JP4094912B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗物に水性第1着色塗料、水性第2着色塗料、及びクリヤ塗料を順次塗装し、得られる3層の複層塗膜を同時に加熱硬化する3コート1ベークによる複層塗膜形成方法であって、仕上がり性、耐チッピング性が良好な複層塗膜を省工程や省時間で形成する方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
近年、地球規模で環境問題に大きな関心が寄せられているが、自動車産業においても生産過程における環境改善の取り組みが積極的に進められている。自動車ボディの塗装工程は、地球温暖化、産業廃棄物、揮発性有機溶剤(VOC)の排出など、特にVOCについては、そのほとんどが塗装工程から発生しており、この対策が急務となってきている。
【0003】
このような背景から自動車ボディにおける塗膜形成方法として、工程短縮や環境問題を考慮して、被塗物に電着塗料を施した後、「水性中塗り塗料の塗装→焼き付け硬化→水性着色塗料の塗装→プレヒート→クリヤ塗料の塗装→セッティング→焼き付け硬化」の3コート2ベーク方式(3C2B)、或いは、「水性第1着色塗料の塗装→プレヒート→水性第2着色塗料の塗装−プレヒート→クリヤ塗料の塗装→セッティング→焼き付け硬化」の3コート1ベーク方式(3C1B)」により複層塗膜を形成する方法が広く採用されている(例えば、特開平11−10081号公報参照)。
【0004】
また有機溶剤型または非水分散型熱硬化性塗料を被塗物に塗装し、塗着した該塗料の粘度を1.0Pa・秒(10ポイズ)以上に調整し、その上に熱硬化性型水性メタリック塗料を塗装し、さらに3層からなる塗膜を加熱して同時に硬化せしめることを特徴とするメタリック仕上げ方法(特開平4−25076号公報参照)があるが、有機溶剤型または非水分散型熱硬化性塗料であるため低VOCを達成できるものではない。
【0005】
このような3C1Bにおける「水性第1着色塗料の塗装→プレヒート→水性第2着色塗料の塗装」の工程において、水性第1着色塗料の上に、固形分15〜50重量%の水性第2着色塗料を塗り重ねると、塗膜界面付近において水性第1着色塗料の固形分が20〜50重量%程度まで低下し、ボンネットやルーフやトランクなどの水平面では水性第1着色塗料と水性第2着色塗料の混層が生じたり、またドアやフェンダーなどの垂直面ではタレが生ずるなどの複層塗膜に仕上がり不良が見られる。
【0006】
それを防ぐため、既設のラインにエアブローやプレヒート(例えば、プレヒートでは、遠・中赤外線1分+熱風80℃2分を行う等)設備を設けて、そのエアブローの時間を長くするか、プレヒートの時間を長くするか温度を上げることによって、水性第1着色塗料の塗膜粘度を上げるという対策がとられている。
しかしエアブローやプレヒート設備の増設や改造、メンテナンスにも費用がかかり負担もかなりのものになる。このようなことが水性塗料の際に一部弊害になって普及を妨げている。
【0007】
また水性第1着色塗料と水性第2着色塗料の混層や、第2水性着色塗料のタレを発生させない水性第1着色塗料の塗膜粘度が、どの程度であるかについて把握されておらず、新設(又は改造)の塗装ラインにおいても、被塗物の部位やラインの環境条件によって、依然として仕上がり不良が起こることがあった。
【0008】
このようなことから被塗物の部位や塗装環境条件にかかわらず、エアブローやプレヒート設備を改造したり、新設しなくてもよく、3C1Bで仕上がり性、さらには耐チッピング性が良好な塗膜を、省工程や省時間で形成する複層塗膜形成方法が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目標を達成するために鋭意検討を重ねた結果、水性の3C1Bの塗装工程において、水性第1着色塗料(A)の樹脂成分の固形分100重量部に対して、ウレタンエマルション(a)を50〜90重量部を配合した水性第1着色塗料(A)を塗装し、その塗膜をエアブローやプレヒートを施すことなく、常温でセッティングをするのみで、次に固形分が15〜50重量%の水性第2着色塗料を塗装したとしても、 被塗物の部位(例えば、水平部、垂直部)にかかわらず塗膜の混層やタレなどが生ずることがなく仕上がり性に優れる複層塗膜が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
1. 被塗物上に、水性第1着色塗料(A)、水性第2着色塗料(B)、及びクリヤ塗料(C)を用いて、
工程1:水性第1着色塗料(A)を塗装する工程であって、構成成分がウレタンエマルション(a)とその他の成分(b)からなる樹脂固形分100重量部中に、ウレタンエマルション(a)が50〜90重量部、その他の成分(b)が10〜50重量部を含有し、樹脂固形分100重量部に対して、顔料成分(c)を10〜200重量部配合してなる固形分が45〜65重量%の水性第1着色塗料(A)を塗装する工程、
工程2:常温でセッティングを施す工程であって、水性第1着色塗料(A)を塗装 によって得られた塗膜粘度を1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とする工程、
工程3:固形分が15〜50重量%の水性第2着色塗料(B)を塗装する工程、
工程4:予備加熱を施す工程、
工程5:クリア塗料(C)を塗装して、3層からなる塗膜を同時に焼き付け乾燥する工程、の3コート1ベーク方式によって得られる複層塗膜形成方法。
