JP4089933B2 - 自動車用シートの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車用シートを車体のフロアに取り付ける構造に係り、特に、折り畳み状態でフロアから退避させられることにより荷室を広大化させる形式のリヤシートに好適な自動車用シートの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、レジャーの多様化等に伴い、多人数の乗車や多量の荷物の積載を可能としたRV(Recreational Vehicle)あるいはミニバンと称されるタイプの自動車が広く供給されている。このような自動車は、例えば、リヤシートの後方にさらにリヤシートを設けフロントシートを含めてシートを前後3列とし、一方、リヤシートを格納するとリヤのフロアが荷室になるような構成となっている。このような自動車にあってはシートアレンジは多彩であるが、最後列のリヤシート(3列目シート)は多人数が乗車するときに選択的に利用するシートとし、通常は折り畳んで格納し車内空間の最後部を広い荷室とする使用形態が最も多く採られているであろう。従来の3列目シートの格納の仕方としては、着座部に背もたれ部を重ねて折り畳み状態とし、これを回転させることにより、フロア上に倒したり側方にはね上げたりしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リヤシートを格納してリヤのフロアを荷室として使う場合、荷物の収納性や出し入れ易さを考慮すると、フロアはフラットであり、なおかつリヤシートが荷室に出っ張っていないことが望ましい。しかしながら上記3列目シートのようにフロア上に倒したり側方にはね上げる格納形態では、たとえ折り畳み状態といえども荷室に出っ張るので好ましくない。また、自動車には安全装置としてシートベルトが装備されているが、このシートベルトを着脱自在に装着するためのベルトアンカは、作動時に強大な負荷がかかるので車体フレームに直接固定されることが望ましい。ところが、上記のようなリヤシートでは、回転格納式である故にリヤシート用のベルトアンカを車体フレームに直接固定することが困難である。また、ベルトアンカを車体フレームに固定することができたとしても、ベルトアンカはフロアから突出し、荷室にした場合に邪魔になるという問題が生じる。そこで、ベルトアンカをシート自体(例えばシートの強度メンバ)に固定すればこれらの問題は解決されるものの、強大な負荷に耐え得る強度を具備させるために重量が増大するという問題が生じる。重量増大は、リヤシートを格納したりセットしたりする際の労力が増大するとともにコストアップを招き、さらには自動車全体の重量が増大して燃料消費率の低下をも招くことになる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リヤシート等のシートをフロアがフラットになる状態に格納することができるとともに、シートの重量増大が抑えられながらも強大な負荷に十分耐え得るようにシートベルトのベルトアンカを固定することのできる自動車用シートの取付構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車用シートの取付構造は、着座部に傾倒軸を介して背もたれ部が傾倒自在に取り付けられ、背もたれ部を着座部側に倒して重ねることにより折り畳み状態となり、さらに車体に組み込まれたシートベルトの一端部が着脱自在に装着されるベルトアンカが設けられた自動車用シートを、車体のフロアに取り付ける構造であって、フロアに軸支部を介して回転軸を設けるとともに、フロアにおける回転軸の近傍にシートを格納し得る格納凹所を設け、回転軸に、シートの着座部を、折り畳み状態のシートを回転軸ごと回転させて格納凹所側に倒すと該格納凹所にシートが格納されるように組み付け、さらにベルトアンカを、着座部における回転軸への組付部に固定したことを特徴としている。