JP4092143B2 - 無水マレイン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法に関し、更に詳しくは、該共沸脱水する工程において、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%の有機溶媒を共沸溶媒として用いて共沸脱水することを特徴とする、無水マレイン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無水マレイン酸は、反応性の大きい二重結合と二つのカルボキシル基が脱水して無水物となった形で有することから、化学的に種々の反応を行うことができ、医薬、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などをはじめ、可塑剤、農薬等各種の分野で多用される汎用化合物である。この無水マレイン酸は、n−ブタンなどの炭素数4以上の脂肪族炭化水素やベンゼン等を接触気相酸化反応器で酸化し、得られる無水マレイン酸やマレイン酸を含有するガスからマレイン酸を回収して脱水等により無水マレイン酸にする方法によって製造される。また、ナフタリンやo−キシレンの接触気相酸化反応によって無水フタル酸を製造する際に排出される排ガスの洗浄水にも相当量のマレイン酸が含まれることから、該洗浄水を回収しこれを同様にして無水マレイン酸とする方法によっても製造されている。
【0003】
一般に、無水マレイン酸を接触気相酸化反応を経て製造する場合には、接触気相酸化反応によって得た無水マレイン酸をそのまま精製する場合と、これを一旦水溶液に捕集して得られた粗マレイン酸含有水溶液を脱水し、マレイン酸を無水マレイン酸に再転化して製造する方法等がある。
【0004】
例えば、特公昭41−3172号公報には、ベンゼンと空気との混合ガスを接触気相酸化して無水マレイン酸を製造する方法として、無水マレイン酸を含む反応ガスを水と接触させ、粗マレイン酸含有水溶液を得て、溶融無水マレイン酸中に溶解して該混合溶液を130〜160℃の無水マレイン酸−芳香族炭化水素の混合溶液中に連続的に添加して液相でマレイン酸を脱水する無水マレイン酸の連続製造法が記載されている。無水マレイン酸を脱水するための芳香族炭化水素としては、キシレン、サイメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ジクロロベンゼンなどがあり、その量は、使用する共沸溶媒の種類によって異なるが通常はマレイン酸の脱水によって生成する水のモル数の2〜5モル倍である。
【0005】
また、特開昭50−50316号公報には、脂肪族または芳香族炭化水素の接触酸化によって得たマレイン酸含有ガスを水捕集した粗マレイン酸含有水溶液をさらに、温度100〜150℃、圧力400〜760mmHgで処理して溶融マレイン酸を得て、これを温度115〜165℃、圧力40〜200mmHgで蒸発脱水して無水マレイン酸を得る方法が記載されている。該方法は、マレイン酸の一部を無水マレイン酸に転化し、同伴する不純物を水で処理してフマル酸や他の不溶性の不純物からなる固相とマレイン酸を含む水性液相を形成させ、固相は瀘過により瀘別して系外に除去し、得られたマレイン酸を含む水性濾液を再循環させて精製することを特徴とする。上記製造方法は、無水マレイン酸の連続製造方法における不純物による経時的な装置内への堆積をおさえ、該堆積に基づく閉塞や熱の伝導性の低下などによる弊害を防止するための方法である。
【0006】
更に、特開昭63−313782号公報には、マレイン酸主体の有機物を20〜40重量%の範囲で含有する排ガス洗浄水を、脱水塔においてo−キシレンと共沸蒸留してマレイン酸を無水マレイン酸に転化して無水マレイン酸を製造する際に、脱水塔の下部から得られる無水マレイン酸に同伴するピッチを減圧蒸発器で除去する無水マレイン酸の製造方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記等の接触気相酸化反応によって無水マレイン酸を得る場合には、いずれも副生するベンゾキノン等の不純物や、さらには無水マレイン酸の精製工程で副生するフマル酸などによって連続製造装置内の閉塞などが生じる場合が多い。上記特開昭50−50316号公報記載の方法は、このような無水マレイン酸の連続製造方法における不純物による経時的な装置内への堆積をおさえ、該堆積に基づく閉塞や熱の伝導性の低下などによる弊害を防止するための方法であるが、十分な閉塞防止には至っていない。また、特公昭41−3172号公報記載の方法でも満足行くものではない。
【0008】
また、上記した方法とは異なり、閉塞物の発生を化学的に抑制する方法として、ベンゼンやC4留分炭化水素を接触気相酸化反応して得た反応性ガスを水に吸収させて得られた粗マレイン酸含有水溶液等から無水マレイン酸を製造するに際して、粗マレイン酸含有水溶液に過酸化水素を添加して濃縮、脱水を行う無水マレイン酸の製造方法が特公平3−76311号公報に開示されている。該公報によれば、粗マレイン酸含有水溶液には各種の不純物が含有され、これらの不純物は原料としてどのような炭化水素を用いた場合にも中間生成物、副生成物として混在するものであり、反応触媒の改質等を行っても完全に防ぐことは困難としている。その結果、上記不純物として、例えばフェノール類とアルデヒド類、キノン類とアルデヒド類が混在すると樹脂化またはゲル化が進行してしまい、樹脂状・ゲル状物質が生成しこれらによって装置が閉塞するとしている。そして、該粗マレイン酸含有水溶液に過酸化水素を添加して濃縮、脱水を行うと、過酸化水素によりこれらの不純物を分解できるので、上記の樹脂状・ゲル化物質の生成が防止できるとしている。しかしながら、副生する蟻酸によって精製装置が腐食するという新たな問題が発生する。また、さらに過酸化水素は無水マレイン酸の重合開始剤であることが知られている。このため、特に操作温度が高温である共沸脱水蒸留塔では、閉塞物となるマレイン酸重合体が新たに発生することになる。よって特公平3−76311号公報の方法も工業的なマレイン酸の製造工程における装置の閉塞を防止する手法としては十分ではない。そして、共沸脱水蒸留塔で閉塞物が発生すると長期にわたる連続運転をすることができなくなる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、装置等の腐食を生じさせず、あわせて閉塞物の発生を防ぎ、内部構造が複雑であるため、閉塞が起こった場合には洗浄作業が煩雑で困難な共沸脱水蒸留塔での閉塞物の付着を防止し、長期間の連続運転を可能とする無水マレイン酸の製造方法を提供するものである。また、当該接触気相酸化反応で副生される不純物を系外に除去することもできる優れた精製工程としても有効な無水マレイン酸の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、接触気相酸化反応による副生物の種類や無水マレイン酸の製造工程で発生する閉塞物、特に共沸脱水塔での閉塞物について詳細に検討した結果、閉塞は接触気相酸化反応によって副生するアルデヒド類とキノン類との縮合物、マレイン酸の単独重合物、マレイン酸の異性体であるフマル酸やマレイン酸の析出物など複数の不溶性物質が共沸脱水塔などの精製装置内に付着して発生することが判明した。そして一方、マレイン酸やフマル酸は、水に対する溶解度が有機溶媒に対する溶解度よりも高いため、共沸溶媒として親水性の有機溶媒を使用して共沸脱水を行なうと、蒸留塔内の油水分離状態を緩和することで、脱水工程における閉塞を極めて効率的に防止できることを見出し、本発明を完成させた。また、閉塞防止に有効な親水性の有機溶媒は、反応で副生される軽沸酸分、特に蟻酸や酢酸などと共沸組成を形成しにくく、これらを留出除去する効果が低い。よって共沸溶媒として親水性の有機溶媒以外に、さらに蟻酸や酢酸などと共沸組成を形成する別の有機溶媒を併用することで蟻酸や酢酸も除去できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明は、粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%の有機溶媒を共沸溶媒(1)として用いることを特徴とする、無水マレイン酸の製造方法を提供するものである。無水マレイン酸製造工程における濃縮・脱水工程で従来析出物として現れることが問題であったマレイン酸やフマル酸は水に対する溶解度が高く、親水性ではない有機溶剤への溶解度は一般的に低い。本発明では、水との相溶性という特定の物性を有するケトン類やエステル類などの有機溶剤を共沸溶媒として使用し、共沸脱水蒸留塔内での油水分離の状態を解消しその結果、縮合物の生成原因物質であるアルデヒド類とキノン類の水相での濃縮が低減でき、アルデヒド類とキノン類との縮合反応を抑制することができることを見出した。併せて、マレイン酸やフマル酸の析出や無水マレイン酸重合体の共沸溶媒への溶解度を増加させ、析出物による閉塞を防止することができることも見出した。