2. 工程1の水性第1着色塗料(A)におけるウレタンエマルション(a)が、平均粒径の範囲を限定したウレタンエマルション(a1)とウレタンエマルション(a2)の少なくとも2種類のウレタンエマルションを含有し、両エマルションの固形分合計100(重量部)に対して、平均粒径が0.03〜0.29μmの範囲であるウレタンエマルション(a1)/平均粒径が0.3〜3μmの範囲であるウレタンエマルション(a2)=10/90〜90/10(重量部)の割合で含有する請求項1に記載の複層塗膜形成方法、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複層塗膜形成方法を、各工程毎に順を追ってさらに詳細に説明する。
【0012】
工程1: 水性第1着色塗料(A)の塗装
本発明の3C1Bによる複層塗膜形成方法は、まず被塗物上に水性第1着色塗料(A)が塗装される。
【0013】
被塗物について
被塗物としては、特に制限はないが、本発明においては、水平部、垂直部などの部位を有する自動車ボディが好適であり、自動車ボディの鋼板には、通常行われているように、必要に応じて、りん酸亜鉛処理、電着塗装を施しておくこともできる。
【0014】
水性第1着色塗料(A)について
水性第1着色塗料(A)の樹脂成分には、アクリルエマルション、ウレタンエマルション、ポリエステルエマルション等が配合されるが、本発明ではこの中でもウレタンエマルションを一定量配合することが好ましく、ウレタンエマルション(a)を樹脂成分の固形分合計に100重量部対して50〜90重量部含有することによって、固形分が45〜65重量%の水性第1着色塗料(A)の塗装後、塗膜に15〜30℃の温度で30秒間〜10分間セッティングを施すことによって、1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上の塗膜粘度が得られるものである。
【0015】
ここでウレタンエマルション(a)が50重量部未満であると、15〜30℃の温度で30秒間〜10分間のセッティングによって塗膜粘度を1×103Pa・秒以上とすることができず、タレなどの仕上がり性不良が発生する。またウレタンエマルション(a)が90重量部を越えると、薄膜(特に15μm未満)時にオレンジピールなどの仕上がり性不良が発生するので好ましくない。
【0016】
さらにウレタンエマルション(a)が、ウレタンエマルション(a1)とウレタンエマルション(a2)の少なくとも2種類のウレタンエマルションから構成されており、両エマルションの固形分合計100(重量部)に対して、平均粒径(注1)が0.03〜0.29μmの範囲であるウレタンエマルション(a1)/平均粒径が0.3〜3μmの範囲であるウレタンエマルション(a2)=10/90〜90/10(重量部)、好ましくは成分(a1)/成分(a2)=30/70〜70/30、さらに好ましくは成分(a1)/成分(a2)=50/50の割合で含有すると、1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上の塗膜粘度が得られ、かつ3C1B工程によって形成した塗膜が耐チッピング性が良好である効果も得られる。
(注1)平均粒径:平均粒径は、ナノサイザーN4、コールター社製、商品名を用いて測定した。
【0017】
平均粒径が0.03〜0.29μmの範囲であるウレタンエマルション(a1)が、水性第1着色塗料(A)の塗装後の塗膜粘度を1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とすること、平均粒径が0.3〜3μmの範囲であるウレタンエマルション(a2)が耐チッピング性に効果がある理由としては、平均粒径が0.03〜0.29μmの範囲であるウレタンエマルション(a1)が塗膜の流動を制御することに寄与し、平均粒径が0.3〜3μmの範囲であるウレタンエマルション(a2)が外力の緩衝に寄与する。
【0018】
上記に述べたウレタンエマルション(a)は、脂肪族および/または脂環族ジイソシアネート、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルジオールおよび/またはポリエステルジオール、低分子量ポリヒドロキシ化合物およびジメチロールアルカン酸を反応させてなる生成物を使用したエマルジョンであって、具体的には、分子内にイソシアネート基と反応し得る活性水素を持たない親水性有機溶剤の存在下または不存在下で、脂肪族および/または脂環族ジイソシアネート、数平均分子量が500〜5,000のポリエーテルジオールおよび/またはポリエステルジオール、低分子量ポリヒドロキシ化合物およびジメチロールアルカン酸を、NCO/OH当量費が1.1〜1.9の比率で、ワンショット法または多段法により重合させてウレタンプレポリマーを合成し、ついで該プレポリマーを第3級アミンで中和してから、または中和しながら、水と混合して水伸長反応を行なわしめ、水中に乳化分散させた後、必要により前記有機溶剤を留去することにより調製される平均粒径0.001〜3μm程度の自己乳化型のウレタンエマルションである。
【0019】
前記ウレタンプレポリマーの製造に用いられる脂肪族および/または脂環族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜12の脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート:
炭素数4〜18の脂環族ジイソシアネート、例えば1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート:
これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン含有変性物など)、及びこれらの2種以上の混合物などがあげられる。このうち好ましいものは、脂環族ジイソシアネートで、特に、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)および4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0020】
該成分として芳香族ジイソシアネートを用いると塗膜の焼き付け硬化時に塗膜が黄変しやすく、また塗膜が紫外線の影響により変色しやすいので好ましくない。
【0021】
前記ウレタンプレポリマーの製造に用いられる数平均分子量が500〜5,000、好ましくは1,000〜3,000のポリエーテルジオールおよび/またはポリエステルジオールとしては、例えばアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)および/または複素環式エーテル(例えばテトラヒドロフランなど)を重合または共重合(ブロックまたはランダム)させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール;
ジカルボン酸(例えばアジピン酸、コハク酸、セバチン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)とグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合させたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート;
ポリラクトンジオール、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール;ポリカーボネートジオール;およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0022】
前記ウレタンプレポリマーの製造に用いられる低分子量ポリヒドロキシ化合物としては、数平均分子量が500未満のものであって、たとえば上記ポリエステルジオールの原料としてあげたグリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);3価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);およびこれらの2種以上の混合物があげられる。該低分子量ポリヒドロキシ化合物の量は、前記のポリエーテルジオールおよびポリエステルジオールに対し、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0023】
前記ウレタンプレポリマーの製造に用いられるジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などがあげられ、好ましくはジメチロールプロピオン酸である。ジメチロールアルカン酸の量は、カルボキシル基(−COOH)としての含有率が、上記〜成分を反応させてなるウレタンプレポリマー中0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%になる量である。カルボキシ基量が0.5重量%未満では安定なエマルジョンが得難く、5重量%を越えると親水性が高くなるためエマルションが著しく高粘度となり、また塗膜の耐水性が低下する。
【0024】
ジメチロールアルカン酸の中和に用いられる3級アミンとしては、トリアルキルアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン;N−アルキルモルフォリン、例えばN−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン;N−ジアルキルアルカノールアミン、例えばN−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミン;およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0025】
このうち好ましいのはトリアルキルアミンであり、なかでもトリエチルアミンが特に好ましい。かかる3級アミンの中和量は、ジメチロールアルカン酸のカルボキシル基1当量に対し、通常0.5〜1当量、特に0.7〜1当量が好ましい。また、ポリウレタン系ポリマーを水と相溶する有機溶剤中で製造後、水を添加し、その後、有機溶剤を取り除く方法、溶剤を使用しないでポリマーを合成し、強制的に界面活性剤などを用いて、水に分散、又は溶解させる方法も挙げられる。
【0026】
その他の成分(b)について
本発明の効果を損ねない範囲で、ウレタンエマルション(a)の他に、その他の成分(b)を配合しても良く、配合量としては水性第1着色塗料(A)の樹脂成分の固形分100重量部に対して10〜50重量部の範囲である。
【0027】
その他の成分(b)としては、例えば、アクリルエマルション、スチレン−ブタジエンエマルション、クロロプレンエマルション、アクリロニトリル−ブタジエンエマルション、硬化剤、ポリエステル、水溶性アクリル樹脂等を混合使用しても良い。
【0028】
また上記エマルション中に流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、染料、ワックスエマルション、菌剤、防腐剤、各種カップリング剤等を添加しても良い。
【0029】