そして、この自動車用シートの取付構造において、軸支部には、シートが格納凹所から出る回転方向に回転軸を付勢する付勢部材が設けられ、軸支部は、回転軸の軸線方向に互いに離間した内側側板部および外側側板部と、車体のフロアに固定されるとともに内側側板部および外側側板部とを連結する底板部とを有し、内側側板部および外側側板部には、回転軸が回転可能に支持される取付孔が形成され、内側側板部には、回転軸の回転方向に沿った円弧状のスリットが形成され、付勢部材は回転軸に巻回され、付勢部材の一端部は軸支部の底板部に当接し、付勢部材の他端部は、スリット内で移動可能に設けられ、その先端は、軸支部の内側側板部のスリットから突出し、付勢部材の他端部は、初期状態では、スリットの上側端部に当接し、付勢部材の他端部の先端は、折り畳み状態のシートが格納凹所へ入る回転方向に回転軸が所定角度回転した時には、回転軸の係合片に係合し、付勢部材の他端部の先端は、その係合片に係合した状態で上記スリットに沿って同回転方向へさらに回転することにより、付勢部材は、シートが格納凹所から出る回転方向に回転軸を付勢する付勢力を発生し、付勢部材の他端部の先端は、折り畳み状態のシートの格納凹所への格納時には、スリットの下側端部に当接し、付勢部材の付勢力は、シートが格納凹所に格納可能な強さに設定されていることを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、シートは通常、背もたれ部を適宜な傾倒角度に固定した状態でシートとして使用される。また、背もたれ部を着座部側に倒して重ね、この折り畳み状態を保持しながらシート全体を回転軸ごと回転させて格納凹所側に倒すと、該格納凹所にシートが格納される。このようにシートを格納した状態では、シートが設置されていたフロアをフラットにすることができ、そのスペースを荷室として活用することができる。また、ベルトアンカは、シート格納時にシートとともに格納凹所に格納され、フロア上に突出せずフロアのフラットな状態が保たれる。
【0007】
本発明にあっては、シートの着座部を回転軸に組み付けており、その組付部にシートベルトのベルトアンカを固定している。この構造により、シートベルト作動時に生じる負荷は、回転軸への着座部の組付部にかかり、さらに回転軸から軸支部を経てフロアを構成する強度メンバに伝達していく。回転軸は、シートを格納したり格納凹所から出してセットしたりする動作の支点であり、着座部の組付部はシート全体を支持する部分である。このため、回転軸および回転軸への着座部の組付部は、相当の強度を備える設計がなされる。したがって、シートベルト作動時に生じる負荷に対して十分な耐力を有する構造を得ることができる。また、シートベルト作動時の負荷はシートにほとんどかからないので、基本的にはその負荷を考慮したシートの強度設計を必要とせず、このため、シートの重量増大が抑えられる。その結果、シートを格納したりセットしたりする際の労力の増大およびコストアップが抑えられ、さらには自動車全体の重量増大に伴う燃料消費率の低下も抑制される。
【0008】
本発明では、回転軸を支持する軸支部に、シートが格納凹所から出る回転方向に回転軸を付勢する付勢部材が設けられており、さらにこの付勢部材の付勢力は、シートの重さを受けると発生し、かつ、シートが格納凹所に格納可能な強さに設定されていることを好ましい形態としている。この形態によれば、折り畳んだシートを格納凹所側に倒す動作に伴い回転軸が回転すると、シートの重さを受ける付勢部材に付勢力が発生する。その付勢力はシートが格納凹所に格納可能な強さであるから、シートは付勢力を受けながらも付勢部材によって戻されたり停止させられたりすることなく、格納凹所に格納される。そして、格納凹所からシートを出そうとしてシートを回転させると、その操作をする者は付勢部材の付勢力を受けるので、要する労力が軽減される。つまり、シートを格納凹所から出す際には付勢部材の補助を受けながらとなり、その補助力である付勢部材の付勢力はシートが付勢部材に重さがかからない角度まで続く。シートをフロア下の格納凹所から取り出すときには、シートは着座部と背もたれ部とが折り畳まれた状態であるからシートの全重量を引き上げることになるので、相当の労力を要することになる。しかしながら、上記のように付勢部材の補助を受けることにより労力が軽減され、その結果、シートの取り出し操作を楽に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を前述したRVやミニバン等の自動車の3列目シート(以下、単にシートと称する)に適用した一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るシート1を通常の使用状態からフロア2の下に格納する手順を概略的に示している。シート1は、着座部10および背もたれ部20からなり、背もたれ部20にはヘッドレスト30が装着される。このシート1は、フロア2に取付シャフト(回転軸)3を介して取り付けられている。図1(a)は通常の使用状態であり、ここからヘッドレスト30を取り外し、図1(b)の状態から背もたれ部20を前方に倒して着座部10に重ねて折り畳み(図1(c))、次いで折り畳み状態のシート1を取付シャフト3を支点に後転させていく(図1(d))と、図1(e)に示すように、フロア2におけるシート1の後方に設けられた格納凹所4にシート1が逆転した状態で格納される。
