JP4089237B2 - エレベータの安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、かごとつり合いおもりが主索で連結されて昇降路内を昇降するエレベータの安全装置に係り、特に主索の切断時における安全性を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエレベータの例を図2により説明する。図において1は主ロープで、一側はかご2に連結され、トラクションシーブ3を経由して他側はつり合いおもり4に連結されている。5はかご2の昇降を案内する一対のガイドレールであり、図示省略しているがつり合いおもり4にも同様のガイドレールが設けられている。
【0003】
10はガバナ装置を構成するガバナプーリであり、昇降路下部設置のプーリ11との間にガバナロープ12が巻き掛けられ、このガバナロープ12はレバー13によりかご2に連結されている。
14はかご2の下部両側に設置された非常止装置で、レバー13が引き上げられると作動してガイドレール5を挟みかご2を機械的に停止させる。このレバー13の動きは連動機構15を介して他側にも伝達され両側の非常止装置14は同時に作動する。
【0004】
何らかの原因によりかご2が所定速度以上で下降・落下すると、ガバナ装置が作動してガバナロープ12を拘束し、レバー13が引き上げられる。これにより両非常止装置14が作動してガイドレール5を挟みかご2を停止させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータの設置位置によっては、昇降路のピット(底部)の下を通路や居室として利用する場合がある。この場合にはつり合いおもり4にもかご2と同様の非常止装置を設置しなければならない。そのため、図2に二点鎖線で示したように、ガバナプーリ20、下部プーリ21、ガバナロープ22、一対の非常止装置23などを設置する必要がある。
【0006】
近年バリアフリーの思想が広く浸透し、既存の駅舎等にもエレベータを設置するケースが増加してきた。この場合プラットホームなどの限られた場所に設置されるため省スペースが要求される。そこでかごと昇降路壁との僅かなスペースを有効利用するために、図1に示すようにつり合いおもりを2つに分けて小型化したものが実用されている。
【0007】
この構成のエレベータにおいても、ピットの下を通路や居室として利用する場合がある。この場合には従来と同様に、つり合いおもりにも非常止装置を設置することになる。そうすると、ガバナ装置はかごに1組、つり合いおもりに各1組、合計3組必要になり、限られたスペースに収めることが困難になるという問題が発生する。
また、両つり合いおもりのガバナ装置を同時に作動させるのは難しいという問題もある。更に、一方の主ロープが切断した場合には、この主ロープに連結されているつり合いおもりは非常止装置によって落下を免れるが、他方のつり合いおもりのみではかご重量に比べ軽いため、トラクションシーブ上を主ロープが滑り、かごが落下していく危険がある。このときかごの落下速度が所定値を超えない限りかごのガバナ装置は作動しない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1台のかごと複数個のつり合いおもりとを有し、かごと各つり合いおもりとがそれぞれ主索で連結され、これらのかご及びつり合いおもりにはそれぞれ非常止装置を備え、かごには非常止装置を作動させるガバナ装置を設け、各つり合いおもりにはガバナ装置を設けないエレベータにおいて、かごの非常止装置の連動機構と各つり合いおもりの非常止装置の連動機構とをそれぞれ昇降路上部に設けた方向転換プーリを介してワイヤロープ等の索状体で連結し、索状体に所定以上の力が掛るとその索状体が連結されているつり合いおもりの非常止装置とかごの非常止装置が作動するように構成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1により説明する。図において、30は巻上機31により回動するメインシャフト、32はシャフト受、3a,3bはメインシャフト30に固定されたトラクションシーブである。1aは主ロープで、一側はかご2の下部のロープヒッチ部2aに連結され、トラクションシーブ3aを経由して他側はつり合いおもり4aに連結されている。1bも同様の主ロープで、一側はかご2のロープヒッチ部2aの反対側に連結され、トラクションシーブ3bを経由して他側はつり合いおもり4bに連結されている。
【0010】
40aはセーフティロープで、一側はかご2の非常止装置(図示省略)の連動機構15に連結され、昇降路上部のプーリ41a,42aを経由して、他側はつり合いおもり4aの非常止装置の連動機構(図示省略)に連結されている。40bもセーフティロープで、一側は連動機構15に連結され、昇降路上部のプーリ41b,42bを経由して、他側はつり合いおもり4bの非常止装置の連動機構(図示省略)に連結されている。
また、図示省略しているが、かご2には図2と同様にガバナ装置が設置されており、かご2が所定速度以上で下降するとガバナ装置によって連動機構15が作動して非常止装置によってかご2を停止させる。しかし、つり合いおもり4a,4bには非常止装置は設置してあるが、ガバナ装置はない。
【0011】
この構成において、主ロープ1aが切断したり緩んだりとすると、セーフティロープ40aにテンションがかかり、かご2の非常止装置と、つり合いおもり4aの非常止装置の両方が作動してかご2及びつり合いおもり4aの落下を阻止する。
【0012】
このように、本実施の形態によれば、つり合いおもり用のガバナ装置がなくても、主ロープの切断や弛緩時には、かご及びつり合いおもりの両方を停止させることができる。そのため、つり合いおもりのガバナ装置の数を減らせる分だけ省スペースになる。また通常ガバナ装置に連動する連動機構にはスイッチが配置され、非常止装置の作動時にはスイッチも作動しているが、本実施の形態ではつり合いおもり側の非常止装置が作動すると必ずかごの非常止装置も作動する構成のため、かご側にスイッチがあれば、つり合いおもり側にスイッチを設ける必要がない。したがってつり合いおもりへの電気配線が不要になるという効果がある。
【0013】
本実施の形態では、2組の主ロープ1a,1bの何れか1組又は両組のロープが切断・弛緩してもかごやつり合いおもりの落下を防止できるが、図2のようにつり合いおもりが1個の場合にも本発明を適用することができる。またセーフティロープ40a,40bは、通常はあまり力が掛からずかご2及びつり合いおもり4a,4bの非常止装置を作動できる強度があればよいため、ワイヤロープの他にテープ等の帯状体や合成繊維製など他の索状体を使用することもできる。
【0014】
図1では、巻上機でトラクションシーブを駆動する方式のエレベータで説明しているが、かごとつり合いおもりが主索で連結されたものであれば、油圧エレベータなど他の機種でもよい。またつり合いおもりは2個、即ち2分割にしているが、3個以上であっても同様に本発明を適用することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安全性を確保しながら省スペース化を実現でき、また複数のつり合いおもりを有するエレベータにも好適な安全装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
【図2】従来のエレベータの例を示す図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 主ロープ
2 かご
4,4a,4b つり合いおもり
14 非常止装置
15 連動機構
40a,40b セーフティロープ
Claims (1)
- 1台のかごと複数個のつり合いおもりとを有し、前記かごと前記各つり合いおもりとがそれぞれ主索で連結され、これらのかご及びつり合いおもりにはそれぞれ非常止装置を備え、前記かごには前記非常止装置を作動させるガバナ装置を設け、前記各つり合いおもりにはガバナ装置を設けないエレベータにおいて、
前記かごの非常止装置の連動機構と前記各つり合いおもりの非常止装置の連動機構とをそれぞれ昇降路上部に設けた方向転換プーリを介して索状体で連結し、前記索状体に所定以上の力が掛るとその索状体が連結されているつり合いおもりの非常止装置とかごの非常止装置が作動するように構成したエレベータの安全装置。
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