JP4097451B2 - 表面反応性官能基修飾粘着剤及び粘着テープ又はシート - Google Patents

表面反応性官能基修飾粘着剤及び粘着テープ又はシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着剤と、該粘着剤からなる粘着剤層を備えた粘着テープ又は粘着シートに関する。より詳細には、粘着剤が本来有する貼り付け初期の粘着力を損なうことなく、粘着剤表面に被着体に対して接着反応性を示す官能基修飾が施された粘着剤及び粘着テープ又は粘着シートに関する。また、本発明は特定の被着体に対して貼り付け後の経日により接着力が上昇し強固な接合力を発現する粘着剤及び粘着テープ又は粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着テープ又は粘着シートは、貼り合わせ時に剥離紙を剥がし、加圧のみで簡便に被着体と貼り合わせることができるため、金属、ガラス、樹脂塗膜、木材、紙、プラスチック材料などの種々の被着体への接着に広く使用されている。これらの粘着テープ又は粘着シートにおいては使用用途に適した接着強度を示す粘着剤が用いられる。例えば、マスキング用テープ、表面保護用テープなどの場合には、貼り付け後に再剥離するので、接着強度が低い粘着剤が用いられる。また、金属、ガラス、木材、プラスチック材料等の接合用両面テープなどの場合には、強固な接合力(大きな接着強度)が必要とされるので、接着強度が高い粘着剤が用いられる。
【0003】
粘着テープ又は粘着シートの接着強度の改良や調節を行う1つの手段として、粘着剤の表面を官能基修飾する方法が知られている。この粘着剤の表面を官能基修飾する方法として、粘着剤主成分に官能基を含有するモノマーを共重合させる方法、あるいは官能基を含有する粘着性付与樹脂などの添加剤を配合する方法など、いわゆる粘着剤のバルク層内部自身に官能基を導入する方法がある。しかしながらこれらの方法では、表面の官能基濃度が不十分となったり、添加剤成分がブリードアウトして被着体を汚染するなどの問題がある。
【0004】
また、官能基含有化合物の希薄溶液を粘着剤表面に塗布する方法、コロナ放電処理、プラズマ処理、放射線処理などのプラスチックフィルム表面を改質する手段を用いる方法なども知られているが、これらの方法でも、表面の官能基濃度が不十分となったり、官能基が表面に固定されずに経時的に内部拡散して効果がなくなったりする問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、特開平10−46112号公報には、界面接触反応を用いて粘着テープ及びシートの粘着剤表面のみに所望の官能基を安定に導入する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記文献の例えば実施例に記載の方法で表面反応性官能基修飾した粘着テープ又はシートは、貼り付け後の経時変化で最終的には強力な接着強度が得られるものの、粘着剤層の最表面が官能基含有化合物の薄い層で覆われているため、表面の接着力が小さくなり、貼り付け初期の接着力が弱くなってしまう。この特性は、仮止め及び貼り直しが可能な、いわゆるリワーク性を必要とする用途においては非常に有効であるが、一方で、貼り付け初期から高い接着性を必要とする用途においては適用できないという問題点があった。
【0007】
また、この問題を解決する方法として、例えば、特開2001−323247号公報に記載の方法などが提案されている。この特開2001−323247号公報には、アクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能で且つ第1級又は第2級アミノ基を含有するか又は重合により第1級又は第2級アミノ基を生成可能なモノマーとの共重合体により粘着剤表面を官能基修飾する方法が記載されている。しかしながら、粘着剤が本来有する貼り付け初期の高い粘着特性を損なうことなく、より一層効果的に保持することができる粘着剤が求められている。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を克服し、粘着剤が本来有する貼り付け初期の高い粘着特性を効果的に保持し、貼り付け後において被着体に対して強い接着力を示す粘着剤、及び粘着テープ又は粘着シートを提供することを目的とする。特に、特定の被着体に対して、接着力が経時で更に上昇して強く接着する粘着剤、及び粘着テープ又は粘着シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着剤相と反応性官能基含有化合物を含む相との界面接触反応を利用して、粘着剤の表面を特定の反応性官能基修飾する際に、官能基含有化合物として特定のポリマーを用いて界面接触反応を行って前記ポリマーを被覆することにより、粘着剤表面の柔軟性と接着反応性とが両立され、粘着剤が本来有する貼り付け初期の接着力を損なわずに高いレベルで保持しつつ、粘着剤の表面に接着反応性の高い官能基を安定に且つ容易に導入できることを見出した。また、界面接触反応により第1の反応性官能基修飾層を形成し、さらにこの第1の反応性官能基修飾層の表面上に特定のポリマーを用いた界面接触反応を施して前記ポリマーを被覆することにより、貼り付け初期の接着力を損なわずに保持しつつ、粘着剤の最表面に前記の反応性官能基とは別の所望の接着反応性官能基を安定に且つ容易に導入できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、粘着剤表面に、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンから選択された少なくとも一種の第1級又は第2級アミノ基含有ポリマーを界面接触反応によって被覆することにより、第1の反応性官能基修飾層が形成され、さらにこの第1の反応性官能基修飾層上に、接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマーを界面接触反応によって第1の反応性官能基修飾層表面を被覆することにより、接着反応性を示す官能基を含有する第2の反応性官能基修飾層が形成されていることによって、該粘着剤表面が接着反応性を示す官能基で修飾されている表面反応性官能基修飾粘着剤を提供する。粘着剤は、第1級又は第2級アミノ基と反応するイソシアネート基、酸ハライド基、エポキシ基又は酸無水物基を有する反応性官能基含有化合物を含有することが好ましい。この表面反応性官能基修飾粘着剤には、貼り付け後に、特定の被着体に対して経時的に接着力が上昇する粘着剤が含まれる。前記接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマーは、側鎖に前記接着反応性を示す官能基を有していることが好ましい