以下、シート1の構成および取付構造を詳述する。
【0010】
図2はシート1の組立分解斜視図であり、当該シート1は、着座部10と、着座部10に左右一対のリクライニング機構40を介して傾倒自在に取り付けられる背もたれ部20とから構成されている。着座部10は、図3に示す着座部フレーム10Aに、図2に示す着座部クッション10Bが装着され、着座部フレーム10Aの裏面に図示せぬカバーが固定されて組み立てられる。一方、背もたれ部20は、図4に示す背もたれ部フレーム20Aに、図1に示す背もたれ部クッション20Bが装着されて組み立てられ、さらに左右一対のヘッドレスト30が着脱可能に装着される。
【0011】
着座部フレーム10Aは、図3に示すように、前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ11と、これらサイドメンバ11の前端部(同図で手前側)間および後端部間にそれぞれ架け渡されたフロントパイプ12およびリヤメンバ13と、フロントパイプ12とリヤメンバ13の左右方向中央部間にわたって架け渡されたセンターパイプ14と、このセンターパイプ14の両側に配されてフロントパイプ12とリヤメンバ13の間にわたって架け渡された左右一対のアンダーパネル15とから構成されている。これら構成要素は、溶接やボルト止め等の適宜な固着手段によりそれぞれ固着されている。リヤメンバ13は、図8にも示すように、断面半円弧状のパイプ部13Aの端縁から平板状のフランジ部13Bが一体に形成された長尺な板状部材であり、シート1の使用状態で、パイプ部13Aの溝側が下方に向くよう組まれている。パイプ部13Aの内径は、パイプ部13A内に後述する取付シャフト3が嵌合する径に設定されている。左右のサイドメンバ11の前端部外側には、着座部10の前端部をフロア2に着脱させるフロアロック16が取り付けられる。
【0012】
背もたれ部フレーム20は、図4に示すように、上下方向に延びる左右一対のサイドメンバ21と、これらサイドメンバ21の上端部間および下端部間にそれぞれ架け渡されたアッパーメンバ22およびロアーパイプ23と、これらによって形成された枠体の内部に組み込まれた格子状ビーム24とから構成されている。これら構成要素は、溶接によりそれぞれ固着されている。アッパーメンバ22には、ヘッドレスト30が着脱可能に装着されるヘッドレストアジャスタ25が固着されている。
【0013】
背もたれ部20を着座部10に対して傾倒自在に取り付けるリクライニング機構40は、図2に示すように、着座部10の側面後端部に固定される固定ブラケット41と、背もたれ部20の側面下端部に固定され、固定ブラケット41に中間ブラケット42を介して前後方向に回転自在かつ任意の回転角度で固定される可動ブラケット43と、中間ブラケット42に組み込まれた操作レバー44および操作レバー44の端部に装着されるノブ45と、背もたれ部20の下端部に貫通され、左右の突出端部に中間ブラケット42が取り付けられるリクライニングシャフト(傾倒軸)46と、固定ブラケット41のカバー47と、中間ブラケット42および可動ブラケット43のカバー48とから構成されている。中間ブラケット42には可動ブラケット43を前方に傾倒させる図示せぬバネが組み込まれており、そのバネは、前後方向に傾倒自在かつ後方に常に付勢されている操作レバー44によって作動させられるようになっている。
【0014】
上記各フレーム10A,20Aにクッション10B,20Bがそれぞれ装着され着座部10および背もたれ部20が構成され、これらは、次のようにしてシート1に組み立てられる。図2に示すように、まず、背もたれ部20の下端部にリクライニングシャフト46を貫通させる。リクライニングシャフト46は、背もたれ部フレーム20Aのサイドメンバ21の下端部に形成されている透孔21a(図4参照)に通される。次に、このリクライニングシャフト46の背もたれ部20から突出する両端部に中間ブラケット42をそれぞれ取り付ける。また、各固定ブラケット41を着座部10の側面後端部に、また、各可動ブラケット43を背もたれ部20の側面下端部にそれぞれ固定する。次に、各カバー47,48を装着し、最後にノブ45を操作レバー44に装着する。固定ブラケット41および可動ブラケット43は、それぞれ着座部フレーム10Aおよび背もたれ部フレーム20Aにボルト止めされる。
