アンチモン、銀、ホウ素、クロム、セリウム、ニオブおよび硫黄からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とをさらに含んでいることを特徴としている。
【0018】
請求項8記載の発明の、アンモ酸化によってアルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造するための接触酸化用触媒は、上記の課題を解決するために、請求項1〜5の何れか1項に記載の接触酸化用触媒において、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、二酸化チタン、二酸化珪素、アルミナ、珪藻土、チタンと珪素とを含む二元系複合酸化物、チタンとジルコニウムとを含む二元系複合酸化物、および、チタンと珪素とジルコニウムとを含む三元系複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の(複合)酸化物と、モリブデン、タングステン、クロム、アンチモン、ビスマス、リン、ニオブ、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンおよび銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることを特徴としている。
【0019】
さらに、請求項9記載の発明の無水マレイン酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の接触酸化用触媒を用いてベンゼンから無水マレイン酸を製造することを特徴としている。
【0020】
請求項10記載の発明の無水ピロメリット酸の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項7記載の接触酸化用触媒を用いて1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造することを特徴としている。
【0021】
請求項11記載の発明の芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項8記載の接触酸化用触媒を用いたアンモ酸化によって、アルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造することを特徴としている。
【0022】
上記の方法によれば、目的物である無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、芳香族ニトリル、複素環ニトリルを、高収率並びに高選択率で製造することができる。
【0023】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明にかかる接触酸化用触媒は、主成分である炭化珪素と、該炭化珪素同士を結合する無機結合成分と、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物(以下、酸化物Aと記す)とを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる。尚、本発明において、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物には、焼成されることによって酸化物を形成する塩も含まれることとする。
【0025】
上記の無機結合成分としては、二酸化珪素(シリカ)およびムライト(Al2 3 ・SiO2 )からなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0026】
本来、担体に求められる特性としては、(1) 熱的、化学的に安定であること、(2) 反応を阻害せず、また、触媒活性成分とも反応しないこと、(3) 反応生成熱を系外に放出し、反応場の温度を一定に保つために、熱伝導率の高いことである。
【0027】
これに対し、本発明にかかる担体は、上記特性を全て兼ね備えている。本発明において担体の主要成分として用いられる炭化珪素は、熱的、化学的に安定であり、熱伝導率が高く、しかも、反応を阻害せず、触媒活性成分とも反応しない化合物である。そして、上記の無機結合成分は、無機結合材を焼成してなり、上記炭化珪素の熱伝導率を維持しながら、成形性を向上させることができる。しかも、本発明によれば、上記無機結合成分中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属の影響による接触酸化用触媒の経時的な性能変化を抑制することができる。
【0028】
上記担体を用いることでアルカリ金属やアルカリ土類金属の影響による接触酸化用触媒の経時的な性能変化を抑制することができる理由としては、定かではないが、上記担体中に含まれる上記の酸化物Aが、上記無機結合成分中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属と反応することにより、上記アルカリ金属やアルカリ土類金属と、上記担体が担持する触媒活性成分との反応を抑え、接触酸化用触媒の劣化を抑制することができるためではないかと考えられる。
【0029】
本発明において、上記担体における炭化珪素および無機結合成分の配合量、つまり、炭化珪素と無機結合成分との重量比は、特に限定されるものではないが、炭化珪素および無機結合成分の合計を100重量%として、炭化珪素を70重量%〜95重量%の範囲内、より好ましくは80重量%〜87重量%の範囲内、無機結合成分としての二酸化珪素を20重量%〜3重量%の範囲内、より好ましくは15重量%〜9重量%の範囲内、無機結合成分としてのムライトを10重量%〜2重量%の範囲内、より好ましくは5重量%〜4重量%の範囲内となるように設定されていることが望ましい。
【0030】
上記炭化珪素の割合が70重量%よりも少ない場合、つまり、二酸化珪素の割合が20重量%よりも多いか、或いは、ムライトの割合が10重量%よりも多い場合には、熱伝導性が低くなり、反応生成熱を系外に放出し、反応場の温度を一定に保つことが困難となるおそれがある。一方、上記炭化珪素の割合が95重量%を越える場合、つまり、二酸化珪素の割合が3重量%よりも少ないか、或いは、ムライトの割合が2重量%よりも少ない場合には、上記炭化珪素に対する無機結合成分である二酸化珪素およびムライトの重量比が小さくなりすぎ、成形性を充分に付与することができず、この結果、焼結温度を充分に下げることができなくなるおそれがある。