次に、硬化剤としては、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物などを使用することができる。メラミン樹脂としては、特に、トリアジン核1個あたり平均3個以上のメチロール基を有するメチロール化メラミン樹脂、又はそのメトキシ基の一部を炭素数2個以上のアルコキシ基に置きかわったメラミン樹脂であって、さらにイミノ基を有し且つ平均縮合度約2以下で1核体の割合が約50重量%以上である親水性メラミンが好適である。
【0030】
ブロック化ポリイソシアネ−ト化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をオキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、メルカプタンなどのブロック剤でブロックしたものを使用することができる。
【0031】
これらの硬化剤は、ウレタンエマルション(a)とその他の成分(b)の固形分合計の100重量部に対して、0〜60重量部、好ましくは20〜50重量部の割合で使用する。
【0032】
顔料成分(c)について
水性第1着色塗料(A)における顔料成分(c)は、着色顔料及び/又はメタリック顔料が包含され、着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性硫酸鉛、鉛酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、黄鉛、合成黄色酸化鉄、透明べんがら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、クロム酸ストロンチウム、シアナミド鉛、モノアゾイエロー、モノアゾイエロー、ジスアゾ、モノアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、イソインドリンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、べんがら、透明べんがら(赤)、鉛丹、モノアゾレッド、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマゼンダ、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、塩基性クロム酸鉛、酸化クロム、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレットなどが挙げられ、
またメタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、フレーク状酸化アルミウム、パールマイカ、フレーク状マイカなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、又は2種以上組み合せて使用することができる。
【0033】
上記の顔料成分(c)は、ウレタンエマルション(a)とその他の成分(b)からなる樹脂成分の固形分100重量部に対して10〜200重量部の配合される。
【0034】
また水性第1着色塗料(A)には、架橋反応を促進させるための硬化触媒として、例えば、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸;トリクロル酢酸;燐酸;モノ−n−プロピル燐酸、モノイソプロピル燐酸、モノ−n−ブチル燐酸、モノイソブチル燐酸、モノ−tert−ブチル燐酸、モノオクチル燐酸、モノデシル燐酸等のモノアルキル燐酸;
ジ−n−プロピル燐酸、ジイソプロピル燐酸、ジ−n−ブチル燐酸、ジイソブチル燐酸、ジ−tert−ブチル燐酸、ジオクチル燐酸、ジデシル燐酸等のジアルキル燐酸;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの燐酸エステル;
モノ−n−プロピル亜燐酸、モノイソプロピル亜燐酸、モノ−n−ブチル亜燐酸、モノイソブチル亜燐酸、モノ−tert−ブチル亜燐酸、モノオクチル亜燐酸、モノデシル亜燐酸等のモノアルキル亜燐酸;ジ−n−プロピル亜燐酸、ジイソプロピル亜燐酸、ジ−n−ブチル亜燐酸、ジイソブチル亜燐酸、ジ−tert−ブチル亜燐酸、ジオクチル亜燐酸、ジデシル亜燐酸等のジアルキル亜燐酸;等の酸性化合物、
テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどの含チタン化合物;オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート等の含錫化合物;
ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物;を挙げることができ、これらの少なくとも一種を用いる。
【0035】
これらの硬化触媒の配合量は、通常、ウレタンエマルション(a)、その他の成分(b)の固形分合計100重量部あたり0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の範囲内とすることができる。
【0036】
水性第1着色塗料には、さらに必要に応じて、光干渉性顔料、体質顔料、分散剤、沈降防止剤、有機溶剤、ウレタン化反応促進用触媒(例えば有機スズ化合物など)、消泡剤、増粘剤、防錆剤、紫外線吸収剤、表面調整剤などを適宜配合してもよい。
【0037】
水性第1着色塗料(A)は、以上に述べた各成分をそれ自体既知の方法で水性媒体中に溶解ないし分散させ塗料化することにより調整することができ、フォードカップNo.4、20℃で約40秒間の粘度が得られる固形分濃度を45〜65重量%の範囲内となるように調整して塗装に供する。