【0015】
上記シート1は、リクライニング機構40の操作レバー44を前方に倒すと中間ブラケット42に対する可動ブラケット43の係合が外れ、可動ブラケット43とともに背もたれ部20が前方に倒れて着座部10に重なり、折り畳み状態となる。また、操作レバー44を前方にに倒したままでは可動ブラケット43がフリーとなり、この状態で背もたれ部20を任意の角度に調整してから操作レバー44を離すと、可動ブラケット43が中間ブラケット42に係合し背もたれ部20はその位置で固定される。このように、シート1は、背もたれ部20を任意の角度で固定させることができ、かつ背もたれ部20を着座部10側に倒して折り畳むことができるようになっている。
【0016】
上記シート1は、図5に示す取付シャフト3を介してフロア2に取り付けられる。この取付シャフト3は、両端部に互いに同軸的な軸部3Aが形成され、これらの間に屈曲部3Bを経て軸部3Aと平行な偏心部3Cが形成されたパイプである。軸部3Aの途中にはフランジ50が固着されており、このフランジ50よりも末端側は、他の部分よりも小径となっている。この小径部3aの端面の軸心部には、軸方向に突出するネジ部51が形成されている。また、フランジ50には、径方向に延びる1つの係合片50aが形成されている。
【0017】
この取付シャフト3は、軸方向がフロア2の左右方向と平行な状態で、各軸部3Aが図5(b)に示すフロアブラケット(軸支部)60を介してフロア2に回転自在に取り付けられる。また、取付シャフト3の偏心部3Cには、シート取付ブラケット70が溶接により固着されている。このシート取付ブラケット70は、前述したリヤメンバ13と対をなすもので、図8に示すように、断面半円弧状のパイプ部70Aの端縁から平板状のフランジ部70Bが一体に形成された長尺な板状部材であり、パイプ部70Aの内径は、パイプ部70A内に取付シャフト3の偏心部3Cが嵌合する径に設定されている。シート取付ブラケット70は、取付シャフト3の屈曲部3Bがほぼ直立して偏心部3Cが軸部3Aの上方に位置する状態で、パイプ部70Aの溝側が上方に向くよう組まれている。
【0018】
フロアブラケット60は、図6に示すように、離間した左右一対の内側の側板部61および外側の側板部62が前板部63と底板部64とによって連結された箱状のもので、開口側を車体後方に向け、かつ底板部64がほぼ水平な状態でフロア2下の車体フレームにおける適宜箇所に固定される。図5に示すように、内側の側板部61には取付孔61aが、また、外側の側板部62には位置決め孔62aがそれぞれ空けられている。さらに内側の側板部61には、取付孔61aと同心的に円弧状のスリット61bが形成されている。フロアブラケット60内には、取付シャフト3を、ある回転角度の範囲において図3、図6および図7の矢印Fで示す前転方向に付勢するバネ(ねじりコイルバネ:付勢部材)65が装填される。図5に示すように、このバネ65の両端の腕部は、一方が接線方向に延びる固定側フック65a、他方が直線起こしされた可動側フック65bとなっている。バネ65は、取付シャフト3が図3、図6および図7の矢印Rで示す後転方向に回転すると巻き込み状態となるよう軸部3Aの小径部3aに巻回される。また、バネ65の付勢力は、シート1の重さを受けると発生し、かつ、シート1が格納凹所4に格納可能な強さに設定されている。
【0019】
上記取付シャフト3は、次のようにしてフロア2に取り付けられる。はじめに、取付シャフト3にフロアブラケット60を取り付ける。図5(b)を参照してその方法を説明すると、まず可動側フック65bを内側の側板部61のスリット61bに挿入し、かつ取付孔61aとほぼ同軸とした状態に、バネ65をフロアブラケット60内で保持する。次いで、取付シャフト3の軸部3Aの小径部3aを取付孔61aおよびバネ65内に挿入し、さらにネジ部51を位置決め孔62aに挿入し、外側の側板部62から突出するネジ部51にワッシャ66を介してナット67をねじ込む。ここで、バネ65は、自身の弾性による巻き戻し力が弱く生じており、そのため、固定側フック65aがフロアブラケット60の底板部64に、また可動側フック65bがスリット61bにおける前板部63側の端部内面に、それぞれ当接している。