【0011】
また、第2の反応性官能基修飾層における接着反応性を示す官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、シラノール基及びビニル基から選択された官能基が好ましい
【0012】
本発明は、また、上記の表面反応性官能基修飾粘着剤からなる粘着剤層を備えた粘着テープ又はシートを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の表面反応性官能基修飾粘着剤の特色は、粘着剤表面が界面接触反応により接着反応性を示す官能基で修飾された粘着剤として、接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマー(「接着反応性官能基含有ポリマー」と称する場合がある)を界面接触反応によって粘着剤表面を被覆することにより、該粘着剤表面が接着反応性を示す官能基で修飾されている粘着剤を用いている点にある。
【0014】
このような粘着剤によれば、接着反応性官能基含有ポリマーが用いられているので、粘着剤表面の柔軟性と接着反応性とが両立されており、その結果、もとの粘着剤が本来有する貼り付け初期の接着力がほとんど又は全く損なわれずに、より一層高いレベルで効果的に保持されている。すなわち、本発明の表面反応性官能基修飾粘着剤では、表面未修飾の粘着剤の有する貼り付け初期の粘着力が保持されている。
【0015】
しかも、粘着剤の表面には、接着反応性の高い官能基を安定に且つ容易に導入することができる。具体的には、粘着剤表面に、接着反応性を示す官能基が、前記接着反応性官能基含有ポリマーを用いた界面接触反応により固定されているので、これを粘着剤表面に固定された反応性官能基と反応しやすい表面状態を有する被着体に貼り付けると、初期は粘着剤が物理的に濡れ広がって通常の粘着テープ並みの接着強度を発現するとともに、経時により粘着剤表面の反応性官能基と被着体表面とが化学的に結合し、接着力がさらに上昇していき、最終的にはいわゆる接着剤並の極めて強固な接着が可能となる。
【0016】
なお、このような表面反応性官能基修飾粘着剤には、例えば、貼り付け初期の粘着力(例えば、被着体に貼り付けて1分後における180°剥離強度)が、対応する表面未修飾の粘着剤の有する貼り付け初期の粘着力の70%以上(例えば70〜300%程度)、好ましくは90%以上(例えば90〜300%程度)であるような粘着剤が含まれる。
【0017】
好ましい表面反応性官能基修飾粘着剤では、被着体に対する接着力が経時的に上昇する。例えば、被着体に貼り付けて1分後における180°剥離強度をP0とし、被着体に貼り付けた後、経日促進試験として100℃で60分加熱したときの180°剥離強度をP1としたとき、両者の比P1/P0が2以上であるのが好適である。前記P1/P0は、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは4以上である。なお、180°剥離強度は、JIS Z 0237に準じて測定された値(引張り速度:300mm/分)である。
【0018】
本発明の粘着剤はどのような形態であってもよく、例えば、粘着テープ、粘着シート、粘着ラベルなどの各種粘着製品における粘着剤層を構成することができる。
【0019】
以下、本発明を図面を参照しつつより詳細に説明する。なお、同一の部材や同一の部分には同一の符号が付されている。
図1は表面反応性官能基修飾粘着剤からなる粘着剤層を備えた粘着テープ又はシートの一例を示す概略断面図であり、参考として記載する。この粘着テープ又はシート1では、基材2の一方の面に粘着剤層3が設けられており、該粘着剤層3の表面には接着反応性官能基含有ポリマーを界面接触反応によって被覆することにより、接着反応性を示す官能基を含有する官能基修飾層4が形成されている。
【0020】
基材2としては、自己支持性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニルなどのポリマーからなるプラスチックフィルム、紙、布、金属箔、剥離紙、剥離フィルムや、これらの複合体などが挙げられる。基材は単層の形態を有していてもよく、複層の形態を有していてもよい。
【0021】
粘着剤層3を構成する粘着剤は、特に限定されず、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などの公知の粘着剤等の何れも使用できる。アクリル系粘着剤は、一般に、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これらに、アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物、無水マレイン酸などの酸無水物基含有ビニル化合物、ビニルピロリドンなどのビニル基含有複素環化合物、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有ビニル化合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有ビニル化合物、ヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有ビニル化合物、アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル化合物などの改質用モノマーを加えた単量体混合物の共重合体をベースポリマーとしたものである。