【0012】
また、本発明は、粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、水と共沸組成を形成し温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%である共沸溶媒(1)と、蟻酸および/または酢酸と共沸組成を形成する共沸溶媒(2)との混合物を共沸溶媒として用いることを特徴とする、無水マレイン酸の製造方法を提供するものである。上記ケトン類やエステル類などの親水性の有機溶媒は、副生物である酸類、特に蟻酸や酢酸と共沸組成を形成せず、これら副生酸類の分離が困難なため、得られる無水マレイン酸の純度を低下させる原因となる場合がある。よって上記の脱水工程において水と親和性を有する共沸溶媒(1)と、酸類、特に蟻酸や酢酸と共沸組成性を有する共沸溶媒(2)との特定割合の混合物を共沸溶媒として用いると、析出物による共沸脱水塔の閉塞を防止しつつ、共沸脱水蒸留の工程の段階で副生酸類を効率よく除去できる精製プロセスとすることができる。また、共沸脱水蒸留工程後の精製工程を簡略化することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、本発明は、粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%の有機溶媒を共沸溶媒(1)として用いることを特徴とする無水マレイン酸の製造方法である。該共沸溶媒(1)として、ケトン類またはエステル類があり、これは共沸脱水蒸留の際に水や共沸混合物との間に生ずる油水分離状態を緩和し、均一相またはそれに近い状態を形成するため、固形析出物の少ない条件で当該共沸蒸留を行なうことができる。なお、本願明細書における「最大溶解濃度」とは、実施例の項で規定する最大溶解濃度を意味するものとする。また、化学便覧やバイルシュタインなどに記される溶解度や溶解性データを参考にしてもよい。
【0014】
粗マレイン酸含有水溶液を共沸脱水する際には、共沸溶媒を使用することが一般的であるが、従来は、キシレン、サイメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ジクロールベンゼン等の芳香族系化合物であって比較的水に対する溶解度の低い有機溶剤を共沸溶媒として使用して共沸脱水蒸留を行なっていた。しかし、水に対する溶解度が低い上記有機溶剤を使用すると実際の蒸留時の、蒸留塔内温度においても水やマレイン酸などとの相溶性がなく、蒸留塔内で粗マレイン酸含有水溶液に含まれる水と上記の共沸溶媒とが油水分離した状態となる。粗マレイン酸含有水溶液に含まれるマレイン酸および不純物であるアルデヒド類やキノン類などは水溶性であって水相に主に存在するため、上記油水分離した状態の水相で濃縮されさらに蒸留時の高温に長時間さらされると、アルデヒド類やキノン類の縮合反応が進みやすく、固体析出物を産生する一因となる。また、マレイン酸やその異性体であるフマル酸や無水マレイン酸重合体は水溶性であり、従来開示される芳香族系の有機溶媒への溶解性がほとんどないため、有機溶媒中で析出しやすく、やはり閉塞の一因となる。本発明者が、共沸脱水蒸留塔内の運転状況を詳細に観察したところによると、脱水が不十分で水圧が存在している塔内領域では、水相側にアルデヒド類やキノン類が濃縮されて縮合物による閉塞が起こりやすくなる。また、脱水が進行し水分がほとんど存在しない塔内領域では、水溶性であるマレイン酸や無水マレイン酸重合体などの析出による閉塞が起こりやすくなることが判った。
【0015】
これに対し、親水性を有する有機溶媒を共沸溶媒として使用して共沸脱水を行なうと、蒸留塔内における油水分離状態が緩和され、アルデヒド類とキノン類の水相への極在化も抑えられこれらの水相内濃度を低下させ、両者による縮合反応を抑制できることが判明した。このような親水性を有する有機溶媒としては、目的物であるマレイン酸やフマル酸、または生成するおそれのある縮合物あるいは、マレイン酸重合体との反応性のないものであって、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、特に好ましくは1〜3質量%の有機溶媒である。水に対する最大溶解濃度が0.1質量%を下回ると、上記した油水分離状態を発生しやすくなり、その一方5質量%を越えると、油水分離状態の改善効果はあるが、共沸脱水蒸留で水とともに塔頂に留出した有機溶媒を冷却後に水と分液して回収利用する場合に、水相へのロス量が大きくなり、分液回収量が減少するために工業的な実施としては不利となる。よって、上記の有機溶媒を本発明では共沸溶媒(1)として使用する。
【0016】
また、本発明で使用する共沸溶媒(1)が示す物性としては、さらに温度20℃(常圧)におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、好ましくは0.1〜8.0質量%、より好ましくは0.3〜7.0質量%、特には1.0〜7.0質量%であることが好ましい。本発明で使用する上記の共沸溶媒(1)がマレイン酸に対する溶解度が高く、かつマレイン酸との親和性を有する場合には、共沸脱水工程におけるマレイン酸、フマル酸の析出を防止することができ、その結果、無水マレイン酸重合体等の水溶性の固体物の析出をも防止することができる。また、同時にフマル酸への異性化並びにフマル酸の析出をも防止できるため、本発明の好ましい実施形態の一つである。
【0017】
本発明で使用する共沸溶媒(1)は、更に、圧力1013hPaにおける沸点が80〜190℃、より好ましくは100〜170℃、特には110〜160℃の範囲のものであることが好ましい。沸点が190℃より高いと無水マレイン酸の沸点と近くなり、有機溶媒とともに留去する割合が高くなるため好ましくない。また、沸点が80℃より低いと蒸留塔内の脱水反応温度が低下して脱水速度が低下し、有利に製造ができなくなるからである。
【0018】
本発明で使用する共沸溶媒(1)としては、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、および2−へプタノン等のケトン類、酢酸アミル、酢酸アリル等のエステル類、メチルシクロヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類がある。これらの中で本発明では、特にメチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、2−ヘキサノン等のケトン類や酢酸アリルなどのエステル類が好ましい。これらのケトン類やエステル類は水との相溶性を有し、共沸溶媒(1)に対するマレイン酸、フマル酸やマレイン酸重合体等の溶解度が増加し、析出問題を解決することができるからである。なお、最大溶解濃度は圧力によっても変動するが、本発明における最大溶解濃度は、常圧(1013hPa)での値とする。本発明で使用する共沸溶媒(1)の最大溶解濃度は、化学便覧(丸善株式会社発行)やバイルシュタイン・オンライン(STNインターナショナルでの検索)などに記載されたデータより以下のように示すことができる。また、実施例で示す方法によって測定することもできる。具体的には、メチルイソブチルケトン(1.91質量%)、ジイソプロピルケトン(0.43質量%)、3−ペンタノン(4.6質量%)、2−ヘキサノン(1.75質量%)、3−ヘキサノン(1.57質量%)、2−へプタノン(0.44質量%)、酢酸アミル(0.25質量%)、酢酸アリル(2.8質量%)、2−エチル−1−ヘキサノール(0.10質量%)である。特にはケトン類がマレイン酸の溶解度に優れる点で好ましい。ケトン類は、上記条件を満足し、無水マレイン酸の製造工程における閉塞物の発生防止効果や閉塞物の溶解性にも優れ、かつ目的物であるマレイン酸や無水マレイン酸との反応性がないからである。
【0019】
上記の共沸溶媒(1)は、ベンゼンを原料として接触気相酸化により無水マレイン酸を製造する場合に、共沸脱水溶媒としてこれを使用すると、該プロセスでは共沸脱水塔における閉塞物質の一つである縮合物の原因物質であるアルデヒド類やキノン類の副生量が多いため特に効果的である。しかしながら、これらのアルデヒド類やキノン類は、原料がベンゼンの場合だけでなく、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素系を原料にする無水マレイン酸の製造や、ナフタリンやo−キシレンを原料とする無水フタル酸製造の際に排出される排ガスの中から無水マレイン酸を回収する場合でも発生する。このため、本発明の方法はいずれの原料を用いた製造方法においても有用であり、例えば、n−ブタンを接触気相酸化反応して得た無水マレイン酸含有ガスを水洗捕集し、上記特性を有する有機溶媒を用いて共沸脱水蒸留する工程を含む場合にも有効であり、共沸脱水塔の閉塞防止に効果を発揮し、長期運転を可能とすることができる。