【0020】
このように取付シャフト3に取り付けられたフロアブラケット60を、開口側を車体後方に向け、かつ底板部64をほぼ水平な状態としてフロア2下の車体フレームにおける適宜箇所に固定する。このようにして、取付シャフト3はフロアブラケット60を介してフロア2に回転自在に取り付けられる。取付シャフト3は、シート1の着座部10の前転あるいは後転に伴って軸部3Aを支点として同方向に回転し、後転時には、フランジ50の係合片50aがバネ65の可動側フック65bに係合してバネ65に付勢力が発生するようになっている。
【0021】
上記構成の取付シャフト3には、次のようにして上記シート1が取り付けられる。図8に示すように、まず、着座部フレーム10Aのリヤメンバ13のパイプ部13Aを取付シャフト3の偏心部3Cに嵌合させる。これにより、リヤメンバ13の各フランジ部13Bにシート取付ブラケット70の各フランジ部70Bが重なる。次いで、これらフランジ部13B,70Bを、図5(a)に示すボルト71により共締めする。このように、シート1は、着座部フレーム10Aのリヤメンバ13がシート取付ブラケット70を介して取付シャフト3の偏心部3Cに固定され、取付シャフト3と一体に回転可能とされる。
【0022】
図9に示すように、着座部フレーム10Aのリヤメンバ13の前側(図9で左側)のフランジ部13Bには、ベルトアンカ固定用のボルト通し孔13bが形成されている。このボルト通し孔13bは、図3に示すようにセンターパイプ14の両側に形成されている。一方、図9に示すように、シート取付ブラケット70の前側のフランジ部70Bには、ボルト通し孔13bに連続するボルト通し孔70bが形成されており、さらに、同フランジ部70Bの裏面には、ねじ孔がボルト通し孔13b,70bに連続するナット72が溶接されている。そして、これらボルト通し孔13b,70bおよびナット72を利用して、ベルトアンカ80が、リヤメンバ13およびシート取付ブラケット70の前側のフランジ部13B,70Bに固定されている。ベルトアンカ80は、図3および図9に示すように、ベース80aにベルト80bを介してバックル80cが連結されたもので、バックル80cに図示せぬシートベルトの端部の金具が着脱自在に装着される。このベルトアンカ80は、図9に示すように、ベース80aに通したボルト81をボルト通し孔13b,70bに通し、ナット72にねじ込むことにより、両フランジ部13B,70Bに固定される。このように、ベルトアンカ80は、着座部10における取付シャフト3への組付部(この場合着座部フレーム10Aのリヤメンバ13とシート取付ブラケット70)に固定される。なお、ベルトアンカ80は、ベルト80bが着座部10と背もたれ部20の間に通され、図2に示すように、バックル80cが着座部10上に配置される。
【0023】
次に、上記シートの取付構造による作用を説明する。
図1(a)に示すように、シート1を使用する状態においては、着座部10はほぼ水平で、背もたれ部20はリクライニング機構40を利用して適宜な後傾角度に調整される。このとき、着座部10はフロアロック16によりフロア2に固定され、シート1全体の安定が保たれる。また、この使用状態では、取付シャフト3の屈曲部3Bはほぼ直立して偏心部3Cが軸部3Aの上方に位置し、図7(a)に示すようにフランジ50の係合片50aは前方(図7で左方)やや下方に向いている。
【0024】
次に、シート1をフロア2の格納凹所4に格納する手順を説明する。
まず、フロアロック16による着座部10のフロア2への固定を解除し、ヘッドレスト30をヘッドレストアジャスタ25から引き抜く(図1(b))。次いで、リクライニング機構40を利用して背もたれ部20を前方に倒して着座部10に重ねて折り畳む(図1(c))。この後、折り畳み状態のシート1を取付シャフト3の軸部3Aを支点として後転させていく(図1(d)〜(e))。すると、図1(e)に示すように、フロア2におけるシート1の後方に設けられた格納凹所4にシート1が逆転した状態で格納される。ここで、シート1が図1(d)に示すほぼ直立状態になったときに、図6および図7(a)に示すようにフランジ50の係合片50aはバネ65の可動側フック65bに当接し、さらにここから後転していくと、係合片50aによりバネ65は徐々に巻き込まれ、付勢力が発生していく。その付勢力は、シート1の後転に伴って徐々に強くなっていくものの、シート1が格納凹所4に格納可能な強さであるから、シート1はバネ65の付勢力を受けながらもバネ65によって戻されたり停止させられたりすることなく、格納凹所4に格納される。つまり、バネ65はシート1の重さによって巻き込み方向に撓まされ、シート1が格納されると付勢力は最大となる。したがって、シート1を直立させてから、後方にわずかに倒す力を与えればシート1は格納凹所4に自重により自然に格納される。