【0022】
ゴム系粘着剤は、一般に、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等のゴム系ポリマーをベースポリマーとしたものである。
【0023】
これらの粘着剤には、ロジン系、テルペン系、スチレン系、脂肪族石油系、芳香族石油系、キシレン系、フェノール系、クマロンインデン系、これらの水素添加物などの粘着付与樹脂や、液状樹脂、液状ゴム、ポリブテン、プロセスオイル、ジオクチルフタレートなどの軟化剤、酸化防止剤、充填剤、顔料、架橋剤などの添加物を適宜配合することができる。
【0024】
粘着剤層3は、例えば、上記の粘着剤を溶液又は水分散液として基材2上に塗工した後、溶剤や水を乾燥除去したり、あるいは、上記の粘着剤をホットメルト塗工又はカレンダー塗工することにより形成できる。また、粘着剤の前駆体であるモノマーやオリゴマーを基材2上に塗工後、紫外線を照射して光重合させることにより粘着剤層3を形成することもできる。
【0025】
粘着剤層3の厚さは、使用目的、被着体の種類などにより広い範囲で選択できるが、一般には1〜3000μm程度、好ましくは10〜1000μm程度である。
【0026】
粘着剤層3には、予め、官能基修飾層4を形成する際に界面接触反応が可能な反応性官能基を含む化合物(以下、界面接触反応が可能な化合物を、単に「反応性官能基含有化合物」と称する場合がある)を含有させておく。このような化合物を含有させる方法としては、前記アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤等のベースポリマー中に、共重合、グラフト反応、側鎖変性反応などにより、前記反応性官能基を化学的に導入する方法、塗工前の粘着剤組成物中に前記反応性官能基含有化合物を添加、混合する方法等の何れの方法であってもよい。
【0027】
界面接触反応が可能な2つの反応性官能基の組み合わせとしては、互いに反応する基であればよいが、界面接触反応は短時間で進行するのが好ましいため、反応性の高い組み合わせであるのが望ましい。この観点から、界面接触反応が可能な反応性官能基の好ましい組み合わせとして、(i)第1級又は第2級アミノ基(無置換又はモノ置換アミノ基)とイソシアネート基、酸ハライド基(酸クロライド基など)、エポキシ基又は酸無水物基との組み合わせ、(ii)カルボキシル基とアジリジン基との組み合わせ、(iii)ヒドロシリル基とヒドロキシル基又はビニル基との組み合わせ、(iv)エポキシ基と酸無水物基との組み合わせ、(v)酸ハライド基(酸クロリド基など)又は酸無水物基とヒドロキシル基又はメルカプト基との組み合わせ等が挙げられる。
【0028】
従って、前記粘着剤層3に予め含有させておく反応性官能基含有化合物としては、粘着剤層3が含有している反応性官能基がイソシアネート基である場合、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などのジイソシアネート系化合物が好ましい。これらのジイソシアネート化合物は、粘着剤の架橋剤としての効果も有している。
【0029】
また、前記粘着剤層3が含有している反応性官能基(官能基修飾層4を形成する際に界面接触反応が可能な反応性官能基)が、イソシアネート基である場合、官能基修飾層4を形成するのに用いられる接着反応性官能基含有ポリマーとしては、前記イソシアネート基と界面接触反応が可能な反応性官能基(例えば、第1級又は第2級アミノ基等)と、この粘着テープ又はシート1が貼り付けられる被着体に対して接着反応性を示す官能基とを有し、さらに、ガラス転移温度が5℃以下のポリマーが用いられる。この場合、粘着剤層3の反応性官能基に対して界面接触反応が可能な反応性官能基と、被着体に対して接着反応性を示す官能基とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、前記接着反応性官能基含有ポリマーとしては、粘着剤層3の粘着特性(初期粘着特性)を損なわないポリマーであることも重要である。
【0030】
前記接着反応性官能基含有ポリマーのガラス転移温度としては、5℃以下であれば特に制限されないが、好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−25℃以下である。接着反応性官能基含有ポリマーのガラス転移温度が、5℃より高いと、粘着剤表面の柔軟性が低下して不十分となり、貼り付け直後の接着力が低下して損なわれる恐れが生じる。なお、接着反応性官能基含有ポリマーのガラス転移温度を5℃以下とするためには、低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーを共重合成分として用いたり、粘着剤層3の反応性官能基に対して界面接触反応が可能な反応性官能基と、被着体に対して接着反応性を示す官能基とを有するポリマーの側鎖等を変性したりする方法などが挙げられる。
【0031】
なお、接着反応性官能基含有ポリマーにおいて、被着体に対して接着反応性を示す官能基は、粘着テープ又はシート1を貼着する被着体の種類に応じて適宜選択される。なお、接着反応性とは、被着体表面に存在する原子、分子、官能基、官能性セグメントに対して化学反応を起こして、共有結合、配位結合、水素結合、イオン結合、金属結合などの化学結合を形成したり、或いは、被着体表面に存在する原子等に対して強い静電相互作用、ファンデルワールス力などの非結合原子間相互作用を及ぼすことにより大きな接着強度を発現させる性質をいう。
【0032】
このような接着反応性官能基の具体的な例としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基(第1級又は第2級アミノ基など)、ヒドロシリル基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、シラノール基、ビニル基などが挙げられる。被着体がガラス等の場合、粘着剤表面がアルコキシシリル基やシラノール基で修飾されると、それらが経時的にガラス表面のシラノール基と反応して化学結合を形成し、大きな接着強度が発現する。また、被着体がステンレス等の金属やメラミン樹脂塗膜などの場合、接着反応性官能基としてカルボキシル基などを用いると、経時により大きな接着強度が発現する。