【0031】
上記炭化珪素および無機結合成分の合計量100重量部に対する上記酸化物Aの重量比は、特に限定されるものではないが、0.1重量部〜2重量部の範囲内となるように設定されていることが好ましく、0.5重量部〜1.5重量部の範囲内となるように設定されていることがさらに好ましい。
【0032】
上記炭化珪素および無機結合成分の合計量に対する酸化物Aの重量比が0.1重量部よりも少なければ、上記担体中のアルカリ金属やアルカリ土類金属の影響による接触酸化用触媒の経時的な性能変化を充分に抑制することができなくなるおそれがある。一方、上記炭化珪素および無機結合成分の合計量に対する酸化物Aの重量比が2重量部を越える場合には、上記担体を用いた接触酸化用触媒の性能に悪影響を与え、目的物質の選択率を下げるおそれがあるので好ましくない。尚、上記担体が酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンのうちの二種類以上を酸化物Aとして含んでいる場合における、これら酸化物の重量比は、特に限定されるものではない。
【0033】
また、上記担体は、上記アルカリ金属やアルカリ土類金属の影響による接触酸化用触媒の経時的な性能変化を抑制するため、上記担体中におけるアルカリ金属とアルカリ土類金属との全含有量が、0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましく、0.1重量%以下であることが特に好ましい。上記アルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%を越えると、酸化物Aを添加したとしても、上記担体を用いた接触酸化用触媒の経時的な性能変化を抑制することが困難となるおそれがある。
【0034】
本発明にかかる上記担体は、炭化珪素に、該炭化珪素同士を結合する無機結合成分となる無機結合材と、酸化物A、即ち、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物または焼成されることによって酸化物を形成する塩とを配合することによって、容易に得ることができる。より具体的には、上記担体は、炭化珪素と、無機結合材と、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物または焼成されることによって酸化物を形成する塩とを混合・成形した後、得られる混合成形物を焼成することによって得ることができる。
【0035】
本発明において、上記担体の原料として用いられる上記の無機結合材としては、特に限定されるものではないが、粘土が炭化珪素を比較的低温で焼結させることができることから、粘土を少なくとも含んでいることが好ましい。また、上記の粘土としては、具体的には、木節粘土および蛙目粘土が挙げられる。これら粘土は、焼成により、前述した無機結合成分である二酸化珪素およびムライトに変化する。本発明によれば、上記炭化珪素と無機結合材とを混合すること、即ち、上記担体が無機結合成分を含むことで、成形性を向上させることができ、焼成温度を下げることができる。
【0036】
本発明において使用される上記の粘土としては、上記担体に必要とされる前記の特性を満足させるため、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が2重量%以下の粘土、具体的には、木節粘土および/または蛙目粘土を用いることが好ましい。これは、炭化珪素にはアルカリ金属およびアルカリ土類金属は殆ど含まれていないが、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が2重量%を越える粘土を使用すると、焼成後に得られる担体中のアルカリ金属、アルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%を越えてしまうおそれがあるためである。
【0037】
また、本発明において、上記の無機結合材は、コロイダルシリカをさらに含んでいることがより好ましい。上記の無機結合材がコロイダルシリカをさらに含むことで、より低い温度で、上記混合成形物を焼成(焼結)させることができる。
【0038】
上記無機結合材がコロイダルシリカをさらに含む場合において、担体中に含まれるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量を0.5重量%以下に抑えるために、上記コロイダルシリカとしては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.1重量%以下のものが好ましく、0.01重量%以下のものがさらに好ましい。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.1重量%を越えるコロイダルシリカを使用すると、焼成後に得られる担体中のアルカリ金属、アルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%を越えてしまうおそれがあるので好ましくない。
【0039】
以上のことから、上記担体を製造する際には、具体的には、炭化珪素70重量部〜95重量部に対して、無機結合材として、アルカリ金属とアルカリ土類金属との全含有量が2重量%以下の粘土25重量部〜4重量部、およびアルカリ金属とアルカリ土類金属との全含有量が0.1重量%以下のコロイダルシリカ0重量部〜5重量部を、これらの合計量が100重量部となるように用いることが好ましい。上記炭化珪素並びに無機結合材を、炭化珪素と無機結合材との重量比が上記の範囲内となるように用いることで、炭化珪素の熱伝導性を残しながら、粘土により成形性を上げ、焼成温度を下げることができる。
【0040】