【0025】
シート1が格納凹所4に格納されると、着座部10の裏面に固定されているカバーがフロア2の表面とほぼ面一の状態で格納凹所4を覆う。したがって、フロア2はフラットであり、そのスペースを荷室として有効に活用することができる。また、ベルトアンカ80は、シート1の格納時にシート1とともに格納凹所4に格納され、フロア2上に突出せずフロア2のフラットな状態が保たれる。
【0026】
次に、格納凹所4からシート1を出して使用状態にセットするには、上記格納動作と逆の動作を行えばよい。すなわち、シート1を引き上げて前転させ、図1(c)に示すように一旦背もたれ部20ごと前方に倒してから、リクライニング機構40を利用して背もたれ部20のみを後転させて適宜な傾倒角度で固定する。また、フロアロック16により着座部10をフロア2に固定し、さらにヘッドレスト30を背もたれ部20に装着する。
【0027】
上記実施形態に係るシートの取付構造によれば、まず第1に、シート1をフロア2がフラットになる状態に格納することができ、これにより、荷物の収納性や出し入れ易さが格段に向上する。
次に、シートベルトのベルトアンカ80を、シート1の着座部10における取付シャフト3への組付部(着座部フレーム10Aのリヤメンバ13とシート取付ブラケット70)に固定している。この構造により、シートベルト作動時に生じる負荷は、リヤメンバ13とシート取付ブラケット70にかかり、さらに取付シャフト3からフロアブラケット60を経てフロアを構成する車体フレームに伝達していく。取付シャフト3は、シート1を格納したり格納凹所4から出してセットしたりする動作の支点であり、着座部10の組付部はシート1全体を支持する部分である。このため、取付シャフト3と、リヤメンバ13およびシート取付ブラケット70は、相当の強度を備える設計がなされる。したがって、シートベルト作動時に生じる負荷に対して十分な耐力を有する構造を得ることができる。また、シートベルト作動時の負荷はシート1にほとんどかからないので、基本的にはその負荷を考慮した強度設計はシート1には必要とせず、このため、シート1の重量増大が抑えられる。その結果、シート1を格納したりセットしたりする際の労力の増大およびコストアップが抑えられ、さらには自動車全体の重量増大に伴う燃料消費率の低下も抑制される。
【0028】
また、シート1を格納凹所4から出そうとしてシート1を回転させると、その操作をする者は、フロアブラケット60に装填されたバネ65の付勢力を受けるので、要する労力が軽減される。つまり、シート1を格納凹所4から出す際にはバネ65の補助を受けながらとなり、その補助力は、シート1の重さがバネ65かからない図1(d)に示すほぼ直立状態となるまで作用する。シート1を格納凹所4から取り出すときには、シート1は着座部10と背もたれ部20とが折り畳まれた状態であるからシート1の全重量を引き上げることになるので、相当の労力を要することになる。しかしながら、バネ65の補助を受けることにより労力が軽減され、その結果、シート1の取り出し操作を楽に行うことができる。また、シート1を格納凹所4に格納する際においては、シート1はバネ65の緩衝を受けながら倒れていくので、その動作は急激とはならず安全であり、また、シート1ならびにフロア2に衝撃は生じず損傷等が防がれる。
【0029】