【0038】
水性第1着色塗料(A)は、それ自体既知の方法、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、静電塗装などにより塗装することができ、塗装膜厚は、通常、硬化塗膜で15〜100μm、好ましくは20〜40μmの範囲内とすることができる。
【0039】
工程2:固形分45〜65重量%の水性第1着色塗料(A)の塗装された塗膜は、15〜30℃の温度で、好ましくは20〜30℃の温度で、30秒間〜20分間、好ましくは3分間〜10分間のセッティングを施す。
【0040】
そのことによって水性第1着色塗料(A)を塗装し、塗着した塗料の固形分を45〜65重量%から70重量%まで上昇させて塗膜粘度(注2)を1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とする。好ましくは水性第1着色塗料(A)の固形分を45〜65重量%から75重量%まで上昇させて1×104Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とする。
(注2)塗膜粘度:塗膜粘度は、被塗物上に水性第1着色塗料を塗装し形成された塗膜の粘度HAAKE RheoStress RS150(ドイツ HAAKE社製、商品名、市販の粘度計)を用いて、シェアを0.0001秒−1 〜10000秒−1の間で変化させて測定した値である。
【0041】
従来、例えば、自動車の塗装ラインでは、水性塗料が塗装された被塗物は、通常、コンベア等で移動させながら乾燥炉によるプレーヒト又はエアブローにより予備加熱が行われるが、乾燥炉内に滞留する被塗物の台数の一時的な変化による湿度の変化や、被塗物の部位(例えば、フードやルーフ、ドアやフェンダー)によって乾燥の程度が異なってくるという現象がみられ、乾燥された塗膜上に第2の水性塗料を塗装した場合に、部位によっては混層やタレなどが発生し仕上がり性の不良を生ずることがあった。
【0042】
しかし本発明の方法に従い特定の配合の水性第1着色塗料(A)を塗装し、セッティングによって塗膜粘度を特定の値以上となるように容易にできるため、水性第2着色塗料(B)を塗装しても、タレや混層などの仕上がり性不良を生ずることないので、上記のような塗装条件を見出すことによって、従来からのプレヒートやエアブローを行うためのエネルギー、設備、ラインスペース、メンテナンスなどの低減や省略が可能となった。
【0043】
工程3: 水性第2着色塗料(B)の塗装
上記の如く被塗物上に塗装され、セッティングされた水性第1着色塗料の塗膜上には、固形分15〜50重量%の水性第2着色塗料(B)が塗装される。
【0044】
水性第2着色塗料(B)としては、例えば、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤からなる樹脂成分を、顔料、その他の添加剤と共に水に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用できる。
【0045】
顔料成分としては、水性第1着色塗料(A)に配合した顔料成分(c)が使用でき、着色顔料及び/又はメタリック顔料を用いることができる、顔料成分の少なくとも一部としてメタリック顔料を用いれば、緻密感を有するメタリック調又はシルキーなパール調の塗膜を形成することができる。
【0046】
水性第2着色塗料は、フォードカップNo.4、20℃、30〜45秒間の粘度が得られる固形分濃度を15〜50重量%、好ましくは25〜45重量%の範囲に調整して、水性第1着色塗料(A)のセッティング後の塗膜に塗装することができる。
【0047】
水性第2着色塗料(B)の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装機などで行うことができ、塗装塗膜は、通常、硬化膜厚で5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲内とすることができる。
【0048】
工程4: 予備加熱
塗装された水性第2着色塗料の塗膜は、例えば、乾燥炉によるプレヒート、エアブロー等により、約60〜約120℃、好ましくは約70〜約110℃の温度で1〜20分間程度で、予備加熱することにより乾燥することができる。
【0049】
工程5: クリア塗料の塗装
上記の如くして形成される水性第2着色塗料(B)の塗膜上には、さらにクリア塗料(C)が塗装される。クリア塗料(C)としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されているそれ自体既知のものを使用することができる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物もしくは樹脂、エポキシ基含有化合物もしくは樹脂などの架橋剤を樹脂成分として含有する有機溶剤系熱硬化型塗料が好適である。
【0050】
クリア塗料(C)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度にソリッドカラー顔料及び/又はメタリック顔料を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤などを適宜含有せしめることができる。
【0051】