【0020】
本発明では、粗マレイン酸含有水溶液の共沸脱水において、上記共沸溶媒(1)の1種を単独で使用するほか、2種以上を併用することができる。
【0021】
更に、共沸溶媒(1)の物性を有しない有機溶媒が混在しても、得られた溶媒混合物が共沸溶媒(1)が示すと同等の物性、すなわち、特定範囲の水との共沸点、マレイン酸の溶解性、水に対する溶解性を有する場合には、上記共沸溶媒(1)を使用した場合と同様の効果が得られる場合がある。
【0022】
また、共沸溶媒(1)を必須成分とする溶媒混合物であり特定の有機溶媒を混合して用いる場合を発明の第二の発明として後述する。また、本発明では、共沸溶媒(1)を単独で使用するほか、共沸溶媒(1)以外の他の溶媒を併用する場合でも、その溶媒混合物の特性として少なくとも、圧力1013hPaにおける水との共沸点が70〜100℃、より好ましくは80〜100℃、特には85〜100℃を示し、温度20℃におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、好ましくは0.1〜8.0質量%、より好ましくは0.3〜7.0質量%、特には1.0〜7.0質量%であり、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、特には1〜3質量%であれば、アルデヒド類とキノン類との縮合物の発生を防止し、かつマレイン酸、フマル酸、マレイン酸重合体などの固形物の析出を防止できる。
【0023】
このような溶媒混合物としては、上記共沸溶媒(1)であるメチルイソブチルケトン、3−ペンタノンや3−ヘキサノンに対して、共沸溶媒(1)以外の他の有機溶媒を全量が100質量%となるように他の有機溶媒を1〜40質量%、より好ましくは3〜35質量%、特には5〜30質量%の範囲内で配合したものがある。水に対する溶解度の低い有機溶媒、すなわち共沸溶媒(1)以外の他の有機溶媒を40質量%を超えて使用すると、析出物抑制の効果が低下する場合があり、また1質量%を下回って使用しても、配合の効果が期待できないからである。なお、このような水に対する溶解度の低い有機溶媒を混合して使用することで、共沸溶媒(1)の使用量を少なくし経済的な有機溶媒の選定ができる。このような他の有機溶媒としては、混合使用しても前記の粗マレイン酸含有水溶液の共沸脱水に支障のないものであればいずれでも使用することができる利点がある。具体的には、トルエン、キシレン、オクタン、クメン、メシチレン、エチルベンゼン、ジメチルシクロヘキサンなどの炭化水素類や、イソプロピルスルフィド、アリルスルフィドなどのイオウ含有化合物、ブロモベンゼン、ヨードプロパンなどのハロゲン化物などを好ましく使用することができる。マレイン酸の該溶媒混合物に対する最大溶解度が上記範囲を超えると、高い溶解度ゆえにマレイン酸の回収率が低下し、一方該最大溶解度が上記範囲を下回ると、該溶媒混合物中にマレイン酸やフマル酸が析出しやすくなる。
【0024】
更に、該溶媒混合物としては、上記の溶媒混合物としての特性を有していれば上記共沸溶媒(1)を全く含まない場合であってもよい。上記のごとく、本発明は、特定の親水性を有する共沸溶媒を使用することで共沸脱水蒸留における上記油水分離状態を緩和し、アルデヒド類とキノン類との縮合反応を抑制でき、および閉塞物の発生を防止できる点を見出したことに特徴があり、この趣旨を満たすものとして、上記特性を有する共沸溶媒を必ず使うことに限定されるものではない。すなわち、本発明では、使用する溶媒の種類を問わず、粗マレイン酸含有水溶液を共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、圧力1013hPaにおける水との共沸点が70〜100℃を示し、温度20℃におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%である溶媒混合物を用いて共沸脱水することができる。
【0025】
このような組成の溶媒混合物としては、アミルアルコールと酢酸アミルとの溶媒混合物がある。該溶媒混合物が、例えば、水45.9質量%およびアミルアルコール12.2質量%と、酢酸アミル41.9質量%の組成比であると、水との共沸点は94.9℃であり、アミルアルコール12.2質量部と酢酸アミル41.9質量部との溶媒混合物の温度20℃におけるマレイン酸の最大溶解濃度は6.68質量%であり、温度20℃の水に対する最大溶解濃度は0.19質量%である。該溶媒混合物を用いると、内部構造が複雑であるため閉塞が起こった場合には、洗浄作業が煩雑で困難な共沸脱水蒸留塔での、閉塞物の付着を防止し、長期間の装置の稼動を可能にすることができる。
【0026】
このような共沸溶媒(1)や溶媒混合物の共沸脱水工程における使用量は、使用する共沸溶媒(1)や溶媒混合物の組成比によっても異なるが、粗マレイン酸含有水溶液に含まれる水分および無水化によって発生する水分の合計量1質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲、特には2〜5質量部の範囲であることが好ましい。水に対する有機溶媒の使用量が少なければ、熱消費量が少なくなり工業的に有利となる。
【0027】
以下、本発明の第一の無水マレイン酸の製造方法の好ましい態様の一例を、図1を用いて説明する。なお、図1において、1は反応ガス、10は無水マレイン酸捕集器、11は粗製無水マレイン酸、20は水洗捕集器、21はリサイクル捕集水、30は濃縮装置、40は共沸脱水塔、50は油水分離槽、51は廃水、60は高沸点分離装置、61は残渣、70は溶媒分離塔、71は共沸溶媒、80は精製塔、81は精製無水マレイン酸、90は溶媒回収塔である。
【0028】
まず、図示しない接触気相酸化反応器に原料ガスを供給する。供給される原料ガスとしては、接触気相酸化反応によって生成物としてマレイン酸を生ずるものであれば特に制限はなく、無水マレイン酸を製造するために使用される公知の炭化水素を原料ガスとして用いることができる。例えば、ベンゼンや、ブタン(n−ブタン)、ブテン類(1−ブテン、2−ブテン)、ブタジエン(1,3−ブタジエン)等の炭素数4以上の炭化水素、またはo−キシレン、ナフタレンの1種またはこれらの2種以上の混合物が例示できる。本発明では、ベンゼンを接触気相酸化反応の原料ガスとすることが好ましい。原料種の相違によって副生物も相違し、特にベンゼンを原料ガスとする際の副生物によって発生する閉塞物、特に縮合物の抑制に効果的だからである。また、ベンゼンを原料ガスとする以外でも、本件の製造方法は適応可能である。
【0029】
反応器に使用する触媒についても、マレイン酸または無水マレイン酸を生成するものであれば公知の触媒を使用でき、バナジウムを主成分として含有する酸化触媒を用いることができる。このような触媒としては、特開平5−261292号公報、特開平5−262754号公報、特開平5−262755号公報、特開平6−145160号公報に記載される触媒などを好ましく使用することができる。
【0030】
接触気相酸化反応は文字通り酸化反応であるから、原料ガスと共に分子状酸素含有ガスを供給する。このような分子状酸素含有ガスとしては、通常空気が使用されるが、不活性ガスで希釈された空気、酸素を加えて富化された空気等を使用することもできる。
【0031】
反応条件は従来公知の方法を採用できるが、使用する酸化触媒の種類や供給原料濃度、分子状酸素含有ガス濃度等によって適宜変更してもよい。例えば、バナジウム−リン系触媒を用いて、温度を300〜600℃で反応させる。接触気相酸化反応器から排出される反応ガスは、無水マレイン酸と共に副生する反応成分や原料ガス自体に含有されていた不純物がそのままの形状で含まれ、更に該不純物や原料化合物の酸化物である低沸点物質や高沸点物質、さらに非凝縮性ガスが含まれている。なお、本発明において低沸点物質とは、標準状態においてマレイン酸よりも沸点が低い物質をいい、蟻酸、酢酸、アクリル酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、p−ベンゾキノン、水等が例示できる。また、高沸点物質とは、標準状態においてマレイン酸よりも沸点が高い物質をいい、無水フタル酸やフマル酸などが例示できる。更に、非凝縮性ガスとは、標準状態で気体の物質をいい、具体的には、窒素、酸素、空気、プロピレン、プロパン、一酸化炭素、二酸化炭素等が例示できる。なお、上記の標準状態とは、常圧1013hPa(1気圧)、温度0℃の状態のことである。
【0032】