【0033】
前記粘着剤層3の表面を反応性官能基修飾可能な接着反応性官能基含有ポリマーの具体的なポリマーの例として、アクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能で且つ低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマー[特に、アクリル系モノマーと共重合可能で且つ接着反応性官能基(カルボキシル基)を有するとともに、低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマー]とにより少なくとも構成されているポリマー(共重合体)が挙げられる。このようなポリマーは、粘着剤層3との間で界面接触反応が可能で且つ被着体に対して接着反応性を示すとともに、粘着剤層3の粘着特性(初期粘着特性)を損なわない特性を有する。
【0034】
前記アクリル系モノマーとしては、前述したアクリル系粘着剤に用いられる主要なモノマーなどが挙げられ、その好適な例として、例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0035】
アクリル系モノマーと共重合可能で且つ接着反応性官能基(カルボキシル基)を有するとともに、低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーとしては、例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステルや、該アクリル酸アルキルエステルなどの共重合性モノマーに種々の有機基(カルボキシル基等の置換基を有している種々の炭化水素基など)が付与されることにより、さらに低ガラス転移温度を発揮させることが可能な共重合性モノマー[例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有有機基を有するアクリル酸アルキルエステル(アクリロイル基及びカルボキシル基含有化合物)など]等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのモノマーも単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
また、低ガラス転移温度を発揮させることが可能な共重合性モノマーとしては、フレキシブルな側鎖骨格を介して先端に接着性官能基を有しているビニル系モノマーなどを用いることができる。
【0037】
このような低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーを共重合成分として用いる場合、その割合としては特に制限されず、接着反応性官能基含有ポリマーを構成している他のモノマー成分(特に、主モノマー成分)の種類や、目的とするガラス転移温度等の応じて適宜選択することができる。
【0038】
アクリル系モノマーと、前記アクリル系モノマーと共重合可能で且つ低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーとは、任意の組合せが可能であり、それぞれ単独の組合せで共重合してもよく、それぞれ複数成分を混合して共重合してもよい。これらのアクリル系モノマーと前記アクリル系モノマーと共重合可能で且つ低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーとの組み合わせや共重合比率などを適宜調整することにより、もとの粘着剤(粘着剤層3を構成する粘着剤)が有する初期の高い粘着力を損なうことなく、粘着剤層の表面に接着反応性官能基(特に、接着反応性の高いカルボキシル基)を導入することができる。なお、このようなポリマー(すなわち、アクリル系モノマーと前記アクリル系モノマーと共重合可能で且つ低ガラス転移温度を発揮させる共重合性モノマーとによるポリマー)は、容易に合成することができる。
【0039】
界面接触反応は、例えば、粘着剤層3を構成するベースポリマーや反応性官能基含有化合物等を含む固体相又は液体相(粘着剤相)と、官能基修飾層4を構成すべき反応性官能基を含む接着反応性官能基含有ポリマーを含有する液体相との間で行わせることができる。
【0040】
粘着剤相と、官能基修飾層4を構成すべき接着反応性官能基含有ポリマーを含有する液体相とを界面接触反応させる方法としては、両相をディッピング、浸漬により接触させる方法、グラビア、キスなどのロールコーティング、ファンテンなどのダイスコーティング、スクイズコーティング、スピンコーティングなどの公知乃至慣用の塗布方式により粘着剤相に前記液体相を塗布する方法、スプレーなどで粘着剤相に前記液体相を噴霧塗布する方法などの何れの方法であってもよい。
【0041】
なお、粘着剤表面に高密度に接着反応性官能基を導入するためには、官能基修飾層4を構成すべき接着反応性官能基含有ポリマーを含有する液体相の媒体が粘着剤相を溶解又は膨潤させるのは好ましくなく、例えば、粘着剤がアクリル系の場合には、水やアルコール、ヘキサン、ヘプタンのような粘着剤相を溶解又は膨潤させない溶媒を適宜選択して使用することが望ましい。
【0042】
このようにして粘着剤層3の表面に形成される官能基修飾層4の厚さとしては、粘着剤層3の粘着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には1μm以下(例えば0.001〜1μm程度)、好ましくは0.1μm以下(例えば0.001〜0.1μm程度)である。
【0043】
図2は本発明の表面反応性官能基修飾粘着剤からなる粘着剤層を備えた粘着テープ又はシートの他の例を示す概略断面図である。この粘着テープ又はシート11では、基材2の一方の面に粘着剤層3が設けられており、該粘着剤層3の表面には、界面接触反応により第1の反応性官能基修飾層(第1官能基修飾層)5が形成され、さらにこの上に、接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマー(接着反応性官能基含有ポリマー)を界面接触反応によって被覆することにより、接着反応性を示す官能基を含有する第2の反応性官能基修飾層(第2官能基修飾層)6が形成されている。