クリア塗料(C)は、水性第2着色塗料の塗膜面に、それ自体既知の方法、例えば、静電塗装、エアレススプレー、エアスプレーなどにより、乾燥膜厚で10〜60μm、好ましくは25〜50μmの範囲内になるように塗装することができる。以上に述べた如くして形成される水性第1着色塗膜、水性第2着色塗膜及びクリア塗膜の3層の塗膜からなる複層塗膜は、通常の塗膜の焼付け手段により、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱等により、約80〜約170℃、好ましくは約120〜約160℃の温度で、約20分間〜約40分間程度加熱して同時に硬化させることができる。
【0052】
仕上がり性の評価:塗膜の仕上がり性の評価には、従来からの目視による評価や鏡面光沢計(20°、60°グロス計)に加えて、ウェーブスキャン プラス(BYK Gardner社製、商品名)を用いた。鏡面光沢計が写像を測定しているのに対し、ウェーブスキャン プラスは塗膜表面に焦点を合わせるものであり、波長構造として、長波長構造の Long Wave値(LW)と、短波長構造Short Wave値(SW)の2種を測定することができる。
【0053】
測定機から出るレーザー光を塗面に当てて反射光を強度を逐一検出器によって検出し、反射光の強度により肉眼での観察に近い塗膜表面の光学的凹凸を観察できる。数値が小さいほど良好なレベルである。自動車ボディなどでタレなどが生じやすい垂直部のLong Wave値(LW)として、大衆車で15以下、高級車で10以下が目安である。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、水性の3C1Bの塗装工程において、水性第1着色塗料(A)の樹脂成分の固形分100重量部に対して、ウレタンエマルション(a)を50〜90重量部を配合した水性第1着色塗料(A)を塗装し、その塗膜を加熱乾燥を施すことなく常温でセッティングをすることによって、次に固形分が15〜50重量%の水性第2着色塗料を塗装したとしても、 被塗物の部位(例えば、水平部、垂直部)にかかわらず塗膜の混層やタレなどが生ずることがなく仕上がり性に優れる複層塗膜が得られる。
また水性第1着色塗料の後、エアブローやプレヒート設備を設けて、そのエアブローの時間を長くするか、プレヒートの時間を長くするか温度を上げることなどの対策なしに、常温でのセッティングのみで、次に水性第2着色塗料を塗装することが可能になったことから、プレヒートやエアブローを行うための設備、工程、ラインスペースが省略でき、生産性向上や環境問題を配慮した効果が得られた。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0056】
製造例1 ウレタンエマルションNo.1の製造
加熱装置、攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、テキサノール 86部、ポリプロピレングリコール(分子量約1000)200部、ポリカプロラクトンジオール(分子量約530)74部、及び2,2'−ジメチルプロピオン酸21部を仕込んで100℃に昇温し、イソホロンジイソシアネート111部を滴下した。滴下終了後、100℃で攪拌し1時間後に、n−ブチルアルコール14.8部を加え、100℃で2時間攪拌した後40℃に冷却し、トリエチルアミン(TEA)16.2部、脱イオン水で調整し、固形分40%のウレタンエマルションNo.1を得た。このウレタンエマルションの平均粒子径は0.19μmであった。
【0057】
製造例2 ウレタンエマルションNo.2の製造
加熱装置、攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、アセトン271部、ポリエステルポリオール(注3)を500部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29.2部、およびヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を103.3部加え、次いで、予め調製しておいたアセトンが161部、ジメチロールブタン酸(DMBA)が37.2部、トリエチルアミン(TEA)が25.3部からなるカルボン酸塩溶液とジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.036部を仕込み60℃で2時間反応させ、プレポリマーを得た。
このイソシアネートに、予め調製しておいたアセトン74部、イソホロンジアミン(IPDA)19.2部からなるアミン溶液を仕込み、2時間かけて鎖延長反応させた。
反応終了後、脱イオン水 568部仕込んで転相させ、その後アセトンを除去して、固形分40.0%のウレタンエマルションNo.2を得た。このウレタンエマルションNo.2の平均粒子径は0.35μmであった。
(注3)ポリエステルポリオール:2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを重合反応させて得られる、ポリエステル構成単位40重量%、ε−カプロラクトン60重量%、重量平均分子量2,000。
【0058】
製造例3 ウレタンエマルションNo.3の製造
加熱装置、攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、平均分子量2,000のポリブチレンアジペート115.5部、数平均分子量2,000のポリカプロラクトンジオール115.5部、ジメチロールプロピオン酸23.2部、1,4−ブタンジオール6.5部および1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)120部を重合器に仕込み、撹拌しながら窒素ガス雰囲気下で85℃で7時間反応してプレポリマーを得た。