ベンゼンの接触気相酸化反応によって得られる反応ガスの組成は、一般に、無水マレイン酸(以下、反応ガスの組成における「無水マレイン酸」には、無水マレイン酸に換算したマレイン酸を含むものとする。)2〜5質量%、水蒸気を除く低沸点物質として、酢酸、アルデヒド等が0.01〜0.1質量%、高沸点物質として無水フタル酸等が0.005〜0.03質量%、残りは非凝縮性ガスと水蒸気である。
【0033】
次に、反応器から排出された反応ガスを無水マレイン酸捕集器(10)に供給する。無水マレイン酸捕集器(10)では、無水マレイン酸の融点以上、かつ沸点以下、より好ましくは55〜120℃、特に好ましくは60〜100℃で冷却し、無水マレイン酸の一部を液体で捕集する。無水マレイン酸の蒸気圧残分があるためこの冷却後の反応ガスにも無水マレイン酸が多量に存在する。このため、このような無水マレイン酸の冷却による捕集工程を行った後には、該工程後の排出ガスを水洗捕集器(20)に供給し、多量に存在する無水マレイン酸を水溶液中に捕集し粗マレイン酸含有水溶液として回収する。
【0034】
水洗捕集器(20)の捕集条件は、従来公知の方法を採用できる。捕集液としては、水を使用することができるが、マレイン酸の濃縮、脱水工程で発生した水または水溶液の一部を捕集液の一部として使用することもできる。塔頂温度は、無水マレイン酸の捕集率を向上させるためには低温であることが好ましく、水洗捕集器(20)に付属させた冷却器を使用して捕集塔塔頂温度を10〜90℃、より好ましくは20〜60℃とする。10℃を下回ると、マレイン酸の最大溶解濃度が下がり結晶が析出し、水洗捕集器(20)の圧力損失の増加や液の分散性の悪化による捕集塔(20)の段効率の低下を招く。その上、過量の冷却エネルギーが必要となるからである。一方、90℃を越えると無水マレイン酸の捕集率が低下するからである。
【0035】
該反応ガスは、水洗捕集器(20)では、塔底液のマレイン酸濃度が10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%になるように捕集水(21)を捕集塔の上部から塔内に導入して無水マレイン酸含有ガスと向流接触させて無水マレイン酸を捕集する。マレイン酸濃度が80質量%を上回るとマレイン酸の析出防止のために捕集温度を90℃以上に上げる必要があり、捕集率が低下し、その一方10質量%を下回ると粗マレイン酸含有水溶液の濃縮・脱水工程で留出させる水が多くなり、不経済である。
【0036】
なお、図1と相違して、無水マレイン酸捕集器(10)による液体状態での無水マレイン酸の捕集を行わずに、該反応ガスの全てを水洗捕集器(20)に供給して、粗マレイン酸含有水溶液として捕集してもよい。
【0037】
次いで、粗マレイン酸含有水溶液を共沸脱水塔(40)に供給する。この際、粗マレイン酸含有水溶液は、ベンゼンを接触気相酸化して得た反応生成ガスを水捕集したものであることが、本発明の閉塞防止効果がより顕著になる点、あるいは、含まれる蟻酸、酢酸、アクリル酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、p−ベンゾキノン等の低沸点物質を本発明の共沸脱水工程で除去できる点等によりより好ましい実施形態となる。なお、該粗マレイン酸含有水溶液は、共沸脱水塔(40)に供給される前段階で水を留出させて濃縮してもよい。このような濃縮装置(30)としては、従来公知の棚段塔、濡れ壁塔、スプレー塔などの公知の塔に加え、薄膜蒸発器を用いることができる。係る濃縮装置としては、薄膜蒸発器が好ましい。
【0038】
このような共沸脱水塔(40)としては、棚段塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔などの公知の塔を用いることができる。かかる共沸脱水塔(40)は、上記水洗捕集器(20)と同様に、通常、棚段塔または充填塔が好ましい。その一方、理論段数が3段以上、より好ましくは4〜20段、特には5〜15段の蒸留塔を用いることが好ましい。3段未満ではマレイン酸と共沸溶媒との接触時間が不足し、脱水率の低下をまねく。また、無水マレイン酸の塔頂への留出が多くなり、無水マレイン酸のロスが増大することになる。このような弊害が生じない程度に必要十分な段数であればよく、あまり段数が多いと設備費が高くなり、不経済である。
【0039】
本発明では、粗マレイン酸含有水溶液を共沸蒸留によって脱水する際に、少なくとも温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%の有機溶媒を共沸溶媒(1)として使用することを特徴とする。このような共沸溶媒(1)としては、上記した各種の有機溶媒があり、特にMIBKを使用することが好ましい。また、共沸脱水条件は使用する共沸溶媒によって異なるため、例えば、共沸溶媒としてMIBKを使用する場合には、該共沸脱水塔(40)には、粗マレイン酸含有水溶液1質量部に対して3〜5質量部のMIBKを供給する。一般には、塔頂圧力(絶対圧)100〜2000hPa、より好ましくは300〜1500hPaとする。100hPaを下回ると真空装置が大型化するばかりでなく、塔内温度が低くなり、マレイン酸やフマル酸が結晶化して蒸留できない場合がある。その一方2000hPaを越えると塔底温度が高くなりリボイラーの大型化の他に重合物が発生し易くなるばかりでなく、高耐圧装置にする必要が生じ不経済である。また、塔頂温度は50〜150℃,より好ましくは60〜130℃である。50℃を下回るとコンデンサーが大型となり、その一方150℃を越えると塔内でマレイン酸の重合が発生しやすくなるばかりでなく無水マレイン酸の塔頂への留出が多くなり、無水マレイン酸のロスが増大することになる。
【0040】
塔底温度は130〜200℃、より好ましくは150〜195℃である。130℃を下回るとマレイン酸の脱水反応が遅くなり、マレイン酸の脱水不充分となり、無水マレイン酸の収率低下につながる。一方、200℃を超えると無水マレイン酸の沸点に近くなり留出が起こり好ましくなく、また分解及び重合が発生しやすくなるからである。このような共沸脱水条件とするために、共沸溶媒の種類や添加量、粗マレイン酸含有水溶液中の水濃度、原料供給段の変更、塔頂に付属させるコンデンサーの還流比、塔段数、温度、圧力、その他の条件を調整すればよい。
【0041】
共沸脱水に用いる共沸溶媒または溶媒混合物としては、無水マレイン酸の製造工程で回収した共沸溶媒(71)を再使用するものであってもよい。また、図1に示すように共沸溶媒は、共沸脱水塔(40)に直接供給する場合に限られず、供給原料に混在させて共沸脱水塔(40)内に供給してもよい。また、共沸溶媒は、本発明に記載の物性を持った溶媒混合物を使用することもできる。このような溶媒混合物は、圧力1013hPaにおける水との共沸点が70〜100℃の溶媒混合物であって、温度20℃におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%である溶媒混合物であることが好ましく、このような物性を有する溶媒の混合物となるように調整した後に、共沸脱水塔(40)に供給すればよい。
【0042】
本発明では、共沸脱水の際に共沸脱水塔(40)の塔頂部に油水分離槽(50)を付属させ、塔頂留出液の共沸溶媒を還流させる。本発明で使用する共沸溶媒(1)としての有機溶媒は、水に対して溶解性を有することが特徴であるため、塔頂留出液の水相側には有機溶媒が含まれている。より経済的なプロセスとするためには、この有機溶媒を共沸脱水蒸留塔へ回収して使用することが有利な方法である。塔頂留出液の水相は溶媒回収塔(90)に供給することで、溶解している有機溶媒を蒸留し、塔頂より分離して油水分離槽(50)に送り、共沸脱水蒸留塔で共沸溶媒として回収使用する。また、塔底からは、有機溶媒を含まない回収水として得る。なお、溶媒回収塔(90)としては、従来公知の棚段塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔などを使用することができる。
【0043】
共沸脱水塔(40)の塔底液は高沸点分離装置(60)に供給して高沸点物質を分離した後に後工程の精製を行う方法が装置の閉塞を防止することができるため有利な方法である。例えば、接触気相酸化反応によって副生された無水フタル酸、フマル酸や高沸点の重合物や縮合物等が残渣(61)として排出される。
【0044】
ここで高沸点分離装置(60)としては、連続式でもバッチ式でもよく従来公知の棚段塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔などの公知の塔に加え、回転式滞留槽型蒸発器や薄膜蒸発器を好ましく用いることができる。また、上記の形式の装置を単独または複数の組み合わせで、直列または並列に使用することができる。連続式で行う場合には、薄膜蒸発器を直列に2段にして用いることが好ましい。なお、図1に示すように、粗製無水マレイン酸(11)を共沸脱水塔(40)の塔底液と共に高沸点分離装置(60)に供給して精製を行ってもよい。
【0045】