【0044】
基材2及び粘着剤層3については前記と同様である。なお、この場合には、粘着剤層3には、予め、第1官能基修飾層5を形成する際に界面接触反応が可能な反応性官能基含有化合物を含有させておく。
【0045】
界面接触反応が可能な2つの反応性官能基の組み合わせは前記と同様である。例えば、前記粘着剤層3にイソシアネート基が含有されている場合、界面接触反応により粘着剤層3の表面に第1官能基修飾層5を形成するのに用いる反応性官能基含有化合物としては、前記イソシアネート基と界面接触反応が可能な反応性基(例えば、第1級又は第2級アミノ基など)と、第2官能基修飾層6を形成する際の2回目の界面接触反応に必要な反応性官能基とを含有する化合物を用いることができる。さらに、この第1官能基修飾層5の形成に用いる反応性官能基含有化合物としては、粘着剤層3の粘着特性(初期粘着特性)を損なわない化合物であることも重要である。なお、前記2つの反応性官能基(すなわち、粘着剤層3の反応性官能基含有化合物に対して界面接触反応が可能な反応性官能基と、第2官能基修飾層6に含まれる接着反応性官能基含有ポリマーに対して界面接触反応が可能な反応性官能基)は同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
第1官能基修飾層5を形成するのに用いる反応性官能基含有化合物の具体的な化合物の例として、前記のアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能で且つ第1級又は第2級アミノ基を含有するか又は重合により第1級又は第2級アミノ基を生成可能なモノマーとの共重合体が挙げられる。具体的には、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミンなどの反応性の高い第1級又は第2級アミノ基を有するポリマーが挙げられる。このような化合物は、反応性の高い第1級又は第2級アミノ基を有するので、粘着剤層3及び第2官能基修飾層6との間で界面接触反応が可能であるとともに、粘着剤層3の粘着特性(初期粘着特性)を損なわない特性を有する。なお、前述のような反応性の高い第1級又は第2級アミノ基を有するポリマーなどの化合物は、界面接触反応によって、粘着剤表面を被覆することができる。
【0047】
界面接触反応は前記の方法に準じて行うことができる。このようにして粘着剤層3の表面に形成される第1官能基修飾層5の厚さとしては、粘着剤層3の粘着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には0.001〜1μm、好ましくは0.001〜0.1μm程度である。
【0048】
界面接触反応により第1官能基修飾層5の表面に第2官能基修飾層6を形成するのに用いる接着反応性官能基含有ポリマーとしては、第1官能基修飾層5に含まれる反応性官能基含有化合物に対して界面接触反応が可能な反応性官能基と、被着体に対して接着反応性を示す官能基との双方を含有し、且つガラス転移温度が5℃以下のポリマーを用いることができる。第1官能基修飾層5の表面に第2官能基修飾層6を形成するのに用いる接着反応性官能基含有ポリマーとしては、粘着剤層3の粘着特性(初期粘着特性)を損なわないことも重要である。第1官能基修飾層5の表面に第2官能基修飾層6を形成するのに用いる接着反応性官能基含有ポリマーは、第1官能基修飾層5に含まれる反応性官能基含有化合物及び被着体の種類に応じて適宜選択できる。なお、該接着反応性官能基含有ポリマーにおいて、界面接触反応が可能な反応性官能基と被着体に対する接着反応性を示す官能基とは同一の官能基であってもよい。
【0049】
例えば、第1官能基修飾層5に含まれる反応性官能基含有化合物が、第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有する化合物である場合には、第2官能基修飾層6の形成に用いる接着反応性官能基含有ポリマーとして、第1級又は第2級アミノ基に対して高い反応性を示すイソシアネート基、酸ハライド基(酸クロライド基など)、エポキシ基、酸無水物基又はカルボキシル基を含有し、且つカルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、シラノール基、ビニル基などの被着体表面と反応可能な所望の接着反応性官能基を含有するポリマーを用いる。このようなポリマーは、界面接触反応によって、第1官能基修飾層5の上に被覆することができる。
【0050】
第2官能基修飾層6の形成に用いる接着反応性官能基含有ポリマーとしては、前記官能基修飾層4を形成するのに用いられる接着反応性官能基含有ポリマーと同様のポリマーを用いることができる。なお、接着反応性官能基含有ポリマーとして、エポキシ基とカルボキシル基とを含有する共重合体を用いる場合には第2官能基修飾層6に接着反応性官能基としてカルボキシル基を導入でき、エポキシ基を含有するシラン化合物を用いる場合には第2官能基修飾層6に接着反応性官能基としてアルコキシシリル基又はシラノール基を導入できる。なお、この第2の界面接触反応も前記の方法に準じて(すなわち、粘着剤層3の表面に、官能基修飾層4を形成する方法に準じて)行うことができる。
【0051】
このように、界面接触反応により形成した第1官能基修飾層5に含まれる反応性官能基(例えば、第1級又は第2級アミノ基)の高い反応性を利用して、再度界面接触反応を施すことにより、第1官能基修飾層5中の反応性官能基以外の反応性官能基を最表層に固定することができる。最表層である第2官能基修飾層6の厚さは粘着剤層3の粘着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には0.001〜10μm、好ましくは0.001〜5μm程度である。
【0052】