また、本発明において、担体の原料として用いられる上記の酸化物Aは、前述したように、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、該酸化物Aは、1200℃〜1500℃の焼成温度においても殆ど飛散しない酸化物である。また、焼成されることによって酸化物を形成する塩としては、具体的には、例えば、ニオブやアンチモン、タングステンの、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、塩化物、フッ化物等の無機塩;酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機塩;等が挙げられる。
【0041】
上記酸化物Aの使用量(配合量)は、炭化珪素と無機結合材との合計量100重量部に対し、0.1重量部〜2重量部の範囲内であることが好ましく、0.5重量部〜1.0重量部の範囲内であることがさらに好ましく、0.8重量部〜1.0重量部の範囲内であることが特に好ましい。上記酸化物Aの使用量が0.1重量部よりも少なければ、安定した触媒性能を示す接触酸化用触媒の担体として好適な担体を得ることができなくなるおそれがある。一方、上記酸化物Aの使用量が2重量部を越えると、得られる担体を用いた接触酸化用触媒の性能に悪影響を与え、目的物質の選択率を下げるおそれがあるので好ましくない。
【0042】
また、上記酸化物Aとして、焼成されることによって酸化物を形成する塩を用いる場合には、該塩の使用量(配合量)は、炭化珪素と無機結合材との合計量100重量部に対し、酸化物換算で、0.1重量部〜2重量部の範囲内であることが好ましく、0.5重量部〜1.0重量部の範囲内であることがさらに好ましく、0.8重量部〜1.0重量部の範囲内であることが特に好ましい。
【0043】
上記炭化珪素および無機結合材に酸化物Aを混合する場合、或いは、焼成されることによって酸化物を形成する塩を混合する場合の何れの場合であっても、上記酸化物Aまたは上記塩は、得られる担体中の炭化珪素および無機結合成分の合計量100重量部に対する上記酸化物Aの重量比が、前述の範囲内となるように設定すればよい。
【0044】
本発明において、上記炭化珪素、無機結合材、並びに、酸化物Aまたは焼成されることによって酸化物を形成する塩を混合する際の混合方法は、特に限定されるものではなく、また、その混合の順番も特に限定されない。また、上記の混合物を成形する際の成形方法も特に限定されるものではなく、例えば、押出成形法やシート状材料を巻き固める方法等、従来公知の種々の方法を採用することができる。
【0045】
このようにして得られる混合成形体の形状、即ち、製造すべき担体の形状は、特に限定されるものではない。上記混合成形体は、例えば、球状、ペレット状、リング状(筒状)等、用途に応じて種々の形状に形成すればよいが、接触酸化用触媒の反応熱の拡散および除去が容易な形状に形成することが望ましい。
【0046】
上記混合成形物を焼成する際の焼成温度は、1200℃〜1500℃の範囲内に設定することが好ましく、1250℃〜1350℃の範囲内に設定することがさらに好ましく、1300℃〜1320℃の範囲内に設定することが特に好ましい。上記焼成温度が1200℃未満の場合、焼成が進行せず、充分な強度を有する担体が得られないおそれがある。一方、焼成温度が1500℃を越えると、気孔率が小さくなると共に、上記の酸化物Aが焼成中に飛散するおそれがあるので好ましくない。
【0047】
また、焼成時間は、焼成温度や、上記混合成形物の組成や大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。上記の焼成は、大気中で行ってもよいし、酸化雰囲気中で行ってもよい。
【0048】
このようにして得られる上記担体の気孔率は、16%〜35%の範囲内であることが好ましく、16%〜30%の範囲内であることがより好ましく、16%〜20%の範囲内であることが特に好ましい。上記の気孔率が35%よりも多ければ、担体表面での反応が生じるおそれがあるので、触媒性能にとって好ましくない。一方、上記の気孔率が16%よりも少なければ、担持された触媒活性成分が剥離し易くなる。
【0049】
また、上記担体の比表面積は、0.02m2 /g以上、0.3m2 /g以下であることが好ましく、0.02m2 /g以上、0.2m2 /g以下であることがさらに好ましい。上記の比表面積が0.3m2 /gを越えると、担体表面での反応が生じるおそれがあり、触媒性能にとって好ましくない。また、上記担体の比表面積が0.02m2 /g未満であれば、担体表面の気孔率が小さくなり、担持された触媒活性成分が剥離し易くなる。上記担体の比表面積が上記範囲内にあれば、触媒性能を充分に発揮させることができる。
【0050】
さらに、上記担体の圧環荷重は、8kg以上であることが好ましく、10kg以上であることがさらに好ましく、12kg以上であることが特に好ましい。上記圧環荷重が8kg未満であれば、担体が破損し易く、長期間に渡って繰り返し使用することができなくなるので好ましくない。
【0051】
以上のようにして得られる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物(以下、酸化物Bと記す)を触媒活性成分として担持することにより、本発明にかかる接触酸化用触媒が製造される。
【0052】
上記担体に担持されるべき触媒活性成分がバナジウム酸化物およびモリブデン酸化物のうちの二種類以上を酸化物Bとして含んでいる場合における、これら酸化物の重量比は、特に限定されるものではない。
【0053】
本発明にかかる接触酸化用触媒は、例えば、炭化水素の接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行って含酸素有機化合物を製造するときの触媒として好適に用いることができる。より具体的には、本発明にかかる接触酸化用触媒は、ベンゼンから無水マレイン酸を製造する接触気相酸化反応、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼン(デュレン)から無水ピロメリット酸を製造する接触気相酸化反応、アルキル置換芳香族炭化水素から芳香族ニトリルを製造する接触気相酸化反応(アンモ酸化)、および、アルキル置換複素環化合物から複素環ニトリルを製造する接触気相酸化反応(アンモ酸化)に好適に用いることができる。
【0054】