高沸点分離装置(60)の蒸留条件は、蒸留塔を使用した場合には、従来公知の蒸留条件で蒸留することができ、例えば、塔頂圧(絶対圧)1〜40kPa、より好ましくは3〜20kPaである。また、塔頂温度は70〜170℃、より好ましくは90〜140℃で稼動させる。また、留出量は、製品中の高沸点不純物の許容量に従い適宜決定することができる。還流比は、通常0.3〜3である。
【0046】
また、高沸点分離装置(60)として薄膜蒸発器を使用した場合には、一般には、温度80〜200℃、より好ましくは110〜180℃とする。
【0047】
次いで、高沸点分離装置から排出されるガス成分には無水マレイン酸のほかに、共沸溶媒が残存する場合には、次いで溶媒分離塔(70)に供給して共沸溶媒を分離する。また、共沸脱水蒸留で共沸溶媒をボトムに残存しないかごく微量となるような運転条件とした場合には、この工程を省略することもできる。
【0048】
このような溶媒分離塔(70)としては、棚段塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔などの公知の塔を用いることができる。かかる溶媒分離塔(70)は、上記水洗捕集器(20)と同様に、通常、棚段塔または充填塔が好ましい。
【0049】
共沸溶媒分離塔の条件は、従来公知の条件を採用でき、例えば塔頂温度60〜140℃、還流比1〜30、塔頂圧力(絶対圧)10〜60kPaである。なお、高沸点分離装置(60)による高沸点物質の除去工程と溶媒分離塔(70)による共沸溶媒の除去工程とはいずれを先に行ってもよい。
【0050】
従来は、共沸脱水塔(40)の塔内および塔底にゲル状物質が付着する。具体的には、共沸脱水塔の塔内の内壁や棚段、あるいは、棚段部材の孔等に付着する。しかもこの付着物は水洗によっても容易に除去できず、このため無水マレイン酸の製造工程において、共沸脱水塔やその周辺設備では定期的な洗浄やアルカリ洗浄が必要であった。しかしながら、本発明では共沸溶媒(1)として親水性の有機溶媒を使用することで、不純物によって発生するゲル状物質の付着やマレイン酸やフマル酸の析出などによる閉塞物の発生を抑制することができ、プラントの長期稼動を達成できる。
【0051】
本発明では、このように使用した共沸溶媒を除去し、および高沸点物質を除去した無水マレイン酸を更に精製塔(80)に供給して精製し、無水マレイン酸(81)を製品としてもよい。なお、精製塔(80)での精製条件は、塔頂絶対圧力2〜40kPa、塔頂温度80〜170℃の範囲であることが好ましく、その他は公知の条件を採用することができる。
【0052】
本発明の第二は、粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、水と共沸組成を形成し温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%である共沸溶媒(1)と、蟻酸および/または酢酸と共沸組成を形成する共沸溶媒(2)との混合物を共沸溶媒として用いることを特徴とする、無水マレイン酸の製造方法である。
【0053】
粗マレイン酸含有水溶液を共沸脱水する際に水に対する溶解度が低い有機溶媒を使用すると、蒸留塔内温度においても水やマレイン酸などとの相溶性がなく、蒸留塔内で粗マレイン酸含有水溶液に含まれる水と共沸溶媒とが油水分離した状態となる。粗マレイン酸含有水溶液に含まれるマレイン酸および不純物であるアルデヒド類やキノン類などは水溶性であって水相に主に存在するため、水相で濃縮されてアルデヒド類やキノン類の縮合反応が進みやすくなり、固体析出物を産生する一因となる。また、マレイン酸やその異性体であるフマル酸やマレイン酸および無水マレイン酸重合体は水溶性であり、有機溶媒への溶解性がほとんどないため、有機溶媒中で析出しやすく、やはり閉塞の一因となる。これに対し、親水性を有する有機溶媒を使用して共沸脱水を行なうと、蒸留塔内における油水分離状態が緩和され、アルデヒド類とキノン類の水相への極在化を抑えこれらの水相内濃度を低下させ、両者による縮合反応を抑制できることが判明した。このような親水性を有するものとして、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%の、水と共沸組成を形成する共沸溶媒(1)を使用することにした。その一方、該共沸溶媒(1)は、水とは共沸組成物を形成するが無水マレイン酸反応工程で副生される軽沸酸分、特にその主成分である蟻酸や酢酸などとは共沸組成物を形成しない。このため共沸蒸留によって蟻酸や酢酸などを除去することが困難である。また蟻酸や酢酸は、水とも共沸組成物を形成しないため水を留去させても蟻酸や酢酸などは水と共沸して留去することはない。そこで本発明では、共沸溶媒(1)と共に、蟻酸および/または酢酸と共沸組成を形成する共沸溶媒(2)を併用することで、共沸脱水工程において閉塞物の発生を防止すると共に、反応工程で副生する軽沸酸分を共沸によって除去することにした。なお、本明細書において、軽沸酸分とは、蟻酸、酢酸、アクリル酸などのマレイン酸よりも沸点の低い酸類の化合物をいう。
【0054】
本発明の第二で使用する共沸溶媒(1)としては、上記第一の発明で記載した共沸溶媒(1)が使用でき、具体的には、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、特に好ましくは1〜3質量%の有機溶媒である。水に対する最大溶解濃度が0.1質量%を下回ると、上記した油水分離状態を発生しやすくなり、その一方5質量%を越えると、油水分離状態の改善効果はあるが、共沸脱水蒸留で水とともに塔頂に留出した有機溶媒を冷却後に水と分液して回収利用する場合に、水相へのロス量が大きくなり、分液回収量が減少するために不利となる。
【0055】
また、本発明の第二で使用する共沸溶媒(1)が示す物性としては、さらに温度20℃(常圧)におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、好ましくは0.1〜8.0質量%、より好ましくは0.3〜7.0質量%、特には1.0〜7.0質量%であることが好ましい。本発明で使用する上記の共沸溶媒(1)がさらに上記のようにマレイン酸に対する最大溶解濃度が高く、マレイン酸との親和性を有する場合には、共沸脱水工程におけるマレイン酸、フマル酸や無水マレイン酸重合体等の水溶性の固体物の析出を防止することができ、同時にフマル酸への異性化並びにフマル酸の析出をも防止できるから好ましい形態である。
【0056】
本発明の第二で使用する共沸溶媒(1)は、更に、圧力1013hPaにおける沸点が80〜190℃、より好ましくは100〜170℃、特には110〜160℃の範囲のものであることが好ましい。沸点が190℃より高いと無水マレイン酸の沸点と近くなり、共沸溶媒とともに留去する割合が高くなるため好ましくない。また、沸点が80℃より低いと蒸留塔内の脱水反応温度が低下して脱水速度が低下し、有利に製造ができなくなるからである。
【0057】
本発明で使用する共沸溶媒(1)としては、上記第一の発明で記載した共沸溶媒(1)を使用することができる。具体的には、第一の発明で記載した有機溶媒を、例えばMIBK、ジイソプロピルケトン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−へプタノン等のケトン類、酢酸アミル、酢酸アリル等のエステル類、メチルシクロヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類がある。本発明では、特にMIBK、ジイソプロピルケトン、2−ヘキサノン等のケトン類や酢酸アリルなどのエステル類を使用することが好ましい。これらのケトン類やエステル類は水との相溶性を有し、共沸溶媒に対するマレイン酸、フマル酸やマレイン酸および無水マレイン酸重合体等の溶解度が増加し、析出問題を解決することができるからである。特にはケトン類がマレイン酸の溶解度に優れる点で好ましい。上記条件を満足し、無水マレイン酸の製造工程における閉塞物の発生防止効果や溶解性に優れ、かつ目的物であるマレイン酸や無水マレイン酸との反応性がないからである。本発明では、上記の1種を単独でまたは2種以上を混合して、共沸溶媒(1)として使用することができる。
【0058】
また、本発明の第二で使用する共沸溶媒(2)としては、蟻酸および/または酢酸と共沸組成を形成するものを広く使用することができ、より具体的には、トルエン、キシレン、オクタン、クメン、メシチレン、エチルベンゼン、ジメチルシクロヘキサンなどの炭化水素類や、イソプロピルスルフィド、アリルスルフィドなどのイオウ含有化合物、ブロモベンゼン、ヨードプロパンなどのハロゲン化物などを好ましく使用することができる。これらの沸点、蟻酸との共沸点、酢酸との共沸点を表1に示す。
【0059】