上記の図1及び図2の例では、反応性官能基を含む官能基修飾層は1層又は2層で構成されているが、界面接触反応を同様にして繰り返すことにより、必要に応じて官能基修飾層を3層以上の層で構成することも可能である。また、上記の各例では、基材2の片面に粘着剤層及び官能基修飾層が形成されているが、基材2の他方の面にも粘着剤層、又は粘着剤層と官能基修飾層を設けて両面粘着テープ又はシートとしてもよい。
【0053】
本発明の粘着剤、及び粘着テープ又はシートによれば、もとの粘着剤が有する初期の高い粘着性を効果的に保持しているので貼り付け作業を確実にできるとともに、粘着剤の最表面が界面接触反応により接着反応性を示す官能基で修飾されているので、該官能基が内部拡散することなく被着体表面と化学的に結合し、経時的に接着力がさらに上昇していき、最終的には極めて強固な接着となる。なお、本発明では、被着体に貼り付け後は室温で放置しておくだけで接着力を経時的に上昇させることができるので、加熱やUV(紫外線)等の外部エネルギーを印加する必要はないが、接着力の経時上昇を加速させたい場合には、加熱など熱エネルギー等を印加してもよい。また、本発明では、基材やベース粘着剤(ベースポリマー)として適切なものを選択することにより、充分な耐久性、耐熱性を有する粘着テープ又はシートとすることができる。
【0054】
本発明は、あらゆる種類の粘着テープ又はシート全般に適用可能であるが、その中でも特に、金属、ガラス、プラスチック材料等に用いる接合用両面テープなど、強固な接合力(大きな接着強度)が必要とされ且つ貼り付け初期から高い接着強度が求められる用途に使用される強接着性粘着テープ又はシートとして有用である。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0056】
製造例1(アクリル系粘着剤溶液の調製)
フラスコに、ブチルアクリレート190g、アクリル酸10g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4g、溶媒として酢酸エチル300.6gを仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の温度を60℃に上げた。数分後、発熱が始まり、フラスコ内の温度を60℃に保つよう外浴をコントロールした。重合開始約3時間後、83.5gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下し、3時間重合を続けた。その後、さらに83.5gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下してから、フラスコ内の温度を80℃まで上げて、2時間重合し、固形分濃度30重量%のアクリル系粘着剤溶液を調製した。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した結果、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で130万であった。
【0057】
製造例2(アクリル系粘着テープAの作製)
製造例1で得られたアクリル系粘着剤溶液に対し、その固形分100重量部あたり、商品名「コロネートL」[日本ポリウレタン工業(株)製、トリメチロールプロパンへの2,4−トリレンジイソシアネート付加化合物75重量%酢酸エチル溶液]を3重量部(固形分換算)配合した。これをコロナ処理を施した厚さ38μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが40μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、乾燥機にて80℃で5分間乾燥させて溶媒を揮散させて粘着テープを作製した。この粘着テープを“粘着テープA”とする。
【0058】
製造例3(アクリル系粘着テープAの第1反応性官能基修飾処理)
粘着テープAを作製し、その直後に(粘着剤中のイソシアネート基が活性なうちに)続けて、ポリアリルアミン(商品名「PAA−10C」日東紡績社製)の0.02重量%水溶液中に1分間浸漬した後、60mm/minの速度で垂直方向に引き上げ、表面を室温で自然乾燥させて、第1反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープを作製した。
【0059】
製造例4(カルボキシル基及びエポキシ基を含有するポリマーの調製−1)
フラスコに、ブチルアクリレート68g、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(商品名「アロニックスM−5300」東亜合成社製)142g、グリシジルメタクリレート0.6g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.4g、溶媒として酢酸エチル317gを仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の温度を75℃に上げた。数分後、発熱が始まり、フラスコ内の温度を75℃に保つよう外浴をコントロールした。重合開始約6時間後、176gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下し、固形分濃度30重量%の接着反応性官能基を有するポリマーの酢酸エチル溶液を調製した。この接着反応性官能基を有するポリマーを、“接着反応性ポリマー1”とする。
【0060】
製造例5(カルボキシル基及びエポキシ基を含有するポリマーの調製−2)
フラスコに、ブチルアクリレート146g、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(商品名「HOA−MS」共栄社化学社製)64g、グリシジルメタクリレート0.6g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.4g、溶媒として酢酸エチル317gを仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の温度を75℃に上げた。数分後、発熱が始まり、フラスコ内の温度を75℃に保つよう外浴をコントロールした。重合開始約6時間後、176gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下し、固形分濃度30重量%の接着反応性官能基を有するポリマーの酢酸エチル溶液を調製した。この接着反応性官能基を有するポリマーを、“接着反応性ポリマー2”とする。