さらに、バネ65は、フランジ50の係合片50aが係合していない状態でも、自身の弾性により、固定側フック65aがフロアブラケット60の底板部64に、また可動側フック65bがスリット61bにおける前板部63側の端部内面にそれぞれ当接している。したがって、シート1を使用している際にもバネ65はガタつかず、ガタつきによる異音の発生も防がれる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リヤシート等のシートをフロアがフラットになる状態に格納することができるとともに、シートの重量増大が抑えられながらも強大な負荷に十分耐え得るようにシートベルトのベルトアンカを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るシートの取付構造に伴うシート格納動作を(a)〜(e)の順に概略的に示す側面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係るシートの分解組立斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るシートの着座部を構成する着座部フレームの斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係るシートの背もたれ部を構成する背もたれ部フレームの斜視図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係る取付シャフトにフロアブラケットが取り付けられた状態の(a)は斜視図、(b)は分解組立斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係る取付シャフトをフロアに取り付けるためのフロアブラケットを示す斜視図である。
【図7】 同フロアブラケットの内側の側面図であって、(a)はシートが格納されていない場合、(b)はシートが格納された場合を示している。
【図8】 本発明の一実施形態に係る取付シャフトに着座部フレームのリヤメンバを固定する構造を示す断面図である。
【図9】 本発明の一実施形態に係るベルトアンカを車体フレームのリヤメンバおよびシート取付ブラケットに固定する構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…シート、2…フロア、3…取付シャフト(回転軸)、4…格納凹所、
10…着座部、20…背もたれ部、46…リクライニングシャフト(傾倒軸)、60…フロアブラケット(軸支部)、65…バネ(付勢部材)、80…ベルトアンカ。
Claims (1)
- 着座部に傾倒軸を介して背もたれ部が傾倒自在に取り付けられ、背もたれ部を着座部側に倒して重ねることにより折り畳み状態となり、さらに、車体に組み込まれたシートベルトの一端部が着脱自在に装着されるベルトアンカが設けられた自動車用シートを、車体のフロアに取り付ける構造であって、
上記フロアに軸支部を介して回転軸を設けるとともに、フロアにおける回転軸の近傍にシートを格納し得る格納凹所を設け、
上記回転軸に、上記シートの着座部を、折り畳み状態のシートを回転軸ごと回転させて上記格納凹所側に倒すと該格納凹所にシートが格納されるように組み付け、
さらに上記ベルトアンカを、上記着座部における上記回転軸への組付部に固定する構造において、
上記軸支部には、上記シートが上記格納凹所から出る回転方向に上記回転軸を付勢する付勢部材が設けられ、
上記軸支部は、上記回転軸の軸線方向に互いに離間した内側側板部および外側側板部と、車体のフロアに固定されるとともに上記内側側板部および上記外側側板部とを連結する底板部とを有し、上記内側側板部および外側側板部には、上記回転軸が回転可能に支持される取付孔が形成され、上記内側側板部には、上記回転軸の回転方向に沿った円弧状のスリットが形成され、
上記付勢部材は上記回転軸に巻回され、上記付勢部材の一端部は上記軸支部の底板部に当接し、上記付勢部材の他端部は、スリット内で移動可能に設けられ、その先端は、上記軸支部の内側側板部のスリットから突出し、
上記付勢部材の他端部は、初期状態では、上記スリットの上側端部に当接し、
上記付勢部材の他端部の先端は、上記折り畳み状態のシートが上記格納凹所へ入る回転方向に上記回転軸が所定角度回転した時には、上記回転軸の係合片に係合し、上記付勢部材の他端部の先端は、その係合片に係合した状態で上記スリットに沿って同回転方向へさらに回転することにより、上記付勢部材は、上記シートが上記格納凹所から出る回転方向に上記回転軸を付勢する付勢力を発生し、
上記付勢部材の他端部の先端は、上記折り畳み状態のシートの上記格納凹所への格納時には、上記スリットの下側端部に当接し、上記付勢部材の付勢力は、上記シートが格納凹所に格納可能な強さに設定されていることを特徴とする自動車用シートの取付構造。
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-
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