本発明の第二で使用する共沸溶媒(2)は、更に、圧力1013hPaにおける沸点が80〜190℃、より好ましくは100〜170℃、特には110〜160℃の範囲のものであることが好ましい。沸点が190℃より高いと無水マレイン酸の沸点と近くなり、共沸溶媒とともに留去する割合が高くなるため好ましくない。また、沸点が80℃より低いと蒸留塔内の脱水反応温度が低下して脱水速度を低下させることになり、有利に製造ができなくなるからである。本発明では、上記共沸溶媒の1種を単独でまたは2種以上を混合して、共沸溶媒(2)として使用することができる。
【0060】
またさらには上記の共沸溶媒(2)のうち、汎用品としての入手のし易さ、価格、使用温度範囲での安定性などの点から、特に炭化水素類が好ましく使用できる。
【0061】
【表1】
Figure 0004092143
【0062】
本発明の第二の発明は、閉塞物の発生防止とともに、蟻酸や酢酸を共沸によって除去することを目的として、上記共沸溶媒(1)と共沸溶媒(2)との混合物を共沸溶媒として使用するのであるが、この際、両者の混合比は、共沸溶媒(1)と共沸溶媒(2)との混合物質量に対して、該共沸溶媒(2)の含有割合を1〜40質量%とすることが好ましい。より好ましくは3〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。1質量%を上回る混合比とすることで蟻酸や酢酸などの副生する軽沸酸分の除去効率はより向上する。一方、40質量%を下回る混合比とすることで、親水性の有機溶媒を使用することによる析出物抑制の効果を著しく低下させることなく、かつ軽沸酸分を除去し、有効に共沸脱水蒸留による精製工程を行なうことができ好ましい。
【0063】
具体的には、共沸溶媒(1)としてMIBKを95質量%、共沸溶媒(2)としてo−キシレンを5質量%配合したもの(混合物A)や、共沸溶媒(1)としてMIBKを80質量%、共沸溶媒(2)としてn−オクタンを20質量%配合したもの(混合物B)、共沸溶媒(1)として2−ヘキサノンを75質量%、共沸溶媒(2)としてエチルベンゼンを25質量%配合したもの(混合物C)などが例示できる。このような混合物を共沸溶媒として使用すると、例えば混合物Aでは、留出液組成は水との共沸点88.2℃であって、蟻酸との共沸点が95.5℃である3成分系溶媒混合物となる。共沸蒸留塔として、濃縮部5段、回収部10段の有堰の段塔を用いて塔底温度170℃で稼動した場合には、水相20.1質量%、混合物Aの油相79.9質量%の共沸組成物となる。以上の方法を用いることにより、内部構造が複雑であるため閉塞が起こった場合には、洗浄作業が煩雑で困難な共沸脱水蒸留塔での、閉塞物の付着を防止し、かつ蟻酸等の軽沸酸分を簡便に除去できる。該共沸溶媒(1)と該共沸溶媒(2)との混合物は、温度20℃の水に対する最大溶解濃度が0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%,特に好ましくは1〜3質量%であり、温度20℃におけるマレイン酸の最大溶解濃度が0.1〜10.0質量%、好ましくは0.1〜8.0質量%、より好ましくは0.3〜7.0質量%、特に好ましくは1.0〜7.0質量%である。
【0064】
上記の共沸溶媒(1)と共沸溶媒(2)との混合物は、特にベンゼンを接触気相酸化して無水マレイン酸を製造する場合には縮合物の原因物質であるアルデヒド類やキノン類の副生量が多いために効果的である。しかしながら、これらの閉塞物の発生原因物質は、原料がベンゼンの場合だけでなく、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素系や、ナフタリンやo−キシレンを原料とする無水フタル酸製造の副生物としての無水マレイン酸の製造の場合でも発生する。このため、本発明の方法はいずれの原料を用いた製造方法においても有用であり、例えば、n−ブタンを接触気相酸化反応して得た無水マレイン酸含有ガスを水洗捕集し、上記特性を有する有機溶媒を用いて共沸脱水蒸留する工程を含む場合にも有効である。共沸脱水塔の閉塞防止に効果を発揮しかつ蟻酸等の軽沸酸分を効果的に除去して、長期運転を可能とすることができる。
【0065】
このような共沸溶媒(1)と共沸溶媒(2)との混合物による共沸脱水工程での使用量は、使用する有機溶媒や溶媒混合物の組成比によっても異なるが、粗マレイン酸含有水溶液に含まれる水分および無水化によって発生する水分の合計量1質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲、特には2〜5質量部の範囲であることが好ましい。水に対する有機溶媒の使用量が少なければ、熱消費量が少なくなり工業的に有利となる。
【0066】
以下、本発明の第二の無水マレイン酸の製造方法の好ましい態様の一例を、図1を用いて説明する。
【0067】
本願第二の発明は、上記第一の発明に準じて行うことができる。そこで,主として第一の発明との相違について説明する。本発明では、粗マレイン酸含有水溶液を共沸蒸留によって脱水する際に、共沸溶媒(1)と共沸溶媒(2)との混合物を共沸溶媒として使用することを特徴とする。このような混合物としては、上記した各種の有機溶媒があり、共沸溶媒(1)としては特にMIBKを使用することが好ましく、共沸溶媒(2)としてはキシレンやオクタンを使用することが好ましい。共沸脱水条件は使用する共沸溶媒によって異なるため、例えば、共沸溶媒としてMIBK75質量%とキシレン25質量%との混合物を使用する場合には、該共沸脱水塔(40)には、粗マレイン酸含有水溶液1質量に対して2.2〜3.8質量のMIBKと0.8〜1.2質量のo−キシレンとを供給し、合計3〜5質量とする。これらは予めMIBKとトルエンとの混合物を調製した後に、共沸脱水塔(40)に供給してよいし、それぞれ別個に供給してもよい。一般には、塔頂圧力(絶対圧)100〜2000hPa、より好ましくは300〜1500hPaとする。100hPaを下回ると真空装置が大型化するばかりでなく、塔内温度が低くなり、マレイン酸やフマル酸が結晶化して蒸留できない場合がある。その一方2000hPaを越えると塔底温度が高くなりリボイラーの大型化の他に重合物が発生し易くなるばかりでなく、高耐圧装置にする必要が生じ不経済である。また、塔頂温度は50〜150℃,より好ましくは60〜130℃である。50℃を下回るとコンデンサーが大型となり、その一方150℃を越えると塔内でマレイン酸の重合が発生しやすくなるばかりでなく無水マレイン酸の塔頂への留出が多くなり、無水マレイン酸のロスが増大することになる。
【0068】
塔底温度は130〜200℃、より好ましくは150〜195℃である。130℃を下回るとマレイン酸の脱水反応が遅くなり、マレイン酸の脱水不充分となり、無水マレイン酸の収率低下につながる。一方、200℃を超えると無水マレイン酸の沸点に近くなり留出が起こり好ましくなく、また分解及び重合が発生しやすくなるからである。このような共沸脱水条件とするために、共沸溶媒の種類や添加量、粗マレイン酸含有水溶液中の水濃度、原料供給段の変更、塔頂に付属させるコンデンサーの還流比、塔段数、温度、圧力、その他の条件を調整すればよい。
【0069】
共沸脱水に用いる共沸溶媒としては、無水マレイン酸の製造工程で回収した共沸溶媒(71)を再使用するものであってもよい。また、図1に示すように共沸溶媒は、共沸脱水塔(40)に直接供給する場合に限られず、供給原料に混在させて共沸脱水塔(40)内に供給してもよい。
【0070】
本発明の第二においても、共沸脱水の際に共沸脱水塔(40)の塔頂部に油水分離槽(50)を付属させ、塔頂留出液の共沸溶媒を還流させることが好ましい。また、本発明の第二においては、図1に示すように、粗製無水マレイン酸(11)を共沸脱水塔(40)の塔底液と共に高沸点分離装置(60)に供給して精製を行ってもよい。
【0071】
なお、高沸点分離装置(60)による高沸点物質の除去工程と溶媒分離塔(70)による共沸溶媒の除去工程とはいずれを先に行ってもよい。
【0072】
従来は、共沸脱水塔(40)の塔内および塔底にゲル状物質が付着した。具体的には、共沸脱水塔の塔内の内壁や棚段、あるいは、棚段部材の孔等に付着した。しかもこの付着物は水洗によっても容易に除去できず、このため無水マレイン酸の製造工程において、共沸脱水塔やその周辺設備では定期的な洗浄やアルカリ洗浄が必要であった。しかしながら、本発明では親水性の共沸溶媒とともに蟻酸および/または酢酸と共沸組成を形成する有機溶媒との混合物を使用することで、不純物によって発生するゲル状物質の付着やマレイン酸やフマル酸の析出などによる閉塞物の発生を抑制することができ、プラントの長期稼動を達成できるとともに、共沸脱水蒸留の工程で副生酸類を除去することができる。
【0073】