そして、ベンゼンから無水マレイン酸を製造する場合においては、接触酸化用触媒は、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウム並びにモリブデン酸化物としての三酸化モリブデンを含むと共に、五酸化リンと、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることが好ましい。上記の触媒活性成分における各成分の重量比、即ち、触媒活性成分の組成は、特に限定されるものではない。
【0055】
上記の触媒活性成分を含む接触酸化用触媒を用いて、ベンゼンの接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行うことにより、無水マレイン酸を、高収率並びに高選択率で製造することができる。
【0056】
デュレンから無水ピロメリット酸を製造する場合においては、接触酸化用触媒は、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、リンと、モリブデンおよび/またはタングステンと、アンチモン、銀、ホウ素、クロム、セリウム、ニオブおよび硫黄からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とをさらに含んでいることが好ましい。上記の触媒活性成分における各成分の重量比、即ち、触媒活性成分の組成は、特に限定されるものではない。
【0057】
上記の触媒活性成分を含む接触酸化用触媒を用いて、デュレンの接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行うことにより、無水ピロメリット酸を、高収率並びに高選択率で製造することができる。
【0058】
アルキル置換芳香族炭化水素から芳香族ニトリルを製造する場合、並びに、アルキル置換複素環化合物から複素環ニトリルを製造する場合においては、接触酸化用触媒は、触媒活性成分として、二酸化チタン(チタニア)、二酸化珪素、アルミナ、珪藻土、チタンと珪素とを含む二元系複合酸化物、チタンとジルコニウムとを含む二元系複合酸化物、および、チタンと珪素とジルコニウムとを含む三元系複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の(複合)酸化物と、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、モリブデン、タングステン、クロム、アンチモン、ビスマス、リン、ニオブ、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンおよび銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることが好ましい。上記の触媒活性成分における各成分の重量比、即ち、触媒活性成分の組成は、特に限定されるものではない。
【0059】
上記の触媒活性成分を含む接触酸化用触媒を用いて、アルキル置換芳香族炭化水素の接触気相酸化反応(アンモ酸化)を行うことにより、芳香族ニトリルを、高収率並びに高選択率で製造することができる。また、該接触酸化用触媒を用いて、アルキル置換複素環化合物の接触気相酸化反応(アンモ酸化)を行うことにより、複素環ニトリルを、高収率並びに高選択率で製造することができる。
【0060】
上記構成の接触酸化用触媒の製造方法、つまり、担体に触媒活性成分を担持させる方法は、特に限定されるものではない。本発明にかかる接触酸化用触媒は、触媒活性成分を成形してなるいわゆる成形触媒であってもよく、極性を有する担体に触媒活性成分を含浸させてなるいわゆる含浸触媒であってもよく、担体表面に触媒活性成分をコーティングしてなるいわゆる担持触媒であってもよい。接触酸化用触媒の製造方法は、該接触酸化用触媒を用いる反応の種類や、反応プロセスの条件等に応じて、適宜選択すればよい。
【0061】
接触気相酸化反応においては、接触酸化用触媒の性能を向上させるために、該接触酸化用触媒の通風抵抗、並びに、触媒表面における反応熱の拡散・除去について考慮することが重要である。特に、接触酸化用触媒が担持触媒である場合においては、担体の例えば熱伝導性等の物性や、形状等が、該接触酸化用触媒の性能に大きな影響を及ぼす。それゆえ、担持触媒における担体は、球状またはリング形状(筒状)に成形されていることが好ましい。該担持触媒は、上記形状に成形された担体の表面に、水または有機溶媒に溶解してなる触媒活性成分の溶液(触媒活性成分が塩である場合)、或いは、水または有機溶媒に分散してなる触媒活性成分のスラリー(触媒活性成分が酸化物である場合)を担持させた後、必要に応じて、加熱処理、酸化処理または還元処理等を施すことにより、製造することができる。
【0062】
本発明にかかる接触酸化用触媒を接触気相酸化反応に用いる際には、該接触酸化用触媒を、炭素鋼製またはステンレス製の反応管に充填すればよい。また、該反応管は、反応熱を除去することによって反応温度を一定に調節することができるように、溶融塩等の熱媒によって或る一定温度に保温されていることが好ましい。接触気相酸化反応の反応条件等は、特に限定されるものではない。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1
ベンゼンから無水マレイン酸を製造するための接触酸化用触媒を調製した。
【0064】
先ず、炭化珪素、二酸化珪素、ムライトおよび酸化ニオブを重量比90:5:5:1の割合で含み、かつ、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素の全含有量(以下、アルカリ全含有量と記す)が重量比0.2未満である担体(1)を、1300℃で焼成することによって調製した。該担体(1)は、外径6.9mm、内径4.0mm、長さ7.0mmのリング形状(筒状)に形成した。担体(1)の気孔率は26.2%、比表面積は0.14m 2 /g、圧環荷重は10.0kgであった。担体(1)の組成並びに各種物性を、表1に示した。
【0065】
次に、純水1000mlに蓚酸250gを溶解してなる蓚酸水溶液に、該水溶液を充分に攪拌しながら、メタバナジン酸アンモニウム235g、モリブデン酸アンモニウム142g、硫酸セシウム2.91g、炭酸ナトリウム7.45g、硝酸銀20.5g、および第一リン酸アンモニウム4.62gをこの順に添加して溶解させた。これにより、触媒活性成分を含む水溶液を調製した。