【0061】
製造例6(カルボキシル基及びエポキシ基を含有するポリマーの調製−3)
フラスコに、ブチルアクリレート74g、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(商品名「HOA−HH」共栄社化学社製)136g、グリシジルメタクリレート0.6g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4g、溶媒として酢酸エチル317gを仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の温度を60℃に上げた。数分後、発熱が始まり、フラスコ内の温度を60℃に保つよう外浴をコントロールした。重合開始約8時間後、176gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下し、固形分濃度30重量%の接着反応性官能基を有するポリマーの酢酸エチル溶液を調製した。この接着反応性官能基を有するポリマーを、“接着反応性ポリマー3”とする。
【0062】
製造例7(カルボキシル基及びエポキシ基を含有するポリマーの調製−4)
フラスコに、ブチルアクリレート140g、アクリル酸70g、グリシジルメタクリレート0.6g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4g、溶媒として酢酸エチル317gを仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の温度を60℃に上げた。数分後、発熱が始まり、フラスコ内の温度を60℃に保つよう外浴をコントロールした。重合開始約8時間後、176gの酢酸エチルをフラスコ内に滴下し、固形分濃度30重量%の接着反応性官能基を有するポリマーの酢酸エチル溶液を調製した。この接着反応性官能基を有するポリマーを、“接着反応性ポリマー4”とする。
【0063】
(接着反応性ポリマーのガラス転移温度測定)
前記製造例4〜7で合成された接着反応性ポリマー1〜4について、Rheometric Scientific社製の動的粘弾性装置ARESを用いて、周波数1Hzで損失弾性率の温度分散を測定し、該損失弾性率と温度との関係を示すグラフにおける損失弾性率の温度分散のカーブにおけるピーク温度から、接着反応性ポリマーのガラス転移温度を求めた。その結果を表1に示した。
なお、動的測定において、周波数1Hzで測定した際の損失弾性率のピーク温度が、体積−温度測定によって決定されるガラス転移温度に非常に近いことが知られている[L.E.Nielsen著、小野木重治訳、“高分子の力学的性質”P.159、化学同人(1965)]。
【0064】
【表1】
Figure 0004097451
【0065】
実施例1
製造例4で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー1の酢酸エチル溶液をメタノールで希釈して、0.5重量%とした。この接着反応性ポリマー1溶液に、製造例3で作製した第1反応性官能基修飾処理が施されたアクリル系粘着テープを1分間浸漬した後、垂直方向に引き上げ、表面を100℃で5分間加熱して、溶剤を乾燥除去させて、第2反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープを作製した。この作製された第2反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープは、その粘着剤面が他の物質に触れないように室温で7日間以上放置した。この粘着テープを“粘着テープB”とする。
【0066】
実施例2
製造例4で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー1の酢酸エチル溶液に代えて、製造例5で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー2の酢酸エチル溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、第2反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープを作製し、その粘着剤面が他の物質に触れないように室温で7日間以上放置した。この粘着テープを“粘着テープC”とする。
【0067】
実施例3
製造例4で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー1の酢酸エチル溶液に代えて、製造例6で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー3の酢酸エチル溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、第2反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープを作製し、その粘着剤面が他の物質に触れないように室温で7日間以上放置した。この粘着テープを“粘着テープD”とする。
【0068】
比較例1
製造例4で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー1の酢酸エチル溶液に代えて、製造例7で得られた固形分濃度30重量%の接着反応性ポリマー4の酢酸エチル溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、第2反応性官能基修飾処理を施したアクリル系粘着テープを作製し、その粘着剤面が他の物質に触れないように室温で7日間以上放置した。この粘着テープを“粘着テープE”とする。