また、本発明の第二の製造方法で得られる無水マレイン酸においては、無水マレイン酸中に存在する酢酸の量が1800ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、さらには500ppm以下、もっとも好ましくは300ppm以下である事は好ましい形態である。また、蟻酸の含有量としては、0〜200ppmの範囲、より好ましくは、0〜100ppmの範囲である。さらに好ましくは、0〜50ppmの範囲である。本発明の第二においては特定の共沸溶媒(2)を、共沸溶媒(1)と併用するので、共沸脱水塔の塔底液中の無水マレイン酸中に存在する軽沸分である上記の酢酸や蟻酸の量を低減することが可能となる。その結果、共沸脱水工程後の精製工程を簡略化することも可能になる。よって、本発明の第二において、共沸脱水塔の塔底液中の無水マレイン酸中に存在する酢酸および/または蟻酸が上記の範囲であることは好ましい形態である。
【0074】
本発明の第二においても、このように共沸溶媒を除去し、および高沸点物質を除去した無水マレイン酸を更に精製塔(80)に供給して精製し、無水マレイン酸(81)を製品としてもよい。
【0075】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0076】
(参考例1:水に対する有機溶媒の最大溶解濃度による、溶媒選定方法)
本発明で使用する1種の有機溶媒または2種以上の溶媒混合物の選定は以下の方法による。100mlの密閉できる蓋付のガラス容器に温度20℃の純水80gを入れ、スターラーで攪拌しながら対象とする有機溶媒または溶媒混合物を滴下し、1時間後の溶解状態を目視で観察する。溶け残りのあった場合には、1回の滴下量をさらに少なくして再度上記の溶解性を確認する。なお溶質である有機溶媒または溶媒混合物の最小滴下量は0.02gとした。このようにして、とけ残りがないと認められる最大滴下量(溶質質量)を求め、水(溶媒)80gへの最大溶解濃度として算出した。具体的には、
最大溶解濃度(質量%)=(溶質/(溶質+溶媒))×100の式で、求めたものが、本発明における最大溶解濃度である。これらの値は本文中に記載した化学便覧やバイルシュタインに記載される当該溶媒の水への溶解性データとほぼ一致した。なお、本件の実施例は、80gの溶媒に溶解する各溶質の最大溶解濃度を、上記式に従い算出したものである。最大溶解濃度は液温20℃で測定する。なお、2種以上の有機溶媒を混合して共沸脱水蒸留で使用する場合には、上記の方法によってその混合物の最大溶解濃度を測定する。
【0077】
上記に従って評価した、o−キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソプロピルケトン(DIPK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、ジブチルーテル(DBE)およびMIBK85%とo−キシレ15%との溶媒混合物の溶解性を表2に示す。
【0078】
(参考例2:該溶媒に対するマレイン酸またはフマル酸の最大溶解濃度の測定)
100mlの密閉できる蓋付のガラス容器に温度20℃の溶媒80gを入れ、スターラーで攪拌しながら最大溶解濃度測定項目の試薬特級グレードのマレイン酸またはフマル酸を添加し、目視で溶解状態を確認した。1時間攪拌しても溶け残りがある時は不溶とした。溶け残りのあった場合には、1回の添加量をさらに少なくして再度上記の最大溶解濃度の確認を行なった。なお最小滴下量は0.01gとした。このようにして、とけ残りがないと認められる最大滴下量(溶質質量)を求め、各溶媒80gへの最大溶解濃度として算出した。具体的には、
最大溶解濃度(質量%)=(溶質/(溶質+溶媒))×100の式で、最大溶解濃度として求めたものが、本発明における最大溶解濃度である。最小適下量0.01g(0.006質量%)でもとけ残った場合、不溶とした。なお、最大溶解濃度は液温20℃で測定する。
【0079】
結果を表2に示す。表2から、水への最大溶解濃度や、マレイン酸やフマル酸の最大溶解濃度は、MIBKが他の物質より比較的高い数値を示した。DIPK、DIBKとケトン基がより高い分子量の置換基になるに従ってMIBKよりも最大溶解濃度は低下してゆく傾向が見られたが、MIBKはマレイン酸やフマル酸を溶解した。しかし、o−キシレンはマレイン酸やフマル酸を溶解せず、かつ水へのこれらの物質での最大溶解濃度をほとんど示さない。なお、o−キシレンは、水への溶解性が低くかつマレイン酸やフマル酸を溶解しないが、MIBK85%とo−キシレン15%との溶媒混合物は、水への最大溶解濃度が1.57と比較的高く、マレイン酸の最大溶解濃度3.41、フマル酸の最大溶解濃度0.11と、他の物質より最大溶解濃度が高かった。
【0080】
【表2】
Figure 0004092143
【0081】
(実施例1)
1リットルガラス製フラスコに撹拌機および還流冷却器を取り付けた容器に、試験液として、表3に示す有機溶剤82質量%、マレイン酸12質量%、純水6質量%を混合した液500gに、マレイン酸に対してホルムアルデヒド9000質量ppm、ベンゾキノン150質量ppm、ハイドロキノン150質量ppmを添加して、共沸脱水蒸留の塔内推定組成液を調製した。これを、オイルバス中常圧下で加熱して析出物である縮合物の生成を試験して確認した。
【0082】
この試験条件は、温度:内温100℃または液が沸騰状態となる温度、熱経時テスト時間:2時間(内温95℃となった後の時間)、縮合物生成の確認:冷却後1μmメンブランフィルターで吸引ろ過し、メンブランフィルター上に縮合物である析出固形分が得られたかどうかを確認、とした。結果を表3に示す。なお、表中の試験時間後加熱時の油水分解状態は、2時間熱経時テスト直後の状態で観察した。
【0083】
表3の結果から、共沸溶媒としてMIBK、及びMIBK85%とo−キシレン15%との溶媒混合物を使用した場合には塔内推定組成物は、油水分離せず均一の状態であった。この理由として、MIBK及びMIBK85%とo−キシレン15%との溶媒混合物は水に対する最大溶解濃度が高く、また酸分であるマレイン酸やフマル酸などの溶媒混合物への溶解度も有するためと考えられた。しかしDBEやo−キシレンを使用した場合には、油水分離して試験液は二相に別れた状態であった。また縮合物の生成についてもMIBK溶媒を使用した場合には試験液ろ過後のメンブランフィルター上に縮合物である析出固形分は得られなかった。一方、DBEやo−キシレン溶媒を使用した場合では、メンブランフィルター上に析出固形分が得られ、縮合物が生成していることが確認できた。
【0084】
【表3】
Figure 0004092143
【0085】
(実施例2)
図1に示す工程に従って無水マレイン酸を製造した。
【0086】
まず、ベンゼンの接触気相酸化反応により排出された無水マレイン酸を含む反応ガスを、無水マレイン酸捕集器(10)の出口ガス温度が60℃にコントロールして無水マレイン酸を捕集した。その後、この無水マレイン酸捕集器(10)の出口ガスを水洗捕集器(20)に導入した。ついで、水洗捕集器(20)で該ガスを水で洗浄し42質量%粗マレイン酸含有水溶液を得た。なお、得られた粗マレイン酸含有水溶液にはホルムアルデヒド3200質量ppm、ベンゾキノン57質量ppm、ハイドロキノン30質量ppmを含んでいた。この粗マレイン酸含有水溶液に対して共沸脱水溶剤としてMIBKを使用して共沸脱水を行なった。
【0087】
共沸脱水塔(40)として、濃縮部32φ有堰5段、回収部50φ有堰10段の蒸留塔を使用した。共沸溶媒は、マレイン酸水溶液の溶解水および発生水に対し3.5質量倍を塔頂から供給し、常圧、塔底温度170℃で8時間共沸脱水蒸留を行なった。系内組成が一定になった時点での塔底液組成は、無水マレイン酸90.2質量%、MIBK7.5質量%、マレイン酸2.24質量%、無水フタル酸0.06質量%、ホルムアルデヒド0.01質量%以下、ベンゾキノン0.01質量%以下、ハイドロキノン0.01質量%であり、塔頂留出組成は、MIBK層78質量%、水層22質量%であった。ホルムアルデヒド、マレイン酸はほとんど水相に分配し、それぞれ0.51質量%、0.0001質量%であった。8時間の運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物およびマレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。結果を表4に示す。なお、表4における「塔内汚れ状況」の観察において、縮合物と無水マレイン酸重合体とは以下のごとく区別した。すなわち、蒸留操作後に蒸留塔を水もしくは温水で洗浄して除去できる粘着物が無水マレイン酸重合体である。またこの操作で除去することができず、0.1N水酸化ナトリウム希釈水溶液での溶解除去が必要な黒色付着物を縮合物と判断した。
【0088】
(比較例1)