【0066】
そして、外部から加熱することができる直径35cm、長さ80cmのステンレス製回転炉の内部に、上記担体(1)1.8kgを仕込み、200℃〜250℃に予熱した。次いで、回転炉を回転させながら、担体(1)100ml当たりの触媒活性成分の割合が18gとなるように、担体(1)上に上記の水溶液を噴霧して、該触媒活性成分を担持させた。その後、還元雰囲気下、500℃で8時間焼成することにより、触媒(O)を調製した。
【0067】
また、上記触媒(O)の調製時、つまり、水溶液の調製時において、炭酸ナトリウムの添加量を7.45gから8.52gに変更すると共に、硫酸セシウムの添加量を2.91gから0.727gに変更した以外は、上記の操作と同様の操作を行うことにより、触媒(P)を調製した。触媒(O)および触媒(P)における触媒活性成分の組成を、表2に示した。
【0068】
そして、上記の触媒(O)および触媒(P)を用いて、ベンゼンの接触気相酸化反応を行った。
【0069】
先ず、溶融塩浴に浸した内径25mm、長さ3.5mのステンレス製反応管に、触媒(P)を後段触媒として、下方に設けた反応ガス出口部から高さ1.5mまで充填した後、その上に、触媒(O)を前段触媒として高さ1mまで充填した。一方、空気に対して、ベンゼンを10g/Nm3 (空気)の割合で混合することにより、ベンゼン含有空気を調製した。該ベンゼン含有空気におけるベンゼンの濃度は、0.3容量%である。次いで、溶融塩浴の温度を430℃に調節した後、上方に設けた原料ガス入口部から上記反応管内に、該ベンゼン含有空気を空間速度(SV)1000Hr-1(標準状態)で15時間、供給することにより、触媒(O)および触媒(P)の活性化処理を行った。また、空気に対して、ベンゼンを50g/Nm3 (空気)の割合で混合することにより、原料ガスを調製した。
【0070】
活性化処理の終了後、溶融塩浴の温度を365℃に調節した後、原料ガス入口部から上記反応管内に、該原料ガスを空間速度(SV)2500Hr-1(標準状態)で供給することにより、ベンゼンの接触気相酸化反応を行った。反応温度は363℃であった。
【0071】
そして、反応ガス出口部から排出される反応ガスを分析することにより、無水マレイン酸の収率(重量%)と、ベンゼンの転化率(%)とを測定した。反応初期における該収率および転化率、並びに、反応開始から3カ月経過後における該収率および転化率を、表5に示した。
比較例1
実施例1において、酸化ニオブを用いない以外は、担体(1)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の担体である担体(4)を調製した。該担体(4)の組成並びに各種物性を、表1に示した。
【0072】
次に、実施例1において、担体(1)の代わりに、上記担体(4)を用いた以外は、触媒(O)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の触媒である触媒(Q)を調製すると共に、触媒(P)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の触媒である触媒(R)を調製した。触媒(Q)および触媒(R)における触媒活性成分の組成を、表2に示した。
【0073】
そして、上記の触媒(Q)および触媒(R)を用いて、ベンゼンの接触気相酸化反応を行った。即ち、触媒(R)を後段触媒とし、触媒(Q)を前段触媒として用いた以外は、実施例1の反応条件と同様の反応条件で以て、ベンゼンの接触気相酸化反応を行った。反応初期における無水マレイン酸の収率(重量%)およびベンゼンの転化率(%)、並びに、反応開始から3カ月経過後における該収率および転化率を、表5に示した。
実施例2
1,2,4,5−テトラアルキルベンゼン(デュレン)から無水ピロメリット酸を製造するための接触酸化用触媒を調製した。
【0074】
先ず、脱イオン水350mlに蓚酸56gを溶解してなる蓚酸水溶液に、メタバナジン酸アンモニウム28gを添加して溶解させた後、三酸化アンチモン10.5gを加えた。次いで、該水溶液に、BET(Brunauer-Emmett-Teller)式を採用して測定した比表面積が20m2 /gである酸化チタン(アナターゼ型酸化チタン)239gを添加し、充分に攪拌・混合した後、脱イオン水をさらに混合した。これにより、触媒活性成分を含むスラリー約900mlを調製した。
【0075】
そして、外部から加熱することができる直径35cm、長さ80cmのステンレス製回転炉の内部に、実施例1にて調製した担体(1)900gを仕込み、200℃〜250℃に予熱した。次いで、回転炉を回転させながら、担体(1)100g当たりの触媒活性成分の割合が5gとなるように、担体(1)上に上記のスラリーを噴霧して、該触媒活性成分を担持させた。その後、空気を流通させながら550℃で6時間焼成することにより、触媒(S)を調製した。
【0076】
一方、脱イオン水700mlに蓚酸240gを溶解してなる蓚酸水溶液に、メタバナジン酸アンモニウム120g、およびモリブデン酸アンモニウム18.1gを添加し、充分に攪拌して溶解させた。次いで、該水溶液に、第一リン酸アンモニウム3.54g、硝酸カルシウム4.85g、および、少量の脱イオン水に予め溶解させた硝酸銀8.71gを添加し、充分に攪拌して溶解させた後、炭化珪素のウィスカ20gを添加し、充分に攪拌・混合した。これにより、触媒活性成分を含むスラリー約900mlを調製した。
【0077】
そして、外部から加熱することができる直径35cm、長さ80cmのステンレス製回転炉の内部に、実施例1にて調製した担体(1)900gを仕込み、200℃〜250℃に予熱した。次いで、回転炉を回転させながら、担体(1)100g当たりの触媒活性成分の割合が5gとなるように、担体(1)上に上記のスラリーを噴霧して、該触媒活性成分を担持させた。その後、空気を流通させながら500℃で6時間焼成することにより、触媒(T)を調製した。触媒(S)および触媒(T)における触媒活性成分の組成を、表3に示した。
【0078】
そして、上記の触媒(S)および触媒(T)を用いて、デュレンの接触気相酸化反応を行った。
【0079】