【0069】
比較例2
“粘着テープA”を作製した後、何の表面処理も施さず、室温で7日間放置した。
【0070】
以下に、粘着テープとしての接着力評価の結果を示す。
(初期接着強度評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2における粘着テープA、B、C、D、Eについて、それぞれ、対SUS304BA板の初期接着強度評価を行った。
市販のSUS304BA板に、幅20mmに切り出した粘着テープを貼り付け、2kgのゴムローラーを用いて一往復圧着した。このサンプルを貼り付け30分後に、引張試験機にて300mm/minの引き剥がし速度で、180°剥離強度(N/20mm)を測定した。結果を表2に示した。
【0071】
【表2】
Figure 0004097451
【0072】
本発明に該当する実施例1〜3の“粘着テープB”、“粘着テープC”、“粘着テープD”は、もとの“粘着テープA”(比較例2)の初期接着能力と比べて、70%以上の初期接着能力を有することがわかる。一方、ガラス転移温度が5℃よりも高い接着反応性ポリマー4を用いて第2反応性官能基修飾処理を施した“粘着テープE”(比較例1)では、低い初期接着能力を示している。
【0073】
(経時後接着強度評価)
実施例1〜3及び比較例1〜2における粘着テープA、B、C、D、Eについて、対SUS304BA板の経時後接着強度評価を行った。
市販のSUS304BA板に、幅20mmに切り出した粘着テープを貼り付け、2kgのゴムローラーを用いて一往復圧着した。このサンプルを貼り付け後、経日促進試験として50℃で7日間加熱したのちに、引張試験機にて300mm/minの引き剥がし速度で、180°剥離強度を測定した。結果を表3に示した。
【0074】
【表3】
Figure 0004097451
【0075】
本発明に該当する実施例1〜3の“粘着テープB”、“粘着テープC”、“粘着テープD”の経日促進試験後の対SUS304BA板接着強度は、表面未処理の“粘着テープA”(比較例2)のそれに比べて非常に大きい値を示した。なお、表中で、>24.5、>23.5とは、測定値が24.5N/20mm、23.5N/20mmを超えた時点で、粘着剤とSUS板界面が剥がれないで、粘着剤とポリエステル基材の界面で投錨破壊したことを示すものである。つまり、粘着剤とSUS板がそれらの値以上の力で強固に接着していることを表している。これは、SUS304BA板表面とイオン結合的な親和性の高いカルボキシル基が粘着剤表面に導入されていることを示唆するものである。
【0076】
これら前述のすべての結果を考えあわせると、実施例1〜3の“粘着テープB”、“粘着テープC”、“粘着テープD”については、もとの“粘着テープA”の表面に第1反応性官能基修飾処理層のアミノ基の反応性を利用して、カルボキシル基を含有し且つ柔軟性に富む接着反応性ポリマーからなる第2反応性官能基修飾処理層が固定されていることが分かる。そして、これら実施例の粘着テープは、もとの“粘着テープA”の初期粘着力を維持し、しかも、経時でステンレス板に対して高い接着強度を示すことができている。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、粘着剤の最表面の柔軟性のため、もとの粘着剤が有する初期の高い粘着性を保持しているので貼り付け作業を確実にできる。また、粘着剤表面が接着反応性を示す官能基で修飾されているので、該官能基と被着体表面とが化学的に結合し、経時的に接着力がさらに上昇していき、最終的には極めて高い接着強度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着テープ又はシートの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の粘着テープ又はシートの他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,11 粘着テープ又はシート
2 基材
3 粘着剤層
4 官能基修飾層
5 第1官能基修飾層
6 第2官能基修飾層

Claims (6)

  1. 粘着剤表面に、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンから選択された少なくとも一種の第1級又は第2級アミノ基含有ポリマーを界面接触反応によって被覆することにより、第1の反応性官能基修飾層が形成され、さらにこの第1の反応性官能基修飾層上に、接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマーを界面接触反応によって第1の反応性官能基修飾層表面を被覆することにより、接着反応性を示す官能基を含有する第2の反応性官能基修飾層が形成されていることによって、該粘着剤表面が接着反応性を示す官能基で修飾されている表面反応性官能基修飾粘着剤。
  2. 粘着剤が、第1級又は第2級アミノ基と反応するイソシアネート基、酸ハライド基、エポキシ基又は酸無水物基を有する反応性官能基含有化合物を含有する請求項1記載の表面反応性官能基修飾粘着剤。
  3. 貼り付け後に、特定の被着体に対して経時的に接着力が上昇する請求項1又は2記載の表面反応性官能基修飾粘着剤。
  4. 接着反応性を示す官能基を含み且つガラス転移温度が5℃以下のポリマーが、側鎖に前記接着反応性を示す官能基を有している請求項1〜3の何れかの項に記載の表面反応性官能基修飾粘着剤。
  5. 第2の反応性官能基修飾層における接着反応性を示す官能基が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、シラノール基及びビニル基から選択された官能基である請求項1〜4の何れかの項に記載の表面反応性官能基修飾粘着剤。
  6. 請求項1〜5の何れかの項に記載の表面反応性官能基修飾粘着剤からなる粘着剤層を備えた粘着テープ又はシート。
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