実施例2において使用した共沸溶媒MIBKに代えて、o−キシレンを使用し、共沸溶媒をマレイン酸水溶液の溶解水および発生水に対し2.5質量倍を塔頂から供給した以外は、実施例2と同様のボトム温度として8時間の共沸脱水蒸留を行なった。結果を表4に示す。
【0089】
【表4】
Figure 0004092143
【0090】
表4から明らかなように、共沸脱水溶媒の違いにより8時間の蒸留稼動後に共沸脱水塔内に閉塞物である縮合物やマレイン酸の析出、無水マレイン酸重合体の析出物等を観察した。MIBKを共沸脱水溶剤に使用した場合には、縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は全く観察されなかった。またフマル酸の析出による閉塞も観察されなかった。このため8時間以上の蒸留の長時間操作も可能であった。一方、比較例としてo−キシレンを共沸脱水溶剤に使用した場合には、縮合物の析出が多量に見られた。またフマル酸の析出も見られ、特に、蒸留塔回収部トレー上に固体結晶の状態で存在していた。
【0091】
(比較例2)
実施例2において使用した共沸溶媒MIBKに代えて、DBEを使用し、共沸溶媒をマレイン酸水溶液の溶解水および発生水に対し4.0質量倍を塔頂から供給した以外は、実施例2と同様のボトム温度として8時間の共沸脱水蒸留を行なった。その結果、比較例1と同様の塔内の汚れが発生した。結果を表5に示す。
【0092】
(比較例3)
実施例2において使用した共沸溶媒MIBKに代えて、DIBKを使用し、共沸溶媒をマレイン酸水溶液の溶解水および発生水に対し1.5質量倍を塔頂から供給した以外は、実施例2と同様のボトム温度として8時間の共沸脱水蒸留を行なった。その結果、比較例1と同様の塔内の汚れが発生した。結果を表5に示す。なお、表5における「塔内汚れ状況」の評価は、表4と同じ基準を用いた。
【0093】
【表5】
Figure 0004092143
【0094】
(1)MIBK等の有機溶媒と酢酸とは、J&W Scientific社製DB−5 カラムを用いたガスクロマトグラフィーで測定した。
【0095】
(2)蟻酸、マレイン酸、フマル酸は、GLサイエンス社製InertsilODS−3 カラムを用いた液体クロマトグラフィーで測定した。
【0096】
(実施例3)
図1に示す工程に従って無水マレイン酸を製造した。
【0097】
まず、ベンゼンの接触気相酸化反応により排出された無水マレイン酸を含む反応ガスを、無水マレイン酸捕集器(10)の出口ガス温度を60℃にコントロールして粗製無水マレイン酸(11)を捕集した。その後、この無水マレイン酸捕集器(10)の出口ガスを水洗捕集器(20)に導入した。ついで、水洗捕集器(20)で該ガスを洗浄し、次いで、粗マレイン酸含有水溶液を得た。該溶液のマレイン酸濃度は42質量%であり、水分58質量%、酢酸2000質量ppm、蟻酸70質量ppmを含んでいた。この粗マレイン酸含有水溶液に対して共沸脱水溶媒としてMIBK85質量%とo−キシレン15質量%を混合して使用し共沸脱水を行った。
【0098】
共沸脱水塔(40)として、濃縮部32φ有堰5段、回収部50φ有堰10段の蒸留塔を使用した。塔底から数えて第10段目から粗マレイン酸含有水溶液を供給した。共沸溶媒は、マレイン酸水溶液の溶解水および無水化によって発生する水分に対して3.5質量倍を塔頂から供給し、常圧、塔底温度170℃で8時間共沸脱水蒸留を行った。結果を表6に示す。系内組成が一定になった時点での塔底組成は、無水マレイン酸88.41質量%、MIBK0.04質量%、o−キシレン8.70質量%、マレイン酸1.81質量%、フマル酸1.04質量%、蟻酸0質量ppm、酢酸0質量ppmであり、共沸脱水塔内に供給された液中の軽沸分である副生酸類の塔底液中での存在を無くすことができた。運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。なお、表6における「塔内汚れ状況」の評価は、表4と同じ基準を用いた。
(実施例4)
実施例3において使用した共沸溶媒の混合組成を、MIBK95質量%とo−キシレン5質量%とした以外は、実施例3と同様の条件として8時間の共沸脱水蒸留を行った。結果を表6に示す。系内組成が一定になった時点での塔底組成は、酢酸は170質量ppmとわずかに残存していたが、蟻酸は0質量ppmであり塔底液に蟻酸は存在しなかった。運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。
【0099】
(実施例5)
実施例3において使用した共沸溶媒の混合組成を、MIBK80質量%とn−オクタン20質量%とし、塔底温度190℃とした以外は、実施例3と同様の条件として8時間の共沸脱水蒸留を行った。結果を表6に示す。系内組成が一定になった時点での塔底組成は、酢酸は500質量ppm残存していたが、蟻酸は0質量ppmであり塔底液に蟻酸は存在しなかった。運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。
【0100】
(実施例6)
実施例3において使用した共沸溶媒の混合組成を、MIBK100質量%とした以外は、実施例4と同様の条件として8時間の共沸脱水蒸留を行った。結果を表6に示す。系内組成が一定になった時点での塔底組成は、酢酸は2150質量ppm、蟻酸は100質量ppmであった。酢酸、蟻酸ともに塔底液中に存在した。運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。
【0101】
(実施例7)
実施例3において使用した共沸溶媒の混合組成を、MIBK100質量%とし、塔底温度190℃とした以外は、実施例4と同様の条件として8時間の共沸脱水蒸留を行った。結果を表6に示す。系内組成が一定になった時点での塔底組成は、酢酸は1720質量ppm、蟻酸は15質量ppmであった。塔底温度を170℃から190℃に上昇させた場合でも、酢酸、蟻酸ともに塔底液中に存在した。運転で塔内にはアルデヒド類とキノン類の縮合物および無水マレイン酸重合体による塔内の汚れや析出物は観察されなかった。またフマル酸の析出による詰まりも見られなかった。
【0102】
【表6】
Figure 0004092143
【0103】
【発明の効果】
無水マレイン酸製造における濃縮・脱水工程で従来析出物として現れることが問題であったマレイン酸やフマル酸は水に対しては溶解度が高く、有機溶剤への溶解度は一般的に水よりも低い。本発明では、特定の物性を有するケトン類やエステル類などの有機溶剤を共沸溶媒として使用し、該共沸溶媒が水との相溶性を有するため、共沸脱水蒸留塔内での油水分離の状態が解消され、縮合物の生成原因物質であるアルデヒド類とキノン類の水相への濃縮がなくなることで縮合反応が抑制される。また、マレイン酸、フマル酸やマレイン酸重合体の混合溶液として存在する共沸脱水工程における共沸混合物への溶解度が増加し、析出物による閉塞を防止することができる。
【0104】
無水マレイン酸製造での粗マレイン酸水溶液の濃縮脱水工程として共沸脱水蒸留で行う場合に、水と親和性を有する有機溶媒を用いることで析出物による塔内閉塞を防止することができるが、マレイン酸の共沸脱水に適した水と親和性を有するケトン類やエステル類などの有機溶媒は、副生物である酸類特に蟻酸や酢酸と共沸組成を持たないため、これら副生酸類の分離が困難で精製無水マレイン酸純度を低下させる原因となる。共沸溶媒として、水と親和性を有する有機溶媒と酸類特に蟻酸や酢酸と共沸組成を持つ有機溶媒との特定割合範囲での混合溶媒系を用いて共沸脱水蒸留をすることで、析出物による共沸脱水塔の閉塞を防止しつつ、共沸脱水蒸留の工程段階で副生酸類を除去できる精製プロセスとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における無水マレイン酸の製造方法の好ましい製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1…反応ガス、
10…無水マレイン酸捕集器、
11…粗製無水マレイン酸、
20…水洗捕集器、
21…リサイクル捕集水、
30…濃縮装置、
40…共沸脱水塔、
50…油水分離槽、
51…廃水、
60…高沸点分離装置、
61…残査、
70…溶媒分離塔、
71…共沸溶媒、
80…精製塔、
81…精製無水マレイン酸
90…溶媒回収塔。

Claims (2)

  1. 粗マレイン酸含有水溶液を共沸溶媒を用いて共沸蒸留によって脱水する工程を含む無水マレイン酸の製造方法において、該共沸溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を用いることを特徴とする、無水マレイン酸の製造方法。
  2. 粗マレイン酸含有水溶液が、ベンゼンを接触気相酸化して得た反応生成ガスを水捕集したものである請求項1に記載の製造方法。
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