JP4089874B2 - コエンザイムｑ１０含有飲料 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユビキノンとしても知られているコエンザイムＱ１０を含有する飲料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
コエンザイムＱ１０は、ユビキノンとしても知られており、ヒトの体内でも合成される補酵素の１種である。多量のコエンザイムＱ１０が必要なのは、最もエネルギーを必要とする心臓であり、その心臓を始めとして、肝臓、腎臓に多く含まれている物質である。
【０００３】
また、心臓の働きをよくすることはもとより、免疫細胞や白血球の作用を高めること、抗酸化作用があり、ビタミンＥに似た働きを持つので、ビタミン様物質（ビタミンＱ）としても位置づけられていることが知られている。
【０００４】
更に、コエンザイムＱ１０は、加齢により体内合成量が減少するが、食事でとれる量は１日当たり数ｍｇと多くなく、現在では心臓疾患、老化防止、動脈硬化、糖尿病、高血圧・低血圧などに効果が期待できる栄養補助食品（サプリメント）として市販されてもいる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コエンザイムＱ１０は脂溶性であり、水には殆ど溶けないため、飲料とすることは困難であった。そのため、コエンザイムＱ１０を含む栄養補助食品の殆どは固形物、即ち、カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤等である。
【０００６】
本発明は、コエンザイムＱ１０含有飲料を得ること、特に、熱安定性又は長期保存性を向上させたコエンザイムＱ１０含有飲料を得ることを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載された発明に係るコエンザイムＱ１０含有飲料は、コエンザイムＱ１０乳化液を０．３〜２０％含有し、
１種以上の糖アルコールを、安定化剤として糖アルコール１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の１０倍量を限度として加え、
１種以上の有機酸を、安定化剤として有機酸１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の５倍量を限度として加え、
前記糖アルコールが、エリスリトール、ソルビトール及びキシリトールの混合物であり、
前記有機酸が、クエン酸であるものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明は、コエンザイムＱ１０乳化液を使用したコエンザイムＱ１０含有飲料である。これにより、安定なコエンザイムＱ１０含有飲料を得ることができる。
【００１１】
コエンザイムＱ１０は油脂に溶解するが、油脂に溶解した状態では油脂自体が飲料として摂取困難であり、また溶解した油脂と水と混ぜ合わせても分離してしまうため飲料として成り立たない。しかし，コエンザイムＱ１０乳化液である「ＣＯＱ１０ ５％乳化液−ＴＫ」（日清ファルマ株式会社製）を使用し，一定の割合で糖アルコール及び／又は有機酸を更に配合した場合に、製剤化が容易でかつ摂取しやすく，更に水溶液の状態でも安定な製剤を得ることができる。
【００１２】
コエンザイムＱ１０の有効投与量は健康成人で１日５ｍｇ以上であり、好ましくは２０ｍｇ以上である。コエンザイムＱ１０を５ｍｇ以下摂取した場合、コエンザイムＱ１０の効果はほとんと見られず、３００ｍｇ以上摂取する場合、飲料の形とした時、それに比例し乳化液の割合が高く飲みにくいもしくは全体量が多い飲料となる。
【００１３】
本発明における糖アルコールとは、天然にもあるいは発酵食品にも存在するもので，工業的には糖を水素添加により還元してあるいは醗酵法により製造する。糖と異なり代謝にインシュリンを必要としないものであり、一般に矯味矯臭剤として使用されている。例としてソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチール、ラクチトール、エリスリトールなとが挙げられる。これらのうち少なくとも１種以上を，糖アルコール１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の１０倍量を限度として加えることによって、コエンザイムＱ１０含有飲料の安定化剤として作用することがわかった。
【００１４】
本発明における有機酸とは、一般に酸味剤またはｐＨ調整剤として使用されているものであり、例としてクエン酸（無水、結品）、ＤＬ−リンゴ酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、コハク酸など、またこれらのナトリウム塩などが挙げられる。これらのうち少なくとも１種以上を、有機酸１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の５倍量を限度として加えることによって、コエンザイムＱ１０含有飲料の安定化剤として作用することがわかった。
【００１５】
これらの安定化は糖アルコールや有機酸を加えることにより，粘度，ｐＨあるいはイオン強度などが，コエンザイムＱ１０乳化液を希釈して得られた乳化系の安定に必要な状況を作り出しているからであると推察される。
【００１６】
また，本飲料には植物抽出物などの生薬，白糖やハチミツなとの甘味料，エチルアルコールなどの溶解剤，保存料，香料などを含んでもよい。
【００１７】
更に、本飲料にはコエンザイムＱ１０以外の薬効成分を含んでもよい。例えば、生薬としては動植物の薬用成分を含んでもよい。含有する生薬の薬用成分としては、例えば薬用部位、細胞内容物、分泌物、抽出物又は鉱物などが挙げられ、また原料の形としても粉末、チンキ、乾燥エキス、軟エキス等が挙げられる。含有する生薬としては食品として認められている植物の植物抽出物が好ましい。植物抽出物とは植物（葉、果実、皮、根等）に含まれる成分を水またはアルコール等の食品に用いられる有機、溶媒または水とこれら有機溶媒との混合液によって抽出したもので、溜縮してある場合もある。形態としては液状、ペースト状、粉状などがある。
【００１８】
具体的には、オタネニンジン、トチュウ、オウギ、オウゴン、オウセイ、ウコギ、エキナケア、エストラゴン、エゾウコギ、オウレン、ガジュツ、キムネマ、サイシン、サンシシ、サンシチニンジン、サンシュユ、ムイラブアマ、リュウガン、レイシ＜霊芝＞などの植物抽出物が挙げられる。
【００１９】
【実施例】
実施例１．コエンザイム乳化液の耐熱安定性
表１の処方でコエンザイムＱ１０含有飲料を作製し，９０℃の水浴中で１時間加熱した。加熱前後の性状とコエンザイムＱ１０含量の変化を表２に示した。
【００２０】
【表１】

【００２１】
【表２】

【００２２】
表２のように，熱に対して安定であることがわかる。
【００２３】
実施例２．コエンザイム乳化液の長期保存性
表１の処方でコエンザイムＱ１０含有飲料を作製し，４０℃で３ヵ月まで保存し性状とコエンザイムＱ１０含量の変化を表３に示した。
【００２４】
【表３】

【００２５】
表３のように，長期間の保存に対しても安定であることがわかる。
【００２６】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、熱安定性又は長期保存性を向上させたコエンザイムＱ１０含有飲料を得ることができるという効果がある。

Claims (1)

1. コエンザイムＱ１０乳化液を０．３〜２０％含有し、
   １種以上の糖アルコールを、安定化剤として糖アルコール１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の１０倍量を限度として加え、
   １種以上の有機酸を、安定化剤として有機酸１種当たりコエンザイムＱ１０乳化液の５倍量を限度として加え、
   前記糖アルコールが、エリスリトール、ソルビトール及びキシリトールの混合物であり、
   前記有機酸が、クエン酸であることを特徴とするコエンザイムＱ１０含有飲料。