先ず、395℃に調節された溶融塩浴に浸した内径25mm、長さ4mのステンレス製反応管に、触媒(T)を後段触媒として、下方に設けた反応ガス出口部から高さ1.7mまで充填した後、その上に、炭化珪素の自焼結体を1.5倍重量用いて1/2.5(重量比)に希釈した触媒(S)を前段触媒として高さ0.8mまで充填した。さらにその上に、平均直径8mmのデンストン担体(ノートン社製)を高さ0.5mまで充填した。一方、酸素ガス21容量%および窒素ガス79容量%からなる混合ガスに対して、デュレンを30g/Nm3 (混合ガス)の割合で混合することにより、原料ガスを調製した。
【0080】
次いで、上方に設けた原料ガス入口部から上記反応管内に、該原料ガスを空間速度(SV)6000Hr-1(標準状態)で供給することにより、デュレンの接触気相酸化反応を行った。反応温度は398℃であった。
【0081】
そして、反応ガス出口部から排出される反応ガスを分析することにより、無水ピロメリット酸の収率(モル%)を測定した。反応初期における該収率、並びに、反応開始から3カ月経過後における該収率を、表6に示した。尚、デュレンの転化率は、100%であった。従って、無水ピロメリット酸の選択率は、該無水ピロメリット酸の収率と等しいと見なすことができる。
比較例2
実施例2において、担体(1)の代わりに、比較例1にて調製した担体(4)を用いた以外は、触媒(S)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の触媒である触媒(U)を調製すると共に、触媒(T)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の触媒である触媒(V)を調製した。触媒(U)および触媒(V)における触媒活性成分の組成を、表3に示した。
【0082】
そして、上記の触媒(U)および触媒(V)を用いて、デュレンの接触気相酸化反応を行った。即ち、触媒(V)を後段触媒とし、触媒(U)を前段触媒として用いた以外は、実施例2の反応条件と同様の反応条件で以て、デュレンの接触気相酸化反応を行った。反応初期における無水ピロメリット酸の収率(モル%)、一酸化炭素ガスおよび二酸化炭素ガスの含有量(容量%)、並びに、反応開始から3カ月経過後における該収率および含有量を、表6に示した。
実施例3
アンモ酸化によってトルエン(アルキル置換芳香族炭化水素)からベンゾニトリル(芳香族ニトリル)を製造するための接触酸化用触媒を調製した。
【0083】
先ず、実施例1において、リング形状に形成する代わりに直径5mmの球状に形成した以外は、担体(1)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、担体(5)を調製した。該担体(5)の組成並びに各種物性を、表1に示した。
【0084】
次に、チタンおよび珪素からなる複合酸化物を調製した。即ち、チタン源として、TiOSO4 (TiO2 換算)250g/L、全H2 SO4 1100g/Lなる組成を有する硫酸チタニルの硫酸水溶液を用いた。そして、該硫酸水溶液153Lを水300Lに添加して希釈することにより、希釈硫酸水溶液を得た。一方、水400Lに25重量%アンモニア水280Lを混合した後、該水溶液に、珪素源として、スノーテックス−NCS−30(日産化学工業株式会社製、シリカゾルの含有量約30重量%(SiO2 換算))16.9kgを混合した。
【0085】
次いで、該混合物に、攪拌しながら上記の希釈硫酸水溶液を滴下することにより、TiO2 とSiO2 との共沈ゲルを生成させた。共沈ゲルの生成後、さらに15時間、静置(放置)した。得られた共沈ゲルを濾過して取り出し、水洗した後、200℃で10時間乾燥し、さらに、空気を流通させながら550℃で6時間焼成した。得られた粉体(以下、TS粉体と記す)の組成は、TiO2 :SiO2 =85:15(モル比)であり、BET式を採用して測定した比表面積は180m2 /gであった。
【0086】
次に、所定濃度・所定量の蓚酸水溶液にメタバナジン酸アンモニウム23.4gを添加し、充分に攪拌して溶解させることにより、蓚酸バナジウム水溶液を調製した。また、所定濃度・所定量の酒石酸水溶液に三酸化アンチモン51gを添加し、充分に攪拌して溶解させることにより、酒石酸アンチモン水溶液を調製した。次いで、上記の両水溶液を混合した後、上記のTS粉体400gを添加し、充分に攪拌・混合した。これにより、触媒活性成分を含むスラリーを調製した。
【0087】
そして、上記の担体(5)2Lを予熱した後、担体(5)100g当たりの触媒活性成分の割合が10gとなるように、つまり、担持率が10重量%となるように、該担体(5)上に上記のスラリーを噴霧して、該触媒活性成分を担持させた。その後、空気を流通させながら550℃で5時間焼成することにより、触媒(W)を調製した。触媒(W)における触媒活性成分の組成を、表4に示した。
【0088】
そして、上記の触媒(W)を用いて、トルエンの接触気相酸化反応、即ち、アンモ酸化を行った。
【0089】
先ず、所定温度に調節された溶融塩浴に浸した内径25mm、長さ5mのステンレス製反応管に、触媒(W)を、下方に設けた反応ガス出口部から高さ4mまで充填した。一方、トルエン3容量%、アンモニア6容量%、酸素ガス10容量%および窒素ガス81容量%からなる原料ガスを調製した。
【0090】
次いで、上方に設けた原料ガス入口部から上記反応管内に、該原料ガスを空間速度(SV)900Hr-1(標準状態)で供給することにより、トルエンの接触気相酸化反応、即ち、アンモ酸化を行った。反応温度は390℃であった。
【0091】
そして、反応ガス出口部から排出される反応ガスを分析することにより、ベンゾニトリルの収率(モル%)を測定した。反応初期における該収率、並びに、反応開始から6カ月経過後における該収率を、表7に示した。
比較例3
先ず、実施例3において、酸化ニオブを用いない以外は、担体(5)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、担体(6)を調製した。該担体(6)の組成並びに各種物性を、表1に示した。
【0092】
次に、実施例3において、担体(5)の代わりに、上記の担体(6)を用いた以外は、触媒(W)の調製時における操作と同様の操作を行うことにより、比較用の触媒である触媒(X)を調製した。触媒(X)における触媒活性成分の組成を、表4に示した。