次に、このプレポリマーを50℃まで冷却し、アセトン165部を加え均一に溶解した後、撹拌下にトリエチルアミン(TEA)10.5部を加え、50℃以下に保ちながら脱イオン水 600部を加え、得られた水分散体を50℃で2時間保持し水伸長反応を完結させた後、減圧下、70℃以下でアセトンを留去し、固形分40%のウレタンエマルションNo.3を得た。このウレタンエマルションNo.3の平均粒子径は1.02μmであった。
【0059】
製造例4 アクリルエマルションの製造
加熱装置、攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに脱イオン水282部、界面活性剤「ニューコール707SF」(日本乳化剤株式会社製、固形分30%)2.4部を加え、窒素置換後、80℃に保ち、0.7部の過硫酸アンモニウムを加えた。
続いて直ちに脱イオン水352部、「ニューコール707SF」64.5部、メチルメタクリレート268部、n−ブチルアクリレート268部、メタクリル酸134部及び過硫酸アンモニウム1.3部からなるプレエマルションを滴下ロートにより3時間にわたって均一に滴下し、さらに80℃で2時間保持した後に冷却して、脱イオン水で調整することによって固形分40%、酸価129mgKOH/gのアクリルエマルションを得た。
【0060】
製造例5 ポリエステルエマルションの製造
加熱装置、攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入装置及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール105部、トリメチロールプロパン273部、2,2−ブチルエチルプロピレングリコール320部、アジピン酸219部、及び無水フタル酸 384.8部を仕込んで加熱した。
原料が融解して攪拌ができるようになったら攪拌を開始して、150℃から230℃まで、縮合水を系外へ留去させながら3時間かけて昇温させた。その後、230℃に保持し、反応生成物の酸価が8mgKOH/gとなるまで反応させた後、170℃に冷却した。
さらに、無水トリメリット酸76.8部を加え、170℃で30分間保持した後、中和剤としてトリエチルアミンを6部加え、脱イオン水で調整して、固形分40%のポリエステルエマルションを得た。得られたポリエステルは、数平均分子量が3000、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/gであった。
【0061】
製造例6 アクリル樹脂水溶液の製造
115℃に保ったブチルセロソルブ35部に、アクリル酸-n-ブチル16.7部、メタクリル酸メチル15部、スチレン30部、アクリル酸2−エチルヘキシル20部、メタクリル酸ヒドロキシルエチル12部、アクリル酸6.3部及びアゾイソブチロニトリル1部を加え、通常の条件で重合反応を行った。得られたアクリル樹脂は酸価が50mgKOH/g、水酸基価が50mgKOH/g、数平均分子量が45000であった。ついでこのアクリル樹脂のカルボキシル基をジメチルアミノエタノールで当量中和し、固形分が55%のアクリル樹脂水溶液を得た。
【0062】
製造例7 水性第1着色塗料No.1の製造
40%ウレタンエマルションNo.1 125部(固形分 50部)、40%ウレタンエマルションNo.3 50部(固形分 20部)、40%ウレタンエマルションNo.1 25部(固形分 10部)、80%サイメル325 25部(固形分20部)、チタン白JR−806 120部、カーボンMA−100 0.1部、及び脱イオン水 55.1部を加えて十分に攪拌し、固形分60%の水性第1着色塗料No.1を得た。
その後フォードカップNo.4、20℃で約40秒間の粘度が得られるように調整し、固形分55%の水性第1着色塗料No.1を得た。
【0063】
製造例8〜13 水性第1着色塗料No.2〜7の製造
下記表2に示す配合で、水性第1着色塗料No.1の製造例と同様の操作を行なうことにより、水性第1着色塗料No.2〜7を得た。
【0064】
【表1】
【0065】
(注4)サイメル325(三井サイテック社製、商品名、イミノ基含有メラミン樹脂)。
【0066】
(注5)チタン白JR−806(テイカ社製、商品名、酸化チタン)。
【0067】
(注6)カーボンMA−100(三菱化学社製、商品名、カーボンブラック)。
【0068】
製造例14 水性第2着色塗料の製造
前記アクリル樹脂水溶液(A) 163部
メラミン樹脂水分散液(注7) 131部
顔料成分(注8) 3部
脱イオン水 171部
アクワゾールASE−60 (注9) 3部
ジメチルアミノエタノール 0.3部
上記各成分を混合し脱イオン水で、粘度40秒(フォードカップ#4/20℃)に調整して、固形分25%の水性第2着色塗料を得た。
【0069】
(注7)メラミン樹脂水分散液:温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた2リットルの4つ口フラスコに、メラミン126部、80%パラホルムアルデヒド(三井東圧化学製)225部、n−ブタノール592部を入れ、10%カセイソーダ水溶液にてpH9.5〜10.0に調整したのち、80℃で1時間反応させた。その後、n−ブタノールを888部加え、5%硫酸溶液にてpH5.5〜6.0に調整し、80℃で3時間反応させた。反応終了後、20%カセイソーダ水溶液にてpH7.0〜7.5まで中和し、60〜70℃でn−ブタノールの減圧濃縮を行ない、濾過して固形分27重量%の疎水性メラミン樹脂を得た。不揮発分80%、水/メタノール混合溶剤(重量比35/65)の溶剤希釈率3.6%、重量平均分子量800。
このメラミン樹脂を固形分が25部になるように撹拌容器内にとり、アクリル樹脂水溶液(アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、及びアクリル酸からなる50%樹脂水溶液)を20部加え、回転数1000〜1500回転のディスパーで撹拌しながら脱イオン水80部を徐々に加えた後、さらに30分間撹拌して水分散化された固形分27%、平均粒子径0.11μmのメラミン樹脂水分散液を得た。
【0070】
(注8)顔料成分:商品名「アルペースト891K」、東洋アルミニウム社製、アルミニウム含有量72%。アクワゾールASE−60:ロームアンドハース社製の商品名、増粘剤。
【0071】
実施例及び比較例
実施例1
パルボンド#3020(日本パーカライジング株式会社製、商品名、りん酸亜鉛処理)を施した亜鉛メッキ鋼板に、エレクロンGT−10LFグレー(関西ペイント株式会社製、商品名、カチオン電着塗料)で塗膜が20μmの電着塗板を用い、以下の工程にて複層塗膜を形成した。
工程1:製造例1にて得た水性第1着色塗料No.1を30μm塗装した。なお塗装時の固形分濃度は55%であった。(フォードカップNo.4、20℃で約40秒間)
工程2:水性第1着色塗料の塗膜を25℃にて10分間セッティングした。その時の水性第1着色塗料No.1の塗膜粘度は、3.5×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)であった。
また塗膜の一部を掻き採り固形分を測定したところ73%であった。
工程3:製造例14で得た固形分25重量%の水性第2着色塗料を20μm塗装した。
工程4:水性第2着色塗料の塗膜を80℃にて10分間、予備加熱した。
工程5:クリヤ塗料HK−4(関西ペイント株式会社製、商品名、クリヤ塗料)を乾燥膜厚で膜厚が40μmになるように塗装し、140℃で20分間焼き付けて、3層の複層塗膜を同時に硬化させた。
【0072】
実施例2〜5、比較例1〜3
水性第1着色塗料No.1〜No.7を用いて、下記の表2に示す工程で、実施例2〜5、及び比較例1〜3の塗板を作成した。塗膜の特性と仕上がり性の結果を示す。
【0073】
【表2】
(注10)塗装時の固形分:フォードカップNo.4を用い、20℃のとき40秒間に調整した時の塗料固形分。
【0074】
(注11)塗膜固形分(%):セッティング後の塗膜を一部掻き採って、固形分を測定した。
【0075】
(注12)仕上がり性:複層塗膜を垂直塗装にて作成し、塗面状態を目視観察して評価した
○:タレ、ムラ、混層の発生がなく仕上がり性が良好
△:タレ、ムラ、混層の発生が認められた
×:タレ、ムラ、混層の発生が著しく認められた。
【0076】
(注13)60°グロス:複層塗膜を垂直塗装にて作成し、JIS K-5400 7.6(1990)の60°鏡面光沢度に従い、塗膜の光沢の程度を測定した。
【0077】
(注14)ウェーブスキャン値:複層塗膜を垂直塗装にて作成し、ウェーブスキャン プラス(BYK Gardner社製)を用いてウェーブスキャン値の長波長構造 Long Wave(LW)値と短波長構造Short Wave(SW)値を測定した。
【0078】
(注15)耐チッピング性:飛石試験機 JA−400型(スガ試験機社製、商品名、チッピング試験装置)の試片保持台に試験板を設置し、−20℃において、0.392MPa(4kgf/cm2)の圧縮空気により粒度7号の花崗岩砕石50gを塗面に吹き付け、これによる塗膜のキズの発生程度などを目視で観察し評価した。
評価:塗膜状態
○:キズの大きさは小さく、中塗り塗膜(本組成物の塗膜)が露出している程度
△:キズの大きさは小さいが、素地の鋼板が露出している
×:キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している
Claims (1)
- 被塗物上に、水性第1着色塗料(A)、水性第2着色塗料(B)、及びクリヤ塗料(C)を用いて、
工程1:水性第1着色塗料(A)を塗装する工程であって、構成成分がウレタンエマルション(a)とその他の成分(b)からなる樹脂固形分100重量部中に、ウレタンエマルション(a)が50〜90重量部、その他の成分(b)が10〜50重量部を含有し、該ウレタンエマルション(a)が、平均粒径の範囲を限定したウレタンエマルション(a 1 )とウレタンエマルション(a 2 )の少なくとも2種類のウレタンエマルションを含有し、両エマルションの固形分合計100(重量部)に対して、平均粒径が0.03〜0.29μmの範囲であるウレタンエマルション(a 1 )/平均粒径が0.3〜3μmの範囲であるウレタンエマルション(a 2 )=10/90〜90/10(重量部)の割合で含有し、樹脂固形分100重量部に対して、顔料成分(c)を10〜200重量部配合してなる固形分が45〜65重量%の水性第1着色塗料(A)を塗装する工程、
工程2:常温でセッティングを施す工程であって、水性第1着色塗料(A)を塗装によって得られた塗膜粘度を1×103Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とする工程、
工程3:固形分が15〜50重量%の水性第2着色塗料(B)を塗装する工程、
工程4:予備加熱を施す工程、
工程5:クリア塗料(C)を塗装して、3層からなる塗膜を同時に焼き付け乾燥する工程、の3コート1ベーク方式によって得られる複層塗膜形成方法。
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