【0093】
そして、上記の触媒(X)を用いて、トルエンのアンモ酸化を行った。即ち、触媒(X)を用いた以外は、実施例3の反応条件と同様の反応条件で以て、トルエンのアンモ酸化を行った。反応初期におけるベンゾニトリルの収率(モル%)、並びに、反応開始から6カ月経過後における該収率を、表7に示した。
【0094】
【表1】
Figure 0004097749
【0095】
【表2】
Figure 0004097749
【0096】
【表3】
Figure 0004097749
【0097】
【表4】
Figure 0004097749
【0098】
【表5】
Figure 0004097749
【0099】
【表6】
Figure 0004097749
【0100】
【表7】
Figure 0004097749
【0101】
上記実施例の結果並びに比較例の結果の対比から明らかなように、本発明にかかる接触酸化用触媒は、ベンゼンから無水マレイン酸を製造する接触気相酸化反応、デュレンから無水ピロメリット酸を製造する接触気相酸化反応、および、トルエンからベンゾニトリルを製造する接触気相酸化反応において、目的物である含酸素有機化合物の収率の低下や、副生物の増加等の経時劣化が認められず、従って、触媒活性を経時的に安定して発揮することができることが判った。また、本発明にかかる接触酸化用触媒は、担体に、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物Aを含んでいるので、目的物である含酸素有機化合物の収率並びに選択率を向上させることができることが判った。
【0102】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の接触酸化用触媒は、以上のように、炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる構成である。
【0103】
本発明の請求項2記載の接触酸化用触媒は、以上のように、上記無機結合成分が、二酸化珪素およびムライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物である構成である。
【0104】
本発明の請求項3記載の接触酸化用触媒は、以上のように、上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計量100重量部に対して、酸化ニオブ、酸化アンチモンおよび酸化タングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を0.1重量部〜2重量部の範囲内で含んでいる構成である。
【0105】
本発明の請求項4記載の接触酸化用触媒は、以上のように、上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計を100重量%として、炭化珪素を70重量%〜95重量%の範囲内、無機結合成分としての二酸化珪素を20重量%〜3重量%の範囲内、無機結合成分としてのムライトを10重量%〜2重量%の範囲内で含んでいる構成である。
【0106】
本発明の請求項5記載の接触酸化用触媒は、以上のように、上記担体におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%以下であり、かつ、該担体の気孔率が16%〜35%の範囲内であり、比表面積が0.02m2 /g以上、0.3m2 /g以下である構成である。
【0107】
上記の構成によれば、安価であり、経時劣化を招来せず、触媒活性を経時的に安定して発揮することができると共に、優れた初期性能を示す接触酸化用触媒を提供することができるという効果を奏する。そして、該接触酸化用触媒を用いて、例えば、炭化水素の接触気相酸化反応(部分酸化反応)を行うことにより、目的物である含酸素有機化合物の収率並びに選択率を向上させることができるという効果を奏する。
【0108】
また、本発明の請求項6記載の、ベンゼンから無水マレイン酸を製造するための接触酸化用触媒は、以上のように、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウム並びにモリブデン酸化物としての三酸化モリブデンを含むと共に、五酸化リンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいる構成である。
【0109】
本発明の請求項7記載の、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造するための接触酸化用触媒は、以上のように、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、リンと、モリブデンおよび/またはタングステンと、アンチモン、銀、ホウ素、クロム、セリウム、ニオブおよび硫黄からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とをさらに含んでいる構成である。
【0110】
本発明の請求項8記載の、アンモ酸化によってアルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造するための接触酸化用触媒は、以上のように、触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、二酸化チタン、二酸化珪素、アルミナ、珪藻土、チタンと珪素とを含む二元系複合酸化物、チタンとジルコニウムとを含む二元系複合酸化物、および、チタンと珪素とジルコニウムとを含む三元系複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の(複合)酸化物と、モリブデン、タングステン、クロム、アンチモン、ビスマス、リン、ニオブ、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンおよび銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいる構成である。
【0111】
さらに、本発明の請求項9記載の無水マレイン酸の製造方法は、以上のように、請求項6記載の接触酸化用触媒を用いてベンゼンから無水マレイン酸を製造する方法である。
【0112】
本発明の請求項10記載の無水ピロメリット酸の製造方法は、以上のように、請求項7記載の接触酸化用触媒を用いて1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造する方法である。
【0113】
本発明の請求項11記載の芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルの製造方法は、以上のように、請求項8記載の接触酸化用触媒を用いたアンモ酸化によって、アルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造する方法である。
【0114】
上記の方法によれば、目的物である無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、芳香族ニトリル、複素環ニトリルを、高収率並びに高選択率で製造することができるという効果を奏する。

Claims (10)

  1. 炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブとを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる接触酸化用触媒において、
    触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウム並びにモリブデン酸化物としての三酸化モリブデンを含むと共に、五酸化リンと、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることを特徴とするベンゼンから無水マレイン酸を製造するための接触酸化用触媒。
  2. 炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブとを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる接触酸化用触媒において、
    触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、リンと、モリブデンおよび/またはタングステンと、アンチモン、銀、ホウ素、クロム、セリウム、およびニオブからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化錫からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物とをさらに含んでいることを特徴とする、1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造するための接触酸化用触媒。
  3. 炭化珪素と、無機結合成分と、酸化ニオブとを含んでなる担体に、バナジウム酸化物およびモリブデン酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を触媒活性成分として担持してなる接触酸化用触媒において、
    触媒活性成分として、バナジウム酸化物としての五酸化バナジウムを含むと共に、二酸化チタン、二酸化珪素、アルミナ、珪藻土、チタンと珪素とを含む二元系複合酸化物、チタンとジルコニウムとを含む二元系複合酸化物、および、チタンと珪素とジルコニウムとを含む三元系複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の(複合)酸化物と、モリブデン、タングステン、クロム、アンチモン、ビスマス、リン、ニオブ、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンおよび銅からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素とをさらに含んでいることを特徴とする、アンモ酸化によってアルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造するための接触酸化用触媒。
  4. 上記無機結合成分が、二酸化珪素およびムライトからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接触酸化用触媒。
  5. 上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計量100重量部に対して、酸化ニオブを0.1重量部〜2重量部の範囲内で含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の接触酸化用触媒。
  6. 上記担体が、炭化珪素および無機結合成分の合計を100重量%として、炭化珪素を70重量%〜95重量%の範囲内、無機結合成分としての二酸化珪素を20重量%〜3重量%の範囲内、無機結合成分としてのムライトを10重量%〜2重量%の範囲内で含んでいることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の接触酸化用触媒。
  7. 上記担体におけるアルカリ金属およびアルカリ土類金属の全含有量が0.5重量%以下であり、かつ、該担体の気孔率が16%〜35%の範囲内であり、比表面積が0.02m 2 /g以上、0.3m 2 /g以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の接触酸化用触媒。
  8. 請求項1記載の接触酸化用触媒を用いてベンゼンから無水マレイン酸を製造することを特徴とする無水マレイン酸の製造方法。
  9. 請求項2記載の接触酸化用触媒を用いて1,2,4,5−テトラアルキルベンゼンから無水ピロメリット酸を製造することを特徴とする無水ピロメリット酸の製造方法。
  10. 請求項3記載の接触酸化用触媒を用いたアンモ酸化によって、アルキル置換芳香族炭化水素またはアルキル置換複素環化合物から芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルを製造することを特徴とする芳香族ニトリルまたは複素環ニトリルの製造方法。
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